ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体
【課題】体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されたホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体を提供する。
【解決手段】ホログラム一体型表示媒体は、基材層と、基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、基材層および体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層とを備える。
【解決手段】ホログラム一体型表示媒体は、基材層と、基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、基材層および体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体に関する。特に、体積型ホログラムをその一部に含むホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
立体表示が可能なホログラムは、クレジットカード、身分証明書などの真贋判定のために使用されるほか、商品の真正性の証明を目的として、商品やその包装に貼りつけられることもある。
【0003】
近年では、偽造が比較的容易なエンボスホログラムにかえて、記録層内部の屈折率の差として干渉パターンが記録された体積型ホログラムが使用されることが多い。これは、体積型ホログラムの製造において、記録画像の制作に高度な技術が要求されることおよび記録材料が入手困難なことによる。
【0004】
ところで、工業製品の製造者は、一般に、製造番号や仕様をはじめとする情報を製品に表示する必要がある。これらの情報は、例えば、印刷やモールド成形により製品自体に表示されたり、商品の包装に表示されたりするほか、あらかじめ情報の印刷されたシートやフィルムなどが製品に貼りつけられることにより表示される。情報が印刷されるシートやフィルムなどとホログラムとが組み合わされ、ホログラムが、ホログラムラベルとして利用されることもある。例えば、下記の特許文献1には、透過型ホログラムが一体化された、オンデマンド印刷の可能なカードが開示されている。
【0005】
あらかじめ情報の印刷されたシートやフィルムなどと、商品の真正性の証明を目的とするホログラムとが組み合わせて利用される場合には、ホログラムが、シートやフィルムなどの表面に貼りつけられることが多い。すなわち、工業製品の製造者は、情報が記録されたシートやフィルムなどを製品に対して貼りつけておき、シートやフィルムなどに対して、ホログラムをさらに重ねて貼りつけたうえで、商品とすることが一般的である。
【0006】
ところが、情報の印刷されたシートやフィルムなどの表面に対してホログラムを貼りつけた場合には、シートやフィルムなどの表面に対してホログラムが突出するため、ホログラムが剥落しやすくなる。また、ホログラムの表面が傷つきやすくなるほか、ホログラムの重ねて貼りつけられた部分が他の部分と比較して厚くなってしまうため、商品の見た目が悪くなってしまう。
【0007】
シートやフィルムなどの表面に貼りつけられるホログラムがエンボスホログラム(レリーフホログラムともいう。)である場合には、エンボスホログラムは数μm程度の厚さでも形成が可能であるため、ホログラム自体の厚さが問題になることは少ない。一方、体積型ホログラムは、厚さ方向に対しても干渉パターンが記録されることを特徴とし、体積型ホログラムは、エンボスホログラムよりも厚くなることが一般的である。また、体積型ホログラムは、エンボスホログラムと比較して、観察時の条件も繊細である。
【0008】
そのため、情報の印刷されたシートやフィルムなどの表面に対して体積型ホログラムを貼りつける場合、体積型ホログラムの表面が傷つき、体積型ホログラムに記録された情報の視認性が低下する場合がある。また、商品の見た目を良くするために、商品の表面を平坦にしようとすると、製品の一部にあらかじめ凹部を設けておかなければならないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−015197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
体積型ホログラムが、情報の印刷されたシートやフィルムなどと組み合わされる場合には、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の好ましい実施態様は、
ホログラム一体型表示媒体が、
基材層と、
基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、
基材層および体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層とを備える。
【0012】
本開示の第2の好ましい実施態様は、
ホログラム一体型表示媒体の製造方法が、
透明基材層の一主面上に形成された第1の接着層に対して、連通する開口部が設けられた基材層および第2の接着層の積層体を、第1の接着層と基材層とが対向するようにして貼りあわせることと、
開口部に体積型ホログラム構造体を挿入して、第1の接着層と体積型ホログラム構造体とを貼りあわせることと
からなる。
【0013】
本開示の第3の好ましい実施態様は、
ホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法が、
透明基材層、第1の接着層、基材層および第2の接着層が順に積層された積層体と、被着体とを貼りあわせることと、
基材層と第1の接着層との間に設けられた未接着領域に対応する部位に、基材層および第2の接着層に連通するようにして設けられた、未接着領域より小なる面積の開口部を介して、体積型ホログラム構造体を挿入することと、
未接着領域を接着領域に変質させ、体積型ホログラム構造体と基材層とを、透明基材および第1の接着層により一体的に被覆することと
からなる。
【0014】
本開示の第4の好ましい実施態様は、
ラベル媒体が、
透明基材と、
透明基材との接合面とは反対側の主面の少なくとも一部に未接着領域が設けられた第1の接着層と、
未接着領域以外の領域が第1の接着層との接合面とされた基材層と、
基材層の主面のうち、第1の接着層との接合面とは反対側の主面との接合面を有する第2の接着層と
を備える。
第2の接着層を介して被着体と貼りあわせたときに、被着体の一部が、基材層と第2の接着層とに連通するようにして設けられた、未接着領域より小なる面積の開口部を介した露出面となる。
【0015】
本開示によれば、基材層および体積型ホログラム構造体が、被覆層により一体的に被覆されるため、体積型ホログラムの表面が露出せず、体積型ホログラムの剥落や損傷が防止される。また、製造者がホログラム一体型表示媒体を被着体に貼りつけるときに、製造者は、被覆層、基材層および体積型ホログラム構造体を一体的に取り扱うことができ、ホログラム一体型表示媒体の取り扱いが容易である。本開示によれば、製造者は、ラベル媒体を被着体に貼りつけた後に、ラベル媒体と体積型ホログラムとを組み合わせて一体的に構成することもできるため、被着体へのホログラム一体型表示媒体の貼りつけの効率が向上する。
【0016】
基材層の一主面上に、被着体にホログラム一体型表示媒体を貼りつけるための接着層が設けられる場合には、基材層および接着層の厚さと、体積型ホログラム構造体の厚さとを所定の範囲に調整することにより、体積型ホログラムの視認性の低下が防止される。または、情報表示層、基材層および接着層の厚さと、体積型ホログラム構造体の厚さとを所定の範囲に調整することにより、体積型ホログラムの視認性の低下が防止される。基材層および接着層の厚さと、体積型ホログラム構造体の厚さとを所定の範囲に調整することにより、体積型ホログラムがほぼ平面状に保たれ、かつ体積型ホログラムと、観察者との間に空気層が介在しなくなるからである。また、シートやフィルムなどの表面に対してホログラムが突出することが防止され、商品の見た目の悪化が防止される。
【0017】
ホログラム一体型表示媒体が、複数の接着層を含む場合には、各接着層の強度(接着力)および体積型ホログラムが記録された層の自己結集力(破断強度)の大小関係が規定されてもよい。ホログラム一体型表示媒体を剥離しようとしたときに、ホログラム一体型表示媒体が剥離する前に体積型ホログラムが記録された層が破壊されるようにすれば、ホログラム一体型表示媒体の偽造防止機能が向上する。
【0018】
本開示では、接着層およびホログラム記録層を含む第1の積層体と、接着層および基材層を含む第2の積層体とが被覆層により一体的に覆われることにより、ホログラム一体型表示媒体が構成される。すなわち、ホログラム一体型表示媒体には、ホログラムを含むホログラム領域が設けられている。なお、ホログラム領域以外の残余の領域には、例えば、ホログラム一体型表示媒体が貼りつけられるべき製品に関する製造番号や仕様などの情報が表示される。
【0019】
ホログラム領域においては、例えば、接着層と被着体との接着力、接着層の破断強度、接着層とホログラム記録層との接着力およびホログラム記録層と被覆層との接着力よりもホログラム記録層の破断強度が小さく設定されている。または、ホログラム領域においては、例えば、接着層と被着体との接着力、接着層の破断強度、接着層とホログラム記録層との接着力、ホログラム記録層とホログラム保護層との接着力、ホログラム保護層の破断強度およびホログラム保護層と被覆層との接着力よりもホログラム記録層の破断強度が小さく設定されている。すなわち、ホログラム一体型表示媒体のホログラム領域においては、ホログラム記録層が最も脆いものとされる。したがって、ホログラム一体型表示媒体を被着体から剥離しようとして、ホログラム一体型表示媒体に対して力を加えると、ホログラム領域では、ホログラム記録層が最初に破壊される。
【0020】
そのため、ホログラム一体型表示媒体が本来の被着体から剥離されて別の被着体に貼りかえられることや、ホログラム一体型表示媒体のホログラムが抜き取られて不正なコピーの原版として使用されることが防止される。すなわち、ホログラム一体型表示媒体の偽造防止機能が向上する。
【0021】
なお、ホログラム記録層の破断強度に対して、ホログラム領域以外の残余の領域を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されることにより、該領域の積層構造のうち、いずれの部位から破壊が起こるかが規定される。ホログラム領域以外の残余の領域を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度の少なくとも1つが、ホログラム記録層の破断強度に対して小さく設定されることにより、該領域が破壊されることに追従して、ホログラム記録層もまた破壊される。
【発明の効果】
【0022】
少なくとも1つの実施例によれば、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されたホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1Aは、第1の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図1Bは、図1Aに示すホログラムラベルのI−I断面の模式図である。
【図2】図2A〜図2Cは、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。
【図3】図3Aは、被着体に貼りつけられる前のホログラムラベルの断面を示す模式図である。図3Bは、ホログラムラベルの第1の変形例の断面を示す模式図である。図3Cは、ホログラムラベルの第2の変形例の断面を示す模式図である。
【図4】図4Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図4Bおよび図4Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図5】図5A〜図5Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図6】図6Aおよび図6Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図7】図7Aおよび図7Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図8】図8A〜図8Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図9】図9A〜図9Cは、ホログラムラベルの製造方法の一例の説明に用いる図である。
【図10】図10Aおよび図10Bは、ホログラムラベルの製造方法の一例の説明に用いる図である。
【図11】図11Aは、ホログラムラベルを構成するためのシールの一例の断面を示す模式図である。図11Bおよび図11Cは、被着体上でホログラムラベルを完成させるための手順の説明に用いる図である。
【図12】図12Aおよび図12Bは、被着体上でホログラムラベルを完成させるための手順の説明に用いる図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは、被着体上でホログラムラベルを完成させるための手順の説明に用いる図である。
【図14】図14A〜図14Cは、直方体状の被着体に対して、シールの貼りつけと、体積型ホログラム構造体の挿入とを行い、被着体上でホログラムラベルを完成させる例を示した斜視図である。
【図15】図15Aは、第2の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図15Bは、図15Aに示すホログラムラベルのXV−XV断面の模式図である。
【図16】図16Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図16Bおよび図16Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図17】図17A〜図17Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図18】図18Aおよび図18Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図19】図19Aおよび図19Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図20】図20A〜図20Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体の実施形態について説明する。説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
[体積型ホログラム構造体の厚さの調整]
[ホログラム一体型表示媒体の第1の変形例]
[ホログラム一体型表示媒体の第2の変形例]
[偽造防止機能の付与]
[ホログラム一体型表示媒体の製造方法の一例]
[ホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法の一例]
<2.第2の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
[偽造防止機能の付与]
<3.変形例>
【0025】
なお、以下に説明する実施形態は、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体の好適な具体例である。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体の例は、以下に示す実施形態に限定されないものとする。
【0026】
<1.第1の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
図1Aは、第1の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図1Bは、図1Aに示すホログラムラベルのI−I断面の模式図である。図1Bに示すように、第1の実施形態にかかるホログラムラベル1は、基材層13と、体積型ホログラム構造体15と、カバー層3とを備える。体積型ホログラム構造体15は、基材層13の面内の一部に設けられた開口部に配置される。基材層13および体積型ホログラム構造体15に対して、カバー層3が、これらを一体的に被覆している。すなわち、ホログラムラベル1には、体積型ホログラムを含むホログラム領域Hと、体積型ホログラムを含まない領域Pとが設けられており、カバー層3は、領域Hおよび領域Pをともに被覆する。
【0027】
以下、カバー層3、基材層13および体積型ホログラム構造体15について、図1Aおよび図1Bを参照しながら、順に説明する。
【0028】
(カバー層)
カバー層3は、後述する基材層13と体積型ホログラム構造体15とを一体的に被覆する層である。カバー層3は、基材層13および体積型ホログラム構造体15に対する保護層としての機能と、支持体としての機能とを備える。カバー層3が基材層13と体積型ホログラム構造体15とを一体的に被覆することにより、領域Hと、領域Pとの間の境界を目立たなくでき、ホログラムラベル1の表面を滑らかとすることもできるため、ホログラムラベル1の見た目を向上させることができる。
【0029】
カバー層3は、基材層13および体積型ホログラム構造体15に対して、体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側の主面上に形成される。すなわち、ホログラムラベル1の観察者は、体積型ホログラム構造体15からの再生光を、カバー層3を介して観察する。
【0030】
図1Bは、カバー層3が、透明基材7および接着層9の積層体として構成された例を示している。図1Bに示す構成例では、接着層9が、基材層13および体積型ホログラム構造体15の一主面上に形成されており、接着層9の表面上に、透明基材7が積層されている。なお、本明細書中で「接着」という場合には、「接着」は、「粘着」を含むものとする。
【0031】
透明基材7の材料としては、可視光領域で高い透明性を有している材料から選択されることが好ましい。透明基材7の材料としては、例えば、樹脂材料を挙げることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephtalate(PET))、ポリカーボネート(Polycarbonate(PC))、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin Polymer(COP))、ポリエーテルスルフォン(Polyethersulphone(PES))、ポリエチレンナフタレート(Polyethylenenaphthalate(PEN))、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose(TAC))、ポリイミド(Polyimide)、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate(PMMA))、アラミド(Aramid(芳香族ポリアミド))などを挙げることができる。
【0032】
透明基材7は、体積型ホログラムの観察をし易くするという観点から、なるべく薄く構成されることが好ましく、また、透明基材7は、折り曲げが自在であることが好ましい。例えば、透明基材7の材料として樹脂材料が選択される場合、透明基材7の厚さが100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。ホログラムラベル1をより薄くする観点から、透明基材7の厚さを、20μm以下としてもよい。
【0033】
接着層9は、例えば、接着剤からなる層である。後述するように、体積型ホログラム構造体15と、接着層9とが密着することにより、体積型ホログラムと、観察者との間に空気層が介在しなくなるため、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制される。接着剤としては、例えば、感圧型、エネルギ線硬化型または熱硬化型の接着剤を挙げることができる。
【0034】
感圧型の接着剤(粘着剤)としては、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合樹脂などの合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン、ロジントリグリセリド、水素化ロジンなどのロジン系樹脂などを使用することができる。
【0035】
エネルギ線硬化型接着剤は、エネルギ線硬化性化合物および重合開始剤を含有する接着剤である。エネルギ線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。このとき、エネルギ線硬化型接着剤は、具体的には、例えば、紫外線硬化樹脂である。必要に応じて、エネルギ線硬化型接着剤に、光増感剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機系粒子、無機酸化物粒子、金属粉末、顔料、染料などを含有させてもよい。例えば、光増感剤を使用することにより、硬化後の接着強度を向上させることができる。
【0036】
エネルギ線硬化性化合物としては、例えば、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物が挙げられる。
【0037】
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアリールアクリレート、アクリル変性カルボン酸、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、多官能アクリレートや、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ネオペンチルグリコールのアクリル酸安息香酸混合エステルなどその他のアクリレート、または、これらのメタクリレート体などが挙げられる。光カチオン重合性化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。
【0038】
重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系などの光ラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステルなどの光カチオン重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、使用するエネルギ線の種類に合わせて選択され、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
熱硬化型の接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系などの接着剤を使用することができる。
【0040】
なお、図1Bに示すように、ホログラムラベル1が、カバー層3の表面上に印刷層2を備えていてもよい。印刷層2は、例えば、インク吸収層やインク受容層である。印刷層2は、または、例えば、ホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である。印刷層2には、例えば、商品の一つ一つに対応した、製造番号などの個別情報Idが記録される。なお、図1Bでは、印刷層2が、カバー層3の表面上に配置される例が示されているが、印刷層2の配置は、ホログラムラベル1を構成する各層間のいずれかの層間に、任意に設定してよい。印刷層2がホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である場合には、印刷層2が直接外部に露出していない場合であっても、非接触で印刷を行うことが可能である。
【0041】
印刷層2の材料としては、印刷層2に情報を記録しようとする者が選択する印刷方式によって情報が印刷できればよく、特に限定されるものではない。なお、本明細書中で単に「印刷」という場合には、「印刷」は、「印字」を含むものとする。
【0042】
インクジェット方式が適用される場合には、印刷層2は、例えば、アルミナやシリカなどの顔料と、樹脂材料などのバインダとを含有する層として形成することができる。昇華型熱転写方式が適用される場合には、印刷層2は、例えば、エステル結合を有する樹脂、ウレタン結合を有する樹脂、アミド結合を有する樹脂、尿素結合を有する樹脂またはポリスチレン系の樹脂を含有する層として形成することができる。溶融型熱転写方式または中間転写方式が適用される場合には、印刷層2は、例えば、熱可塑性樹脂からなる層として形成することができる。印刷層2は、例えば、上述した材料を含有する、印刷層形成用組成物をカバー層3の表面上に塗布することにより形成することができる。
【0043】
なお、印刷層2の表面は、粗い凹凸形状であってもよいし、モスアイ(Moth-eye)と呼ばれる、微細かつ緻密な凹凸形状であってもよい。また、例えば、印刷層2の表面が凹凸形状とされることにより、印刷層2の表面にエンボスホログラムが形成されていてもよい。カバー層3と印刷層2との間の密着性を高めるために、カバー層3と印刷層2との間に下塗り層を介在させるようにしてもよい。印刷層2の形成に先立ち、カバー層3の表面に対してコロナ処理などを施すようにしてもよい。
【0044】
印刷層2がホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である場合には、印刷層2は、具体的には、例えば、樹脂材料からなる層であり、印刷層2は、必要に応じて光吸収部材を含む。印刷層2に対してレーザ光線が照射されることにより、レーザ光の照射された部分が、発泡、凝縮、炭化または化学変化を起こして、もとの色みとは異なった色みとなる。したがって、文字状や記号状などにレーザ光を照射することにより、印刷層2に印字を行うことができる。
【0045】
印刷層2を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂などを挙げることができる。これらの二種以上を組み合わせて使用してもよい。光吸収部材としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物などを挙げることができる。
【0046】
(基材層)
基材層13は、例えば、ホログラムラベル1の貼りつけられる被着体99に関する製品情報Ipが表示される層である。製品情報Ipは、基材層13の主面のうち、後述する体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側の主面上に、例えば、印刷により現される。基材層13の面内の一部には、開口部が設けられ、開口部に体積型ホログラム構造体15が配置されることにより、ホログラムラベル1のホログラム領域Hが形成される。このとき、基材層13の外形は、ホログラムラベル1の外形を構成し、したがって、領域Hは、領域Pにより囲まれることになる。もちろん、基材層13の面内の一部に、少なくとも一部が開放された開口部を設けるようにしてもよい。すなわち、基材層13に切り欠きを形成しておき、基材層13に形成された切り欠きに体積型ホログラム構造体15を配置するようにしてもよい。
【0047】
基材層13の材料としては、例えば、樹脂材料や紙、金属などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。金属としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、基材層13として、これらの一種以上からなる金属箔などを用いることができる。なお、基材層13の材料としては、透明性は必ずしも要求されないが、基材層13の材料として、透明基材7の材料と同様の材料を使用してもよい。被着体99に対しての貼りつけを容易にする観点から、基材層13は、折り曲げが自在であることが好ましい。
【0048】
基材層13の主面のうち、後述する体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側とは反対側の主面上には、必要に応じて、接着層16が設けられる。接着層16は、ホログラムラベル1を被着体99に容易に貼りつけられるようにするために設けられる。接着層16は、基材層13の一主面の全面に形成されていてもよいし、基材層13の一主面の一部を除いて形成されるようにしてもよい。基材層13の一主面のうち、例えば、格子状の領域を除いた領域に接着層16を形成してもよい。または、表面に凹凸形状などを有する接着層16を形成してもよい。例えば、接着層16に溝部などを形成することにより、ホログラムラベル1を被着体99に貼りつける際に、接着層16と被着体99との間から空気を逃がすことができる。
【0049】
接着層16は、ホログラムラベル1を被着体99に接合するための接着層(粘着層)である。接着層16としては、例えば、接着層9に使用することができる材料を使用することができ、例えば、感圧型の接着剤(粘着剤)を使用することができる。または、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーなどの熱可塑性エラストマーや、反応ホットメルト性樹脂などを粘着剤として使用してもよい。
【0050】
粘着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合体樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などのヒートシール剤を使用してもよい。
【0051】
接着層16の表面上に、セパレータをさらに設けておいてもよい。セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートのフィルムやポリプロピレンのフィルムなどを、フッ素系離型剤やシリコーン系離型剤などにより離型処理した樹脂フィルムを使用することができる。または、剥離紙を使用してもよい。
【0052】
図1Bに示すように、基材層13が、カバー層3と対向する側の主面上に発色層4を備えていてもよい。発色層4は、例えば、ホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である。発色層4は、または、例えば、インク吸収層やインク受容層である。したがって、発色層4としては、印刷層2と同様の構成を適用することが可能である。ホログラムラベル1が、印刷層2および発色層4を備える場合には、発色層4に製品の仕様や型番などの製品情報Ipを記録しておき、ホログラムラベル1を被着体99に貼りあわせた後に、印刷層2に個別情報Idを印刷するといったことも可能である。
【0053】
なお、図1Bでは、発色層4が、接着層9と基材層13との間に配置される例が示されているが、発色層4の配置は、ホログラムラベル1を構成する各層間のいずれかの層間に、任意に設定してよい。発色層4の配置としては、例えば、透明基材7と接着層9との間、接着層9と基材層13との間、基材層13と接着層16との間などを選択することができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、発色層4が、カバー層3の表面上に配置されてもよい。
【0054】
(体積型ホログラム構造体)
体積型ホログラム構造体15は、少なくとも体積型ホログラムを含む構造体である。図1Bに示す構成例では、体積型ホログラム構造体15は、接着層23、ホログラム記録層19および透明基材17が被着体99側から順に積層された積層構造を有している。体積型ホログラム構造体15は、少なくとも体積型ホログラムを含んでいればよく、例えば、接着層23およびホログラム記録層19の積層体や、ホログラム記録層19および透明基材17の積層体などが体積型ホログラム構造体15とされてももちろん構わない。または、例えば、接着層23、透明基材17およびホログラム記録層19が順に積層された積層体が体積型ホログラム構造体15とされても構わない。ホログラム記録層19の単体を、体積型ホログラム構造体15としてもよい。
【0055】
ホログラム記録層19は、具体的には、体積型ホログラムからなる層である。ホログラム記録層19には、ホログラム記録層19を構成する材料の屈折率の差により、情報が干渉パターンとして記録される。ホログラム記録層19を構成する材料としては、例えば、光重合性樹脂材料、光架橋性樹脂材料、銀塩材料、重クロム酸ゼラチンなどの感光性材料を使用することができる。光重合性樹脂材料としては、露光後に特別な現像処理を施す必要がないことから、例えば、光重合型フォトポリマが選択されることが好ましい。体積型ホログラム構造体15が、ホログラム記録層19および透明基材17の積層体として構成される場合には、例えば、透明基材17の一主面上に、光重合型フォトポリマを塗布することにより、ホログラム記録層19および透明基材17の積層体を得ることが可能である。
【0056】
図2A〜図2Cは、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。光重合型フォトポリマは、初期状態では、図2Aに示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。これに対して、図2Bに示すように、10〜400mJ/cm2程度のパワーの光LAを照射すると、露光部においてモノマMが重合する。そして、ポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化し、これにより、屈折率変調が生じる。この後、図2Cに示すように、1000mJ/cm2程度のパワーの紫外線または可視光LBを全面に照射することにより、モノマMの重合が完了する。このように、光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉パターンを、屈折率の変化として記録することができる。
【0057】
図1Bに示す接着層23は、体積型ホログラム構造体15を被着体99に接合するための接着層(粘着層)である。接着層23としては、接着層16と同様の材料を使用することができる。なお、被着体99が黒色に近い色みでない場合には、ホログラムのコントラストを上げるために、接着層23が、黒色の接着層であることが好ましい。接着層23が黒色であると、ホログラムの画像のコントラストが上がることにより、ホログラムを観察しやすくなり、記録されたホログラムの視認性または可読性が向上するからである。また、ホログラムのコントラストを上げるための黒色シートを、観察者から見てホログラム記録層19の奥側に設ける必要がなく、体積型ホログラム構造体15の厚さを低減することができる。ここで、黒色とは、OD(OPTICAL DENSITY)にて1.0以上、または、JIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系における明度において30以下、または、可視光領域波長400〜750nmにおける平均反射率が20%以下の範囲であることを指す。OD、明度または平均反射率が上述した範囲内であると、ホログラムが観察しやすく、好ましい。
【0058】
接着層23を構成する材料に、顔料、染料またはこれらの混合物を含有させることにより、接着層23を着色された接着層とすることができる。黒色の顔料としては、例えば、カーボンブラック、銅−鉄−マンガン、アニリンブラックなどの黒色顔料を挙げることができる。黒色の染料としては、例えば、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラックなどの黒色染料を挙げることができる。
【0059】
図1Bに示す透明基材17は、ホログラム記録層19の支持体または保護層として機能するほか、体積型ホログラム構造体15と接着層9との間を埋めるためのスペーサとして機能する。透明基材17の材料としては、可視光領域で高い透明性を有している材料から選択されることが好ましく、透明基材7と同様の材料を使用することができる。
【0060】
[体積型ホログラム構造体の厚さの調整]
ホログラムラベル1は、例えば、基材層13の一主面上に設けられた接着層16および体積型ホログラム構造体15に設けられた接着層23を介して、被着体99に貼りつけられる。このとき、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体に対して、体積型ホログラム構造体15が厚いことが好ましい。
【0061】
領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体に対して、体積型ホログラム構造体15が薄いと、ホログラム記録層19が、接着層9または接着層23に引っ張られて反り返りやすくなる。言い換えれば、体積型ホログラム構造体15と、接着層9との間に空気の層が介在しやすくなる。例えば、体積型ホログラム構造体15と、接着層9との密着性が不足して、体積型ホログラム構造体15と、接着層9との間に空気の層が介在してしまうと、ホログラム記録層19から再生されるホログラム画像の視認性が低下してしまう。一方、体積型ホログラム構造体15が厚すぎると、領域Hと、領域Pとの間に段差が生じたり、領域H以外に空気層が介在したりして、ホログラムラベル1を被着体99に貼りつけたときに、ホログラムラベル1の見た目が悪くなってしまう。
【0062】
図3Aは、被着体に貼りつけられる前のホログラムラベルの断面を示す模式図である。ホログラム記録層19から再生されるホログラム画像の視認性の低下を防止する観点から、体積型ホログラム構造体15が、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体に対して、0μm以上30μm以下の範囲内で厚いことが好ましい。すなわち、図3Aに示すTh[μm]およびTp[μm]について、0≦(Th−Tp)≦30の関係となることが好ましい。体積型ホログラム構造体15の厚さThと、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体の厚さTpとの差(Th−Tp)を、上記範囲内とすることにより、ホログラム記録層19に記録された情報の視認性の低下が抑制される。なお、接着層9と基材層13との間または基材層13と接着層16との間に発色層4が配置される場合には、体積型ホログラム構造体15が、領域Pにおける発色層4、基材層13および接着層16からなる積層体に対して、上記の範囲内で厚いことが好ましい。
【0063】
なお、図3Aに示すホログラムラベル1を、被着体99に貼りあわせた場合には、例えば、接着層23が弾性を有するため、差(Th−Tp)が、上記範囲内であれば、ホログラムラベル1の表面をほぼ平らな面とすることができる。
【0064】
[ホログラム一体型表示媒体の第1の変形例]
図3Bは、ホログラムラベルの第1の変形例の断面を示す模式図である。図3Bに示すように、領域Pにおける透明基材7および接着層9の一部に、開口部を設けるようにしてもよい。すなわち、図3Bに示すホログラムラベル11は、基材層13の主面のうち、透明基材7および接着層9に設けられた開口部に対応する部分が、ホログラムラベル11の観察者に対して露出している。
【0065】
図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1は、カバー層3が、基材層13および体積型ホログラム構造体15の全面を被覆している。そのため、カバー層3を構成する材料によっては、ホログラムラベル1を観察したときの質感が、光沢感の感じられる質感となる。ホログラムラベル1の全体が光沢感を帯びていると、基材層13や発色層4に現された情報が読み取りにくくなったり、ホログラムラベル1を被着体99に貼りつけたものを商品とする場合に、商品から高級感が感じられなくなったりすることがある。
【0066】
そこで、基材層13が直接観察できる部分を設けておくことにより、ホログラムラベル11の全体的な光沢感を抑え、ホログラムラベル11または商品の印象を、高級感のあるものとすることができる。
【0067】
[ホログラム一体型表示媒体の第2の変形例]
図3Cは、ホログラムラベルの第2の変形例の断面を示す模式図である。図3Cに示すように、領域Pにおける透明基材7および接着層9の一部に開口部を設けるとともに、基材層13の主面のうち、ホログラムラベル21の観察者に対して露出している部分に、テクスチャ層8をさらに設けるようにしてもよい。図3Cでは、基材層13の一主面上に発色層4が設けられており、発色層4の表面のうち、ホログラムラベル21の観察者に対して露出している部分に、テクスチャ層8がさらに設けられた構成例を示している。
【0068】
テクスチャ層8は、例えば、マット成形された表面を有する層であり、基材層13や発色層4の光沢感を抑えることにより、ホログラムラベル21または商品の印象を、より高級感のあるものとすることができる。テクスチャ層8の材料としては、特に限定されないが、例えば、樹脂材料を使用することができる。
【0069】
[偽造防止機能の付与]
ホログラムラベルが、複数の接着層を含む場合には、各接着層の強度(接着力)およびホログラム記録層19の自己結集力(破断強度)の大小関係を規定することにより、ホログラムラベルに対して偽造防止機能を付与することが可能である。
【0070】
例えば、悪意をもった者により、ホログラムラベル1が真正なホログラムごと本来の被着体99から剥離され、ホログラムラベル1が別の被着体99に貼りつけられてしまうことが考えられる。また、体積型ホログラムは、一般に偽造が困難であるが、コンタクトコピーと呼ばれる手法により、真正な体積型ホログラムを原版として複製を行うことが不可能ではない。そのため、ホログラムラベル1から体積型ホログラム構造体15だけが抜き取られて、体積型ホログラム構造体15が、不正なコピーの原版として使用される可能性もある。
【0071】
そこで、被着体99からホログラムラベル1を剥離しようとしたときに、ホログラムラベル1が被着体99から剥離する前に、ホログラム記録層19が先に破壊されるようにすれば、ホログラムラベル1の偽造防止機能が向上する。具体的には、例えば、ホログラムラベル1が接着層9、接着層16および接着層23を備える場合には、ホログラム記録層19の自己結集力(破断強度)と比較して、接着層9または接着層23の接着力(剥離強度)を大としておく。ホログラム記録層19の自己結集力(破断強度)と比較して、接着層9または接着層23の接着力(剥離強度)が大である場合には、例えば、被着体99からのホログラムラベル1の剥離に伴って、ホログラム記録層19が破壊される。また、ホログラムラベル1から体積型ホログラム構造体15以外の部分が先に取り除かれたとしても、被着体99から体積型ホログラム構造体15を剥離しようとすると、ホログラム記録層19が破壊される。
【0072】
本開示では、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベルの厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定される。具体的には、例えば、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力およびホログラム記録層19とカバー層3との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定される。または、例えば、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力、ホログラム記録層19と透明基材17との接着力、透明基材17の破断強度および透明基材17とカバー層3との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定される。
【0073】
したがって、被着体99からホログラムラベル1を剥離しようとすると、ホログラム領域Hにおいてホログラム記録層19が最初に破壊されることとなり、ホログラムラベル1が不正に貼りかえられることや、ホログラムラベル1からホログラムが抜き取られることを防止できる。
【0074】
このとき、ホログラムラベル1が貼りつけられている被着体99は何であってもよいが、被着体99に対する接着層16の接着力が、同一の被着体99に対する接着層23の接着力より小さいことが好ましい。ホログラムラベル1の領域Pに対応する部分が、被着体99から先に剥離または破壊されても、領域Hにおいてホログラム記録層19さえ確実に破壊できれば、所期の目的が達せられるからである。
【0075】
例えば、ホログラムラベル1の領域Pに対応する部分が先に剥離または破壊されても、ホログラム記録層19の一部がカバー層3に追従するため、ホログラム記録層19が、被着体99とカバー層3とにより引っ張られることとなり、ホログラム記録層19が破壊される。もちろん、ホログラムラベル1の領域Pに対応する部分の少なくとも一部が、被着体99上に残るようにすることも可能である。また、例えば、ホログラムラベル1からホログラムを抜き取ろうとして、ホログラム領域Hと領域Pの境界をカットしたとしても、ホログラムラベル1のホログラム領域Hに対応する部分を被着体99から剥離する際に、ホログラム記録層19が破壊される。
【0076】
以下、ホログラムラベルの偽造防止機能について、図4〜図8を参照しながら、順に説明する。
【0077】
図4Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図4Aに示す構成例では、接着層23およびホログラム記録層19の積層体である体積型ホログラム構造体25と、接着層16および基材層13の積層体である積層基材45とが、カバー層3により一体的に被覆されている。
【0078】
なお、図4Aに示す構成例において、ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル31の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・ホログラム記録層19と接着層9との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層23とホログラム記録層19との接着力
・接着層23の破断強度
・接着層23と被着体99との接着力
(領域P)
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・基材層13と接着層9との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0079】
図4Aに示すホログラムラベル31では、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力およびホログラム記録層19とカバー層3(接着層9)との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、接着層9の破断強度、接着層9と透明基材7との接着力および透明基材7の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0080】
ここで、本明細書中における「接着力」とは、相異なる部材間の界面における結合の強さをさすものとする。したがって、ホログラム領域Hにおける、ホログラムラベルの厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度の間の大小関係は、被着体99からホログラムラベルを剥離したときに、ホログラム記録層19が破壊されるか否かにより確認される。なお、適当なサンプルが得られる場合には、接着強度などの、破壊実験による測定値により接着力を求めるようにしてもよい。
【0081】
図4Bおよび図4Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図4Bおよび図4Cに示す例は、ホログラムラベル31を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0082】
図4Bは、基材層13とカバー層3(接着層9)との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13とカバー層3(接着層9)との接着力が最も小さい場合、図4Bに示すように、ホログラムラベル31は、基材層13とカバー層3との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル31の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、カバー層3とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0083】
図4Cは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図4Cに示すように、ホログラムラベル31は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル31の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、カバー層3とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0084】
図5A〜図5Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図5Aおよび図5Bに示す例は、ホログラムラベル31を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図5Cに示す例は、ホログラムラベル31を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0085】
図5Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図5Aに示すように、ホログラムラベル31は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0086】
図5Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図5Bに示すように、ホログラムラベル31は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル31の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、カバー層3および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0087】
図5Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図5Cに示すように、ホログラムラベル31は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0088】
ホログラムラベルが印刷層2や発色層4などをさらに備える場合には、ホログラムラベルの被着体99からの剥離にともなう、ホログラムラベルの破壊の態様を、さらに多様に設定することが可能である。
【0089】
例えば、図1Aおよび図1Bに例示したホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル1の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・印刷層2の破断強度
・透明基材7と印刷層2との接着力
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・透明基材17と接着層9との接着力
・透明基材17の破断強度
・ホログラム記録層19と透明基材17との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層23とホログラム記録層19との接着力
・接着層23の破断強度
・接着層23と被着体99との接着力
(領域P)
・印刷層2の破断強度
・透明基材7と印刷層2との接着力
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・発色層4と接着層9との接着力
・発色層4の破断強度
・基材層13と発色層4との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0090】
この場合において、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力、ホログラム記録層19と透明基材17との接着力、透明基材17の破断強度および透明基材17とカバー層3(接着層9)との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、接着層9の破断強度、接着層9と透明基材7との接着力、透明基材7の破断強度、透明基材7と印刷層2との接着力および印刷層2の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0091】
図6Aおよび図6Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図6Aおよび図6Bに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、発色層4の少なくとも一部および基材層13が被着体99に残る例である。
【0092】
図6Aは、発色層4とカバー層3(接着層9)との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4とカバー層3(接着層9)との接着力が最も小さい場合、図6Aに示すように、ホログラムラベル1は、発色層4とカバー層3との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、カバー層3および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0093】
図6Bは、発色層4の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4の破断強度が最も小さい場合、図6Bに示すように、ホログラムラベル1は、発色層4から破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、発色層4は、カバー層3とともに被着体99から剥離される部分4uと、被着体99上に残る部分4bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0094】
図7Aおよび図7Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図7Aおよび図7Bに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0095】
図7Aは、基材層13と発色層4との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13と発色層4との接着力が最も小さい場合、図7Aに示すように、ホログラムラベル1は、基材層13と発色層4との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、カバー層3および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0096】
図7Bは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図7Bに示すように、ホログラムラベル1は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、カバー層3および発色層4とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0097】
図8A〜図8Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図8Aおよび図8Bに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図8Cに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0098】
図8Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図8Aに示すように、ホログラムラベル1は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0099】
図8Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図8Bに示すように、ホログラムラベル1は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、カバー層3、発色層4および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0100】
図8Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図8Cに示すように、ホログラムラベル1は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0101】
[ホログラム一体型表示媒体の製造方法の一例]
以下、図9A〜図9Cならびに図10Aおよび図10Bを参照しながら、第1の実施形態にかかるホログラムラベルの製造方法の各工程について説明する。以下に示す製造方法の一例では、概略的には、透明基材7および接着層9の積層体と、連通する開口部が設けられた基材層13および接着層(粘着層)16の積層体とを貼りあわせた後に、開口部に体積型ホログラム構造体15を挿入することにより、ホログラムラベル1が得られる。
【0102】
(ホログラムラベルの基体の準備)
まず、図9Aに示すように、基材層13を準備する。図9Aに示すように、基材層13の一主面上に接着層16が形成される場合には、接着層16の表面上に、セパレータ97を設けるようにすると、基材層13および接着層16の積層体の取り扱いが容易となる。
【0103】
基材層13は、例えば、溶融押出法や射出成形法などにより、樹脂材料からシート状やフィルム状に成形することができる。接着層16は、例えば、ロールコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、ダイコータ、リバースコータなどを用い、接着層16を構成する材料を適宜の厚さで塗布することにより、基材層13の一主面上に形成することができる。
【0104】
次に、図9Bに示すように、基材層13および接着層16の積層体に対して、例えば、ピナクル型やトムソン型(ビク型)を用い、基材層13および接着層16の積層体に対して、切り込みを入れる。その後、基材層13および接着層16の積層体における、切り込みの内側の部分を除去することにより、切り抜きCOを形成する。なお、基材層13、接着層16およびセパレータ97に対し、一括して切り抜きCOを形成してもかまわない。
【0105】
次に、透明基材7および接着層9の積層体を準備する。透明基材7および接着層9の積層体は、図9Aに示す基材層13および接着層16の積層体と同様にして得ることができる。
【0106】
次に、図9Cに示すように、基材層13および接着層16の積層体と、透明基材7および接着層9の積層体とを貼りあわせる。このときの貼りあわせは、接着層9の露出面側と、基材層13の露出面側とが対向するようにして行われる。
【0107】
(体積型ホログラム構造体の挿入)
次に、図10Aに示すように、セパレータ97を剥離した状態で、切り抜きCOに、体積型ホログラム構造体15を挿入する。このとき、体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側が、切り抜きCOの接着層9と対向するようにして、体積型ホログラム構造体15が挿入される。図10Aでは、体積型ホログラム構造体15が、接着層23、ホログラム記録層19および透明基材17が順に積層された構成を有する例を示しているが、例えば、体積型ホログラム構造体15が、接着層23の側にさらにセパレータを備える構成であってもよい。
【0108】
切り抜きCOへの体積型ホログラム構造体15の挿入に際しては、透明基材7、接着層9、基材層13および接着層16の積層体は、例えば、たわみのない支持体の上に載せられる。切り抜きCOに体積型ホログラム構造体15が挿入された後、離型フィルムや接着層23の側にさらに設けられたセパレータなどを介して、図10Aに示すように、体積型ホログラム構造体15に対して圧力P1が加えられる。透明基材7、接着層9、基材層13および接着層16の積層体が、たわみのない支持体の上に載せられているため、体積型ホログラム構造体15に対して圧力P1を加えることにより、接着層9と、体積型ホログラム構造体15とが密着する。
【0109】
以上により、図10Bに示すホログラムラベル1が得られる。接着層16および接着層23の表面上の全面に、セパレータを配置するようにしてもよい。このようにすることで、ホログラムラベル1の取り扱いと、被着体99に対するホログラムラベル1の貼りつけを容易とすることができる。
【0110】
[ホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法の一例]
図9A〜図9Cならびに図10Aおよび図10Bに示す例では、被着体99に対して、完成後のホログラムラベル1が貼りつけられることになる。ここで、体積型ホログラム構造体15と、それ以外の部材とを別個に準備しておき、これらを被着体99に貼りつけることにより、被着体99上でホログラムラベル1が形成されるように構成してもよい。
【0111】
図11Aは、ホログラムラベルを構成するためのシールの一例の断面を示す模式図である。図11Aに示すように、シール41は、概略的には、接着層16、基材層13、接着層9および透明基材7を順に積層した積層構造を有している。必要に応じて、接着層16の表面上に、セパレータ97が配置される。シール41が、上述した印刷層2や発色層4、テクスチャ層8などを含んでいてもよい。
【0112】
図11Aに示すように、シール41には、透明基材7と、基材層13との界面において、透明基材7と、基材層13とが接合されていない未接着領域NBが設けられている。例えば、接着層9が粘着剤から構成される場合には、接着層9における基材層13との対向面の一部にセパレータ98が配置されており、セパレータ98の配置された領域が、未接着領域NBとなる。以下では、接着層9が粘着剤から構成される場合を例にとって説明を行うが、例えば、接着層9が熱硬化型の接着剤から構成される場合には、接着層9における基材層13との対向面の一部が、常温で接着力のない状態とされ、該領域が、未接着領域NBとなる。
【0113】
また、シール41の基材層13および接着層16には、未接着領域NB内に、未接着領域NBより小さい面積の切り抜きCOが形成されている。図11Aでは、セパレータ97に対しても同様に切り抜きCOが形成された例を示している。この場合は、基材層13、接着層16およびセパレータ97に形成された切り抜きCOにより、基材層13、接着層16およびセパレータ97に連通する開口部が形成されることになる。なお、シール41における開口部は、例えば、接着層16、基材層13、接着層9および透明基材7を順に積層した積層体に対して、接着層16の側から接着層9に向かって、接着層9に達するまでの切り抜きCOを形成することにより形成することができる。または、例えば、切り抜きCOがあらかじめ設けられた、接着層16および基材層13の積層体と、接着層9および透明基材7の積層体とを貼りあわせることにより、シール41における開口部を形成するようにしてもよい。
【0114】
図11Aに示すシール41を使用して、ホログラムラベル1を構成するには、まず、図11Bに示すように、接着層16からセパレータ97を剥離する。次に、図11Cに示すように、接着層16を介して、接着層16、基材層13、接着層9および透明基材7の積層体と、被着体99とを貼りあわせる。
【0115】
このとき、シール41には未接着領域NBが設けられているので、図12Aおよび図12Bに示すように、ホログラムラベル1の製造者は、透明基材7および接着層9を、未接着領域NBにおいて、めくり上げることができる。したがって、ホログラムラベル1の製造者は、基材層13の一部を露出させることができる。
【0116】
基材層13および接着層16には切り抜きCOが形成されているので、図12Bに示すように、透明基材7および接着層9がめくり上げられると、切り抜きCOに対応して、被着体99の一部が、露出することになる。なお、図12Bでは、セパレータ98を剥離した後の状態を示し、未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界を、破線Cにより示した。
【0117】
次に、図13Aに示すように、透明基材7および接着層9をめくり上げた状態で、切り抜きCOに、体積型ホログラム構造体15を挿入する。このとき、体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側が、接着層9と対向するようにして、体積型ホログラム構造体15が挿入される。図13Aでは、体積型ホログラム構造体15が、接着層23、ホログラム記録層19および透明基材17が順に積層された構成を有する例を示した。体積型ホログラム構造体15が、被着体99と対向する側に接着層23を備える場合には、図13Aに示すように、体積型ホログラム構造体15に対して圧力P2を加えることにより、被着体99と、体積型ホログラム構造体15とが密着する。
【0118】
次に、空気が入らないように注意しながら、体積型ホログラム構造体15を覆うようにして、体積型ホログラム構造体15に対して、接着層9を介して透明基材7および接着層9の積層体を貼りあわせる。以上の手順により、図13Bに示すように、被着体99上で、ホログラムラベル1を完成させることができ、ホログラムラベル1が貼りつけられた被着体99を得ることができる。
【0119】
図14A〜図14Cは、直方体状の被着体に対して、シールの貼りつけと、体積型ホログラム構造体の挿入とを行い、被着体上でホログラムラベルを完成させる例を示した斜視図である。
【0120】
直方体状の被着体99に対して、被着体99上でホログラムラベル1を完成させるには、まず、図14Aに示すように、シール41の接着層16の側を被着体99に対向させて、シール41を被着体99に巻きつけるようにして貼りつける。
【0121】
このとき、シール41には未接着領域NBが設けられているため、図14Bに示すように、被着体99の表面のうち、例えば、基材層13および接着層16の積層体に形成された切り抜きに対応する部分が外部に対して露出する。被着体99の表面のうち、外部に対して露出した部分には、図14Bに示すように、体積型ホログラム構造体15が挿入される。なお、図14Bにおいては、未接着領域NBを網掛け領域により示した。
【0122】
次に、図14Cに示すように、体積型ホログラム構造体15に対して、シール41のカバー層3のうち、未接着領域NBに対応する部分を貼りつける。このようにして、ホログラムラベル1が貼りつけられた被着体99を得ることができる。このとき、図14Cにおいて破線Cにより示した、未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が、被着体99の角部の近傍とされることが好ましい。未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が目立たなくなり、ホログラムラベル1の貼りつけられた被着体99の見た目が向上するからである。例えば、被着体99の角部が、丸みを有している場合には、未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が、被着体99の角部の丸み部分の近傍とされることが好ましい。例えば、被着体99の角部が、R1mm程度の丸みを有している場合、丸み部分の断面における丸み部分の輪郭の長さは、(1/4)×2×π×1[mm]からおよそ1.57[mm]と計算される。
【0123】
または、基材層13に設けられた開口部と、基材層13における開口部以外の領域との境界が、例えば、被着体99の角部から5mm程度の近傍とされることが好ましい。未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が目立たなくなり、ホログラムラベル1の貼りつけられた被着体99の見た目が向上するからである。
【0124】
第1の実施形態によれば、全体として薄く、かつ体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されたホログラムラベルを得ることができる。また、第1の実施形態によれば、被着体上でホログラムラベルを完成させることもでき、したがって、製造工程においても、ホログラムラベルの取り扱いを容易とすることができる。
【0125】
さらに、第1の実施形態によれば、ホログラムラベルが被着体から剥離される際に、ホログラム記録層を確実に破壊することができ、ホログラムラベルの偽造防止機能を向上させることができる。また、本開示のホログラムラベルは、体積型ホログラム構造体と積層基材とが被覆層により一体的に被覆されているため、ホログラムの表面が露出せず、ホログラムの剥落や損傷を防止できる。
【0126】
<2.第2の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
図15Aは、第2の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図15Bは、図15Aに示すホログラムラベルのXV−XV断面の模式図である。図15Aに示すように、上面から観察したときの、第2の実施形態にかかるホログラムラベル51の見た目は、第1の実施形態にかかるホログラムラベル1とほぼ同じである。図15Bに示すように、第2の実施形態にかかるホログラムラベル51は、基材層13と、体積型ホログラム構造体55とを備える点で、第1の実施形態と共通する。体積型ホログラム構造体55は、第1の実施形態における体積型ホログラム構造体15に対応し、したがって、体積型ホログラム構造体55は、体積型ホログラム構造体15と同様の構成をとることができる。第2の実施形態にかかるホログラムラベル51は、カバー層3にかえて、コート層5が、基材層13および体積型ホログラム構造体55を一体的に被覆している点で、第1の実施形態と相違する。
【0127】
ホログラムラベル51においては、コート層5が、基材層13および体積型ホログラム構造体55を一体的に被覆する。コート層5は、例えば、基材層13の面内の一部に設けられた開口部に体積型ホログラム構造体55を配置した後、基材層13および体積型ホログラム構造体55の一主面に対して、透明性を有する樹脂材料などを塗布することにより、形成することができる。
【0128】
このとき、体積型ホログラム構造体55の厚さThと、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体の厚さTpとの差(Th−Tp)が、0未満であっても構わない。例えば、塗布法によりコート層5を形成すれば、差(Th−Tp)が、0未満の場合であっても、コート層5を構成する材料が、相対的に低い、ホログラム領域Hを埋める。そのため、コート層5のうち、ホログラム領域Hに対応する部分では、コート層5が、体積型ホログラム構造体55に対して凸形状となり、体積型ホログラム構造体55と、コート層5とが密着することになる。したがって、ホログラム記録層19が、反り返りにくくなり、また、体積型ホログラムと、観察者との間に空気層が介在しなくなるため、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制される。コート層5を構成する材料の塗布後に、脱泡処理が行われると、より好ましい。なお、コート層5と基材層13との間または基材層13と接着層16との間に発色層4が配置される場合には、領域Pにおける発色層4、基材層13および接着層16からなる積層体の厚さと、体積型ホログラム構造体55の厚さとの差が、0未満であってもよい。
【0129】
もちろん、差(Th−Tp)が、0以上であっても構わない。例えば、塗布法によりコート層5を形成すれば、差(Th−Tp)が、0を超える場合は、コート層5を構成する材料が、相対的に低い、領域Pを埋める。そのため、コート層5のうち、ホログラム領域Hに対応する部分では、コート層5が、体積型ホログラム構造体55に対して凹形状となり、体積型ホログラム構造体55と、コート層5とが密着することになる。このように、コート層5が、ホログラム領域Hと領域Pとの間の段差に追従した形状とされることにより、体積型ホログラム構造体55と、コート層5とを密着させることができる。
【0130】
コート層5を構成する材料としては、上述した、透明基材7を構成する材料と同様の材料を使用することができる。塗布の方法も、特に限定されず、例えば、ロールコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、ダイコータ、リバースコータなどを使用することができる。なお、被着体99に対して、例えば、基材層13および接着層16の積層体と、体積型ホログラム構造体55とを貼りつけた後、透明性を有する熱収縮性フィルムで全体を覆い、加熱により熱収縮性フィルムを収縮させてホログラムラベル51を形成するようにしてもよい。
【0131】
[偽造防止機能の付与]
ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベルの厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度を規定することにより、第1の実施形態と同様に、ホログラムラベルの偽造防止機能を向上させることができる。以下、ホログラムラベルの偽造防止機能について、図16〜図20を参照しながら、順に説明する。
【0132】
図16Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図16Aに示す構成例では、接着層73およびホログラム記録層19の積層体である体積型ホログラム構造体75と、接着層16および基材層13の積層体である積層基材45とが、コート層5により一体的に被覆されている。接着層73は、第1の実施形態における接着層23に対応し、したがって、接着層73は、接着層23と同様の構成をとることができる。すなわち、体積型ホログラム構造体75は、第1の実施形態における体積型ホログラム構造体25に対応し、したがって、体積型ホログラム構造体75は、体積型ホログラム構造体25と同様の構成となる。
【0133】
なお、図16Aに示す構成例において、ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル61の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・コート層5の破断強度
・ホログラム記録層19とコート層5との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層73とホログラム記録層19との接着力
・接着層73の破断強度
・接着層73と被着体99との接着力
(領域P)
・コート層5の破断強度
・基材層13とコート層5との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0134】
図16Aに示すホログラムラベル61では、接着層73と被着体99との接着力、接着層73の破断強度、接着層73とホログラム記録層19との接着力およびホログラム記録層19とコート層5との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、コート層5の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0135】
図16Bおよび図16Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図16Bおよび図16Cに示す例は、ホログラムラベル61を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0136】
図16Bは、基材層13とコート層5との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13とコート層5との接着力が最も小さい場合、図16Bに示すように、ホログラムラベル61は、基材層13とコート層5との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル61の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、コート層5とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0137】
図16Cは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図16Cに示すように、ホログラムラベル61は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル61の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、コート層5とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0138】
図17A〜図17Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図17Aおよび図17Bに示す例は、ホログラムラベル61を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図17Cに示す例は、ホログラムラベル61を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0139】
図17Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図17Aに示すように、ホログラムラベル61は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0140】
図17Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図17Bに示すように、ホログラムラベル61は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル61の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、コート層5および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0141】
図17Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図17Cに示すように、ホログラムラベル61は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0142】
ホログラムラベルが印刷層2や発色層4などをさらに備える場合には、ホログラムラベルの被着体99からの剥離にともなう、ホログラムラベルの破壊の態様を、さらに多様に設定することが可能である。
【0143】
例えば、図15Aおよび図15Bに例示したホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル51の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・印刷層2の破断強度
・コート層5と印刷層2との接着力
・コート層5の破断強度
・透明基材17とコート層5との接着力
・透明基材17の破断強度
・ホログラム記録層19と透明基材17との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層73とホログラム記録層19との接着力
・接着層73の破断強度
・接着層73と被着体99との接着力
(領域P)
・印刷層2の破断強度
・コート層5と印刷層2との接着力
・コート層5の破断強度
・発色層4とコート層5との接着力
・発色層4の破断強度
・基材層13と発色層4との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0144】
この場合において、接着層73と被着体99との接着力、接着層73の破断強度、接着層73とホログラム記録層19との接着力、ホログラム記録層19と透明基材17との接着力、透明基材17の破断強度および透明基材17とコート層5との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、コート層5の破断強度、コート層5と印刷層2との接着力および印刷層2の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0145】
図18Aおよび図18Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図18Aおよび図18Bに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、発色層4の少なくとも一部および基材層13が被着体99に残る例である。
【0146】
図18Aは、発色層4とコート層5との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4とコート層5との接着力が最も小さい場合、図18Aに示すように、ホログラムラベル51は、発色層4とコート層5との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、コート層5および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0147】
図18Bは、発色層4の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4の破断強度が最も小さい場合、図18Bに示すように、ホログラムラベル51は、発色層4から破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、発色層4は、コート層5とともに被着体99から剥離される部分4uと、被着体99上に残る部分4bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0148】
図19Aおよび図19Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図19Aおよび図19Bに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0149】
図19Aは、基材層13と発色層4との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13と発色層4との接着力が最も小さい場合、図19Aに示すように、ホログラムラベル51は、基材層13と発色層4との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、コート層5および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0150】
図19Bは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図19Bに示すように、ホログラムラベル51は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、コート層5および発色層4とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0151】
図20A〜図20Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図20Aおよび図20Bに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図20Cに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0152】
図20Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図20Aに示すように、ホログラムラベル51は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0153】
図20Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図20Bに示すように、ホログラムラベル51は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、コート層5、発色層4および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0154】
図20Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図20Cに示すように、ホログラムラベル51は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0155】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、全体として薄く、かつ体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されたホログラムラベルを得ることができる。また、第1の実施形態と同様に、ホログラムラベルが被着体から剥離される際に、ホログラム記録層を確実に破壊することができ、ホログラムラベルの偽造防止機能を向上させることができる。
【0156】
<3.変形例>
以上、好適な実施形態について説明してきたが、好適な具体例は、上述した説明に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0157】
例えば、エネルギ線硬化樹脂などにより、ホログラムラベルの表面にハードコート層を形成してもよいし、ホログラム記録層19と他の層との界面に、ケミカルアタックを防止するブロッキング層を設けるようにしてもよい。
【0158】
上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。上述の実施形態の構成、方法、形状、材料および数値などは、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0159】
例えば、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
基材層と、
前記基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、
前記基材層および前記体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層と
を備えるホログラム一体型表示媒体。
(2)
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成される第1の接着層と、前記第1の接着層上に配置される透明基材層とからなり、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成される(1)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(3)
前記体積型ホログラム構造体が、前記基材層および前記第2の接着層の積層体に対して、0μm以上30μm以下の範囲内で厚い(2)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(4)
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第3の接着層からなる積層体とされ、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記第1の接着層との接着力より小である(2)または(3)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(5)
前記基材層と前記第1の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(6)
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記透明基材層の主面のうち、前記第1の接着層に接する側とは反対側の主面上、前記透明基材層と前記第1の接着層との間、前記第1の接着層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される(4)または(5)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(7)
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、前記ホログラム記録層および前記第3の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記第1の接着層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記第1の接着層との接着力より小である(6)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(8)
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成されるとともに、前記基材層と前記体積型ホログラム構造体との間の段差に追従した形状とされ、
前記開口部に対応する領域において、前記被覆層と前記体積型ホログラム構造体とが、密着している(1)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(9)
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第1の接着層からなる積層体とされ、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記被覆層との接着力より小である(8)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(10)
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記被覆層の主面のうち、前記基材層および前記体積型ホログラム構造体に接する側とは反対側の主面上、前記被覆層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される(9)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(11)
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、前記ホログラム記録層および前記第1の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記被覆層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記被覆層との接着力より小である(10)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(12)
前記基材層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(11)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(13)
前記基材層と前記第2の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(12)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(14)
前記第2の接着層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(13)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(15)
前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(14)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(16)
前記基材層における前記開口部が、前記基材層に形成された切り欠きである(1)ないし(15)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(17)
透明基材層の一主面上に形成された第1の接着層に対して、連通する開口部が設けられた基材層および第2の接着層の積層体を、前記第1の接着層と前記基材層とが対向するようにして貼りあわせることと、
前記開口部に体積型ホログラム構造体を挿入して、前記第1の接着層と前記体積型ホログラム構造体とを貼りあわせることと
からなるホログラム一体型表示媒体の製造方法。
(18)
透明基材層、第1の接着層、基材層および第2の接着層が順に積層された積層体と、被着体とを貼りあわせることと、
前記基材層と前記第1の接着層との間に設けられた未接着領域に対応する部位に、前記基材層および前記第2の接着層に連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介して、体積型ホログラム構造体を挿入することと、
前記未接着領域を接着領域に変質させ、前記体積型ホログラム構造体と前記基材層とを、前記透明基材および前記第1の接着層により一体的に被覆することと
からなるホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法。
(19)
透明基材と、
前記透明基材との接合面とは反対側の主面の少なくとも一部に未接着領域が設けられた第1の接着層と、
前記未接着領域以外の領域が前記第1の接着層との接合面とされた基材層と、
前記基材層の主面のうち、前記第1の接着層との接合面とは反対側の主面との接合面を有する第2の接着層と
を備え、
前記第2の接着層を介して被着体と貼りあわせたときに、前記被着体の一部が、前記基材層と前記第2の接着層とに連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介した露出面となるラベル媒体。
【符号の説明】
【0160】
1,11,21,31,51,61・・・ホログラムラベル
2・・・印刷層
3・・・カバー層
4・・・発色層
5・・・コート層
7,17・・・透明基材
8・・・テクスチャ層
9,16,23,73・・・接着層
13・・・基材層
15,25,55,75・・・体積型ホログラム構造体
19・・・ホログラム記録層
41・・・シール
45・・・積層基材
H・・・ホログラム領域
P・・・体積型ホログラムを含まない領域
CO・・・切り抜き
Id・・・個別情報
Ip・・・製品情報
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体に関する。特に、体積型ホログラムをその一部に含むホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
立体表示が可能なホログラムは、クレジットカード、身分証明書などの真贋判定のために使用されるほか、商品の真正性の証明を目的として、商品やその包装に貼りつけられることもある。
【0003】
近年では、偽造が比較的容易なエンボスホログラムにかえて、記録層内部の屈折率の差として干渉パターンが記録された体積型ホログラムが使用されることが多い。これは、体積型ホログラムの製造において、記録画像の制作に高度な技術が要求されることおよび記録材料が入手困難なことによる。
【0004】
ところで、工業製品の製造者は、一般に、製造番号や仕様をはじめとする情報を製品に表示する必要がある。これらの情報は、例えば、印刷やモールド成形により製品自体に表示されたり、商品の包装に表示されたりするほか、あらかじめ情報の印刷されたシートやフィルムなどが製品に貼りつけられることにより表示される。情報が印刷されるシートやフィルムなどとホログラムとが組み合わされ、ホログラムが、ホログラムラベルとして利用されることもある。例えば、下記の特許文献1には、透過型ホログラムが一体化された、オンデマンド印刷の可能なカードが開示されている。
【0005】
あらかじめ情報の印刷されたシートやフィルムなどと、商品の真正性の証明を目的とするホログラムとが組み合わせて利用される場合には、ホログラムが、シートやフィルムなどの表面に貼りつけられることが多い。すなわち、工業製品の製造者は、情報が記録されたシートやフィルムなどを製品に対して貼りつけておき、シートやフィルムなどに対して、ホログラムをさらに重ねて貼りつけたうえで、商品とすることが一般的である。
【0006】
ところが、情報の印刷されたシートやフィルムなどの表面に対してホログラムを貼りつけた場合には、シートやフィルムなどの表面に対してホログラムが突出するため、ホログラムが剥落しやすくなる。また、ホログラムの表面が傷つきやすくなるほか、ホログラムの重ねて貼りつけられた部分が他の部分と比較して厚くなってしまうため、商品の見た目が悪くなってしまう。
【0007】
シートやフィルムなどの表面に貼りつけられるホログラムがエンボスホログラム(レリーフホログラムともいう。)である場合には、エンボスホログラムは数μm程度の厚さでも形成が可能であるため、ホログラム自体の厚さが問題になることは少ない。一方、体積型ホログラムは、厚さ方向に対しても干渉パターンが記録されることを特徴とし、体積型ホログラムは、エンボスホログラムよりも厚くなることが一般的である。また、体積型ホログラムは、エンボスホログラムと比較して、観察時の条件も繊細である。
【0008】
そのため、情報の印刷されたシートやフィルムなどの表面に対して体積型ホログラムを貼りつける場合、体積型ホログラムの表面が傷つき、体積型ホログラムに記録された情報の視認性が低下する場合がある。また、商品の見た目を良くするために、商品の表面を平坦にしようとすると、製品の一部にあらかじめ凹部を設けておかなければならないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−015197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
体積型ホログラムが、情報の印刷されたシートやフィルムなどと組み合わされる場合には、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の好ましい実施態様は、
ホログラム一体型表示媒体が、
基材層と、
基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、
基材層および体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層とを備える。
【0012】
本開示の第2の好ましい実施態様は、
ホログラム一体型表示媒体の製造方法が、
透明基材層の一主面上に形成された第1の接着層に対して、連通する開口部が設けられた基材層および第2の接着層の積層体を、第1の接着層と基材層とが対向するようにして貼りあわせることと、
開口部に体積型ホログラム構造体を挿入して、第1の接着層と体積型ホログラム構造体とを貼りあわせることと
からなる。
【0013】
本開示の第3の好ましい実施態様は、
ホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法が、
透明基材層、第1の接着層、基材層および第2の接着層が順に積層された積層体と、被着体とを貼りあわせることと、
基材層と第1の接着層との間に設けられた未接着領域に対応する部位に、基材層および第2の接着層に連通するようにして設けられた、未接着領域より小なる面積の開口部を介して、体積型ホログラム構造体を挿入することと、
未接着領域を接着領域に変質させ、体積型ホログラム構造体と基材層とを、透明基材および第1の接着層により一体的に被覆することと
からなる。
【0014】
本開示の第4の好ましい実施態様は、
ラベル媒体が、
透明基材と、
透明基材との接合面とは反対側の主面の少なくとも一部に未接着領域が設けられた第1の接着層と、
未接着領域以外の領域が第1の接着層との接合面とされた基材層と、
基材層の主面のうち、第1の接着層との接合面とは反対側の主面との接合面を有する第2の接着層と
を備える。
第2の接着層を介して被着体と貼りあわせたときに、被着体の一部が、基材層と第2の接着層とに連通するようにして設けられた、未接着領域より小なる面積の開口部を介した露出面となる。
【0015】
本開示によれば、基材層および体積型ホログラム構造体が、被覆層により一体的に被覆されるため、体積型ホログラムの表面が露出せず、体積型ホログラムの剥落や損傷が防止される。また、製造者がホログラム一体型表示媒体を被着体に貼りつけるときに、製造者は、被覆層、基材層および体積型ホログラム構造体を一体的に取り扱うことができ、ホログラム一体型表示媒体の取り扱いが容易である。本開示によれば、製造者は、ラベル媒体を被着体に貼りつけた後に、ラベル媒体と体積型ホログラムとを組み合わせて一体的に構成することもできるため、被着体へのホログラム一体型表示媒体の貼りつけの効率が向上する。
【0016】
基材層の一主面上に、被着体にホログラム一体型表示媒体を貼りつけるための接着層が設けられる場合には、基材層および接着層の厚さと、体積型ホログラム構造体の厚さとを所定の範囲に調整することにより、体積型ホログラムの視認性の低下が防止される。または、情報表示層、基材層および接着層の厚さと、体積型ホログラム構造体の厚さとを所定の範囲に調整することにより、体積型ホログラムの視認性の低下が防止される。基材層および接着層の厚さと、体積型ホログラム構造体の厚さとを所定の範囲に調整することにより、体積型ホログラムがほぼ平面状に保たれ、かつ体積型ホログラムと、観察者との間に空気層が介在しなくなるからである。また、シートやフィルムなどの表面に対してホログラムが突出することが防止され、商品の見た目の悪化が防止される。
【0017】
ホログラム一体型表示媒体が、複数の接着層を含む場合には、各接着層の強度(接着力)および体積型ホログラムが記録された層の自己結集力(破断強度)の大小関係が規定されてもよい。ホログラム一体型表示媒体を剥離しようとしたときに、ホログラム一体型表示媒体が剥離する前に体積型ホログラムが記録された層が破壊されるようにすれば、ホログラム一体型表示媒体の偽造防止機能が向上する。
【0018】
本開示では、接着層およびホログラム記録層を含む第1の積層体と、接着層および基材層を含む第2の積層体とが被覆層により一体的に覆われることにより、ホログラム一体型表示媒体が構成される。すなわち、ホログラム一体型表示媒体には、ホログラムを含むホログラム領域が設けられている。なお、ホログラム領域以外の残余の領域には、例えば、ホログラム一体型表示媒体が貼りつけられるべき製品に関する製造番号や仕様などの情報が表示される。
【0019】
ホログラム領域においては、例えば、接着層と被着体との接着力、接着層の破断強度、接着層とホログラム記録層との接着力およびホログラム記録層と被覆層との接着力よりもホログラム記録層の破断強度が小さく設定されている。または、ホログラム領域においては、例えば、接着層と被着体との接着力、接着層の破断強度、接着層とホログラム記録層との接着力、ホログラム記録層とホログラム保護層との接着力、ホログラム保護層の破断強度およびホログラム保護層と被覆層との接着力よりもホログラム記録層の破断強度が小さく設定されている。すなわち、ホログラム一体型表示媒体のホログラム領域においては、ホログラム記録層が最も脆いものとされる。したがって、ホログラム一体型表示媒体を被着体から剥離しようとして、ホログラム一体型表示媒体に対して力を加えると、ホログラム領域では、ホログラム記録層が最初に破壊される。
【0020】
そのため、ホログラム一体型表示媒体が本来の被着体から剥離されて別の被着体に貼りかえられることや、ホログラム一体型表示媒体のホログラムが抜き取られて不正なコピーの原版として使用されることが防止される。すなわち、ホログラム一体型表示媒体の偽造防止機能が向上する。
【0021】
なお、ホログラム記録層の破断強度に対して、ホログラム領域以外の残余の領域を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されることにより、該領域の積層構造のうち、いずれの部位から破壊が起こるかが規定される。ホログラム領域以外の残余の領域を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度の少なくとも1つが、ホログラム記録層の破断強度に対して小さく設定されることにより、該領域が破壊されることに追従して、ホログラム記録層もまた破壊される。
【発明の効果】
【0022】
少なくとも1つの実施例によれば、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されたホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1Aは、第1の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図1Bは、図1Aに示すホログラムラベルのI−I断面の模式図である。
【図2】図2A〜図2Cは、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。
【図3】図3Aは、被着体に貼りつけられる前のホログラムラベルの断面を示す模式図である。図3Bは、ホログラムラベルの第1の変形例の断面を示す模式図である。図3Cは、ホログラムラベルの第2の変形例の断面を示す模式図である。
【図4】図4Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図4Bおよび図4Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図5】図5A〜図5Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図6】図6Aおよび図6Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図7】図7Aおよび図7Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図8】図8A〜図8Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図9】図9A〜図9Cは、ホログラムラベルの製造方法の一例の説明に用いる図である。
【図10】図10Aおよび図10Bは、ホログラムラベルの製造方法の一例の説明に用いる図である。
【図11】図11Aは、ホログラムラベルを構成するためのシールの一例の断面を示す模式図である。図11Bおよび図11Cは、被着体上でホログラムラベルを完成させるための手順の説明に用いる図である。
【図12】図12Aおよび図12Bは、被着体上でホログラムラベルを完成させるための手順の説明に用いる図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは、被着体上でホログラムラベルを完成させるための手順の説明に用いる図である。
【図14】図14A〜図14Cは、直方体状の被着体に対して、シールの貼りつけと、体積型ホログラム構造体の挿入とを行い、被着体上でホログラムラベルを完成させる例を示した斜視図である。
【図15】図15Aは、第2の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図15Bは、図15Aに示すホログラムラベルのXV−XV断面の模式図である。
【図16】図16Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図16Bおよび図16Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図17】図17A〜図17Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図18】図18Aおよび図18Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図19】図19Aおよび図19Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【図20】図20A〜図20Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体の実施形態について説明する。説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
[体積型ホログラム構造体の厚さの調整]
[ホログラム一体型表示媒体の第1の変形例]
[ホログラム一体型表示媒体の第2の変形例]
[偽造防止機能の付与]
[ホログラム一体型表示媒体の製造方法の一例]
[ホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法の一例]
<2.第2の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
[偽造防止機能の付与]
<3.変形例>
【0025】
なお、以下に説明する実施形態は、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体の好適な具体例である。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、ホログラム一体型表示媒体、ホログラム一体型表示媒体の製造方法およびホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法ならびにラベル媒体の例は、以下に示す実施形態に限定されないものとする。
【0026】
<1.第1の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
図1Aは、第1の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図1Bは、図1Aに示すホログラムラベルのI−I断面の模式図である。図1Bに示すように、第1の実施形態にかかるホログラムラベル1は、基材層13と、体積型ホログラム構造体15と、カバー層3とを備える。体積型ホログラム構造体15は、基材層13の面内の一部に設けられた開口部に配置される。基材層13および体積型ホログラム構造体15に対して、カバー層3が、これらを一体的に被覆している。すなわち、ホログラムラベル1には、体積型ホログラムを含むホログラム領域Hと、体積型ホログラムを含まない領域Pとが設けられており、カバー層3は、領域Hおよび領域Pをともに被覆する。
【0027】
以下、カバー層3、基材層13および体積型ホログラム構造体15について、図1Aおよび図1Bを参照しながら、順に説明する。
【0028】
(カバー層)
カバー層3は、後述する基材層13と体積型ホログラム構造体15とを一体的に被覆する層である。カバー層3は、基材層13および体積型ホログラム構造体15に対する保護層としての機能と、支持体としての機能とを備える。カバー層3が基材層13と体積型ホログラム構造体15とを一体的に被覆することにより、領域Hと、領域Pとの間の境界を目立たなくでき、ホログラムラベル1の表面を滑らかとすることもできるため、ホログラムラベル1の見た目を向上させることができる。
【0029】
カバー層3は、基材層13および体積型ホログラム構造体15に対して、体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側の主面上に形成される。すなわち、ホログラムラベル1の観察者は、体積型ホログラム構造体15からの再生光を、カバー層3を介して観察する。
【0030】
図1Bは、カバー層3が、透明基材7および接着層9の積層体として構成された例を示している。図1Bに示す構成例では、接着層9が、基材層13および体積型ホログラム構造体15の一主面上に形成されており、接着層9の表面上に、透明基材7が積層されている。なお、本明細書中で「接着」という場合には、「接着」は、「粘着」を含むものとする。
【0031】
透明基材7の材料としては、可視光領域で高い透明性を有している材料から選択されることが好ましい。透明基材7の材料としては、例えば、樹脂材料を挙げることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephtalate(PET))、ポリカーボネート(Polycarbonate(PC))、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin Polymer(COP))、ポリエーテルスルフォン(Polyethersulphone(PES))、ポリエチレンナフタレート(Polyethylenenaphthalate(PEN))、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose(TAC))、ポリイミド(Polyimide)、ポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate(PMMA))、アラミド(Aramid(芳香族ポリアミド))などを挙げることができる。
【0032】
透明基材7は、体積型ホログラムの観察をし易くするという観点から、なるべく薄く構成されることが好ましく、また、透明基材7は、折り曲げが自在であることが好ましい。例えば、透明基材7の材料として樹脂材料が選択される場合、透明基材7の厚さが100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。ホログラムラベル1をより薄くする観点から、透明基材7の厚さを、20μm以下としてもよい。
【0033】
接着層9は、例えば、接着剤からなる層である。後述するように、体積型ホログラム構造体15と、接着層9とが密着することにより、体積型ホログラムと、観察者との間に空気層が介在しなくなるため、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制される。接着剤としては、例えば、感圧型、エネルギ線硬化型または熱硬化型の接着剤を挙げることができる。
【0034】
感圧型の接着剤(粘着剤)としては、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合樹脂などの合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン、ロジントリグリセリド、水素化ロジンなどのロジン系樹脂などを使用することができる。
【0035】
エネルギ線硬化型接着剤は、エネルギ線硬化性化合物および重合開始剤を含有する接着剤である。エネルギ線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。このとき、エネルギ線硬化型接着剤は、具体的には、例えば、紫外線硬化樹脂である。必要に応じて、エネルギ線硬化型接着剤に、光増感剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機系粒子、無機酸化物粒子、金属粉末、顔料、染料などを含有させてもよい。例えば、光増感剤を使用することにより、硬化後の接着強度を向上させることができる。
【0036】
エネルギ線硬化性化合物としては、例えば、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物が挙げられる。
【0037】
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアリールアクリレート、アクリル変性カルボン酸、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、多官能アクリレートや、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ネオペンチルグリコールのアクリル酸安息香酸混合エステルなどその他のアクリレート、または、これらのメタクリレート体などが挙げられる。光カチオン重合性化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。
【0038】
重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系などの光ラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステルなどの光カチオン重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、使用するエネルギ線の種類に合わせて選択され、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
熱硬化型の接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系などの接着剤を使用することができる。
【0040】
なお、図1Bに示すように、ホログラムラベル1が、カバー層3の表面上に印刷層2を備えていてもよい。印刷層2は、例えば、インク吸収層やインク受容層である。印刷層2は、または、例えば、ホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である。印刷層2には、例えば、商品の一つ一つに対応した、製造番号などの個別情報Idが記録される。なお、図1Bでは、印刷層2が、カバー層3の表面上に配置される例が示されているが、印刷層2の配置は、ホログラムラベル1を構成する各層間のいずれかの層間に、任意に設定してよい。印刷層2がホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である場合には、印刷層2が直接外部に露出していない場合であっても、非接触で印刷を行うことが可能である。
【0041】
印刷層2の材料としては、印刷層2に情報を記録しようとする者が選択する印刷方式によって情報が印刷できればよく、特に限定されるものではない。なお、本明細書中で単に「印刷」という場合には、「印刷」は、「印字」を含むものとする。
【0042】
インクジェット方式が適用される場合には、印刷層2は、例えば、アルミナやシリカなどの顔料と、樹脂材料などのバインダとを含有する層として形成することができる。昇華型熱転写方式が適用される場合には、印刷層2は、例えば、エステル結合を有する樹脂、ウレタン結合を有する樹脂、アミド結合を有する樹脂、尿素結合を有する樹脂またはポリスチレン系の樹脂を含有する層として形成することができる。溶融型熱転写方式または中間転写方式が適用される場合には、印刷層2は、例えば、熱可塑性樹脂からなる層として形成することができる。印刷層2は、例えば、上述した材料を含有する、印刷層形成用組成物をカバー層3の表面上に塗布することにより形成することができる。
【0043】
なお、印刷層2の表面は、粗い凹凸形状であってもよいし、モスアイ(Moth-eye)と呼ばれる、微細かつ緻密な凹凸形状であってもよい。また、例えば、印刷層2の表面が凹凸形状とされることにより、印刷層2の表面にエンボスホログラムが形成されていてもよい。カバー層3と印刷層2との間の密着性を高めるために、カバー層3と印刷層2との間に下塗り層を介在させるようにしてもよい。印刷層2の形成に先立ち、カバー層3の表面に対してコロナ処理などを施すようにしてもよい。
【0044】
印刷層2がホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である場合には、印刷層2は、具体的には、例えば、樹脂材料からなる層であり、印刷層2は、必要に応じて光吸収部材を含む。印刷層2に対してレーザ光線が照射されることにより、レーザ光の照射された部分が、発泡、凝縮、炭化または化学変化を起こして、もとの色みとは異なった色みとなる。したがって、文字状や記号状などにレーザ光を照射することにより、印刷層2に印字を行うことができる。
【0045】
印刷層2を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂などを挙げることができる。これらの二種以上を組み合わせて使用してもよい。光吸収部材としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物などを挙げることができる。
【0046】
(基材層)
基材層13は、例えば、ホログラムラベル1の貼りつけられる被着体99に関する製品情報Ipが表示される層である。製品情報Ipは、基材層13の主面のうち、後述する体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側の主面上に、例えば、印刷により現される。基材層13の面内の一部には、開口部が設けられ、開口部に体積型ホログラム構造体15が配置されることにより、ホログラムラベル1のホログラム領域Hが形成される。このとき、基材層13の外形は、ホログラムラベル1の外形を構成し、したがって、領域Hは、領域Pにより囲まれることになる。もちろん、基材層13の面内の一部に、少なくとも一部が開放された開口部を設けるようにしてもよい。すなわち、基材層13に切り欠きを形成しておき、基材層13に形成された切り欠きに体積型ホログラム構造体15を配置するようにしてもよい。
【0047】
基材層13の材料としては、例えば、樹脂材料や紙、金属などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。金属としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、基材層13として、これらの一種以上からなる金属箔などを用いることができる。なお、基材層13の材料としては、透明性は必ずしも要求されないが、基材層13の材料として、透明基材7の材料と同様の材料を使用してもよい。被着体99に対しての貼りつけを容易にする観点から、基材層13は、折り曲げが自在であることが好ましい。
【0048】
基材層13の主面のうち、後述する体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側とは反対側の主面上には、必要に応じて、接着層16が設けられる。接着層16は、ホログラムラベル1を被着体99に容易に貼りつけられるようにするために設けられる。接着層16は、基材層13の一主面の全面に形成されていてもよいし、基材層13の一主面の一部を除いて形成されるようにしてもよい。基材層13の一主面のうち、例えば、格子状の領域を除いた領域に接着層16を形成してもよい。または、表面に凹凸形状などを有する接着層16を形成してもよい。例えば、接着層16に溝部などを形成することにより、ホログラムラベル1を被着体99に貼りつける際に、接着層16と被着体99との間から空気を逃がすことができる。
【0049】
接着層16は、ホログラムラベル1を被着体99に接合するための接着層(粘着層)である。接着層16としては、例えば、接着層9に使用することができる材料を使用することができ、例えば、感圧型の接着剤(粘着剤)を使用することができる。または、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーなどの熱可塑性エラストマーや、反応ホットメルト性樹脂などを粘着剤として使用してもよい。
【0050】
粘着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合体樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などのヒートシール剤を使用してもよい。
【0051】
接着層16の表面上に、セパレータをさらに設けておいてもよい。セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートのフィルムやポリプロピレンのフィルムなどを、フッ素系離型剤やシリコーン系離型剤などにより離型処理した樹脂フィルムを使用することができる。または、剥離紙を使用してもよい。
【0052】
図1Bに示すように、基材層13が、カバー層3と対向する側の主面上に発色層4を備えていてもよい。発色層4は、例えば、ホログラムラベル1に対するレーザマーキングのための層である。発色層4は、または、例えば、インク吸収層やインク受容層である。したがって、発色層4としては、印刷層2と同様の構成を適用することが可能である。ホログラムラベル1が、印刷層2および発色層4を備える場合には、発色層4に製品の仕様や型番などの製品情報Ipを記録しておき、ホログラムラベル1を被着体99に貼りあわせた後に、印刷層2に個別情報Idを印刷するといったことも可能である。
【0053】
なお、図1Bでは、発色層4が、接着層9と基材層13との間に配置される例が示されているが、発色層4の配置は、ホログラムラベル1を構成する各層間のいずれかの層間に、任意に設定してよい。発色層4の配置としては、例えば、透明基材7と接着層9との間、接着層9と基材層13との間、基材層13と接着層16との間などを選択することができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、発色層4が、カバー層3の表面上に配置されてもよい。
【0054】
(体積型ホログラム構造体)
体積型ホログラム構造体15は、少なくとも体積型ホログラムを含む構造体である。図1Bに示す構成例では、体積型ホログラム構造体15は、接着層23、ホログラム記録層19および透明基材17が被着体99側から順に積層された積層構造を有している。体積型ホログラム構造体15は、少なくとも体積型ホログラムを含んでいればよく、例えば、接着層23およびホログラム記録層19の積層体や、ホログラム記録層19および透明基材17の積層体などが体積型ホログラム構造体15とされてももちろん構わない。または、例えば、接着層23、透明基材17およびホログラム記録層19が順に積層された積層体が体積型ホログラム構造体15とされても構わない。ホログラム記録層19の単体を、体積型ホログラム構造体15としてもよい。
【0055】
ホログラム記録層19は、具体的には、体積型ホログラムからなる層である。ホログラム記録層19には、ホログラム記録層19を構成する材料の屈折率の差により、情報が干渉パターンとして記録される。ホログラム記録層19を構成する材料としては、例えば、光重合性樹脂材料、光架橋性樹脂材料、銀塩材料、重クロム酸ゼラチンなどの感光性材料を使用することができる。光重合性樹脂材料としては、露光後に特別な現像処理を施す必要がないことから、例えば、光重合型フォトポリマが選択されることが好ましい。体積型ホログラム構造体15が、ホログラム記録層19および透明基材17の積層体として構成される場合には、例えば、透明基材17の一主面上に、光重合型フォトポリマを塗布することにより、ホログラム記録層19および透明基材17の積層体を得ることが可能である。
【0056】
図2A〜図2Cは、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。光重合型フォトポリマは、初期状態では、図2Aに示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。これに対して、図2Bに示すように、10〜400mJ/cm2程度のパワーの光LAを照射すると、露光部においてモノマMが重合する。そして、ポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化し、これにより、屈折率変調が生じる。この後、図2Cに示すように、1000mJ/cm2程度のパワーの紫外線または可視光LBを全面に照射することにより、モノマMの重合が完了する。このように、光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉パターンを、屈折率の変化として記録することができる。
【0057】
図1Bに示す接着層23は、体積型ホログラム構造体15を被着体99に接合するための接着層(粘着層)である。接着層23としては、接着層16と同様の材料を使用することができる。なお、被着体99が黒色に近い色みでない場合には、ホログラムのコントラストを上げるために、接着層23が、黒色の接着層であることが好ましい。接着層23が黒色であると、ホログラムの画像のコントラストが上がることにより、ホログラムを観察しやすくなり、記録されたホログラムの視認性または可読性が向上するからである。また、ホログラムのコントラストを上げるための黒色シートを、観察者から見てホログラム記録層19の奥側に設ける必要がなく、体積型ホログラム構造体15の厚さを低減することができる。ここで、黒色とは、OD(OPTICAL DENSITY)にて1.0以上、または、JIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系における明度において30以下、または、可視光領域波長400〜750nmにおける平均反射率が20%以下の範囲であることを指す。OD、明度または平均反射率が上述した範囲内であると、ホログラムが観察しやすく、好ましい。
【0058】
接着層23を構成する材料に、顔料、染料またはこれらの混合物を含有させることにより、接着層23を着色された接着層とすることができる。黒色の顔料としては、例えば、カーボンブラック、銅−鉄−マンガン、アニリンブラックなどの黒色顔料を挙げることができる。黒色の染料としては、例えば、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラックなどの黒色染料を挙げることができる。
【0059】
図1Bに示す透明基材17は、ホログラム記録層19の支持体または保護層として機能するほか、体積型ホログラム構造体15と接着層9との間を埋めるためのスペーサとして機能する。透明基材17の材料としては、可視光領域で高い透明性を有している材料から選択されることが好ましく、透明基材7と同様の材料を使用することができる。
【0060】
[体積型ホログラム構造体の厚さの調整]
ホログラムラベル1は、例えば、基材層13の一主面上に設けられた接着層16および体積型ホログラム構造体15に設けられた接着層23を介して、被着体99に貼りつけられる。このとき、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体に対して、体積型ホログラム構造体15が厚いことが好ましい。
【0061】
領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体に対して、体積型ホログラム構造体15が薄いと、ホログラム記録層19が、接着層9または接着層23に引っ張られて反り返りやすくなる。言い換えれば、体積型ホログラム構造体15と、接着層9との間に空気の層が介在しやすくなる。例えば、体積型ホログラム構造体15と、接着層9との密着性が不足して、体積型ホログラム構造体15と、接着層9との間に空気の層が介在してしまうと、ホログラム記録層19から再生されるホログラム画像の視認性が低下してしまう。一方、体積型ホログラム構造体15が厚すぎると、領域Hと、領域Pとの間に段差が生じたり、領域H以外に空気層が介在したりして、ホログラムラベル1を被着体99に貼りつけたときに、ホログラムラベル1の見た目が悪くなってしまう。
【0062】
図3Aは、被着体に貼りつけられる前のホログラムラベルの断面を示す模式図である。ホログラム記録層19から再生されるホログラム画像の視認性の低下を防止する観点から、体積型ホログラム構造体15が、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体に対して、0μm以上30μm以下の範囲内で厚いことが好ましい。すなわち、図3Aに示すTh[μm]およびTp[μm]について、0≦(Th−Tp)≦30の関係となることが好ましい。体積型ホログラム構造体15の厚さThと、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体の厚さTpとの差(Th−Tp)を、上記範囲内とすることにより、ホログラム記録層19に記録された情報の視認性の低下が抑制される。なお、接着層9と基材層13との間または基材層13と接着層16との間に発色層4が配置される場合には、体積型ホログラム構造体15が、領域Pにおける発色層4、基材層13および接着層16からなる積層体に対して、上記の範囲内で厚いことが好ましい。
【0063】
なお、図3Aに示すホログラムラベル1を、被着体99に貼りあわせた場合には、例えば、接着層23が弾性を有するため、差(Th−Tp)が、上記範囲内であれば、ホログラムラベル1の表面をほぼ平らな面とすることができる。
【0064】
[ホログラム一体型表示媒体の第1の変形例]
図3Bは、ホログラムラベルの第1の変形例の断面を示す模式図である。図3Bに示すように、領域Pにおける透明基材7および接着層9の一部に、開口部を設けるようにしてもよい。すなわち、図3Bに示すホログラムラベル11は、基材層13の主面のうち、透明基材7および接着層9に設けられた開口部に対応する部分が、ホログラムラベル11の観察者に対して露出している。
【0065】
図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1は、カバー層3が、基材層13および体積型ホログラム構造体15の全面を被覆している。そのため、カバー層3を構成する材料によっては、ホログラムラベル1を観察したときの質感が、光沢感の感じられる質感となる。ホログラムラベル1の全体が光沢感を帯びていると、基材層13や発色層4に現された情報が読み取りにくくなったり、ホログラムラベル1を被着体99に貼りつけたものを商品とする場合に、商品から高級感が感じられなくなったりすることがある。
【0066】
そこで、基材層13が直接観察できる部分を設けておくことにより、ホログラムラベル11の全体的な光沢感を抑え、ホログラムラベル11または商品の印象を、高級感のあるものとすることができる。
【0067】
[ホログラム一体型表示媒体の第2の変形例]
図3Cは、ホログラムラベルの第2の変形例の断面を示す模式図である。図3Cに示すように、領域Pにおける透明基材7および接着層9の一部に開口部を設けるとともに、基材層13の主面のうち、ホログラムラベル21の観察者に対して露出している部分に、テクスチャ層8をさらに設けるようにしてもよい。図3Cでは、基材層13の一主面上に発色層4が設けられており、発色層4の表面のうち、ホログラムラベル21の観察者に対して露出している部分に、テクスチャ層8がさらに設けられた構成例を示している。
【0068】
テクスチャ層8は、例えば、マット成形された表面を有する層であり、基材層13や発色層4の光沢感を抑えることにより、ホログラムラベル21または商品の印象を、より高級感のあるものとすることができる。テクスチャ層8の材料としては、特に限定されないが、例えば、樹脂材料を使用することができる。
【0069】
[偽造防止機能の付与]
ホログラムラベルが、複数の接着層を含む場合には、各接着層の強度(接着力)およびホログラム記録層19の自己結集力(破断強度)の大小関係を規定することにより、ホログラムラベルに対して偽造防止機能を付与することが可能である。
【0070】
例えば、悪意をもった者により、ホログラムラベル1が真正なホログラムごと本来の被着体99から剥離され、ホログラムラベル1が別の被着体99に貼りつけられてしまうことが考えられる。また、体積型ホログラムは、一般に偽造が困難であるが、コンタクトコピーと呼ばれる手法により、真正な体積型ホログラムを原版として複製を行うことが不可能ではない。そのため、ホログラムラベル1から体積型ホログラム構造体15だけが抜き取られて、体積型ホログラム構造体15が、不正なコピーの原版として使用される可能性もある。
【0071】
そこで、被着体99からホログラムラベル1を剥離しようとしたときに、ホログラムラベル1が被着体99から剥離する前に、ホログラム記録層19が先に破壊されるようにすれば、ホログラムラベル1の偽造防止機能が向上する。具体的には、例えば、ホログラムラベル1が接着層9、接着層16および接着層23を備える場合には、ホログラム記録層19の自己結集力(破断強度)と比較して、接着層9または接着層23の接着力(剥離強度)を大としておく。ホログラム記録層19の自己結集力(破断強度)と比較して、接着層9または接着層23の接着力(剥離強度)が大である場合には、例えば、被着体99からのホログラムラベル1の剥離に伴って、ホログラム記録層19が破壊される。また、ホログラムラベル1から体積型ホログラム構造体15以外の部分が先に取り除かれたとしても、被着体99から体積型ホログラム構造体15を剥離しようとすると、ホログラム記録層19が破壊される。
【0072】
本開示では、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベルの厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定される。具体的には、例えば、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力およびホログラム記録層19とカバー層3との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定される。または、例えば、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力、ホログラム記録層19と透明基材17との接着力、透明基材17の破断強度および透明基材17とカバー層3との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定される。
【0073】
したがって、被着体99からホログラムラベル1を剥離しようとすると、ホログラム領域Hにおいてホログラム記録層19が最初に破壊されることとなり、ホログラムラベル1が不正に貼りかえられることや、ホログラムラベル1からホログラムが抜き取られることを防止できる。
【0074】
このとき、ホログラムラベル1が貼りつけられている被着体99は何であってもよいが、被着体99に対する接着層16の接着力が、同一の被着体99に対する接着層23の接着力より小さいことが好ましい。ホログラムラベル1の領域Pに対応する部分が、被着体99から先に剥離または破壊されても、領域Hにおいてホログラム記録層19さえ確実に破壊できれば、所期の目的が達せられるからである。
【0075】
例えば、ホログラムラベル1の領域Pに対応する部分が先に剥離または破壊されても、ホログラム記録層19の一部がカバー層3に追従するため、ホログラム記録層19が、被着体99とカバー層3とにより引っ張られることとなり、ホログラム記録層19が破壊される。もちろん、ホログラムラベル1の領域Pに対応する部分の少なくとも一部が、被着体99上に残るようにすることも可能である。また、例えば、ホログラムラベル1からホログラムを抜き取ろうとして、ホログラム領域Hと領域Pの境界をカットしたとしても、ホログラムラベル1のホログラム領域Hに対応する部分を被着体99から剥離する際に、ホログラム記録層19が破壊される。
【0076】
以下、ホログラムラベルの偽造防止機能について、図4〜図8を参照しながら、順に説明する。
【0077】
図4Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図4Aに示す構成例では、接着層23およびホログラム記録層19の積層体である体積型ホログラム構造体25と、接着層16および基材層13の積層体である積層基材45とが、カバー層3により一体的に被覆されている。
【0078】
なお、図4Aに示す構成例において、ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル31の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・ホログラム記録層19と接着層9との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層23とホログラム記録層19との接着力
・接着層23の破断強度
・接着層23と被着体99との接着力
(領域P)
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・基材層13と接着層9との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0079】
図4Aに示すホログラムラベル31では、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力およびホログラム記録層19とカバー層3(接着層9)との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、接着層9の破断強度、接着層9と透明基材7との接着力および透明基材7の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0080】
ここで、本明細書中における「接着力」とは、相異なる部材間の界面における結合の強さをさすものとする。したがって、ホログラム領域Hにおける、ホログラムラベルの厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度の間の大小関係は、被着体99からホログラムラベルを剥離したときに、ホログラム記録層19が破壊されるか否かにより確認される。なお、適当なサンプルが得られる場合には、接着強度などの、破壊実験による測定値により接着力を求めるようにしてもよい。
【0081】
図4Bおよび図4Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図4Bおよび図4Cに示す例は、ホログラムラベル31を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0082】
図4Bは、基材層13とカバー層3(接着層9)との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13とカバー層3(接着層9)との接着力が最も小さい場合、図4Bに示すように、ホログラムラベル31は、基材層13とカバー層3との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル31の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、カバー層3とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0083】
図4Cは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図4Cに示すように、ホログラムラベル31は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル31の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、カバー層3とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0084】
図5A〜図5Cは、図4Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図5Aおよび図5Bに示す例は、ホログラムラベル31を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図5Cに示す例は、ホログラムラベル31を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0085】
図5Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図5Aに示すように、ホログラムラベル31は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0086】
図5Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図5Bに示すように、ホログラムラベル31は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル31の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、カバー層3および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0087】
図5Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル31を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図5Cに示すように、ホログラムラベル31は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル31の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0088】
ホログラムラベルが印刷層2や発色層4などをさらに備える場合には、ホログラムラベルの被着体99からの剥離にともなう、ホログラムラベルの破壊の態様を、さらに多様に設定することが可能である。
【0089】
例えば、図1Aおよび図1Bに例示したホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル1の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・印刷層2の破断強度
・透明基材7と印刷層2との接着力
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・透明基材17と接着層9との接着力
・透明基材17の破断強度
・ホログラム記録層19と透明基材17との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層23とホログラム記録層19との接着力
・接着層23の破断強度
・接着層23と被着体99との接着力
(領域P)
・印刷層2の破断強度
・透明基材7と印刷層2との接着力
・透明基材7の破断強度
・接着層9と透明基材7との接着力
・接着層9の破断強度
・発色層4と接着層9との接着力
・発色層4の破断強度
・基材層13と発色層4との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0090】
この場合において、接着層23と被着体99との接着力、接着層23の破断強度、接着層23とホログラム記録層19との接着力、ホログラム記録層19と透明基材17との接着力、透明基材17の破断強度および透明基材17とカバー層3(接着層9)との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、接着層9の破断強度、接着層9と透明基材7との接着力、透明基材7の破断強度、透明基材7と印刷層2との接着力および印刷層2の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0091】
図6Aおよび図6Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図6Aおよび図6Bに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、発色層4の少なくとも一部および基材層13が被着体99に残る例である。
【0092】
図6Aは、発色層4とカバー層3(接着層9)との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4とカバー層3(接着層9)との接着力が最も小さい場合、図6Aに示すように、ホログラムラベル1は、発色層4とカバー層3との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、カバー層3および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0093】
図6Bは、発色層4の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4の破断強度が最も小さい場合、図6Bに示すように、ホログラムラベル1は、発色層4から破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、発色層4は、カバー層3とともに被着体99から剥離される部分4uと、被着体99上に残る部分4bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0094】
図7Aおよび図7Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図7Aおよび図7Bに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0095】
図7Aは、基材層13と発色層4との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13と発色層4との接着力が最も小さい場合、図7Aに示すように、ホログラムラベル1は、基材層13と発色層4との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、カバー層3および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0096】
図7Bは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図7Bに示すように、ホログラムラベル1は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、カバー層3および発色層4とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0097】
図8A〜図8Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図8Aおよび図8Bに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図8Cに示す例は、図1Aおよび図1Bに示すホログラムラベル1を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0098】
図8Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図8Aに示すように、ホログラムラベル1は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0099】
図8Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図8Bに示すように、ホログラムラベル1は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル1の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、カバー層3、発色層4および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0100】
図8Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル1を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図8Cに示すように、ホログラムラベル1は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル1の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0101】
[ホログラム一体型表示媒体の製造方法の一例]
以下、図9A〜図9Cならびに図10Aおよび図10Bを参照しながら、第1の実施形態にかかるホログラムラベルの製造方法の各工程について説明する。以下に示す製造方法の一例では、概略的には、透明基材7および接着層9の積層体と、連通する開口部が設けられた基材層13および接着層(粘着層)16の積層体とを貼りあわせた後に、開口部に体積型ホログラム構造体15を挿入することにより、ホログラムラベル1が得られる。
【0102】
(ホログラムラベルの基体の準備)
まず、図9Aに示すように、基材層13を準備する。図9Aに示すように、基材層13の一主面上に接着層16が形成される場合には、接着層16の表面上に、セパレータ97を設けるようにすると、基材層13および接着層16の積層体の取り扱いが容易となる。
【0103】
基材層13は、例えば、溶融押出法や射出成形法などにより、樹脂材料からシート状やフィルム状に成形することができる。接着層16は、例えば、ロールコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、ダイコータ、リバースコータなどを用い、接着層16を構成する材料を適宜の厚さで塗布することにより、基材層13の一主面上に形成することができる。
【0104】
次に、図9Bに示すように、基材層13および接着層16の積層体に対して、例えば、ピナクル型やトムソン型(ビク型)を用い、基材層13および接着層16の積層体に対して、切り込みを入れる。その後、基材層13および接着層16の積層体における、切り込みの内側の部分を除去することにより、切り抜きCOを形成する。なお、基材層13、接着層16およびセパレータ97に対し、一括して切り抜きCOを形成してもかまわない。
【0105】
次に、透明基材7および接着層9の積層体を準備する。透明基材7および接着層9の積層体は、図9Aに示す基材層13および接着層16の積層体と同様にして得ることができる。
【0106】
次に、図9Cに示すように、基材層13および接着層16の積層体と、透明基材7および接着層9の積層体とを貼りあわせる。このときの貼りあわせは、接着層9の露出面側と、基材層13の露出面側とが対向するようにして行われる。
【0107】
(体積型ホログラム構造体の挿入)
次に、図10Aに示すように、セパレータ97を剥離した状態で、切り抜きCOに、体積型ホログラム構造体15を挿入する。このとき、体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側が、切り抜きCOの接着層9と対向するようにして、体積型ホログラム構造体15が挿入される。図10Aでは、体積型ホログラム構造体15が、接着層23、ホログラム記録層19および透明基材17が順に積層された構成を有する例を示しているが、例えば、体積型ホログラム構造体15が、接着層23の側にさらにセパレータを備える構成であってもよい。
【0108】
切り抜きCOへの体積型ホログラム構造体15の挿入に際しては、透明基材7、接着層9、基材層13および接着層16の積層体は、例えば、たわみのない支持体の上に載せられる。切り抜きCOに体積型ホログラム構造体15が挿入された後、離型フィルムや接着層23の側にさらに設けられたセパレータなどを介して、図10Aに示すように、体積型ホログラム構造体15に対して圧力P1が加えられる。透明基材7、接着層9、基材層13および接着層16の積層体が、たわみのない支持体の上に載せられているため、体積型ホログラム構造体15に対して圧力P1を加えることにより、接着層9と、体積型ホログラム構造体15とが密着する。
【0109】
以上により、図10Bに示すホログラムラベル1が得られる。接着層16および接着層23の表面上の全面に、セパレータを配置するようにしてもよい。このようにすることで、ホログラムラベル1の取り扱いと、被着体99に対するホログラムラベル1の貼りつけを容易とすることができる。
【0110】
[ホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法の一例]
図9A〜図9Cならびに図10Aおよび図10Bに示す例では、被着体99に対して、完成後のホログラムラベル1が貼りつけられることになる。ここで、体積型ホログラム構造体15と、それ以外の部材とを別個に準備しておき、これらを被着体99に貼りつけることにより、被着体99上でホログラムラベル1が形成されるように構成してもよい。
【0111】
図11Aは、ホログラムラベルを構成するためのシールの一例の断面を示す模式図である。図11Aに示すように、シール41は、概略的には、接着層16、基材層13、接着層9および透明基材7を順に積層した積層構造を有している。必要に応じて、接着層16の表面上に、セパレータ97が配置される。シール41が、上述した印刷層2や発色層4、テクスチャ層8などを含んでいてもよい。
【0112】
図11Aに示すように、シール41には、透明基材7と、基材層13との界面において、透明基材7と、基材層13とが接合されていない未接着領域NBが設けられている。例えば、接着層9が粘着剤から構成される場合には、接着層9における基材層13との対向面の一部にセパレータ98が配置されており、セパレータ98の配置された領域が、未接着領域NBとなる。以下では、接着層9が粘着剤から構成される場合を例にとって説明を行うが、例えば、接着層9が熱硬化型の接着剤から構成される場合には、接着層9における基材層13との対向面の一部が、常温で接着力のない状態とされ、該領域が、未接着領域NBとなる。
【0113】
また、シール41の基材層13および接着層16には、未接着領域NB内に、未接着領域NBより小さい面積の切り抜きCOが形成されている。図11Aでは、セパレータ97に対しても同様に切り抜きCOが形成された例を示している。この場合は、基材層13、接着層16およびセパレータ97に形成された切り抜きCOにより、基材層13、接着層16およびセパレータ97に連通する開口部が形成されることになる。なお、シール41における開口部は、例えば、接着層16、基材層13、接着層9および透明基材7を順に積層した積層体に対して、接着層16の側から接着層9に向かって、接着層9に達するまでの切り抜きCOを形成することにより形成することができる。または、例えば、切り抜きCOがあらかじめ設けられた、接着層16および基材層13の積層体と、接着層9および透明基材7の積層体とを貼りあわせることにより、シール41における開口部を形成するようにしてもよい。
【0114】
図11Aに示すシール41を使用して、ホログラムラベル1を構成するには、まず、図11Bに示すように、接着層16からセパレータ97を剥離する。次に、図11Cに示すように、接着層16を介して、接着層16、基材層13、接着層9および透明基材7の積層体と、被着体99とを貼りあわせる。
【0115】
このとき、シール41には未接着領域NBが設けられているので、図12Aおよび図12Bに示すように、ホログラムラベル1の製造者は、透明基材7および接着層9を、未接着領域NBにおいて、めくり上げることができる。したがって、ホログラムラベル1の製造者は、基材層13の一部を露出させることができる。
【0116】
基材層13および接着層16には切り抜きCOが形成されているので、図12Bに示すように、透明基材7および接着層9がめくり上げられると、切り抜きCOに対応して、被着体99の一部が、露出することになる。なお、図12Bでは、セパレータ98を剥離した後の状態を示し、未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界を、破線Cにより示した。
【0117】
次に、図13Aに示すように、透明基材7および接着層9をめくり上げた状態で、切り抜きCOに、体積型ホログラム構造体15を挿入する。このとき、体積型ホログラム構造体15からの再生光が出射する側が、接着層9と対向するようにして、体積型ホログラム構造体15が挿入される。図13Aでは、体積型ホログラム構造体15が、接着層23、ホログラム記録層19および透明基材17が順に積層された構成を有する例を示した。体積型ホログラム構造体15が、被着体99と対向する側に接着層23を備える場合には、図13Aに示すように、体積型ホログラム構造体15に対して圧力P2を加えることにより、被着体99と、体積型ホログラム構造体15とが密着する。
【0118】
次に、空気が入らないように注意しながら、体積型ホログラム構造体15を覆うようにして、体積型ホログラム構造体15に対して、接着層9を介して透明基材7および接着層9の積層体を貼りあわせる。以上の手順により、図13Bに示すように、被着体99上で、ホログラムラベル1を完成させることができ、ホログラムラベル1が貼りつけられた被着体99を得ることができる。
【0119】
図14A〜図14Cは、直方体状の被着体に対して、シールの貼りつけと、体積型ホログラム構造体の挿入とを行い、被着体上でホログラムラベルを完成させる例を示した斜視図である。
【0120】
直方体状の被着体99に対して、被着体99上でホログラムラベル1を完成させるには、まず、図14Aに示すように、シール41の接着層16の側を被着体99に対向させて、シール41を被着体99に巻きつけるようにして貼りつける。
【0121】
このとき、シール41には未接着領域NBが設けられているため、図14Bに示すように、被着体99の表面のうち、例えば、基材層13および接着層16の積層体に形成された切り抜きに対応する部分が外部に対して露出する。被着体99の表面のうち、外部に対して露出した部分には、図14Bに示すように、体積型ホログラム構造体15が挿入される。なお、図14Bにおいては、未接着領域NBを網掛け領域により示した。
【0122】
次に、図14Cに示すように、体積型ホログラム構造体15に対して、シール41のカバー層3のうち、未接着領域NBに対応する部分を貼りつける。このようにして、ホログラムラベル1が貼りつけられた被着体99を得ることができる。このとき、図14Cにおいて破線Cにより示した、未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が、被着体99の角部の近傍とされることが好ましい。未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が目立たなくなり、ホログラムラベル1の貼りつけられた被着体99の見た目が向上するからである。例えば、被着体99の角部が、丸みを有している場合には、未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が、被着体99の角部の丸み部分の近傍とされることが好ましい。例えば、被着体99の角部が、R1mm程度の丸みを有している場合、丸み部分の断面における丸み部分の輪郭の長さは、(1/4)×2×π×1[mm]からおよそ1.57[mm]と計算される。
【0123】
または、基材層13に設けられた開口部と、基材層13における開口部以外の領域との境界が、例えば、被着体99の角部から5mm程度の近傍とされることが好ましい。未接着領域NBと、未接着領域NB以外の領域との境界が目立たなくなり、ホログラムラベル1の貼りつけられた被着体99の見た目が向上するからである。
【0124】
第1の実施形態によれば、全体として薄く、かつ体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されたホログラムラベルを得ることができる。また、第1の実施形態によれば、被着体上でホログラムラベルを完成させることもでき、したがって、製造工程においても、ホログラムラベルの取り扱いを容易とすることができる。
【0125】
さらに、第1の実施形態によれば、ホログラムラベルが被着体から剥離される際に、ホログラム記録層を確実に破壊することができ、ホログラムラベルの偽造防止機能を向上させることができる。また、本開示のホログラムラベルは、体積型ホログラム構造体と積層基材とが被覆層により一体的に被覆されているため、ホログラムの表面が露出せず、ホログラムの剥落や損傷を防止できる。
【0126】
<2.第2の実施形態>
[ホログラム一体型表示媒体の概略的構成]
図15Aは、第2の実施形態にかかるホログラムラベルを示す平面図である。図15Bは、図15Aに示すホログラムラベルのXV−XV断面の模式図である。図15Aに示すように、上面から観察したときの、第2の実施形態にかかるホログラムラベル51の見た目は、第1の実施形態にかかるホログラムラベル1とほぼ同じである。図15Bに示すように、第2の実施形態にかかるホログラムラベル51は、基材層13と、体積型ホログラム構造体55とを備える点で、第1の実施形態と共通する。体積型ホログラム構造体55は、第1の実施形態における体積型ホログラム構造体15に対応し、したがって、体積型ホログラム構造体55は、体積型ホログラム構造体15と同様の構成をとることができる。第2の実施形態にかかるホログラムラベル51は、カバー層3にかえて、コート層5が、基材層13および体積型ホログラム構造体55を一体的に被覆している点で、第1の実施形態と相違する。
【0127】
ホログラムラベル51においては、コート層5が、基材層13および体積型ホログラム構造体55を一体的に被覆する。コート層5は、例えば、基材層13の面内の一部に設けられた開口部に体積型ホログラム構造体55を配置した後、基材層13および体積型ホログラム構造体55の一主面に対して、透明性を有する樹脂材料などを塗布することにより、形成することができる。
【0128】
このとき、体積型ホログラム構造体55の厚さThと、領域Pにおける基材層13および接着層16などからなる積層体の厚さTpとの差(Th−Tp)が、0未満であっても構わない。例えば、塗布法によりコート層5を形成すれば、差(Th−Tp)が、0未満の場合であっても、コート層5を構成する材料が、相対的に低い、ホログラム領域Hを埋める。そのため、コート層5のうち、ホログラム領域Hに対応する部分では、コート層5が、体積型ホログラム構造体55に対して凸形状となり、体積型ホログラム構造体55と、コート層5とが密着することになる。したがって、ホログラム記録層19が、反り返りにくくなり、また、体積型ホログラムと、観察者との間に空気層が介在しなくなるため、体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制される。コート層5を構成する材料の塗布後に、脱泡処理が行われると、より好ましい。なお、コート層5と基材層13との間または基材層13と接着層16との間に発色層4が配置される場合には、領域Pにおける発色層4、基材層13および接着層16からなる積層体の厚さと、体積型ホログラム構造体55の厚さとの差が、0未満であってもよい。
【0129】
もちろん、差(Th−Tp)が、0以上であっても構わない。例えば、塗布法によりコート層5を形成すれば、差(Th−Tp)が、0を超える場合は、コート層5を構成する材料が、相対的に低い、領域Pを埋める。そのため、コート層5のうち、ホログラム領域Hに対応する部分では、コート層5が、体積型ホログラム構造体55に対して凹形状となり、体積型ホログラム構造体55と、コート層5とが密着することになる。このように、コート層5が、ホログラム領域Hと領域Pとの間の段差に追従した形状とされることにより、体積型ホログラム構造体55と、コート層5とを密着させることができる。
【0130】
コート層5を構成する材料としては、上述した、透明基材7を構成する材料と同様の材料を使用することができる。塗布の方法も、特に限定されず、例えば、ロールコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、ダイコータ、リバースコータなどを使用することができる。なお、被着体99に対して、例えば、基材層13および接着層16の積層体と、体積型ホログラム構造体55とを貼りつけた後、透明性を有する熱収縮性フィルムで全体を覆い、加熱により熱収縮性フィルムを収縮させてホログラムラベル51を形成するようにしてもよい。
【0131】
[偽造防止機能の付与]
ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベルの厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度を規定することにより、第1の実施形態と同様に、ホログラムラベルの偽造防止機能を向上させることができる。以下、ホログラムラベルの偽造防止機能について、図16〜図20を参照しながら、順に説明する。
【0132】
図16Aは、接着層およびホログラム記録層の積層体として体積型ホログラム構造体が構成され、接着層および基材層の積層体として積層基材が構成されたホログラムラベルの断面を示す模式図である。図16Aに示す構成例では、接着層73およびホログラム記録層19の積層体である体積型ホログラム構造体75と、接着層16および基材層13の積層体である積層基材45とが、コート層5により一体的に被覆されている。接着層73は、第1の実施形態における接着層23に対応し、したがって、接着層73は、接着層23と同様の構成をとることができる。すなわち、体積型ホログラム構造体75は、第1の実施形態における体積型ホログラム構造体25に対応し、したがって、体積型ホログラム構造体75は、体積型ホログラム構造体25と同様の構成となる。
【0133】
なお、図16Aに示す構成例において、ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル61の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・コート層5の破断強度
・ホログラム記録層19とコート層5との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層73とホログラム記録層19との接着力
・接着層73の破断強度
・接着層73と被着体99との接着力
(領域P)
・コート層5の破断強度
・基材層13とコート層5との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0134】
図16Aに示すホログラムラベル61では、接着層73と被着体99との接着力、接着層73の破断強度、接着層73とホログラム記録層19との接着力およびホログラム記録層19とコート層5との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、コート層5の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0135】
図16Bおよび図16Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図16Bおよび図16Cに示す例は、ホログラムラベル61を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0136】
図16Bは、基材層13とコート層5との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13とコート層5との接着力が最も小さい場合、図16Bに示すように、ホログラムラベル61は、基材層13とコート層5との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル61の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、コート層5とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0137】
図16Cは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図16Cに示すように、ホログラムラベル61は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル61の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、コート層5とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0138】
図17A〜図17Cは、図16Aに示すホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図17Aおよび図17Bに示す例は、ホログラムラベル61を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図17Cに示す例は、ホログラムラベル61を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0139】
図17Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図17Aに示すように、ホログラムラベル61は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0140】
図17Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図17Bに示すように、ホログラムラベル61は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル61の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、コート層5および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0141】
図17Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル61を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図17Cに示すように、ホログラムラベル61は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル61の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0142】
ホログラムラベルが印刷層2や発色層4などをさらに備える場合には、ホログラムラベルの被着体99からの剥離にともなう、ホログラムラベルの破壊の態様を、さらに多様に設定することが可能である。
【0143】
例えば、図15Aおよび図15Bに例示したホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度をホログラムラベル51の観察者側から順に列挙すると、以下のようになる。
(領域H)
・印刷層2の破断強度
・コート層5と印刷層2との接着力
・コート層5の破断強度
・透明基材17とコート層5との接着力
・透明基材17の破断強度
・ホログラム記録層19と透明基材17との接着力
・ホログラム記録層19の破断強度
・接着層73とホログラム記録層19との接着力
・接着層73の破断強度
・接着層73と被着体99との接着力
(領域P)
・印刷層2の破断強度
・コート層5と印刷層2との接着力
・コート層5の破断強度
・発色層4とコート層5との接着力
・発色層4の破断強度
・基材層13と発色層4との接着力
・基材層13の破断強度
・接着層16と基材層13との接着力
・接着層16の破断強度
・接着層16と被着体99との接着力
【0144】
この場合において、接着層73と被着体99との接着力、接着層73の破断強度、接着層73とホログラム記録層19との接着力、ホログラム記録層19と透明基材17との接着力、透明基材17の破断強度および透明基材17とコート層5との接着力よりもホログラム記録層19の破断強度が小さく設定されている。なお、コート層5の破断強度、コート層5と印刷層2との接着力および印刷層2の破断強度は、ホログラム記録層19の破断強度より大きければよい。
【0145】
図18Aおよび図18Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図18Aおよび図18Bに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、発色層4の少なくとも一部および基材層13が被着体99に残る例である。
【0146】
図18Aは、発色層4とコート層5との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4とコート層5との接着力が最も小さい場合、図18Aに示すように、ホログラムラベル51は、発色層4とコート層5との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、コート層5および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0147】
図18Bは、発色層4の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、発色層4の破断強度が最も小さい場合、図18Bに示すように、ホログラムラベル51は、発色層4から破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、発色層4は、コート層5とともに被着体99から剥離される部分4uと、被着体99上に残る部分4bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0148】
図19Aおよび図19Bは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図19Aおよび図19Bに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、基材層13の少なくとも一部が被着体99に残る例である。
【0149】
図19Aは、基材層13と発色層4との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13と発色層4との接着力が最も小さい場合、図19Aに示すように、ホログラムラベル51は、基材層13と発色層4との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、ホログラム記録層19は、コート層5および透明基材17とともに被着体99から剥離される部分19uと、被着体99上に残る部分19bとに分離される。
【0150】
図19Bは、基材層13の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、基材層13の破断強度が最も小さい場合、図19Bに示すように、ホログラムラベル51は、基材層13から破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、基材層13は、コート層5および発色層4とともに被着体99から剥離される部分13uと、被着体99上に残る部分13bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0151】
図20A〜図20Cは、発色層をさらに備えるホログラムラベルを被着体から剥離しようとしたときのホログラムラベルの断面を示す模式図である。図20Aおよび図20Bに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部が被着体99に残り、接着層16の少なくとも一部が被着体99に残る例である。図20Cに示す例は、図15Aおよび図15Bに示すホログラムラベル51を被着体99から剥離しようとしたときに、ホログラム記録層19の少なくとも一部のみが被着体99に残る例である。
【0152】
図20Aは、接着層16と基材層13との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と基材層13との接着力が最も小さい場合、図20Aに示すように、ホログラムラベル51は、接着層16と基材層13との界面から破壊される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0153】
図20Bは、接着層16の破断強度がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16の破断強度が最も小さい場合、図20Bに示すように、ホログラムラベル51は、接着層16から破壊される。すなわち、ホログラムラベル51の被着体99からの剥離にともない、接着層16は、コート層5、発色層4および基材層13とともに被着体99から剥離される部分16uと、被着体99上に残る部分16bとに分離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0154】
図20Cは、接着層16と被着体99との接着力がホログラム記録層19の破断強度以下に設定されたホログラムラベルを被着体99から剥離しようとしたときの、ホログラムラベルの破壊の態様を示している。ホログラムラベル51を構成する部材間の接着力または各部材の破断強度のうち、接着層16と被着体99との接着力が最も小さい場合、図20Cに示すように、ホログラムラベル51は、接着層16と被着体99との界面から剥離される。また、ホログラム記録層19の破断強度に対して、ホログラム領域Hにおいてホログラムラベル51の厚さ方向に配置される部材間の接着力または各部材の破断強度が規定されているので、ホログラム領域Hでは、ホログラム記録層19が破壊される。
【0155】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、全体として薄く、かつ体積型ホログラムに記録された情報の視認性の低下が抑制されたホログラムラベルを得ることができる。また、第1の実施形態と同様に、ホログラムラベルが被着体から剥離される際に、ホログラム記録層を確実に破壊することができ、ホログラムラベルの偽造防止機能を向上させることができる。
【0156】
<3.変形例>
以上、好適な実施形態について説明してきたが、好適な具体例は、上述した説明に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0157】
例えば、エネルギ線硬化樹脂などにより、ホログラムラベルの表面にハードコート層を形成してもよいし、ホログラム記録層19と他の層との界面に、ケミカルアタックを防止するブロッキング層を設けるようにしてもよい。
【0158】
上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。上述の実施形態の構成、方法、形状、材料および数値などは、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0159】
例えば、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
基材層と、
前記基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、
前記基材層および前記体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層と
を備えるホログラム一体型表示媒体。
(2)
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成される第1の接着層と、前記第1の接着層上に配置される透明基材層とからなり、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成される(1)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(3)
前記体積型ホログラム構造体が、前記基材層および前記第2の接着層の積層体に対して、0μm以上30μm以下の範囲内で厚い(2)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(4)
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第3の接着層からなる積層体とされ、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記第1の接着層との接着力より小である(2)または(3)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(5)
前記基材層と前記第1の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(6)
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記透明基材層の主面のうち、前記第1の接着層に接する側とは反対側の主面上、前記透明基材層と前記第1の接着層との間、前記第1の接着層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される(4)または(5)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(7)
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、前記ホログラム記録層および前記第3の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記第1の接着層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記第1の接着層との接着力より小である(6)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(8)
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成されるとともに、前記基材層と前記体積型ホログラム構造体との間の段差に追従した形状とされ、
前記開口部に対応する領域において、前記被覆層と前記体積型ホログラム構造体とが、密着している(1)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(9)
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第1の接着層からなる積層体とされ、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記被覆層との接着力より小である(8)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(10)
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記被覆層の主面のうち、前記基材層および前記体積型ホログラム構造体に接する側とは反対側の主面上、前記被覆層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される(9)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(11)
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、前記ホログラム記録層および前記第1の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記被覆層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記被覆層との接着力より小である(10)に記載のホログラム一体型表示媒体。
(12)
前記基材層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(11)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(13)
前記基材層と前記第2の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(12)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(14)
前記第2の接着層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(13)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(15)
前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である(4)ないし(7)、(9)ないし(14)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(16)
前記基材層における前記開口部が、前記基材層に形成された切り欠きである(1)ないし(15)のいずれか1項に記載のホログラム一体型表示媒体。
(17)
透明基材層の一主面上に形成された第1の接着層に対して、連通する開口部が設けられた基材層および第2の接着層の積層体を、前記第1の接着層と前記基材層とが対向するようにして貼りあわせることと、
前記開口部に体積型ホログラム構造体を挿入して、前記第1の接着層と前記体積型ホログラム構造体とを貼りあわせることと
からなるホログラム一体型表示媒体の製造方法。
(18)
透明基材層、第1の接着層、基材層および第2の接着層が順に積層された積層体と、被着体とを貼りあわせることと、
前記基材層と前記第1の接着層との間に設けられた未接着領域に対応する部位に、前記基材層および前記第2の接着層に連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介して、体積型ホログラム構造体を挿入することと、
前記未接着領域を接着領域に変質させ、前記体積型ホログラム構造体と前記基材層とを、前記透明基材および前記第1の接着層により一体的に被覆することと
からなるホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法。
(19)
透明基材と、
前記透明基材との接合面とは反対側の主面の少なくとも一部に未接着領域が設けられた第1の接着層と、
前記未接着領域以外の領域が前記第1の接着層との接合面とされた基材層と、
前記基材層の主面のうち、前記第1の接着層との接合面とは反対側の主面との接合面を有する第2の接着層と
を備え、
前記第2の接着層を介して被着体と貼りあわせたときに、前記被着体の一部が、前記基材層と前記第2の接着層とに連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介した露出面となるラベル媒体。
【符号の説明】
【0160】
1,11,21,31,51,61・・・ホログラムラベル
2・・・印刷層
3・・・カバー層
4・・・発色層
5・・・コート層
7,17・・・透明基材
8・・・テクスチャ層
9,16,23,73・・・接着層
13・・・基材層
15,25,55,75・・・体積型ホログラム構造体
19・・・ホログラム記録層
41・・・シール
45・・・積層基材
H・・・ホログラム領域
P・・・体積型ホログラムを含まない領域
CO・・・切り抜き
Id・・・個別情報
Ip・・・製品情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、
前記基材層および前記体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層と
を備えるホログラム一体型表示媒体。
【請求項2】
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成される第1の接着層と、前記第1の接着層上に配置される透明基材層とからなり、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成される請求項1に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項3】
前記体積型ホログラム構造体が、前記基材層および前記第2の接着層の積層体に対して、0μm以上30μm以下の範囲内で厚い請求項2に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項4】
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第3の接着層からなる積層体とされ、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記第1の接着層との接着力より小である請求項2に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項5】
前記基材層と前記第1の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項6】
前記基材層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項7】
前記基材層と前記第2の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項8】
前記第2の接着層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項9】
前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項10】
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記透明基材層の主面のうち、前記第1の接着層に接する側とは反対側の主面上、前記透明基材層と前記第1の接着層との間、前記第1の接着層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される請求項2に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項11】
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、ホログラム記録層および第3の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記第1の接着層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記第1の接着層との接着力より小である請求項10に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項12】
前記基材層における前記開口部が、前記基材層に形成された切り欠きである請求項1に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項13】
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成されるとともに、前記基材層と前記体積型ホログラム構造体との間の段差に追従した形状とされ、
前記開口部に対応する領域において、前記被覆層と前記体積型ホログラム構造体とが、密着している請求項1に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項14】
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第1の接着層からなる積層体とされ、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記被覆層との接着力より小である請求項13に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項15】
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記被覆層の主面のうち、前記基材層および前記体積型ホログラム構造体に接する側とは反対側の主面上、前記被覆層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される請求項14に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項16】
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、前記ホログラム記録層および前記第1の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記被覆層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記被覆層との接着力より小である請求項15に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項17】
透明基材層の一主面上に形成された第1の接着層に対して、連通する開口部が設けられた基材層および第2の接着層の積層体を、前記第1の接着層と前記基材層とが対向するようにして貼りあわせることと、
前記開口部に体積型ホログラム構造体を挿入して、前記第1の接着層と前記体積型ホログラム構造体とを貼りあわせることと
からなるホログラム一体型表示媒体の製造方法。
【請求項18】
透明基材層、第1の接着層、基材層および第2の接着層が順に積層された積層体と、被着体とを貼りあわせることと、
前記基材層と前記第1の接着層との間に設けられた未接着領域に対応する部位に、前記基材層および前記第2の接着層に連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介して、体積型ホログラム構造体を挿入することと、
前記未接着領域を接着領域に変質させ、前記体積型ホログラム構造体と前記基材層とを、前記透明基材および前記第1の接着層により一体的に被覆することと
からなるホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法。
【請求項19】
透明基材と、
前記透明基材との接合面とは反対側の主面の少なくとも一部に未接着領域が設けられた第1の接着層と、
前記未接着領域以外の領域が前記第1の接着層との接合面とされた基材層と、
前記基材層の主面のうち、前記第1の接着層との接合面とは反対側の主面との接合面を有する第2の接着層と
を備え、
前記第2の接着層を介して被着体と貼りあわせたときに、前記被着体の一部が、前記基材層と前記第2の接着層とに連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介した露出面となるラベル媒体。
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の面内の一部に設けられた開口部に配置される体積型ホログラム構造体と、
前記基材層および前記体積型ホログラム構造体を一体的に被覆する被覆層と
を備えるホログラム一体型表示媒体。
【請求項2】
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成される第1の接着層と、前記第1の接着層上に配置される透明基材層とからなり、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成される請求項1に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項3】
前記体積型ホログラム構造体が、前記基材層および前記第2の接着層の積層体に対して、0μm以上30μm以下の範囲内で厚い請求項2に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項4】
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第3の接着層からなる積層体とされ、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記第1の接着層との接着力より小である請求項2に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項5】
前記基材層と前記第1の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項6】
前記基材層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項7】
前記基材層と前記第2の接着層との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項8】
前記第2の接着層の破断強度が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項9】
前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記ホログラム記録層の破断強度以下である請求項4に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項10】
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記透明基材層の主面のうち、前記第1の接着層に接する側とは反対側の主面上、前記透明基材層と前記第1の接着層との間、前記第1の接着層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される請求項2に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項11】
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、ホログラム記録層および第3の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記第1の接着層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第3の接着層と前記被着体との接着力、前記第3の接着層の破断強度、前記第3の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記第1の接着層との接着力より小である請求項10に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項12】
前記基材層における前記開口部が、前記基材層に形成された切り欠きである請求項1に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項13】
前記被覆層が、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側に形成されるとともに、前記基材層と前記体積型ホログラム構造体との間の段差に追従した形状とされ、
前記開口部に対応する領域において、前記被覆層と前記体積型ホログラム構造体とが、密着している請求項1に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項14】
前記体積型ホログラム構造体が、ホログラム記録層および第1の接着層からなる積層体とされ、
第2の接着層をさらに備え、
前記第2の接着層が、前記基材層の主面のうち、前記体積型ホログラム構造体からの再生光が出射する側とは反対側の主面上に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム記録層および前記基材層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力および前記ホログラム記録層と前記被覆層との接着力より小である請求項13に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項15】
情報表示層をさらに備え、
前記情報表示層が、前記被覆層の主面のうち、前記基材層および前記体積型ホログラム構造体に接する側とは反対側の主面上、前記被覆層と前記基材層との間、前記基材層と前記第2の接着層との間のいずれかに形成される請求項14に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項16】
ホログラム保護層をさらに備え、
前記体積型ホログラム構造体が、前記ホログラム保護層、前記ホログラム記録層および前記第1の接着層からなる積層体とされ、
前記情報表示層が、前記被覆層と前記基材層との間に形成され、
前記体積型ホログラム構造体と、前記情報表示層、前記基材層および前記第2の接着層の積層体とが、前記ホログラム保護層および前記情報表示層の側から、前記被覆層により被覆され、
同一の被着体に被着されたときの、前記第2の接着層と前記被着体との接着力が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力より小であり、かつ、
前記ホログラム記録層の破断強度が、前記第1の接着層と前記被着体との接着力、前記第1の接着層の破断強度、前記第1の接着層と前記ホログラム記録層との接着力、前記ホログラム記録層と前記ホログラム保護層との接着力、前記ホログラム保護層の破断強度および前記ホログラム保護層と前記被覆層との接着力より小である請求項15に記載のホログラム一体型表示媒体。
【請求項17】
透明基材層の一主面上に形成された第1の接着層に対して、連通する開口部が設けられた基材層および第2の接着層の積層体を、前記第1の接着層と前記基材層とが対向するようにして貼りあわせることと、
前記開口部に体積型ホログラム構造体を挿入して、前記第1の接着層と前記体積型ホログラム構造体とを貼りあわせることと
からなるホログラム一体型表示媒体の製造方法。
【請求項18】
透明基材層、第1の接着層、基材層および第2の接着層が順に積層された積層体と、被着体とを貼りあわせることと、
前記基材層と前記第1の接着層との間に設けられた未接着領域に対応する部位に、前記基材層および前記第2の接着層に連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介して、体積型ホログラム構造体を挿入することと、
前記未接着領域を接着領域に変質させ、前記体積型ホログラム構造体と前記基材層とを、前記透明基材および前記第1の接着層により一体的に被覆することと
からなるホログラム一体型表示媒体の貼りつけ方法。
【請求項19】
透明基材と、
前記透明基材との接合面とは反対側の主面の少なくとも一部に未接着領域が設けられた第1の接着層と、
前記未接着領域以外の領域が前記第1の接着層との接合面とされた基材層と、
前記基材層の主面のうち、前記第1の接着層との接合面とは反対側の主面との接合面を有する第2の接着層と
を備え、
前記第2の接着層を介して被着体と貼りあわせたときに、前記被着体の一部が、前記基材層と前記第2の接着層とに連通するようにして設けられた、前記未接着領域より小なる面積の開口部を介した露出面となるラベル媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−10335(P2013−10335A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153713(P2011−153713)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ピナクル
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(594064529)株式会社ソニーDADC (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ピナクル
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(594064529)株式会社ソニーDADC (88)
【Fターム(参考)】
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