説明

ホワイトバランス制御装置および撮像装置

【課題】 本発明の目的は、撮影レンズのズーム位置および被写界を照明する光源の種類に依らず高精度にホワイトバランス制御を行うことのできるホワイトバランス制御装置および撮像装置を提供することである。
【解決手段】 本発明のホワイトバランス制御装置(11〜23)は、撮影レンズ(11)を介して撮影されるカラー画像のホワイトバランス制御値を算出する算出手段(19)と、算出手段(19)が算出したホワイトバランス制御値を撮影レンズ(11)のズーム位置に応じて補正する補正手段(19)とを備えたホワイトバランス制御装置において、補正手段(19)が、被写界を照明する光源の種類に応じて補正の補正量を変更する。また、本発明のホワイトバランス制御装置(11〜23)は、撮影レンズ(11)を介して撮影されるカラー画像に基づき、被写界を照明する光源の種類を判定する判定手段(19)を備え、この判定手段(19)が、撮影レンズ(11)のズーム位置に応じて判定の基準を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラなどに用いられるホワイトバランス制御装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影レンズを通過した光をCCD等の撮像素子に導き光電変換して撮影を行う電子カメラでは、撮影レンズの焦点距離(ズーム位置)が変化すると、撮像素子上のマイクロレンズへの光の入射角が変わり受光成分(RGB)のバランスも変化することから、ホワイトバランスの制御不良が生じやすい。このような撮影レンズのズーム位置の変化による制御不良の発生を抑制するための従来技術の一例として、例えば、特許文献1では、ズーム位置に対応した係数を用いてホワイトバランス制御値を補正する技術を開示している。
【特許文献1】特開2005−244945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術では、被写界を照明する光源の種類によっては、前述したホワイトバランス制御不良の発生を抑制することができなかった。また、制御不良の発生を抑制するためには被写界を照明する光源の種類が何であるかを正しく判定する必要があるが、従来技術では、その判定時に撮影レンズのズーム位置を考慮していないため正しい判定が行えなかった。
【0004】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためのものである。本発明の目的は、撮影レンズのズーム位置および被写界を照明する光源の種類に依らず高精度にホワイトバランス制御を行うことのできるホワイトバランス制御装置および撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明のホワイトバランス制御装置は、撮影レンズを介して撮影されるカラー画像のホワイトバランス制御値を算出する算出手段と、算出手段が算出したホワイトバランス制御値を撮影レンズのズーム位置に応じて補正する補正手段とを備えたホワイトバランス制御装置において、補正手段が、被写界を照明する光源の種類に応じて補正の補正量を変更する。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、算出手段が、ユーザーから指定された光源情報に基づきホワイトバランス制御値を算出し、補正手段が、光源情報を基に光源の種類を判定する。
【0007】
第3の発明は、第1の発明において、算出手段が、ユーザーから予め与えられた基準画像を無彩色にするための制御値をホワイトバランス制御値として算出し、補正手段が、算出手段の算出したホワイトバランス制御値を基に光源の種類を判定する。
【0008】
第4の発明は、第1の発明において、算出手段には、撮影レンズを介して連続的に撮影されるカラー画像のホワイトバランス制御値をカラー画像に基づく光源判定を行いながらリアルタイムに算出する期間と、ユーザーからの指定に従い算出を休止させると共に、ユーザーからの指定の直前に算出した値をホワイトバランス制御値として保持する期間とがある。そして、補正手段が、算出手段がホワイトバランス制御値を算出する期間には補正を休止し、算出手段がホワイトバランス制御値を保持する期間中には補正を行う。
【0009】
第5の発明は、第4の発明において、補正手段が、算出手段がホワイトバランス制御値を保持する期間の開始直前に行った光源判定の結果に基づき補正を行う。
【0010】
第6の発明は、第1〜第5の発明の何れか一の発明において、補正手段が、撮影レンズのズーム位置毎、かつ光源の種類毎に補正量を格納したテーブルを使用する。
【0011】
第7の発明のホワイトバランス制御装置は、撮影レンズを介して撮影されるカラー画像に基づき、被写界を照明する光源の種類を判定する判定手段を備え、この判定手段が、撮影レンズのズーム位置に応じて判定の基準を変化させる。
【0012】
第8の発明は、第7の発明において、判定手段が、色空間における複数の光源色領域の境界線を判定の基準として使用すると共に、色空間における複数の光源色領域の位置を撮影レンズのズーム位置に応じて移動させる。
【0013】
第9の発明は、第8の発明において、判定手段が、複数の光源色領域の位置を一様に移動させる。
【0014】
第10の発明は、第9の発明において、判定手段が、撮影レンズのズーム位置毎に移動量を格納したテーブルを使用する。
【0015】
第11の発明は、第8の発明において、判定手段が、複数の光源色領域の位置を個別に移動させる。
【0016】
第12の発明は、第11の発明において、判定手段が、撮影レンズのズーム位置毎、かつ光源の種類毎に移動量を格納したテーブルを使用する。
【0017】
第13の発明の撮像装置は、撮影レンズを介してカラー画像を撮像する撮像手段と、第1〜第12の発明の何れか一の発明のホワイトバランス制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、ホワイトバランスの制御値を撮影レンズのズーム位置に応じて補正する時に、その補正の補正量が被写界を照明する光源の種類に応じて変更される。また、本発明では、被写界を照明する光源の種類を判定するための基準が撮影レンズのズーム位置に応じて変化させられる。従って、本発明を利用すれば、撮影レンズのズーム位置および被写界を照明する光源の種類に依らない高精度なホワイトバランス制御が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態の説明)
以下、第1実施形態の電子カメラの構成を説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態の電子カメラのブロック図である。図1に示すとおり、電子カメラは、撮影レンズ11およびレンズ駆動部12と、撮像素子13と、アナログ信号処理部14と、タイミングジェネレータ(TG)15と、バッファメモリ16と、画像処理部17と、モニタ18と、制御部19と、操作部20と、ROM21と、記録媒体22と、バス23とを有している。ここで、バッファメモリ16、画像処理部17、モニタ18、制御部19、ROM21、記録媒体22は、バス23を介して接続されている。また、レンズ駆動部12、アナログ信号処理部14、TG15、操作部20は、それぞれ制御部19に接続されている。
【0021】
撮影レンズ11は、フォーカスレンズやズームレンズを含む複数のレンズ群で構成されている。なお、簡単のため、図1では撮影レンズ11を1枚のレンズとして図示している。
【0022】
レンズ駆動部12は、制御部19の指示に応じてレンズ駆動信号を発生し、撮影レンズ11を光軸方向に移動させてフォーカス調整やズーム調整を行うと共に、撮影レンズ11を通過した光束による被写体像を撮像素子13の受光面に形成する。
【0023】
撮像素子13は、CCD型やCMOS型の撮像素子であり、撮影レンズ11の像空間側に配置されている。撮像素子13は、受光面に形成された被写体像を光電変換してアナログ画像信号を生成する。この撮像素子13の出力はアナログ信号処理部14に接続されている。
【0024】
アナログ信号処理部14は、制御部19の指示に応じて、撮像素子13から出力されたアナログ画像信号に対し、CDS(相関二重サンプリング)、ゲイン調整、A/D変換などのアナログ信号処理を施すと共に、処理後の画像信号を出力する。また、アナログ信号処理部14は、制御部19の指示に基づいてゲイン調整の調整量を設定し、それによってISO感度に相当する撮像感度の調整を行う。なお、アナログ信号処理部14の出力はバッファメモリ16に接続されている。
【0025】
TG15は、制御部19の指示に基づき撮像素子13およびアナログ信号処理部14に対してタイミングパルスを供給する。撮像素子13およびアナログ信号処理部14の駆動タイミングはそのタイミングパルスによって制御される。
【0026】
バッファメモリ16は、撮影時および撮影モード設定時にアナログ信号処理部14から出力される画像信号を画像データとして一時的に記憶する。また、バッファメモリ16は、制御部19による処理の過程で作成された画像データを一時的に記憶する。
【0027】
画像処理部17は、制御部19の指示に応じて、バッファメモリ16の画像データに対し、ホワイトバランス調整、色分離(補間)、輪郭強調、ガンマ補正などの画像処理を施す。ここで、ホワイトバランス(WB)調整は、画像処理部17が、制御部19が算出したWB制御値(WBゲイン:gr、gb)を画像データのR成分およびB成分へ乗算することによって行う。なお、画像処理部17は、ASICなどとして構成される。また、制御部19によるWBゲインの算出の詳細は後述する。
【0028】
モニタ18は、電子カメラ筐体の背面などに設けられたLCDモニタや、接眼部を備えた電子ファインダなどであり、制御部19の指示に応じて各種の画像を表示する。
【0029】
操作部20は、モード設定釦、ズーム操作釦、レリーズ釦などの操作部材を含み、ユーザーによる部材操作の内容に応じた操作信号を制御部19に送る。
【0030】
ROM21は、制御部19が実行するWB制御値の算出プログラムなどの各種のプログラム及びそれらの実行に必要なWB補正情報テーブルや光源色領域位置移動情報テーブルなどの各種のデータなどを記憶する。WB補正情報テーブルは、図3に示すとおりWB制御値の補正量を格納するものであり、これは光源の種類毎に用意される。光源色領域位置移動情報テーブルは、図7(a)に示すとおり被写界を照明する光源の種類を判定するための基準となる光源色領域の位置の移動量を格納するものである。
【0031】
記録媒体22には、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式などによる圧縮処理後の画像データが制御部19によって記録される。なお、記録媒体22は、半導体メモリを内蔵したメモリカードや、小型のハードディスクなどである。
【0032】
制御部19は、操作部20から送られた操作信号に応じて電子カメラの各部を統括制御する。例えば、電子カメラが撮影モードに設定されると、制御部19は、レンズ駆動部12およびTG15を駆動させてスルー画像の撮影を開始する。このとき、撮像素子13はドラフトモードで駆動され、スルー画像の画像データがアナログ信号処理部14を介してバッファメモリ16へ順次記録される。また、この撮影モードで動作中にレリーズ釦が全押しされると、制御部19は、測光等により決定した撮影条件の下でレンズ駆動部12およびTG15を駆動させて撮影を行う。このとき、撮像素子13はフレームモードで駆動され、詳細画像の画像データがアナログ信号処理部14を介してバッファメモリ16へ記録される。
【0033】
次に、上記のとおりバッファメモリ16に記録されたスルー画像または詳細画像の画像データに対し、制御部19は、画像処理部17を駆動させて画像処理を施す。ここで、電子カメラのホワイトバランス(WB)モードが「プリセットWBモード」に設定された場合には、画像処理部17でのWB調整は、あらかじめユーザーにより与えられた詳細画像(白基準となる被写体を撮影したもの。以下、「基準画像」という。)の画像データを基に制御部19が算出したWB制御値によって行われる。また、WBモードが「マニュアルWBモード」に設定された場合には、画像処理部17でのWB調整は、ユーザーが設定したそのマニュアルWBモードの種類(例えば、「晴天」、「曇天」、「蛍光灯」、「電球」など)に基づき制御部19が算出したWB制御値によって行われる。そして、WBモードが「オートWBモード」に設定された場合には、画像処理部17でのWB調整は、バッファメモリ16に連続的に記録されるスルー画像または詳細画像の各画像データに基づき制御部19がリアルタイムに算出したWB制御値によって行われる。
【0034】
その後、制御部19は、画像処理後の画像をモニタ18に表示させると共に、圧縮/復号部(不図示)を駆動させて画像処理後の画像に圧縮処理を施し、その圧縮処理を施した画像を記録媒体22に記録する。
【0035】
以下、第1実施形態の電子カメラにおけるホワイトバランス(WB)制御値の算出の動作を、図2の流れ図および図3を参照して説明する。図2のフローは、電子カメラが、撮影モード、かつWBモードの「プリセットWBモード」または「マニュアルWBモード」で動作している場合に実行されるものである。
【0036】
ステップS101:制御部19は、現在のWBモードが「プリセットWBモード」である場合には、あらかじめユーザーにより与えられた基準画像を基にWB制御値を算出する。具体的には、その画像の平均色を無彩色とするためのWB制御値を算出する。一方、WBモードが「マニュアルWBモード」である場合には、制御部19は、ユーザーの設定したマニュアルWBモードの種類(例えば、「晴天」、「曇天」、「蛍光灯」、「電球」など)を判別し、その種類に基づきWB制御値を算出する。尚、ここでは、WB制御値には、両モードともにWBゲイン「gri、gbi」が算出されたものとする。
【0037】
ステップS102:制御部19は、現在のWBモードが「プリセットWBモード」である場合には、上記ステップS101で算出したWB制御値に基づき光源の種類を判定する。一方、WBモードが「マニュアルWBモード」である場合には、制御部19は、上記ステップS101で判別したマニュアルWBモードの種類に基づき光源の種類を判定する。尚、ここでは、判定された光源の種類は、両モードともに「蛍光灯」であるものとする。
【0038】
ステップS103:制御部19は、レンズ駆動部12などから、撮影レンズ11のズーム位置情報を取得する(ズーム位置情報として「Z8」が取得されたものとする)。
【0039】
ステップS104:制御部19は、ROM21に予め格納されるWB補正情報テーブル(図3)のうちから上記ステップS102で判定した光源の種類「蛍光灯」に対応するテーブル「蛍光灯用WB補正情報テーブル」を選択する。
【0040】
ステップS105:制御部19は、上記ステップS104で選択した「蛍光灯用WB補正情報テーブル」を参照し、上記ステップS103で取得したズーム位置情報「Z8」に対応するWB補正量「Δgr8m、Δgb8m」を取得する。
【0041】
ステップS106:制御部19は、上記ステップS101で算出したWB制御値「gri、gbi」と上記ステップS105で取得したWB補正量「Δgr8m、Δgb8m」を加算して画像処理部17でのWB調整に用いるWB制御値「gri+Δgr8m、gbi+Δgb8m」を算出する。
【0042】
以上、第1実施形態の電子カメラにおけるWB制御値の算出の動作を説明した。
【0043】
なお、「マニュアルWBモード」の場合には、ROM21のWB補正情報テーブルに、WB補正量ではなくWB制御値(WBゲイン)を直接格納し、上記ステップS101及びステップS106の処理は行わずに、かつ上記ステップS105の処理でWB補正情報テーブルから画像処理部17でのWB調整に用いるWB制御値を取得するようにしてもよい。
【0044】
また、ROM21のWB補正情報テーブルは、「プリセットWBモード」と「マニュアルWBモード」で、双方に共通のテーブルを設けてもよく、またそれぞれに専用のテーブルを設けてもよい。
【0045】
以下、第1実施形態の効果を説明する。
【0046】
第1実施形態の電子カメラによれば、電子カメラのWBモードが「プリセットWBモード」または「マニュアルWBモード」である場合に、WBモードに応じて一旦算出されたWB制御値が、撮影レンズのズーム位置毎、かつ被写界を照明する光源の種類毎のWB補正量を用いて補正される。このため、撮影レンズのズーム位置と光源の種類によって撮像素子の受光成分(RGB)のバランスが変化しても高精度にホワイトバランス制御が行える。従って、撮影レンズのズーム位置および被写界を照明する光源の種類に依らない高精度なホワイトバランス制御が可能となる。
【0047】
(第2実施形態の説明)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の電子カメラのブロック図は第1実施形態のブロック図(図1)と同一であるため、ここでは同じ符号を付与して示すこととして説明を省略する。
【0048】
以下、第2実施形態の電子カメラにおけるホワイトバランス(WB)制御値の算出の動作を、図4の流れ図および図5を参照して説明する。図4のフローは、電子カメラが、撮影モード、かつWBモードの「オートWBモード」で動作中に、ユーザーがWBモードを「オートWBロックモード」に設定した場合に実行されるものである。尚、「オートWBロックモード」は、オートWBによる光源判定およびWB制御値算出を休止させ、かつ本モードの直前のオートWBにより算出したWB制御値を保持すると共に、このWB制御値を、撮影レンズのズーム位置とそのWB制御値の算出時に判定した光源の種類とに基づき補正して、画像処理部17でのWB調整に用いるWB制御値を算出するモードである。
【0049】
ステップS201:制御部19は、本モードの直前のオートWBにより算出されたWB制御値を取得すると共に、バッファメモリ16などに記録して、その保持を開始する。尚、ここでは、WB制御値としてWBゲイン「gri、gbi」が保持されているものとする。
【0050】
ステップS202:制御部19は、レンズ駆動部12などから、撮影レンズ11のズーム位置情報を初期ズーム位置情報として取得する(初期ズーム位置情報として「Z4」が取得されたものとする)。
【0051】
ステップS203:制御部19は、ユーザーにより「オートWBロックモード」の解除操作が行われたか否かを判定する。操作が行われた場合(Yes側)には、制御部19はステップS204に移行し、一方、操作が行われていない場合(No側)には、制御部19はステップS205に移行する。
【0052】
ステップS204:制御部19は、上記ステップS201でバッファメモリ16などに記録したWB制御値「gri、gbi」を削除してその保持を終了すると共に、本モードを終了する。
【0053】
ステップS205:制御部19は、ユーザーによって撮影レンズ11のズーム操作が行われたか否かを判定する。操作が行われた場合(Yes側)には、制御部19は画像処理部17でのWB調整に用いるWB制御値を算出するためにステップS206に移行し、一方、操作が行われていない場合(No側)には、制御部19はWB制御値を算出することなくステップS203に移行する。
【0054】
ステップS206:制御部19は、レンズ駆動部12などから、撮影レンズ11のズーム位置情報をAWBロック後ズーム位置情報として取得する(AWBロック後ズーム位置情報として「Z7」が取得されたものとする)。
【0055】
ステップS207:制御部19は、ROM21に予め格納されるAWB補正情報テーブル(図5)のうちから、本モードの直前のオートWBにより判定された光源の種類(「晴天」とする)に対応するテーブル「晴天用AWB補正情報テーブル」を選択する。
【0056】
ステップS208:制御部19は、上記ステップS207で選択した「晴天用AWB補正情報テーブル」を参照し、上記ステップS202で取得した初期ズーム位置情報「Z4」に対応するWB補正量1「Δgr4n、Δgb4n」および上記ステップS206で取得したAWBロック後ズーム位置情報「Z7」に対応するWB補正量2「Δgr7n、Δgb7n」を取得する。次に、制御部19は、取得したWB補正量2からWB補正量1を減算して、WB補正量「Δgr7n−Δgr4n、Δgb7n−Δgb4n」を取得する。
【0057】
ステップS209:制御部19は、保持中のWB制御値「gri、gbi」と上記ステップS208で取得したWB補正量「Δgr7n−Δgr4n、Δgb7n−Δgb4n」を加算して画像処理部17でのWB調整に用いるWB制御値「gri+(Δgr7n−Δgr4n)、gbi+(Δgb7n−Δgb4n)」を算出する。
【0058】
以上、第2実施形態の電子カメラにおけるWB制御値の算出の動作を説明した。
【0059】
以下、第2実施形態の効果を説明する。
【0060】
第2実施形態の電子カメラによれば、電子カメラのWBモードが「オートWBモード」である場合に、オートWBによる光源判定およびWB制御値算出が休止させられると共に、その休止直前のオートWBにより算出されたWB制御値が、撮影レンズのズーム位置毎、かつ被写界を照明する光源の種類毎のWB補正量を用いて補正される。このため、撮影レンズのズーム位置と光源の種類によって撮像素子の受光成分(RGB)のバランスが変化しても高精度にホワイトバランス制御が行える。従って、撮影レンズのズーム位置および被写界を照明する光源の種類に依らない高精度なホワイトバランス制御が可能となる。
【0061】
(第3実施形態の説明)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態の電子カメラのブロック図は第1実施形態のブロック図(図1)と同一であるため、ここでは同じ符号を付与して示すこととして説明を省略する。
【0062】
以下、第3実施形態の電子カメラにおけるホワイトバランス(WB)制御値の算出の動作を、図6の流れ図および図7を参照して説明する。図4のフローは、電子カメラが、撮影モード、かつWBモードの「オートWBモード」で動作している場合に実行されるものである。
【0063】
ステップS301:制御部19は、レンズ駆動部12などから、撮影レンズ11のズーム位置情報を取得する(ズーム位置情報として「Z8」が取得されたものとする)。
【0064】
ステップS302:制御部19は、ROM21に予め格納される光源色領域位置移動情報テーブル(図7(a))を参照して、上記ステップS301で取得したズーム位置情報「Z8」に対応する移動量「M8i」を取得する。
【0065】
ステップS303:制御部19は、オートWB光源判定基準テーブルの色空間における全ての光源色領域の位置を上記ステップS302で取得した1つの移動量「M8i」を用いて一様に移動させる(図7(b))。
【0066】
ステップS304:制御部19は、上記ステップS303で位置を移動させたオートWB光源判定基準テーブル基づいて、被写界を照明する光源の種類を判定する。
【0067】
ステップS305:制御部19は、上記ステップS304で判定した光源の種類に対応するWB制御値をROM21などに予め格納される情報から取得して、この取得した値を算出値とする。
【0068】
以上、第3実施形態の電子カメラにおけるWB制御値の算出の動作を説明した。
【0069】
なお、上記ステップS302及びステップS303では、光源色領域の位置の移動について、全ての光源色領域の位置を1つの移動量を用いて一様に移動させる例を説明したが、各光源色領域の位置をそれぞれに異なる移動量を用いて個別に移動させるようにしてもよい。またそうした場合には、ROM21の光源色領域位置移動情報テーブルは、撮影レンズのズーム位置毎、かつ被写界を照明する光源の種類毎に、移動量を格納するようにするとよい。
【0070】
以下、第3実施形態の効果を説明する。
【0071】
第3実施形態の電子カメラによれば、電子カメラのWBモードが「オートWBモード」である場合に、被写界を照明する光源の種類を判定するための基準となる光源色領域の位置が、撮影レンズのズーム位置に応じた移動量を用いて移動させられる。このため、撮影レンズのズーム位置によって撮像素子の受光成分(RGB)のバランスが変化しても光源の種類の判定が正しく行える。従って、撮影レンズのズーム位置および被写界を照明する光源の種類に依らない高精度なホワイトバランス制御が可能となる。
【0072】
また、第3実施形態の電子カメラによれば、電子カメラのWBモードが「オートWBモード」である場合に、被写界を照明する光源の種類を判定するための基準となる光源色領域の位置が、撮影レンズのズーム位置に応じた光源色領域毎の個別の移動量を用いて移動させられる。このため、撮影レンズのズーム位置と光源の種類によって撮像素子の受光成分(RGB)のバランスが変化しても光源の種類の判定が正しく行える。従って、撮影レンズのズーム位置および被写界を照明する光源の種類に依らない高精度なホワイトバランス制御が可能となる。
【0073】
(その他)
なお、第3実施形態での処理を第2実施形態での光源判定に適用してもよい。
【0074】
また、上記ステップS101〜ステップS106の処理プログラムは、その一部または全部をコンピュータや、プリンタ、画像ストレージャなどに実行させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1〜第3実施形態の電子カメラのブロック図である。
【図2】第1実施形態の電子カメラにおけるホワイトバランス制御値の算出の動作を示す流れ図である。
【図3】WB補正情報テーブルの図である。
【図4】第2実施形態の電子カメラにおけるホワイトバランス制御値の算出の動作を示す流れ図である。
【図5】AWB補正情報テーブルの図である。
【図6】第3実施形態の電子カメラにおけるホワイトバランス制御値の算出の動作を示す流れ図である。
【図7】光源色領域位置移動情報テーブルおよび光源色領域の位置移動のイメージの図である。
【符号の説明】
【0076】
11…撮影レンズ,12…レンズ駆動部,13…撮像素子,14…アナログ信号処理部,15…タイミングジェネレータ(TG),16…バッファメモリ,17…画像処理部,18…モニタ,19…制御部,20…操作部,21…ROM,22…記録媒体,23…バス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを介して撮影されるカラー画像のホワイトバランス制御値を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した前記ホワイトバランス制御値を、前記撮影レンズのズーム位置に応じて補正する補正手段と
を備えたホワイトバランス制御装置において、
前記補正手段は、前記補正の補正量を、被写界を照明する光源の種類に応じて変更する
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記算出手段は、ユーザーから指定された光源情報に基づき前記ホワイトバランス制御値を算出し、
前記補正手段は、前記光源情報を基に前記光源の種類を判定する
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記算出手段は、ユーザーから予め与えられた基準画像を無彩色にするための制御値を前記ホワイトバランス制御値として算出し、
前記補正手段は、前記算出手段が算出した前記ホワイトバランス制御値を基に前記光源の種類を判定する
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記算出手段には、前記撮影レンズを介して連続的に撮影されるカラー画像の前記ホワイトバランス制御値を前記カラー画像に基づく光源判定を行いながらリアルタイムに算出する期間と、ユーザーからの指定に従い前記算出を休止させ、前記指定の直前に前記算出した値を前記ホワイトバランス制御値として保持する期間とがあり、
前記補正手段は、前記算出手段が前記ホワイトバランス制御値を算出する期間には前記補正を休止し、前記算出手段が前記ホワイトバランス制御値を保持する期間中には前記補正を行う
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記補正手段は、前記算出手段が前記ホワイトバランス制御値を保持する期間の開始直前に行った前記光源判定の結果に基づき前記補正を行う
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記補正手段は、前記撮影レンズのズーム位置毎、かつ前記光源の種類毎に前記補正量を格納したテーブルを使用する
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項7】
撮影レンズを介して撮影されるカラー画像に基づき、被写界を照明する光源の種類を判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、前記撮影レンズのズーム位置に応じて前記判定の基準を変化させる
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記判定手段は、前記判定の基準として、色空間における複数の光源色領域の境界線を使用すると共に、前記色空間における前記複数の光源色領域の位置を前記撮影レンズのズーム位置に応じて移動させる
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記判定手段は、前記複数の光源色領域の位置を一様に移動させる
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記判定手段は、前記撮影レンズのズーム位置毎に前記移動量を格納したテーブルを使用する
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項11】
請求項8に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記判定手段は、前記複数の光源色領域の位置を個別に移動させる
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載のホワイトバランス制御装置において、
前記判定手段は、前記撮影レンズのズーム位置毎、かつ前記光源の種類毎に前記移動量を格納したテーブルを使用する
ことを特徴とするホワイトバランス制御装置。
【請求項13】
前記撮影レンズを介して前記カラー画像を撮像する撮像手段と、
請求項1〜請求項12の何れか一項に記載のホワイトバランス制御装置と
を備えることを特徴とする撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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