説明

ホログラフィセキュリティ装置

ホログラフィセキュリティ装置は、1つのセットの領域は、他のセットの領域とインターリーブした、記録媒体の実質的に重ならない領域の個別のセットに記録される少なくとも第1及び第2の回折画像生成構造(11,13)を備え、両方のインターリーブした領域は実質的に裸眼では認識できず、ホログラフィセキュリティ装置は、装置の周囲の離れた及び/又は重なる視野方向から眺められ、装置を傾けると見える、2又はそれ以上のホログラフィ画像を生成し、そして、見る方向での個々の特定のホログラフィ画像は、インターリーブされた一組の線と関連した回折画像生成構造(11,13)で生成され、第1の回折画像生成構造は、散乱性反射的再生により形成され、第2の回折画像生成構造は、非散乱性又は反射的再生により形成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、光学的セキュリティ産業界では、光学的に可変なデザイン及び効果を創るという2つの要求が存在している。これらの要求は、組織犯罪に利用される技能及び技術により模倣される心配がなく、明確且つあいまいでない公的な認証及び照合の必要性にふさわしい視覚的な単純さ及び独自性の水準に達している。本発明のねらいは、光学的可変装置(optically variable device:OVD)の分野にある。この光学的可変装置では、光学的効果が、エンボスされた表面レリーフから構成された装置における界面又は表面において生じる回折(1次又は0次)の基本的なメカニズムにより生成される。1次の回折を通して動作する装置は、産業界ではDOVID(Diffractive Optical Variable Image Device)として知られている。高いセキュリティのDOVIDの品質を最高に脅かすものは、装飾ホイル産業界(decorative foiling industry)で虹色効果及び光学的画像を生み出すために用いられる、あまり規制されていない創作技術(origination technology)(例えば、低スペックのドット・マトリクス及び表面マスキング技術)による再創作又は複製である。
【0002】
その結果、創作者は、より複雑な装置を作製するため努力してきた。この取り組みの例が、WO99/59036とWO2006061586に記載されている。これらは、2つのホログラフィ生成構造を備えている。2つの構造が十分に統合されていると見えるように、人間の裸眼には見えない規模で、ある構造の領域は、他の構造の領域とインターリーブされている。これは、改良され、視覚的に区別でき光学的に可変の画像スイッチ効果を備えた安全な装置を生成する。これは、簡単に照合できるが、再創作や偽物を作ることが困難である。しかしながら、これらの場合には、2つのホログラフィ生成構造は、同じ技術を用いて創作され、両者は、散乱性の回折を生成し、その結果、2つの構造の光学効果は、同様となる。そのような装置の限界は、個々のホログラフィ画像生成構造にもたらされた、2つの光学的に可変な画像要素間の視覚的コントラストが、それらの図形的または絵画的な形式での相違のみに限られることである。個々の生成された構造からの回折的再生が、付加的な共通する散乱性効果の影響を受けやすいとの状況を考慮すると、視野角範囲、即ち、2つの画像を同時に見ることができる範囲内で、この散乱は2つの画像要素が重なるのに十分に大きい可能性がある。2つのホログラフィ生成構造が1つの画像生成構造により、効果的に置き換わるか、シミュレートされるかもしれない。このようにして、2つの画像要素(両者は共に散乱性の回折である)間の光学条件の区別の欠如は、装置のセキュリティ価値を危うくし、未熟な認証者に混乱をもたらしがちである。追加的な散乱の最も典型的な原因は、1つ又は多数の散乱照明光源であろう。最悪のシナリオは、曇りの日に装置を外部から見たときであって、照射太陽光が雲により非常に散乱的に散乱されるときである。散乱の他の原因は、装置が紙幣用紙のような非常にざらつきのある基板へのホット・スタンピング工程に適用された時に起こる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の最初の特徴に従えば、我々は、記録媒体が実質的に重ならない領域の個別のセットに記録された、第1及び第2の回折画像生成構造と、他のセットの前記領域とインターリーブした1つのセットの前記領域とを含むホログラフィセキュリティ装置であって、インターリーブされた両領域は、実質的に裸眼では見えず、前記ホログラフィセキュリティ装置は、前記装置周辺の個別及び/又は重なる視野方向から眺められ、前記装置を傾けると見える、2又はそれ以上の光学的可変画像を生成し、所定の視野方向での特定の光学的可変画像は、インターリーブされた一組の線と関連した前記回折画像生成構造で生成されており、前記第1の回折画像生成構造は散乱的回折的再生をするために形成され、前記第2の回折画像生成構造は非散乱的又は反射的再生をするために形成されるものを提供する。
【0004】
本発明は、上記したインターリーブする方法と関連した視界制限に対処するものであって、インターリーブ理論を、回折的再生特性が基本的である2つの光学的可変性生成構造の間での画像スイッチまで広げて、2又はそれ以上のインターリーブされた光学的可変性生成構造は、同一の創作マスタプロセスにより加工され、同一の回折特性を示している。同一のレジストマスタ中に記録するよう求めるような装置を提供するために、相補的な光学的可変効果を示す、2つの正確にインターリーブされた画像生成構造のそれぞれが、分離し技術的に明確に異なる創作方法、例えば、光干渉法と電子ビームリソグラフィによりレジスト中に加工される。
【0005】
WO2007083140(本出願の優先日の後に公開された)は、同様なプロセスが記載されているが、個別のインターリーブされた領域は実質的に裸眼で見えないものではない。
【0006】
本発明の様々な特徴を議論する前に、正反射と乱反射という用語の意味について簡単に明確化することは好都合である。正反射から始めると、正反射は、単一の入射方向からの光(光線)が単一の出射方向へ方向を変える、完全鏡のような表面からの光の反射である。より正確には、入ってくる(入射する)光と出て行く(反射する)光が、表面法線に対して同一の角度(即ち、i=r)となる。これは、入射光が広い範囲の角度に方向を変える乱反射と著しく異なっている。
【0007】
散乱性の回折構造に特徴付けられた第1の回折画像生成構造は、典型的には、光干渉法により形成され、好ましくは、ベントン・レインボー・ホログラムである。非散乱性又は反射回折構造に特徴付けられた第2の生成構造は、典型的には、ドット・マトリクス干渉分光法、リソグラフィ干渉分光法又は電子ビームリソグラフィを用いて生成される。
【0008】
線形はインターリーブ構造に対しては好ましい形状であるが、同様な効果は、四角形又は六角形のような幾何学的図形からなる構造の統合化されたアレイを用いて生成できる。この場合、個々の構造は、個々の幾何学的形状中に生成し、そして、形状は、例えば六角形や四角形のような最密のアレイとして配列する。アレイのそれぞれの個々の部分は、好ましくは、裸眼で認識できないであろう。
【0009】
本発明の理解を助けるために、散乱性の回折構造と非散乱性の回折構造との区分は、図1に図解される。本発明のセキュリティ装置で示される相違する画像要素(IC)は、正反射画像要素(specular image component)(SIC)と乱反射画像要素(diffuse image component)(DIC)を生成する乱反射の(散乱性の)又は非散乱性の(正反射の)回折構造のいずれかから形成される。SICは、更に、反射電子画像要素(SEIC)と反射光干渉法画像要素(SOIC)に区分される。SEICは、典型的には、電子ビームリソグラフィのプロセスで生成される。しかしながら、非散乱性の(即ち、反射性の)回折像生成構造も、光干渉法のプロセスで形成でき、そのようなIC(画像要素)は、SOIC(反射光干渉法画像要素)と呼ばれるであろうことは注目に値する。SOICは、望ましくは、ドット・マトリクス干渉分光法又はリソグラフィ干渉分光法を用いて形成される。同様にDICは、更に、散乱性電子画像要素(DEIC)と散乱性光干渉法画像要素(DOIC)に分割できる。DICの場合、DOICは、最も望ましい画像要素であり、望ましくはベントン・レインボー・ホログラムから生成する。
【0010】
本明細書では、SICは、画素又は構造要素の複合2D(次元)配列から成る。そして、個々の画素又は構造要素は、基本的格子構造を含む、即ち、格子構造は、
1.単一格子周期(典型的にはmm当たりの本数で規定される)
2.単一格子配向角又は方位角
3.単一格子位相−正確に微視的レベルで決定し、x、y平面での格子レリーフ・イクスペリアンス(experience)のその山と谷(最大と最小)をさす、で規定される。回折機能を規定するために、格子周期、格子配向角と格子位相の組み合わせを参照するのが好都合である。
【0011】
典型的には、これらの構造要素は、50μmから5μmの範囲の大きさであって、裸眼では認識できないほど十分に小さい。構造要素は、従来型の記録システムでは、最も典型的には円形状、方形状であるが、規則的又は不規則な多角形の形状を取ることもできる。
【0012】
特定の波長のコリメート光がSICに入射したとき、そのとき、活性画素領域中の個々の構造要素は、この光をその単一格子機能と回折方程式により決定されるような特定の方向へ回折する又は方向を変えるであろう。多少言い換えると、単一の入射方向からの光(光線)は、格子構造要素により、回折の幾何学法則にしたがって単一の出射方向へ方向を変更する。鏡からの正反射の規定との類推から、反射回折又は非散乱性の回折として、回折を単一機能回折構造により規定するのが好都合である。この用語は、伝統的な反射(i=r)は、回折条件の特別な場合で、光学的平坦又は磨かれた、0次以上の全ての回折次数は、無視できるほど弱くなり、即ち、伝統的な反射は、他の全ての条件が実際に無視できる程度の、0次の回折であるという事実によりさらに補強される。
【0013】
この記述又は教示に比べて、DIC内の画像領域は、単一回折機能を備えた、小さい画素の配列又は構造要素個々の配列に分解できない。その代わり、表面の個々の点は、異なる格子機能、言い換えると、周期及び/又は配向及び/又は位相において相違する格子構造の重なりである回折の生じる表面レリーフを持つであろう。入射光又は入射する光の光線が、DIC内の画像領域の任意の点をたたくと、その光線は、異なる方向に進行して出射する一連の光線へ回折され、又は反射されるであろう。DIC内の回折構造は、単一の入射する光の方向を多数の出射する方向へ変換する効果を持っている。したがって、光学的に粗い表面からの反射に対する用語との類推から、多数の回折機能、特に、散乱性の回折的再生として、多数の回折配向と回折周期性を備えたレリーフ構造からの回折と規定することが好都合である。ホログラムの内部で観察されるような3D(次元)深さ又は視差効果の効果的表現には、ある限界内に回折重ね合わせ内の回折機能においてより連続的な変化がある、複雑な乱反射回折構造の存在が必要であることは、高く評価されるべきである。
【0014】
空間多重化技術により、SIC内で限定的な反射型効果が備えられるというこの教示のコンテキスト中において評価することも重要である。例えば、DIC上のある表面点を考えると、回折的表面レリーフは、散乱効果がΦ1からΦ5の間の範囲の個々の画像要素に対する方位角内での変化により生成される、多数の回折機能を備える。(伝統的なベントン・レインボー・ホログラムのような)典型的なDIC内で、2つの値の間で方位角が連続的段階的に進行し、このような進行が、伝統的なホログラムに存在する円滑な連続的視差効果に関与するものであることを認識すべきである。空間多重化技術を適用して、当業者が5つの構造要素を記録するとする。ここで、第1の構造要素は方位角Φ1の単一回折機能を持ち、第2の構造要素は方位角Φ2の単一回折機能を持ち、第3の構造要素は方位角Φ3の単一回折機能を持ち、第4の構造要素は方位角Φ4の単一回折機能を持ち、そして最後に、第5の構造要素は方位角Φ5の単一回折機能を持つ。このように、我々は、DICの複雑な回折構造の点が、5つの構造要素の群で置き換えられると理解できる。この直接の結論は、SICによる散乱効果の提供は、解像度を顕著に、減少させる。実際、回折機能が非常に限定された場合には、解像度は、1次元に対して5の係数(factor)で減少する。DICの伝統的なホログラムの最も典型的なものにより得られた連続的視差効果を、SIC内でシミュレートを試みたと仮定する。観察者の目に、連続的に途切れない視差運動又は深さ運動を創り出すためには、例えば、25の構造要素の一群が必要である。mm当たり100画素の解像度に対応して、10μm×10μmの大きさの構造要素があると仮定する。記録の観点から最も都合が良いような、グループ分けをある軸に沿ったものとすると、前記軸に沿った効果的アートワーク(artwork)の解像度は、単にmm当たり4画素に低下するであろう。
【0015】
この理由で、3D視差のような光学的可変な散乱効果をシミュレートするためには、SICは、記録しない。その代わり、Optical Document Security, Renesse, Rudoft L.Van, ISBN 0−89006−619−1,9章に記載され、本明細書では、後に説明するような、動く回折効果、即ち、運動学的アートワーク運動効果を備えることを意図している。
【0016】
電子ビームリソグラフィは、ホログラフ生成構造を生成するために開発された比較的新しい技術であって、光干渉法として良く知られた方法の代替技術と解されている。このようにして、(ベントン・レインボー・ホログラムが例示されるような)散乱性の白色光ホログラフィと、電子ビームリソグラフィが、2つの最も補完的なDOVID記録方法又は記録技術であることは、光学産業において広く認識されている。ベントン・レインボー・ホログラムが、明らかな又はマクロの画像効果、即ち、3Dと立体画像効果(即ち、遠近感の変化、モデルと多重写真により形成される視差)と簡単なフルシンボル画像スイッチのような効果、を与えることに最適であることは、素人に簡単に認識され、理解される。一方、電子ビームリソグラフィは、複雑な変形線効果と高解像度マクロ画像効果(即ち、50マイクロメートル以下のサイズの英数字と記号)を生成するために最適である。
【0017】
ベントン・ホログラフィのような、光干渉法技術は、一般的に、分散平面で対称的な記録表面レリーフ微細構造に限定される。個々の回折格子の詳細なプロファイルが記録媒体から露光エッチングで形成される、電子ビームリソグラフィの利用により、不均一な明るさの正及び負の回折次元を作り出す、非対称的レリーフプロファイルを生成できる。
【0018】
しかしながら、我々は、散乱性ホログラフィ生成構造と、非散乱性又は反射ホログラフィ生成構造とのインターリーブは、完全にはっきりと区別できる画像と光学効果を生成できると認識している。
【0019】
ホログラフィ生成構造は、本明細書において、光の回折のメカニズムにより図形的画像を生成する構造を意味する。
【0020】
光干渉法において、独創的なパターンは、光学干渉のホログラフィプロセスにより生成される。そのため、この創作プロセスの製造段階の中で、その画像の少なくとも1つの要素は、レインボー・ホログラムを含むことができる。(よく知られている2D/3D又は2Dレインボー・ホログラムと関連して)必要ならば、得られた画像の少なくとも1つの要素が、正確なホログラフィ深さ効果を光学的に含みうる、少なくとも1つのホログラフィ中間ホログラム又はH1は、光学的に利用される。本明細書は、上記のホログラフィプロセスにより生成された表面2D構造にも適用されるが、最終的な装置の画像平面上に実質的に位置するように限定され、また、画像に含まれる空間周波数の範囲(即ち、再生視野角)に限定されるという望ましい選択肢もある。極端な限定により制限した場合において、ホログラフィ構造が、バーチャル・パーフォーマンスにおいて、純粋に回折格子構造と実質的に同様であるように形成される。しかし、微視的レベルの微細構造で区別できる微妙さは、ホログラフィ投射プロセスにより形成されるであろうし、また、記録されたレーザー生成スペックルパターン構造の痕跡を含みうる。
【0021】
2つのホログラフィ生成構造のインターリーブにより、光学的微細構造を創作でき、光学的微細構造への照射により、装置周囲の少なくとも2つの離れた視野方向からの目により観察できる、2又はそれ以上の重なる画像が形成できる。重なり領域に単純に重なった個々の画像に関連する光学的微細構造で、重なったホログラフィ画像を記録することにより、伝統的なホログラフィ技術を利用することは可能である。しかし、得られた合成微細構造は、単一の回折構造と比較して効率と輝度が低減した画像の個々の要素が常に再生されるだろう。実際は、重なる回折微細構造の存在は、いつも、重なる微細構造の存在のため、単一の回折構造に比較して光学的回折効率が低減した構造となっている。そして、記録媒体の飽和と光学効率の低減のため、重なり領域で第2の「ゴースト」画像の存在が観察される傾向にある。第2の「ゴースト」画像は、キャリア回折周波数に対して異なる配向を持つ、2つの非常に異なるホログラフィ構造の重なり領域の存在によるものである。そのため、ホログラフィ画像の全体的な光学周波数と観測される輝度は制限される。そして、紙幣にホット・スタンピング・ホイルを適用した後に認識される輝度の深刻な低減のため、紙幣ホログラムにおいて特に不都合である。このため、この種類のホログラムは、紙幣には殆ど適用されておらず、その代わり、適用した後に高い回折効率が維持できるという理由で、画像に基づく回折格子が、しばしば好まれる。
【0022】
本発明のこの観点により、このように、装置の同じ領域に位置するが異なる配向で見ることができ、2又はそれ以上の非常に明確で、輝度の高い図形が重なったホログラフィ画像で光学的可変装置の形成ができる。紙の表面の粗さと繊維への浸入による微細構造の破壊にもかかわらず、紙幣にホット・スタンピング・ホイルを適用したとき、重要なことには、装置は高い回折効率を維持している。そのため、観察された重なり画像のそれぞれの効率及び見かけ上の輝度が、単一のホログラフィ画像装置のものと同等とすることができる。画像も、人の目には「立体」に見える。
【0023】
見かけ上輝度を同一とすることは、重なった微細構造の領域の媒体の飽和により違ったように現れるであろう、第1の画像の「ゴースト画像」の出現により第2の図形画像が明白には劣化することなく、より大きな微細構造ホログラフィ回折変調が達成されるように、装置の個々の小さい領域が、一つの図形画像に関連したホログラフィ微細構造を備えることのみを保証することにより達成される。重要なことには、このために、紙上の最終的な光学微細構造は、最大の回折効率であるように、マスタ・ホログラフィ・エンボスシムとホログラフィ・ホット・スタンピング・ホイルが、適用時の紙の粗さによる構造緩和と劣化を補償するために過剰に変調することができる。
【0024】
望ましくは、2またはそれ以上の図形画像を微細な線(線形又は曲線の)のインターリーブされた格子に分割することにより達成される。その構造は規則正しいが、望ましくは、より複雑で、(より大きな線幅はより大きな図形画像が可能であり、線幅が250μmでは肉眼で簡単に認識できるようになるが)25〜100μmの大きさである。25〜50μm又は25〜75μmの大きさの非常に微細な線間隔の使用は、画像中の線模様が肉眼では認識できないものであることを保証する(肉眼の限界解像度は、高コントラスト画像に対し20μm程度であり、典型的には、3又は4の係数(factor)で減少し、低コントラストパターンでは、80〜100μmである)。
【0025】
画像表面のどの点も、単一の図形画像に関連する微細構造を備える。この微細構造はホログラフィ回折微細構造である。本発明では、第1のホログラフィ生成構造は、望ましくは、図形画像と第2のコヒーレント光線を再形成する、散乱性波面の干渉により形成された、散乱性回折ホログラフィ構造である。この構造の重要な特性は、この領域が、忠実に、微細構造の空間周波数は狭いが範囲を有し、ホログラフィ微細構造の記録スペックルパターン特性も備えたホログラフィ構造であることである。ここで、画像の個々の点が純然たる点を再生するであろう純粋な正反射回折とは対照的に、視野角は制限されているものの、装置の個々の小領域は光線角度の制御された所定の確かな主要部を再生する。
【0026】
この装置の望ましい実施形態は、ホログラフィ構造が、エンボス加工、成型加工による構造への表面レリーフ及び、表面レリーフ構造として価値がある文書へ適用する表面レリーフとして形成されたものである。ホログラフィ的に生成されたとき、この技法により装置の性能が大きく改善されるであろう文書の表面の層へ、例えば、ラベルの形で、又は、ホット・スタンピング・ホイルを適用できる又は直接エンボスできる可能性がある。しかしながら、よく知られたホログラフィ記録の他の形式、例えば、反射ホログラムもまた、利用できる。
【0027】
ホログラフィ画像は、異なる視野角から見ることができる。そして、異なる物体の視野又は同じ物体の異なる視野を示す。
【0028】
典型的には、ホログラフィ生成構造の少なくとも1つは、ブレーズドホログラフィ構造の形状である。
【0029】
典型的な装置では、インターリーブの微細線構造は、人の裸眼の通常の解像度以下の大きさである。
【0030】
装置のある実施形態においては、少なくとも1つのインターリーブしたホログラフィ画像要素は、正確なホログラフィ深さを備えることができる。この装置のある実施形態においては、少なくとも1つのインターリーブしたホログラフィ画像要素は、モデルからの3D効果を備えることができる。
【0031】
インターリーブするホログラフィ生成構造の一般的概念の更なる長所は、ここに参照により組み込まれるWO−A−99/59036に詳細に記載されている。
【0032】
理論的には、2つのホログラフィ生成構造は、フォトレジストのような記録媒体に順に刻印する、個別の金型又はその同種のもので独立して形成することができる。しかしながら、インターリーブする手段を非常に高精度で実現する必要性は、実際には、実現することが非常に困難であることを意味する。
【0033】
このように、本発明の第2の観点に関連して、我々は、ホログラフィセキュリティ装置を形成する方法であって、以下のステップを備える方法を提供する。
a)電気的に導電的な層に未現像のフォトレジスト層を供給するステップ、
b)前記未現像のフォトレジスト層上に、拡散性の回折的再生をする第1のホログラフィ生成構造を形成するステップ、c)前記未現像のフォトレジスト層上に非拡散性又は反射性の再生をする第2のホログラフィ生成構造を形成するステップ、
c)その後、前記フォトレジスト層を現像するステップ、
前記第1及び第2のホログラフィ生成構造は、前記フォトレジスト層の実質的に重ならない領域の個別のセットに記録され、1つのセットの前記領域が他のセットの前記領域とインターリーブし、それによって、両インターリーブした領域は、実質的に、裸眼では認識できず、前記ホログラフィセキュリティ装置は、装置周辺の離れた視野方向から眺められ、装置を傾けると見える、2又はそれ以上のホログラフィ画像を生成し、視野方向の個々の特定のホログラフィ画像は、一組のインターリーブした領域と関連した前記ホログラフィ生成構造により生成される。
【0034】
レジスト層の形成に関して、レジスト層は、(使用される現像化合物に対して)
・光学的露光と電子的な露光の両方に対してポジ反応を示すか、又は
・光学的露光と電子的な露光の両方に対してネガ反応を示すべきである。
【0035】
したがって、我々は、電子的な露光が同時にポジ反応とネガ反応(架橋結合)の両方を生成することができるフォトレジストを除外する必要がある。次に、1又は複数の中間層は、フォトレジスト層と基板層の間に位置する。中間層は、主に、導電層としての機能を果たす。しかし、レジストプレート内の内部反射を抑制するための、吸収性の反射防止コーティングとしての機能も果たす。導電層は、電子ビーム記録プロセスの間にレジスト表面に蓄積された電荷を放電する。導電層は、好ましくは、少なくとも2つの所定の側部でレジストの縁部まで延びている。ある好ましい実施形態において、(典型的には真空蒸着のプロセスで堆積された)クロムのような金属の部分的に透明な層が、反射防止層の機能的要件と、レジスト上に堆積され、電荷をレジストからアース端子へ搬送する導電層の要件の両方を満たすような層である、導電層として使用される。その代わりに、クロム層は、クロム層とフォトレジスト層の間の酸化クロム膜又は二酸化シリコン膜のような反射防止コーティングを備えることができる。
【0036】
他の実施形態においては、2つの中間層は、その中に、10MΩ/□(スクエアー)より小さい表面抵抗の非金属コーティングからなるレジストと接する第1の中間層を備えることができる。そのようなコーティングは、有機バインダー中にアンチモン酸化物スズ又はカーボンブラックを分散させて形成することができる。
【0037】
または、商業的に入手可能なコーティングとしてESPACER100(昭和電工製)がある。そのようなコーティングは伝統的なスピンコーティングにより基板に適用される。第2の中間層には、酸化第一鉄又はEbonite black(商品名)(Canning社が供給)のような「青色」光を吸収するコーティングがある。
【0038】
セキュリティ装置は、形成されたものとして使用することができるが、典型的には、伝統的なエンボス技術を用いて、セキュリティ装置のコピーを形成できる金型又はシムを形成するために使用されるだろう。
【0039】
典型的には、ステップ(c)は、ステップ(b)の後に実行されるが、逆も可能である。
【0040】
本発明によれば、ホログラフィセキュリティ装置は、文書や物品にセキュリティを付け加えるための広範な目的で使用できる。既に説明したように、ホログラフィセキュリティ装置は、紙や同様なもので形成された比較的粗い表面を持つ文書や物品に使用するのが最適である。しかし、プラスチックのような他の材料に使用することもできる。そのような装置を使用して安全にできる物品の例としては、旅券、預金通帳、切符、許可証、免許証と、小切手、保証書(guarantee cards)、チャージカード、クレジットカード、現金払戻しカード(cash withdrawal cards),電子的資金移動カード(electronic funds transfer cards),サービス・エンタイトルメント・カード(service entitlement cards),個人身分証明書(IDカード)、物品IDカード(article identification cards),プリペイメント・カード(prepayment cards)、テレフォンカード、変動、即ち、価値減少カード(variable e.g. decrementing value cards), 債券、金融書類(financial documents)、紙幣、トラベラーズチェックを含む小切手、バウチャー、ブランド識別ラベル、タンパー・レジスティング・ラベル又はタンパー・インデイケイティング・ラベル(tamper resisting or indicating labels)を含む金融取引カード(financial transaction cards)がある。
【0041】
装置は、好都合なことに、安全にすべき文書又は物品の上に搬送できるようなホット・スタンピング・ホイルのような搬送アセンブリの形式で構成される。その場合に、典型的には、装置は、感熱性接着剤(又は感圧性接着剤)を露出面の上に運ぶ。
【0042】
さらに、装置が適用できる有価証券のような物品のセキュリティは、非常に多数の装置の包括的パターンの装置を含んで実現される。
【0043】
本発明に従った、ホログラフィセキュリティ装置の例と、その装置の形成方法は、添付の図面と関連して以下に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】画像要素の異なるタイプを示すフローチャートである。
【図2】(A)は装置の拡大概略図を示し、(B)〜(D)は異なる角度に傾けて見たときの装置の外観を示す。
【図3】装置の一部分の概略平面を示す。
【図4】(A)〜(F)は装置の第2の例の拡大概略図と、異なる角度に傾けて見たときの装置の外観を示す。
【図5】(A)〜(G)は装置の第3の例の拡大概略図と、異なる角度に傾けて見たときの装置の外観を示す。
【図6】フォトレジストマスタプレートの例の外観断面図である。
【図7】エンボスシムを形成する伝統的方法における連続的段階での平面図及び断面図を示す。
【図8】オプション画像がフォトレジストプレート上に位置する状態を示す。
【図9】現像前の光学画像要素に露出されたフォトレジストプレートを示す。
【図10】未現像の電子ビーム画像のあるフォトレジストプレートを示す。
【図11】共役のエンボスされたパターンを示す。
【図12】エンボスシムを形成する伝統的方法における連続的段階での平面図及び断面図を示す。
【図13】図12に似ているが、本発明に従ったエンボスシムを製造するための代替的方法の例を示す。
【0045】
図2に示される装置1は、2つのIC10と12、光干渉法を利用して形成した散乱性回折ホログラフィ画像生成構造、即ち、DOIC(散乱性光干渉法画像要素)により生成した肖像画を表わした第1のIC10と、電子ビームリソグラフィにより形成された非拡散性又は正反射回折画像生成構造、即ち、SEIC、により形成された5つの先端が尖った星の形状の第2のシンボル12(IC12)とで成っている。それぞれが周期的格子パターンを規定する相互にインターリーブされた領域の形状内にある肖像画10と「星」12に関連する個々の表面レリーフ構造11及び13は、図2Aに示され、黒く示された領域が、それぞれDOICとSEIC構造を備えており、これらの領域は、それぞれ、明確にするために横方向に分離されて示されている。実際には、2つの組11と13は、他の構造の2つの格子線の間に、1つの構造のそれぞれの格子線がインターリーブされている。
【0046】
個々の格子線の周期は、(望ましい視覚効果に依存して)20〜200μmの範囲とすることができる。しかし、典型的には、周期は、80〜120μmの範囲、最も望ましくは、裸眼では実質的に認識できない80〜100μmの範囲に入るだろう。
【0047】
DOIC10のレリーフ格子パターンの形成に利用する創作方法(即ち、イニシャルホログラムの作成に利用する方法)は、WO−A−99/59036に詳細に記載されている。SEICの電子ビーム格子パターンの生成には、電子ビームリソグラフィ機器が利用される伝統的なラスタープロセスを利用する。
【0048】
2つのインターリーブした周期的格子パターンの記録には、DOIC要素とSEIC要素間の非常に厳密なレジストレーション(registration)を要することを認識すべきである。特に、上記の周期性に対して、1〜10μm程度のX軸及びY軸のレジストレーション許容誤差が必要である。そのような許容条件は、後記のプロセス及びデータピンシステムの利用により最も良く達成できる。
【0049】
望ましい実施形態では、DOIC及びSEICに含まれるレリーフ構造は、所定の格子ピッチを持ち、より詳細には、格子配向(即ち、異なる方位角)を持つであろう。このようにして、水平、垂直、回転の傾きに関するDOICとSEICの間の角度チャネルスイッチが提供される。
【0050】
図2Bと図2Cは、DOICが左側視野(図2B)に再生するために記録され、他方SEICの「星」図形12が、右側視野(図2D)に再生するために記録され、両者が過渡的な位置(図2C)に現れる、特定の例を示す。
【0051】
代替的に、DOIC10は、中心視野を形成するために記録することができ、他方SEICの「星」記号12は、90度回転して再生するように記録される。
【0052】
本発明がWO-A-99/59036の装置を越えて提供する重要なセキュリティ上の利益は、拡散性の回折画像生成構造と非散乱性(即ち、正反射の)回折画像生成微細構造とに関連する基本的に異なる再生特性に関連している。装置のどの点においても、典型的に、異なる格子機能のコヒーレントな重なりから成るホログラム微細構造は、異なる態様で光を再生する。しかしながら、装置のいかなる点においても、電子ビームレリーフは、単一格子機能で規定され、非常に方向性(即ち、正反射の)の態様で光を再生する。これは、正確なホログラフィDOVIDが、正反射の電子ビーム起源のDOVIDと非常に異なる外観を持つであろうことを意味する。
【0053】
この直接の結果として、DOICとSEICとの重なり画像スイッチが、第1のDOICと第2のDOICとの間の対応する画像スイッチと比べて、視覚的により際立って、より目覚しいものとなる。
【0054】
散乱性回折構造と非散乱性回折構造との間の異なる再生特性は、両方とも散乱性又は両方とも非散乱性である、同様な2つのものをインターリーブした構造であるときは可能ではない、2つの対照的な画像再生をすることができる。散乱性構造は、画像領域又は写真の内容の大部分が、同時に再生されるか、観察する人の目に対して回折されるときに、意味があると見えるだけの、画像イメージ又は写真のように現実的な画像の形式のものを表わすのに最適である。特に、そのような画像の形式のものは、明確には、微細な線又はドットパターンに翻訳しない。そのような画像タイプの例は、肖像画又は、人、動物、植物又は象徴的な国の象徴の写真であろう。それに対して、非散乱性又は正反射の構造のオン−オフの性質は、画像の全ての様相を一度に見る必要がない、幾何学的構造や英数字に対してより適切である。非散乱性構造と特に電子ビームにより生成された非散乱性構造は、セキュリティ装置の内部で秘密の微細画像を形成することができる、非常に高い解像度の構造を生成することができる。装置を傾けるか又は回転することでもたらされた、異なる個別の視野角で表れる、2つの得られた画像又はシンボルのそれぞれに付け加えるに、更に、非散乱性画像要素を補助的な画像要素の一組又は配列に分割することにより、2つの主要な画像要素の視覚的特性を更に識別することは望ましい。補助的な画像要素が、装置を傾けるか又は回転する際の,視野角範囲の狭い所定の部分に再生できるように、そのような補助的な画像要素のそれぞれは、特別な格子構造を備えている。目的は、SEICが画像の拡大、変換及び動的効果を示せるようにすることである。
【0055】
上記効果は、個々の小区分17A,17Bが個別の格子配向及び/又は周期を持つ、小区分17A,17Bに区分されるSEICに対応するインターリーブされた格子線16により実現される。小区分17A,17Bは、18で示したDOIC格子線とともに、図3の概略図に示した。SEICを含む小区分17A,17Bの配列内でのハッチングの角度は、小区分内の格子構造の配向を意味しないことは注意すべきである。それは、個々の小区分は異なる格子定数(ピッチ)及び/又は配向を持つことができることを意味しているに過ぎない。このようにして、動きの認知(perception of movement)はSEICから生成される。2つの可視画像は模様と関連させることができる。また、SEICの運動学的な性質は、DICを目立たせるために利用することができる。さらなるSEICの例は、DICの部分又は全部となりうる。例えば、正反射画像は、DICがその中に位置する、幾何学的形状又は幾何学的外形を形成することができる。
【0056】
図4に示される装置は、2つのIC、肖像画を図示するDOIC20と、電子ビームリソグラフィにより形成されるような、非散乱性又は正反射回折画像生成構造により形成された先の尖った5角の星の形のSEIC22とからなる。周期的格子パターンを規定する、相互にインターリーブした領域の形状内の肖像画20と「星」22に関連する個別の表面レリーフ構造21,23は、図4Aに(文字通り分離されて)示されている。この例において、SEIC22を形成する線23は、運動学的効果が先の尖った5角の星に関連して達成できるように、それぞれの小区分が個別の格子配向を持つ部分に分割される。図4Bは特別な例を示す。その中でDOIC20は、左側視野に再生できるように記録される。一方、SEICの「星」シンボル22は、最も右側の視野の大きい星として再生され(図4F)、最も左側の視野で完全に見えなくなり肖像画に置き換えられる(図4B)前に、セキュリティ装置の右から左への傾きにより形が小さくなる(図4E〜図4C)ように多重格子構造に記録される。
【0057】
図5は、更なる例を示す。セキュリティ装置が2つのIC、肖像画30を表示するDOICと、電子ビームリソグラフィにより形成されるような、非散乱性又は正反射回折画像生成構造により形成された先の尖った5角の星32の形のSEICからなる。肖像画30と「星」32に関連する個別の表面レリーフ構造31,33は、上記実施形態のように、周期的格子パターンを規定する、相互にインターリーブした領域(図5A)の形状内にある。この例において、SEIC32を形成する線33は、運動学的効果が先の尖った5角の星(図5B〜図5F)に関連して達成できるように、それぞれの小区分が個別の格子配向を持つ部分(図示せず)に分割される。この場合、DOIC30は、セキュリティ装置の垂直方向への傾きにより達成される傾き視野(図5G)が再生できるように記録される。一方、SEICの「星」シンボル32は、最も右側の視野で大きな星として再生し、右から左へセキュリティ装置を傾けると大きさが減少するように多重格子構造に記録される。
【0058】
図4及び図5に示された2つの例は、インターリーブした配置のDIC及びSICの組み合わせなくしては実現できなかった、本発明のセキュリティ装置の目覚しく、非常に素晴らしい本質を示している。
【0059】
同一の又は異なる方法(電子ビーム又は光干渉法)がDICとSICの創作に用いることができることは、高く評価されるだろう。
【0060】
この装置は、2つのインターリーブしたICに限定されないことに注意すべきである。例えば、装置は、より目覚しい効果を生成するために、3又はそれ以上のインターリーブした構造を含むことができる。例えば、装置は、左側視野の第1の画像要素DOIC1と、水平方向の右側への傾きについての第2の画像要素DOIC2、垂直方向の傾きについての第3の画像要素SEICを示すこともできる。
【0061】
レジスター(register)にDOICとSEICを含むフォトレジストを形成するプロセスがここで説明される。
【0062】
適切なフォトレジストプレート43(H2レジストマスタ)を形成する基本的工程は、クロム層40がガラス基板41の縁まで十分延びるように十分に注意して、水晶基板又はソーダ石灰ガラス基板41上にクロム40(図6)の薄膜(10〜20μm)を最初に真空蒸着することを含む。クロム層は、導電層と吸収性の反射防止コーティングの機能を備える。そして、クロム層の上に、必要とされる表面レリーフの深さと種類に依存して、200nm〜20000nmの範囲で変化する厚さの範囲で適切なフォトレジスト層42をコートする。とはいうものの、1次の回折で動作する伝統的なDOVIDの場合には、望ましい厚さは、500nm〜2000nmの範囲に収まるであろう。
【0063】
実験研究により、適切なポジ型フォトレジストが、プロピレン・グリコール・モノメチル・エチル・アセテートのような溶剤を含む、Shipley社が供給するMicroposit S1800(商品名)であることが明らかとなった。このフォトレジストに使われる樹脂は、ノボラックをベースにしたものであり、光活性化合物は、ジアゾナフトキノン(DNQ)サルフォネートのグループに属する。光学的にも電子的にも形成される表面レリーフに対する優れたコントラスト係数γを実現する適切な現像液は、Shipley社のMicroposit303(商品名)の6対1の希釈液である。
【0064】
図6のフォトレジストプレート43(H2マスタ)内での、DOIC、即ちベントン・レンボー・ホログラムへの記録又は生成(即ち、創作すること)の望ましい方法は、以下で説明されるだろう。
【0065】
この工程の最初の段階は、中間遷移ホログラム(H1)50(図7)の内部に、DOIC(この場合数字10)を含むアートワーク要素を記録することである。例えば、アートワーク要素は、透光性アートワークマスク(即ち、「ガラス透明性」)の溝の掘られた(Sculpted)モデル又は層状の平面配列とすることができる。このプロセスの原理は、ベントンH1−H2ホログラフィ記録プロセスとして当該技術分野で周知である。記録と中間遷移ホログラム50(H1)の現像に続いて、次の段階は、上記H150とH150を記録するために利用する参照ビームの共役51とに再度光を当てる。共役参照51によるH150の照射により、以前記録されたアートワーク要素の実際のホログラフィ画像52(H2被写体ビーム)を転写するか又は照射するようにする。そのとき、H2被写体ビームの焦点面は、H2被写体ビームで部分的に規定された、ホログラフィ干渉縞を記録するために、フォトレジストプレート43に位置し、参照ビーム54(H2参照ビーム)と重ねられる。H2記録プロセスの概要説明図を図7に示す。この段階でDOICは、見えない潜像である。画像要素を可視化するために、プレート43を現像することが必要である。ポジ型レジスト(例えば、Shipley S1800)の場合、現像液へのレジストの溶解度は、露光エネルギ(好ましい動作範囲で線形である関係)とともに増加する。それゆえ、明るい干渉縞(干渉最大)は、周期レリーフパターンの谷を生成する。一方、暗い(干渉)縞(最小)は、周期レリーフの「ピーク」に対応する。
【0066】
複合セキュリティ装置の記録中に、H2被写体の位置は、フォトレジストマスタ43上のデータ表面又は点に正確に参照することは、好都合である。フォトレジストマスタ43は、(大きさ、厚さ又は、辺の直交性の変動のような)フォトレジストプレートの寸法変化の不変量に留まるであろう。具体的にいうと、プレートホルダーは、3つの位置決めピン55〜57(図8)を備え、その2つ55、56は、水平面上に位置し、1つ57は、垂直平面に位置し、それぞれのピンがH2レジストマスタ43の側部に対応する点又は半径方向で接触することが望ましい。そのようなシステムでは、投射されたH2被写体は、これら3つの接点又はデータポイントを空間的に参照している。
【0067】
上記したプロセスを利用して、セットアッププレートは、1又はそれ以上の所定のエネルギで所定の位置に位置決めした1又はそれ以上のDOICに第1のレジストプレートを露光することにより生成する。その結果、このプレートは、潜像のDOICを可視化されたレリーフ画像に変換するための適切なレジスト現像液により現像される。その結果、個々のDOICの座標(図8参照)、より詳細には、個々のDOICに隣接して記録した、関連するレジストレーションデータマーク、線又はクロス線は、走査顕微鏡又はプレートの光学的走査のような他の技術を用いて、対応するデータ点又は縁部からの距離を測定することにより決定する。この工程を通して、H2マスタ43に与えられるレジストレーションデータ線(X0,Y0)、図8参照、を参照して画像の正確な位置を決定する。
【0068】
セットアッププレートの生成に続いて、プロセスの次のステップは、DOIC要素を1又はそれ以上のH2レジストプレートマスタに記録することである。これら追加のフォトレジストプレートは、その後、第2の電子ビーム画像要素(SEIC)を記録するだろう。それぞれの追加H2フォトレジストマスタには、少なくとも1つのDOIC記録が記録され、望ましくは、少なくとも2又は3つのDOIC記録が、同一の所定の位置に記載され、H2セットアッププレートと同じ所定の位置に記録される。レジストプレートホルダーに備えられた3つのピンデータピン55〜57の配置により、個々の追加H2レジストマスタ(図9参照)内の仮想のDOICの位置又はX,Y座標は、50μm以下又はそれよりよい精度でセットアップ内にDOICの座標X0,Y0が一致するだろう。セットアッププレートとは対照的に、DOICとSEICの記録の間にはこれらH2フォトレジストマスタの処理もされないし、現像もされないことは、注目すべきである。
【0069】
当然のことながら、ベントンH1−H2記録プロセスに基づくDOICを生成する方法について説明してきたが、発明思想は、生成技術に限定されない。発明方法は、DOICが、光学的干渉分光リソグラフィのプロセスにより生成されるように、容易に適合することができる。その転写マスクは、レジストと密接に接触し、2つが重なったレーザビームにより生成した光干渉パターンによる照射の組み合わせの中に位置する。これまで拡散する基板を通じて伝播したか、又は、拡散する表面から反射したレーザビームの内の1つのビームは本来散乱性である。
【0070】
DOICの記録段階が完了すると、その結果、レジストマスタは、電子ビーム装置に関連して第2のプレートホルダーに位置するだろう。第2のプレートホルダーは、データピンの配置と位置に関して、第1の(DOIC)プレートホルダーと幾何学的に等価であることが要求される。データピン55〜57は導電性、望ましくは、金属であり、それらが、電気的接地への導電経路であるべきことは注目すべきである。例えば、導電性のデータピン55〜57は、典型的には、電気的に接地されたステンレススチールから形成されたプレートホルダーに固定されているだろう。結果として、H2レジストマスタ43がプレートホルダーに挿入され、導電データピン55〜57に強固に固定される時、電子ビーム露光プロセスの間、レジスト層中及びその上に蓄積した電荷が、確実に導電的に接地へ放出されるように、レジスト層42とガラス基板41との間に位置する導電金属層40は、導電データピン55〜57に電気的に十分な接続をするだろう。このようにして、SEICの記録をゆがめ、劣化させる電荷の蓄積を決定的に防止する。
【0071】
次にSEICの記録を検討すると,このプロセスの最初のステップは、適切な電子ビーム露光又はSEICの座標を「書く(write)」を選択するために、セットアッププレートから決定されたX−Y光学画像座標を活用することである。前回の露光の試行が、合成画像(DOICとSEIC)を含むH2マスタ43が化学的に形成されるとき、表面レリーフ振幅が、確実に、OIC表面レリーフと同じ割合で形成するように、SEICのための近接電子ビーム露光エネルギを決める。例えば、Shipley S1800のようなレジストを例にとると、DOICを記録するための望ましい露光エネルギは、対応する電子ビーム露光のエネルギが10−30μC/cm2の範囲で特に、15−25μC/cm2の範囲に対して、10mJ/cm2と20mJ/cm2の間にあることが分かった。
【0072】
光学的露光の座標及びエネルギが(潜像DOIC58を含む)第1のH2マスタ43に対して選択されるとき、ソース(図示せず)から収束システム61を介して、電子の収束ビーム60に露光することにより、電子ビーム記録又は電子ビーム書き込みプロセスがなされ、このようにして、図10に概略的に示された潜像SEICが生成できる。H2マスタ43は、前記した電子ビームプレートホルダの前記データピンに対して固定される。
【0073】
第1の回折構造(格子周期が5μm以下)のみでなく、0次の構造(四角形状で格子周期が5μm以下)を含む、SEICを創作するために電子ビームリソグラフィを用いることは、現在工業的に利用されている。反射と屈折の幾何学的法則にしたがって振舞う、非常に粗い構造(周期が10μm以上)を含むSEICを創作することに、電子ビームリソグラフィも、利用可能である。
【0074】
SEICの露光に続いて、得られたH2レジストマスタ43は、目でみえる望ましい輝度の画像を生成するために化学的に処理され、現像される。このようにして、完全なH2レジストマスタを生成する。ここで、この第1のH2マスタの検査をすると、DOICとSEICの間の位置のレジストレーションのさらなる改善が必要であるか、又はEICとOICの相対的回折効率が最適でないかのいずれであるかが決定される。その結果、第2のH2レジストマスタは、露光座標又はそれに応じて修正された露光エネルギで記録できる。
【0075】
これまで、参照は、光干渉法技術によりDOVIDSの創作者に利用される一般的なレジストである、Shipley S1800レジストで形成されてきた。Shipley S1800レジストは、(溶解度対露光エネルギ曲線の直線部分内では)溶解度が露光エネルギに比例して増加するポジ型で機能するレジストである。しかしながら、ポジ型レジストへの書き込みが、対応するDOICをそれほど忠実に複製しないとき、SEIC表面レリーフを実験的に決定できた。このコントラストは、50μmより小さい又は特に20μmより小さい寸法又は線幅のSEIC内で図形的部分又は要素において最も顕著である。SEIC要素のような典型的な例は、光学セキュリティ産業内で、回折的マイクロテキスト、即ち、高さが200μmより小さい書体と文字の英数文字又はインディシア(indicia)としてよく知られているものである。光学的記録回折構造と電子的記録回折構造との相対的エンボス効率の差は、個々の表面レリーフの形や輪郭の差による。
【0076】
具体的には、(典型的には、格子の複雑でコヒーレントな重なりからなるホログラムの中に含まれる)光学的干渉のプロセスで生成された格子構造は、本質的に形状及びプロフィルにおいて正弦曲線である。格子プロファイルの大きさ(caが0.1μm以下)は、典型的には格子ピッチ(通常0.7〜1.4μm)の10分の1以下であるので、正弦曲線格子の斜面は、とても緩やかな傾き(典型的には、35度以下)で、大きな半径(格子ピッチより大)でレリーフ最大及び最小であろう。したがって、光学干渉格子は、比較的浅い開いたレリーフ構造であって、典型的には、エンボスニップ圧(1〜10Nmm-2)、ラッカー温度(145〜175℃)で起こる、エンボスされたラッカーの粘弾性変形のレベルで簡単に複製できる。
【0077】
逆に、電子ビーム起源の構造は、個々のピットの底部が電子ビームの拡散又は焦点ぼけによる頂部での開口より大きく、ポジ型レジストにおいて、鋭い傾斜の長方形の「バイナリ」ピットの周期パターンに近似するレリーフ構造を持つことで特徴付けられるだろう。忠実な複製又はそのような構造のエンボスは、レオロジー的な条件でよりやりがいのあるものである。エンボスのラッカーは、粘弾性状態というよりも、粘性流動状態であることが要求される。エンボス構造のその後の緩和を防止するために、エンボス・ニップが存在するように、そのガラス転移温度以下にラッカーを急激に冷却することが必要である。
【0078】
電子ビーム表面レリーフ微細構造の効率的な複製と関連した技術的課題を減少するために、2つのアプローチを取ることが可能である。
【0079】
第1のアプローチは、化学線(400〜460nm)の露光の効果である、露光された領域を露光エネルギで次第に不溶性になるようにする化学架橋結合又は光重合効果を生成する、ポジ型レジストと逆の光化学的挙動を備えることを特徴とする、ネガ型レジストを使うことである。適切なネガ型レジストは、低コントラスト比(γ<4)のレジストであろう。
【0080】
ネガ型レジストの例は、Clariant −AZ Electronic Materials社の供給するAZ(r)nLOF(tm)2000フォトレジスト(商品名)である。このレジストは、溶剤として、PGMEA(2メトキシ 1 メチル・エチル・アセテート)を含む。樹脂は、露光されると架橋結合する。
【0081】
正弦曲線のプロファイルは、反転状態で対称であるから、ネガ型レジストの使用は、光学干渉のプロセスで記録された表面レリーフのエンボス特性に対するインパクトは少ないだろう。しかしながら、電子ビームリソグラフィで適切なネガ型フォトレジストを使用すると、エンボスプロセスに対しより本質的に適切である、より台形 又は正弦曲線に近いプロファイルの更に「開放的な」格子構造を生成することができる。
【0082】
代替として、我々は、感度、コントラスト及び溶解の最適組み合わせに相当する特定のポジ型レジストと連携するのが望ましい場合に対して、電子ビーム格子と関連したレリーフプロファイル問題に対処する第2の新規な方法を提案する。提案した解決法は、H2レジストマスタの共役又はネガ型である(通常産業界ではエンボスシムと呼ばれる)ニッケルスタンパーで、(キャリアフィルム上に準備されたラッカー又は同様な物質内にエンボスする)ホイル・エンボス・プロセスを実施することである。ネガ型スタンパーの使用は、我々がホログラム又はOVD層に、図11に図示したようにレジストマスタ71内にあるものの共役又は逆である、レリーフ構造70をエンボス又は刻印することを意味する。
【0083】
ネガ型又は共役のエンボスシムの使用の創作プロセスへの影響を理解するために、(ホット・スタンプ・ホイル又はタンパー・エビデント・ラベルの形状であろうとも)伝統的なDOVID内で観測される回折画像はH2レジストマスタ内にあるものと同一であることに注意すべきである。
【0084】
図示のために、DOVIDは文字R72(図12)の部分内に少なくとも含まれる画像を備えると考える。これまで、同一印象又は配向で現れる文字Rを備えた、(平面を73A,断面を73Bとして示した)H2レジストマスタを記録するためのDOVID創作内で実施をした。ニッケルマスタ74A、74Bは、H2レジストマスタ73A、73Bから形成され、そして、エンボスシム75A、75Bは、ニッケルマスタ74A、74Bから形成される。H2マスタ73A,73Bとエンボスシム75A,75Bの両方は、73B,75Bで見られるような、ポジ型又は「正しい読み出し(correct reading)」画像を備えていると言われる。DOVID76A,76Bに適用されると、エンボスされた表面レリーフは、DOVIDが適用される基板に対向している。これは、「ホログラム」層が、「正しい読み出し」エンボスシムでエンボスされなければならないことを意味し、結果として図12に示される電気メッキシーケンスに導かれる。それ故、(フォトレジストがポジ型又はネガ型として機能するかにかかわりなく)エンボスシム75A,75B内にある表面レリーフ構造は、H2マスタレジスト73A,73B内にあるものと同一であろうことは明らかである。
【0085】
新規なアプローチは、H2レジストマスタ中に記録される共役な表面レリーフでホイルをエンボスするこの産業のプラクティスに反している。具体的には、操作上の観点からポジ型フォトレジストが非常に好ましい実用的な材料である場合には、提案された方法は、ポジ型フォトレジストに記録された電子ビーム格子構造と関連した複製の懸念を払拭しようとするだろう。コンセプトは、80Bと82Bとを比較することにより分かるように、最終的に適用したDOVID82A,82Bにあるものの共役又はネガ型(左右反転)である、画像アートワーク81をH2(ポジ型)レジストマスタ80A,80Bに記録することである。アートワークとフォトレジストの両方に対して、共役又はポジ型とネガ型という用語の適用での混乱を回避するために、我々は、共役アートワークという用語は「誤った読み出し(wrong−reading)」として参照するだろう。図13に、OICとEICの両方に対するアートワーク81はポジ型フォトレジストに「誤った読み出し」として記録される、H2レジストマスタ80A,80Bを創作することから開始する、我々の要請を遂行するプロセスを示す。誤った読み出しH2レジストマスタ80A,80Bは、最初、真空で、導電性とするための銀によるコーティングをされる。「正しい読み出し」アートワークを備えるが、ポジ型レジストからなるH2マスタ80A,80Bの共役である微細構造を持つ、エンボスシム85A,85Bを生成するように、ニッケルマスタ83A,83B;84A,84Bを形成し、次に、エンボスシム85A,85Bを形成するようにして、順次、図13に示される電気めっきシーケンスにより処理される。実質的に、エンボスは、微細構造の観点から見ると、より容易にエンボスされるか複製されるDEICを生成するネガ型レジストからなるH2マスタによって生成されたものと同等であるだろう。
【0086】
代替的にそしてより一般的に、非散乱性構造も、ドット・マトリクスシステム又は干渉マスクリソグラフィに基づく伝統的画素により光学的に生成することができる。ここで、光学的干渉を生成する重なった両方のコヒーレントな光ビームは、必然的に非拡散平面波又は球面光波である。そのような場合には、SEICはSOICで置き換えられる。非拡散画像要素を生成するために、電子ビームリソグラフィ又は光干渉法を使うかの選択は、非拡散画像要素内で必要とされるアートワーク解像度の程度により決定されるだろう。具体的には、電子ビームリソグラフィは、250,000dpi(即ち、隠れた微細画像特性)までの高解像度アートワーク要素の形成ができる。ドット・マトリクスシステムは、伝統的システムで形成できる1500dpiまでの解像度と、画素ベースシステムに対応する3000dpiまでの解像度のアートワークが可能である。干渉リソグラフィは、10000dpiまでの解像度でアートワーク要素の形成が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の実質的に重ならない領域の個別のセットに記録された、少なくとも第1及び第2の回折画像生成構造と、他のセットの前記領域とインターリーブした1つのセットの前記領域とを含み、
インターリーブした前記両領域は実質的に裸眼では認識できず、
ホログラフィセキュリティ装置は、前記装置の周囲の離れた視野方向及び/又は重なる視野方向から眺められ、前記装置を傾けると見える2又はそれ以上の光学的可変画像を生成し、
既定の視野方向での個々の特定の光学的可変画像は、インターリーブされた一組の線と関連した前記回折画像生成構造で生成されており、前記第1の回折画像生成構造は、散乱性反射的再生をするために形成され、前記第2の回折画像生成構造は、非散乱性又は反射的再生をするために形成されることを特徴とするホログラフィセキュリティ装置。
【請求項2】
前記領域が線形であることを特徴とする請求項1に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項3】
前記領域が曲線状であることを特徴とする請求項2に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項4】
前記領域が、六角形又は四角形のような幾何学的形状で形成されることを特徴とする請求項1に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項5】
個々の回折画像生成構造が表面レリーフとして形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項6】
個々の領域が25〜100μm、より好ましくは、25〜75μm、更に好ましくは、25〜50μmの範囲の幅を持つことを特徴とする請求項2又は請求項3を引用する請求項5に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項7】
個々の回折画像生成構造がただ一つのホログラフィ画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項8】
第1及び第2の回折画像生成構造により生成されたホログラフィ画像の内の1つ又は両方が異なる視野角から見られることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項9】
第1及び第2の回折画像生成構造の内の1つ又は両方が同一対象の異なる視野を規定するホログラムを生成することを特徴とする請求項8に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項10】
前記回折画像生成構造の少なくとも1つが、多数の図形画像要素からなるホログラフィ画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項11】
前記図形画像要素が、表面レリーフ2Dレインボー・ホログラムとして、前記装置の表側平面に局在することを特徴とする請求項10に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項12】
少なくとも1つのホログラフィ画像要素が正確なホログラフィ深さを有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項13】
少なくとも1つのホログラフィ画像要素がモデルからの3D効果を有することを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項14】
回折画像生成構造の両方が、正確なホログラフィ深さ効果を示すホログラフィ画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項15】
少なくとも1つの回折画像生成構造が、ブレーズドホログラフィ構造の形状であることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項16】
重ならない領域のそれぞれの組が周期的回折パターンの形状であることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項17】
個々の回折パターンの周期が実質的に同一であることを特徴とする請求項16に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項18】
前記周期が20〜200μm、より好ましくは、80〜120μm、最も好ましくは、80〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項19】
前記第1の回折画像生成構造が、電子ビームリソグラフィと光干渉法のいずれかにより創作されたことを特徴とする請求項1から請求項18までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項20】
前記第2の回折画像生成構造が、電子ビームリソグラフィと光干渉法のいずれかにより創作されたことを特徴とする請求項1から請求項19までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項21】
前記第2の回折画像生成構造を規定する領域が、周期及び/又は近接する構造のピッチが異なる回折構造の線により形成されることを特徴とする請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置。
【請求項22】
キャリアと、前記キャリアに取り外し可能に固定された、請求項1から請求項21までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置とを備えた搬送アセンブリ。
【請求項23】
前記キャリアが加熱によりホログラフィセキュリティ装置から取り外し可能であることを特徴とする請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
請求項1から請求項21までのいずれか一項に記載のホログラフィセキュリティ装置を搭載する文書又はその他の物品。
【請求項25】
a)電気的に導電的な層上に未現像のフォトレジスト層を供給するステップ、
b)前記未現像のフォトレジスト層中に、散乱性回折的再生をする第1の回折画像生成構造を形成するステップ、
c)前記未現像のフォトレジスト層中に非散乱性又は反射的再生をする第2の回折画像生成構造を形成するステップ、及び
d)その後、前記フォトレジスト層を現像するステップを備え、
前記第1及び第2の回折画像生成構造は、前記フォトレジスト層の実質的に重ならない領域の個別のセットに記録され、1つのセットの前記領域が他のセットの前記領域とインターリーブし、両インターリーブ領域は、実質的に、裸眼では認識できず、ホログラフィセキュリティ装置は、前記装置周辺の離れた視野方向から眺められ、前記装置を傾けると見える、2又はそれ以上のホログラフィ画像を生成し、ある視野方向の個々の特定のホログラフィ画像は、一組のインターリーブした領域と関連した前記回折画像生成構造により生成される、ホログラフィセキュリティ装置を形成する方法。
【請求項26】
ステップc)をステップb)の後に実行することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記電気的に導電的な層がクロムを含むことを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(b)が前記フォトレジスト層上に透過ホログラムの転写を含むことを特徴とする請求項25から請求項27までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(c)を前記電気的導電層が接地に接続されている間に実行することを特徴する請求項25から請求項28までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記電気的導電層が前記フォトレジスト層の縁部まで延長していることを特徴する請求項25から請求項29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記電気的導電層が吸収性の反射防止層として作用することを特徴する請求項25から請求項30までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記電気的導電層が反射防止コーティングを備えていることを特徴する請求項25から請求項30までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
それぞれのセットの重ならない領域が周期的回折パターンの形状であることを特徴する請求項25から請求項32までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
個々の格子パターンの周期が実質的に同一であることを特徴する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記周期が20〜200μm、より好ましくは、80〜120μm、最も好ましくは、80〜100μmの範囲であることを特徴する請求項33又は請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の回折画像生成構造は電子ビームリソグラフィと光干渉法のいずれかにより創作されたことを特徴とする請求項25から請求項35までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の回折画像生成構造は電子ビームリソグラフィと光干渉法のいずれかにより創作されたことを特徴とする請求項25から請求項36までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記回折画像生成構造を規定する前記領域は、前記周期及び/又は隣接する構造のピッチが異なる回折構造の線により形成されることを特徴とする請求項25から請求項37までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
更に、金型又はシムを形成するセキュリティ装置を使用することを含むことを特徴とする請求項25から請求項38までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
逆転読み取りアートワークと共にステップ(b)と(c)を実行する;前記セキュリティ装置から第1のコピーを成長させる;前記第1のコピーから第2のコピーを成長させる;前記第2のコピーから前記金型又は前記シムを成長させる、を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記セキュリティ装置に対応する基板中の表面レリーフ微細構造を形成するために、前記基板に前記金型又はシムを適用することを更に含むことを特徴とする請求項39又は請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記基板はラベルを含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
その後、セキュリティ文書又は物品に前記ラベルを貼付するステップを更に含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記基板はキャリアに供給され、そして、その後セキュリティ文書又は物品に転写されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記基板は、セキュリティ文書又は物品を含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記セキュリティ文書又は物品が、預金通帳、小切手、トラベラーズチェック、真正性証明書(certificate of authenticity),切手、債券、道路税支払い証明書(tax disc)、収入印紙(fiscal stamp), セキュリティ・ラベル(secure label)、旅券、バウチャー、IDカード又は同様なものを含むことを特徴とする請求項42から請求項45までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項25から請求項38までのいずれか一項に記載される方法により形成されたセキュリティ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−529513(P2010−529513A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511719(P2010−511719)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002013
【国際公開番号】WO2008/152389
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(598151304)ドゥ ラ リュ インターナショナル リミティド (20)
【Fターム(参考)】