ホイールナットレンチ並びにその製造方法
【課題】 材料としてS45Cのような炭素鋼材製のパイプを用いた上で、加工を容易にしても、ナット嵌合部の強度を向上させることのできるホイールナットレンチ並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】 パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったことで解決した。
【解決手段】 パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったことで解決した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車のホイールの着脱の際に用いて好適なホイールナットレンチ並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールナットレンチには、両口型、片口T型、及び片口L型のものがある。このうち片口L型のものは、一般的には炭素鋼相当の丸棒(中充体)を用い、先端に熱間鍛造によりナット嵌合部を形成した上で、このナット嵌合部を設けた側をL字形状に折曲げて構成されている。この片口L型のホイールナットレンチを始めとする各種レンチは、単品で販売されているものもあるが、そのほとんどは車両に付属した付属品として、各車両に搭載されている。このため、その数は膨大な数となることから、熾烈なコストダウンを迫られている。
【0003】
そこで、とくに片口L型のホイールナットレンチにあっては、従来の丸棒を加工したものに対し、材料として炭素鋼相当のパイプを用いて冷間鍛造でナット嵌合部を形成させ、このナット嵌合部を設けた側をL字形状に折曲げて成るものが、下記する特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平3−27297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された従来公知のホイールナットレンチは、材料がS45Cから成る炭素鋼材製のパイプであり、しかも、冷間鍛造でナット嵌合部を形成できることから、従来の丸棒を用いたものよりは製造コストを下げることができているが、ナット嵌合部の肉厚が薄くなって、強度が落ちることを避けるために、ナット嵌合部を厚肉加工する必要があり、この加工に手間の掛かることから、充分なコストダウンが図れないという問題が生じた。
【0006】
ホイールナットレンチは、実際の使用に当っては、柄の部分をハンマーで叩いたり、柄の部分に補助パイプを嵌めたり、或は柄の部分に足を乗せて全体重を掛けるなどして用いることから、大きなねじれ圧力がナット嵌合部に掛かることが往々にしてある。
【0007】
したがって、片口L型ホイールナットレンチをパイプを用いて製造する場合、加工を可及的に容易とした上で、ナット嵌合部のねじれ圧力に対する耐変形強度をいかに高めるかが、次の課題となった。
【0008】
本発明の目的は、材料として炭素鋼相当のパイプを用いた上で、加工を容易にしても、ナット嵌合部の強度を向上させることのできるホイールナットレンチ並びにその製造方法を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を達成するために本発明は、パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったことを特徴とする。
【0010】
その際に本発明は、前記ナット嵌合部の形状を内周及び外周共に6角形状を呈するように拡管することによって構成することができる。
【0011】
本発明はさらに、前記スリーブを、帯状の鋼板を断面6角形状に折曲げて構成することができる。
【0012】
本発明はさらに、前記スリーブを、その形状が内周及び外周共に同一の肉厚で6角形状を呈するように構成すると共に、接合部を溶着して構成することができる。
【0013】
本発明はまた、前記ナット嵌合外郭部と前記スリーブを一体化するに当り、前記スリーブの周壁に複数の固定孔を設け、この固定孔に前記ナット嵌合外郭部の周壁を打刻により膨出させることを特徴とする。
【0014】
その際に本発明は、前記固定孔を、前記スリーブの角部に設けることができる。
【0015】
本発明はさらに、前記固定孔を、前記スリーブの合わせ目に設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明はさらに、前記柄部に、当該柄部と直交する方向へその入口と出口で大きさの異なる貫通孔を設けたことを特徴とする。
【0017】
そして、本発明はホイールナットレンチを片口L型とするものである。
【0018】
本発明はまた、ホイールナットレンチの製造方法として、パイプ状の鋼管を用い、その端部に断面が6角形状を呈したナット嵌合外郭部を冷間プレスにより形成させ、このナット嵌合外郭部に帯状の鋼板を折曲げることによって作った、断面6角形状のスリーブを圧入し、前記ナット嵌合部を塑性変形させることにより前記スリーブと一体化させる工程を含むことを特徴とする。
【0019】
その際に本発明は、前記ナット嵌合外郭部の形状を、その外周と内周が共に6角形を形成することを特徴とするものである。
【0020】
さらに、本発明は、前記スリーブに熱処理を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パイプ状の鋼管を用いて冷間プレスで柄部と折曲げ部とナット嵌合外郭部を形成させ、このナット嵌合外郭部には断面6角形状の同じく鋼板製のスリーブを圧入させた上で、ナット嵌合外郭部とスリーブとに一体化加工を施させることにより、両者の一体化を図ったので、とくにナット嵌合外郭部の加工が簡単となり、安価に製造できるパイプ状の鋼管を用いた上で、スリーブによってナット嵌合部を強化したホイールナットレンチ並びにその製造方法を提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るホイールナットレンチの正面図である。
【図2】図1に示したホイールナットレンチの底面図である。
【図3】本発明に係るホイールナットレンチの縦断面図である。
【図4】本発明に係るホイールナットレンチを図1のA−A線方向から見た断面図である。
【図5】本発明に係るホイールナットレンチを図1のB−B線方向から見た断面図である。
【図6】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの斜視図である。
【図7】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの他の実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの他の実施例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの他の実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明に係るホイールナットレンチの製造方法を示す説明図である。
【図11】本発明に係るホイールナットレンチのナット嵌合外郭部の形成方法を示す説明図である。
【図12】本発明に係るホイールナットレンチの製造方法を説明する説明図である。
【図13】本発明に係る片口L型ホイールナットレンチを車用ジャッキの回転シャフトのハンドルとして用いた場合を示し、(a)はその説明図、(b)はその部分的拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態は、パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったものである。
【0024】
以下に本発明の実施例を、片口L型ホイールナットレンチに適用した場合を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は他の両口型ホイールナットレンチ、T字型ホイールナットレンチにもそのまま適用できるものである。
【実施例1】
【0025】
図1乃至図6は、本発明に係るホイールナットレンチ1の一実施例を示す。図面によれば、本実施例に係るホイールナットレンチ1は、片口L型ホイールナットレンチであり、パイプ状の例えば、S45Cのような、パイプ場の炭素鋼管(本願においては鋼管とも言う)で作られている。この片口L型ホイールナットレンチ1は、貫通孔2aを有する柄部2と、この柄部2の一側端部側に設けた折曲げ部3と、この折曲げ部3の先端に設けた首部4を介して拡管したナット嵌合部5とで構成されており、ナット嵌合部5はナット嵌合外郭部5aとこのナット嵌合外郭部内に挿入固定されているスリーブ7とで構成されている。この片口L型ホイールナットレンチ1は、パイプ状のものを加工して構成してあるので、ナット嵌合部5から柄部2を通して連通孔6が形成されている。また、この片口L型ホイールナットレンチ1は、材料は上述したように炭素鋼管であるが、これ以外のステンレス鋼(SUS)或はアルミニウム合金を用いることができる。貫通孔2aは略楕円形状で、その入口2b側と出口2c側の大きさが、入口2b側は大きく、出口2c側は小さく形成してある。しかし、このものに限定されない。
【0026】
とくに図2に示したように、柄部2、折曲げ部3、首部4、及びナット嵌合部5のナット嵌合外郭部5aの肉厚はほぼ一定であり、とくに肉厚の部分は形成されていない。したがって、肉厚の部分を管縮加工やしごき加工によって作る必要がないので、加工の工程が少なくなり、かつ加工が簡単となり、無理な力を加えることなく、拡管変形加工を行うことができるものである。
【0027】
ナット嵌合外郭部5aの形状も内周と外周共に肉厚が他の部位とほぼ同じ材厚の断面6角形状を呈しており、内部に断面6角形状を呈した同じく同一肉厚のスリーブ7が圧入固定されている。もっとも、ナット嵌合外郭部5aは柄部2の管径から拡管するので、厳密に言うと、若干肉厚が他の部位よりも、薄くなっているが、減厚となる肉厚は0.5mm程度であり、他の部位と大きな違いはない。但し、このナット嵌合外郭部5aにはスリーブ7が挿入固定されているので、ナット嵌合部5としては、全体の肉厚が、他の柄部2や折曲げ部3等の肉厚より厚くなっている。
【0028】
このスリーブ7は、例えばS45Cから成る帯状の炭素鋼板(本願においては鋼板とも言う)を断面6角形状を呈するように折曲げて形成したもので、とくに図6に示したように、合わせ目7aが平板部7bの一つに形成されている。この合わせ目7aは、単に当接させたものと、溶着したものが考えられるが、当接のみでも充分な強度が得られる。このスリーブ7の材料も実施例ではS45Cであるが、ステンレス鋼(SUS)をも用いることができる。
【0029】
また、スリーブ7の各角部7dと平板部7bの一つには、とくに図5と図6に示したように、固定孔7cが設けられている。図4に示したように、スリーブ7をナット嵌合外郭部5aへ圧入させた後、ポンチを用いてナット嵌合外郭部5aの各角部5bと平板部7bの各固定孔7cに対応する部分を外側より打刻し、当該ナット嵌合外郭部5aの内側を固定孔7cへ膨出させて当該固定孔7cと係合させることにより、スリーブ7とナット嵌合外郭部5aの一体化を図ってある。図面ではこの打刻した際にできる凹部を指示記号5cで示してある。
【0030】
この固定孔7cは、とくに図5と図6に示したようにスリーブ7の各角部7dと平板部7bの一つに設けられているが、この位置に限定されない。よって本願においては各角部7dと平板部7bを合わせて周壁とも言う。また、数においては、とくに限定はないが、複数個設ける必要がある。平板部7bに固定孔7cを設けた場合には、隣接する角部7dの一つ或は2つに固定孔を設けることを省略しても良い。
【実施例2】
【0031】
図7は、スリーブの他の実施例を示す。図面によれば、この実施例に係るスリーブ10は、合わせ目10aの構成をギザギザ模様にしてある。
【0032】
このように実施すると、ホイールナットを弛めたり、締め付けたりする際にホイールナットレンチのナット嵌合部に強いトルクが加わっても、スリーブ10が軸方向へよじれてしまう場合のあることを有効に防止することができるものである。このスリーブ10の合わせ目10aのギザギザ模様は、ジグザグにしても良いし、図8に示したスリーブ11のように、クランク形状を呈した合わせ目11aとしても良い。
【実施例3】
【0033】
図9は、スリーブのさらに他の実施例を示す。図面によれば、スリーブ12に設けた固定孔12aを全て角部12bに設けてある。
【0034】
このように実施しても、この発明の目的を達成でき、スリーブ12の平板部12cが打刻により内側へ曲がって変形するのを防止できる利点がある。尚、指示記号12dは、合わせ目である。
【実施例4】
【0035】
図10乃至図12は、本発明に係るホイールナットレンチの製造方法の一実施例を示す。
【0036】
まず、図10の(1)に示したように、管径が19m/m、肉厚が2m/mの炭素鋼管を適宜長さに切断して素管Aを形成させ、バリ取り等を行う。次いで、図示してないプレス機のヤゲン金型へ素管Aの一端部のナット嵌合部を設ける側を装着して、図示してないパンチ棒を用いて、図10の(2)に示したように、第1回目の拡管を行って第1次加工品Bを得る。次に、この第1回目の拡管を行った第1次加工品Bを、金型の内径をさらに広げた別の図示してないヤゲン金型へ、第1次加工品Bの拡管を行った部分を装着し、第1回目のものよりも大径の図示してないパンチ棒を用いて第2回目の拡管を図10の(3)に示したように行って、第2次加工品Cを得る。次いで、この第2次加工品Cの拡管を行った部分を、図11に示したように、平面6角形状の角穴を設けたヤゲン金型13へ装着して、同じく断6角形状を呈したパンチ棒14を用いて図10の(4)に示したように、平面6角形状に成形してナット嵌合外郭部15を有する第3次加工品Dを得る。この際に、平面6角形状のナット嵌合外郭部15を成形する部分の肉厚は図5と図6に示したように、同一であるが、成形の仕方によって、素管の他の部分の肉厚より、厚くしたり、薄くしたりすることができる。厚くすると強度が増すが、この部分は後述するスリーブの強度と相関関係を持っている。以上の素管Aに対するナット嵌合外郭部15の形成は、冷間プレスで行うものである。尚、素管Aの管径と肉厚は以上のものに限定されない。
【0037】
以上のようにして、拡管により素管Aの一端部に平断面6角形状のナット嵌合外郭部15が形成されたら、図12の(1)に示したように、別の工程で作った平面6角形状のスリーブ16を圧入する工程に入る。ここで、このスリーブ16の形成について説明すると、順送りプレス機を用いて、厚さ2mmで幅20mmの例えばS45Cからなるコイル巻状の炭素鋼板を用いて、図示してない順送りプレス機で固定孔16aを打ち抜きつつ、平面6角形状(この6角形状はホイールナットの外径形状に合わせる)に折曲げつつ切断することによって形成する。この際に合わせ目16bが生じるが、この合わせ目16bは、若干の間隙(0.1〜0.5mm程度)を設けておくことが好ましい。このスリーブ16の材厚は素管の肉厚に合わせて2mmであるが、この厚さに限定はない。
【0038】
また、合わせ目16bの間隙は、スリーブ16をナット嵌合外郭部15へ圧入する時に、スリーブ16全体が縮管することで解消する間隙である。合わせ目16bの形状は実施例ではストレートであるが、これをジグザグ状、鍵型状その他の形状にすることは任意であり、ジグザグ状にすると、ホイールナットを締め付けたり、弛めたりする際に、捩じれ圧力によりスリーブ16が捩じれて上下方向へ位置がずれてしまうのを防止できる効果がある。合わせ目16bは、好ましくはスリーブ16の平板部であるが、角部にすることもできる。また、少しコストアップとはなるが、合わせ目16bを溶着することも可能である。溶着には、連続溶着、スポット溶着等がある。
【0039】
以上の平面6角形状のスリーブ16を形成するところまでは、冷間プレス加工であるが、成形後において焼き入れ、焼き戻し等の熱処理を行ない、強度を強化することが好ましい。
【0040】
図12の(2)に示したように、ナット嵌合外郭部15にスリーブ16を圧入固定して第4次加工品Eを得た後、図12の(1)と(3)に示したように、パンチを用いてナット嵌合外郭部15の外側よりスリーブ16の固定孔16aに向けてパンチ棒17を用いて打刻をし、とくに図5に示したように、各固定孔16aへナット嵌合外郭部15を膨出させてナット嵌合部18を形成させて第5次加工品Fとする。次いで、図12の(4)に示したように、柄の部分を折曲げて折曲げ部19を形成し、プレス機で貫通孔2aを設けて鍍金仕上げした後完成品Gとなるものである。尚、折曲げ部19の角度は、任意に選択できるものである。
【0041】
また、貫通孔2aを設ける順序に限定はない。上述したように製造工程の後のほうではなく、別なもっと先の工程で設けることは任意である。この貫通孔2aは、図13の(a)と(b)に示したように、この片口L型ホイールナットレンチ20を車用ジャッキの回転シャフト21に対する回転用ハンドルとして用いる際に利用するものである。とくに図13の(b)に示したように、この貫通孔2aの入口2bの方を大きくして出口2cの方を小さくしてその大きさを変えると、柄部2がパイプ状であり、入口2bと出口2cとの間に所定の間隔が設けられていることから、回転シャフト21の先端21aがテーパー状になっているものの場合に、このテーパー状先端にガタなく嵌合できるという利点がある。但し、この貫通孔2aの形状は、回転シャフト21の挿入側の形状によるものであり、実施例のものに限定されない。
【0042】
尚、以上の説明は、本発明を片口L型ホイールナットレンチに適用した場合について説明したが、上述したように、本発明は他の両口型、片口T型のホイールナットレンチにも適用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は以上のように構成したので、パイプ状で捩じれ変形に強く、安価に製造できることから、とくに車両のホイールナットレンチとして広く普及を見る可能性を有している。
【符号の説明】
【0044】
A 素管
B 第1次加工品
C 第2次加工品
D 第3次加工品
E 第4次加工品
F 第5次加工品
G 完成品
1 ホイールナットレンチ
2 柄部
2a 貫通孔
3、19 折曲げ部
4 首部
5、18 ナット嵌合部
5a、15 ナット嵌合外郭部
7、10、11、12、16 スリーブ
7a、10a、11a、16b 合わせ目
7b、12c 平板部
7c、12a、16a 固定孔
7d 角部
17 パンチ棒
【技術分野】
【0001】
本発明は、車のホイールの着脱の際に用いて好適なホイールナットレンチ並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールナットレンチには、両口型、片口T型、及び片口L型のものがある。このうち片口L型のものは、一般的には炭素鋼相当の丸棒(中充体)を用い、先端に熱間鍛造によりナット嵌合部を形成した上で、このナット嵌合部を設けた側をL字形状に折曲げて構成されている。この片口L型のホイールナットレンチを始めとする各種レンチは、単品で販売されているものもあるが、そのほとんどは車両に付属した付属品として、各車両に搭載されている。このため、その数は膨大な数となることから、熾烈なコストダウンを迫られている。
【0003】
そこで、とくに片口L型のホイールナットレンチにあっては、従来の丸棒を加工したものに対し、材料として炭素鋼相当のパイプを用いて冷間鍛造でナット嵌合部を形成させ、このナット嵌合部を設けた側をL字形状に折曲げて成るものが、下記する特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平3−27297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された従来公知のホイールナットレンチは、材料がS45Cから成る炭素鋼材製のパイプであり、しかも、冷間鍛造でナット嵌合部を形成できることから、従来の丸棒を用いたものよりは製造コストを下げることができているが、ナット嵌合部の肉厚が薄くなって、強度が落ちることを避けるために、ナット嵌合部を厚肉加工する必要があり、この加工に手間の掛かることから、充分なコストダウンが図れないという問題が生じた。
【0006】
ホイールナットレンチは、実際の使用に当っては、柄の部分をハンマーで叩いたり、柄の部分に補助パイプを嵌めたり、或は柄の部分に足を乗せて全体重を掛けるなどして用いることから、大きなねじれ圧力がナット嵌合部に掛かることが往々にしてある。
【0007】
したがって、片口L型ホイールナットレンチをパイプを用いて製造する場合、加工を可及的に容易とした上で、ナット嵌合部のねじれ圧力に対する耐変形強度をいかに高めるかが、次の課題となった。
【0008】
本発明の目的は、材料として炭素鋼相当のパイプを用いた上で、加工を容易にしても、ナット嵌合部の強度を向上させることのできるホイールナットレンチ並びにその製造方法を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を達成するために本発明は、パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったことを特徴とする。
【0010】
その際に本発明は、前記ナット嵌合部の形状を内周及び外周共に6角形状を呈するように拡管することによって構成することができる。
【0011】
本発明はさらに、前記スリーブを、帯状の鋼板を断面6角形状に折曲げて構成することができる。
【0012】
本発明はさらに、前記スリーブを、その形状が内周及び外周共に同一の肉厚で6角形状を呈するように構成すると共に、接合部を溶着して構成することができる。
【0013】
本発明はまた、前記ナット嵌合外郭部と前記スリーブを一体化するに当り、前記スリーブの周壁に複数の固定孔を設け、この固定孔に前記ナット嵌合外郭部の周壁を打刻により膨出させることを特徴とする。
【0014】
その際に本発明は、前記固定孔を、前記スリーブの角部に設けることができる。
【0015】
本発明はさらに、前記固定孔を、前記スリーブの合わせ目に設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明はさらに、前記柄部に、当該柄部と直交する方向へその入口と出口で大きさの異なる貫通孔を設けたことを特徴とする。
【0017】
そして、本発明はホイールナットレンチを片口L型とするものである。
【0018】
本発明はまた、ホイールナットレンチの製造方法として、パイプ状の鋼管を用い、その端部に断面が6角形状を呈したナット嵌合外郭部を冷間プレスにより形成させ、このナット嵌合外郭部に帯状の鋼板を折曲げることによって作った、断面6角形状のスリーブを圧入し、前記ナット嵌合部を塑性変形させることにより前記スリーブと一体化させる工程を含むことを特徴とする。
【0019】
その際に本発明は、前記ナット嵌合外郭部の形状を、その外周と内周が共に6角形を形成することを特徴とするものである。
【0020】
さらに、本発明は、前記スリーブに熱処理を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パイプ状の鋼管を用いて冷間プレスで柄部と折曲げ部とナット嵌合外郭部を形成させ、このナット嵌合外郭部には断面6角形状の同じく鋼板製のスリーブを圧入させた上で、ナット嵌合外郭部とスリーブとに一体化加工を施させることにより、両者の一体化を図ったので、とくにナット嵌合外郭部の加工が簡単となり、安価に製造できるパイプ状の鋼管を用いた上で、スリーブによってナット嵌合部を強化したホイールナットレンチ並びにその製造方法を提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るホイールナットレンチの正面図である。
【図2】図1に示したホイールナットレンチの底面図である。
【図3】本発明に係るホイールナットレンチの縦断面図である。
【図4】本発明に係るホイールナットレンチを図1のA−A線方向から見た断面図である。
【図5】本発明に係るホイールナットレンチを図1のB−B線方向から見た断面図である。
【図6】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの斜視図である。
【図7】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの他の実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの他の実施例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るホイールナットレンチのスリーブの他の実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明に係るホイールナットレンチの製造方法を示す説明図である。
【図11】本発明に係るホイールナットレンチのナット嵌合外郭部の形成方法を示す説明図である。
【図12】本発明に係るホイールナットレンチの製造方法を説明する説明図である。
【図13】本発明に係る片口L型ホイールナットレンチを車用ジャッキの回転シャフトのハンドルとして用いた場合を示し、(a)はその説明図、(b)はその部分的拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態は、パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったものである。
【0024】
以下に本発明の実施例を、片口L型ホイールナットレンチに適用した場合を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は他の両口型ホイールナットレンチ、T字型ホイールナットレンチにもそのまま適用できるものである。
【実施例1】
【0025】
図1乃至図6は、本発明に係るホイールナットレンチ1の一実施例を示す。図面によれば、本実施例に係るホイールナットレンチ1は、片口L型ホイールナットレンチであり、パイプ状の例えば、S45Cのような、パイプ場の炭素鋼管(本願においては鋼管とも言う)で作られている。この片口L型ホイールナットレンチ1は、貫通孔2aを有する柄部2と、この柄部2の一側端部側に設けた折曲げ部3と、この折曲げ部3の先端に設けた首部4を介して拡管したナット嵌合部5とで構成されており、ナット嵌合部5はナット嵌合外郭部5aとこのナット嵌合外郭部内に挿入固定されているスリーブ7とで構成されている。この片口L型ホイールナットレンチ1は、パイプ状のものを加工して構成してあるので、ナット嵌合部5から柄部2を通して連通孔6が形成されている。また、この片口L型ホイールナットレンチ1は、材料は上述したように炭素鋼管であるが、これ以外のステンレス鋼(SUS)或はアルミニウム合金を用いることができる。貫通孔2aは略楕円形状で、その入口2b側と出口2c側の大きさが、入口2b側は大きく、出口2c側は小さく形成してある。しかし、このものに限定されない。
【0026】
とくに図2に示したように、柄部2、折曲げ部3、首部4、及びナット嵌合部5のナット嵌合外郭部5aの肉厚はほぼ一定であり、とくに肉厚の部分は形成されていない。したがって、肉厚の部分を管縮加工やしごき加工によって作る必要がないので、加工の工程が少なくなり、かつ加工が簡単となり、無理な力を加えることなく、拡管変形加工を行うことができるものである。
【0027】
ナット嵌合外郭部5aの形状も内周と外周共に肉厚が他の部位とほぼ同じ材厚の断面6角形状を呈しており、内部に断面6角形状を呈した同じく同一肉厚のスリーブ7が圧入固定されている。もっとも、ナット嵌合外郭部5aは柄部2の管径から拡管するので、厳密に言うと、若干肉厚が他の部位よりも、薄くなっているが、減厚となる肉厚は0.5mm程度であり、他の部位と大きな違いはない。但し、このナット嵌合外郭部5aにはスリーブ7が挿入固定されているので、ナット嵌合部5としては、全体の肉厚が、他の柄部2や折曲げ部3等の肉厚より厚くなっている。
【0028】
このスリーブ7は、例えばS45Cから成る帯状の炭素鋼板(本願においては鋼板とも言う)を断面6角形状を呈するように折曲げて形成したもので、とくに図6に示したように、合わせ目7aが平板部7bの一つに形成されている。この合わせ目7aは、単に当接させたものと、溶着したものが考えられるが、当接のみでも充分な強度が得られる。このスリーブ7の材料も実施例ではS45Cであるが、ステンレス鋼(SUS)をも用いることができる。
【0029】
また、スリーブ7の各角部7dと平板部7bの一つには、とくに図5と図6に示したように、固定孔7cが設けられている。図4に示したように、スリーブ7をナット嵌合外郭部5aへ圧入させた後、ポンチを用いてナット嵌合外郭部5aの各角部5bと平板部7bの各固定孔7cに対応する部分を外側より打刻し、当該ナット嵌合外郭部5aの内側を固定孔7cへ膨出させて当該固定孔7cと係合させることにより、スリーブ7とナット嵌合外郭部5aの一体化を図ってある。図面ではこの打刻した際にできる凹部を指示記号5cで示してある。
【0030】
この固定孔7cは、とくに図5と図6に示したようにスリーブ7の各角部7dと平板部7bの一つに設けられているが、この位置に限定されない。よって本願においては各角部7dと平板部7bを合わせて周壁とも言う。また、数においては、とくに限定はないが、複数個設ける必要がある。平板部7bに固定孔7cを設けた場合には、隣接する角部7dの一つ或は2つに固定孔を設けることを省略しても良い。
【実施例2】
【0031】
図7は、スリーブの他の実施例を示す。図面によれば、この実施例に係るスリーブ10は、合わせ目10aの構成をギザギザ模様にしてある。
【0032】
このように実施すると、ホイールナットを弛めたり、締め付けたりする際にホイールナットレンチのナット嵌合部に強いトルクが加わっても、スリーブ10が軸方向へよじれてしまう場合のあることを有効に防止することができるものである。このスリーブ10の合わせ目10aのギザギザ模様は、ジグザグにしても良いし、図8に示したスリーブ11のように、クランク形状を呈した合わせ目11aとしても良い。
【実施例3】
【0033】
図9は、スリーブのさらに他の実施例を示す。図面によれば、スリーブ12に設けた固定孔12aを全て角部12bに設けてある。
【0034】
このように実施しても、この発明の目的を達成でき、スリーブ12の平板部12cが打刻により内側へ曲がって変形するのを防止できる利点がある。尚、指示記号12dは、合わせ目である。
【実施例4】
【0035】
図10乃至図12は、本発明に係るホイールナットレンチの製造方法の一実施例を示す。
【0036】
まず、図10の(1)に示したように、管径が19m/m、肉厚が2m/mの炭素鋼管を適宜長さに切断して素管Aを形成させ、バリ取り等を行う。次いで、図示してないプレス機のヤゲン金型へ素管Aの一端部のナット嵌合部を設ける側を装着して、図示してないパンチ棒を用いて、図10の(2)に示したように、第1回目の拡管を行って第1次加工品Bを得る。次に、この第1回目の拡管を行った第1次加工品Bを、金型の内径をさらに広げた別の図示してないヤゲン金型へ、第1次加工品Bの拡管を行った部分を装着し、第1回目のものよりも大径の図示してないパンチ棒を用いて第2回目の拡管を図10の(3)に示したように行って、第2次加工品Cを得る。次いで、この第2次加工品Cの拡管を行った部分を、図11に示したように、平面6角形状の角穴を設けたヤゲン金型13へ装着して、同じく断6角形状を呈したパンチ棒14を用いて図10の(4)に示したように、平面6角形状に成形してナット嵌合外郭部15を有する第3次加工品Dを得る。この際に、平面6角形状のナット嵌合外郭部15を成形する部分の肉厚は図5と図6に示したように、同一であるが、成形の仕方によって、素管の他の部分の肉厚より、厚くしたり、薄くしたりすることができる。厚くすると強度が増すが、この部分は後述するスリーブの強度と相関関係を持っている。以上の素管Aに対するナット嵌合外郭部15の形成は、冷間プレスで行うものである。尚、素管Aの管径と肉厚は以上のものに限定されない。
【0037】
以上のようにして、拡管により素管Aの一端部に平断面6角形状のナット嵌合外郭部15が形成されたら、図12の(1)に示したように、別の工程で作った平面6角形状のスリーブ16を圧入する工程に入る。ここで、このスリーブ16の形成について説明すると、順送りプレス機を用いて、厚さ2mmで幅20mmの例えばS45Cからなるコイル巻状の炭素鋼板を用いて、図示してない順送りプレス機で固定孔16aを打ち抜きつつ、平面6角形状(この6角形状はホイールナットの外径形状に合わせる)に折曲げつつ切断することによって形成する。この際に合わせ目16bが生じるが、この合わせ目16bは、若干の間隙(0.1〜0.5mm程度)を設けておくことが好ましい。このスリーブ16の材厚は素管の肉厚に合わせて2mmであるが、この厚さに限定はない。
【0038】
また、合わせ目16bの間隙は、スリーブ16をナット嵌合外郭部15へ圧入する時に、スリーブ16全体が縮管することで解消する間隙である。合わせ目16bの形状は実施例ではストレートであるが、これをジグザグ状、鍵型状その他の形状にすることは任意であり、ジグザグ状にすると、ホイールナットを締め付けたり、弛めたりする際に、捩じれ圧力によりスリーブ16が捩じれて上下方向へ位置がずれてしまうのを防止できる効果がある。合わせ目16bは、好ましくはスリーブ16の平板部であるが、角部にすることもできる。また、少しコストアップとはなるが、合わせ目16bを溶着することも可能である。溶着には、連続溶着、スポット溶着等がある。
【0039】
以上の平面6角形状のスリーブ16を形成するところまでは、冷間プレス加工であるが、成形後において焼き入れ、焼き戻し等の熱処理を行ない、強度を強化することが好ましい。
【0040】
図12の(2)に示したように、ナット嵌合外郭部15にスリーブ16を圧入固定して第4次加工品Eを得た後、図12の(1)と(3)に示したように、パンチを用いてナット嵌合外郭部15の外側よりスリーブ16の固定孔16aに向けてパンチ棒17を用いて打刻をし、とくに図5に示したように、各固定孔16aへナット嵌合外郭部15を膨出させてナット嵌合部18を形成させて第5次加工品Fとする。次いで、図12の(4)に示したように、柄の部分を折曲げて折曲げ部19を形成し、プレス機で貫通孔2aを設けて鍍金仕上げした後完成品Gとなるものである。尚、折曲げ部19の角度は、任意に選択できるものである。
【0041】
また、貫通孔2aを設ける順序に限定はない。上述したように製造工程の後のほうではなく、別なもっと先の工程で設けることは任意である。この貫通孔2aは、図13の(a)と(b)に示したように、この片口L型ホイールナットレンチ20を車用ジャッキの回転シャフト21に対する回転用ハンドルとして用いる際に利用するものである。とくに図13の(b)に示したように、この貫通孔2aの入口2bの方を大きくして出口2cの方を小さくしてその大きさを変えると、柄部2がパイプ状であり、入口2bと出口2cとの間に所定の間隔が設けられていることから、回転シャフト21の先端21aがテーパー状になっているものの場合に、このテーパー状先端にガタなく嵌合できるという利点がある。但し、この貫通孔2aの形状は、回転シャフト21の挿入側の形状によるものであり、実施例のものに限定されない。
【0042】
尚、以上の説明は、本発明を片口L型ホイールナットレンチに適用した場合について説明したが、上述したように、本発明は他の両口型、片口T型のホイールナットレンチにも適用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は以上のように構成したので、パイプ状で捩じれ変形に強く、安価に製造できることから、とくに車両のホイールナットレンチとして広く普及を見る可能性を有している。
【符号の説明】
【0044】
A 素管
B 第1次加工品
C 第2次加工品
D 第3次加工品
E 第4次加工品
F 第5次加工品
G 完成品
1 ホイールナットレンチ
2 柄部
2a 貫通孔
3、19 折曲げ部
4 首部
5、18 ナット嵌合部
5a、15 ナット嵌合外郭部
7、10、11、12、16 スリーブ
7a、10a、11a、16b 合わせ目
7b、12c 平板部
7c、12a、16a 固定孔
7d 角部
17 パンチ棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったことを特徴とする、ホイールナットレンチ。
【請求項2】
前記ナット嵌合部の形状が内周及び外周共に6角形状を呈するように拡管することによって、構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項3】
前記スリーブは、帯状の鋼板を断面6角形状に折曲げて構成したものであることを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項4】
前記スリーブは、その形状が内周及び外周共に同一の肉厚で6角形状を呈するように構成すると共に、接合部を溶着して成ることを特徴とする、請求項3に記載のホイールナットレンチ。
【請求項5】
前記ナット嵌合外郭部と前記スリーブを一体化するに当り、前記スリーブの周壁に複数の固定孔を設け、この固定孔に前記ナット嵌合外郭部の周壁を打刻により膨出させることを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項6】
前記固定孔を、前記スリーブの角部に設けたことを特徴とする、請求項5に記載のホイールナットレンチ。
【請求項7】
前記固定孔を、前記スリーブの合わせ目に設けたことを特徴とする、請求項5に記載のホイールナットレンチ。
【請求項8】
前記柄部には、当該柄部と直交する方向へその入口と出口で大きさの異なる貫通孔を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項9】
前記ホイールナットレンチが、片口L型であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のホイールナットレンチ。
【請求項10】
パイプ状の鋼管を用い、その端部に断面が6角形状を呈したナット嵌合外郭部を冷間プレスにより形成させ、このナット嵌合外郭部に帯状の鋼板を折曲げることによって作った、断面6角形状のスリーブを圧入し、前記ナット嵌合部を塑性変形させることにより前記スリーブと一体化させる工程を含むことを特徴とする、ホイールナットレンチの製造方法。
【請求項11】
前記ナット嵌合外郭部の形状を、その外周と内周が共に6角形を形成するように成したことを特徴とする、請求項8に記載のホイールナットレンチの製造方法。
【請求項12】
前記スリーブには、熱処理を施すことを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチの製造方法。
【請求項1】
パイプ状の鋼管を用いて成る少なくとも一端にナット嵌合部を設けたホイールナットレンチであって、前記鋼管の端部に内外周共に6角形状に形成したナット嵌合外郭部を設け、このナット嵌合外郭部へ鋼板製の断面6角形状を呈したスリーブを圧入させると共に、前記ナット嵌合外郭部の一部を前記スリーブに向けて変形させることで、前記ナット嵌合部と前記スリーブの一体化を図ったことを特徴とする、ホイールナットレンチ。
【請求項2】
前記ナット嵌合部の形状が内周及び外周共に6角形状を呈するように拡管することによって、構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項3】
前記スリーブは、帯状の鋼板を断面6角形状に折曲げて構成したものであることを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項4】
前記スリーブは、その形状が内周及び外周共に同一の肉厚で6角形状を呈するように構成すると共に、接合部を溶着して成ることを特徴とする、請求項3に記載のホイールナットレンチ。
【請求項5】
前記ナット嵌合外郭部と前記スリーブを一体化するに当り、前記スリーブの周壁に複数の固定孔を設け、この固定孔に前記ナット嵌合外郭部の周壁を打刻により膨出させることを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項6】
前記固定孔を、前記スリーブの角部に設けたことを特徴とする、請求項5に記載のホイールナットレンチ。
【請求項7】
前記固定孔を、前記スリーブの合わせ目に設けたことを特徴とする、請求項5に記載のホイールナットレンチ。
【請求項8】
前記柄部には、当該柄部と直交する方向へその入口と出口で大きさの異なる貫通孔を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチ。
【請求項9】
前記ホイールナットレンチが、片口L型であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のホイールナットレンチ。
【請求項10】
パイプ状の鋼管を用い、その端部に断面が6角形状を呈したナット嵌合外郭部を冷間プレスにより形成させ、このナット嵌合外郭部に帯状の鋼板を折曲げることによって作った、断面6角形状のスリーブを圧入し、前記ナット嵌合部を塑性変形させることにより前記スリーブと一体化させる工程を含むことを特徴とする、ホイールナットレンチの製造方法。
【請求項11】
前記ナット嵌合外郭部の形状を、その外周と内周が共に6角形を形成するように成したことを特徴とする、請求項8に記載のホイールナットレンチの製造方法。
【請求項12】
前記スリーブには、熱処理を施すことを特徴とする、請求項1に記載のホイールナットレンチの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−16193(P2011−16193A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162246(P2009−162246)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(592049564)理研精工株式会社 (9)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(592049564)理研精工株式会社 (9)
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