説明

ホットメルト接着剤

【課題】生理ナプキン等の吸収性物品を下着からずらさず、なおかつ、下着に糊残りを起こさせず、塗工適性にも優れたホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である水素添加型熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤の総重量100重量部に対し、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体8〜16重量部、(B)粘着付与樹脂40〜65重量部、(C)可塑剤25〜40重量部を含有し、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度(30℃、10重量%トルエン溶液)が100〜2600mPa・sであるホットメルト接着剤。生理用ナプキン等の吸収性物品に好適に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤に関し、更に、生理用ナプキン等の吸収性物品に好適なホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品としては、下着やシャツ等の衣服に固定して用いる生理用ナプキンや母乳パッド、また使い捨ておむつ内に固定して用いられる尿パッドのようなものが知られている。これらの吸収性物品は、一般に肌に当接する透湿性トップシートと、下着に当接する不透液性バックシートの間に吸収体を有する。このような吸収性物品の手触り感や着用時のガサツキ感や外観を改良するために、非肌当接面(以下、「下着当接面」ともいう)であるバックシートに不織布を備えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、バックシートに備えられた不織布の繊維中へのホットメルト接着剤の浸透性が不十分なので、接着剤と不織布との接着力が不十分である。これに対し、下着とホットメルト接着剤との接着力は十分なので、吸収性物品を下着から取り外す際、接着剤が吸収性物品から剥れて下着に移って残り得る(以下、「糊残り」ともいう)。糊残りを防止するために、不織布に対する接着剤の浸透性を大きくしすぎると、接着剤と下着との接着力が不十分となり、吸収性物品の下着からのずれを生じ得る。
【0004】
特許文献2では、吸収性物品のバックシートに流動性の異なる接着剤層を2層形成させることで、糊残りの発生を防止する技術を開示する。しかし、複数の接着剤層をバックシートに塗布することは、生産効率上好ましくない。
【0005】
特許文献3は、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン等の水素添加型ブロック共重合体を含むホットメルト接着剤を開示する。
特許文献3に開示されたホットメルト接着剤も、特許文献1と同様、不織布との接着性が十分ではなく、下着との接着性の方が高いので、下着に糊残りを生じ得る。
【0006】
特許文献4は、皮膚に適用する、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン等の水素添加型ブロック共重合体を含むホットメルト接着剤を開示する。
特許文献4では、接着剤の貯蔵弾性率を特定の範囲にすることで、皮膚から取り除く際に残留物のないホットメルト接着剤を提供する。
【0007】
近年、消費者からは生理ナプキン用等の吸収性物品に対してより高い性能が要求されており、下着等への僅かな糊残りの発生も許されない。更には、生理ナプキン等の下着に付着して使用する吸収性物品には、剥がす際に下着に糊残りがないことに加え、生理用ナプキンが下着からずれることなく保持されることも要求される。
従って、ホットメルト接着剤には、生理用ナプキンが下着からずれることなく下着に保持され、かつ、生理用ナプキンを下着から剥がす際に下着に糊残りを発生させず、更に、生理ナプキン等の吸収性物品を製造する際、使い易いように、ホットメルト接着剤自身の塗工適性が良好であることが求められている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−355266号公報
【特許文献2】特開2005−305135号公報
【特許文献3】特開昭63−189485号公報
【特許文献4】特表2004−520112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、生理ナプキン等の吸収性物品を下着からずらすことなく下着に保持することができ、かつ、下着から剥がす際に下着に糊残りを生ずることなく、更に塗工適性にも優れたホットメルト接着剤を提供することを目的とする。さらには、そのホットメルト接着剤を有する吸収性物品を製造する際に、特に非肌当接面であるバックシートに備えられた不織布にホットメルト接着剤を塗布して製造しても又はホットメルト接着剤を離型フィルムに塗布後、離型フィルムから不織布に転写して製造しても、下着に糊残りが起こらない生理用ナプキンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、特定範囲のトルエン粘度を示す水素添加型熱可塑性ブロック共重合体を含む特定の組成を有するホットメルト接着剤は、生理用ナプキンのバックシートとなる不織布への浸透力、凝集力のバランスが良くなり、不織布及び下着の双方に良好な接着性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、第一の要旨において、(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である水素添加型熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤の総重量100重量部に対し、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体8〜16重量部、(B)粘着付与樹脂40〜65重量部、(C)可塑剤25〜40重量部を含有するホットメルト接着剤であって、
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度(30℃、10重量%トルエン溶液)が100〜2600mPa・sであるホットメルト接着剤を提供する。
【0012】
本発明の一の態様において、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体は、水素添加型スチレン系トリブロック共重合体を含んで成るホットメルト接着剤を提供する。
本発明の他の態様において、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体は、さらに、水素添加型スチレン系ジブロック共重合体を含んで成るホットメルト接着剤を提供する。
更に、上述のホットメルト接着剤は、(C)可塑剤はパラフィン系オイルであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様において、25℃、1.6Hzでの貯蔵弾性率G’が1.5×10Pa〜4.5×10Paであるホットメルト接着剤を提供する。
更にまた、本発明のホットメルト接着剤は、140℃での溶融粘度が20000mPa・s未満であることが好ましい。
【0014】
本明細書中において「トルエン粘度」とは、測定対象とする成分(より具体的には、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体)をトルエンに溶かして10重量(wt)%溶液を作成し、液温30℃での粘度をブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド社製)で測定した値をいう。粘度を測定する際、ローターの番号は27を使用する。
(A)ブロック共重合体のトルエン粘度は100mPa・s〜2600mPa・sであり、好ましくは150mPa・s〜2600mPa・sであり、より好ましくは200mPa・s〜500mPa・sであり、最も好ましくは300mPa・s〜460mPa・sである。
【0015】
トップシート及びバックシートの双方に不織布が備えられた吸収性物品にホットメルト接着剤を塗布する際に、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度が100mPa・s未満の場合、最終製品であるホットメルト接着剤の凝集力が小さくなり、不織布との接着が弱くなって糊残りを生ずる。(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度が2600mPa・sを超えると、最終製品であるホットメルト接着剤は、粘度が高くなりすぎるので、塗工性が低下し、生理用ナプキンの不織布に塗工し難くなる。更に、ホットメルト接着剤の不織布内部への浸透性が不十分となるので、下着等の表面に残り易くなり、使用後、下着からナプキンを除くとき、接着剤が下着に付着して糊残りが発生し易くなる。
本発明において「不織布」とは、通常、不織布とされるものであればよいが、例えば繊維のステープルあるいはフィラメントが、接着剤、溶融繊維あるいは機械的方法で接合された布状体をいう。本発明では、特別なものである必要はなく、芯地、フィルター、断熱防音、フェルト、ナプキン、艶出し布、使い捨て布等、一般に用いられるものであれば良い。
【0016】
本発明は、他の要旨において、上記ホットメルト接着剤が塗布された吸収性物品を提供する。
本発明において「吸収性物品」とは、一般に吸収性物品とされるものをいうが、具体的には、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート、病院用ガウン、手術用白衣等を挙げられる。
これら吸収性物品の中でも、本発明では、挿入式吸収性物品、いわゆる、下着の内部に挿入して使用する吸収性物品を提供する。特に肌当接面であるトップシート、及び非肌当接面(又は下着当接面)であるバックシートの双方に不織布等の繊維集合体が備えられ、トップシートとバックシートとの間に介在された綿状パルプ等からなる吸収体を有する生理用ナプキンが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るホットメルト接着剤は、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂及び(C)可塑剤を特定の割合で配合し、かつ、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度(30℃、10重量%トルエン溶液)を特定の範囲に制限することで得られるので、このホットメルト接着剤は、塗工適性に優れており、生理ナプキン等の吸収性物品の生産効率を向上させることができる。
更に、本発明に係るホットメルト接着剤を不織布に塗工すると、不織布に浸透することができ、ホットメルト接着剤の凝集力がある程度大きいので、不織布と接着剤との接着性も大きい。従って、本発明に係るホットメルト接着剤を使用した生理用ナプキン等の吸収性物品を下着等から剥がしたとしても、不織布からホットメルト接着剤が剥がれることはなく、下着等に糊残りも発生しない。また、下着等との接着力も高く維持されているので、ナプキン等の吸収性物品が下着等からずれることもない。
【0018】
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体が、水素添加型スチレン系トリブロック共重合体及び/又は水素添加型スチレン系ジブロック共重合体を含んで成る場合、(A)成分と相溶性の高い(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤が多く知られているので、接着剤の設計の柔軟性が向上し、より他種類の接着剤を得ることが可能となる。
【0019】
(C)可塑剤としてパラフィン系オイルを使用すると、(C)可塑剤と(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体との相溶性により優れるので、たとえ可塑剤を多量に用いた場合でも、ホットメルト接着剤から可塑剤がしみ出し難く、ホットメルト接着剤の経時変化がより小さい。
【0020】
ホットメルト接着剤の140℃の粘度(溶融粘度)を20000mPa・s未満にすると、塗工適性がより向上し、吸収性物品をより効率良く生産することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るホットメルト接着剤は、(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である水素添加型熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤の総重量100重量部に対し、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体8〜16重量部、(B)粘着付与樹脂40〜65重量部、(C)可塑剤25〜40重量部を含有し、
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度(30℃、10重量%トルエン溶液)が100〜2600mPa・sであるホットメルト接着剤である。
【0022】
本発明において、「(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体」とは、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とをブロック共重合し、得られたブロック共重合体における共役ジエン化合物に基づくブロックの全部、若しくは一部が水素添加されたブロック共重合体をいう。本発明の目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に制限されることはない。
【0023】
ここで、「ビニル系芳香族炭化水素」とは、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物を意味し、具体的には、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセン等を例示できる。特にスチレンが好ましい。これらのビニル系芳香族炭化水素は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0024】
「共役ジエン化合物」とは、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物を意味する。「共役ジエン化合物」として、具体的には、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(又はイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンを例示することができる。1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。これらの共役ジエン化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0025】
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体」における水素添加された割合は、「水素添加率」で示される。「(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体」の「水素添加率」とは、共役ジエン化合物に基づくブロックに含まれる全脂肪族二重結合を基準とし、その中で、水素添加されて飽和炭化水素結合に転換された二重結合の割合をいう。この「水素添加率」は、赤外分光光度計及び核磁器共鳴装置等によって測定することができる。
【0026】
本発明における好ましい態様として、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体は、水素添加型スチレン系トリブロック共重合体を含んで成るものである。特に好ましい形態として、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体は、さらに、水素添加型スチレン系ジブロック共重合体を含んで成るものが望ましい。
水素添加型スチレン系トリブロック共重合体の具体例として、SEPSトリブロック共重合体、SEBSトリブロック共重合体、SEEPSトリブロック共重合体、SEEBSトリブロック共重合体が挙げられる。
【0027】
SEPSトリブロック共重合体とは、スチレンポリマーブロックの末端ブロックと、エチレン構造とプロピレン構造とが混在した中央ブロックとで構成されたブロック共重合体、即ち、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体である。
SEBSトリブロック共重合体とは、スチレンポリマーブロックの末端ブロックと、エチレン構造とブチレン構造とが混在した中央ブロックとで構成されたブロック共重合体、即ち、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体である。
SEEPSとは、スチレン末端ブロックと、水素化イソプレン/ブタジエンの中央ブロックとのブロック共重合体である。
【0028】
水素添加型スチレン系ジブロック共重合体の具体例として、SEBジブロック共重合体、SEPジブロック共重合体が挙げられる。SEBジブロック共重合体とは、スチレンブロックと、水素化ブタジエンブロックとのブロック共重合体であり、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体である。SEPジブロック共重合体とは、スチレンブロックと、水素化イソプレンブロックとのブロック共重合体であり、スチレン-エチレン-プロピレン共重合体である。
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体として、これらのトリブロック共重合体、ジブロック共重合体は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
SEEPSの市販品として、クラレ社製のセプトン4033、4044及び4055(商品名)が挙げられ、
SEBSの市販品としては、クレイトンポリマー社製のクレイトンG1657、G1650、G1654及びG1651(商品名)が挙げられ、
SEPの市販品として、クレイトンポリマー社製のクレイトンG1701及びG1702(商品名)が挙げられる。
【0029】
本発明に係る(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体の「トルエン粘度」は、100mPa・s〜2600mPa・sであり、好ましくは150mPa・s〜2600mPa・sであり、より好ましくは200mPa・s〜500mPa・sであり、最も好ましくは300mPa・s〜460mPa・sである。尚、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体の「トルエン粘度」は、(A)ブロック共重合体をトルエンに溶かして10重量(wt)%溶液を作成し、液温30℃での粘度をブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド社製)で測定した値をいう。粘度を測定する際、ローターの番号は27を使用する。
【0030】
本発明における、(B)粘着付与樹脂は、ホットメルト接着剤に通常使用されるものであって、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に限定されることはない。
そのような(B)粘着付与樹脂として、例えば、天然ロジン、変性ロジン、水添ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、水添ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの3次元ポリマー、水添テルペンのコポリマーの水素化誘導体、ポリテルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体、脂肪族石油炭化水素樹脂、脂肪族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体、芳香族石油炭化水素樹脂、芳香族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体、環状脂肪族石油炭化水素樹脂、環状脂肪族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体を例示することができる。これらの粘着付与樹脂は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。粘着付与樹脂は、色調が無色〜淡黄色であって、臭気が実質的に無く熱安定性が良好なものであれば、液状タイプの粘着付与樹脂も使用できる。これらの特性を総合的に考慮すると、粘着付与樹脂として、樹脂等の水素化誘導体が好ましい。
【0031】
(B)粘着付与樹脂として、市販品を用いることができる。そのような市販品として例えば、エクソン社製のECR5400、ECR179EX(商品名)、ECR231C(商品名)、丸善石油化学社製のマルカクリヤーH(商品名)、安原化学社製のクリアロンK100(商品名)、荒川化学社製のアルコンM100(商品名)、出光石油化学社製のアイマーブS100(商品名)、安原化学社製のクリアロンK4090(商品名)及びクリアロンK4100、イーストマンケミカル社製のリガライトR7100(商品名)を例示することができる。これらの市販の粘着付与樹脂は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0032】
更に本発明において、(C)可塑剤は、ホットメルト接着剤の溶融粘度低下、柔軟性の付与、被着体への濡れ向上を目的として配合され、ブロック共重合体に相溶し、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に限定されるものではない。
(C)可塑剤として、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル及び芳香族系オイルを挙げることができる。特にパラフィン系オイル及び/又はナフテン系オイルが好ましく、無色、無臭であるパラフィン系オイルが最も好ましい。
【0033】
(C)可塑剤の市販品の一例として、例えば、Kukdong Oil&Chem社製のWhite Oil Broom350(商品名)、出光興産社製のダイアナフレシアS32(商品名)、ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)、ダフニ−オイルKP−68(商品名)、BPケミカルズ社製のEnerperM1930(商品名)、Crompton社製のKaydol(商品名)、エクソン社製のPrimol352(商品名)、出光興産社製のプロセスオイルNS−100(商品名)を例示することができる。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0034】
本発明に係るホットメルト接着剤は、上述の(A)、(B)及び(C)を含有する。
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体の配合量は、(A)、(B)及び(C)の合計を100重量部として、8〜16重量部であり、特に10〜15重量部であることがより好ましい。配合量が8重量部未満の場合、ホットメルト接着剤の凝集力が低下し、不織布との接着力が弱くなり、下着に糊残りが発生する可能性がある。配合量が16重量部を超えると、ホットメルト接着剤が不織布に浸透し難くなり下着との接着力が強くなるので、糊残りが発生し易くなる。
【0035】
(B)粘着付与樹脂の配合量は、(A)、(B)及び(C)の合計を100重量部として、40〜65重量部であり、特に45〜60重量部であることがより好ましく、50〜60重量部であることが最も好ましい。配合量が40重量部未満の場合にはホットメルト接着剤の粘着力及び接着性が低下し、65重量部を超える場合にはホットメルト接着剤が脆くなり、接着性が低下し得る。
【0036】
(C)可塑剤の配合量は、(A)、(B)及び(C)の合計を100重量部として、25〜40重量部であり、特に25〜35重量部であることがより好ましく、25〜33重量部であることが最も望ましい。配合量が25重量部未満では、ホットメルト接着剤の不織布への浸透性が不十分と成り得、下着等への糊残りを生じ得る。ホットメルト接着剤の柔軟性低下、タック力低下も生じ得る。40重量部を超えると、ホットメルト接着剤の凝集力低下により接着強度が低下し、生理用ナプキン等の吸収性物品のズレを生じ得る。
【0037】
本発明に係るホットメルト接着剤は、必要に応じて、更に各種添加剤を含んでもよい。そのような各種添加剤として、例えば、安定化剤、ワックス、及び微粒子充填剤を例示することができる。
「安定化剤」とは、ホットメルト接着剤の熱による分子量低下、ゲル化、着色、臭気の発生等を防止して、ホットメルト接着剤の安定性を向上するために配合されるものであり、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に制限されるものではない。「安定化剤」として、例えば酸化防止剤及び紫外線吸収剤を例示することができる。
【0038】
「紫外線吸収剤」は、ホットメルト接着剤の耐光性を改善するために使用される。「酸化防止剤」は、ホットメルト接着剤の酸化劣化を防止するために使用される。酸化防止剤及び紫外線吸収剤は、一般的に使い捨て製品に使用されるものであって、後述する目的とする使い捨て製品を得ることができるものであれば使用することができ、特に制限されるものではない。
【0039】
酸化防止剤として、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を例示できる。紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を例示できる。更に、ラクトン系安定剤を添加することもできる。これらは単独又は組み合わせて使用することができる。市販品として、以下の製品を使用することができる。具体的には、住友化学工業(株)製のスミライザーGM(商品名)、スミライザーTPD(商品名)及びスミライザーTPS(商品名)、チバスペシャリティーケミカルズ社製のイルガノックス1010(商品名)、イルガノックスHP2225FF(商品名)、イルガフォス168(商品名)及びイルガノックス1520(商品名)、チヌビンP、城北化学社製のJF77(商品名)、エーピーアイコーポレーション製のトミノックスTT(商品名)を例示することができる。これら安定化剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0040】
「ワックス」とは、ホットメルト接着剤に一般的に用いられるワックスであって、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)等の合成ワックス系;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス;
カスターワックスなどの天然ワックス;
等を例示できる。
【0041】
本発明のホットメルト接着剤は、更に、微粒子充填剤を含むことができる。微粒子充填剤は、一般に使用されているものであれば良く、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができる限り特に限定されることはない。「微粒子充填剤」として、例えば雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、焼成クレー、澱粉等を例示できる。これらの形状は、好ましくは球状であり、その寸法(球状の場合は直径)については特に限定されるものではない。
【0042】
本発明に係るホットメルト接着剤は、一般的に知られているホットメルト接着剤の製造方法を用いて、(A)、(B)及び(C)、更に必要に応じて各種添加剤を配合して製造することができる。例えば、上述の成分を所定量配合し、加熱溶融して製造することができる。目的とするホットメルト接着剤を得ることができる限り、各成分を加える順序、加熱方法等は、特に制限されるものではない。
【0043】
本発明に係るホットメルト接着剤は、25℃、1.6Hzでの貯蔵弾性率G’が1.5×10Pa〜4.5×10Paであることが好ましい。貯蔵弾性率Gが1.5×10Pa未満の場合、ホットメルト接着剤の凝集力が小さくなりホットメルト接着剤そのものが凝集破壊するため、下着に糊残りが発生する可能性がある。貯蔵弾性率G’が4.5×10Paを超える場合、ホットメルト接着剤が不織布に浸透しずらくなり、下着へ糊残りが発生し易くなる。
弾性、粘性を併せ持つ高分子の力学的特性を分析する方法として、動的粘弾性測定方法があるが、貯蔵弾性率G’とは、弾性に相当する特性値である。貯蔵弾性率G’を測定するときは、動的粘弾性測定装置によって、周波数を1.6Hzに固定し、固体せん断モードで測定される。
【0044】
さらなる好ましい態様として、本発明のホットメルト接着剤は、140℃での粘度(又は溶融粘度)が20000mPa・s未満であることが好ましく、12000mPa・s未満であることがより好ましく、2000〜7000mPa・sであることが特に好ましい。本明細書では、溶融粘度は、27番ローターを用い、ブルックフィールド粘度計で測定された値とする。
トップシート及びバックシートの双方に不織布が備えられた生理用ナプキンにホットメルト接着剤を塗布する場合、140℃での粘度が20000mPa・sを超えると、ホットメルト接着剤の塗工適性が低下し、更には、ホットメルト接着剤が不織布に浸透し難くなるので、下着への糊残りが発生し得る。
【0045】
本発明に係るホットメルト接着剤は、紙加工、製本、使い捨て製品等、幅広く利用されるが、湿潤状態での接着に優れているので、吸収性物品に特に有効に利用される。「吸収性物品」とは、いわゆる衛生材料であれば、特に限定されるものではない。具体的には紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート、病院用ガウン、手術用白衣等を例示できる。
吸収性物品は、織布、不織布、ゴム、樹脂、紙類、ポリオレフィンフィルムからなる群から選択される少なくとも一種の部材に本発明に係るホットメルト接着剤を塗布することで構成される。尚、ポリオレフィンフィルムは、耐久性及びコスト等の理由からポリエチレンフィルムが好ましい。
【0046】
本発明に係るホットメルト接着剤は、生理用ナプキンに好適である。一般的に生理用ナプキンは、例えば、トップシートとバックシートとの間に吸収体を有し、トップシートが肌に当接し、バックシートが下着等に当接する。本発明に係るホットメルト接着剤は、特に生理用ナプキンの非肌当接面であるバックシートに備えられた不織布等の繊維集合体に塗布されることで最も効果を発揮する。ホットメルト接着剤が塗布された不織布と下着との接着力を強くすることによって、生理用ナプキンが下着からずれなくなる。本発明のホットメルト接着剤を不織布に塗布し又は離型フィルムから不織布に転写することで、下着からのズレを防止するだけでなく、下着への糊残りの発生をも防止することが可能となる。
【0047】
不織布としては、一般的に生理用ナプキン等の吸収性物品に使用されているものであれば差支えないが、特に目付け量が12〜30g/mのものが使用される。バックシート外面側にも不織布を設けるため、冷たい感触を与えるプラスチックシートの外観および触感が改善されるようになる。また、前記不織布として特に、手触り感を柔軟なものとするために、目付量15〜25g/m、厚み0.10〜1.40mm、密度0.05〜0.15g/mの不織布が生理用ナプキンとしてより好適である。
【0048】
吸収性物品の製造ラインでは、一般に使い捨て製品の各種部材(例えば、剥離紙、ティッシュ、コットン、不織布、ポリオレフィンフィルム等)にホットメルト接着剤を塗布する。塗布の際、ホットメルト接着剤を、種々の噴出機から噴出して使用してよい。
ホットメルト接着剤を塗布する方法は、目的とする吸収性物品を得ることができる限り、特に制限されるものではない。そのような塗布方法は、接触塗布、非接触塗布に大別される。「接触塗布」とは、ホットメルト接着剤を塗布する際、噴出機を部材やフィルムに接触させる塗布方法をいい、「非接触塗布」とは、ホットメルト接着剤を塗布する際、噴出機を部材やフィルムに接触させない塗布方法をいう。接触塗布方法として、例えば、スロットコーター塗工及びロールコーター塗工等を例示でき、非接触塗布方法として、例えば、螺旋状に塗布できるスパイラル塗工、波状に塗布できるオメガ塗工やコントロールシーム塗工、面状に塗布できるスロットスプレー塗工やカーテンスプレー塗工、点状に塗工できるドット塗工などを例示できる。
【0049】
上記塗工方法でホットメルト接着剤を塗工し、吸収性物品を製造する。吸収性物品としては、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート、病院用ガウン、手術用白衣等が挙げられるが、不織布を構成要件とする生理用ナプキンが本発明のホットメルト接着剤の効果を最も発揮できる。
【0050】
本発明の主な態様を以下に記載する。
1.(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である水素添加型熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤の総重量100重量部に対し、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体8〜16重量部、(B)粘着付与樹脂40〜65重量部、(C)可塑剤25〜40重量部を含有するホットメルト接着剤であって、
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度(30℃、10重量%トルエン溶液)が100〜2600mPa・sであるホットメルト接着剤。
2.(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体は、水素添加型スチレン系トリブロック共重合体を含んで成る上記1に記載のホットメルト接着剤。
3.(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体は、さらに、水素添加型スチレン系ジブロック共重合体を含んで成る上記2に記載のホットメルト接着剤。
4.(C)可塑剤はパラフィン系オイルを含む上記1〜3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
5.25℃、1.6Hzでの貯蔵弾性率G’が1.5×10Pa〜4.5×10Paである上記1〜4のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
6.140℃での溶融粘度が20000mPa・s未満である上記1〜5のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
7.上記1〜6のいずれかに記載のホットメルト接着剤が塗布された吸収性物品。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を更に詳細に、より具体的に説明することを目的として、実施例を用いて本発明を説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら制限するものではない。
(1)ホットメルト接着剤を配合するための成分を、以下に示す。
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体
(A1)SEEPSトリブロック共重合体(クレイトンポリマー社製 商品名Septon033)
(A2)SEEPSトリブロック共重合体(クレイトンポリマー社製 商品名Septon4044)
(A3)SEEPSトリブロック共重合体(クレイトンポリマー社製 商品名Septon4055)
(A4)SEPジブロック共重合体(クレイトンポリマー社製 商品名KratonG1702)
(A5)SEBSトリブロック/ジブロック共重合体(クレイトンポリマー社製 商品名KratonG1657)
(A6)SEBSトリブロック共重合体(クレイトンポリマー社製 商品名KratonG1650)
(A7)SEBSトリブロック共重合体(クレイトンポリマー社製 商品名KratonG1654)
(A’)熱可塑性ブロック共重合体
(A1’)SBSトリブロック共重合体(旭化成社製 AsapreneT420)
(A2’)SBSトリブロック共重合体(旭化成社製 AsapreneT430)
上述成分のトルエン粘度(mPa・s)(液温30℃、10重量%トルエン溶液)は、下記の通りである:
(A1)は50、(A2)は460、(A3)は5800、(A4)は212、(A5)は66、(A6)は46、(A7)は318である。
(A1)〜(A7)の粘度は、ブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド社製)を使用し、ローター番号27を用いて測定した。
【0052】
(B)粘着付与樹脂
(B1)芳香族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体(エクソン社製商品名ECR179EX)
(B2)環状脂肪族石油炭化水素樹脂の水素化誘導体(エクソン社製商品名ECR5400)
(C)可塑剤
(C1)パラフィン系低粘度オイル(出光興産社製商品名ダイアナフレシアS−32)
(C2)パラフィン系高粘度オイル(出光興産社製商品名ダフニーオイルKP−68)
(C3)ナフテン系オイル(出光興産社製商品名プロセスオイルNS−100)
【0053】
(D)酸化防止剤
(D1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
(チバスペシャルティーケミカルズ社製商品名イルガノックス1010)
(D2)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(チバスペシャルティーケミカルズ社製商品名チヌビンP)
これらの成分を表1〜4に示す割合で配合し、約150℃で約2時間かけて万能攪拌機を用いて溶融混合し、実施例1〜12及び比較例1〜10のホットメルト接着剤を調製した。
【0054】
(2)上述のホットメルト接着剤について、140℃での粘度、貯蔵弾性率G’、初期接着力(又は接着強度)(ズレ止め性能)、糊残りを評価した。初期接着力、糊残りについては、不織布にホットメルト接着剤を転写してサンプルを作成し、評価した。以下に各評価の概要ついて記載する。
<140℃での粘度(mPa・s):塗工適性>
140℃の温度でホットメルト接着剤を溶融させ20分後、ブルックフィールド粘度計を用い、27番のローターで粘度を測定した。評価は以下のとおりである。
◎ ・・・ 140℃における溶融粘度が7000mPa・s未満
○ ・・・ 140℃における溶融粘度が7000mPa・s〜20000mPa・s
× ・・・ 140℃における溶融粘度が20000mPa・sを超える
【0055】
<貯蔵弾性率 G’(Pa)>
ユービーエム社製の動的粘弾性測定装置(Rheogel−E4000)を用いた。周波数を1.6Hzに固定し、固体せん断モードで温度スキャン(−50〜120℃)することによりホットメルト接着剤の貯蔵弾性率を測定した。
【0056】
<サンプル作製方法>
スロットコーター(サンツール社製)を用いて、離型処理を施した剥離紙に、ホットメルト接着剤を50μmの厚さで15mmの幅で塗布した。塗布後、剥離紙と不織布とを貼り合わせて自重の圧力(0.25kgf/cm)でプレスし、ホットメルト接着剤を不織布側へ転写させてサンプルとした。
【0057】
<初期接着力(ズレ止め性能)>
作製したサンプルを、30分以上、20℃、65%Rhの環境下で養生させた。その後、被着体である綿(カナキン1号)に貼付し2kgローラーを1往復させることで加圧した。その後、テンシロン試験機(JTトーシ社製)を用いてT型剥離により接着強度を測定した。テンシロンでの測定環境は、20℃、65%Rh、剥離速度300mm/minとした。
◎ ・・・ 不織布Aと不織布Bの平均剥離強度が100(g/15mm)を超える
○ ・・・ 不織布Aと不織布Bの平均剥離強度が50〜100(g/15mm)
× ・・・ 不織布Aと不織布Bの平均剥離強度が50(g/15mm)以下
【0058】
<糊残り>
作製したサンプルを、被着体である綿(カナキン1号)に貼り付けステンレス板SUS304(30×110×1.5mm)をのせ、その上に1kgの荷重をかけて40℃、80Rh%の環境下で24時間放置した。放置後、同環境下でコットンを引き剥がし、糊残りの程度を確認した。
◎ ・・・ 糊残りなし
○ ・・・ 糊残りはないが,剥離の際ホットメルト接着剤が浮く。
× ・・・ 糊残りあり
×× ・・・ 著しく糊残り、または不織布が破れる。
【0059】
【表1】

1)30℃での成分(A)の10重量%でのトルエン粘度
2)140℃でのホットメルト接着剤の溶融粘度
3)バックシート:不織布A(20.7g/m
4)バックシート:不織布B(15.4g/m
【0060】
【表2】

1)30℃での成分(A)の10重量%でのトルエン粘度
2)140℃でのホットメルト接着剤の溶融粘度
3)バックシート:不織布A(20.7g/m
4)バックシート:不織布B(15.4g/m
【0061】
【表3】

1)30℃での成分(A)の10重量%でのトルエン粘度
2)140℃でのホットメルト接着剤の溶融粘度
3)バックシート:不織布A(20.7g/m
4)バックシート:不織布B(15.4g/m
【0062】
【表4】

1)30℃での成分(A)の10重量%でのトルエン粘度
2)140℃でのホットメルト接着剤の溶融粘度
3)バックシート:不織布A(20.7g/m
4)バックシート:不織布B(15.4g/m
【0063】
表1〜2に示されるように、実施例1〜12の接着剤は、初期接着力が高く、下着へ付着することがなく、塗工適性にも優れている。従って、生理用ナプキンのバックシート(不織布部分)に実施例1〜12の接着剤を塗布した場合、生理ナプキンは下着からずれることなく保持され、下着からナプキンを剥がす際に、糊残りが発生することもない。
これに対し、比較例1〜10の接着剤は、表3〜4に見られるように、いずれも糊残りを発生させる。比較例5、6、7、8、10の接着剤の組成を見ると、実施例1〜12の接着剤組成と大きく異なることはないが、ホットメルト接着剤の原料である(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度(10重量%、30℃)が大きく異なっている。このように、生理用ナプキン等の吸収性物品に使用するホットメルト接着剤を開発する場合、組成だけではなく、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度も非常に重要であることが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である水素添加型熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤の総重量100重量部に対し、(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体8〜16重量部、(B)粘着付与樹脂40〜65重量部、(C)可塑剤25〜40重量部を含有するホットメルト接着剤であって、
(A)水素添加型熱可塑性ブロック共重合体のトルエン粘度(30℃、10重量%トルエン溶液)が100〜2600mPa・sであるホットメルト接着剤。
【請求項2】
請求項1に記載のホットメルト接着剤が塗布された吸収性物品。

【公開番号】特開2008−297441(P2008−297441A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145228(P2007−145228)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(391047558)ヘンケルテクノロジーズジャパン株式会社 (43)
【Fターム(参考)】