説明

ボトル容器

【課題】 大容量で重量の重いボトル容器でも、手の大きさや指の長さに関係なく、持ち易さと注ぎ易さを向上すること。
【解決手段】 ボトル容器10であって、把持部30が平坦部31と曲面部32の境界に凸条部41を形成し、把持部30における第1側面21と第2側面22とがなす容器本体幅を、両側面21、22の相対する凸条部41、41の間で最大幅W1とし、両側面21、22の相対する平坦部31の間で該凸条部41から離れる側に向けて漸減するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体洗剤、柔軟剤、漂白剤等のためのボトル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量で重量の重いボトル容器であって、取手を有さずに、持ち易さや注ぎ易さを考慮したボトル容器として、特許文献1、2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載のボトル容器は、片手で把持可能にされる容器本体部の側壁部に、手指が引掛り可能な容器保持部を設けたものである。手指が引掛りによって、容器に落下抵抗を作用させる。
【0004】
特許文献2に記載のボトル容器は、四角断面の容器本体部の縦方向の中央に溝状把持部を設けるとともに、該溝状把持部の周方向中央部に深さの異なる第1と第2の溝を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-255058
【特許文献2】特開2005-88973
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のボトル容器は、容器保持部における容器本体幅が指先に向かって漸減しておらず、手の大きい人が容器保持部を把持したとき、指先が外側に向けて広がってしまい、容器を滑り落とすおそれがある。
【0007】
特許文献2に記載のボトル容器は、溝状把持部が設けられる容器本体部が四角断面をなし、手とのフィット感が低い。また、容器本体部のどの側面からみても、同じ形状であり、注出口の注ぎ出し方向が特定されているボトル容器では、容器を持ち直す動作が必要になることがある。
【0008】
本発明の課題は、大容量で重量の重いボトル容器でも、手の大きさや指の長さに関係なく、持ち易さと注ぎ易さを向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、片手で把持可能にされる容器本体部と、該容器本体部の上面に設けられて内容物を注出するための注出口部を有するボトル容器であって、前記容器本体部を片手で把持する際に、当該容器本体部に、第1指が接する第1側面と、該第1側面と相対するように設けられ、他の指が接する第2側面と、第1側面と第2側面とをつなぐように設けられる第3側面を有するとともに、前記容器本体部に、第1側面及び第2側面に形成される両側の平坦部と、第1側面、第2側面及び第3側面に渡るように連続して形成されて前記両側の平坦部同士をつなぐ曲面部と、少なくとも第1側面及び第2側面に形成されて手の上縁部が当接し得る上端起立部を有する把持部が形成され、前記把持部が、前記平坦部と前記曲面部の境界に凸条部を形成し、前記把持部における第1側面と第2側面とがなす容器本体幅を、両側面の相対する前記凸条部の間で最大幅とし、両側面の相対する平坦部の間で該凸条部から離れる側に向けて漸減するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、片手の各指及び手の平全体で容器本体部を確実に把持でき、大容量で重量の重いボトル容器でも、手の大きさや指の長さに関係なく、持ち易さと注ぎ易さを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は実施例1のボトル容器を示す正面図である。
【図2】図2は図1の側面図である。
【図3】図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4はボトル容器を手で把持した状態を示す背面図である。
【図5】図5はボトル容器を手で把持した状態を示す正面図である。
【図6】図6はボトル容器を手で把持した状態を示す断面図である。
【図7】図7は実施例2のボトル容器を示す正面図である。
【図8】図8は図7の側面図である。
【図9】図9は図7のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図10は実施例3のボトル容器を示す正面図である。
【図11】図11は図10の側面図である。
【図12】図12は図10のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図13は実施例4のボトル容器を示す正面図である。
【図14】図14は図13の側面図である。
【図15】図15は図13のXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】図16は図13のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0013】
(実施例1)(図1〜図6)
図1〜図6に示すボトル容器10は、大容量で重量が重くても、取手を有さずに、持ち易さや注ぎ易さを考慮したものである。ボトル容器10は、片手で把持可能にされる容器本体部20と、容器本体部20の上面(上部の開口部)20Aに設けられて液体洗剤等の内容物を注出するための注出口部50を有する。容器本体部20は、例えば2000mLの大容量をなす。容量に関しては、小容量であっても当然にして本発明の効果を得ることができるが、400mL以上の容量、とりわけ600mL以上の容量の容器において、他の形態の容器と比較して、本発明の効果が明確となる。注出口部50は、容器本体部20の開口部に取着される注出筒51により構成される。ボトル容器10は、容器本体部20、注出口部50(注出筒51)を合成樹脂の成形体により構成している。
【0014】
ボトル容器10は、容器本体部20を片手(図4、図5の場合は右手)で把持する際に、第1指が接する第1側面21と、第1側面21と相対するように設けられ、第2指から第5指が接する第2側面22と、第1側面21と第2側面22とをつなぐように設けられ、手の平に沿う第3側面23と、第3側面23と対向する面を第4側面24とを有する。
【0015】
本実施例の容器本体部20は、横断面形状を図3に示す如き長円形状(第3側面23の側よりも第4側面24の側において狭幅になるたまご型の長円形状)とし、その長軸方向に沿う両側面を第1側面21と第2側面22とし、その長軸に直交する方向に沿う一側面を第3側面23とする。即ち、当該各側面は、図1に示すように、底面20Bを下側にしたときに、容器本体部20の上下方向に設けられている。
【0016】
ここで、本願明細書では、親指を第1指と称し、以下、人指し指を第2指、中指を第3指、薬指を第4指、小指を第5指と称する。
【0017】
また、指が接するとは、指先及び/又は指の腹部が各側面に接することを意味する。一方、手の平に沿うとは、手の平が必ずしも接することを意味するものではなく、把持する際に容器側面と手の平の間に空間があっても良い。ここでは、右手で把持する状態を例示しているが、左手で本願ボトル容器を把持した場合には、第1側面は図2、図3の符号22の部分を指し、第2側面は符号21の部分を指す。
【0018】
容器本体部20には、第1側面21及び第2側面22に形成される両側の平坦部31と、第1側面21、第2側面22及び第3側面23に渡るように連続して形成されて両側の平坦部31同士をつなぐ曲面部32と、第1側面21及び第2側面22に形成されて手60の第1指及び第2指を含む上縁部61が当接し得る上端起立部33を有する把持部30が形成される。即ち、把持部30は、図3の周方向に形成される。ここで、「手の上縁部が当接し得る上端起立部」とは、図4及び図5に示すように容器本体部20を把持したときに、又は容器本体部20を把持して持ち上げたときに、手の上縁部61が当接することができる上端起立部33のことである。
【0019】
ボトル容器10の把持部30は、平坦部31と曲面部32の境界に凸条部41を形成する。凸条部41は、図3に示す断面視の第1側面21と第2側面22上で、平坦部31と曲面部32が会合して外方に凸をなす折れ線(山の稜線)の如くをなし、容器本体部20を把持し、傾けて内容物を注ぎ出すときの手指(小さ目の手であれば手指の指先)の滑り止めとなる部分である。
【0020】
更に、ボトル容器10の把持部30には、平坦部31における上記凸条部41から一定長さ離れた部分に副凸条部42を形成することが望ましい。副凸条部42は、図3に示す断面視の第1側面21と第2側面22上で、平坦部31の凸条部41から第4側面部24に向かう方向の中間部で外方に凸をなす折れ線(山の稜線)の如くをなし、容器本体部20を把持し、傾けて内容物を注ぎ出すときの手指の指先の滑り止めとなる部分である。例えば、図6に示すように、第1実施形態の容器の把持部30を右手で把持した状態では、凸条部41が手指の第2関節付近に位置し、副凸条部42は手指の第1関節付近に位置するように形成することが望ましい。
【0021】
また、ボトル容器10の把持部30は、図3に示す如く、第1側面21と第2側面22とがなす容器本体幅を、両側面21、22の相対する凸条部41、41の間で最大幅W1とし、両側面21、22の相対する平坦部31、31の間で該凸条部41から離れる側に向けて漸減する。従って、両側面21、22の相対する副凸条部42、42の間の容器本体幅をW2とするとき、W1>W2になる。そのため、第1側面21に接する第1指と、第2側面22に接する他の指が、それらの指先で互いにより近づくように容器本体部20の平坦部31の第1側面21と第2側面22に回り込み、それらの両側面21、22の各平坦部を容易に容器本体部20の内側向きにへこみ変形させて安定把持可能にするものである。
【0022】
一方、ボトル容器10は、把持部30において、第1側面21と第2側面22が第3側面23と対向する側で直接つながり、それらの平坦部31同士をつなぐ小曲率部(大曲率半径)35を形成する。いいかえると、第1側面21と第2側面22は、第3側面23と対向する第4側面24を介してつながっている。この第4側面24は平坦状又は曲面状にすることができる。
【0023】
ボトル容器10の把持部30において、平坦部31は第1側面21又は第2側面22から側面視したときに、当該ボトル容器に規定量の内容物(例えば当該ボトルが“内容量1リットル”として販売される場合には、規定量は“1リットル”となる)が充填されている場合の重心位置Gを含む位置に設けられることが好ましい(図1)。かかる位置に平坦部31が設けられていると、大容量で重量の重いボトル容器であっても、把持し易く、計量キャップに内容物を注ぎ易くなる。
【0024】
把持部30の形は、手で容器本体を把持したときの手の形に準じた形状となるように、第3側面23側が幅広く、小曲率部35側が幅狭になっていることが好ましい。把持部30をかかる形状とすることにより、本発明容器10の使用者が自然と第3側面23に手の平を沿わせ、次いで第1指を第1側面21に接触させ、第2指から第5指を第2側面22に接触させてから把持するようになる(図5、図6)。このとき、内容物の注ぎ易さの観点で注出口部50の注出筒51が前記第3側面23に向かって開口している開口51Aを有することが好ましい。尚、図4〜図6において、60は手、61は手の上縁部、62は手の下縁部を示す。
【0025】
把持部30は、凸条部41を境界として曲面部32以外の部分の肉厚を曲面部32の肉厚みより薄くすることが望ましい。例えば、ボトル容器10のキャップを開栓したときに、把持部30のうち変形し難い曲面部32に対し、それ以外の平坦部31を含む部分を薄くすることにより、手の把持力に従って指先が更に回りこみ易いように容器本体部20の内側に変形し易くなり、大容量で重量の重いボトル容器10であっても、握り易くなり、従って把持し易く、内容物を注ぎ易くなる。
【0026】
また、ブロー成形等された汎用的な容器(本願発明のボトル容器以外の容器)に内容物として界面活性剤入りの洗剤等を充填した場合に、キャップが閉められた状態で一定期間ボトル容器10を放置しておくと、当該容器ヘッドスペース中の酸素が界面活性剤に吸収され、容器内部が負圧となり容器が変形する場合がある。一方、本願発明のボトル容器10の場合には、凸条部41を曲面部32との境界とし、凸条部41を挟んで曲面部32の反対側に延びる平坦部31と、曲面部32と対向する曲率部35を設けることにより、容器の曲面部32以外は積極的に変形し易くなり、ボトル容器10全体の外観を保つことができる。即ち、負圧によりボトル容器10にバックリング現象(へこみ現象)が発生しても、平坦部31は平坦を維持しながら容器内側に変形するため、ボトル容器10全体の外観に大きく影響を及ぼさない効果を有し、減圧変形吸収パネルとしての役割も果たすことができる。尚、平坦部31は曲面部32と比較して平坦であれば良く、完全な平坦である必要はない。
【0027】
把持部30の大きさは、最大幅方向長さL1が30mm〜50mm、また最大幅方向で凸状部41を介して最大幅方向長さL1と反対方向(曲面部側)の長さL2が25mm〜35mm、両側面21、22の最大幅W1を相対する凸条部41、41の間で40〜70mm、および曲面部32の実質長さR1(第1側面の凸条部41から曲面部32を通り、第2側面部の凸条部41までの実際の距離)を85〜95mmとすることが好ましい。本発明では、容器本体部20を把持し、傾けて内容物を注ぎ出す操作を行なうため、把持部30において曲面部32に沿わせた手指の指先が一対の対向する平坦部31上で容器本体部20をしっかり挟持する観点から、相対する凸条部41、41間の最大幅W1と曲面部32の実質長さR1を上記範囲にすることが好ましい。例えば、最大幅W1は内容物の容量が大きくなると長くなるが、その場合、実質長さR1は手の大きさにより無限ではないので、曲面部32の半径は大きくなり、曲面部32に対応する幅方向長さL2は短くなる。一方、最大幅W1が短くなると、曲面部32の半径は小さくなり、曲面部32に対応する幅方向長さL2は長めになる。特に大容量で重量の重いボトル容器10であっても、把持し易く、内容物を注ぎ易い観点から、最大幅W1を50〜60mm、最大幅方向の長さL2を28〜33mmとすることが好ましい。
【0028】
また、最大縦方向長さYは、後述の曲面中央部32Aの長さHと同様に成人の統計的な最小手幅を考慮すると、50mm〜70mmの範囲であれば、大容量で重量の重いボトル容器10であっても、把持し易く、内容物を注ぎ易い。
【0029】
ボトル容器10の把持部30は、第1側面21と第2側面22のそれぞれに手指を納め得る凹部30Aを有する。ここで「手指を納め得る(手指をかける)凹部」とは、図4及び図5に示すように容器本体部20を把持したときに、第1指乃至第5指及び手の平を接触させて納めることができる凹部のことである。
【0030】
把持部30において、上端起立部33は、凹部30Aの平坦部31及び曲面部32から略直角(容器本体部20の底面20Bに対して略垂直をなす)又は鈍角の傾斜角度で、第1側面21、第2側面22の各上凸部21A、22Aへ向けて立ち上がる部分である。即ち、上端起立部33は、第3側面23から側面視したときに、平坦部31及び曲面部32から略直角又は鈍角の傾斜角度θ1で第1側面21又は第2側面22の上凸部21A、22Aへ向けて立ち上がる部分である(図2)。ここで、上凸部21A、22Aとは、前記各側面において、上端起立部33より上部に位置する部分のことをいう。
【0031】
前記傾斜角度θ1を略直角又は鈍角の傾斜角度にすることで、把持した際、手60の上縁部61が上端起立部33に引っ掛かり、当該容器10を持ち上げ易くなり、把持性が良好になる。尚、当該上端起立部33は、当該容器10を把持して持ち上げた場合の手60の上縁部61が当接する部分であるので、把持の基準位置となる。
【0032】
当該傾斜角度θ1は、容器10を持ち上げ易くする観点から凡そ90度であることが好ましいが、容器10の成形後に離型し易くするために、いわゆる抜き勾配を考慮することもでき、さらに容器10を成形する際に金型の隅々までに溶融した樹脂を行き渡らせて、部分的に容器厚みが薄くなることを防止する考慮を行うこともできる。係る場合には当該傾斜角度θ1は90〜150度が好ましく、100〜150度がより好ましく、125〜140度が更に好ましい。ここで、θ1は、凸条部41と副凸条部42との中央部か、又は副凸状部42のない場合は重心位置Gを通る線が上端起立部33と交わる部分での角度である。
【0033】
本実施例では、上記上端起立部に加え、第5指を含む手の下縁部62が当接し得る下端起立部34を更に有している。下端起立部34は、第1側面21及び第2側面22に、第5指の指先側に向けて段差が深くなるように形成される。当該下端起立部34は、大重量の容器本体部20を傾けて内容物を注ぎ出すときに、下端起立部34が第5指の指先側の段差が深くなるように沿うことで、手の平の下側に位置する第5指側で滑りを防止するストッパの役割を果たし、内容物を注ぎ出し易くなる観点で好ましい。
【0034】
尚、本実施例のボトル容器10の把持部30を、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートやポリスチレン等のシュリンクラベルで包み込むことにより、当該ラベルが滑り止めとなって、ボトル容器10の把持性が更に向上し、更にデコレーション性も向上する。
【0035】
従って、本実施例1のボトル容器10によれば以下の作用効果を奏する。
(a)容器本体部20に、第1側面21及び第2側面22に形成される両側の平坦部31と、第1側面21、第2側面及び第3側面23に渡るように連続して形成されて前記両側の平坦部31同士をつなぐ曲面部32と、第1側面21及び第2側面22に形成されて手60の上縁部61が当接し得る上端起立部33を有する把持部30が形成され、把持部30が、平坦部31と曲面部32の境界に凸条部41を形成する。また、把持部30における第1側面21と第2側面22とがなす容器本体幅を、両側面21、22の相対する凸条部41、41の間で最大幅W1とし、両側面21、22の相対する平坦部31、31の間で該凸条部41から離れる側に向けて漸減する。従って、片手の第1指が容器本体部20の把持部30を構成する第1側面21に接し、他の指が容器本体部20の把持部30を形成する第2側面22に接する容器10の把持状態で、(i)第1指と他の指のそれぞれが把持部30の凸条部41に引掛かり、各指の滑りを防止し、(ii)それらの指が接する把持部30の第1側面21と第2側面22とがなす容器本体幅を上記凸条部41から離れる側に向けて漸減していることにより、第1指と他の指がそれらの指先の側で互いにより近づくように容器本体部20の把持部30の第1側面21と第2側面22に回り込み、それらの両側面21、22の曲面部32を除く上記凸条部41から離れる側において容易に容器本体部20の内側向きにへこみ変形させて把持する。これにより、片手の手指の指先及び指の腹部で容器本体部20を確実に把持でき、大容量で重量の重いボトル容器10でも、手の大きさや指の長さに関係なく、手とのフィット感を向上し、持ち易さと注ぎ易さを向上させることができる。片手で把持した容器本体部20を傾けて内容物を注ぎ出すときに、各指から容器本体部20が逃げて滑り落ちることを防止し、傾けた容器本体部20を安定把持して注ぎ出し性を向上できる。
【0036】
(b)把持部30の上端起立部33が凹部30Aの平坦部31及び曲面部32から略直角又は鈍角の傾斜角度で各上凸部21A、22Aへ向けて立ち上がる。従って、上端起立部33が手指を容器本体部20に添える把持位置の基準になり、かつ本発明のボトル容器10を持ち上げるときにその重量が上端起立部33を介して手の上縁部によって支持されることになるのでボトル容器10を持ち上げ易い。
【0037】
(c)把持部30の上端起立部33が容器本体部20の底面20Bに対して略平行をなす。大容量で重量が重いボトル容器10も持ち上げ易く、無理のない力で注ぎ出しできる。
【0038】
(d)把持部30の平坦部31における凸条部41から一定長さ離れた部分に副凸条部42を形成している。これにより、第1指の指先と他の指の指先のそれぞれが把持部30の副凸条部42に引掛かり、各指の滑りを一層確実に防止する。片手で把持した容器本体部20を傾けて内容物を注ぎ出すときに、各指から容器本体部20が逃げることを一層確実に防止し、手の大きさに関係なく、傾けた容器本体部20を安定把持して注ぎ出し性を一層向上できる。
【0039】
(e)ボトル容器10が、第1側面21と第2側面22が第3側面23と対向する側と、それらの平坦部31同士を小曲率部(大曲率半径)35でつないだことにより、第1指と他の指がそれらの第1側面21と第2側面22を把持する把持力に対する突張り剛性が大きくなる。それらの両側面21、22は小曲率部35を除く範囲で変形し易いものになる。
【0040】
(f)注出口部50が第3側面23に向かって開口している注出筒51を有する。従って、容器本体部20の把持方向及び注ぎ出し方向が明確になる。
【0041】
(g)400mL〜2000mLの大容量のボトル容器10において、上述(a)〜(f)を実現できる。
【0042】
(実施例2)(図7〜図9)
図7〜図9に示した本実施例2のボトル容器10が図1〜図6に示した前記実施例1のボトル容器10と異なる点は、把持部30が平坦部31を単一平坦面にして副凸条部42を形成しないものにし、平坦部31と曲面部32の境界にだけ凸条部41を形成するものとしたことにある。
【0043】
従って、本実施例2のボトル容器10によれば、前記実施例1のボトル容器10における前述(a)〜(c)、(e)〜(f)の作用効果を奏する。
【0044】
(実施例3)(図10〜図12)
図10〜図12に示した本実施例3のボトル容器10が図1〜図6に示した前記実施例1のボトル容器10と異なる点は、把持部30が第1側面21、第2側面22及び第3側面23に渡るように連続して形成され手指を納め得る凹部30Aを有するものとしたこと(第3側面23にも上端起立部33を有し、把持部30の手指を収め得る凹部30Aが、第1側面21から第3側面23、そして第2側面22を渡るように形成されていること)、また、第3側面23と対向する第4側面24で、それらの平坦部31同士を大曲率部(小曲率半径)35Rでつないだことにある。両側面21、22は大曲率部35Rを含む範囲で変形し易いものになる。
【0045】
本実施例3では、上端起立部33は、実施例1、2と同様に第1側面21及び第2側面22に形成されるとともに、第3側面23に形成されており、凹部30Aの平坦部31及び曲面部32から略直角又は鈍角の傾斜角度で、第1側面21、第2側面22及び第3側面23の各上凸部21A、22A、23Aへ向けて立ち上がる部分になる。また、下端起立部34は、第1側面21、第2側面22及び第3側面23に形成され、凹部30Aの平坦部31及び曲面部32から鈍角の傾斜角度で第1側面21、第2側面22及び第3側面23の各下凸部21B、22B、23Bへ向けて立ち下がる部分になる。
【0046】
更に、把持部30の凹部30Aは、第3側面23の上凸部23Aと下凸部23Bの間に、第1指の先端から第2指の先端に渡る手の上縁部61が上端起立部33に当接し、かつ第5指を含む手の下縁部62が下端起立部34に当接することができる長さH(図10、図11)の曲面中央部32Aを、曲面部32の中央(容器本体部20の横断面の外周に沿う方向における曲面部32の中央)に有する。曲面部32の中央は、当該容器10を成形する際の金型パーティングラインPと略一致する。従って、前記長さHは、金型パーティングラインPが形成される方向(容器底面20Bから注出口部50に向う縦方向)の、凹部30Aの上端から下端までの長さ(第3側面23から側面視したときの投影長さ)である。
【0047】
容器本体部20にあっては、把持部30の凹部30Aが有する曲面中央部32Aの長さHを、成人の統計的な最小手幅(例えば65.5mm)とし、曲面中央部32Aの長さHに下端起立部34の長さK(図10、図11)を加えた長さを、成人の統計的な最大手幅(例えば95.0mm)とする。尚、成人の統計的な最小手幅は、例えば「設計のための人体寸法データ集」便覧(通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所編、1996年発行、195頁)に基づくことができる。本実施例では、曲面中央部32Aの長さHは、上述の最大縦方向長さYと同様に50mm〜70mmの範囲であれば良い。また長さKは、第3側面23から側面視したときの投影長さである。
【0048】
容器本体部20にあっては、把持部30の凹部30Aが有する曲面中央部32Aが、容器本体部20の底面20Bに対して略垂直をなすことが、手の平が第3側面と密着できて容器を持ち上げ易くなる観点から好ましい。また、把持部30の上端起立部33が、容器本体部20の底面20Bに対して略平行をなすことが、手60の上縁部61が上端起立部33に当接して容器を持ち上げ易くなる観点から好ましい。
【0049】
下端起立部34は、第3側面23から側面視したときに、平坦部31及び曲面部32から鈍角の傾斜角度θ2で第1側面21又は第2側面22の下凸部21B、22Bへ向けて立ち下がる部分である(図11)。鈍角の傾斜角度にすることで、手の大小に関係なく、重量がある容器10を把持して傾けるときに、下端起立部34を第5指の手の滑りを防止するストッパとすることができる。即ち、傾斜角度θ2を鈍角とすることで、下端起立部34の幅が広くなり、容器10を持ち上げた際に手60の上縁部61が把持の基準位置である上端起立部33に当接したときに、手の大小に関係なく、手60の下縁部62が下端起立部34に当接し、第5指の手の滑りを防止するストッパとすることができるのである。第5指の手の滑りが発生すると、容器10を傾けて内容物を注ぎ出す際に不安定となり、場合によっては内容物をこぼしてしまう場合がある。
【0050】
当該傾斜角度θ2は、手の大小に関係なく、第5指の滑りを防止可能にする観点から、150度〜170度が好ましく、160度〜170度が特に好ましく、160度〜165度が更に好ましい。
【0051】
従って、本実施例3のボトル容器10によれば、前記実施例1のボトル容器10における前述(a)〜(d)、(f)、(g)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0052】
(h)把持部30の凹部30Aが、手の平が沿う第3側面23の側にまで連続し、第3側面23の上凸部23Aと下凸部23Bの間に、第1指の先端から第2指の先端に渡る手の上縁部が上端起立部33に当接し、かつ第5指を含む手の下縁部が下端起立部34に当接することができる長さHの曲面中央部32Aを、曲面部32の中央に有するものとした。手指の全体で容器本体部20を把持し、指の付け根部の上縁部と下縁部まで上端起立部33と下端起立部34のそれぞれに確実に当接させ、ボトル容器10を滑り落としにくく、持ち上げ易く、注ぎ出し易くできる。
【0053】
(i)把持部30の凹部30Aが有する曲面中央部32Aの長さHを、成人の統計的な最小手幅とし、曲面中央部32Aの長さHに下端起立部34の長さKを加えた長さを、成人の統計的な最大手幅とする。これにより、手の大きさに関係なく、ボトル容器10を持ち上げ易く、注ぎ出し易くできる。
【0054】
(j)把持部30の凹部30Aが有する曲面中央部32Aが容器本体部20の底面20Bに対して略垂直をなす。ボトル容器10の持ち上げ時及び注ぎ出し時に、手の平と容器本体部20との間に隙間を生じにくく、ボトル容器10を持ち上げ易く、注ぎ出し易くできる。
【0055】
(k)ボトル容器10が、第1側面21と第2側面22が第3側面23と対向する側で、それらの平坦部31同士を大曲率部(小曲率半径)35Rでつないだことにより、それらの平坦部31同士を小曲率部(大曲率半径)35でつないだもの(図3)に比し、第1指と他の指がそれらの第1側面21と第2側面22を把持する把持力に対する突張り剛性が小さくなる。それらの両側面21、22を大曲率部35Rを含む範囲で容易に容器本体部20の内側向きにへこみ変形させ、容器本体部20を確実に把持できる。
【0056】
(実施例4)(図13〜図16)
図13〜図16に示した本実施例4の容器100は、ボトル容器10と同様に、片手で把持可能にされる容器本体部20と、該容器本体部20の上面に設けられて内容物を注出するための注出口部50を有する。また、容器本体部20を片手で把持する際に、当該容器本体部20に、第1指が接する第1側面21と、該第1側面21と相対するように設けられ、他の指が接する第2側面22と、第1側面21と第2側面22とをつなぐように設けられる第3側面23と、第3側面23と対向する面を第4側面24とを有し、第1側面21及び第2側面22に形成される両側の平坦部31と、第1側面21、第2側面22及び第3側面23に渡るように連続して形成されて前記両側の平坦部31同士をつなぐ曲面部32とを有する把持部30が形成される。把持部30は、第1側面21、第2側面22及び第3側面23に渡るように連続して形成され、手指を納め得る凹部30Aを有する。また、容器本体部20は、第1側面21と第2側面22が第3側面23と対向する側と、それらの平坦部31同士を小曲率部(大曲率半径)35でつないでいる。
【0057】
しかるに、ボトル容器100がボトル容器10と異なる点は、以下の通りである。
まず、ボトル容器100において、把持部30は、平坦部31と曲面部32の境界に凸条部101を形成するとともに、平坦部31における凸条部101から第4側面24の側に一定長さ離れた部分に副凸条部102を形成する。把持部30における第1側面21と第2側面22とがなす容器本体幅を、両側面21、22の相対する凸条部101、101の間で最大幅W1とし、両側面21、22の相対する平坦部31、31の間で該凸条部101から離れる側に向けて漸減する。従って、両側面21、22の相対する副凸条部102、102の間の容器本体幅をW2とするとき、W1>W2になる。また、凸条部101と副凸条部102は、容器本体部20の側面視で、容器本体部20の側面(21、22)の中央を挟む両側に、相互に線対称をなすように設けられる。
【0058】
凸条部101と副凸条部102は、それらの上端同士を上に凸の円弧部によってつなぐとともに、それらの下端同士の下に凸の円弧部によってつなぎ、結果として平坦部31に容器高さ方向に沿う長円状の小平坦部103を区画する。小平坦部103は、凸条部101と副凸条部102の間で、容器本体部20の外方に対して若干の凹面状をなしても良い。凸条部101と副凸条部102は、それぞれ一定幅をもつ狭幅帯状をなし、小平坦部103の周囲で一定幅の傾斜面を形成しても良い。
【0059】
また、ボトル容器100において、上端起立部111は、第1側面21及び第2側面22に形成されるとともに、第3側面23及び第4側面24の一部にも形成され、容器本体部20の側面視で、容器本体部20の側面(21、22)の中央を挟む両側に線対称をなすように設けられる。手60の第1指及び第2指を含む上縁部61が当接し得る上端起立部111はなだらかな上に凸の湾曲状をなしており、中央に位置する小平坦部103に跨る部分の傾斜角度θ1を小さくすることによって、第1側面21及び第2側面22の上端起立部における手指の引っかかりを更に良好にでき、ボトル容器100の持ち上げ易くできる。
【0060】
また、ボトル容器100において、下端起立部112は、第1側面21及び第2側面22に形成されるとともに、第3側面23に形成され、容器本体部20の側面視で、容器本体部20の側面(21、22)の中央を挟む両側に線対称をなすように設けられる。下端起立部112は容器本体部20の底部20B寄りに移行して設けられている。
【0061】
実施例4のボトル容器100において、凸条部101、副凸条部102、上端起立部111は実施例1のボトル容器10における凸条部41、副凸条部42、上端起立部33と同様に機能する。そして、ボトル容器100にあっては、ボトル容器10における前述(a)〜(g)の作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、大容量で重量の重いボトル容器でも、手の大きさや指の長さに関係なく、持ち易さと注ぎ易さを向上することができる。
【符号の説明】
【0063】
10、100 ボトル容器
20 容器本体部
20A 上面
20B 底面
21 第1側面
21A 上凸部
21B 下凸部
22 第2側面
22A 上凸部
22B 下凸部
23 第3側面
23A 上凸部
23B 下凸部
30 把持部
30A 凹部
31 平坦部
32 曲面部
32A 曲面中央部
33、111 上端起立部
34、112 下端起立部
41、101 凸条部
42、102 副凸条部
50 注出口部
51 注出筒
51A 開口
60 手
61 手の上縁部
62 手の下縁部
103 小平坦部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で把持可能にされる容器本体部と、該容器本体部の上面に設けられて内容物を注出するための注出口部を有するボトル容器であって、
前記容器本体部を片手で把持する際に、当該容器本体部に、第1指が接する第1側面と、該第1側面と相対するように設けられ、他の指が接する第2側面と、第1側面と第2側面とをつなぐように設けられる第3側面を有するとともに、
前記容器本体部に、第1側面及び第2側面に形成される両側の平坦部と、第1側面、第2側面及び第3側面に渡るように連続して形成されて前記両側の平坦部同士をつなぐ曲面部と、少なくとも第1側面及び第2側面に形成されて手の上縁部が当接し得る上端起立部を有する把持部が形成され、
前記把持部が、前記平坦部と前記曲面部の境界に凸条部を形成し、
前記把持部における第1側面と第2側面とがなす容器本体幅を、両側面の相対する前記凸条部の間で最大幅とし、両側面の相対する平坦部の間で該凸条部から離れる側に向けて漸減するボトル容器。
【請求項2】
前記把持部の前記平坦部における前記凸条部から一定長さ離れた部分に副凸条部を形成してなる請求項1に記載のボトル容器。
【請求項3】
前記把持部が前記第1側面、第2側面及び第3側面に渡るように連続して形成され手指を納め得る凹部を有し、
前記把持部の凹部が有する曲面中央部の長さを、成人の統計的な最小手幅とする請求項1又は2に記載のボトル容器。
【請求項4】
前記把持部の凹部が有する曲面中央部が前記容器本体部の底面に対して略垂直をなす請求項3に記載のボトル容器。
【請求項5】
前記把持部の上端起立部が前記容器本体部の底面に対して略平行をなす請求項1〜4のいずれかに記載のボトル容器。
【請求項6】
前記注出口部が前記第3側面に向かって開口している注出筒を有する請求項1〜5のいずれかに記載のボトル容器。
【請求項7】
前記把持部が、少なくとも第1側面及び第2側面に形成され、手の下縁部が当接し得る下端起立部を更に有し、
前記上端起立部は前記凹部の平坦部及び曲面部から略直角又は鈍角の傾斜角度で前記第1側面、第2側面及び第3側面の各上凸部へ向けて立ち上がる部分であり、
前記下端起立部は前記凹部の平坦部及び曲面部から鈍角の傾斜角度で第1側面、第2側面及び第3側面の各下凸部へ向けて立ち下がる部分であり、
前記把持部の凹部が、第3側面の上凸部と下凸部の間に、前記手の上縁部が前記上端起立部に当接し、かつ手の下縁部が前記下端起立部に当接することができる長さの曲面中央部を、前記曲面部の中央に有する請求項3〜6のいずれかに記載のボトル容器。
【請求項8】
前記容器本体部が400mL〜2000mLの容量をなす請求項1〜7のいずれかに記載のボトル容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−136746(P2011−136746A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299097(P2009−299097)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】