説明

ホットメルト接着剤

【課題】ノズルによる塗布時に生ずる糸引きを防止し、且つ耐熱・耐寒接着性に優れたエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体共重合体ホットメルト接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】エチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体共重合体に対し、下記式(1)で算出される不飽和エステル単位量差ΔXが19.5重量%以上であるエチレン・不飽和エステル共重合体(D)を0.05〜3重量部混合したホットメルト接着剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン系共重合体をベースポリマーとする低粘度ホットメルト接着剤組成物に関し、詳細には、ノズルを使用して塗布されるホットメルト接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エチレン系共重合体系のホットメルト接着剤は、エチレン・酢酸ビニル共重合体をベースポリマーとし、これに粘着付与剤樹脂、ワックス類および酸化防止剤を配合して作製される。これらの接着剤は、一般に製本時の背張り、包装のための紙やプラスチックフィルムの接着などに多用されている。これらの接着剤が塗布される方法はいろいろあるが、溶融タンクから各種ポンプで圧送され、ノズルで間歇的に点またはビード状に塗布されるのが一般的である。ホットメルト接着剤は、通常、オリフィス径が8/1000〜20/1000インチ(0.203〜0.0508mm)のノズルを通って間歇的に吐出されるが、このときノズルと被着体の間でくもの巣状の糸が引くのが常である。この糸は、被着体や機械を汚したり、接着剤が塗布されたものへの印刷適性を、はじきなどを生じさせることによって著しく低下させるなどの問題がある。
【0003】
従来、このような糸引きを少なくするために、ホットメルト接着剤組成物の溶融粘度を下げる方法、メルトフローレートの大きなエチレン・不飽和エステル共重合体を使用する方法、高圧法ポリエチレンを添加する方法、無機充填剤の添加、ベース樹脂に対して非相溶性成分を添加し、上記非相溶性成分のコロイド粒子径をホットメルト接着剤に分散させる方法等が提案されている。
【0004】
特許文献1には、エチレン・不飽和エステル含量が10〜45重量%であるエチレン・不飽和エステル共重合体、粘着付与樹脂、ワックス及び不飽和エステル含量が0〜8%、メルトフローレートが0.01〜400g/10分である高圧法ポリエチレンから成るホットメルト接着剤組成物が提案されている。しかしながら、再現性を確認するために、本発明者がこの提案に従い、アクリフトCM5022(エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル含量32%、MFR430g/10分)を40%、クリアロンP135(水添テルペン樹脂、軟化点135℃)を40%、FT100(フィシャートロプシュワックス、凝固点98℃)を20%含有する組成物100重量部に対し、ウルトラセン526(エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含量6%、MFR25g/10分)を1重量部添加し追試した結果、糸引き防止効果が実現されなかった。
【0005】
また、使用する粘着付与樹脂については特に限定されていないが、同様にしてアクリフトCM5022(エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル含量32%、MFR430g/10分)を40%、タマノル803L(ロジン・フェノール樹脂、軟化点145−160℃)を40%、FT100(フィシャートロプシュワックス、凝固点98℃)を20%含有する組成物100重量部に対し、アクリフトWD203−1(エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル含量5%、MFR2g/10分)を1重量部添加し追試した結果、糸引き防止効果が実現されなかった。
【0006】
更に、ウルトラセン0B54A(エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含量33%、MFR400g/10分)を40%、クリアロンP135(水添テルペン樹脂、軟化点135℃)を40%、FT100(フィシャートロプシュワックス、凝固点98℃)を20%含有する組成物100重量部に対し、アクリフトWD203−1(エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル含量5%、MFR2g/10分)を1重量部添加し追試した結果、糸引き防止効果が実現されなかった。従って、該提案は再現性が得られないため発明未完成である。
【0007】
特許文献2はベース樹脂に対して非相溶成分を添加し、120〜190℃の溶融状態において波長600〜780nmの可視光線の透過率が1〜20%であり、上記非相溶成分のコロイド粒子径が100nm〜5μm、コロイド粒子含有量が0.1〜7.5重量%であるホットメルト接着剤組成物が提案されている。しかしながら、実施例3から5の透過型電子顕微鏡写真では、ミクロトームで切片を作成したときの切片の割れが見られるのみでコロイド粒子は見られない。また、撮影倍率1万200倍では、観察倍率が大きすぎて糸引き防止に効果があるコロイド粒子を粒観察することは不可能である。従って、実際測定したコロイド粒子径は記載されていない。このため、コロイド粒子径と糸引き性との相関が不明確である。また、コロイド粒子径は、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウムで染色した後、透過型電子顕微鏡で確認することが記載されている。しかしながら、この確認方法では実施例3および4で記載されているホットメルト接着剤の大半の構成成分EVAおよびロジンエステルのCOORエステル基は四酸化オスミウムにより染色されるため、低密度ポリエチレン非晶部を四酸化ルテニウムで染色した後、透過型電子顕微鏡で確認することは困難であると考えられる。コロイド粒子の含有量については、コロイド粒子含有量の測定方法や実施例にコロイド粒子の含有量が記載されていない。このため、コロイド粒子含有量と糸引き性との相関が不明確である。また該提案にはエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体に関する実施例および細部にわたる具体的な記載はない。従って、該提案は再現性が得られないため発明未完成である。
【特許文献1】特開平11−236543
【特許文献2】特開2004−2634
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上記未解決であるノズルによる塗布時に生ずる糸引きを防止し、且つ耐熱・耐寒接着性に優れたホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記従来技術のいずれの方法でもなく、糸引きの原因となっているベースポリマーの組成に注目して検討を続けた結果、ベースポリマーであるエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体に対し、下記式(1)で算出される不飽和エステル単位量差ΔXが19.5重量%以上であるエチレン・不飽和エステル共重合体(D)を0.05〜3重量部混合することによって、ホットメルト接着剤組成物のノズル塗布時の糸引きを大きく減少させることができることを見出し、本発明を完成した。
【数1】

【発明の効果】
【0010】
本発明の耐熱・耐寒接着性に優れたホットメルト接着剤組成物を使用することにより、ノズルによる塗布時に生ずる糸引きを防止でき、被着体や機械の汚れを防止し生産性の向上につながると共に、はじきなどの発生を防止することにより、接着剤組成物が塗布されたものへの印刷適性を向上させ、製品の品質向上につながっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で使用されるエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)、エチレン・不飽和エステル共重合体(D)について、下記に説明する。
【0012】
本発明で使用されるエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(A)は、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルを共重合した熱可塑性樹脂である。(メタ)アクリル酸アルキルとして、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチルなどが挙げられる。一般的には、(メタ)アクリル酸アルキルとしてメタクリル酸メチルなどが使用されるが、その頭文字を取り、これらのポリマーはEMMA(エチレン・メチルメタアクリレート)と呼ばれていることが多い。具体的には、住友化学(株)製、商品名アクリフトがあり、一般に入手可能である。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0013】
本発明のエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(A)の成分は、全モノマー中の(メタ)アクリル酸アルキル単位量が20〜45重量%、好ましくは25〜40重量%、さらに好ましくは28〜35重量%の範囲内にあるエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体である。(メタ)アクリル酸アルキル単位量が20重量%未満のエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体を使用した場合、これらに不飽和エステル単位量が0.5〜25重量%であるエチレン・不飽和エステル共重合体を添加しても糸引きは改善されず、ホットメルト接着剤組成物本来の接着性が大幅に低下する。一方、(メタ)アクリル酸アルキル単位量が45重量%を超えるエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体を使用した場合、接着剤組成物の凝集力が大幅に減少する。
【0014】
また、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)については通常は20〜1000g/10分、好ましくは60〜800g/10分のものが好適に使用される。20g/10分未満であると、目的とする低粘度接着剤組成物が得られにくくなり、一方、1000g/10分を超えると接着剤組成物の凝集力が低下する。
【0015】
メルトフローレート(MFR)はJIS K−6730に準じ測定した。MFRを求める方法は、径2.1mm、長さ8mmのオリフィスのあるシリンダ中に材料を入れ、190℃で2160gの荷重をかけて溶融材料を押し出し、3分間に流出した材料の重量を測り、これを10分間当たりのグラム数に換算して、MFRの値とするものである。すなわち、MFRの大きいものほど流動性がよいことを意味する。
【0016】
また、本発明のベースポリマーには、上記好ましい範囲内のエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体の単独または混合物以外に、凝集力や粘度などの物性を調整する目的で、好ましい範囲以外のエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体またはその他の相溶可能なポリマー類を混合しても良い。
【0017】
本発明におけるエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(A)の配合量は25重量%以上50重量%以下である。好ましくは、25重量%以上45重量%以下であり、より好ましくは30重量%以上40重量%以下である。配合量が25重量%未満では接着力が十分に得られず、50重量%より多いとセットタイムが長くなりやすく、耐熱性が低下する。
【0018】
本発明で使用される粘着付与樹脂(B)は、プロピレングリコール点の下限が120℃である。120℃未満であると、糸引きは改善できない。上記粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、脂肪族系樹脂、脂環族系樹脂等が挙げられる。接着剤の凝集力低下抑制、熱安定性、臭気、色調を考慮すると、水添された粘着付与樹脂が好ましい。
【0019】
なお、本明細書においてプロピレングリコール点とは、等容積のプロピレングリコール点と炭化水素又は炭化水素混合物とが均一な溶液として存在する最低温度を意味し、JIS K 2256(1998)「石油製品−アニリン点及び混合アニリン点試験方法」に準拠した方法により測定した。
【0020】
テルペン系樹脂としては、αピネン、βピネン、ジペンテン、テルペンフェノール、スチレン変性テルペン、およびそれらの水素添加品が挙げられ、市販品としてはヤスハラケミカル(株)製の商品名YSレジン、YSポリスター、クリアロンなど、アリゾナケミカル社製の商品名ゾナレッツ、ゾナタック、ナイレッツなどが挙げられる。
【0021】
脂肪族系樹脂は、ナフサ分解油の内のイソプレンやシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンのようなC5系留分を重合して得た樹脂とその水素添加品で、市販品としてはトーネックス(株)製の商品名エスコレッツ1000、日本ゼオン(株)製の商品名クイントン、丸善石油化学(株)製の商品名マルカレッツ、グッドイヤーケミカル製の商品名ウィングタックなどが挙げられる.
【0022】
脂環族系樹脂は分子中に芳香族ではない環状の化合物を持ったものであり、市販品として三井化学(株)製の商品名ハイレッツ、荒川化学工業(株)製の商品名アルコン、トーネックス(株)製の商品名エスコレッツ5000などが挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0023】
(B)成分の軟化点としては、好ましくは、70〜155℃、さらに好ましくは80〜145℃、特に好ましくは、100〜140℃である。70℃未満であるとホットメルトの耐熱性が低くなる。一方、155℃を超えると接着剤のオープンタイムが短くなり、接着性が低下する。
【0024】
本発明において使用される粘着付与樹脂(B)の配合量は30重量%以上50重量%以下である。好ましくは30重量%以上45重量%以下である。30重量%未満では耐熱接着性が得難く、50重量%より多いと糸引きが発生する。
【0025】
本発明で使用されるワックス(C)としては、例えば、パラフィンワックス、フィシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、更に植物油の水添品(カスターワックスなど)などがある。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0026】
(C)成分の融点としては、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは、60〜120℃、特に好ましくは、65〜105℃である。50℃未満であると耐熱性が低下したり冷却時の固化速度が遅くなる。一方、140℃を超えると接着性を低下させる。
【0027】
本発明におけるワックス(C)の配合量は15重量%以上40重量%以下である。好ましくは、20重量%以上30重量%以下である。配合量が15重量%未満では粘度が高くなったり、セットタイムが長くなりやすく、40重量%より多いと接着力が十分に得られない。
【0028】
本発明で使用されるエチレン・不飽和エステル共重合体(D)の成分の不飽和エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチルなどの不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステルなどが挙げられる。市販品の具体例としては、東ソー(株)製、エチレン・酢酸ビニル共重合体、商品名ウルトラセン、住友化学(株)製、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、商品名アクリフト、三井・デュポンポリケミカル(株)製、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、商品名エバフレックスなどがある。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0029】
本発明で使用されるエチレン・不飽和エステル共重合体(D)成分中での不飽和エステルの共重合比は、0.5〜25.5重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。不飽和エステル単位量が上記範囲より大きいものはホットメルト接着剤との相溶性が良くなりすぎるため糸引き易くなる。さらに、(D)成分のメルトフローレート(MFR)は、10g/10分以下の範囲であることが好ましい。10g/10分を越える(D)成分を含有する場合、糸引き易くなる。
【0030】
本発明で使用されるエチレン・不飽和エステル共重合体(D)の配合量は、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)からなる組成物100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは1〜3重量部である。(C)成分量が0.05重量部未満では糸引き易く、また、3重量部を超えると糸引き易くなる。
【0031】
上記ホットメルト接着剤組成物の180℃における溶融粘度は、500〜1700mPa・s、さらに好ましくは700〜1600mPa・sの範囲である。500mPa・s未満であると、接着剤としての凝集力が低下し、一方、1700mPa・sを超えると、塗布性能が低下し、糸引き易くなる。
【0032】
また、本発明では、上記(A)〜(D)成分のほかに、酸化防止剤、他の熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム、滑剤、アンチブロッキング剤、着色防止剤、フィラー、可塑剤、増量剤などを添加して使用してもよい。
【0033】
本発明の接着剤組成物を調製する方法としては、1軸または2軸スクリュー押し出し機、ミキサー、ニーダー、バンバリーミキサーなどの加熱、撹拌、混練機能などを備えた装置を使用し、通常行われる操作で調製できる。各成分の混練は、組成物、使用装置などによって異なるが、通常、120〜180℃、好ましくは130〜160℃で、通常30〜120分間、好ましくは40〜90分間行われる。各成分の混練により得られた接着剤組成物は、溶融タンクから各種ポンプで圧送され、ノズルで間歇的に点またはビード状に、接着剤面に塗布される。本発明の接着剤組成物の塗布温度は、組成物、使用装置などによって異なるが、通常120℃〜220℃、好ましくは140℃〜190℃で行われる。本発明の接着剤組成物を塗布する基材としては、例えば、紙類、木材、プラスチック成型物、プラスチックフィルムが挙げられ、中でもダンボール箱、小型カートンの接着に好適である。
【0034】
以下に本発明の実施例、比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
【0035】
ホットメルト接着剤組成物塗布時の糸引きを評価する方法
下記の装置、条件で1分間ホットメルト接着剤組成物を連続して完結的に吐出した時に発生したクモの巣状の糸の重量を測定して評価した。この方法は、ホットメルト接着剤組成物がノズルで塗布される状況を平均的に再現しており、ホットメルト接着剤組成物アプリケーターのメーカーであるノードソン(株)によって開発されたものを基本にしている。
装置:ホットメルトアプリケーター;ノードソン#3000シリーズ
ポンプ;プランジャー型
ホース;2メートル長さ、内径7ミリメートル
ノズルオリフィス径;20/1000インチ4オリフィス
試験条件:
タンク/ホース/ガン温度;標準180℃(溶融粘度500mPa・s以上になるように温度を調節した。)
ポンプ圧;約3kg/cm2
バルブ開閉パターン;0.03秒開、0.97秒閉
糸引き測定距離;300mm
ホットメルト吐出角度;下向きとなるように調節した。
【0036】
耐熱・耐寒接着性を評価する方法
下記の装置、条件で、25mm×75mmに裁断したダンボールに塗工し、試験片を作成した。次いで、−10℃及び50℃にて、手で強制的に剥離して材料破壊率を測定した。
○:70−100%、×:70%以下
装置:ホットメルトアプリケーター;JTトーシ(株)社製タイプASM−15N
塗工条件:
塗工温度;180℃
基材;クラフトライナーの段ボールBフルート(220g/m2
オープンタイム;2秒
塗布量;2g/m
プレス荷重;2kg
ラインスピード;30m/分
【0037】
実施例1
(A−1)ポリマー1〔エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、商品名:住友化学(株)製アクリフトCM5022、メタクリル酸メチル単位量32%、MFR430g/10分〕40%、(B−1)粘着付与樹脂〔商品名:ヤスハラケミカル(株)製クリアロンP135、水添テルペン樹脂、軟化点135℃〕40%、(C−1)フィシャートロプシュワックス〔商品名:シェルマレーシア社製FT−100、凝固点98℃〕20%、(A)〜(C)からなる組成物100重量部に対して、(D−1)ポリマー1[エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、商品名:住友化学(株)製アクリフトWD203−1、メタクリル酸メチル単位量5%、MFR2g/10分]0.1部、酸化防止剤〔商品名:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス1010〕0.5部を配合し、上記評価方法により、糸の重量を測定した。結果は表1に記載した。
【0038】
実施例2
実施例1の(D−1)ポリマー1の添加量を1部に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0039】
実施例3
実施例1の(D−1)ポリマー1の添加量を3部に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0040】
比較例1
実施例1の(D−1)ポリマー1の添加量を0部に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0041】
比較例2
実施例1の(D−1)ポリマー1の添加量を4部に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0042】
比較例3
実施例1の(A−1)ポリマー1の添加量を20%、(B−1)粘着付与樹脂1の添加量を50%、(C−1)フィシャートロプシュワックスの添加量を30%に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0043】
比較例4
実施例1の(A−1)ポリマー1の添加量を55%、(B−1)粘着付与樹脂1の添加量を30%、(C−1)フィシャートロプシュワックスの添加量を15%に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0044】
比較例5
実施例1の(B−1)粘着付与樹脂1の添加量を25%、(C−1)フィシャートロプシュワックスの添加量を35%に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0045】
比較例6
実施例1の(A−1)ポリマー1の添加量を25%、(B−1)粘着付与樹脂1の添加量を55%に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0046】
比較例7
実施例1の(A−1)ポリマー1の添加量を50%、(B−1)粘着付与樹脂1の添加量を40%、(C−1)フィシャートロプシュワックスの添加量を10%に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0047】
比較例8
実施例1の(A−1)ポリマー1の添加量を25%、(B−1)粘着付与樹脂1の添加量を30%、(C−1)フィシャートロプシュワックスの添加量を45%に変更し、同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0048】
実施例4
実施例1の(A−1)ポリマー1を(A−2)ポリマー2[エチレン・酢酸ビニル共重合体、商品名:東ソー(株)製ウルトラセン0B54A、酢酸ビニル単位量33%、MFR400g/10分]40%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0049】
実施例5
実施例1の(D−1)ポリマー1を(D−3)ポリマー3[エチレン・酢酸ビニル共重合体、商品名:東ソー(株)製ウルトラセン515、酢酸ビニル単位量6%、MFR2.5g/10分]1.0部に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0050】
実施例6
実施例1の(D−1)ポリマー1を(D−4)ポリマー4[エチレン・アクリル酸エチル共重合体、商品名:三井・デュポンポリケミカル(株)製エバフレックス EEA A701、アクリル酸エチル単位量9%、MFR5g/10分]1.0部に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0051】
比較例9
実施例1の(D−1)ポリマー1を(D−5)ポリマー5[エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、商品名:住友化学(株)製アクリフトCM8033、メタクリル酸メチル単位量14%、MFR1.6g/10分]1.0部に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0052】
比較例10
実施例1の(D−1)ポリマー1を(D−7)ポリマー7[エチレン・酢酸ビニル共重合体、商品名:東ソー(株)製ウルトラセン526、酢酸ビニル単位量6%、MFR25g/10分]1.0部に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0053】
実施例7
実施例1の(B−1)粘着付与樹脂1を(B−2)粘着付与樹脂2〔商品名:ヤスハラケミカル(株)製クリアロンM105、水添テルペン樹脂、軟化点105℃〕40%、(D−1)ポリマー1を(D−2)ポリマー2[エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、商品名:住友化学(株)製アクリフトWD201、メタクリル酸メチル単位量10%、MFR2g/10分]1.0部に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0054】
実施例8
実施例1の(B−1)粘着付与樹脂1を(B−3)粘着付与樹脂3〔商品名:出光石油化学(株)製アイマーブP125、水添石油樹脂、軟化点125℃〕40%、(D−1)ポリマー1を(D−2)ポリマー2[エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、商品名:住友化学(株)製アクリフトWD201、メタクリル酸メチル単位量10%、MFR2g/10分]1.0部に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0055】
比較例11
実施例1の(B−1)粘着付与樹脂1を(B−4)粘着付与樹脂2〔商品名:荒川化学工業(株)製タマノル803L、ロジン・フェノール樹脂、軟化点145−160℃〕40%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0056】
比較例12
実施例1の(B−1)粘着付与樹脂1を(B−5)粘着付与樹脂2〔商品名:ヤスハラケミカル(株)製クリアロンK4090、水添テルペン樹脂、軟化点90℃〕40%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0057】
比較例13
実施例1の(A−1)ポリマー1を(A−2)ポリマー2[エチレン・酢酸ビニル共重合体、商品名:東ソー(株)製ウルトラセン0B54A、酢酸ビニル単位量33%、MFR400g/10分]40%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、表1により明らかなように、ノズルによる塗布時に生ずる糸引きを防止し、且つ耐熱・耐寒接着性に優れたホットメルト接着剤組成物を提供することである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸アルキル単位量が20〜45重量%であるエチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体(A)25〜50重量%、プロピレングリコール点が120℃以上の粘着付与樹脂(B)30〜50重量%、ワックス(C)15〜40重量%からなる組成物100重量部に対し、下記式(1)で算出される不飽和エステル単位量差ΔXが19.5重量%以上かつメルトフローレ−ト(g/10分)が10以下であるエチレン・不飽和エステル共重合体(D)を0.05〜3重量部含有することを特徴とするホットメルト接着剤組成物。
【数1】

【請求項2】
エチレン・不飽和エステル共重合体(D)の不飽和エステル単位量が0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
180℃における粘度が500〜1700mPa・sである請求項1、2記載のホットメルト接着剤組成物。



【公開番号】特開2007−284610(P2007−284610A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115551(P2006−115551)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000117319)ヤスハラケミカル株式会社 (85)
【Fターム(参考)】