説明

ホースガイド装置

【課題】ホース及び拘束具とフレームの重なり部分を縮小してこれらの干渉を極力回避するとともに、ホースガイド機能を落とさずにホース及び拘束具のスライド量を抑える。
【解決手段】フレーム11のホース固定面11aに、棒状体から成るホースガイド12をフレーム長さ方向に沿って取付け、ホースHをこのホースガイド12に拘束具16によって止め付けるホースガイド装置であって、ホースガイド12のガイド部15をフレーム正面側から見てくの字形に屈曲させ、その中間点がホース固定面11aの幅外に突出する状態で取付けることにより、ホースHを、フレーム11との重なり部分が最小限に小さくなる状態で配索するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等の建設機械において、油圧配管用等のホースを機械のフレームに固定するホースガイド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のホースガイド装置として、特許文献1に示されたものが公知である。
【0003】
これを図4,5によって説明する。
【0004】
フレーム1のホース固定面1aに、棒状体から成るホースガイド2がフレーム長さ方向に沿って取付けられる。
【0005】
このホースガイド2は、フレーム長さ方向に位置ずれしてホース固定面1aに溶接等によって固定される両側取付脚3,4と、この両側取付脚3,4間に跨る直線状のガイド部5とから成る門形に形成され、ホースH(図では2本示す)がこのホースガイド2によって拘束される。
【0006】
この場合、特許文献1には、図4(a)に示すようにホースHをガイド部5に外側で交差させて拘束具6(図ではリング状のバンドを示す)によって止め付けるパターンと、図4(b)に示すようにホースHをガイド部5の内側に通して拘束するパターンとが示されている。
【0007】
図4(c)及び図5は、特許文献1に記載されていないが可能な配索パターンとして、ホースHをフレーム1に沿って上下方向に配索し、ホース固定面1aに重なる部分で拘束具6によってガイド部5に止め付けるパターンを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭55−24399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記公知技術によると、ホースHをホース固定面1aの幅方向中心で、中心線O(図5参照)に沿ったガイド部5に止め付ける構成であるため、図4(c)及び図5に示すようにホースHをフレーム1に沿ってフレーム長さ方向に配索する場合に、フレーム1の正面側から見てホースHとフレーム1(ホース固定面1a)が重なり合う部分(図5中に斜線を付して示す)の面積がどうしても大きくなる。
【0010】
このため、この大きな重なり部分でホースH及び拘束具6とフレーム1との干渉が起こり易く、ホースH及び拘束具6が磨耗し易いという問題があった。
【0011】
また、ガイド部5は単なる直線状であるため、このガイド部5の全長部分でホースH及び拘束具6がスライドする。このため、ホースH及び拘束具6が磨耗し易いという問題もあった。
【0012】
なお、ガイド部5を短くすれば磨耗を抑えることができるが、こうするとホースHを止め付け得る長さ範囲も縮小してしまうため、ホースガイド機能が低下することとなる。
【0013】
そこで本発明は、ホース及び拘束具とフレームの重なり部分を縮小してこれらの干渉を極力回避することができるとともに、ホースガイド機能を落とさずにホース及び拘束具のスライド量を抑えることができるホースガイド装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、ホースが固定されるフレームのホース固定面に、棒状体から成るホースガイドが、上記フレームの長さ方向に沿って取付けられ、ホースをこのホースガイドに拘束具によって止め付けるホースガイド装置であって、
(A)上記ホースガイドは、上記フレーム長さ方向に位置ずれして上記ホース固定面に固定される両側取付脚と、この両側取付脚間に跨るガイド部とから成り、
(B)このガイド部は、上記ホース固定面を正面から見た場合に、ガイド部長さ方向の中間点を境として両側部分がくの字に連続する屈曲形状とされ、
(C)このガイド部の中間点がホース固定面の幅外に突出する状態で、ホースガイドが上記ホース固定面に取付けられ、
(D)ホースが上記ガイド部の片側部分に上記拘束具によって止めつけられるように構成された
ものである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、上記ガイド部の両側部分が中間点を中心として対称に形成されたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ホースガイドのガイド部をくの字形に屈曲させ、その中間点をホース固定面の幅外に突出させているため、ホースを、フレームを斜めに横切ってフレーム幅外に突出する状態、すなわち、フレームとの重なり部分が最小限に小さくなる状態で配索することができる。
【0017】
これにより、ホース及び拘束具とフレームとの干渉を極力回避し、ホース及び拘束具の磨耗を抑えることができる。
【0018】
また、ホースを拘束具によってガイド部の片側部分に止め付けた状態で、ホース及び拘束具の動きをくの字の屈曲形状によってガイド部の片側部分のみの長さ範囲に規制することができる。しかも、ガイド部の両側部分のいずれにもホースを止め付けることができるため、ホースの止め付け範囲が制限されないという意味でホースガイド機能を確保することができる。
【0019】
すなわち、ホースガイド機能を落とさずにホース及び拘束具のスライド量を抑えてこれらの磨耗を抑えることができる。
【0020】
ここで、ホースガイドのガイド部は、ホースが止め付けられた状態で、その止め付けられた片側部分のみがホースガイド機能を果たすため、反対側部分は、理論的には上記片側部分と異なる角度で傾斜させてもよい。
【0021】
但し、請求項2の発明のようにガイド部の両側部分を中間点を中心として対称に形成すれば、たとえば左右対称に配置された一対の油圧シリンダに対して油圧ホースを左右対称に配索する場合に、ホースガイドを左用と右用とに分けて用意する必要がなく、同一のホースガイドを、図の方向性でいうと上下反転させた状態で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同正面図である。
【図3】同側面図である。
【図4】(a)〜(c)は公知技術を示す斜視図である。
【図5】図4(c)の配索パターンの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図1〜図3によって説明する。
【0024】
実施形態では、公知技術の説明(図4,5)に合わせて、フレーム11のホース固定面11aに、棒状体から成るホースガイド12がフレーム長さ(上下)方向に取付けられ、フレーム1に沿って上下方向に配索されたホースH(図では2本示す)が拘束具16によってホースガイド12に上下二個所で止めつけられた場合を例にとっている。
【0025】
このホースガイド12は、基本的には、従来同様、ホース固定面11aに対して垂直な両側取付脚13,14と、この両側取付脚13,14間に跨るガイド部15とから成る大略門形に形成されている。
【0026】
このホースガイド12の詳しい形状等は次の通りである。
【0027】
(i)ガイド部15は、ホース固定面11aを正面から見た場合に、ガイド部長さ方向の中央を境として両側部分15a,15bが取付脚13,14からフレーム幅方向の外側に向かって、フレーム幅方向中心線Oに対して角度θを持って延びる(くの字に連続する)屈曲形状とされている。
【0028】
(ii)両側部分15a,15bは、中間点を中心として上下対称とされている。
【0029】
(iii)このガイド部15の中間点がホース固定面11aの幅外に突出する状態で、両側取付脚13,14がホース固定面11aに対し、中心線O上でフレーム長さ方向に位置ずれして溶接等によって固定されている。
【0030】
(iv)ホースHがガイド部15の片側部分(図例では下側部分)15aに拘束具16によって止めつけられる。
【0031】
なお、ガイド部15の両側部分15a,15bは、図3に示すように取付脚13,14から中間点に向かってやや先上がりに傾斜させてもよいし、水平としてもよい。
【0032】
また、拘束具16は、図示のように公知技術と同じリング状のバンド(たとえばプラスチック製の締め付けタイプのもの)等を用いることかできる。
【0033】
このように、ホースガイド12のガイド部15をフレーム正面側から見てくの字形に屈曲させ、その中間点をホース固定面11aの幅外に突出させているため、ホースHを、フレーム11を斜めに横切ってフレーム幅外に出る状態、すなわち、ホースHとフレーム11の重なり部分(図2中に斜線を付した部分)が最小限に小さくなる状態で配索することができる。
【0034】
このため、ホースH及び拘束具16とフレーム11との干渉を極力回避し、ホースH及び拘束具16の磨耗を抑えることができる。
【0035】
また、ホースHを拘束具16によってガイド部15の片側部分15aに止め付けた状態で、ホース及び拘束具の動きをくの字の屈曲形状によってガイド部片側部分15aのみの長さ範囲に規制することができる。
【0036】
しかも、ガイド部15の両側部分15a,15bのいずれにもホースHを止め付けることができるため、ホース止め付け範囲が制限されないという意味でホースガイド機能を確保することができる。
【0037】
すなわち、ホースガイド機能を落とさずにホースH及び拘束具16のスライド量を制限してこれらの磨耗を抑えることができる。
【0038】
また、実施形態では、ガイド部15の両側部分15a,15bを中間点を中心として対称に形成しているため、たとえば左右対称に配置された一対の油圧シリンダに対して油圧ホースを左右対称に配索する場合に、ホースガイド12を左用と右用とに分けて用意する必要がなく、同一のホースガイド12を、図の方向性でいうと上下反転させた状態で用いることができる。
【0039】
ところで、上記実施形態では、上下方向に延びるフレーム11に、ホースHを上下方向にガイドするホースガイド12を取付ける場合を例示したが、本発明は左右方向または斜め方向に延びるフレームにホースガイド12をフレームの長さ方向に取付ける場合にももちろん適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
11 フレーム
11a ホース固定面
12 ホースガイド
13,14 両側取付脚
15 ガイド部
15a,15b ガイド部の両側部分
16 拘束具
H ホース
θ フレーム幅方向中心線に対するガイド両側部分の傾斜角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースが固定されるフレームのホース固定面に、棒状体から成るホースガイドが、上記フレームの長さ方向に沿って取付けられ、ホースをこのホースガイドに拘束具によって止め付けるホースガイド装置であって、
(A)上記ホースガイドは、上記フレーム長さ方向に位置ずれして上記ホース固定面に固定される両側取付脚と、この両側取付脚間に跨るガイド部とから成り、
(B)このガイド部は、上記ホース固定面を正面から見た場合に、ガイド部長さ方向の中間点を境として両側部分がくの字に連続する屈曲形状とされ、
(C)このガイド部の中間点がホース固定面の幅外に突出する状態で、ホースガイドが上記ホース固定面に取付けられ、
(D)ホースが上記ガイド部の片側部分に上記拘束具によって止めつけられるように構成された
ことを特徴とするホースガイド装置。
【請求項2】
上記ガイド部の両側部分が中間点を中心として対称に形成されたことを特徴とする請求項1記載のホースガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−255265(P2010−255265A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105823(P2009−105823)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】