説明

ボイラ

【課題】ボイラにおいて、ボイラの運転状態に拘わらず燃焼バーナの安定した着火を可能とすることでボイラの安定した運転を可能とする。
【解決手段】中空形状をなして鉛直方向に火炉11を設置し、この火炉11に水平方向及び鉛直方向に沿って配置されて微粉炭と空気との混合気を吹き込むことで所定の形態の火炎を形成可能な複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有する燃焼装置12を設けると共に、隣接する火炎を形成する燃焼バーナ21,22に異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置として、微粉炭機31,32、微粉炭搬送管26,27、ダンパ51,52を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉炭などの微粉燃料を用い、炉壁に設けられた多数の燃焼バーナによりこの微粉燃料を燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の石炭焚きボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に燃焼バーナが周方向に沿って4個配設され、且つ、この4個のセットが上下方向に5段にわたって配置されている。この燃焼バーナは、微粉炭機(ミル)により石炭が粉砕された微粉炭(燃料)が搬送空気により搬送された混合気を火炉内で燃焼可能となっている。そして、火炉は、上部に煙道が連結され、この煙道に排ガスの熱を回収するための過熱器、再熱器、節炭器等が設けられており、火炉での燃焼により発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0003】
このような石炭焚きボイラとしては、例えば、下記特許文献1、2に記載されている。この特許文献1に記載された石炭焚ボイラの燃焼装置は、微粉炭濃度の高い濃混合気を火炉内に投入するバーナを火炉壁の中央部に配置し、微粉炭濃度の低い淡混合気を火炉内に投入するバーナを火炉壁のコーナ部に配置するものである。また、特許文献2に記載された褐炭燃焼ボイラは、燃料供給ダクトを複数の分岐ダクトに分岐し、各分岐ダクトの先端にバーナを設け、上流側の燃料供給ダクト内に燃料濃度偏差を任意に調整可能な旋回羽根を設け、火炉のより上流側に設けられるバーナほど燃料濃度を高めるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−084003号公報
【特許文献2】特開2004−301415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
石炭焚きボイラは、微粉炭機により石炭を粉砕した後、この微粉炭を搬送空気により各燃焼バーナに供給し、この燃焼バーナが微粉炭と空気との混合気を火炉内に投入して燃焼させている。この場合、燃焼バーナは、4個が1つのセットとして上下に5段にわたって配置されており、ボイラ運転状態に応じて制御している。例えば、ボイラの高負荷運転では、全ての燃焼バーナを使用する一方、低負荷運転では、上2段燃焼バーナだけを使用すると共に、微粉炭濃度を低下させている。
【0006】
ところが、低負荷運転では、燃焼バーナに使用する混合気における微粉炭濃度が低いことから、燃焼バーナの火炎(着火)が不安定になってしまう。即ち、微粉炭濃度が低いと、燃焼バーナによる火炎が短くなり、且つ、隣接する火炎との距離も長くなり、熱輻射が小さくなる。また、周囲の空気の熱容量が大きくなり、昇温しにくくなる。その結果、燃焼バーナの着火が不安定となり、形成される火炎も不安定となってしまう。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、ボイラの運転状態に拘わらず燃焼バーナの安定した着火を可能とすることでボイラの安定した運転を可能とするボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉と、該火炉壁に水平方向及び鉛直方向に沿って配置されて微粉燃料と空気との混合気を吹き込むことで所定の形態の火炎を形成可能な複数の燃焼バーナと、隣接する火炎を形成する前記燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給する微粉燃料供給装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、異なる微粉燃料量が供給された各燃焼バーナは、隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、ボイラの低負荷運転などボイラの運転状態に拘わらず、燃焼バーナの安定した着火を可能とすることで、ボイラの安定した運転を可能とすることができる。
【0010】
本発明のボイラでは、前記火炉は、四角筒形状をなし、火炎が水平旋回するように4つの角部に水平方向に沿って前記燃焼バーナを配置し、前記微粉燃料供給装置は、水平方向に隣接する前記燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給することを特徴としている。
【0011】
従って、燃焼バーナを火炉の各角部に配置し、水平方向に隣接する各燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給することで、隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、燃焼バーナの安定した着火を可能とすることができる。
【0012】
本発明のボイラでは、前記火炉は、四角筒形状をなし、火炎が水平旋回するように4つの角部に水平方向に沿って前記燃焼バーナを配置すると共に、4つの角部に鉛直方向に沿って前記燃焼バーナを配置し、前記微粉燃料供給装置は、鉛直方向に隣接する前記燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給することを特徴としている。
【0013】
従って、燃焼バーナを火炉の各角部に鉛直方向に沿って配置し、鉛直方向に隣接する各燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給することで、隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、燃焼バーナの安定した着火を可能とすることができる。
【0014】
本発明のボイラでは、前記微粉燃料供給装置は、ボイラ運転状態に応じて設定された微粉燃料量に対して、隣接する前記燃焼バーナに供給する微粉燃料量の割合を異ならせることを特徴としている。
【0015】
従って、容易に隣接する火炎の大きさを相違させることができる。
【0016】
本発明のボイラでは、前記微粉燃料供給装置は、微粉燃料粉砕機から空気により前記複数の燃焼バーナに微粉燃料を搬送する複数の微粉燃料搬送ラインと、該複数の微粉燃料搬送ラインに設けられて微粉燃料と空気との混合気量を調整する混合気量調整装置とを有することを特徴としている。
【0017】
従って、混合気量調整装置により燃焼バーナに供給する微粉燃料と空気との混合気量を調整することで、容易に隣接する火炎の大きさを相違させることができる。
【0018】
本発明のボイラでは、前記微粉燃料供給装置は、微粉燃料搬送ラインにおけるコーナ部と、該コーナ部より上流側から分岐した分岐ラインとを有することを特徴としている。
【0019】
従って、コーナ部に流れる混合気量に対して、その手前の分岐ラインに流れる混合気量が減少することから、容易に各燃焼バーナに供給する微粉燃料量を調整することができる。
【0020】
本発明のボイラでは、前記微粉燃料供給装置は、微粉燃料搬送ラインに設けられる障害物と、微粉燃料搬送ラインにおける前記障害物の下流側に対向する位置から分岐した分岐ラインと、微粉燃料搬送ラインにおける前記障害物の下流側に対向しない位置に連結される連結ラインとを有することを特徴としている。
【0021】
従って、微粉燃料搬送ラインを流れる微粉燃料は、障害物に衝突すると障害物の下流側に対向しない連結ラインに流れることとなり、分岐ラインに流れる微粉燃料量に対して連結ラインに流れる微粉燃料量を多くすることができ、容易に各燃焼バーナに供給する微粉燃料量を調整することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のボイラによれば、隣接する火炎を形成する複数の燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給する微粉燃料供給装置を設けるので、ボイラの運転状態に拘わらず燃焼バーナの安定した着火を可能とすることでボイラの安定した運転を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る石炭焚きボイラを表す概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1の石炭焚きボイラにおける第1段燃焼バーナの平面図である。
【図3】図3は、実施例1の石炭焚きボイラにおける第2段燃焼バーナの平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係る石炭焚きボイラにおける第1段燃焼バーナの平面図である。
【図5】図5は、実施例2の石炭焚きボイラにおける第2段燃焼バーナの平面図である。
【図6】図6は、本発明の実施例3に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナの平面図である。
【図7】図7は、実施例3の段燃焼バーナに使用されるセパレータの概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施例4に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナに使用されるセパレータの概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施例5に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナの平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例6に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るボイラの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1に係る石炭焚きボイラを表す概略構成図、図2は、実施例1の石炭焚きボイラにおける第1段燃焼バーナの平面図、図3は、実施例1の石炭焚きボイラにおける第2段燃焼バーナの平面図である。
【0026】
実施例1の石炭焚きボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能な微粉炭焚きボイラである。
【0027】
この実施例1において、図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
【0028】
燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施例にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って5個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。
【0029】
そして、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管(微粉炭供給ライン)26,27,28,29,30を介して微粉炭機31,32,33,34,35に連結されている。この微粉炭機(微粉燃料粉砕機)31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0030】
火炉11は、上部に煙道40が連結されており、この煙道40に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための、過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0031】
従って、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、搬送空気と共に微粉炭を火炉11に吹き込むことで着火する。この火炉11では、搬送空気および二次空気と微粉炭が燃焼して、火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガスが火炉11内を上昇し、煙道40に排出される。
【0032】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器45,46,47によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器41,42に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器41,42で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器43,44に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0033】
その後、煙道40の節炭器45,46,47を通過した排ガスは、図示しない脱硝装置にて、触媒によりNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。
【0034】
このように構成された実施例1の石炭焚きボイラ10において、燃焼装置12は、隣接する火炎を形成する燃焼バーナ21,22,23,24,25に異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置が設けられている。具体的に、火炉11は、火炎が水平旋回するように4つの角部に水平方向に沿って燃焼バーナ21,22,23,24,25を配置し、微粉燃料供給装置は、水平方向に隣接する燃焼バーナ21,22,23,24,25に異なる微粉炭量を供給する。
【0035】
この場合、微粉燃料供給装置は、ボイラ運転状態に応じて設定された微粉炭量に対して、隣接する燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する微粉炭量の割合を異ならせる。そして、微粉燃料供給装置は、石炭を粉砕する微粉炭機31,32,33,34,35から空気により複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25に微粉炭を搬送する複数の微粉炭搬送管26,27,28,29,30と、複数の微粉炭搬送管26,27,28,29,30に設けられて微粉炭機と空気との混合気量を調整する混合気量調整装置とを有している。
【0036】
即ち、実施例1の石炭焚きボイラ10は、発電プラントに最大量の蒸気を供給する高負荷運転時、全ての燃焼バーナ21,22,23,24,25を作動させる。一方、石炭焚きボイラ10は、発電プラントに最小量の蒸気を供給する低負荷運転時、上部にある2段の燃焼バーナ21,22のみを作動させると共に、各燃焼バーナ21,22に供給する微粉炭量を、例えば、50%に低減する。
【0037】
第1段燃焼バーナ21は、図2に示すように、火炉11に設けられる燃焼装置12の最上段に位置し、4つの角部に設けられる燃焼バーナ21a,21b,21c,21dから構成されている。各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、火炉11内に微粉炭と空気との混合気を吹き込んで着火することで、火炎F11,F12,F13,F14を形成し、図2にて反時計周り方向に旋回する火炎旋回流を形成することができる。
【0038】
微粉炭搬送管26は、基端部が微粉炭機31に連結される一方、先端部は4つの分岐管26a,26b,26c,26dに分岐し、各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dに連結されている。そして、各分岐管26a,26b,26c,26dは、上述した微粉炭供給装置及び混合気量調整装置を構成するダンパ51(51a,51b,51c,51d)が装着されている。このダンパ51a,51b,51c,51dは、図示しない制御装置がその開度を調整することで、燃焼バーナ21a,21b,21c,21dに供給する混合気量、つまり、微粉炭供給量を調整することができる。
【0039】
また、第2段燃焼バーナ22は、図3に示すように、火炉11に設けられる燃焼装置12の第1段燃焼バーナ21の下段に位置し、4つの角部に設けられる燃焼バーナ22a,22b,22c,22dから構成されている。各燃焼バーナ22a,22b,22c,22dは、火炉11内に微粉炭と空気との混合気を吹き込んで着火することで、火炎F21,F22,F23,F24を形成し、図3にて反時計周り方向に旋回する火炎旋回流を形成することができる。
【0040】
微粉炭搬送管27は、基端部が微粉炭機32に連結される一方、先端部は4つの分岐管27a,27b,27c,27dに分岐し、各燃焼バーナ22a,22b,22c,22dに連結されている。そして、各分岐管27a,27b,27c,27dは、上述した微粉炭供給装置及び混合気量調整装置を構成するダンパ52(52a,52b,52c,52d)が装着されている。このダンパ52a,52b,52c,52dは、図示しない制御装置がその開度を調整することで、燃焼バーナ22a,22b,22c,22dに供給する混合気量、つまり、微粉炭供給量を調整することができる。
【0041】
なお、図示しないが、火炉11に設けられる燃焼装置12の第2段燃焼バーナ22の下段に位置する第3段燃焼バーナ23、第4段燃焼バーナ24、第5段燃焼バーナ25も同様の構成となっている。
【0042】
従って、石炭焚きボイラ10を低負荷運転するとき、上述したように、上部にある2段の燃焼バーナ21,22のみを作動させると共に、微粉炭量を減少させる。この微粉炭量の減少は、微粉炭機31,32に投入する石炭量を減少させるものであるが、搬送空気量は一定とする。
【0043】
このとき、制御装置は、第1段燃焼バーナ21にて、図2に示すように、分岐管26a,26cのダンパ51a,51cを全開とする一方、分岐管26b,26dのダンパ51b,51dの開度を、例えば、半開とする。すると、燃焼バーナ21a,21cに供給する混合気量(微粉炭供給量)に対して、燃焼バーナ21b,21dに供給する混合気量(微粉炭供給量)を減少させる。具体的に、微粉炭機31が微粉炭搬送管26に供給する微粉炭量を100%とするとき、従来は、全ての燃焼バーナ21a,21b,21c,21dに均等割合である25%の微粉炭量を供給している。しかし、本実施例では、例えば、燃焼バーナ21a,21cに30%の微粉炭量を供給し、燃焼バーナ21b,21dに20%の微粉炭量を供給する。
【0044】
すると、燃焼バーナ21a,21cは、長い火炎F11,F13を形成し、燃焼バーナ21b,21dは、短い火炎F12,F14を形成することとなる。この場合、多量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21a,21cは、長くて安定した火炎F11,F13を形成することとなり、少量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21b,21dが形成した短い不安定な火炎F12,F14を補うこととなり、第1段燃焼バーナ21は、全体として安定した火炎の旋回流を形成することができる。
【0045】
一方、制御装置は、第2段燃焼バーナ22にて、図3に示すように、分岐管27a,27cのダンパ52a,52cを全開とする一方、分岐管27b,27dのダンパ52b,52dの開度を、例えば、半開とする。すると、燃焼バーナ22a,22cに供給する混合気量(微粉炭供給量)に対して、燃焼バーナ22b,22dに供給する混合気量(微粉炭供給量)を減少させる。具体的に、微粉炭機32が微粉炭搬送管27に供給する微粉炭量を100%とするとき、従来は、全ての燃焼バーナ22a,22b,22c,22dに均等割合である25%の微粉炭量を供給している。しかし、本実施例では、例えば、燃焼バーナ22a,22cに30%の微粉炭量を供給し、燃焼バーナ22b,22dに20%の微粉炭量を供給する。
【0046】
すると、燃焼バーナ22a,22cは、長い火炎F21,F23を形成し、燃焼バーナ22b,22dは、短い火炎F22,F24を形成することとなる。この場合、多量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ22a,22cは、長くて安定した火炎F21,F23を形成することとなり、少量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ22b,22dが形成した短い不安定な火炎F22,F24を補うこととなり、第2段燃焼バーナ22は、全体として安定した火炎の旋回流を形成することができる。
【0047】
即ち、実施例1では、上部に位置する2段の燃焼バーナ21,22にて、それぞれ水平方向に隣接する燃焼バーナ21a,21b,21c,21d、燃焼バーナ22a,22b,22c,22d同士で隣接する火炎の大きさが異なるように、微粉炭の供給量(供給割合)を異ならせている。
【0048】
このように実施例1の石炭焚きボイラにあっては、中空形状をなして鉛直方向に火炉11を設置し、この火炉11に水平方向及び鉛直方向に沿って配置されて微粉炭と空気との混合気を吹き込むことで所定の形態の火炎を形成可能な複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有する燃焼装置12を設けると共に、隣接する火炎を形成する燃焼バーナ21,22に異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置として、微粉炭機31,32、微粉炭搬送管26,27、ダンパ51,52を設けている。
【0049】
従って、異なる微粉炭量が供給された各燃焼バーナ21,22は、隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、ボイラ10の低負荷運転などボイラ10の運転状態に拘わらず、燃焼バーナ21,22の安定した着火を可能とすることで、ボイラ10の安定した運転を可能とすることができる。
【0050】
また、実施例1の石炭焚きボイラでは、火炉11を四角筒形状とし、火炎が水平旋回するように4つの角部に水平方向に沿って燃焼バーナ21,22を配置し、ダンパ51,52は、水平方向に隣接する燃焼バーナ21,22に異なる微粉炭量を供給する。従って、燃焼バーナ21,22を火炉11の各角部に配置し、水平方向に隣接する各燃焼バーナ21,22に異なる微粉炭量を供給することで、隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、燃焼バーナ21,22の安定した着火を可能とすることができる。
【0051】
また、実施例1の石炭焚きボイラでは、ダンパ51,52は、ボイラ10の運転状態に応じて設定された微粉炭量に対して、隣接する燃焼バーナ21,22に供給する微粉炭量の割合を異ならせるようにしている。従って、容易に隣接する火炎の大きさを相違させることができる。
【0052】
また、実施例1の石炭焚きボイラでは、石炭を粉砕する微粉炭機31,32から空気により複数の燃焼バーナ21,22に微粉炭を搬送する複数の微粉炭搬送管26,27と、複数の微粉炭搬送管26,27に設けられて微粉炭機と空気との混合気量を調整するダンパ51,52とを設けている。従って、ダンパ51,52により燃焼バーナ21,22に供給する微粉炭機と空気との混合気量を調整することで、容易に隣接する火炎の大きさを相違させることができる。
【実施例2】
【0053】
図4は、本発明の実施例2に係る石炭焚きボイラにおける第1段燃焼バーナの平面図、図5は、実施例2の石炭焚きボイラにおける第2段燃焼バーナの平面図である。なお、本実施例の石炭焚きボイラの基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、上述した実施例1と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
実施例2の石炭焚きボイラの構成は、実施例1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0055】
この実施例2の石炭焚きボイラでは、図1に示すように、低負荷運転時に、実施例1と同様に、上部にある2段の燃焼バーナ21,22のみを作動させると共に、微粉炭量を減少させる。この微粉炭量の減少は、微粉炭機31,32に投入する石炭量を減少させるものであるが、搬送空気量は一定とする。
【0056】
このとき、制御装置は、第1段燃焼バーナ21にて、図4に示すように、分岐管26a,26cのダンパ51a,51cを全開とする一方、分岐管26b,26dのダンパ51b,51dの開度を、例えば、半開とする。すると、燃焼バーナ21a,21cに供給する混合気量(微粉炭供給量)に対して、燃焼バーナ21b,21dに供給する混合気量(微粉炭供給量)を減少させる。具体的に、微粉炭機31が微粉炭搬送管26に供給する微粉炭量を100%とするとき、例えば、燃焼バーナ21a,21cに30%の微粉炭量を供給し、燃焼バーナ21b,21dに20%の微粉炭量を供給する。
【0057】
すると、燃焼バーナ21a,21cは、長い火炎F11,F13を形成し、燃焼バーナ21b,21dは、短い火炎F12,F14を形成することとなる。この場合、多量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21a,21cは、長くて安定した火炎F11,F13を形成することとなり、少量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21b,21dが形成した短い不安定な火炎F12,F14を補うこととなり、第1段燃焼バーナ21は、全体として安定した火炎の旋回流を形成することができる。
【0058】
一方、制御装置は、第2段燃焼バーナ22にて、図5に示すように、分岐管27a,27cのダンパ52a,52cを半開とする一方、分岐管27b,27dのダンパ52b,52dの開度を全開とする。すると、燃焼バーナ22b,22dに供給する混合気量(微粉炭供給量)に対して、燃焼バーナ22a,22cに供給する混合気量(微粉炭供給量)を減少させる。具体的に、微粉炭機32が微粉炭搬送管27に供給する微粉炭量を100%とするとき、燃焼バーナ22b,22dに30%の微粉炭量を供給し、燃焼バーナ22a,22cに20%の微粉炭量を供給する。
【0059】
すると、燃焼バーナ22a,22cは、短い火炎F21,F23を形成し、燃焼バーナ22b,22dは、長い火炎F22,F24を形成することとなる。この場合、多量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ22b,22dは、長くて安定した火炎F22,F24を形成することとなり、少量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ22a,22cが形成した短い不安定な火炎F21,F23を補うこととなり、第2段燃焼バーナ22は、全体として安定した火炎の旋回流を形成することができる。
【0060】
また、第1段燃焼バーナ21と第2段燃焼バーナ22とを鉛直方向にみたところ、この鉛直方向に隣接する燃焼バーナ21a,22a、燃焼バーナ21b,22b、燃焼バーナ21c,22c、燃焼バーナ21d,22dは、それぞれその火炎F11,F21、火炎F12,F22、火炎F13,F23、火炎F14,F24同士が長短関係となっている。そのため、この場合であっても、多量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21a,21c,22b,22dは、長くて安定した火炎F11,F13,F22,F24を形成することとなり、少量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21b,21d,22a,22cが形成した短い不安定な火炎F12,F14,F21,F23を補うこととなり、各段燃焼バーナ21,22は、全体として安定した火炎の旋回流を形成することができる。
【0061】
即ち、実施例2では、上部に位置する2段の燃焼バーナ21,22にて、それぞれ水平方向及び鉛直方向に隣接する燃焼バーナ21a,21b,21c,21d、燃焼バーナ22a,22b,22c,22d同士で隣接する火炎の大きさが異なるように、微粉炭の供給量(供給割合)を異ならせている。
【0062】
このように実施例2の石炭焚きボイラにあっては、水平方向及び鉛直方向に隣接する火炎を形成する燃焼バーナ21,22に異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置として、微粉炭機31,32、微粉炭搬送管26,27、ダンパ51,52を設けている。
【0063】
従って、異なる微粉炭量が供給された各燃焼バーナ21,22は、水平方向及び鉛直方向に隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、ボイラ10の低負荷運転などボイラ10の運転状態に拘わらず、燃焼バーナ21,22の安定した着火を可能とすることで、ボイラ10の安定した運転を可能とすることができる。
【実施例3】
【0064】
図6は、本発明の実施例3に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナの平面図、図7は、実施例3の燃焼バーナに使用されるセパレータの概略図である。なお、本実施例の石炭焚きボイラの基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、上述した実施例1と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
実施例3の石炭焚きボイラにおいて、図1及び図6に示すように、最上段に位置する第1燃焼バーナ21は、4つの角部に設けられる燃焼バーナ21a,21b,21c,21dから構成されている。微粉炭搬送管61,62は、各基端部が微粉炭機31に連結される一方、先端部はそれぞれ2つの分岐管(分岐ライン)61a,61b,62a,62bに分岐し、各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dに連結されている。そして、微粉炭搬送管61と各分岐管61a,61bとの分岐部に、微粉燃料供給装置及び混合気量調整装置を構成するセパレータ63が装着されている。また、微粉炭搬送管62と各分岐管62a,62bとの分岐部に、微粉燃料供給装置及び混合気量調整装置を構成するセパレータ64が装着されている。
【0066】
このセパレータ63,64は、ほぼ同様の構成となっていることから、一方のセパレータ63についてのみ詳細に説明する。セパレータ63は、微粉炭搬送管61から通路面積が小さくなる絞り部63aと、各分岐管61a,61bにつながるコーナ部63bとを有している。即ち、微粉炭搬送管61は、途中で絞り部63aが連結され、この絞り部63aは、ほぼ直角(90度)に屈曲するコーナ部63bに連結されている。そして、このコーナ部63bに一方の分岐管61aが連結される一方、コーナ部63bより微粉炭の流動方向の上流側からほぼ直角(90度)に分岐する他方の分岐管61bが連結されている。
【0067】
なお、第2段燃焼バーナも同様の構成となっている。また、第3段、第4段、第5段燃焼バーナの配置は同様であるが、セパレータが装着されていない。
【0068】
従って、微粉炭機31の微粉炭と空気との混合気が微粉炭搬送管61,62に供給されると、この混合気がセパレータ63,64に至ると、このセパレータ63,64により一方の分岐管61a,62aへの混合気量(微粉炭供給量)に対して、他方の分岐管61b,62bへの混合気量(微粉炭供給量)が減少する。具体的に、微粉炭と空気の混合気は、微粉炭搬送管61,62を流動するときに所定の慣性力を有していることから、コーナ部63bに連続する分岐管61a,62aへの混合気量が多くなり、コーナ部63bの手前で分岐する分岐管61b,62bへの混合気量が少なくなる。すると、例えば、微粉炭機31が微粉炭搬送管61,62に供給する微粉炭量を100%とするとき、燃焼バーナ21a,21cに30%の微粉炭量が供給され、燃焼バーナ21b,21dに20%の微粉炭量が供給される。
【0069】
そのため、燃焼バーナ21a,21cは、長い火炎F11,F13を形成し、燃焼バーナ21b,21dは、短い火炎F12,F14を形成することとなる。この場合、多量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21a,21cは、長くて安定した火炎F11,F13を形成することとなり、少量の微粉炭量を含む混合気を吹き込む燃焼バーナ21b,21dが形成した短い不安定な火炎F12,F14を補うこととなり、第1段燃焼バーナ21は、全体として安定した火炎の旋回流を形成することができる。
【0070】
このように実施例3の石炭焚きボイラにあっては、水平方向に隣接する火炎を形成する燃焼バーナ21に異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置として、微粉炭機31,32、微粉炭搬送管61,62、セパレータ63,64を設け、このセパレータ63,64を、微粉炭搬送管61に連続するコーナ部63bと、このコーナ部63bに連続する分岐管61a、コーナ部63bの手前で分岐する分岐管61bとで構成している。
【0071】
従って、異なる微粉炭量が供給された第1燃焼バーナ21は、水平方向に隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、ボイラ10の低負荷運転などボイラ10の運転状態に拘わらず、燃焼バーナ21の安定した着火を可能とすることで、ボイラ10の安定した運転を可能とすることができる。また、微粉燃料供給装置として、セパレータ63,64を設けたことで、制御などを不要として構造の簡素化、低コスト化を可能とすることができる。
【実施例4】
【0072】
図8は、本発明の実施例4に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナに使用されるセパレータの概略図である。
【0073】
実施例4は、上述した実施例3における微粉燃料供給装置の改良である。即ち、微粉炭搬送管71は、基端部が微粉炭機(図示略)に連結される一方、先端部はそれぞれ2つの分岐管(分岐ライン)71a,71bに分岐し、それぞれ燃焼バーナ(図示略)に連結されている。そして、この微粉炭搬送管71と各分岐管71a,71bとの分岐部に、微粉燃料供給装置を構成するセパレータ72が装着されている。
【0074】
このセパレータ72は、微粉炭搬送管71内の径方向中心位置に設けられる障害物73を有している。即ち、微粉炭搬送管71は、途中でほぼ直角(90度)に屈曲しており、この屈曲部(コーナ部)の手前に障害物73が複数のステイ74により支持されている。そして、微粉炭搬送管71における障害物73の下流側に対向する位置から分岐して分岐管(分岐ライン)71bが設けられると共に、微粉炭搬送管71における障害物73の下流側に対向しない位置に分岐管(連結ライン)71aが設けられている。この場合、微粉炭搬送管71から分岐管71aに至っては、同じ通路面積で屈曲しており、分岐管71bは、基端部がこの微粉炭搬送管71の屈曲部からその中心に挿通して設けられている。
【0075】
従って、微粉炭と空気との混合気が微粉炭搬送管71に供給されると、この混合気がセパレータ72に至ると、このセパレータ72により一方の分岐管71aへの混合気量(微粉炭供給量)に対して、他方の分岐管71bへの混合気量(微粉炭供給量)が減少する。具体的に、微粉炭と空気の混合気は、微粉炭搬送管71を通過するときに、微粉炭が障害物に衝突することで、その外側に移行することから、分岐管71bに入りにくくなる。そのため、分岐管71aに流れる混合気の微粉炭濃度が高くなり、分岐管71bへ流れる混合気の微粉炭濃度が低くなる。すると、例えば、微粉炭機が微粉炭搬送管に供給する微粉炭量を100%とするとき、分岐管71aに連結される燃焼バーナに30%の微粉炭量が供給され、分岐管71bに連結される燃焼バーナに20%の微粉炭量が供給される。
【0076】
そのため、隣接する燃焼バーナの火炎の長さが異なることとなり、全体として安定した火炎の旋回流を形成することができる。
【0077】
このように実施例4の石炭焚きボイラにあっては、水平方向に隣接する火炎を形成する燃焼バーナに異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置として、微粉炭搬送管71にセパレータ72を設け、このセパレータ72を、微粉炭搬送管71に設けられる障害物73と、微粉炭搬送管71における障害物73の下流側に対向する位置から分岐した分岐管71bと、微粉炭搬送管71における障害物73の下流側に対向しない位置に連結される分岐管71aとで構成している。
【0078】
従って、異なる微粉炭量が供給された燃焼バーナは、水平方向に隣接する火炎の大きさが相違することとなり、小さい火炎は大きい火炎により失火することが抑制され、ボイラの低負荷運転などボイラの運転状態に拘わらず、燃焼バーナの安定した着火を可能とすることで、ボイラの安定した運転を可能とすることができる。また、微粉燃料供給装置として、セパレータ72を設けたことで、制御などを不要として構造の簡素化、低コスト化を可能とすることができる。
【実施例5】
【0079】
図9は、本発明の実施例5に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナの平面図である。
【0080】
実施例5において、図9に示すように、石炭焚きボイラは、火炉81と燃焼装置としての燃焼バーナ82(82a,82b,82c,82d,82e,82f,82g,82h)を有している。火炉81は、矩形の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉81を構成する火炉壁の下部に燃焼バーナ82が設けられている。
【0081】
本実施例にて、この燃焼バーナ82a,82b,82c,82d,82e,82f,82g,82hは、周方向に沿って8個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って複数セット、つまり、複数段配置されている。
【0082】
そして、各燃焼バーナ82a,82b,82c,82d,82e,82f,82g,82hは、図示しない微粉炭供給管を介して微粉炭機に連結されており、隣接する火炎F31,F32,F33,F34,F35,F36,F37,F38を形成する燃焼バーナ82a,82b,82c,82d,82e,82f,82g,82hに異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置が設けられている。なお、この微粉燃料供給装置は、図示しないが、上述した各実施例で説明した形式のいずれかを適用することができる。
【0083】
このように実施例5の石炭焚きボイラにあっては、火炉81を矩形の中空形状とし、この火炉81に複数の燃焼バーナ82(82a,82b,82c,82d,82e,82f,82g,82h)を等間隔に配置しているものであっても、隣接する火炎を形成する燃焼バーナ82に異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置を設けることで、ボイラの運転状態に拘わらず燃焼バーナ82の安定した着火を可能とすることでボイラの安定した運転を可能とすることができる。
【実施例6】
【0084】
図10は、本発明の実施例6に係る石炭焚きボイラにおける燃焼バーナの平面図である。
【0085】
実施例6において、図10に示すように、石炭焚きボイラは、火炉91と燃焼装置としての燃焼バーナ92(92a,92b,92c,92d,92e,92f,92g,92h)を有している。火炉91は、四角形の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉91を構成する火炉壁の下部に燃焼バーナ92が設けられている。
【0086】
本実施例にて、この燃焼バーナ92a,92b,92c,92d,92e,92f,92g,92hは、対向する一対の火炉壁に対向すると共に、それぞれ4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って複数セット、つまり、複数段配置されている。
【0087】
そして、各燃焼バーナ92a,92b,92c,92d,92e,92f,92g,92hは、図示しない微粉炭供給管を介して微粉炭機に連結されており、隣接する火炎F41,F42,F43,F44,F45,F46,F47,F48を形成する燃焼バーナ92a,92b,92c,92d,92e,92f,92g,92hに異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置が設けられている。なお、この微粉燃料供給装置は、図示しないが、上述した各実施例で説明した形式のいずれかを適用することができる。
【0088】
このように実施例6の石炭焚きボイラにあっては、火炉91を四角形の中空形状とし、複数の燃焼バーナ92(92a,92b,92c,92d,92e,92f,92g,92h)を対向して配置しているものであっても、隣接する火炎を形成する燃焼バーナ92に異なる微粉炭量を供給する微粉燃料供給装置を設けることで、ボイラの運転状態に拘わらず燃焼バーナ92の安定した着火を可能とすることでボイラの安定した運転を可能とすることができる。
【0089】
なお、本発明のボイラは、火炉の形式や形状、燃焼バーナの配置や段数などが上述した各実施例に限定されるものではない。また、燃料を微粉炭と空気の混合気としたが、これに限定されるものではなく、微粉燃料であればよく、例えば、微粉炭に代えてバイオマスや炭化物などを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係るボイラは、隣接する火炎を形成する燃焼バーナに異なる微粉炭量を供給することで、ボイラの運転状態に拘わらず燃焼バーナの安定した着火を可能とすることでボイラの安定した運転を可能とするものであり、いずれの微粉燃料用のボイラにも適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 石炭焚きボイラ
11,81,91 火炉
12 燃焼装置
21,22,23,24,25,82,92 燃焼バーナ
26,27,28,29,30 微粉炭搬送管(微粉炭搬送ライン)
31,32,33,34,35 微粉炭機
40 煙道
51,51a,51b,51c,51d,52,52a,52b,52c,52d ダンパ(微粉燃料供給装置、混合気量調整装置)
63,64,72 セパレータ(微粉燃料供給装置、混合気量調整装置)
63b コーナ部
73 障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉と、
該火炉壁に水平方向及び鉛直方向に沿って配置されて微粉燃料と空気との混合気を吹き込むことで所定の形態の火炎を形成可能な複数の燃焼バーナと、
隣接する火炎を形成する前記燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給する微粉燃料供給装置と、
を備えることを特徴とするボイラ。
【請求項2】
前記火炉は、四角筒形状をなし、火炎が水平旋回するように4つの角部に水平方向に沿って前記燃焼バーナを配置し、前記微粉燃料供給装置は、水平方向に隣接する前記燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給することを特徴とする請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記火炉は、四角筒形状をなし、火炎が水平旋回するように4つの角部に水平方向に沿って前記燃焼バーナを配置すると共に、4つの角部に鉛直方向に沿って前記燃焼バーナを配置し、前記微粉燃料供給装置は、鉛直方向に隣接する前記燃焼バーナに異なる微粉燃料量を供給することを特徴とする請求項1または2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記微粉燃料供給装置は、ボイラ運転状態に応じて設定された微粉燃料量に対して、隣接する前記燃焼バーナに供給する微粉燃料量の割合を異ならせることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のボイラ。
【請求項5】
前記微粉燃料供給装置は、微粉燃料粉砕機から空気により前記複数の燃焼バーナに微粉燃料を搬送する複数の微粉燃料搬送ラインと、該複数の微粉燃料搬送ラインに設けられて微粉燃料と空気との混合気量を調整する混合気量調整装置とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のボイラ。
【請求項6】
前記微粉燃料供給装置は、微粉燃料搬送ラインにおけるコーナ部と、該コーナ部より上流側から分岐した分岐ラインとを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のボイラ。
【請求項7】
前記微粉燃料供給装置は、微粉燃料搬送ラインに設けられる障害物と、微粉燃料搬送ラインにおける前記障害物の下流側に対向する位置から分岐した分岐ラインと、微粉燃料搬送ラインにおける前記障害物の下流側に対向しない位置に連結される連結ラインとを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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