説明

ペーパーロール収納材及びペーパーロール包装品

【課題】見栄えが良く、使用後に紙ゴミとならず、更には、無香料のトイレットペーパーに後付で賦香することができる、機能性と美観を兼ね備えたペーパーロール包装品を提供する。
【解決手段】ペーパーロールの収納材に香料を塗布した水分散性の包装紙を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔らかい紙をロール状に巻いたトイレットペーパーなどのペーパーロールを外部から見えないように包装する収納材、及び該収納材にペーパーロールを収納した、機能性と美観を兼ね備えたペーパーロール包装品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパーなどのペーパーロールの包装品としては、複数のペーパーロールを積層しプラスチック包装などでパッケージするものが一般的であるが、そのままでは見栄えが良くなく、収納庫などの、普段目に入らないところに保管されているものである。そこで、見栄えを良くするために外部からペーパーロールが見えないように収納する紙製の容器が提唱されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。これらの紙製の容器にペーパーロールを収納することで見栄えは良くなるものの、経時的に紙製の容器が劣化すると紙ゴミとして廃棄するしかないという問題点がある。
【0003】
更には、トイレットペーパーなどに元々香料が付与された、トイレットペーパーの芯となる紙管に香料を付与する方法に工夫を凝らしたものとして、ロール式トイレットペーパー用紙管において、一定粘度を有する接着剤に対して、香料を含有させた香料入りロール式トイレットペーパー用紙管(特許文献4)などがある。更には、トイレットペーパーなどの紙製品について、様々な香料が付与された市販品が上市されているが、無香料のトイレットペーパーに後付で手軽にかつスマートに賦香させたいという要望がある。
【0004】
【特許文献1】実開昭61−32015号公報
【特許文献2】実公昭61−7146号公報
【特許文献3】特開平8−230871号公報
【特許文献4】特開平11−197054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、トイレットペーパーなどのペーパーロールの包装品に関し、見栄えが良く、使用後に紙ゴミとならず、更には、無香料のトイレットペーパーに後付で賦香することができる機能性と美観を兼ね備えたペーパーロール包装品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、ペーパーロールの包装品に関し、鋭意検討を重ねた結果、ペーパーロールを収納する収納材を香料を塗布した水分散性の包装紙により製造することにより、見栄えが良く、使用後に紙ゴミとならず、更には無香料のトイレットペーパーに後付で賦香することができることを見出した。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、トイレットペーパーなどのペーパーロールの包装品について、見栄えが良く、使用後に紙ゴミとならず、更には無香料のトイレットペーパーに後付で賦香することができる、機能性と美観を兼ね備えたペーパーロールの収納材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で使用する香料は、香りの持続性があり、嗜好性の高い香料が好ましい。具体的には、ローズ、ラベンダー、ジャスミン等のフローラル系香料、ピーチ、アップル、マンゴー、グレープ等のフルーツ系香料、セダーウッド、サンダルウッド、ヒノキ、グアイヤックウッド等のウッディ系香料、レモン、ユズ、ライム等のシトラス系香料を挙げることができる。これらは天然からの抽出・精製したもの単品を利用しても良いし、これら香料を複数種類混合したものを使用しても良い。また、持続性、嗜好性の向上の為に、合成により得られる香気成分を含有していてもよい。更には、香りに多様性をもたせるために、複数の異なる香りをブレンドした調合香料を使用しても良い。
【0009】
更には、香料成分に加えて、ローズマリー、ヒマワリ種子、コーヒー、ブドウ果皮、ブドウ種子、リンゴ、トウモロコシ、茶などの天然由来の抽出物で消臭効果を有する素材や、両面界面活性剤系消臭剤、ミネラル系消臭剤などの合成系の消臭剤や、除菌剤、防腐剤、防かび剤などを適宜添加しても良い。また、香料を溶解する溶媒としては、アルコール類など公知のものを使用することができる。
【0010】
香料の包装紙への着香方法は従来公知の方法を用いることができ、香料を含む溶液を包装紙に塗布、散布(スプレー)する方法や、香料を更にマイクロカプセル化し香料内包マイクロカプセルとして、包装紙に塗布する方法を挙げることができる。
【0011】
水分散性の包装紙に用いられる紙素材としては、水洗トイレに流せるような水分散性紙であり、水中でトイレットペーパーと同程度の水分散性を示す素材であれば特に限定されない。例えば、水分散性繊維で製造された素材を使用することが出来る。水分散性繊維としては、水中において繊維がそれぞれ独立した形態を保ったままバラバラに分散するものであればよく、好ましくは、水中でバクテリアにより分解される水分散性繊維を使用することが好ましい。
【0012】
具体的には、レーヨン、アセテートなどの再生化学繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維やそれらを組みあわせた合成複合繊維、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ、マニラ麻、リンダーパルプ、竹パルプなどの天然繊維などを挙げることができる。
【0013】
更には、上記水分散性繊維に加えて、水溶性高分子を併用してもよい。水溶性高分子としては、ガラクトマンナン類(カシアガム、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム等)、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガントガム、グルコマンナン、ペクチン、カラギナン、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、マクロホモプシスガム、カードラン、デキストラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、微小繊維状セルロース、発酵セルロース、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、ゼラチンなどから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
【0014】
当該包装紙に使用される紙素材の製造方法としては、従来公知の方法を用いればよいが、一般的には通常行われている湿式抄紙法や乾式抄紙法が採られる。又、本発明において、当該包装紙に使用される紙素材は、市販されている水分散性紙を適宜用いることができる。
【0015】
更に、本発明で使用する水分散性の包装紙には、更に視覚的に美しい外観を付与するために、印刷や型押しなどが施されてもよい。印刷インクは、水滴や湿気により印刷図柄が汚損されず、且つ水洗トイレなどに投棄した場合にインクの溶出による便器の汚染を避けるために、油性インクや水性耐性インクを使用することが好ましい。
【0016】
本発明では前述の包装紙から、トイレットペーパー等のペーパーロール収納材を製造するが、収納材の形態としては、単にペーパーロールを被覆する包装紙としての使用形態、包装紙を箱状に組み立てた形状として用いる包装箱としての使用形態、包装紙をトイレットペーパーのホルダーとしても使用可能な形状として用いるホルダーとしての使用形態などを挙げることができる。
【0017】
上記収納材にトイレットペーパーなどのペーパーロールを収納することで、外観上の見栄えが良く、しかも、使用後にトイレに流すことができるため紙ゴミとならず、更には、無香料のトイレットペーパーに後付で賦香することができるペーパーロール包装品を安価に提供することができる。
【0018】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
調製例1
水分散性繊維として、針葉樹パルプを原料繊維として用い湿式抄紙法により水分散性紙を製造した。この水分散性紙に下記表1に掲げる処方の香料を塗布して、香料を塗布した水分散性の包装紙を製造した。
【0020】
【表1】

【0021】
実施例1
調製例1で製造した当該包装紙を、ペーパーロールの側面部を覆うことのできる大きさに裁断して、ペーパーロールの収納材を製造した。当該収納材にて無着香のトイレットペーパーの側面を覆い、ペーパーロール包装品(1)を作成した(図1)。得られた包装品はそのままトイレにおいてもインテリアとしての美観を有し、また、トイレットペーパーホルダーなどにも美しく収納することができる。更には、無着香のトイレットペーパーに好ましい香りを賦香させることができた。そして、当該収納材が経時的に香気の発散が感じられなくなった際には、当該収納材に使用された包装紙を便器の清掃に用いた後、そのままトイレに流すことができる。
【0022】
実施例2
調製例1で製造した当該包装紙を図2のように成型し、図3のように組み立てて、六角柱のペーパーロールの収納材を製造した(図3)。得られたペーパーロール収納材に、無着香のトイレットペーパーを収納したペーパーロール包装品を製造した。得られた包装品はそのままトイレにおいてもインテリアとしての美観を有し、更には、内包した無着香のトイレットペーパーに好ましい香りを賦香させることができた。そして、当該収納材が経時的に香気の発散が感じられなくなった際には、当該収納材に使用された包装紙を便器の清掃に用いた後、そのままトイレに流すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明により、見栄えが良く、使用後に紙ゴミとならず、更には、無香料のトイレットペーパーに後付で賦香することができる、機能性と美観を兼ね備えたペーパーロール包装品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1にて製造したペーパーロールの収納材を用いてトイレットペーパーを包装したペーパーロール包装品の斜視図である。
【図2】実施例2にて製造した当該包装紙を用いて製造した、図3の六角柱のペーパーロール収納材を作成する際の平面図である。図2において、3ののりしろ接合部と4ののりしろ部とを接着し、実線部分を山折りに、点線部分を谷折りにして収納材を作成する。
【図3】実施例2にて製造したペーパーロールの収納材の斜視図である。中にトイレットペーパーなどのペーパーロールを内包させることで、ペーパーロール包装品となる。
【符号の説明】
【0025】
1・・・トイレットペーパー
2・・・ペーパーロール収納材
3・・・のりしろ接合部
4・・・のりしろ部
5・・・ペーパーロール収納材
6・・・トイレットペーパー(内包)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料を塗布した水分散性の包装紙からなる、ペーパーロールの収納材。
【請求項2】
請求項1に記載のペーパーロールの収納材にペーパーロールを収納したペーパーロール包装品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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