説明

ホイールクレーン

【課題】カウンタウエイトを脱着する場合にカウンタウエイト脱着装置や補助クレーンを用いる必要をなくす。
【解決手段】ホイールクレーン1は、ホイール32が取り付けられたホイール走行式の下部本体30と、下部本体30に取り付けられた上部旋回体10と、上部旋回体10に取り付けられたジブ25と、を備えている。上部旋回体10は、上部旋回体本体11と、上部旋回体本体11に固定されているとともに少なくともクレーン作業に用いられる操縦室14と、上部旋回体本体11に搭載されているとともにクレーン作業および走行に供される原動機15と、を備えている。下部本体30は、後端部上面31に載せられたカウンタウエイト35を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンタウエイトを備えたホイールクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりカウンタウエイトを備えたホイールクレーンが知られている。ホイールクレーンの安定能力を全周(前方〜側方〜後方)にわたり効率良く上げるために、上部旋回体の後端部にカウンタウエイトが搭載されることが多い。カウンタウエイトを備えたホイールクレーンとして以下のものが知られている。
【0003】
最大定格総荷重が70t以下のクラスのホイールクレーンは、上部旋回体の後端部にカウンタウエイトがボルト等で固定されているものが多い。このクラスのホイールクレーンは、上部旋回体にカウンタウエイトが取り付けられた状態で公道を走行できる。
【0004】
一方で最大定格総荷重が70tを越えるクラスのホイールクレーンは、上部旋回体にカウンタウエイトが取り付けられた状態では、法規上公道走行できる車両総重量を越えてしまう。よって公道走行時にはカウンタウエイトが上部旋回体から取り外される。このカウンタウエイトの脱着には補助クレーンが用いられる場合がある。また、カウンタウエイトを自力(自動)で脱着できる装置を備えたものもある。
【0005】
また、下部本体のアウトリガビーム(図3に示すビーム33bを参照)の上にカウンタウエイト(エクストラウエイト)を取り付けたものもある。
【0006】
また、特許文献1に示すように、エンジン(原動機)が下部本体の後端部に搭載されているホイールクレーンもある。このようなホイールクレーンでは、下部本体の後端部上面(図1に示す後端部上面31を参照)からエンジンおよびエンジンフードが大きく上方に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−231087号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したホイールクレーンには次の課題がある。
【0009】
上部旋回体の後端部にカウンタウエイトが取り付けられている(後方に突き出ている)ホイールクレーンでは、上部旋回体の後端の旋回半径が大きい。よって、このカウンタウエイトにより狭所でのクレーンの作業性を損なう。
【0010】
カウンタウエイトの脱着に補助クレーンを用いる場合、この補助クレーンを輸送する必要があり、輸送コストがかかる。また補助クレーンを用いるための準備に時間がかかる。
【0011】
上部旋回体にカウンタウエイト脱着装置を設けたホイールクレーンには次の問題がある。
カウンタウエイト脱着装置は、構造が複雑で高価である。
また、カウンタウエイト脱着装置および同装置を取り付けている上部旋回体のフレームにはカウンタウエイトを支える強度を持たせる必要がある。そのため、カウンタウエイト脱着装置を設ける場合は相当の重量増を伴う。その結果、カウンタウエイト脱着装置を備えたホイールクレーンは公道走行時の車両総重量が大きい。
また、カウンタウエイト脱着装置を用いるための準備に時間がかかる。
【0012】
アウトリガビームの上にカウンタウエイト(エキストラウエイト)を取り付けたホイールクレーンでは、構内移動(公道以外の場所での移動)の際に、ホイールクレーンを移動させるたびにアウトリガビームからカウンタウエイトを下ろす必要があり、使い勝手が非常に悪い。
【0013】
エンジンが下部本体の後端部に搭載されたホイールクレーンでは、下部本体の後端部上面(図1に示す後端部上面31を参照)からエンジンおよびエンジンフードが大きく上方に突出している。仮に、このエンジンフードの上にカウンタウエイトを載せるとすると、クレーン作業時の視界が悪化する。さらに、ジブ倒伏姿勢で上部旋回体を旋回させると、ジブやジブシリンダ(ジブを起伏させるシリンダ)とカウンタウエイトとが干渉する場合がある。このため、エンジンフードの上にカウンタウエイトを載せた機械は従来にはなかった。
【0014】
本発明の目的は、カウンタウエイトを脱着する場合にカウンタウエイト脱着装置や補助クレーンを用いる必要がなく、狭所でのクレーンの作業性を向上でき、構内移動の際にカウンタウエイトを取り外す必要がなく、後方の視界が大きく悪化することがなく、ジブ倒伏姿勢で上部旋回体を旋回させてもジブ等と干渉する場合が少ないホイールクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るホイールクレーンは、ホイールが取り付けられたホイール走行式の下部本体と、前記下部本体に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたジブと、を備えている。前記上部旋回体は、上部旋回体本体と、前記上部旋回体本体に固定されているとともに少なくともクレーン作業に用いられる操縦室と、前記上部旋回体本体に搭載されているとともにクレーン作業および走行に供される原動機と、を備えている。前記下部本体は、後端部上面に載せられたカウンタウエイトを備えている。
【0016】
上部旋回体の後端部にカウンタウエイトが取り付けられたホイールクレーンでは、上部旋回体に取り付けられたジブを用いて、カウンタウエイトの脱着を行うことはできない。一方で、本発明に係るホイールクレーンではカウンタウエイトが下部本体に載せられる。よって、このカウンタウエイトの脱着を上部旋回体に取り付けられたジブで(自力で)行うことができる。したがって、カウンタウエイトを脱着する場合に、カウンタウエイト脱着装置や補助クレーンを用いる必要がない。
カウンタウエイト脱着装置を用いる必要がないので、カウンタウエイト脱着のためにホイールクレーンの重量を増す必要が全くなく、ホイールクレーンを軽量にできる。また、補助クレーンを用いる必要がないので、ホイールクレーンを輸送する際に補助クレーンを輸送する必要がなく、ホイールクレーンの輸送が容易である。
また、カウンタウエイト脱着装置や補助クレーンを用いる場合に比べ、カウンタウエイトの脱着が安易である(カウンタウエイトをジブで吊上げて下部本体に載せるのみ、またはカウンタウエイトをジブで吊上げて下部本体から降ろすのみで、カウンタウエイトの脱着ができる)。
また、補助クレーンやカウンタウエイト脱着装置を用いるための準備時間が不要である。
【0017】
また、このホイールクレーンではカウンタウエイトが下部本体に載せられているので、上部旋回体の後端部にカウンタウエイトを取り付ける必要がない。よって、上部旋回体の後端部にカウンタウエイトを取り付ける場合に比べて、上部旋回体の後端部の旋回半径を小さくできる。したがって、狭所でのクレーンの作業性を向上できる。
【0018】
また、このホイールクレーンではカウンタウエイトが下部本体に載せられているので、カウンタウエイトをアウトリガに取り付ける必要がない。したがって、ホイールクレーンを構内移動(公道以外の場所での移動)させる際にカウンタウエイトを取り外す必要がなく、カウンタウエイトを取り外す場合に比べて構内移動が容易である。
【0019】
下部本体の後端部に原動機を取り付け、この原動機の上にカウンタウエイトを載せた場合、後方の視界(下部本体の後方側を操縦室から見たときの視界)は大きく悪化する。さらに、ジブ倒伏姿勢で上部旋回体を旋回させると、ジブやジブシリンダとカウンタウエイトとが干渉しやすい。一方でこのホイールクレーンでは、クレーン作業および走行に供される原動機が上部旋回体の上部旋回体本体に搭載される。すなわち下部本体の後端部に原動機を取り付ける必要がない。したがって、ホイールクレーンの後方の視界の悪化が少なく、さらに、上記の干渉が生じる場合が少ない。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明に述べたように、本発明は特に下部本体の後端部上面にカウンタウエイトが載せられた構成により、カウンタウエイトを脱着する場合にカウンタウエイト脱着装置や補助クレーンを用いる必要がなく、狭所でのクレーンの作業性を向上でき、構内移動の際にカウンタウエイトを取り外す必要がなく、後方の視界が大きく悪化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ホイールクレーンの側面図である。
【図2】ホイールクレーンの平面図である。
【図3】ホイールクレーンを後方側から見た図である。
【図4】ホイールクレーンの模式図であり平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るホイールクレーンの実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、ホイールクレーンの側面図であり、図2および図3に示す矢印F1の向きに見た図である。図2はホイールクレーンの平面図であり、図1および図3に示す矢印F2の向きに見た図である。図3はホイールクレーンを後方側から見た図であり、図1および図2に示す矢印F3の向きに見た図である。以下、図1〜図3を参照してホイールクレーン1の構成について詳細に説明する。
【0024】
ホイールクレーン1は、図1に示すように、ホイール走行式の移動式クレーンであり、ラフテレーンクレーンである。このホイールクレーン1は、ホイール32が取り付けられた下部本体30と、旋回ベアリング21を介して下部本体30に取り付けられた上部旋回体10と、上部旋回体の上方側に取り付けられたジブ25とを備える。また、下部本体30の後端部上面31にはカウンタウエイト35が載せられる。
【0025】
上部旋回体10は、下部本体30の上方側に旋回ベアリング21を介して取り付けられ、下部本体30に対して旋回可能である。この上部旋回体10は、旋回ベアリング21に取り付けられた上部旋回体本体11と、上部旋回体本体11に固定された操縦室14と、上部旋回体本体11に搭載された原動機15とを備える。
【0026】
上部旋回体本体11は上部旋回体10の本体部分である。この上部旋回体本体11は、下面に旋回ベアリング21が取り付けられる。また、前端部に操縦室14が取り付けられ、後端部付近に原動機15が搭載される。
【0027】
操縦室14は、上部旋回体本体11に固定されているとともに、少なくともクレーン作業時(後述)に用いられる部分である。なお、この操縦室14は走行時(後述)にも使用される。また、この操縦室14は例えば、上部旋回体本体11の前端部分や、旋回ベアリング21の近傍に配置される。
【0028】
原動機15は、上部旋回体本体11に搭載されているとともに、クレーン作業および走行に供される。この原動機15は、例えば上部旋回体本体11の後端部付近に搭載される。そして、下部本体30の後端部には原動機15は搭載されない。
【0029】
ジブ25は、上部旋回体10に取り付けられた、棒状で箱型(伸縮式)の部材である。このジブ25は、上部旋回体10(下部本体30及び地面)に対して起伏可能である。ジブ25の軸方向は上部旋回体10の前後方向に沿って配置される。ジブ25の基端部25fは上部旋回体10の後方部付近に取り付けられる。ジブ25の先端部25hには、ワイヤロープを介してフック26が吊り下げられ、このフック26に吊荷(図示なし)が吊られる。
【0030】
下部本体30は、ホイール32が取り付けられ、ホイールクレーン1の走行に供する部分(キャリア)である。この下部本体30には、上部旋回体10が上方側に取り付けられる。またこの下部本体30は、4軸のホイール32を備えるため縦長である(図2に示すように、前後方向に長い)。また、図1に示すように、上述したように上部旋回体10に原動機15が搭載され、下部本体30の後端には原動機15が搭載されないので、下部本体30の後端部上面31は平面状である。また、下部本体30は、ホイール32に加えて、前端部及び後端部にアウトリガ33、および、後端部にカウンタウエイト35を備える。
【0031】
ホイール32は、ホイールクレーン1の走行に供する車輪である。下部本体30は4軸(合計8個)のホイール32を備える。
【0032】
アウトリガ33は、クレーン作業時の左右方向の安定性を向上させる部分である。このアウトリガ33は、図2に示すように、下部本体30を上から見たときの四隅に配置される。具体的には、下部本体30の前端部の右端、前端部の左端、後端部の右端、および後端部の左端に、アウトリガ33FR、33FL、33RR、及び33RLが配置される。また4つのアウトリガ33はそれぞれ、図3に示すように、下部本体30から左右方向外側にビーム33bが張り出し、ビーム33bの先端に取り付けられたシリンダ部33sの先端(下端)が接地し、ホイール32を地面から浮かせる。またビーム33bが左右方向外側へ張り出す量は様々に変更可能である(図3において二点鎖線で様々な張り出し量のアウトリガ33を示す)。
また、図1に示すように、ホイール32の軸が4軸あるため、図2に示すように、ホイールクレーン1の車長は前後方向に長い。その結果アウトリガ33の支点位置も前後方向に長い。すなわち図2に示すように、下部本体30を上から見たとき、4つのシリンダ部33sを頂点とする四角形は、前後方向に長手方向を有する長方形である)。よって、アウトリガ33の全張時(図3において実線で示す状態)でも、クレーン安定能力は左右方向より前後方向の方が大きくなっている。
【0033】
カウンタウエイト35は、吊荷を吊ったときにホイールクレーン1が前方側に倒れようとするのを抑制するために設けられる。このカウンタウエイト35は、図1および図2に示すように、下部本体30の後端部上面31に載せられる。また、図1に示すように、上部旋回体10の後端と干渉しない位置、すなわち上部旋回体10が旋回したときに上部旋回体10とカウンタウエイト35とが衝突しない位置に配置される。また、カウンタウエイト35の高さは、操縦室14からの視界(上部旋回体10が旋回して操縦室14の正面がホイールクレーン1の後方側を向いたときの、この操縦室14からの視界)を確保できる高さとすることが好ましい。さらに、ジブ25を倒伏させた姿勢で上部旋回体10を旋回させたときに、ジブ25や図示しないジブシリンダ(ジブ25を起伏させるためにジブ25に取り付けられているシリンダ)とカウンタウエイト35とが干渉しない高さとすることが好ましい。具体的にはこの高さは、原動機15が下部本体30に搭載されている従来のホイールクレーン(図示なし)のエンジンフードの高さと同程度の高さに抑えることが好ましい。
【0034】
また、カウンタウエイト35は下部本体30の後端部上面31から取り外し可能である。カウンタウエイト35が下部本体30に取り付けられた状態でホイールクレーン1が法規上公道走行可能な重量を超える場合は、カウンタウエイト35を取り外す。そしてカウンタウエイト35と、カウンタウエイト35を取り外した状態のホイールクレーン1(法規上公道走行可能な重量である)とを別個に輸送する。
なお、ホイールクレーン1のようなクラスのクレーン車は法規で前後に誘導車(図示なし)を付けて公道走行することになっている。そこで、これらの誘導車でカウンタウエイト35を運ぶ。これにより、カウンタウエイト35を下部本体30から取り外して別送する場合でも、実質的には輸送性の悪化にならない(カウンタウエイト35を取り外さず、かつ、前後に誘導車を付けて公道走行する場合と比べて、必要な車両数が等しい)。
【0035】
また、カウンタウエイト35の下部本体30への取り付けは次のように行われる。まず、ジブ25の先端部25hから吊り下げられたフック26でカウンタウエイト35を吊り上げる。次に、このカウンタウエイト35を下部本体30の後端部上面31に載せる。なお、カウンタウエイト35を例えばボルト等で後端部上面31に固定しても良い。このように、カウンタウエイト35の下部本体30への取り付けには、補助クレーン、カウンタウエイト取付装置、その他カウンタウエイト35の取り付けのための機械を別途用いる必要はなく、これらの機械を別送する必要もない。
【0036】
また、カウンタウエイト35の重量、および、アウトリガ33の張り出し量を調整することにより、ホイールクレーン1の安定性を様々に設定できる。
【0037】
図4にホイールクレーン1を上から見た模式図を示す。下部本体30の左右方向の中央を通る中心線Cとアウトリガ33の支点(シリンダ部33s)との距離をA1とする。また、アウトリガ33の前後方向の間隔(アウトリガ33FLと33RLとの距離、及び、アウトリガ33FRと33RRとの距離)をA2とする。また、カウンタウエイト35の重量をB1とする。この場合、カウンタウエイト35によるホイールクレーン1の安定能力の増加は、前方吊:側方吊:後方吊=A2×B1:A1×B1:A2×0の割合となる。例えばA1=a、A2=2a(aは定数)の場合、カウンタウエイト35によるホイールクレーン1の安定能力の増加は、前方吊:側方吊:後方吊=2a:a:0=2:1:0の割合となる。すなわち、カウンタウエイト35により前方吊および側方吊の安定能力が増加する。また、側方吊に比べて前方吊の安定能力が増加する。さらに具体的には、上記のようにすることで、中心線Cを挟んだ前方±45度の範囲Rで大きな安定能力を持たせることができ、上位クラスのホイールクレーンと同等の作業ができる。
【0038】
(本実施形態のホイールクレーンの特徴)
本実施形態のホイールクレーン1には以下の特徴がある。
【0039】
図1に示す上部旋回体10の後端部にカウンタウエイト35が取り付けられたホイールクレーン(従来のホイールクレーン)では、上部旋回体10に取り付けられたジブ25を用いて、カウンタウエイト35の脱着を行うことはできない。一方で、本発明に係るホイールクレーン1ではカウンタウエイト35が下部本体30に載せられる。よって、このカウンタウエイト35の脱着を上部旋回体10に取り付けられたジブ25で(自力で)行うことができる。したがって、カウンタウエイト35を脱着する場合に、カウンタウエイト脱着装置や補助クレーンを用いる必要がない。
カウンタウエイト脱着装置を用いる必要がないので、カウンタウエイト脱着のためにホイールクレーン1の重量を増す必要が全くなく、ホイールクレーン1を軽量にできる。また、補助クレーンを用いる必要がないので、ホイールクレーン1を輸送する際に補助クレーンを輸送する必要がなく、ホイールクレーン1の輸送が容易である。
また、カウンタウエイト脱着装置や補助クレーンを用いる場合に比べ、カウンタウエイト35の脱着が安易である(カウンタウエイト35をジブ25で吊上げて下部本体30の後端部上面31に載せるのみ、またはカウンタウエイト35をジブ25で吊上げて下部本体30から降ろすのみで、カウンタウエイト35の脱着ができる)。
また、補助クレーンやカウンタウエイト脱着装置を用いるための準備時間が不要である。
【0040】
また、このホイールクレーン1ではカウンタウエイト35が下部本体30に載せられているので、上部旋回体10の後端部にカウンタウエイト35を取り付ける必要がない。よって、上部旋回体10の後端部にカウンタウエイト35を取り付ける場合に比べて、上部旋回体10の後端部の旋回半径を小さくできる。したがって、狭所でのクレーンの作業性を向上できる。
【0041】
また、このホイールクレーン1ではカウンタウエイト35が下部本体30に載せられているので、カウンタウエイトをアウトリガ33に取り付ける必要がない。したがって、ホイールクレーン1を構内移動(公道以外の場所での移動)させる際にカウンタウエイト35を取り外す必要がなく、カウンタウエイト35を取り外す場合に比べて構内移動が容易である。
【0042】
下部本体30の後端部に原動機15を取り付け、この原動機15の上にカウンタウエイト35を載せた場合、後方の視界(下部本体30の後方側を操縦室14から見たときの視界)は大きく悪化する。さらに、ジブ25を倒伏させた姿勢で上部旋回体10を旋回させると、ジブ25やジブシリンダ(ジブ25を起伏させるための図示しないシリンダ)とカウンタウエイト35とが干渉しやすい。一方でこのホイールクレーン1では、クレーン作業および走行に供される原動機15が上部旋回体10の上部旋回体本体11に搭載される。すなわち下部本体30の後端部に原動機15を取り付ける必要がない。したがって、ホイールクレーン1の後方の視界の悪化が少なく、さらに上記の干渉が生じる場合が少ない。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0044】
例えば、前記実施形態では、図1に示すように、4軸のホイール32を示したが、ホイール32は2軸、3軸、および5軸以上でも本発明を適用できる。
【0045】
また例えば、前記実施形態では、伸縮式(箱型)のジブ25を示したが、ジブ25はラチス構造でも本発明を適用できる。
【0046】
また例えば、前記実施形態では、公道走行時にカウンタウエイト35を取り外す形態を示したが、公道走行時にジブ25や上部旋回体10を取り外すホイールクレーン(具体的には例えば最大定格総荷重が100t以上のホイールクレーン)にも本発明を適用できる。また、公道走行時にカウンタウエイト35を取り外さないホイールクレーン(具体的には例えば最大定格総荷重が70t以下のホイールクレーン)にも本発明を適用できる。
【0047】
また例えば、前記実施形態では、操縦室14を1つのみ備える形態を示したが、少なくともクレーン作業用の操縦室14が上部旋回体10にあれば良い。すなわち、クレーン作業用の操縦室14とは別に、走行用の操縦室(図示なし)が例えば下部本体30に取り付けられていても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 ホイールクレーン
10 上部旋回体
11 上部旋回体本体
14 操縦室
15 原動機
25 ジブ
30 下部本体
31 後端部上面
32 ホイール
35 カウンタウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールが取り付けられたホイール走行式の下部本体と、
前記下部本体に取り付けられた上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられたジブと、
を備え、
前記上部旋回体は、
上部旋回体本体と、
前記上部旋回体本体に固定されているとともに少なくともクレーン作業に用いられる操縦室と、
前記上部旋回体本体に搭載されているとともにクレーン作業および走行に供される原動機と、
を備え、
前記下部本体は、後端部上面に載せられたカウンタウエイトを備えている、ホイールクレーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−148595(P2011−148595A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11320(P2010−11320)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)