説明

ホモピペラジンの製造方法

【課題】 本発明は、工業的に容易に得られる原料から一工程で簡便にホモピペラジンを製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 活性アルミナ等の脱水触媒の存在下で、1,3−ジアミノプロパンとエチレングリコールを気相接触反応せしめることを特徴とするホモピペラジンの製造方法であり、好ましくは、エチレングリコールの使用量が、1,3−ジアミノプロパン1モルに対して、0.8〜1.8モルであることを特徴とするホモピペラジンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医農薬の中間体原料として有用なホモピペラジンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホモピペラジンの製造方法としては、エチレンジアミンとアクリロニトリルとを反応させて、N−(2−シアノエチル)エチレンジアミンを得た後、4.5MPa〜10.3MPaの高圧水素条件下で、コバルト触媒やニッケル触媒を用いて分子内環化反応を行い製造する方法が知られている(例えば、非特許文献1又は2参照。)。しかし、従来製法は、工業的に容易に入手できる原料から二工程を必要とするため、工業的に有利な製法とはいえない。
【非特許文献1】Ind.Eng.Chem.Prod.Res.Dev.,21(4),632(1982)
【非特許文献2】J.Org.Chem.,26,131(1961)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、工業的に容易に入手できる原料から一工程でホモピペラジンを製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、脱水触媒の存在下で、1,3−ジアミノプロパンとエチレングリコールを気相接触反応せしめることを特徴とするホモピペラジンの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製造方法により、工業的に容易に入手できる原料から、一工程でホモピペラジンを製造することができるので、本発明によって簡便なホモピペラジンの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、1,3−ジアミノプロパンとエチレングリコールを、気相にて脱水触媒に接触させて反応せしめることで実施される。
【0007】
1,3−ジアミノプロパン及びエチレングリコールは市販品を用いることができる。これらは混合して反応器に供給してもよいし、別々に供給してもよい。エチレングリコールの使用量は1,3−ジアミノプロパン1モルに対して、通常0.2〜5モル、好ましくは0.5〜3モル、特に好ましくは0.8〜1.8モルである。
【0008】
脱水触媒としては、一般にアルキルアルコールからオレフィンを生成する際に脱水触媒として用いられている活性アルミナ、γ−アルミナ等のアルミナ;ニオブ酸;モンモリロナイト;リン酸ニオブ;酸化チタン等が挙げられ、好ましくはアルミナであり、特に好ましくは活性アルミナである。これらの触媒は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよく、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、他の触媒を併用することもできる。また、Ru、Rh等の貴金属を含有していてもよい。
【0009】
本発明に用いられる触媒には、市販品または公知調製方法に基づいて調製されたものが用いられうる。
【0010】
反応温度は、通常150〜400℃、好ましくは250〜350℃である。原料供給の空間速度は、エチレングリコール及び1,3−ジアミノプロパンの混合溶液の液空間速度で通常0.1〜10(g/ml−触媒・h)であり、好ましくは0.2〜5(g/ml−触媒・h)である。
【0011】
反応は通常窒素ガス、アルゴンガス等の反応に不活性なガスの共存下で行われる。かかるガスの使用量は1,3−ジアミノプロパン1モルに対して、通常0.5〜20モル、好ましくは1〜10モルである。
【0012】
また、本発明の製造方法は、水素やアンモニアを共存させても良い。共存させる場合の使用量としては、1,3−ジアミノプロパン1モルに対して、通常0.5〜20モル、好ましくは1〜10モルである。
【0013】
反応終了後、ホモピペラジンを主成分とする反応混合ガスを水又は酸性水溶液に通じて溶解させ、ホモピペラジンを主成分とする反応混合液を得る。得られた反応混合液から、抽出、濃縮等の所望の分離操作によりホモピペラジンを得ることができる。また、ハロゲン化水素酸を用いて、ハロゲン化水素酸塩として得ることもできる。
【実施例】
【0014】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明が実施例により限定されるものでない。尚、分析には島津製作所製ガスクロマトグラフィー(以後GCと略する)分析装置GC−14B型を用い、収率は1,3−ジアミノプロパンに基づくものである。
【0015】
実施例1
内径20mmの反応管に触媒としてNKHD24(活性アルミナ;住友化学株式会社製)23ml(14.2g)を詰め、その上に粒径1mm程度のカーボランダム10mlを詰めて触媒層とした。この反応管の上部より窒素ガス及びアンモニアガスをそれぞれ40ml/min、並びに水素ガス50ml/minを流通させながら、1,3−ジアミノプロパンとエチレングリコールの混合溶液(モル比率;1,3−ジアミノプロパン:エチレングリコール=1:1.5)を0.5(g/ml−触媒・h)の液空間速度で供給し、300℃で反応した。得られた反応混合ガスを100mlの水に溶解させて、反応混合液を得た。反応混合液のGC分析の結果、ホモピペラジンの収率は23.5%であった。
【0016】
実施例2〜4
実施例1の触媒及び1,3−ジアミノプロパンとエチレングリコールの混合溶液のモル比率を表1に示すとおりに代えた以外は実施例1と同様にして行い、反応混合液を得た。得られた反応混合液中のホモピペラジンの収率を表1に示す。なお、表1中、「13DAP」は1,3−ジアミノプロパンを、「EG」はエチレングリコールを示し、NKHO24は住友化学株式会社製活性アルミナである。
【0017】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水触媒の存在下で、1,3−ジアミノプロパンとエチレングリコールを気相接触反応せしめることを特徴とするホモピペラジンの製造方法。
【請求項2】
脱水触媒がアルミナであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
エチレングリコールの使用量が、1,3−ジアミノプロパン1モルに対して、0.8〜1.8モルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。


【公開番号】特開2006−306790(P2006−306790A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132040(P2005−132040)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】