説明

ボトム衣類

【課題】簡易な手順で男性器全体を出し入れすることが可能なボトム衣類を提供する。
【解決手段】男性用パンツ1は、着用時に肌側に配置される肌側フロント部30と、肌側フロント部30の外側に重ねて配置される外側フロント部20と、肌側・外側フロント部20,30の左右側端22,32,23,33に縫着される第1・第2本体部40,50と、外側フロント部20および第1・第2本体部40,50の上端21,41,51に縫着されるウエスト部10とを備える。肌側フロント部30の上端31は、外側フロント部20およびウエスト部10に縫着されておらず、肌側フロント部30は、肌側フロント部30の上端31とウエスト部10とを繋ぐ伸縮性のある吊り下げ部36,37によって吊り下げられる。外側フロント部20の下端24は、肌側フロント部30に縫着されておらず、肌側フロント部30と外側フロント部20の下端との隙間は、男性器を出し入れ可能な開き部75を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトム衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
着用者が、脱がずに小用を足すことができるように、フロント部において2枚の布を重ね合わせた重ね合わせ部を備え、当該重ね合わせ部における側端の開き部から着用者の陰茎を出し入れ可能なボトム衣類がある。この開き部を使用して小用を足す場合には、外側フロント布と、これに重なり合った肌側フロント布とを引っ張って開き部を開口させて陰茎を取り出す必要があり手間である場合が多い。このような問題を解消するものとして、フロント部の一部に横方向のスリット部分と当該スリット部分を覆う前垂れ布とを備えた男性用パンツが開示されている(特許文献1)。このボトム衣類によれば、外側フロント布および肌側フロント布の両方を引っ張ることなく開き部を開口して、陰茎を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−256978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のボトム衣類においては、開口を大きくできないのでフロント布によって陰茎の下部にある尿道が圧迫され、十分に排尿することができないおそれがあり、残尿によって下着やアウターを汚してしまう場合がある。また、加齢による機能の衰え等が原因で排尿後に慢性的に尿道内に尿が残る症状を抱える者は、手を使い陰嚢の下から搾り出すように排尿することが好ましい。しかしながら、上記従来の男性用パンツでは、陰茎および陰嚢を含む男性器全体を出し入れすることができないので上記搾り出しをすることができない。このため、パンツを膝上まで下げる必要があるが、小便器の前に立った状態でパンツを膝上まで下げて上記搾り出しをすることには抵抗があると思われる。また、開口部を大きくした場合には、陰茎および陰嚢の安定感が低下し、開口部が元の状態に戻りにくくなるという問題が生じる。
【0005】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、簡易な手順で男性器全体を出し入れすることが可能なボトム衣類を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のボトム衣類は、着用時に肌側に配置される肌側フロント部と、当該肌側フロント部の外側に重ねて配置される外側フロント部と、当該肌側フロント部および当該外側フロント部の左右側端に縫着される本体部と、当該外側フロント部および当該本体部の上端に縫着されるウエスト部とを備えたボトム衣類であって、肌側フロント部の上端は、外側フロント部およびウエスト部に縫着されておらず、肌側フロント部は、当該肌側フロント部の上端とウエスト部とを繋ぐ伸縮性のある吊り下げ部によって吊り下げられており、外側フロント部の下端は、肌側フロント部に縫着されておらず、当該肌側フロント部と外側フロント部の下端との隙間が、男性器を出し入れすることができる開き部を形成することを特徴とする。
【0007】
このボトム衣類によれば、肌側フロント部の上端が外側フロント部およびウエスト部に縫着されておらず実質的に自由端であり、肌側フロント部が伸縮性のある吊り下げ部によって吊り下げられているので、肌側フロント部の上端は、外側フロント部の下端の位置よりも下方にまで容易に大きく押し下げられる。これにより、肌側フロント部と外側フロント部との間に上下方向の空間が大きく確保される。さらに、肌側フロント部の上端が押し下げられても、男性器を保持した状態を維持するので、着用者は、男性器を手で支えることなく、肌側フロント部の上端を押し下げるだけで開き部から男性器を出すことができ、その状態を維持することができる。また、肌側フロント部は、伸縮性のある吊り下げ部によってウエスト部に吊り下げられているので、ウエスト部を引き上げるだけで肌側フロント部が元の位置に戻り、男性器を元の位置に戻すことができる。この結果、簡易な手順で男性器全体を出し入れすることが可能となる。
【0008】
本発明のボトム衣類は、肌側フロント部の上端、吊り下げ部、ウエスト部、および外側フロント部と本体部との縫着部によって囲まれる部分には、当該吊り下げ部よりも伸長性が高い布が設けることができる。
【0009】
このボトム衣類によれば、肌側フロント部の上端、吊り下げ部、ウエスト部、および外側フロント部と本体部との縫着部によって囲まれる部分に設けられる布は、吊り下げ部よりも伸長性が高いので、肌側フロント部の動きを阻害することはない。この囲まれる部分に布を設けることにより、着用時または脱衣時における足や男性器の引っかかりを低減することが可能となる。
【0010】
本発明のボトム衣類は、着用時に肌側に配置される肌側フロント部と、当該肌側フロント部の外側に重ねて配置される外側フロント部と、当該肌側フロント部および当該外側フロント部の左右側端に縫着される本体部と、当該外側フロント部および当該本体部の上端に縫着されるウエスト部とを備えたボトム衣類であって、肌側フロント部の上端は、外側フロント部およびウエスト部に縫着されておらず、肌側フロント部は、当該肌側フロント部の上端と、外側フロント部と本体部との縫着部と、を繋ぐ伸縮性のある吊り下げ部によって吊り下げられており、外側フロント部の下端は、肌側フロント部に縫着されておらず、当該肌側フロント部と当該外側フロント部の下端との隙間が、男性器を出し入れすることのできる開き部を形成することを特徴とする。
【0011】
このボトム衣類によれば、肌側フロント部の上端が外側フロント部およびウエスト部に縫着されておらず実質的に自由端であり、肌側フロント部が伸縮性のある吊り下げ部によって吊り下げられているので、肌側フロント部の上端は、外側フロント部の下端の位置よりも下方にまで容易に大きく押し下げられる。これにより、肌側フロント部と外側フロント部との間に上下方向の空間が大きく確保される。さらに、肌側フロント部の上端が押し下げられても、男性器を保持した状態を維持するので、着用者は、男性器を手で支えることなく、肌側フロント部の上端を押し下げるだけで開き部から男性器を出すことができ、その状態を維持することができる。また、肌側フロント部は、伸縮性のある吊り下げ部によって、ウエスト部に一体に縫着された外側フロント部と本体部との縫着部に吊り下げられているので、ウエスト部を引き上げるだけで肌側フロント部が元の位置に戻り、男性器を元の位置に戻すことができる。この結果、簡易な手順で男性器全体を出し入れすることが可能となる。
【0012】
本発明のボトム衣類は、肌側フロント部の上端、吊り下げ部、および縫着部によって囲まれる部分には、当該吊り下げ部よりも伸長性が高い布が設けることができる。
【0013】
このボトム衣類によれば、肌側フロント部の上端、吊り下げ部、および外側フロント部と本体部との縫着部によって囲まれる部分に設けられる布は、吊り下げ部よりも伸長性が高いので、肌側フロント部の動きを阻害することはない。この囲まれる部分に布を設けることにより、着用時または脱衣時における足や男性器の引っかかりを低減することが可能となる。
【0014】
本発明のボトム衣類は、吊り下げ部は、肌側フロント部の中心線から離れる方向に向かって、当該肌側フロント部の上端からウエスト部または縫着部まで延びているものとすることができる。
【0015】
このボトム衣類によれば、肌側フロント部の上端を押し下げた際の、吊り下げ部とウエスト部と間の空間を広く確保することができるので、吊り下げ部が男性器を出し入れする際の妨げとなることを回避することができる。
【0016】
本発明のボトム衣類は、外側フロント部の下端は、下方向に凸となるように延在しているものとすることができる。
【0017】
このボトム衣類によれば、着用状態においても重なり量を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
このボトム衣類によれば、簡易な手順で男性器全体を出し入れすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るボトム衣類の一例としての男性用パンツを前面側から示す正面図である。
【図2】図1の男性用パンツを裏返しにしたときの前面側を示す正面図である。
【図3】図1の男性用パンツを背面側から示す正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るボトム衣類の一例としての男性用パンツを前面側から示す正面図である。
【図5】図4の男性用パンツを裏返しにしたときの前面側を示す正面図である。
【図6】図4の男性用パンツを背面側から示す正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るボトム衣類の一例としての男性用パンツを裏返しにしたときの前面側を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。
【0021】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るボトム衣類の一例としての男性用パンツを前面側から示す正面図、図2は図1の男性用パンツを裏返しにしたときの前面側を示す正面図、図3は図1の男性用パンツを背面側から示す背面図である。なお、第1実施形態において説明のために使用する「前面」とは、着用状態において着用者の胴体の前中心線L1を中心とする左脇線L2から右脇線L3までの範囲をいい、「背面」とは、着用状態において着用者の胴体の後中心線L4を中心とする左脇線L2から右脇線L3までの範囲をいう。また、第1実施形態における「左右方向」は、図1の前面側からみた左右方向として説明する。後述する第2実施形態についても同様とする。
【0022】
図1および図2に示すパンツ(ボトム衣類)1は、男性器を出し入れ可能な開き部75が前面に設けられたボクサータイプの男性用パンツであり、ウエスト部10と、外側フロント部20と、肌側フロント部30と、第1本体部40と、第2本体部50と、クロッチ部60とを備えている。
【0023】
ウエスト部10は、着用状態において着用者のウエストラインに位置する帯状の部材であり、外側フロント部20、第1本体部40、および第2本体部50の上端21,41,51に沿って延びている。ウエスト部10は、外側フロント部20の上端21、第1本体部40の上端41、および第2本体部50の上端51に縫着されている。ウエスト部10に用いる部材としては、ゴム等を含む伸縮性のあるテープ等を例示することができる。
【0024】
外側フロント部20および肌側フロント部30は、着用状態において着用者の下腹部から股部を覆う部分である。外側フロント部20と肌側フロント部30とは、前面の一部において互いに重なる重なり部80を有している。外側フロント部20および肌側フロント部30に用いる素材としては、伸縮性を有するベア天竺、ツーウェイトリコット、ツーウェイラッセル等を使用することが好ましい。
【0025】
外側フロント部20は、図1に示すように、重なり部80において肌側フロント部30の外側に配置されている。外側フロント部20の上端21は、ウエスト部10に縫着されている。外側フロント部20の左側端22は第1本体部40の前側端42に縫着され、当該左側端22における下側の一部(後述する縫着部71bに相当)は、肌側に配置されている肌側フロント部30の左側端32とも縫着されている。外側フロント部20の右側端23は、第2本体部50の前側端52に縫着され、当該右側端23における下側の一部(後述する縫着部72bに相当)は、肌側に配置されている肌側フロント部30の右側端33とも縫着されている。
【0026】
外側フロント部20の下端24は、下方向に凸となるように左右方向に延在しており、着用者の男性器を出し入れすることが可能な開き部75が形成されている。外側フロント部20の下端24には、外側フロント部20の左右方向において外側フロント部20に用いる素材と同程度以上の伸縮性を有するテープ状部材24aが、縫着、接着等により設けられている。
【0027】
肌側フロント部30は、図2に示すように、重なり部80において外側フロント部20の内側に配置されている。肌側フロント部30の上端31は、上方向に凸となるように形成されており、ウエスト部10や外側フロント部20に縫着されない実質的な自由端となっている。肌側フロント部30の上端31には、肌側フロント部30の左右方向において肌側フロント部30に用いる素材と同程度以上の伸縮性を有するテープ状部材31aが、縫着、接着等により設けられている。
【0028】
肌側フロント部30の左側端32は第1本体部40の前側端42に縫着され、当該左側端32における上側の一部(後述する縫着部71bに相当)は、外側に配置されている外側フロント部20の左側端22とも縫着されている。また、肌側フロント部30の右側端33は、第2本体部50の前側端52に縫着され、当該右側端33における上側の一部(後述する縫着部72bに相当)は、外側に配置されている外側フロント部20の右側端23とも縫着されている。
【0029】
肌側フロント部30の下端34は、端部を折り返して縫着されている裾部34aと、クロッチ部60に縫着されている股部34bとを有している。
【0030】
肌側フロント部30は、上端31とウエスト部10とを繋ぐ伸縮性のある2本の吊り下げ部36,37によってウエスト部10に吊り下げられている。一方の吊り下げ部36は、肌側フロント部30の上端31と吊り下げ部36との縫着位置36aから、ウエスト部10と吊り下げ部36との縫着位置36bに向かって左上方向に延びている。すなわち、この吊り下げ部36は、前中心線(肌側フロント部の中心線)L1から離れる方向に向かって、縫着位置36aから縫着位置36bまで伸びている。また、他方の吊り下げ部37は、肌側フロント部30の上端31と吊り下げ部37との縫着位置37aから、ウエスト部10と吊り下げ部37との縫着位置37bに向かって右上方向に延びている。すなわち、この吊り下げ部37も、吊り下げ部36と同様に、前中心線L1から離れる方向に向かって、縫着位置37aから縫着位置37bまで伸びている。吊り下げ部36,37を形成する素材としては、長手方向に伸縮性を有するテープ状部材等を用いることができる。
【0031】
外側フロント部20および肌側フロント部30と、第1本体部40とは、図1および図2に示すように、接ぎ部71を形成している。接ぎ部71は、ウエスト部10側から順番に、外側フロント部20と第1本体部40との縫着部71a、外側フロント部20および肌側フロント部30と、第1本体部40との縫着部71b、肌側フロント部30と第1本体部40との縫着部71cを有しており、ウエスト部10から肌側フロント部30および第1本体部40の下端34、44に向けて延在している。
【0032】
外側フロント部20および肌側フロント部30と、第2本体部50とは、図1および図2に示すように、接ぎ部72を形成している。接ぎ部72は、ウエスト部10側から順番に、外側フロント部20と第2本体部50との縫着部72a、外側フロント部20および肌側フロント部30と、第2本体部50との縫着部72b、肌側フロント部30と第2本体部50との縫着部72cを有しており、ウエスト部10から肌側フロント部30および第2本体部50の下端34、54に向けて延在している。
【0033】
第1本体部40および第2本体部50は、図1〜図3に示すように、着用状態において着用者の腹部、臀部および大腿部を覆う部分である。第1本体部40は、前側端42から左脇線L2を超えて背面側の後中心線L4に沿って形成される後側端43まで延在している。第2本体部50は、前側端52から右脇線L3を超えて背面側の後中心線L4に沿って形成される後側端53まで延在している。第1本体部40の後側端43と、第2本体部50の後側端53とは、後中心線L4に沿って互いに縫着されている。
【0034】
第1本体部40の下端44は、端部を折り返して縫着されている裾部44aと、クロッチ部60に縫着されている股部44bとを有している。第2本体部50の下端54も、第1本体部40と同様に、端部を折り返して縫着されている裾部54aと、クロッチ部60に縫着されている股部54bとを有している。第1本体部40および第2本体部50に用いる素材としては、伸縮性を有するベア天竺、ツーウェイトリコット、ツーウェイラッセル等を使用することが好ましい。
【0035】
外側フロント部20の下端24と肌側フロント部30との間には、図1に示すように、着用者の男性器を出し入れ可能にする開き部75が形成されている。開き部75の左右方向における長さは、渡り寸法(パンツ1を平らな所に置いた状態で、前中心線L1に対し直交する左右方向において、開き部75の中央を起点に輪切りにした周囲寸法)の1/5以上、より好ましくは1/4以上であるとよい。開き部75は、少なくとも一部が肌側フロント部30と縫着されていない下端24に形成されているので、着用者は、この外側フロント部20の下端24と肌側フロント部30との布間から男性器を出し入れすることができる。
【0036】
クロッチ部60は、着用状態において着用者の股部を覆う部分である。クロッチ部60は、肌側フロント部30の下端34の一部である股部34bと、第1本体部40の下端44の一部である股部44bと、第2本体部50の下端54の一部である股部54bとに縫着されている。クロッチ部60に用いる素材としては、伸縮性を有するベア天竺、ツーウェイトリコット、ツーウェイラッセル等を使用することが好ましい。
【0037】
以下、第1実施形態のパンツ1の特徴的な構成について詳細に説明する。
【0038】
肌側フロント部30の上端31は、図2に示すように、ウエスト部10および外側フロント部20に縫着されないで実質的な自由端となっており、肌側フロント部30は、伸縮性のある吊り下げ部36,37によって上端31の一部36a,37aとウエスト部10の一部36b,37bとがつながれ、ウエスト部10に吊り下げられた構成となっている。吊り下げ部36,37が長手方向に伸びやすく構成されているので、肌側フロント部30の上端31の位置を、外側フロント部20の下端24の位置よりも大きく下方に移動させることができる。これにより、外側フロント部20と肌側フロント部30との間に上下方向の空間を大きく確保することができ、着用者は陰嚢を含めた男性器全体を開き部75から出し入れすることが容易となる。
【0039】
肌側フロント部30は、左右側端32,33が第1・第2本体部40,50の前側端42,52にそれぞれ縫着されているので、上述したように上端31の位置を大きく下方に移動させた場合であっても、クロッチ部60に近い下方の部分において男性器を保持する状態が維持される。これにより、着用者は、男性器を手で支持しなくても、開き部75から男性器を出した状態を維持することができる。
【0040】
肌側フロント部30は、伸縮性のある吊り下げ部36,37によってウエスト部10と一体となるよう縫着されている。このため、ウエスト部10を引き上げると肌側フロント部30も連動して引き上げられる。これにより、着用者は、肌側フロント部30を、ウエスト部10を引き上げるという操作だけで、押し下げる前の位置にまで戻すことができる。この結果、簡易な手順で男性器を元の位置に戻すことができる。
【0041】
肌側フロント部30は、伸縮性を有する吊り下げ部36,37によってウエスト部10に吊り下げられる構成となっているので、吊り下げ部を介さずに単に上端が他の部分(例えば、ウエスト部や外側フロント部)に縫着されている構成のものと比べて下方に伸びやすい。このため、通常の着用状態において、肌側フロント部30は、自然な状態で男性器を保持することが可能となる。また、肌側フロント部30の上端31を押し下げて開き部75から男性器を出した状態においても、肌側フロント部30は、尿道を圧迫しない程度の自然な状態で男性器を支持することができる。さらに、吊り下げ部36,37および肌側フロント部30の形状を前中心線L1に対して左右対称とすることにより、より自然な状態で男性器を保持あるいは維持することができる。
【0042】
外側フロント部20の下端24は、パンツ1を平らな所に置いた状態(未着用の状態)で、下方向に凸(ウエスト部10とは反対側に凸)となるように形成されている。上記パンツ1を着用した場合には、未着用のときと比べて、外側フロント部20は上方に移動し、肌側フロント部30は下方に移動するので、外側フロント部20と肌側フロント部30との重なり量(上下方向における重なり長さ)が小さくなる。本実施形態においては、外側フロント部20の下端24が下方向に凸に形成されているので、外側フロント部20と肌側フロント部30とが上述するように互いに移動したとしても、重なり量を確保することができる。
【0043】
次に、上記のように構成された男性用パンツ1の着用者が、男性器を出し入れする際の作用効果について図1および図2を用いて説明する。
【0044】
開き部75を使って男性器を出し入れする際、着用者は、まず、図1に示す外側フロント部20の下端24と肌側フロント部30との布間(開き部75)からに手を入れて、外側フロント部20の内側に配置された肌側フロント部30の上端31の一部分31bを指で掴んだり、引っ掛けたりする。
【0045】
次に、着用者は、この上端の一部分31bを下方向に引っ張って、肌側フロント部30の上端31を外側フロント部20の下端24の位置よりも下の位置まで押し下げる。肌側フロント部30の上端31は、ウエスト部10および外側フロント部20に縫着されていない実質的な自由端であり、肌側フロント部30は、伸縮性のある吊り下げ部36,37によって吊り下げられているので、着用者はこの上端31を外側フロント部20の下端24の位置よりも下の位置にまで容易に大きく押し下げることができる。着用者は、肌側フロント部30の上端31を押し下げて、外側フロント部20と肌側フロント部30との間に大きく形成された上下方向の空間から男性器の出し入れをする。このように、着用者は、大きく形成された空間から男性器を出し入れするので、陰嚢を含めた男性器全体を容易に出し入れすることができる。また、この構成よれば、小用時における陰茎の下部の尿道に対する圧迫も低減できる。
【0046】
特に、着用者が加齢による機能の衰え等が原因で排尿後に慢性的に尿が残る症状を抱える者(以下、「上記症状を有する者」と示す)である場合、男性器全体を開き部75から容易に出せるので、尿道に残った尿を陰嚢の下から手で搾り出すようして排尿することが容易にできるようになる。このため、上記症状を有する者は、パンツを膝上まで下げることなく、開き部75から男性器全体を出して、小便器の前に立った状態で上記搾り出しをすることができる。
【0047】
また、着用者が、肌側フロント部30の上端31を下方に押し下げたときであっても、肌側フロント部30の下方部分は安定した状態が維持されるので、着用者は男性器を手で支えなくても、開き部75から男性器を出した状態を維持することができる。このことは、特に上記症状を有する者が、両手を使用して尿道に残った尿を陰嚢の下から搾り出すことが容易に可能となる点において効果を発揮する。
【0048】
排尿後においては、着用者は、肌側フロント部30の上端31の一部分31bから指を離し、今度は、ウエスト部10の一部10aを指で掴んで上方に引き上げる。肌側フロント部30は、伸縮性のある吊り下げ部36,37によってウエスト部10と一体となるよう縫着されているので、ウエスト部10に引き上げに伴い肌側フロント部30も引き上げられて元の位置に戻る。これにより、簡易な手順で男性器を元の位置に収めることが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図4〜図6を用いて説明する。図4は本発明の第2実施形態に係るボトム衣類の一例としての男性用パンツを前面側から示す正面図、図5は図4の男性用パンツを裏返しにしたときの前面側を示す正面図である。図6は図4の男性用パンツを背面側から示す背面図である。
【0050】
第2実施形態の男性用パンツ101(ボトム衣類)が上述の男性用パンツ1と異なる点は、図4〜図6に示すように、外側フロント部120の下端124の形状と、肌側フロント部130の形状とである。ここでは、上記第1実施形態に記載の男性用パンツ1と同一又は同等のウエスト部10、第1本体部40、第2本体部50、およびクロッチ部60については、同じ参照番号を付してその説明を省略し、当該男性用パンツ1と異なる構成について説明する。
【0051】
外側フロント部120および肌側フロント部130は、着用状態において着用者の下腹部から股部を覆う部分である。外側フロント部120と肌側フロント部130とは、前面の一部において互いに重なる重なり部180を有している。
【0052】
外側フロント部120は、図4に示すように、重なり部180において肌側フロント部130の外側に配置されている。外側フロント部120に用いる素材としては、伸縮性を有するベア天竺、ツーウェイトリコット、ツーウェイラッセル等を使用することが好ましい。外側フロント部120の上端121は、ウエスト部10に縫着されている。外側フロント部120の左側端122は第1本体部40の前側端42に縫着され、当該左側端122における下側の一部(後述する縫着部171bに相当)は、肌側に配置されている肌側フロント部130の左側端132とも縫着されている。外側フロント部120の右側端123は、第2本体部50の前側端52に縫着され、当該右側端123における下側の一部(後述する縫着部172bに相当)は、肌側に配置されている肌側フロント部130の右側端133とも縫着されている。
【0053】
外側フロント部120の下端124は、上方向に凸となるように左右方向に延在している。外側フロント部120の下端124には、外側フロント部120の左右方向において外側フロント部120に用いる素材と同程度以上の伸縮性を有するテープ状部材124aが、縫着、接着等により設けられている。
【0054】
肌側フロント部130は、図5に示すように、重なり部180において外側フロント部120の内側に配置されている。肌側フロント部130の上端131は、上方向に凸となるように形成されており、ウエスト部10および外側フロント部120に縫着されない実質的な自由端となっている。肌側フロント部130は、2枚の生地による二重構造とされており、その上端131は、2枚の生地を袋縫いすることにより処理されている。
【0055】
肌側フロント部130の左側端132は第1本体部40の前側端42に縫着され、当該左側端132における上側の一部(後述する縫着部171bに相当)は、外側に配置されている外側フロント部120の左側端122とも縫着されている。また、肌側フロント部130の右側端133は、第2本体部50の前側端52に縫着され、当該右側端133における上側の一部(後述する縫着部172bに相当)は、外側に配置されている外側フロント部120の右側端123とも縫着されている。
【0056】
肌側フロント部130の下端134は、端部を折り返して縫着されている裾部134aと、クロッチ部60に縫着されている股部134bとを有している。
【0057】
肌側フロント部130は、上端131と後述する接ぎ部171,172とを繋ぐ2本の吊り下げ部136,137によって吊り下げられている。吊り下げ部136,137は、肌側フロント部130から一連する部分として形成されている。
【0058】
一方の吊り下げ部136は、肌側フロント部130の上端131の左方から、接ぎ部171に向かって左上方向に延びている。すなわち、この吊り下げ部136は、前中心線L1から離れる方向に向かって、肌側フロント部130の上端131から縫着位置136bまで伸びている。また、他方の吊り下げ部137は、肌側フロント部130の上端131の右方から、接ぎ部172に向かって右上方向に延びている。すなわち、この吊り下げ部137も、吊り下げ部136と同様に、前中心線L1から離れる方向に向かって、肌側フロント部130の上端131から縫着位置137bまで伸びている。吊り下げ部136、137の長手方向における端部は、接ぎ部171、172に縫着され、側部は袋縫いすることにより処理されている。
【0059】
外側フロント部120および肌側フロント部130と、第1本体部40とは、図4および図5に示すように、接ぎ部171を形成している。接ぎ部171は、ウエスト部10側から順番に、外側フロント部120と第1本体部40との縫着部171a、外側フロント部120および肌側フロント部130と、第1本体部40との縫着部171b、肌側フロント部130と第1本体部40との縫着部171cを有しており、ウエスト部10から肌側フロント部130および第1本体部40の下端134、44に向けて延在している。
【0060】
外側フロント部120および肌側フロント部130と、第2本体部50とは、図4および図5に示すように、接ぎ部172を形成している。接ぎ部172は、ウエスト部10側から順番に、外側フロント部120と第2本体部50との縫着部172a、外側フロント部120および肌側フロント部130と、第2本体部50との縫着部172b、肌側フロント部130と第2本体部50との縫着部172cを有しており、ウエスト部10から肌側フロント部130および第2本体部50の下端134、54に向けて延在している。
【0061】
外側フロント部120の下端124と肌側フロント部130との間には、着用者の男性器を出し入れすることが可能な開き部175が形成されている。開き部175の左右方向における長さは、渡り寸法(パンツ101を平らな所に置いた状態で、前中心線L1に対し直交する左右方向において、開き部175の中央を起点に輪切りにした周囲寸法)の1/5以上より好ましくは1/4以上であるとよい。少なくとも一部が肌側フロント部130に縫着されていない下端124と肌側フロント部120との間の隙間が、開き部175を形成するので、着用者は、外側フロント部120と肌側フロント部130との布間から男性器を出し入れすることができる。
【0062】
以下、第2実施形態のパンツ101の特徴的な構成について詳細に説明する。
【0063】
肌側フロント部130の上端131は、図5に示すように、ウエスト部10および外側フロント部120に縫着されない実質的な自由端となっており、肌側フロント部130は、伸縮性のある吊り下げ部136,137によって上端131の一部136a,137aと接ぎ部171,172の一部136b、137bとがそれぞれつながれ、接ぎ部171,172に吊り下げられている。吊り下げ部136,137は伸縮性のある素材によって構成されているので、第1実施形態のパンツ1と同様に、肌側フロント部130の上端131の位置を、外側フロント部120の下端124の位置よりも大きく下方に移動させることが可能となっている。これにより、外側フロント部120と肌側フロント部130との間に上下方向の空間を大きく確保することができ、着用者は陰嚢を含めた男性器全体を開き部175から出し入れすることが容易となる。
【0064】
また、肌側フロント部130は、第1実施形態のパンツ1と同様に、左右側端132,133が第1・第2本体部40,50の前側端42,52に縫着されている。このため、ので、上述したように肌側フロント部130の上端131の位置を大きく下方に移動させた場合であっても、クロッチ部60に近い下方の部分において男性器を保持する状態が維持される。これにより、着用者は、男性器を手で支持しなくても、開き部175から男性器を出した状態を維持することができる。
【0065】
また、肌側フロント部130は、伸縮性のある吊り下げ部136によって、外側フロント部120と第1本体部40とが縫着される接ぎ部171の一部171aに縫着されている。そして、外側フロント部120および第1本体部40のそれぞれの上端121,41は、ウエスト部10に縫着されている。このため、ウエスト部10に引き上げると肌側フロント部130も連動して引き上げられる。これにより、着用者は、肌側フロント部130を、ウエスト部10を引き上げるという操作だけで、押し下げる前の位置にまで戻すことができる。この結果、簡易な手順で男性器を元の位置に戻すことができる。
【0066】
また、肌側フロント部130は、第1実施形態のパンツ1と同様に、伸縮性を有する吊り下げ部136,137によって接ぎ部171,172に吊り下げられる構成となっている。これにより、通常の着用状態においても、また、肌側フロント部130の上端131を押し下げて開き部175から男性器を出した状態においても、第1の実施形態のパンツ1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
次に、上記のように構成された男性用パンツ101の着用者が、男性器を出し入れする際の作用効果について図4および図5を用いて説明する。
【0068】
開き部175を使って男性器を出し入れする際、着用者は、まず、図4に示す外側フロント部120の下端124と肌側フロント部130との布間から手を入れて、外側フロント部120の内側に配置された肌側フロント部130の上端131の一部分131bを指で掴んだり、引っ掛けたりする。
【0069】
次に、着用者は、この上端の一部分131bを下方向に引っ張って、肌側フロント部130の上端131を外側フロント部120の下端124の位置よりも下の位置まで押し下げる。肌側フロント部130の上端131は、ウエスト部10および外側フロント部120に縫着されていない実質的な自由端であり、肌側フロント部130は、伸縮性のある吊り下げ部136,137によって吊り下げられているので、着用者はこの上端131を外側フロント部120の下端124の位置よりも下の位置にまで容易に大きく押し下げることができる。着用者は、肌側フロント部130の上端131を押し下げて、外側フロント部120と肌側フロント部130との間に大きく形成された上下方向の空間から男性器の出し入れをする。このように、着用者は、大きく形成された空間から男性器を出し入れするので、陰嚢を含めた男性器全体を容易に出し入れすることができる。また、着用者が加齢による機能の衰え等が原因で排尿後に慢性的に尿が残る症状を抱える者である場合に享受できる効果も、第1実施形態のパンツ1と同様である。
【0070】
排尿後においては、着用者は、肌側フロント部130の上端131の一部分131bから指を離し、今度は、ウエスト部10の一部10aを指で掴んで上方に引き上げる。肌側フロント部130は、上述したように、外側フロント部120または第1・第2本体部40,50を介してウエスト部10に縫着されているので、ウエスト部10に引き上げに伴い肌側フロント部130も引き上げられて元の位置に戻る。これにより、簡易な手順で男性器を元の位置に収めることが可能となる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
上記第1実施形態のパンツ1では、肌側フロント部30が吊り下げ部36,37によって、ウエスト部10に吊り下げられている例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、接ぎ部71,72に吊り下げられる構成であってもよい。また、上記第2実施形態のパンツ101では、肌側フロント部130が吊り下げ部136,137によって、接ぎ部171,172に吊り下げられている例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、ウエスト部10に吊り下げられる構成であってもよい。
【0073】
上記第1実施形態のパンツ1では、図2に示すように、肌側フロント部30の上端31、吊り下げ部36、ウエスト部10、および接ぎ部71の一部である縫着部71aによって囲まれる部分には、他の部材が設けられておらず、図2の正面側からみて開口している構成を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、上述の開口している部分(斜線部)に、吊り下げ部36よりも伸長性が高い布等の部材38が縫着、接着等により設けられていてもよい。この部材38は、吊り下げ部36よりも伸長性が高いので、肌側フロント部30の動きを阻害することはなく、着用時または脱衣時において足や男性器が上記開口部分に引っかかることを低減することができる。
【0074】
また、図7に示すように、肌側フロント部30の上端31、吊り下げ部37、ウエスト部10、および接ぎ部72の一部である縫着部72aによって囲まれる部分も上記と同様の構成とすることができる。また、図示はしないが、上記第2実施形態のパンツ101についても同様、肌側フロント部130の上端131、吊り下げ部136、および接ぎ部171の一部である縫着部171aによって囲まれる部分、肌側フロント部130の上端131、吊り下げ部137、および接ぎ部172の一部である縫着部172aによって囲まれる部分も上記と同様の構成とすることができる。
【0075】
上記実施形態のパンツ1,101においては、吊り下げ部36,37,136,137として、テープ状部材、または、肌側フロント部と一体に伸縮性生地によって形成される例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、吊り下げ部は、肌側フロント部よりも伸縮性の高い布によって形成することもできる。また、第2実施形態のように吊り下げ部を肌側フロント部からの一連の部分として形成する場合において、吊り下げ部の長手方向に沿った上端側を折り返して、当該折り返し部に伸縮性のある部材を格納する構成としてもよい。
【0076】
また、上記実施形態のパンツ1,101におけるウエスト部10は、図示はしないが、伸縮性のある上辺布で構成されるようなものであってもよい。また、図示はしないが、袋状にした生地とする構成、袋状にした生地の中にゴムを入れる構成、端始末不要な生地を用いる構成、としてもよい。また、幅広ウエストテープとする構成、ニッパーのような保護ベルトを付帯する構成、腹巻機能の付いたウエスト部とする構成等のハイウエストタイプとしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態のパンツ1,101における裾部は、端部を折り返して縫着したが、折り返し部に伸縮性のある部材を格納する構成としてもよく、端始末不要な生地を用いてもよい。
【0078】
また、上記実施形態のパンツ1、101では、外側フロント部20,120および肌側フロント部30,130の左右側端に配置される部分として、第1本体部40および第2本体部50の2枚の布を配置する例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、図示はしないが、第1本体部40および第2本体部50に該当する部分を1枚の布として構成してもよいし、第1本体部40と第2本体部50との間に臀部を覆う部分である第3本体部を配置してもよい。
【0079】
上記第1実施形態のパンツ1では、パンツ1を平らな所に置いた状態において、外側フロント部20の下端24が下方向に凸(ウエスト部10と反対側に凸)となるように左右方向に延在している例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、上方向に凸(ウエスト部10側に凸)となるように延在していてもよいし、直線状に延在していてもよい。また、上記第2実施形態のパンツ101では、パンツ101を平らな所に置いた状態において、外側フロント部120の下端124が上方向に凸(ウエスト部10と反対側に凸)となるように左右方向に延在している例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、下方向に凸(ウエスト部10側に凸)となるように延在していてもよいし、直線状に延在していてもよい。
【0080】
また、上記実施形態のパンツ1,101では、外側フロント部20,120の下端24,124に沿って伸縮性のあるテープ状部材24a,124aが設けられる例を挙げて説明したが、テープ状部材24a,124aを設けずに下端24,124を形成してもよいし、端部を折り返して縫着することにより下端24,124を形成したりしてもよい。また、肌側フロント部30,130の上端31,131についても同様の構成とすることができる。
【0081】
また、上記実施形態は、本願発明をボクサータイプの男性用パンツに適用した例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、ブリーフ、左右の脚部の長さを更に下方に伸ばしたロングタイプのパンツ、タイツ、ステテコ、トランクス等に適用することもできる。
【0082】
さらに、本願発明は、日常履きのパンツ等に適用できるだけではなく、スポーツ時のコンディションを整えるようなボトム、スタイルサイエンス技術を取り入れたボトム、一般的な補整機能を有するボトム等に適用することができ、また、各ボトムのショートタイプ、ロングタイプにも適用することもできる。この場合には、上記実施形態における外側フロント部20,120、肌側フロント部30,130、第1本体部40、第2本体部50、およびクロッチ部60に該当する部分の素材として、例えば、ツーウェイラッセル、ツーウェイトリコット、ダブルラッセル等を用いた経編素材を用いることが好ましい。
【0083】
日常履きのパンツ等に使用される素材よりもパワーの強い、ツーウェイラッセル等を用いた経編素材によって構成されるボトムに本願発明を適用することで、開き部を使用した男性器全体の出し入れが更に簡易となる。また、小用時における陰茎の下部の尿道に対する圧迫を低減できるという効果も、更に高いものになると考えられる。
【符号の説明】
【0084】
1,101…男性用パンツ(ボトム衣類)、10…ウエスト部、20,120…外側フロント部、21,121…外側フロント部の上端、22,122…左側端、23,123…右側端、24,124…外側フロント部の下端、24a,124a…テープ状部材、30,130…肌側フロント部、31,131…肌側フロント部の上端、31a…テープ状部材、32,132…左側端、33,133…右側端、34,134…肌側フロント部の下端、34a,134a…裾部、34b,134b…股部、36,37,136,137…吊り下げ部、40…第1本体部、41…第1本体部の上端、42…第1本体部の前側端、43…第1本体部の後側端、44…第1本体部の下端、44a…裾部、44b…股部、50…第2本体部、51…第2本体部の上端、52…第2本体部の前側端、53…第2本体部の後側端、54…第2本体部の下端、54a…裾部、54b…股部、60…クロッチ部、71,72…接ぎ部、71a,71b,71c,72a,72b,72c…縫着部、75,175…開き部、80,180…重なり部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用時に肌側に配置される肌側フロント部と、当該肌側フロント部の外側に重ねて配置される外側フロント部と、当該肌側フロント部および当該外側フロント部の左右側端に縫着される本体部と、当該外側フロント部および当該本体部の上端に縫着されるウエスト部とを備えたボトム衣類であって、
前記肌側フロント部の上端は、前記外側フロント部および前記ウエスト部に縫着されておらず、前記肌側フロント部は、当該肌側フロント部の上端と当該ウエスト部とを繋ぐ伸縮性のある吊り下げ部によって吊り下げられており、
前記外側フロント部の下端は、前記肌側フロント部に縫着されておらず、当該肌側フロント部と当該外側フロント部の下端との隙間が、男性器を出し入れすることができる開き部を形成する、
ことを特徴とするボトム衣類。
【請求項2】
前記肌側フロント部の上端、前記吊り下げ部、前記ウエスト部、および前記外側フロント部と前記本体部との縫着部によって囲まれる部分には、当該吊り下げ部よりも伸長性が高い布が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のボトム衣類。
【請求項3】
着用時に肌側に配置される肌側フロント部と、当該肌側フロント部の外側に重ねて配置される外側フロント部と、当該肌側フロント部および当該外側フロント部の左右側端に縫着される本体部と、当該外側フロント部および当該本体部の上端に縫着されるウエスト部とを備えたボトム衣類であって、
前記肌側フロント部の上端は、前記外側フロント部および前記ウエスト部に縫着されておらず、前記肌側フロント部は、当該肌側フロント部の上端と、当該外側フロント部と前記本体部との縫着部と、を繋ぐ伸縮性のある吊り下げ部によって吊り下げられており、
前記外側フロント部の下端は、前記肌側フロント部に縫着されておらず、当該肌側フロント部と当該外側フロント部の下端との隙間が、男性器を出し入れすることのできる開き部を形成する、
ことを特徴とするボトム衣類。
【請求項4】
前記肌側フロント部の上端、前記吊り下げ部、および前記縫着部によって囲まれる部分には、当該吊り下げ部よりも伸長性が高い布が設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載のボトム衣類。
【請求項5】
前記吊り下げ部は、前記肌側フロント部の中心線から離れる方向に向かって、当該肌側フロント部の上端から前記ウエスト部または前記縫着部まで延びている、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のボトム衣類。
【請求項6】
前記外側フロント部の下端は、下方向に凸となるように延在している、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のボトム衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−180603(P2012−180603A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42524(P2011−42524)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(306033379)株式会社ワコール (116)
【Fターム(参考)】