説明

ペースメーカ、細動除去器および/または電気除細動器等の能動植込み型医療機器のためのDDD/AAIモードの自動スイッチング

【課題】DDDからAAIペーシングモードへの自動モード切換えを行って心臓リズムを管理する改良されたDDD/AAI動作モードを有する、ペースメーカ、細動除去器および/または電気除細動器等の心臓リズムを管理するための能動植込み型医療装置を得る。
【解決手段】以下の条件のうちの少なくとも1つが満たされた際にAAIペーシングモードからDDDペーシングモードの切換えが行われる。;心室検出が後続しない連続する心房事象の数が例えば2事象である許容数を超過する;12事象からなる第3の心房事象の数にわたった監視ウィンドウ中において心室検出が後続しない心房事象の数が例えば3である許容数を超過する;300msである予め設定された遅延時間を越えた後に生じた心室検出が後続する心房事象の数が好適には6である許容数を超過する;2つの心室事象間のインタバルが3秒である予め設定された遅延を超過する。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
この発明は1990年6月20日付EC評議会指令第90/385/CEE号によって定義された能動植込み型医療機器に係り、より具体的には心拍障害を治療するための低エネルギーの刺激パルスを心臓に付加することができるペースメーカ、“マルチサイト”(3または4房室)細動除去器および/または電気除細動器に関し、さらに具体的には既知のモードであるDDDおよびAAIペーシングモード(AAIモードは延長された心房および心室間遅延を有するDDDモードである)に従って動作することができるとともにDDDからAAIペーシングモードへの自動モード切換え(AMC)を実行する“DDD−AMC”と呼ばれるモードを備えた、心房および心室に結合された刺激および検出回路を含んだ前記の機器に関する。自動モードスイッチングを示す用語“AMS”はAMCと同じ意味を有する。
【発明の背景】
【0002】
DDD/AAIペースメーカの基本動作モードはAAIペーシングモードであり、一房室心房刺激と心室活動の同期的な監視(検出)を共に有している。このAAIペーシングモードは房室伝導が正常である限り、すなわち各心房事象(心房検出あるいは自発活動に相当するP波、心房刺激、またはA波のいずれか)に対してこれに関連付けられた心室検出(自発活動またはR波)が後続している限り、維持される。
【0003】
しかしながら、特定の環境においては“発作”として知れられている房室ブロック(AVB)が発生することがあり、これは自発的な心室の脱分極につながる一時的な障害状態を含むのである。この場合、ペースメーカはこの一時的なAVB状態に対して最適化された心臓リズム管理パラメータを有するDDDペーシングモードに自動的に切換わる。AVBが消滅しかつ自発的な房室伝導が再生された後であり、また一定数の条件が満たされた際、ペースメーカは再度自動的にAAIペーシングモード(心室監視を伴う)に切換わる。
【0004】
DDDおよびAAIペーシングモード間の自動切換えのための既知のDDD−AMCシステムは、例えば欧州特許出願公開第0488904号明細書およびその対応米国特許第5318594号明細書(ELAメディカル社に通常通り付与されている)に記載されており、この米国特許第5318594号明細書の開示内容はここに全体的に参照に組み入れられている。
【0005】
この自動モード切換え装置は、一般的に心房速度の障害あるいは問題を起こしやすい信号機能障害に病んでいる患者に植込まれる。この“心房速度障害”または“TdAR”という用語は例えば頻脈、細動、粗動等の種々の心房不整脈(非生理的症状の速度増加)を広く含んでおり、高い心房速度の検出によって特徴付けられる全ての障害を示すものである。特に、検出された心房速度が許容可能な閾値レベルを越えた際にTdARであると考えることができ、この閾値レベルは生理センサによって検出される労作(Effort)の度合いに結果的に相関するものである。
【0006】
心房不整脈の出現を削減するためにペースメーカは“オーバドライブ”と呼ばれるモードを備えることができ、これは特に直ぐ下方にある自然の速度よりも僅かに高い周波数による心房刺激を保持するモードである。このオーバドライブモードは、例えば、欧州特許出願公開第0880979号明細書ならびにその対応米国特許第6078836号明細書(通常通りELAメディカル社に付与されている)に記載されている。
【0007】
本発明の出発点は、前述した2つの機能すなわちDDD−AMCおよびオーバドライブを実行することができる装置を植込まれた患者の診察時に実施される一定数の検査に関するものである。
【0008】
従って、DDD−AMCモードの刺激は正常な房室伝導を示している患者に対して提供されるものである。この刺激モードにおいて、ペースメーカは患者の自発的伝導を分析することによって刺激および検出の房室間遅延(“AVD”)を計算する。この動作によって殆どの時間において自発的な心室活動の維持が可能になる。しかしながら、この動作原理は心室検出の後約300msかつ心房刺激の後350msである最大遅延間隔に限られるものである。
【0009】
この動作モードは洞活動を示しているが洞性不整脈の発生に際して心房刺激を必要とする患者に適用され、ここで充分な数の心臓サイクル上において、(i)心室刺激が開始、すなわち心室活動が検出されないあるいは検出できないか、または(ii)合併が発生、すなわち心室刺激と同じ時間窓内において検出された自発的な心室脱分極に伴うように心室刺激が介入したかのいずれかのことが示される。これらの現象は、心室刺激が房室間伝導遅延を増大させその結果通常刺激後350msにプログラムされているAVD値を超過するために生じると考えられる。
【0010】
DDD−AMCモードを使用して心房不整脈を防止および治療するためのアルゴリズムを組み合わせることが要望される場合、心室刺激を伴ったサイクル数の顕著な増加が示される。従ってこのアルゴリズムの対象は自発的心房活動を排除し洞永続性を“オーバドライブ”することである。
【0011】
さらに、心房細動(“AF”)を防止するオーバドライブアルゴリズムの効果を最大化するためには良好な心房血流性を維持することが重要であることが知られている。しかしながら、早期心室刺激(これはAVDが短過ぎることによって生じ得る)は自発的な心室脱分極の表出を妨害し、房室間シーケンスを変化させて房室間最適性の効果を消失させ、心房が完全に充満する(または血液を放出する)ための時間が無くなる。
【発明の対象と概要】
【0012】
本発明のプロセスは既知の装置を改良して前記の問題点を解決するものであり、動作モードを最適に調整することによってDDD−AMC刺激モードを使用する心房不整脈の防止ならびに治療をより好適に結合させるものである。
【0013】
より正確には、本発明の対象は、既知のDDD−AMC刺激モード(例えば前述した欧州特許出願公開第0880979号明細書および米国特許第6078836号明細書)においてDDDおよびAAIペーシングモード間の自動切換えを可能にするがAAIペーシングモードは延長された房室間遅延を含んだDDDペーシングモードではない新規の切換え(スイッチング)モードを提案することである。本質的には、DDDペーシングモードへの切換えを最大限に遅らせるとともに予め設定されたプログラム可能な数のサイクル間心室活動の不在を許容することによって装置が可能な限り長くAAIペーシングモードを維持することが目的である。
【0014】
本発明が適用される装置の種類は、心房および心室の自発的事象を検出する手段と、心室および心房を刺激する手段と、装置をDDDペーシングモードで動作させる手段と、心室検出を伴ったAAIペーシングモードで装置を動作させる手段と、さらに予め設定された条件に応じてAAIペーシングモードからDDDペーシングモードへまたはその逆に切換えることを可能にするペーシングモード切換え用のDDD/AAI刺激モードとを備えている、特にペースメーカ、細動除去器および/または電気除細動器等の心臓リズムを管理するための能動植込み型医療装置である。これらの機能を実行するための好適な手段は既知のものであり、例えば検出回路あるいは差動増幅器ならびにパルス発生器回路等の独立アナログ回路とするか、またはA/D変換器、マイクロコントローラ/マイクロプロセッサ、メモリ、ならびに命令ソフトウェアを使用してこれらの回路をディジタル回路と組み合わせたものとすることができる。代表例的な構造が米国特許第5318594号明細書および同第6078836号明細書に記載されており、その開示はここにおいて全体的に参照に組み入れてある。
【0015】
本発明の特徴からなる方法において、モードを切換える手段は以下の条件のうちの少なくとも1つが満たされた際にAAIペーシングモードからDDDペーシングモードの方向への切換えを行うよう制御する:
1) 心室検出によって後続されない連続する心房事象の数が好適には2である第1の数を超過するか;
2) 好適には12事象からなる第3の心房事象の数にわたった監視ウィンドウ間において心室検出によって後続されない非連続の心房事象の数が好適には3である第2の数を超過するか;
3) (i)心房検出からなる事象においては少なくとも300msであり(ii)心房刺激からなる事象においては少なくとも350msである予め設定された時間間隔を越えた後に生じた心室検出によって後続される心房事象の数が好適には6である第4の数を超過するか;
4) 2つの心室事象間のインタバルが好適には3秒である予め設定された遅延を超過する。
【0016】
心房性期外収縮(“AES”)事象を検知し、上記の条件において心房事象としてカウントしないことが好適である。
【0017】
反対に、(i)好適には12サイクルである第5の数を超える連続するサイクル数にわたって自発的な心室活動の応答が検出された場合か、あるいは(ii)好適には100事象である第6の数を超える心室事象(刺激されたまたは検知された事象)の経過後に、モードの切換え手段はDDDペーシングモードからAAIペーシングモードの方向の切換えを行うよう制御する。
【0018】
好適な実施形態において、モードを切換える手段はさらに、予め設定された第1の時間間隔におけるAAIからDDDの方向への切換え数が好適には24時間中に15回である第7の数を超えた場合、あるいは第2の時間間隔における切換えの頻度が好適には3日間にわたって1日に5回である第8の数を超えた場合にモードの切換えを禁止して動作モードをDDDペーシングモードに強制するよう動作する。
【0019】
好適には、装置はさらに心室性期外収縮(“VES”)を検出する手段と心室性期外収縮が検出された際にAAIまたはDDDペーシングモードのいずれで動作しているかにかかわらず同期的な心房刺激を提供する手段とを備えている。
【0020】
本発明のその他の詳細、特徴ならびに利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する説明によって当業者において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施例に従った装置の一動作モードに対応する時間図である。
【図2】本発明の好適な実施例に従った装置の別の動作モードに対応する時間図である。
【図3】本発明の好適な実施例に従った装置のさらに別の動作モードに対応する時間図である。
【図4】本発明の好適な実施例に従った装置のさらに別の動作モードに対応する時間図である。
【図5】本発明の好適な実施例に従った装置のさらに別の動作モードに対応する時間図である。
【発明の詳細】
【0022】
本発明は、既知の二房室型マイクロプロセッサ制御式ペースメーカの制御ソフトウェアを適宜にプログラミングし、従来のDDDペーシングモードと従来のAAIペーシングモードとを統合すると同時に心室活動を監視することによって達成される。
【0023】
以下の説明においては下記の定義が使用される。
【0024】
“検出P”:心房を起源とする自発的な活動の感知であり;検出された事象に対して例えば31msである所与の遅延時間内に心室検出が後続しない場合に結果として検出Pであると考えられる。この所与の遅延特性によって事象を“ファーフィールド心室”事象として認識することが可能になり、すなわち心室から来る遠隔脱分極の結果である心房内の事象を検出する。
【0025】
“検出R”:心室を起源とする自発的活動の検出である。
【0026】
“刺激A”:心房に付加される刺激である。
【0027】
“刺激V”:心室に付加される刺激である。
【0028】
“心房事象”:検出Pまたは刺激Aの事象である。
【0029】
“心室事象”:検出Rまたは刺激Vの事象である。
【0030】
“心臓サイクル”:同一の洞室内における同様な特徴を有する2つの事象間の時間間隔であり、例えば2つの検出Pあるいは2つの刺激A間の周期である。
【0031】
“平均PP”:例えば期外収縮を含まない8個の心臓サイクル間にわたって計算される心房速度の平均インタバルである。
【0032】
“補充収縮間隔(EI)”:所与の洞室内における検出あるいは刺激後から計算したものでありその終端においてこの所与の洞室内で自発的事象が検出されない場合に刺激が付加される時間間隔である。心房については心房補充収縮間隔(AEI)とされる。
【0033】
“心房期外収縮(AES)”:心房後心房不応期(“PAARP”)内に生じた心房検出であり、PAARPの計算は標準的なDDDタイプペースメーカに対するものとする。
【0034】
“心室期外収縮(VES)”:心室検出あるいは刺激が先行しているとともに連結間隔(R−R間隔またはV−R間隔)が例えば平均PPの75%である予めプログラムされた値と等しいかそれより小さい場合に心室検出はVESである。
【0035】
期外収縮の検出および治療のその他の詳細は欧州特許出願公開第0550342号明細書およびその対応米国特許第531245号明細書(ELAメディカル社に通常通り付与されている)に記載されており、これには非同期的な心房刺激および制御された心室刺激によってVESを検出および治療するために適したアルゴリズムが記載されている。
【0036】
本発明を実施するために、一般的にデュアルチャンバペースメーカに備えられている一定数の機能が存在する場合、それらはそのまま保持され:すなわち、ペーシング(刺激)アルゴリズム、フォールバックアルゴリズム、いわゆるペースメーカ介在(PMT)あるいは再入頻脈を防止するアルゴリズムが保持され、またPAARP周期を計算および適用することを可能にするアルゴリズムならびにVESが疑われる際の逆行状態を防止するアルゴリズムが保持される。
【0037】
上記の背景から本発明を以下に記す方式で実行される好適な実施例に従って説明する。
【0038】
まず、ペースメーカは心室活動の監視を伴ったAAIペーシングモードで動作しており(図1の時間図参照)、すなわち心房検出(検出P)あるいは心房刺激(刺激A)はAVD遅延を開始させず、代わりに心房補充収縮間隔AEIを開始させる。
【0039】
このAAIペーシングモードにおいて、所与のサイクル数N1の間は心室刺激の付加を起動することなく心室活動の欠如が許容される。この所与の数N1はプログラム可能とすることが好適であり、例えばN1=2サイクル(図3の時間図の左側部分に示されている特定の状態)とされる。
【0040】
心室検出が生じた場合、この検出は通常心房検出の欠如が疑われている場合を除いてAEIに対して影響を与えない。
【0041】
この心房検出の欠如の疑いのケースが図2の時間図に示されている。図2に示された状況は心房検出Pが先行していない心室検出R(点線で示されている)のものであり、速度の増加は存在していない。連結インタバル(インタバルR−R)が予め設定された閾値を横断する際に速度の増加が検出される。この場合、アルゴリズムはVESではなく(その場合速度の増加が見られるため)むしろ心房検出の欠陥であるということを推測し、AEI−平均AVDに等しい値を有する心房補充収縮間隔を開始させる。
【0042】
前述したように、AAIペーシングモードも心室活動の監視を有するものである。加えて、アルゴリズムは心室事象の存在あるいは不在を検出し、後者の場合AVBの疑いを持ちそれによって必要であれば房室間結合、すなわちAVDの計算および適用を伴ったダブルチャンバ刺激DDDペーシングモードに切換わる。このモード切換えの状態は図3の時間図に相当する。
【0043】
AAIからDDDへのモード切換えを開始するために使用される4つの要件は:
1) 連続するブロックされた心房事象の数(すなわち心室検出によって後続されない心房事象の数)がプログラム可能な許容数N1(例えばN1=2)より多くなるか;
2) 例えばN3=12事象である、N3個の心房事象からなる監視ウィンドウ中においてブロックされた心房事象の数がプログラム可能な許容数N2(例えばN2=3)より大きくなるか(この状態は特に図4の時間図に示されている);
3) 例えば300msからなるプログラム可能な異常遅延の経過後に心室検出によって後続される心房事象の数が例えばN4=6事象のプログラム可能な許容数N4より大きくなるか;
4) または、心室休止(すなわち2つの心室事象間の間隔)が例えば3秒であるプログラム可能な許容遅延を超えることである。
【0044】
これらの要件が存在する場合、装置は心室監視を伴ったAAIペーシングモードからAVDを伴ったDDDペーシングモードに切換わる。AVDの数値は医師によって予めプログラムされるものか、またはアルゴリズムによって自動的に計算されるもののいずれかとされる(この点に関しては前述した欧州特許出願公開第0488904号明細書および米国特許第5318594号明細書を参照することができる)。AVDはAESでない全ての心房事象について能動化され、DDDペーシングモードは例えばN5=12サイクルのプログラム可能な連続するサイクル数N5にわたって自発的な心室活動が復旧するまで、または例えばN6=100であるプログラム可能な最大心室事象数N6が経過するまで継続する。
【0045】
その後装置はDDDからAAIに切換わり、前述したAAIからDDDへの切換え要件のいずれも成立しない限りAAIペーシングモードを維持する。
【0046】
好適な実施例において、所与の時間周期にわたるAAIからDDDへの連続する切換え数の限度を設けることが好適である。例えば、:(i)24時間の間に切換えの数が例えばN7=15回であるプログラム可能な最大回数を超過するか;または(ii)切換え数がそれぞれ24時間内に例えばN8=5回であるプログラム可能な日毎の最大回数を3日間連続で超過した場合、装置は製造時あるいは植込み時にプログラムされたAVD数値を伴ったDDDペーシングモードに完全に切換わり、後に医師によって再プログラムされるまでDDDを維持する。
【0047】
さらに別の好適な実施例において、アルゴリズムはさらにVESを管理し:VESが検出された場合、ペースメーカがDDDペーシングモードであるかAAIペーシングモードであるかにかかわらず装置は同期的な心房刺激を付加する。この最後の状態は特に図5の時間図に示されている。
【0048】
本発明を適用するために適した装置には、例えば、フランス国モントローグのELAメディカル社製の細動除去器DefenderTMおよびAltoTMならびにペースメーカTalentTMおよびSymphonyTMが含まれる。これらの装置は、検出された電気信号を受信、調整、および処理する回路を有するマイクロプロセッサに基づいたシステムであるとともに、ソフトウェア命令を遠隔で受信するとともにそれらをメモリ内に記録し、本発明を実施する際に前述した機能を実行するためにこの命令を実行することができる。前述した本発明の機能を実施する植込み型装置を制御するための好適な命令の要件は、当業者において周知のものである。検出回路は心房および心室の心臓信号を検出するために使用される左および/または右の所要の心臓房室内のリード線に接続するための入力を備え、またパルス発生回路はリード線を介して心臓房室に低エネルギー刺激パルスを付加するために使用される出力を有し、これらは既知のものであるとともに任意の好適な設計で実施することができる。
【0049】
当業者においては前述した実施例は単に説明の目的のものであり、本発明はこれに限定されることはなく、前述した実施例以外の適用形態も可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房および心室の自発的事象を検出する手段と;
検出された自発的心房事象をカウントする手段と;
心室および心房を刺激する手段と;
装置をDDDペーシングモードで動作させる手段と;
心室検出を伴ったAAIペーシングモードで装置を動作させる手段と;
予め設定された条件に応じてAAIペーシングモードとDDDペーシングモードとの間でモードを切換える手段であって、前記モード切換え手段が:
a) 検出された自発的心室事象によって後続されない、連続する検出された心房事象の第1のカウント数が第1の数(N1)より大きくなるか;
b) 検出された自発的心室事象によって後続されない、検出された心房事象の第2のカウント数が第2の数(N2)より大きくなり、前記第2のカウント数は第3の数(N3)の検出された心房事象を含んだ監視ウィンドウ中にカウントされるか;
c) 第1の持続時間より大きい遅延の後に生じる検出された自発的心室事象によって後続される、検出された心房事象の第3のカウント数が第4の数(N4)より大きくなるか;
d) 2つの検出された心室事象を隔てるインタバルが第2の持続時間より大きくなるか;
の条件を監視する手段をさらに含んでなる手段と;そして
心房性期外収縮を検出する手段とをさらに備え、この検出された心房性期外収縮は検出された心房事象としてカウントせず、
前記モード切換え手段は、前記条件のうちいずれか1つが満たされた際にAAIペーシングモードからDDDペーシングモードへの切換えを行うことをさらに含む、
心臓リズムを管理するための能動植込み型医療装置において、
第1の数(N1)は2からなり、
第2の数(N2)は3からなるとともに第3の数(N3)は12からなり、
第4の数(N4)は6からなり、心房事象と、連続する心室検出とを隔てる第1の持続時間は心房検出に対して少なくとも300msであり心房刺激に対しては少なくとも350msである
心臓リズムを管理するための能動植込み型医療装置。
【請求項2】
第2の持続時間は3秒からなる請求項1記載の装置。
【請求項3】
モード切換え手段は所定の数の連続するサイクル間にわたって自発的な心室活動が検出されたことに応答してDDDペーシングモードからAAIペーシングモードに切換える手段をさらに備え、前記所定の数は第5の数(N5)より大きいことからなる請求項1記載の装置。
【請求項4】
第5の数(N5)は12である請求項記載の装置。
【請求項5】
モード切換え手段は検出された心室事象の数が第6の数(N6)を超えたことに応答してDDDペーシングモードからAAIペーシングモードに切換える手段をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項6】
第6の数(N6)は100からなる請求項記載の装置。
【請求項7】
モード切換え手段は第3の持続時間中においてAAIからDDDへの切換え数が第7の数(N7)より大きくなったことに応答してモード切換えを禁止し動作モードをDDDペーシングモードに強制する手段をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項8】
第7の数(N7)は15からなり、第3の持続時間は24時間からなる請求項記載の装置。
【請求項9】
モード切換え手段は第3の持続時間中において1日当たりのAAIからDDDへの切換え数が第8の予め設定された数(N8)より大きくなった際にいずれのモード切換えも禁止して動作モードをDDDペーシングモードに強制する手段をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項10】
第8の数(N8)は1日当たり5回の切換えからなり、第3の持続時間は3日間からなる請求項記載の装置。
【請求項11】
心室性期外収縮を検出する手段と、検出された心室性期外収縮に応答して同期的な心房刺激を付加する手段とをさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項12】
自発的な心房および心室事象に相当する信号を受信するための入力と前記入力信号内における自発的な心房事象と心室事象と心房性期外収縮とを識別する出力とを有する検出回路と;
検出された自発的な心房事象のカウンタと;
心房および心室に対して低出力の刺激パルスを選択的に付加することができる刺激回路からなるパルス発生器とを備え、前記刺激回路は刺激された心房事象と刺激された心室事象のうちの1つとして刺激パルスを識別する出力を有し、前記パルス発生器は前記検出回路に応答し得るものであるとともにマイクロプロセッサとメモリとソフトウェア命令とからなる制御回路を有し、これが:
DDDペーシングモードと、
自発的な心室検出を伴ったAAIペーシングモードと、
DDD/AAI刺激モードとを実行し、前記DDD/AAI刺激モードは:
a) 検出された自発的心室事象によって後続されない、連続する検出された心房事象の第1のカウント数が第1の数(N1)より大きくなるか;
b) 検出された自発的心室事象によって後続されない、検出された心房事象の第2のカウント数が第2の数(N2)より大きくなり、前記第2のカウント数は第3の数(N3)の検出された心房事象を含んだ監視ウィンドウ中にカウントされるか;
c) 第1の持続時間より大きい遅延の後に生じた検出された自発的心室事象によって後続される、検出された心房事象の第3のカウント数が第4の数(N4)より大きくなるか;
d) 2つの検出された心室事象を隔てるインタバルが第2の持続時間より大きくなるか;
の条件を監視するDDD/AAI刺激モードとを含み、
検出された自発的期外収縮は心房事象としてカウントされず、
前記DDD/AAI刺激モードは、前記の条件のうちいずれか1つが満たされたことに応答して前記AAIペーシングモードからDDDペーシングモードへの切換えを行うことをさらに含む、
心臓リズムを管理するための能動植込み型医療装置において
第1の数(N1)は2からなり、
第2の数(N2)は3からなるとともに第3の数(N3)は12からなり、
第4の数(N4)は6からなり、心房事象と、連続する心室検出とを隔てる第1の持続時間は自発的心房事象に対して少なくとも300msであり刺激された心房事象に対しては少なくとも350msである、
心臓リズムを管理するための能動植込み型医療装置。
【請求項13】
第2の持続時間は3秒からなる請求項12記載の装置。
【請求項14】
自発的心室事象のカウンタをさらに備え、DDD/AAI刺激モードは所定の数の連続するサイクル間にわたって自発的な心室活動が検出されたことに応答してDDDペーシングモードからAAIペーシングモードに切換わり、前記所定の数は第5の数(N5)より大きいことからなる請求項12記載の装置。
【請求項15】
第5の数(N5)は12である請求項14記載の装置。
【請求項16】
自発的心室事象のカウンタをさらに備え、DDD/AAI刺激モードは検出された心室事象の数が第6の数(N6)を超えたことに応答してDDDペーシングモードからAAIペーシングモードに切換わる請求項12記載の装置。
【請求項17】
第6の数(N6)は100からなる請求項16記載の装置。
【請求項18】
DDD/AAI刺激モードは第3の持続時間中においてAAIからDDDへの切換え数が第7の数(N7)より大きくなったことに応答してDDDペーシングモードに戻る請求項12記載の装置。
【請求項19】
第7の数(N7)は15からなり、第3の持続時間は24時間からなる請求項18記載の装置。
【請求項20】
DDD/AAI刺激モードは第3の持続時間中において1日当たりのAAIからDDDへの切換え数が第8の予め設定された数(N8)より大きくなった際にDDDペーシングモードに戻る請求項12記載の装置。
【請求項21】
第8の数(N8)は1日当たり5回の切換えからなり、第3の持続時間は3日間からなる請求項20記載の装置。
【請求項22】
心室性期外収縮を検出する手段と、検出された心室性期外収縮に応答して同期的な心房刺激を付加する手段とをさらに備える請求項12記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−75713(P2010−75713A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260534(P2009−260534)
【出願日】平成21年11月14日(2009.11.14)
【分割の表示】特願2003−81638(P2003−81638)の分割
【原出願日】平成15年3月24日(2003.3.24)
【出願人】(594199522)エエルア メディカル ソシエテ アノニム (5)
【Fターム(参考)】