説明

ホログラム熱転写装置およびホログラム積層体の製造方法

【課題】バリを発生させること無く被転写媒体にホログラム転写箔を熱転写できるホログラム熱転写装置およびホログラム積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】ホログラム熱転写装置50は、受ローラー10と、受ローラー10との間でホログラム転写箔18と被転写媒体14とを挟持して、ホログラム転写箔18のホログラム転写層24を加熱押圧して被転写媒体14に熱圧着する加熱ローラー11とを備えている。また受ローラー10および加熱ローラー11の下流側に、剥離部材16が設けられている。さらに剥離部材16の下流には、被転写媒体14を搬出する搬出機構19および転写箔巻取りロール17が設けられている。制御部60は、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離部材16に到達したとき、ホログラム転写箔18の移動速度V1を被転写媒体14の移動速度V2より速くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリを発生させること無く被転写媒体にホログラム転写箔を熱転写することができるホログラム熱転写装置およびホログラム積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、小切手、商品券等の有価証券、通帳、パスポート、IDカード等の身分証明書類、及び紙幣の偽造が増加しており、その被害は甚大である。この為、従来から、ホログラムを用いた画像形成方法が採用されている。ホログラムは、見る角度によって画像の見え方が変化するという特徴を有し、かつ、モノクロコピー機(カラーコピー機)では複製できないため、比較的セキュリティ性が高いものとされている。
【0003】
しかしながら、近年、ホログラムの代表例であるレリーフ型ホログラムであっても、その偽造品(模造品)が市場に出回っているのが実情である。レリーフ型ホログラムと別の原理を用いたホログラムとして、体積型ホログラムが挙げられる。体積型ホログラムは、特殊な感光材料にレーザーを用いて画像を形成するものであることから、レリーフ型ホログラムよりもセキュリティ性が高いものとされ、近年、偽造防止手段としての用途が期待されている。
【0004】
体積型ホログラムは屈折率の異なる複数の材料が用いられるのが一般的であり、通常は特定の光を照射することによって重合させることが可能な光重合性材料が用いられている。このため、体積型ホログラムは機械強度が大きくなる傾向にあることが一般に知られている。また、体積型ホログラムは、屈折率差が三次元的に配列されることによりホログラム像が記録されるという性質上、ホログラムが形成される層の厚みが厚くなる傾向にある。このため、体積型ホログラム転写箔を用いて転写する場合には、レリーフホログラム転写箔と比べて箔切れ性は悪く、体積型ホログラム転写箔が転写領域範囲を超えて被転写媒体に残ってしまう、バリという不良が大きく発生しやすい。
【0005】
このような転写箔のバリの問題を解決するために、バリを切除することができる刃物を設けた画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。転写、剥離工程後に被転写体に残ったバリは刃物により切断され、また切断されたバリはブラシによって掃かれ、片付けられる。
【特許文献1】特開平11−58882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す従来技術においては、転写、剥離工程後にバリを切断するため、箔カスが生じる。このため、箔カスを除去する設備が設けてある。通常の転写箔やレリーフホログラム転写箔においては、バリを切断した箔カスが微小であるため、箔カスの除去が容易であるが、体積型ホログラム転写箔で発生するバリは通常の場合に比べて大きいものであるため、特許文献1に開示してあるような除去設備では箔カスの除去が困難である。従って、さらに大掛かりな箔カス除去設備が特別に必要となり、熱転写装置の構成が複雑になるとともにコストもアップするという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、バリを発生させること無く被転写媒体にホログラム転写層を熱転写することが容易にできるホログラム熱転写装置およびホログラム積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、受ローラーと、受ローラーとの間で、基材と少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム転写層とを有するホログラム転写箔と、被転写媒体とを挟持して、ホログラム転写層を加熱押圧して被転写媒体に熱圧着する加熱ローラーと、受ローラーおよび加熱ローラーの下流側に設けられ、ホログラム転写箔の基材をホログラム転写層から剥離するとともに、熱圧着されたホログラム転写層を、それ以外のホログラム転写層から分離して、所定形状を有し少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム積層体を被転写媒体上に形成する剥離部材と、剥離部材の下流側に設けられ、熱圧着されたホログラム転写層が分離された後のホログラム転写箔を巻き取る転写箔巻取りロールと、剥離部材の下流側に設けられ、ホログラム積層体が形成された被転写媒体を搬出する搬出機構と、転写箔巻取りロールおよび搬出機構のうち少なくとも一方を制御する制御部とを備え、制御部は、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールおよび搬出機構のうち少なくとも一方を制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を搬出機構による被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とするホログラム熱転写装置である。
【0009】
本発明は、搬出機構は、剥離部材の上流側から下流側に向けて被転写媒体を一定の移動速度で搬送し、制御部は、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールを制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を前記被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とするホログラム熱転写装置である。
【0010】
本発明は、転写箔巻取りロールは、剥離部材の上流側から下流側に向けてホログラム転写箔を一定の移動速度で巻き取り、制御部は、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、搬出機構を制御して、搬出機構による被転写媒体の移動速度を前記ホログラム転写箔の移動速度より遅くすることを特徴とするホログラム熱転写装置である。
【0011】
本発明は、基材と少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム転写層とを有するホログラム転写箔を準備する工程と、ホログラム転写箔を被転写媒体に、そのホログラム転写層が被転写媒体側を向くよう重ねる工程と、受ローラーと加熱ローラーとの間でホログラム転写箔を被転写媒体に加熱押圧し、ホログラム転写層を被転写媒体に熱圧着する工程と、剥離部材においてホログラム転写箔の基材をホログラム転写層から剥離するとともに、熱圧着されたホログラム転写層を、それ以外のホログラム転写層から分離して、所定形状を有し少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム積層体を被転写媒体上に形成する工程と、熱圧着されたホログラム転写層が分離された後のホログラム転写箔を転写箔巻取りロールによって巻き取る工程と、ホログラム積層体が形成された被転写媒体を搬出機構によって搬出する工程とを備え、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールおよび搬出機構のうち少なくとも一方を制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を搬出機構による被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とするホログラム積層体の製造方法である。
【0012】
本発明は、被転写媒体を搬出機構によって搬出する工程において、搬出機構は、剥離部材の上流側から下流側に向けて被転写媒体を一定の移動速度で搬送し、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールを制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を前記被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とするホログラム積層体の製造方法である。
【0013】
本発明は、ホログラム転写箔を転写箔巻取りロールによって巻き取る工程において、転写箔巻取りロールは、剥離部材の上流側から下流側に向けてホログラム転写箔を一定の移動速度で巻き取り、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、搬出機構を制御して、搬出機構による被転写媒体の移動速度を前記ホログラム転写箔の移動速度より遅くすることを特徴とするホログラム積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールおよび搬出機構のうち少なくとも一方を制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を搬出機構による被転写媒体の移動速度より速くしている。このことにより、被転写媒体に熱圧着されていない部分のホログラム転写層が、基材とともに被転写媒体から離れる方向に勢いよく移動する。そのため、ホログラム転写層のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分に応力が集中し、熱圧着されたホログラム転写層をそれ以外のホログラム転写層から精度良く分離することができる。このため、被転写媒体上にバリのない精度の良好なホログラム積層体を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1乃至図9を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。ここで、図1は、ホログラム積層体が形成された被転写媒体(ホログラム製品)の構成を示す図であり、図2は、ホログラム転写箔の構成を示す図である。図3は、本発明の一実施の形態におけるホログラム熱転写装置を示す図であり、図4および図5は、本発明の一実施の形態において、被転写媒体にホログラム転写層を熱転写する工程を示す図である。図6は、本発明の一実施の形態において、被転写媒体上に形成されたホログラム積層体を示す図である。図7は、熱圧着されたホログラム転写層をそれ以外のホログラム転写層から分離する際における、剥離バー近傍を示す概略図である。図8は、被転写媒体にバリが生じる比較例を示す図であり、図9は、本実施の形態の変形例におけるホログラム転写箔の構成を示す図である。
【0016】
ホログラム積層体およびホログラム転写箔
まず図1および図2により、本発明によるホログラム積層体の製造方法およびホログラム熱転写装置により形成されるホログラム積層体、およびホログラム積層体を形成するために用いられるホログラム転写箔について説明する。
【0017】
まず、図1により、本実施の形態によるホログラム積層体の製造方法およびホログラム熱転写装置により形成されるホログラム製品40の構成について説明する。図1に示すように、ホログラム製品40は、(完成後の)例えば銀行券、株券、小切手などの有価証券類や、通帳、パスポート、IDカードなどの身分証明書類からなっており、被転写媒体14と、被転写媒体14上に設けられたホログラム積層体22とを有している。
【0018】
このうち被転写媒体14は、例えば銀行券、株券、小切手などの紙や、プラスチックフィルム、通帳、パスポートなどの紙やプラスチックからなる冊子、IDカード、銀行カードなどのカード類などが挙げられる。特に、被転写媒体14が紙やプラスチックフィルムなどの比較的薄い場合に、本発明による体積ホログラム積層体の製造方法およびホログラム熱転写装置を用いると、被転写媒体14が破損することなく体積型ホログラム積層体22を被転写媒体14上に形成することができるので、本発明は有効である。また、特に被転写媒体が冊子である場合には、頁の折れ、ゆがみなどが少しでもおこると、製品価値がなくなるが、本発明によると、冊子の変形・破損が好適に防止できるため有効である。
【0019】
またホログラム積層体22は、所定の平面形状を有しており、被転写媒体14上に配置された接着剤層27と、接着剤層27上に配置された体積型ホログラム層26と、体積型ホログラム層26上に配置された剥離性保護層25とを有している。
【0020】
このうち剥離性保護層25は、例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等のうちの一種類または二種類以上を混合したもの等からなる。後述のように、剥離性保護層25は加熱ローラー11から加えられる熱により剥離し、これによりホログラム転写箔18の基材23からホログラム転写層24が剥離される。剥離性保護層25の厚さは、例えば約1マイクロメートル(1μm)となっている。
【0021】
また体積型ホログラム層26の構成材料は、体積型ホログラムを記録することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に体積型ホログラムに用いられる材料を任意に用いることができる。このような材料としては、例えば、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積型ホログラム記録材料を挙げることができる。このような材料にレーザー干渉縞を記録して作製されるため、体積型ホログラム層26は、複製が困難であり偽造される可能性の低い体積型ホログラムからなっている。体積型ホログラム層26の厚さは、適宜調整することができるが、通常は1マイクロメートル(1μm)以上50マイクロメートル(50μm)以下程度の範囲であり、好ましくは下限が3マイクロメートル(3μm)以上であり、上限が25マイクロメートル(25μm)以下である。
【0022】
また接着剤層27は被転写媒体14と体積型ホログラム層26とを接着する機能を有している。この接着剤層27としては、いずれの材料で形成されていてもよいが、熱接着性のものが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、マレイン酸変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等のうちの一種類または二種類以上のものを挙げることができる。
【0023】
なお接着剤層27中には、添加剤として、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を添加することが可能である。接着剤層27の厚さは特に限定されるものではなく、適宜設定することができるが、通常は0.3マイクロメートル(0.3μm)以上50マイクロメートル(50μm)以下程度の範囲であり、好ましくは下限が0.5マイクロメートル(0.5μm)以上であり、上限が25マイクロメートル(25μm)以下である。厚みが上記範囲内にあることにより、接着剤層27の接着性がよくなり、また加熱時間を短縮することが可能となる。
【0024】
ところで、図1に示すように、ホログラム積層体22は、被転写媒体14の搬送方向に対して、ホログラム積層体22前部に位置する前縁37と、ホログラム積層体22後部に位置する後縁28とを有している。一方、被転写媒体14は、被転写媒体14の搬送方向に対して、被転写媒体14前部に位置する前縁43と、被転写媒体14の後部に位置する後縁44とを有している。
【0025】
また図1に示すように、ホログラム積層体22の前縁37は、被転写媒体14の前縁43と略同一鉛直線上に位置している。同様にホログラム積層体22の後縁28は、被転写媒体14の後縁44と略同一鉛直線上に位置している。なお略同一とは、本発明の趣旨を失わない範囲で、同一に近い範囲を含むことを意味する。しかしながら、これに限らず、ホログラム積層体22の前縁37は、被転写媒体14の前縁43よりも内側に位置していてもよく、またホログラム積層体22の後縁28が被転写媒体14の後縁44よりも内側に位置していてもよい。
【0026】
次に、ホログラム積層体22を形成するために用いられるホログラム転写箔18について図2を用いて説明する。
【0027】
ホログラム転写箔18は、図2に示すように、基材23と、ホログラム転写層24とを有している。
【0028】
このうち基材23は、例えばポリエチレンテレフタレートからなっており、その厚さは、例えば約25マイクロメートル(25μm)となっている。
【0029】
またホログラム転写層24は、基材23側から順に配置された剥離性保護層25と、体積型ホログラム層26と、接着剤層27とを有している。これら剥離性保護層25、体積型ホログラム層26、および接着剤層27の各材料については各々ホログラム積層体22のものと同一であるから、詳細な説明は省略する。
【0030】
ホログラム熱転写装置
次に、図3により、ホログラム熱転写装置50について説明する。ホログラム熱転写装置50は、受ローラー10と、受ローラー10に対向して設けられ、受ローラー10との間で、ホログラム転写箔18と被転写媒体14とを挟持して、ホログラム転写箔18のホログラム転写層24を加熱押圧して被転写媒体14に熱圧着する加熱ローラー11とを備えている。
【0031】
また受ローラー10および加熱ローラー11の下流側に、ホログラム転写箔18の基材23をホログラム転写層24から剥離するとともに、被転写媒体14に熱圧着されたホログラム転写層24を、それ以外のホログラム転写層24から分離する剥離バー(剥離部材)16が設けられている。そしてこの剥離バー16において、被転写媒体14上に、所定の平面形状を有し、接着剤層27と、体積型ホログラム層26と、剥離性保護層25とを含むホログラム積層体22が形成される。
【0032】
また受ローラー10および加熱ローラー11の上流側に、ホログラム転写箔18を供給する転写箔供給ロール15が設けられている。転写箔供給ロール15から供給されるホログラム転写箔18は、転写箔案内ローラー35を介して受ローラー10および加熱ローラー11に搬送される。
【0033】
一方、受ローラー10および加熱ローラー11の上流側に、被転写媒体14を送り出す対向する一対の被転写媒体送出ローラー12、12が設けられている。さらに剥離バー16の下流側には、ホログラム積層体22が形成された被転写媒体14であるホログラム製品40を搬出する搬出機構19が設けられている。
【0034】
図3において、搬出機構19は、ホログラム製品40を狭持する一対の搬出ローラー13、13を有している。しかしながら、これに限らず、搬出機構19は、ホログラム製品40を受ローラー10および加熱ローラー11から搬出する機能を有するものであればローラーを有するものに限定されない。
【0035】
また剥離バー16の下流側であって、剥離バー16の上方には、ホログラム転写箔18のうち剥離バー16において分離された基材23と、基材23上に残るホログラム転写層24の一部とを巻き取る転写箔巻取りロール17が設けられている。
【0036】
なお、ホログラム転写箔18と被転写媒体14とは、受ローラー10および加熱ローラー11間を通過した後、剥離バー16側に向って搬送される。そして受ローラー10および加熱ローラー11間から水平方向に搬送されたホログラム転写箔18は、剥離バー16の位置でその向きを変え、剥離バー16から鉛直方向上方へと移動する。他方、受ローラー10および加熱ローラー11間から水平方向に搬送された被転写媒体14は、そのまま剥離バー16から水平方向に搬送される。
【0037】
さらにホログラム熱転写装置50は、受ローラー10、加熱ローラー11、被転写媒体送出ローラー12、転写箔供給ロール15、転写箔巻取りロール17、および搬出機構19を各々制御し駆動する制御部60を有している。
【0038】
なお、加熱ローラー11は上下方向に移動することもできる。このことにより、ホログラム積層体22の前縁37を、被転写媒体14の前縁43より内側に形成することができる。同様に、ホログラム積層体22の後縁28を、被転写媒体14の後縁44よりも内側に形成することもできる。
【0039】
この制御部60は、転写箔巻取りロール17および搬出機構19をそれぞれ制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の巻き取り速度(移動速度)V1と、搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2とをそれぞれ独立して自由に変化させることができる。
【0040】
ホログラム積層体の製造方法
次に、図3乃至図6により、ホログラム転写層24の熱転写方法について説明する。
【0041】
まず、図3に示すように、ホログラム転写箔18を巻きつけた転写箔供給ロール15を準備し、ホログラム転写箔18の図示しない先端部を、転写箔案内ローラー35、受ローラー10と加熱ローラー11との間、および剥離バー16を順次通して転写箔巻取りロール17まで送り、このホログラム転写箔18の先端部を転写箔巻取りロール17に固定する。他方、被転写媒体14を準備し、対向する一対の被転写媒体送出ローラー12、12から被転写媒体14を加熱ローラー11と受ローラー10との間まで送り出す。
【0042】
このようにして、図3および図4に示すように、ホログラム転写箔18と被転写媒体14は加熱ローラー11および受ローラー10の間まで送られる。この加熱ローラー11および受ローラー10において、ホログラム転写箔18が被転写媒体14に、そのホログラム転写層24が被転写媒体14を向くよう重ね合わされる。
【0043】
この場合、加熱ローラー11と受ローラー10との間でホログラム転写箔18と被転写媒体14とが挟持され、加熱ローラー11によりホログラム転写箔18のホログラム転写層24が被転写媒体14に加熱押圧される。このことにより、ホログラム転写層24が被転写媒体14に熱圧着されるとともに、熱圧着されたホログラム転写層24の剥離性保護層25が熱により剥離し、後工程において、ホログラム転写層24のうち熱圧着された部分を基材23から剥離することができる。
【0044】
次に、図3および図5に示すように、ホログラム転写箔18と被転写媒体14とが剥離バー16の位置にくると、剥離バー16においてホログラム転写箔18は被転写媒体14から分離される。すなわち図5に示すように、ホログラム転写箔18の基材23がホログラム転写層24から剥離し、熱圧着されたホログラム転写層24がそれ以外のホログラム転写層24から分離する。このようにして、被転写媒体14上に、所定形状を有する接着剤層27と、体積型ホログラム層26と、剥離性保護層25とを含むホログラム積層体22が形成される。
【0045】
この場合、剥離バー16において分離された後のホログラム転写箔18は、転写箔巻取りロール17に向かって送り出される。この間、転写箔巻取りロール17は、制御部60によって制御され、一定の巻き取り速度(移動速度)V1でホログラム転写箔18を巻き取る。
【0046】
一方、ホログラム積層体22が形成された被転写媒体14からなるホログラム製品40は、搬出機構19によって外方へ搬出される。この間、搬出機構19は、制御部60によって制御され、一定の搬送速度(移動速度)V2で被転写媒体14を搬送する。
【0047】
なお、被転写媒体14の後縁44が剥離バー16に到達する前、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1は、搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2と同一である(V1=V2)。
【0048】
このようにして、上述のようにホログラム転写箔18の基材23がホログラム転写層24から分離され、被転写媒体14に熱圧着されたホログラム転写層24は、それ以外のホログラム転写層24から分離される。このようにして被転写媒体14上にホログラム積層体22が形成されて、ホログラム製品40が作製される(図5および図6参照)。
【0049】
ところで、ホログラム積層体22の形成工程において、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離バー16に到達したとき、制御部60は、転写箔巻取りロール17および搬出機構19を制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2より速くする(V1>V2)。この際の作用について、以下詳述する。
【0050】
まず、制御部60により、受ローラー10、加熱ローラー11、被転写媒体送出ローラー12、転写箔供給ロール15、転写箔巻取りロール17、搬出機構19の駆動回転量に基づいて、被転写媒体14の後縁44の位置が求められる。
【0051】
次に、被転写媒体14の後縁44が剥離バー16に到達すると、制御部60は、上述したように、転写箔巻取りロール17および搬出機構19を制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2より速くする(V1>V2)。
【0052】
この際、制御部60は、転写箔巻取りロール17を制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を急激に上昇させるとともに、搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2を急激に下降させる。この場合、例えば搬出機構19による被転写媒体14の搬送を一時的に停止させても良い(V2=0)。
【0053】
あるいは、剥離バー16の上流側から下流側に向けて、搬出機構19が被転写媒体14を移動させる移動速度V2を変化させることなく、一定の値に保持しても良い。この場合、制御部60は、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離バー16に到達したとき、転写箔巻取りロール17のみを制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を急激に上昇させることにより、移動速度V1を被転写媒体14の移動速度V2より速める。
【0054】
他方、剥離バー16の上流側から下流側に向けて、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18を移動させる移動速度V1を変化させることなく、一定の値に保持しても良い。この場合、制御部60は、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離バー16に到達したとき、搬出機構19のみを制御して、搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2を急激に下降させることにより、被転写媒体14の移動速度V2をホログラム転写箔18の移動速度V1より遅くする。
【0055】
このように、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離バー16に到達したとき、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2より速くすることにより(V1>V2)、剥離バー16下方部で、熱圧着されたホログラム転写層24をそれ以外のホログラム転写層24から精度よく分離することができ、後述するバリ29(図8)を発生させること無く被転写媒体14にホログラム転写層24を熱転写することができる(図7参照)。
【0056】
なお、このようにホログラム転写箔18の移動速度V1を被転写媒体14の移動速度V2から速める場合、ホログラム転写箔18の移動速度V1と被転写媒体14の移動速度V2との間に比較的大きな差を設けることが好ましい。とりわけ、ホログラム転写箔18の移動速度V1と被転写媒体14の移動速度V2との間に、V1−V2≧1mm/secとなる関係があることが好ましい。
【0057】
その後、表面にホログラム積層体22が形成された被転写媒体14からなるホログラム製品40は、搬出機構19により外方へ搬出される。その後、制御部60は、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1および搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2をそれぞれ元の速度に戻す。すなわち転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1と搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2とが互いに同一となる(V1=V2)。
【0058】
このように本実施の形態によれば、ホログラム積層体22の形成工程において、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離バー16に到達したとき、転写箔巻取りロール17および搬出機構19のうち少なくとも一方を制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2より速くしている。このため、ホログラム転写箔18の基材23が、水平方向に移動する被転写媒体14の後縁44から上方に向けて急速に遠ざかろうとし、ホログラム転写層24のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分に力が加わる。このことにより、剥離バー16下方部で、熱圧着されたホログラム転写層24をそれ以外のホログラム転写層24から精度よく分離することができ、後述するバリ29(図8)を発生させること無く被転写媒体14にホログラム転写層24を熱転写することができる。
【0059】
次に、本願発明の効果を比較例と比較して説明する。すなわち、図8に示す比較例では、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の巻き取り速度(移動速度)V1と、搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2とを、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離バー16に到達した前後で変化させることなく(すなわちV1=V2の状態を維持したまま)、被転写媒体14上にホログラム転写箔18を形成したものである。この場合、ホログラム転写箔18は体積型ホログラム層26を含むホログラム転写層24を有しており、ホログラム転写箔18の箔切れ性は悪く、ホログラム転写箔18の一部が被転写媒体14にバリ29として残っている。これに対して本実施の形態によれば、上述のように、転写箔巻取りロール17および搬出機構19を制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2より速くすることにより、このようなバリ29を発生させること無く被転写媒体14にホログラム転写層24を熱転写することができる。
【0060】
次に図9により本実施の形態の他の変形例について説明する。すなわち図9に示すように、ホログラム転写層24は、基材23側から順に配置された剥離性保護層25と、紫外線吸収層31と、体積型ホログラム層26と、光学可変インキ層32と、蛍光画像形成層33と、接着剤層27とを有していてもよい。
【0061】
このうち、紫外線吸収層31の材料としては、例えば、有機系紫外線吸収剤、反応性紫外線吸収剤、および無機系紫外線吸収剤を挙げることができる。紫外線吸収層31の厚さは、通常は0.1マイクロメートル(0.1μm)以上10マイクロメートル(10μm)以下程度の範囲であり、好ましくは下限が0.5マイクロメートル(0.5μm)以上、上限が5マイクロメートル(5μm)以下である。厚さが上記範囲内にあることにより、紫外線吸収層31の紫外線吸収性能と透明性とを両立させることができる。
【0062】
光学可変インキ層32は、光学可変材料によって画像が形成された光学可変画像形成層である。光学可変材料としては、所望の色を発現できるものであれば特に限定されるものではないが、なかでも所定の角度から見た際に、体積型ホログラム層26の画像と同一の色を発現できるものであることが好ましい。このような光学可変材料が用いられることにより、所定の角度から視認する際に、光学可変画像形成層の画像と体積型ホログラム層26の画像とを同一の色の画像にすることができるため、例えば、光学可変画像形成層の画像と体積型ホログラム層26の画像とが重なるようにそれぞれの層を形成することにより、特定の角度において体積型ホログラム層26の画像を視認されないようにすることが可能になり、さらにセキュリティ性を向上させることができる。
【0063】
光学可変材料としては、例えば、パール顔料、偏光インキ、液晶インキ、および再帰反射性インキ等を挙げることができる。本発明においてはこれらの光学可変材料を一種類又は二種類以上用いてもよい。光学可変インキ層32の厚さは、通常は0.5マイクロメートル(0.5μm)以上50マイクロメートル(50μm)以下程度の範囲であり、好ましくは1マイクロメートル(1μm)以上20マイクロメートル(20μm)以下である。厚さが上記範囲内にあることにより、十分な光学可変効果を得ることができる。
【0064】
蛍光画像形成層33は、紫外線を吸収することにより蛍光を発する蛍光材料によって画像が形成された層である。本変形例に用いられる蛍光材料としては、紫外線を吸収することにより所望の波長の蛍光を発することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0065】
本変形例に用いられる蛍光材料は少なくとも1種類が用いられるものであるが、本変形例においては発光する蛍光の波長が異なる複数の蛍光材料が用いられることが好ましく、特に赤、緑、青の各色を発色する蛍光材料が用いられることが好ましい。これにより本変形例に用いられる体積型ホログラム層26に蛍光でフルカラーの画像を形成することが可能になるからである。
【0066】
本変形例に用いられる蛍光材料としては、例えば、有機蛍光色素および無機蛍光色素を挙げることができる。有機蛍光色素としては、例えば、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、フルオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環を持つ化合物などが挙げられる。具体的には、可視光で無色の蛍光染料としては、EB−501(三井化学(株)製、発光色:青色)、EG−302(三井化学(株)製、発光色:黄緑色)、EG−307(三井化学(株)製、発光色:緑色)、ER−120(三井化学(株)製、発光色:赤色)、ER−122(三井化学(株)製、発光色:赤色)、蛍光増白剤と呼ばれるユビテックスOB(チバスペシャルティケミカルズ社製、発光色:青色)、ユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ(株)、赤橙色)等を挙げることができる。
【0067】
また、無機蛍光色素としては、例えば、Ca、Ba、Mg、Sr、などの酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩のなどの結晶を主成分とし、Eu、Mn、Pb、Fe、Mn、Zn、Ag、Cuなどの金属元素または希土類元素をドープ剤として添加した顔料を用いることができる。具体的には、可視光下では無色から白色のG−300シリーズ(SrAl:Eu,Dy 根本特殊化学製 発光色:緑)やV−300シリーズ(CaAl:Eu,Nd 根本特殊化学製 発光色:紫)等を挙げることができる。
【0068】
また、本変形例に用いられる蛍光材料としては、たとえば、チオフェン系蛍光色素、β−キノフタロン系蛍光色素、クマリン系蛍光色素、ビススチリルベンゼン系蛍光色素、オキサゾール系蛍光色素、およびユーロピウム錯体系蛍光色素等も挙げることができる。これらの蛍光色素の具体例としては、例えば特開2004−122690号公報に記載されたものを例示することができる。
【0069】
なお、本変形例に用いられる蛍光画像形成層33には、上記蛍光材料以外に、通常、バインダー樹脂が含まれることが好ましい。本変形例に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。本変形例においては、これらのいずれの樹脂であっても好適に用いることができる。
【0070】
蛍光画像形成層33の厚さは、例えば約10マイクロメートル(10μm)となっている。
【0071】
この変形例においても、ホログラム積層体22の形成工程において、ホログラム転写箔18のうちホログラム積層体22の後縁28に対応する部分が剥離バー16に到達した、転写箔巻取りロール17および搬出機構19を制御して、転写箔巻取りロール17によるホログラム転写箔18の移動速度V1を搬出機構19による被転写媒体14の移動速度V2より速くしている。このことにより、剥離バー16下方部で、熱圧着されたホログラム転写層24をそれ以外のホログラム転写層24から精度よく分離することができ、後述するバリ29を発生させること無く被転写媒体14にホログラム転写層24を熱転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態において、ホログラム積層体が形成された被転写媒体を示す図。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態におけるホログラム転写箔の構成を示す図。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態におけるホログラム熱転写装置を示す図。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態において、被転写媒体にホログラム転写層を熱圧着する工程を示す図。
【図5】図5は、本発明の一実施の形態において、被転写媒体にホログラム転写層を熱圧着する工程を示す図。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態において、被転写媒体上に形成されたホログラム積層体を示す図。
【図7】図7は、本発明の一実施の形態において、熱圧着されたホログラム転写層をそれ以外のホログラム転写層から分離する際の剥離バー近傍を示す概略図。
【図8】図8は、被転写媒体にバリが生じる比較例を示す図。
【図9】図9は、本発明の一実施の形態の変形例におけるホログラム転写箔の構成を示す図。
【符号の説明】
【0073】
10 受ローラー
11 加熱ローラー
12 被転写媒体送出ローラー
13 搬出ローラー
14 被転写媒体
15 転写箔供給ロール
16 剥離バー(剥離部材)
17 転写箔巻取りロール
18 ホログラム転写箔
19 搬出機構
22 ホログラム積層体
23 基材
24 ホログラム転写層
25 剥離性保護層
26 体積型ホログラム層
27 接着剤層
28 後縁
35 転写箔案内ローラー
40 ホログラム製品
50 ホログラム熱転写装置
60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受ローラーと、
受ローラーとの間で、基材と少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム転写層とを有するホログラム転写箔と、被転写媒体とを挟持して、ホログラム転写層を加熱押圧して被転写媒体に熱圧着する加熱ローラーと、
受ローラーおよび加熱ローラーの下流側に設けられ、ホログラム転写箔の基材をホログラム転写層から剥離するとともに、熱圧着されたホログラム転写層を、それ以外のホログラム転写層から分離して、所定形状を有し少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム積層体を被転写媒体上に形成する剥離部材と、
剥離部材の下流側に設けられ、熱圧着されたホログラム転写層が分離された後のホログラム転写箔を巻き取る転写箔巻取りロールと、
剥離部材の下流側に設けられ、ホログラム積層体が形成された被転写媒体を搬出する搬出機構と、
転写箔巻取りロールおよび搬出機構のうち少なくとも一方を制御する制御部とを備え、
制御部は、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールおよび搬出機構のうち少なくとも一方を制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を搬出機構による被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とするホログラム熱転写装置。
【請求項2】
搬出機構は、剥離部材の上流側から下流側に向けて被転写媒体を一定の移動速度で搬送し、
制御部は、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールを制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を前記被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とする請求項1に記載のホログラム熱転写装置。
【請求項3】
転写箔巻取りロールは、剥離部材の上流側から下流側に向けてホログラム転写箔を一定の移動速度で巻き取り、
制御部は、ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、搬出機構を制御して、搬出機構による被転写媒体の移動速度を前記ホログラム転写箔の移動速度より遅くすることを特徴とする請求項1に記載のホログラム熱転写装置。
【請求項4】
基材と少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム転写層とを有するホログラム転写箔を準備する工程と、
ホログラム転写箔を被転写媒体に、そのホログラム転写層が被転写媒体側を向くよう重ねる工程と、
受ローラーと加熱ローラーとの間でホログラム転写箔を被転写媒体に加熱押圧し、ホログラム転写層を被転写媒体に熱圧着する工程と、
剥離部材においてホログラム転写箔の基材をホログラム転写層から剥離するとともに、熱圧着されたホログラム転写層を、それ以外のホログラム転写層から分離して、所定形状を有し少なくとも体積型ホログラム層を含むホログラム積層体を被転写媒体上に形成する工程と、
熱圧着されたホログラム転写層が分離された後のホログラム転写箔を転写箔巻取りロールによって巻き取る工程と、
ホログラム積層体が形成された被転写媒体を搬出機構によって搬出する工程とを備え、
ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールおよび搬出機構のうち少なくとも一方を制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を搬出機構による被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とするホログラム積層体の製造方法。
【請求項5】
被転写媒体を搬出機構によって搬出する工程において、搬出機構は、剥離部材の上流側から下流側に向けて被転写媒体を一定の移動速度で搬送し、
ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、転写箔巻取りロールを制御して、転写箔巻取りロールによるホログラム転写箔の移動速度を前記被転写媒体の移動速度より速くすることを特徴とする請求項4に記載のホログラム積層体の製造方法。
【請求項6】
ホログラム転写箔を転写箔巻取りロールによって巻き取る工程において、転写箔巻取りロールは、剥離部材の上流側から下流側に向けてホログラム転写箔を一定の移動速度で巻き取り、
ホログラム転写箔のうちホログラム積層体の後縁に対応する部分が剥離部材に到達したとき、搬出機構を制御して、搬出機構による被転写媒体の移動速度を前記ホログラム転写箔の移動速度より遅くすることを特徴とする請求項4に記載のホログラム積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−2814(P2010−2814A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163001(P2008−163001)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】