説明

ホットメルト組成物

【課題】本発明は、低透湿性、密着性、作業性に優れたホットメルト組成物を提供する。
【解決手段】本発明のホットメルト組成物は、(a)スチレン−イソブチレン−スチレンのトリブロック共重合体と、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体と、(c)粘着性付与樹脂とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用されるもの、例えば建材等は、その外部からの湿度や雨による影響を避けるため、その外殻がシール材によってシールされた状態で使用されることが多い。また、電器部材等も、外部からの湿度による影響を避けるため、部材の周辺をシール材によってシールされた状態で使用されることが多い。
【0003】
さて、このようなシール材としては、従来から、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、ポリサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチルゴム等を使用するのが一般的であった。しかしながら、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂は低透湿性が不充分であり、ポリサルファイド樹脂は柔軟性や可撓性が不充分であり、ブチルゴムは接着強度が不充分であるという問題があった。
【0004】
一方、液体や湿度を透過しにくい樹脂の一種として、スチレン−イソブチレン−スチレンのトリブロック共重合体(以下SIBSと省略する。)を含有する重合体組成物などが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、これらの重合体組成物等は、成形用の樹脂として開発されたものであるため、シール材として使用するには密着性に問題があった。
【0005】
また、SIBSを含有する粘着物性に優れた粘着剤組成物として、SIBS、粘着付与剤樹脂及び軟化剤を含む粘着剤組成物が開示されている(特許文献2を参照。)。しかしながら、この粘着剤組成物は軟化剤を含むため、屋外で使用するには防汚性に劣るとともに、低透湿性も不充分であるとの問題があった。
【0006】
このように、従来からある組成物等は屋外使用部材や電器部材のシール材に適した性質を完全には備えておらず、低透湿性、基材への密着性、作業性に優れたシール材が求められている。
【特許文献1】特開平07−188509号公報
【特許文献2】特公平07−057865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、低透湿性、密着性、作業性に優れたホットメルト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は以下のような構成とした。すなわち、本発明の請求項1に記載のホットメルト組成物は、(a)スチレン−イソブチレン−スチレンのトリブロック共重合体と、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体と、(c)粘着性付与樹脂と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載のホットメルト組成物は、請求項1に記載のホットメルト組成物において、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体中のαオレフィン含量が5重量%〜30重量%であり、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体の溶融粘度が2,000mPa・s〜20,000mPa・sであることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載のホットメルト組成物は、請求項1又は請求項2に記載のホットメルト組成物において、(a)トリブロック共重合体のスチレン含量が5重量%〜50重量%であり、数平均分子量が30,000〜500,000であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載のホットメルト組成物は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のホットメルト組成物において、(a)トリブロック共重合体100重量部と、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体10〜100重量部と、(c)粘着性付与樹脂50〜150重量部とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に記載のホットメルト組成物は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のホットメルト組成物において、JIS Z0208-1976「防湿包装材料の湿度試験方法(カップ法)」の条件Bに準拠して測定された厚さ300μmのときの透湿度が、0.01g/m2・24h〜5g/m2・24hであることを特徴とする。
【0013】
(a)トリブロック共重合体
(a)トリブロック共重合体は、スチレン−イソブチレン−スチレンのトリブロック共重合体である。また、(a)トリブロック共重合体は、一種類単独ではなく複数種を混合して使用してもよい。
【0014】
(a)トリブロック共重合体のスチレン含量は、特に制限されないが、5重量%〜50重量%が好ましく、10重量%〜35重量%がより好ましい。スチレン含量が、5重量%未満では、ホットメルト組成物が軟らかくなり過ぎることがある。スチレン含量が、50重量%を超えると、ホットメルト組成物が硬くなり過ぎるとともに低透湿性が悪くなることがある。
【0015】
(a)トリブロック共重合体の数平均分子量は、特に制限されないが、30,000〜500,000が好ましく、30,000〜150,000がより好ましい。数平均分子量が、30,000未満では、ホットメルト組成物が軟らかくなり過ぎることがある。また、数平均分子量が、500,000を超えると、ホットメルト組成物の溶融時の粘度が高くなり過ぎることがある。
【0016】
このような(a)トリブロック共重合体は、前記の条件を満たしていれば特に制限することなく公知の製造方法で製造すればよく、市販のものを購入してもよい。なお、市販しているものとしては、例えば、カネカ社製商品名SIBSTAR 073T、SIBSTAR 072T等が挙げられる。
【0017】
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体は、プロピレンを主成分とする共重合体である。そして、プロピレン−αオレフィン共重合体を構成するαオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ネオヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。これらのαオレフィンは、共重合体中に単一のαオレフィンで用いられてもよいし、複数のαオレフィンで用いられてもよい。プロピレン−αオレフィン共重合体のなかでも、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体が好ましい。また、プロピレン−αオレフィン共重合体は、ホットメルト組成物中に一種類単独ではなく、複数種を混合して使用してもよい。
【0018】
なお、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体は、粘着性が良くなるため、ランダム共重合体が好ましく、低温柔軟性を考慮するため、非晶質であるほうが好ましい。
【0019】
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体中のαオレフィン含量は、主成分より少なければ特に制限されないが、5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜15重量%がより好ましい。αオレフィン含量が、5重量%未満であれば低透湿性が悪くなったり、低温可撓性が悪くなったりすることがある。また、αオレフィン含量が、30重量%を超えれば耐熱性が低下することがある。
【0020】
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体の溶融粘度は、特に制限されないが、2,000mPa・s〜20,000mPa・sが好ましい。溶融粘度が、2,000mPa・s未満であれば低透湿性が悪くなったり、低温可撓性が悪くなったりすることがある。また、溶融粘度が、20,000mPa・sを超えるとホットメルト組成物の流動性に劣ることがある。なお、ここでいう溶融粘度とは、ASTM D3236に従って190℃にて測定した値のことである。
【0021】
このような(b)プロピレン−αオレフィン共重合体は、前記の条件を満たしていれば特に制限することなく公知の製造方法で製造すればよく、市販のものを購入してもよい。なお、市販しているものとしては、例えば、レクスタック社製商品名RT2215、RT2304、RT2535、RT2715、RT2730等が挙げられる。
【0022】
ホットメルト組成物中のプロピレン−αオレフィン共重合体の含量は、特に制限されないが、トリブロック共重合体100重量部に対して、10重量部〜100重量部が好ましく、20重量部〜50重量部がより好ましい。プロピレン−αオレフィン共重合体の含量が、10重量部未満では、ホットメルト組成物を用いて接着したときの密着性が悪くなることがある。また、プロピレン−αオレフィン共重合体の含量が、100重量部を超えると、ホットメルト組成物の低透湿性が悪くなることがある。
【0023】
(c)粘着性付与樹脂
(c)粘着性付与樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5C9系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等の石油系樹脂等を挙げることができ、これらの中でも前記樹脂の水添又は部分水添樹脂が好ましく、水添C9系樹脂、部分水添C9系樹脂、水添ジシクロペンタジエン系樹脂がより好ましい。また、粘着性付与樹脂は、一種類単独ではなく複数種を混合して使用してもよい。
【0024】
このような(c)粘着性付与樹脂は、前記の条件を満たしていれば特に制限することなく公知の製造方法で製造すればよく、市販のものを購入してもよい。なお、市販しているものとしては、例えば、エクソン・モービル社製商品名ECR5380、荒川化学社製商品名Arkon P90、Arkon M100、出光興産社製商品名 Imarv P100等が挙げられる。
【0025】
ホットメルト組成物中の粘着性付与樹脂の含量は、特に制限されないが、トリブロック共重合体100重量部に対して、50重量部〜150重量部が好ましく、70重量部〜130重量部がより好ましい。粘着性付与樹脂の含量が、50重量部未満では、ホットメルト組成物の溶融時の粘度が高くなりすぎるとともに、ホットメルト組成物を使用して接着したときの密着性が悪くなることがある。また、粘着性付与樹脂の含量が、150重量部を超えると、ホットメルト組成物の低温可撓性が悪くなることがある。
【0026】
(d)添加剤
なお、本発明のホットメルト組成物は、(a)トリブロック共重合体、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体、(c)粘着性付与樹脂に加えて、本発明の目的を本質的に妨げない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤を添加することができ、この他にも充填剤、増量剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、軟化剤(可塑剤)、プロセスオイル、熱安定剤、光安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等を添加することができる。
【0027】
酸化防止剤としては、例えば、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。なお、市販の酸化防止剤としては、例えばエーピーアイコーポレーション社製商品名トミノックスTTが挙げられる。
【0028】
紫外線吸収剤としては、例えば、2(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシ-ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。なお、市販の紫外線吸収剤としては、例えばエーピーアイコーポレーション社製商品名トミソーブ100が挙げられる。
【0029】
(e)調製方法
本発明のホットメルト組成物は、必須の成分である(a)トリブロック共重合体、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体、(c)粘着性付与樹脂を所定の割合で配合し混練することにより調製する。混練は通常用いられている方法、例えばニーダー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等を用いる方法により行うことができる。また、混練に際しての加熱温度は、通常150℃〜250℃の範囲が適当である。
【0030】
(f)透湿度
前記のようにして調製されたホットメルト組成物は、その透湿度が以下の条件を満たしていることが望ましい。JIS Z0208-1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の条件Bに準拠して測定された厚さ300μmのときの透湿度(以下、40℃90%RH透湿度と省略する。)が、0.01g/m2・24h〜5g/m2・24hであるのが好ましく、0.01g/m2・24h〜2g/m2・24hであるのがより好ましい。また、5g/m2・24hを超えると、ホットメルト組成物を用いてシールしたものの中が湿気を帯びた状態となることがある。
【0031】
前記40℃90%RH透湿度を所望の範囲とするためには、(a)トリブロック共重合体、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体、(c)粘着性付与樹脂を、適宜良好な配合部数となるよう制御すればよい。
【0032】
本発明のホットメルト組成物は、その用途として例えば、積層部材の周辺をシール又は貼り合わせるために用いることができる。従って、本発明のホットメルト組成物を用いることにより、周辺をシール又は貼り合わせられた積層製品を得ることができる。これらの積層製品は、外部から湿気が入ってこないため、高い耐久性を有するという利点がある。本発明のホットメルト組成物を使用する積層製品としては、例えば、電器部材、建材などが挙げられ、具体的には、例えば、ICカード、回路・端子ボックス、複層ガラスなどが挙げられる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のホットメルト組成物は、上述の構成よりなるので、低透湿性、密着性、作業性に優れたものとなる。また、本発明のホットメルト組成物を使用することにより、外部から湿気が入ってくることなく耐久性に優れた積層製品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明の具体的な実施例をその比較例と対比させて詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
(a)トリブロック共重合体(カネカ社製商品名SIBSTAR 073T、スチレン含量30重量%、数平均分子量70,000)50重量部と、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体(レクスタック社製商品名RT2215、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量3重量%、溶融粘度1,500mPa・s)10重量部と、(c)粘着性付与樹脂(エクソン・モービル社製商品名ECR5380、水添ジシクロペンタジエン系樹脂)50重量部と、酸化防止剤(エーピーアイコーポレーション社製商品名トミノックスTT)0.4重量部と、紫外線吸収剤(エーピーアイコーポレーション社製商品名トミソーブ100)1重量部と、を230℃の加熱ニーダーで均一に混練して、ホットメルト組成物を得た。
【0036】
(実施例2)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名RT2304(プロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量6重量%、溶融粘度400mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0037】
(実施例3)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名RT2535(プロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量15重量%、溶融粘度3,000mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0038】
(実施例4)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名RT2715(プロピレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン含量15重量%、溶融粘度1,500mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0039】
(実施例5)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名 RT2730(プロピレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン含量15重量%、溶融粘度3,000mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0040】
(実施例6)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体であるレクスタック社製RT2730を10重量部配合するのではなく、25重量部配合したこと以外は、実施例5と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0041】
(実施例7)
(c)粘着性付与樹脂をエクソン・モービル社製商品名ECR5380から、荒川化学社製商品名Arkon P90(水添C9系樹脂)に変更した以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0042】
(実施例8)
(c)粘着性付与樹脂をエクソン・モービル社製商品名ECR5380から、荒川化学社製商品名Arkon M100(部分水添C9系樹脂)に変更した以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0043】
(実施例9)
(c)粘着性付与樹脂をエクソン・モービル社製商品名ECR5380から、出光興産社製商品名 Imarv P100(水添ジシクロペンタジエン系樹脂)に変更した以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0044】
(実施例10)
(a)トリブロック共重合体をカネカ社製商品名SIBSTAR 073Tから、カネカ社製商品名SIBSTAR 072Tに変更した以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0045】
(実施例11)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名RT2280(プロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量3重量%、溶融粘度8,000mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0046】
(実施例12)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名RT2385(プロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量6重量%、溶融粘度8,000mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0047】
(実施例13)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名RT2585(プロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量15重量%、溶融粘度8,000mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0048】
(実施例14)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体をレクスタック社製RT2215から、レクスタック社製商品名RT2780(プロピレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン含量15重量%、溶融粘度8,000mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0049】
(実施例15)
(c)粘着性付与樹脂をエクソン・モービル社製商品名ECR5380から、荒川化学社製商品名Arkon P100(水添C9系樹脂)に変更した以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0050】
(実施例16)
(c)粘着性付与樹脂をエクソン・モービル社製商品名ECR5380から、荒川化学社製商品名Arkon P140(水添C9系樹脂)に変更した以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0051】
(比較例1)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体を加えないこと以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0052】
(比較例2)
(c)粘着性付与樹脂を加えないこと以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得ようとしたが、溶融粘度が著しく高く、溶融混合できなかった。
【0053】
(比較例3)
(a)トリブロック共重合体を加えないこと以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0054】
(比較例4)
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体の代わりにレクスタック社製RT2180(ポリプロピレン)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0055】
(比較例5)
(a)トリブロック共重合体をカネカ社製商品名SIBSTAR 073Tから、スチレン−エチレンブチレン−スチレン共重合体(SEBS クレイトンポリマージャパン社製商品名Kraton G-1652)に変更した以外は、実施例3と同様にしてホットメルト組成物を得た。
【0056】
前記実施例1〜実施例16、比較例1、及び比較例3〜比較例5で得られたホットメルト組成物の透湿度、密着性及び低温可撓性を測定した。それらの結果を表1及び表2に示す。なお、透湿度は、JIS Z0208-1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の条件Bに準拠して測定した透湿度(表1及び表2中の40℃90%RH透湿度を参照)を測定・記載した。なお、透湿度測定は、得られたホットメルト組成物を300μmの厚さにして測定した。また、比較例3は透湿度測定用試料作成時に割れが発生したため透湿度測定はできなかった。
【0057】
密着性は、T字ピール強度の測定により評価した。T字ピール強度は、厚さ0.5mmにフィルム化したホットメルト組成物を厚さ0.3mmのアルミ板でサンドし、200℃設定のアイロンで再活性して貼り合わせ、冷却後幅25mmにカットし、引っ張り試験機により引っ張り速度100mm/分にて測定した。なお、比較例3は冷却後もろくなり、引っ張り試験機にセットできないのでT字ピール強度は測定できなかった。
【0058】
低温可撓性は、長さ150mm×幅15mm×厚さ1mmに成形カットし、-20℃にて4時間放置し、養生後その雰囲気中にて手で90°折り曲げて、割れの発生を評価し、割れなしを○、割れなしだが少しクラックの入ったものを△、割れありを×とした。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
表1及び表2から明らかなように、本発明のホットメルト組成物は、低透湿性、密着性、低温可撓性に優れたホットメルト組成物であることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スチレン−イソブチレン−スチレンのトリブロック共重合体と、
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体と、
(c)粘着性付与樹脂と、
を含むことを特徴とするホットメルト組成物。
【請求項2】
(b)プロピレン−αオレフィン共重合体中のαオレフィン含量が5重量%〜30重量%であり、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体の溶融粘度が2,000mPa・s〜20,000mPa・sである請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項3】
(a)トリブロック共重合体のスチレン含量が5重量%〜50重量%であり、数平均分子量が30,000〜500,000である請求項1又は請求項2に記載のホットメルト組成物。
【請求項4】
(a)トリブロック共重合体100重量部と、(b)プロピレン−αオレフィン共重合体10〜100重量部と、(c)粘着性付与樹脂50〜150重量部とを含む請求項1から請求項3の何れか1項に記載のホットメルト組成物。
【請求項5】
JIS Z0208-1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の条件Bに準拠して測定された厚さ300μmのときの透湿度が、0.01g/m2・24h〜5g/m2・24hである請求項1から請求項4の何れか1項に記載のホットメルト組成物。

【公開番号】特開2008−214578(P2008−214578A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57360(P2007−57360)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(305044143)積水フーラー株式会社 (27)
【Fターム(参考)】