説明

ボリン酸錯体を含有する抗生物質および使用法

ボリン酸錯体を組み込んだ抗生物質、特にヒドロキシキノリン、イミダゾールおよびピコリン酸誘導体、さらにこれらの抗生物質の組成物の構造および調製を開示し、ならびに細菌および真菌が原因となる疾患の治療のための治療薬だけでなく、殺菌剤および殺真菌剤として、抗生物質および組成物を使用する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年12月18日に出願された米国仮特許仮出願第60/434,375号明細書、2002年12月23日に出願された同第60/436,095号明細書、および2003年1月3日に出願された同第60/437,849号明細書の優先権を主張する2003年12月18日に出願された米国特許出願第10/740,304号明細書の一部継続出願であり、その全ての開示内容は、その全体を参照として本明細書に組み入れられている。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗生物質、具体的には抗菌化合物および抗真菌化合物ならびにそれらの使用の分野に関する。これらの抗生物質およびそれらの医薬組成物の調製法ならびに使用法も、提供される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
現代の医薬品を品質保証するものの1つは、細菌性および真菌性感染に関連する罹患率および死亡率を低下させることである。しかしながら、従来型の抗生物質を乱用し、感染性細菌集団の自然選択の結果として、ほとんどの抗生物質に対して、大部分の細菌性感染病原体による様々な程度の薬物耐性が発現するようになった。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などのように深刻な場合において、1種もしくは2、3種のみの抗生物質が、目下のところ効果的である。さらに、免疫不全症候群の存在が、集中的な抗生物質の治療を要する日和見感染症をさらに発症させる結果となる。
【0004】
従って、目下のところ利用可能な治療に対して耐性があり、新規でさらに効果的な抗生物質化合物、特に細菌性感染症を治療するための抗生物質化合物が、医学技術において、必要とされ続けている。
【0005】
ホウ素含有化合物は、有機合成技術が発展してホウ素原子を伴うようになった過去2、3年に、治療薬として、ますます注目されるようになった。[「実現間近なホウ素治療」(Boron Therapeutics on the horizon)、グロジアク(Groziak),M.P.;米国治療学雑誌(American Journal of Therapeutics)(2001)8、321−328]最も顕著なホウ素含有治療は、多発性骨髄腫の治療用に最近発売されたボロン酸ボルテゾミブである。この飛躍的な前進は、医薬剤としてホウ素含有化合物を使用することが実現可能であることを立証する。ホウ素含有化合物は、除草剤を含めて、様々な生物活性を有することがわかっている。[「除草剤としての有機ホウ素化合物(Organic boron compounds as herbicides)」バーンズレイ(Barnsley),G.E.;イートン(Eaton),J.K.;エアーズ(Airs),R.S.;(1957),DE 1016978 19571003]、ホウ素中性子捕獲治療(「中性子捕獲治療のためのB−10担体の分子設計および合成(Molecular Design and Synthesis of B−10 Carriers for Neutron Capture Therapy)」、ヤマモト(Yamamoto),Y.;純粋応用化学(Pure Appl.Chem.),(1991)63,423−426]、セリンプロテアーゼ阻害[「サブチリシン・カールスバーグとα−キモトリプシンの活性部位における結合に関連する要素のプローブとしてのボリン酸阻害剤(Borinic acid inhibitors as probes of the factors involved in binding at the active sites of subtilisin Carlsberg and α−chymotrypsin」)、シンペルカンプ(Simpelkamp),J.;ジョーンズ(Jones),J.B.;「生物有機および医薬品化学速報誌(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters)」(1992)、2(11)、1391−4]、[「選択的ホウ素含有のトロンビン阻害剤の設計、合成および生物学的評価(Design,Synthesis and Biological Evaluation of Selective Boron−containing Thrombin Inhibitors)」ヴァイナント(Weinand),A.;エアハルト(Ehrhardt),C.;メッテルニッヒ(Metternich),R.;タッパレリ(Tapparelli),C.;「生物有機および医薬品化学(Bioorganic and Medicinal Chemistry )」(1999),7,1295−1307]、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤[「アセチルコリンエステラーゼの新規な特異的および可逆的二官能性アルキルボリン酸阻害剤(New,specific and reversible bifunctional alkylborinic acid inhibitor of acetylcholinesterase)」コーラー(Koehler),K.A.;ヘス(Hess),G.P.;「生物化学(Biochemistry)」(1974),13,5345−50]および抗菌剤として[「ホウ素含有の抗菌剤(Boron−Containing Antibacterial Agents)」:「様々な培養条件下での細菌の増殖および形態の効果(Effects on Growth and Morphology of Bacteria Under Various Culture Conditions)」ベイリー(Bailey),P.J.;カズンズ(Cousins),G.;スノー(Snow),G.A.;およびホワイト(White),A.J.;「抗菌剤および化学療法(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)」,(1980),17,549−553]。抗菌活性を有するホウ素含有化合物は、2つの主なクラス、ジアザボリニン(diazaborinines)(1960年代から知られている)と、ジチエニルボリン酸錯体に下位区分されうる。上記の後者のクラスは、強力な抗菌活性を有する様々な種類のジアリールボリン酸錯体を含むように拡大されている[「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤としてのジアリールボリン酸エステルの調製(Preparation of diarylborinic acid esters as DNA methyl transferase inhibitors)」ベンコビック(Benkovic),S.J.;シャピロ(Shapiro),L.;ベイカー(Baker),S.J.;ワーノン(Wahnon),D.C.;ウォール(Wall),M.;シャー(Shier),V.K.;スコット(Scott),C.P.;バボバール(Baboval),J.;PCT国際出願(PCT Int.Appl.)(2002),国際公開第2002044184号パンフレット]。ベンコビック(Benkovic)らに記載される合成開発により、以前は可能でなかった非常に多様なクラスの非対称二置換ボリン酸錯体の作製が可能となった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
一の態様において、本発明は、抗生物質化合物としてのボリン酸誘導体、特にボリン酸錯体に関し、ヒドロキシキノリン、ピコリン酸およびイミダゾールの誘導体などの化合物を含む。
【0007】
上記抗生物質化合物は、また、細菌もしくは真菌に病因がある疾患の治療のために、或いは免疫不全のまたは衰弱した健康状態の動物、最も好ましくはヒトにおいて、細菌もしくは真菌による日和見感染症の治療のために、動物、最も好ましくはヒトに、投与されうる医薬組成物として、提供される。
【0008】
好適な実施形態において、本発明の化合物は、本明細書に開示される好適な置換基を有する、式1もしくは2により示される構造を有する化合物である。
【0009】
また、本発明は、抗生物質化合物およびそれらの医薬組成物を調製する方法と、前記抗生物質を治療上使用する方法とを提供する。本発明の抗生物質化合物および医薬組成物のキットおよびパッケージの実施形態も、企図される。
【0010】
さらに、本発明は、本明細書に開示した抗生物質化合物を用いて、感染症、好ましくは細菌性および/または真菌性感染症を治療する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、細菌性感染症の治療および/または予防に有用な抗生物質、具体的には抗菌性および抗真菌性化合物を提供する。
【0012】
本発明は、以下の式の構造
【化1】

[式中、Bは、ホウ素であり、Oは、酸素であり、
およびR**は、各々独立して、置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)、置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)、置換もしくは未置換のアルケニル、置換もしくは未置換のアルキニル、置換もしくは未置換のアラルキル、置換もしくは未置換のフェニル、および置換もしくは未置換のヘテロアリールから選択され、
zは、0または1であり、zが1である場合、Aは、CH、CR10またはNであり、
Dは、N、CH、またはCR12であり、
Eは、H、OH、アルコキシもしくは2−(モルホリノ)エトキシ、COHまたはCO−アルキルであり、
m=0〜2、
rは、1または2であり、rが1である場合、Gは、=Oであり(二重結合した酸素)、rが2である場合、各Gは、独立して、H、メチル、エチルまたはプロピルであり、
12は、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SO−アルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2−アミノ、3−アミノ、NHSOおよびCONHから選択され、
Jは、CR10またはNであり、
、R10およびR11は、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、(CHOH(n=2〜3)、CHNH、CHNHアルキル、CHN(アルキル)、ハロゲン、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、NH、アルコキシ、CF、SCF、NO、SOHおよびOHからなる群から選択される]
を有する化合物(それらの塩を含む)を含む。
【0013】
式1もしくは2の好適な実施形態において、Rおよび/またはR**は、同一もしくは異なり、RおよびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)であり、或いはRおよびR**が、各々置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)であるのが好ましい。
【0014】
式1もしくは2の好適な実施形態において、Rおよび/またはR**は、同一もしくは異なり、RおよびR**の一方が、置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)で、或いはRおよびR**が、各々置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)であるのが好ましい。
【0015】
式1もしくは2の好適な実施形態において、Rおよび/またはR**は、同一もしくは異なり、RおよびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルケニルである、或いはRおよびR**が、各々置換もしくは未置換のアルケニルであるのが好ましい。それらのさらに好適な実施形態において、上記アルケニルは、以下の構造
【化2】

[式中、R、R、およびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOからなる群から選択される]
を有する。
【0016】
式1もしくは2の好適な実施形態において、Rおよび/またはR**は、同一もしくは異なり、RおよびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルキニルである、或いはRおよびR**が、各々置換もしくは未置換のアルキニルであるのが好ましい。それらのさらに好適な実施形態において、上記アルキニルは、以下の構造
【化3】

[式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOからなる群から選択される]
を有する。
【0017】
式1もしくは2の好適な実施形態において、Rおよび/またはR**は、同一もしくは異なり、RおよびR**の一方が、置換もしくは未置換のフェニルであるのが好ましく、或いはRおよびR**が、各々置換もしくは未置換のフェニルであるのが好ましい(但し、zが1であり、AがCR10であり、DがCR12であり、JがCR10である式1の化合物を除き、さらに置換基の組み合わせが、zが1であり、AがCR10であり、DがCR12であり、mが2であり、GがHまたはメチルもしくはエチルである式2の化合物を除く)。前述の別々の実施形態において、Gは同様にプロピルではない。しかしながら、具体的な実施形態において、上記の除外した化合物は、新規と主張されないが、本発明の1つもしくは複数の方法において、好ましくは感染症、最も好ましくは真菌性感染症の治療のための使用を見出されることもある。好適な一実施形態において、本発明の新規の化合物のみが、上記の使用に関して、企図される。
【0018】
本発明の新規の化合物には、Rがメチルであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHであり、かつR11が水素であるキナルジン誘導体(例、2−メチルキノリン等)は含まれない。しかしながら、上記の化合物は、本発明の方法において有用である場合もある。
【0019】
好適な一の実施形態は、RおよびR**が、各々フェニルと置換フェニル以外である式2の化合物である。
【0020】
別の好適な実施形態は、RおよびR**の一方が、ベンジルまたは置換ベンジルである式2の化合物である。
【0021】
さらに好適な一の実施形態は、rが1であり、Gが=Oであり、mが0であり、かつEがOHである式2の化合物である。
【0022】
好適な一の実施形態は、さらに、zが1であり、かつ、Rが、アルキル(Cより大きい)、(CHOH(n=1、2または3)、CHNH、CHNHアルキル、CHN(アルキル)、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、アルコキシ(Cより大きい)、SCF、およびNOからなる群から選択される式2の化合物である。
【0023】
好適な一の実施形態において、該化合物は、zが1であり、かつ、R10が、アルキル(Cより大きい)、(CHOH(n=1、2または3)、CHNH、CHNHアルキル、CHN(アルキル)、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、アルコキシ(Cより大きい)、SCF、およびNOからなる群から選択される式2の構造を有する。
【0024】
別の好適な実施形態において、該化合物は、zが1であり、かつ、Dが、CR12[式中、R12は、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、OH、アルコキシ(Cより大きい)、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SOH、SCF、CN、NO、NHSOおよびCONHから選択される]である式2の構造を有する。
【0025】
さらに好適な一の実施形態において、該化合物は、zが1であり、かつ、Eが、N−(モルホリニル)エトキシまたはCより大きいアルコキシである式2の構造を有する。
【0026】
他の好適な実施形態は、AまたはDが、窒素であり、或いはmが2である式2の構造を有する化合物である。
【0027】
別の好適な実施形態において、該化合物は、RまたはR**の一方が、1〜5個の置換基で置換された置換フェニルである式2の構造を有し、前記置換基の各々は、独立して、アルキル(Cより大きい)、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ(Cより大きい)、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SOH、SCF、CN、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、およびアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルから選択される。
【0028】
それらのさらなる好適な一の実施形態において、上記フェニルは、以下の構造
【化4】

[式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する。
【0029】
非常に好適な一の実施形態は、Rが3−フルオロフェニルであり、R**が4−クロロフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHであり、(3−フルオロフェニル)(4−クロロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステルと呼ばれうる式1の化合物である。
【0030】
別の好適な実施形態は、式1の化合物である。RおよびR**が、各々3−(4,4ジメチルオキサゾリジン−2−イル)フェニルであり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHであり、ビス(3−(4,4−ジメチルオキサゾリジン−2−イル)フェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステルと呼ばれうる式1の化合物である。
【0031】
さらに好適な一の実施形態は、Rが3−フルオロフェニルであり、R**がシクロプロピルであり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHであり、(3−フルオロフェニル)(シクロプロピル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステルと呼ばれる式1の化合物である。
【0032】
非常に好適な一実施形態は、Rが4−(N,N−ジメチル)−アミノメチルフェニルであり、R**が4−シアノフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHであり、(4−(N,N−ジメチル)−アミノメチルフェニル)(4−シアノフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステルと呼ばれる式1の化合物である。
【0033】
別の非常に好適な実施形態は、RがR**(3−クロロ−4−メチルフェニルである)と同一であり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、EがOHであり、m=0、rが1であり、Gが=O(二重結合した酸素)であり、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステルと呼ばれる式2の化合物である。
【0034】
さらに非常に好適な一の実施形態は、Rが、R**(2−メチル−4−クロロフェニルである)と同一であり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、EがOHであり、m=0、rが1であり、Gが=O(二重結合した酸素)であり、ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステルと呼ばれる式2の化合物である。
【0035】
式1または2の好適な一の実施形態において、Rおよび/またはR**は、同一もしくは異なり、RおよびR**の一方が、置換もしくは未置換のベンジルであり、或いはRおよびR**が、各々置換もしくは未置換のベンジルであるのが好ましい。それらのさらに好適な一の実施形態において、上記ベンジルは、以下の構造
【化5】

[式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する。
【0036】
好適な一の実施形態は、式1または2の化合物であり、Rおよび/またはR**は、同一もしくは異なり、RおよびR**の一方が、置換もしくは未置換の複素環であり、或いはRおよびR**が、各々置換もしくは未置換の複素環であるのが好ましい。それらのさらに好適な一実施形態において、上記複素環は、以下の構造
【化6】


[式中、
Xは、CH=CH、N=CH、NR13(式中、R13=H、アルキル、アリールまたはアラルキル)、O、またはSであり、
Yは、CHまたはNであり、
、R、およびRは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する。
【0037】
非常に好適な一の実施形態は、Rがピリド−3−イルであり、R**が4−クロロフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHである((ピリド−3−イル)(4−クロロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル)と呼ばれる)式1の化合物である。
【0038】
非常に好適な一の実施形態は、Rが5−シアノピリド−3−イルであり、R**がビニルであり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHであり((5−シアノピリド−3−イル)(ビニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル)と呼ばれる)式1の化合物である。
【0039】
好適な一の実施形態は、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHである式1の化合物である。
【0040】
別の好適な実施形態は、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、EがOHであり、m=0、rが1であり、Gが=O(二重結合した酸素)である式2の化合物である。
【0041】
本発明の構造は、さらに、合成手順中や治療目的の使用中に、本発明の化合物と遭遇する溶媒から誘導される原子を含む構造(例、式1Bおよび2B等)を提供しうる溶媒間の相互作用を可能にする。従って、上記の溶媒の構造は、殊に、少なくとも本発明の数種の化合物に、殊にホウ素と窒素原子の間に入り込み、1もしくは2個の原子により、上記の化合物の環サイズを増大させることが可能である。例えば、本発明の構造のホウ素環は、5つの原子(例えば、該ホウ素、1つの窒素、1つの酸素および2つの炭素を含む)を含んでなる場合、ホウ素と窒素の間への溶媒原子の入り込みは、7員環を提供しうる。一例において、ヒドロキシルとアミノ溶媒の使用は、環のホウ素と窒素原子の間に酸素もしくは窒素を含有する構造を提供して、環のサイズを増大しうる。上記の構造は、本発明により、明白に企図され、R***が、Hもしくはアルキル
【化7】

であるのが好ましい。
【0042】
本明細書に使用される以下の用語は、規定の意味を有する。
本発明において「アルキル」、「低級アルキル」、および「C〜Cアルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、および3−メチルペンチル等)を意味する。
【0043】
本発明における「アルコキシ」、「低級アルコキシ」、および「C〜Cアルコキシ」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、2−ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシ等)を意味する。
【0044】
本発明における用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、およびヨウ素を意味する。
【0045】
本発明における「シクロアルキル」、例えばC〜Cシクロアルキルは、3〜7個の原子を有するシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル等)を意味する。C〜Cシクロアルキル基、好ましくはC〜Cシクロアルキル基において、その環を形成する炭素原子のうち1個もしくは2個が、硫黄、酸素または窒素などのヘテロ原子で置換されうる。上記の基の例は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、パーヒドロアゼピニル、パーヒドロオキサゼピニル、オキセパニル、およびパーヒドロオキセパニルである。窒素もしくは酸素で置換された員を有するCおよびCシクロアルキル基として、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、およびオキシラニルである。
【0046】
「アリール」は、単環(例えば、フェニル)、多環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族である多縮合環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)を有する芳香族炭素環式基を意味し、それは、場合により、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、低級アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、およびヒドロキシで、一置換、二置換、または三置換される。好適なアリール基として、フェニルおよびナフチルが挙げられ、それらの各々は、本明細書に定義される通り、場合により、置換される。
【0047】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、または硫黄から選択される少なくとも1個および4個までのヘテロ原子をする5員環、6員環、または7員環の1種もしくは数種の芳香族環系を意味する。上記のヘテロアリール基として、例えば、チエニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、(イソ)オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、(イソ)キノリニル、ナプチリジニル(napthyridinyl)、ベンゾイミダゾリル、およびベンゾオキサゾリルが挙げられる。好適なヘテロアリールは、チアゾリル、ピリミジニル、好ましくはピリミジン−2−イル、およびピリジルである。他の好適なヘテロアリール基として、1−イミダゾリル、2−チエニル、1−(または2−)キノリニル、1−(または2−)イソキノリニル、1−(または2−)テトラヒドロイソキノリニル、2−(または3−)フラニルおよび2−テトラヒドロ−フラニルが挙げられる。
【0048】
「配位子」は、ボリン酸エステル部分として付加される一方、ルイス酸性ホウ素中心と共に供与結合を形成できる窒素含有の芳香族系を意味する。上記の配位子は、当業者には公知である。以下の構造において、例を示す。
【化8】

【0049】
本発明の化合物は、主要の微生物酵素(例、細菌性DNAメチルトランスフェラーゼ等)の阻害に関係している。本明細書に開示した多くの化合物は、哺乳類において、メチルトランスフェラーゼの阻害剤ではないが、微生物において、メチルトランスフェラーゼの選択的阻害剤である。しかしながら、本発明の化合物の抗細菌および抗真菌活性は、前記酵素阻害活性を有するものに限定されないし、後者の作用も、前記の治療活性に必ずしも不可欠ではない。
【0050】
本発明は、さらに、医薬組成物として、本明細書に開示した化合物の実施形態を提供する。本発明の医薬組成物は、公知の方法で、例えば、従来型の混合、溶解、粒状化、糖衣錠の作製、研和(levigating)、乳化、カプセル封入、取り込みまたは凍結乾燥法により、製造されうる。
【0051】
本発明に基づいた使用のための医薬組成物は、従って、1種もしくは複数種の生理学的に許容できる担体を用いて、従来型方法で、配合されることが可能であり、賦形剤と、医薬的に使用されうる製剤中の活性化合物の処理を促進する助剤とを含んでなることができる。適切な配合は、選択される投与の経路によって決まる。
【0052】
無毒性医薬塩として、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、ヨウ化水素酸、アルカン酸(例、酢酸、HOOC−(CH−CH(nが0〜4である場合)等)などの酸の塩が挙げられる。無毒性医薬の塩基付加塩として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩、および機能的等価物が挙げられる。当業者は、多種多様の無毒の薬学的に許容できる付加塩を認識しているだろう。
【0053】
注射に関して、本発明の化合物は、生理学的に相溶性の緩衝液(例、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理的食塩水緩衝液等)などの適切な水溶液中に配合されうる。経粘膜および経皮投与に関して、透過されるバリアーに適切な浸透液が、配合に使用される。上記の浸透液は、一般的に当技術分野では公知である。
【0054】
経口投与に関して、上記化合物は、活性化合物を当技術分野で公知の薬学的に許容できる担体を組み合わせることにより、容易く配合されうる。上記担体によって、治療される患者が経口摂取するために、錠剤、丸剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として、本発明の化合物を配合することが可能となる。経口用の医薬製剤は、固体賦形剤と共に得られることが可能であり、場合により、所望ならば適切な助剤を添加した後、生成混合物を粉砕して、その顆粒混合物を加工処理して、錠剤を得ることができる。適切な賦形剤は、特に、糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む)、セルロース製剤(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ポテトデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)等)のような増量剤である。所望ならば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、或いはそれらの塩(例、アルギン酸ナトリウム等)などの崩壊剤も添加可能である。
【0055】
経口使用されうる医薬製剤として、ゼラチンおよび可塑剤(例、グリセロールもしくはソルビトール等)製の軟質密封カプセルだけでなく、ゼラチン製の押込み嵌合式(push−fit)カプセルも挙げられる。上記押し込み嵌合式(push−fit)カプセルは、増量剤(例、ラクトース)、結合剤(例、デンプン等)、および/または潤滑剤(例、タルクまたはステアリン酸マグネシウム等)、かつ場合により安定剤と混合した状態で、活性成分を含有することが可能である。軟質カプセルにおいて、該活性化合物は、適切な液体(例、脂肪油、液状パラフィン、または液状ポリエチレングリコール等)中に溶解または懸濁されうる。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与用の全ての配合は、上記の投与に適切な投薬量であるのが望ましい。頬側投与に関して、該組成物は、従来の方法で配合された錠剤またはロゼンジの形態を取ることが可能である。
【0056】
吸入投与に関して、本発明に基づいて使用される化合物は、好都合なことに、エアロゾルスプレー製剤の形態において、適切な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ−フルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体等)を使用して、加圧パックまたは噴霧器から送達される。加圧エアロゾルの場合、その投与単位は、計量される量を送達するためにバルブを提供することにより、決定されうる。吸入器用の例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、上記化合物と適切な粉末塩基(例、ラクトースもしくはデンプン等)との粉末混合物を含有して配合されうる。
【0057】
上記化合物は、注射による(例えば、大量瞬時投与または連続注入による)非経口投与用に配合されうる。注射用の配合は、例えば、アンプル中にまたは複数回用量の容器内に、添加された防腐剤と一緒に、単位投与剤形で存在しうる。該組成物は、油性または水性媒体中に、懸濁液、溶液または乳濁液としての形態を取ることが可能であり、また懸濁剤、安定剤および/または拡散剤などの配合剤(formulatory agent)を含有することが可能である。
【0058】
非経口投与用の医薬製剤として、水溶性形態における活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性の注射用懸濁液として調製されうる。適切な親油性溶媒または媒体として、脂肪油(例、ゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)、或いはリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を増強させる物質(例、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストラン等)を含有できる。場合により、上記懸濁液は、適切な安定剤、または化合物の溶解度を増大させて非常に高濃度の溶液の製剤を見込む薬剤も、含有することができる。別の方法として、上記活性成分は、使用前に、適切な媒体(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)との組成のため、粉末の形態で存在しうる。上記化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来型の座剤基剤を含有する直腸組成物(rectal compositions)(例、座薬または保留浣腸)に配合されうる。
【0059】
前記の配合物に加えて、上記化合物は、デポー製剤として配合されることが可能である。このような持効性配合物は、埋め込み(例えば皮下もしくは筋肉内に)により、或いは筋肉内注射により、投与されうる。従って、例えば、上記化合物は、適切な高分子もしくは疎水性材料(例えば許容範囲の油中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂と、或いは、やや難溶の誘導体として(例えば、やや難溶の塩として)配合されうる。
【0060】
本発明の疎水性化合物のための医薬担体は、ベンジルアルコール、無極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水性相を含んでなる共溶媒系である。該共溶媒系は、VPD共溶媒系でありうる。VPDは、無水エタノールで希釈した、3%w/vベンジルアルコールと、8%w/vの無極性界面活性剤ポリソルベート80と、65%w/vポリエチレングリコール300との溶液であり、VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液に溶かした5%デキストロースで1:1に希釈したVPDからなる。この共溶媒系は、疎水性化合物をよく溶かし、それ自体、全身投与の際に低い毒性を生じる。当然、共溶媒系の比率は、その溶解度および毒性の特性を破壊せずに、かなり変えられうる。さらに、同一性の共溶媒成分は、変えられる。例えば、ポリソルベート80の代わりに、他の低毒性の無極性界面活性剤を使用することが可能である。ポリエチレングリコールの分画サイズは、変更されうる。ポリエチレングリコールの代わりに、他の生体適合性ポリマーを用いることが可能である(例えば、ポリビニルピロリドン)。デキストロースの代わりに、他の糖または多糖を使用することが可能である。
【0061】
別の方法として、疎水性医薬化合物に関する他の送達系を利用することが可能である。リポソームと乳濁液は、疎水性薬剤のための送達媒体または担体の公知の例である。特定の有機溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)も、通常さらに高い毒性という代償を払うが、使用できる。さらに、上記化合物は、徐放系(例、治療薬を含有する固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリックス等)を用いて、送達されうる。種々の徐放性材料が、確立されており、当業者は周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に応じて、数週間から最大100日超まで、化合物を放出することが可能である。治療目的の試薬の化学的性質と生物安定性に応じて、タンパク質および核酸の安定化に向けてのさらなる方策が、利用されうる。
【0062】
医薬組成物は、さらに、適切な固体相担体もしくはゲル相担体または賦形剤を含んでなることが可能である。このような担体または賦形剤の例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー(例、ポリエチレングリコール等)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0063】
本発明の化合物は、薬学的に相溶性の対イオンを有する塩として提供されうる。薬学的に相溶性の塩は、多種の酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、リン酸、臭化水素酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、アルカン酸(例、酢酸、HOOC−(CH−CH(nが0〜4である場合)等)などが挙げられるが、それらに限定されない)で形成されうる。塩は、水性溶媒中で、または対応する遊離塩基形態の他のプロトン溶媒中で、かなりよく溶ける傾向がある。無毒性医薬の塩基付加塩として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム等の塩基の塩が挙げられる。当業者は、多種多様の無毒性で薬学的に許容できる付加塩を認識しているだろう。
【0064】
局所投与に関して、上記の化合物は、上記活性化合物を当技術分野で周知の薬学的に許容できる担体と組み合わせることにより、容易く配合されうる。上記の担体により、本発明の化合物は、局所的塗布のための、ゲル、スラリー、懸濁液および軟膏として配合されることが可能となる。所望ならば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、或いはそれらの塩(例、アルギン酸ナトリウム等)などの崩壊剤も添加可能である。
【0065】
本発明の化合物の医薬組成物は、多様の手段(全身投与、局部投与、または局所投与など)を介して、配合され、投与されうる。配合および投与の技法は、「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」ペンシルベニア州イーストンのマック出版社(Mack Publishing Co.,Easton,PA)において確認されうる。投与の方法は、体内の所望の標的部位への送達を最大にするように選択されうる。適切な投与経路として、例えば、経口、直腸、経粘膜、経皮、または腸投与が挙げられうる。非経口の送達(筋肉内注射、皮下注射、および髄内注射、さらに髄腔内、直接脳室内(direct intraventricular)、静脈、腹腔内、鼻腔、または眼内注射を含む)も企図される。
【0066】
別の方法として、例えば、多くの場合デポー製剤もしくは徐放性配合剤において、特異的組織内に上記化合物を直接注射するにより、全身よりむしろ局部に上記化合物を投与することが可能である。
【0067】
本発明に使用するのに適切な医薬組成物として、その意図する目的を達成するのに有効な量において活性成分を含有する組成物が、挙げられる。さらに具体的には、治療上の有効量は、発症を防ぐのに有効な量、或いは治療中の患者の既存の症状を緩和するのに有効な量を意味する。有効量の定量は、特に本明細書に提供される詳細な開示内容を考慮して、当業者の能力の範囲内で十分である。
【0068】
本発明の方法に使用される任意の化合物に関して、治療上効果的な用量は、本明細書に開示される細胞培養アッセイから最初に見積もることが可能である。例えば、ある用量を動物モデルに配合して、細胞培養における定量としてEC50(50%増加に対する有効用量)、つまり、最大半分の細菌細胞増殖を阻害する試験化合物の濃度を含む血中濃度範囲を達成することが可能である。上記の情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をさらに正確に決定できる。
【0069】
しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、利用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、身体全体の健康、性別、食事、投与時間、投与経路、および排出量、薬剤の組み合わせ、治療中の特定疾患の重症度および処方医師の判断を含む多様な要素により、変わりうることは、理解されるだろう。
【0070】
ヒト以外の動物への投与に関して、上記薬剤または上記薬剤を含有する医薬組成物を、動物飼料もしくは飲料水に添加してもよい。動物が適切な量の薬剤をその食餌と共に摂取するように、動物飼料および飲料水製品を所定量の上記薬剤と配合することは、便利であろう。動物が消費するほぼ直前に、飼料または飲料水に、薬剤を含有する事前混合物を添加することは、便利であろう。
【0071】
好適な本発明の化合物は、特定の薬理学的性質を有しうる。このような性質として、経口生物学的利用能、低毒性、血清タンパク質結合の低下、ならびに所望のin vitroおよびin vivoでの半減期が挙げられるが、それらに限定されない。上記の所望の薬理学的性質を予測するのに、アッセイを用いてもよい。生物学的利用能を予測するのに使用されるアッセイとして、ヒト腸細胞の単一層(Caco−2細胞の単一層を含む)における輸送が挙げられる。アルブミン結合試験法から、血清タンパク質結合を予測してもよい。このようなアッセイは、オラブコバら(Oravcova et al)により総説(1996年、J.Chromat.B 677:1−27)に記載されている。化合物の半減期は、化合物の投薬量の頻度に反比例する。in vitroでの化合物の半減期は、クーンズおよびギエスケン(Kuhnz and Gieschen)(「薬物代謝および分布(Drug and Disposition)」(1998年)第26巻、1120〜1127頁)に記載されているミクロソームの半減期のアッセイから予測されうる。
【0072】
上記化合物の毒性および治療効果は、細胞培養または実験動物において、標準の薬学的方法、例えば、LD50(母集団の50%が死亡する用量)およびED50(母集団の50%に治療効果がある用量)を測定する方法により、確定される。毒性と治療効果との用量比は、その治療指数であり、その指数は、LD50とED50の比として表されうる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。上記の細胞培養アッセイおよび動物治験から得られるデータは、ヒトへの使用のための投薬量範囲を明確に定める際に、使用されうる。上記の化合物の投薬量は、毒性が殆どないかまたは無毒でのED50を含む血中濃度の範囲内にあるのが好ましい。上記投薬量は、使用する投薬形態や使用する投与経路により、上記の範囲内で変わりうる。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して、個々の医師により選択されうる。(例えば、フィングル(Fingl)らの1975年、「治療法の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」第1章、1頁を参照のこと)。
【0073】
投薬量および投薬間隔は、細菌細胞の増殖阻害効果を維持するのに十分である活性部分の血漿濃度を提供するように、個々に調節されうる。通常の患者の全身投与での投薬量は、100〜2000mg/日の範囲である。患者の体表面積の観点から記載すると、通常の投薬量は、50〜910mg/m/日の範囲である。通常の平均血漿濃度は、0.1〜1000μM以内に維持されるのが望ましい。局所投与または選択的取り込みの場合において、化合物の効果的な局所濃度は、血漿濃度に相関し得ない。
【0074】
本発明の化合物は、動物とヒトの両方の疾患(例として、放線菌症、炭疽、細菌性赤痢、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、蜂窩織炎、コレラ、結膜炎、膀胱炎、ジフテリア、細菌性心内膜炎、喉頭蓋炎、胃腸炎、鼻疽、淋病、レジオネラ症、レプトスピラ症、細菌性髄膜炎、疫病、細菌性肺炎、産褥性敗血症、リウマチ熱、ロッキー山紅斑熱、猩紅熱、連鎖球菌性咽頭炎、梅毒、破傷風、結核、野兎病、腸チフス、チフス、および百日咳が挙げられるが、それらに限定されない)の治療のための抗生物質として有用である。
【0075】
全ての論文および引用文献(特許および特許出願を含む)の本出願における開示内容は、その全体を参照として本明細書に組み入れられている。
【0076】
本発明の化合物は、新規のクラスの広域スペクトル抗生物質を含んでなる。本発明の阻害剤の抗菌活性に適切である標的を提供する医学的に重要な細菌性種として、グラム陽性菌(スタフィロコッカス(Staphylococcus)種およびストレプトコッカス(Streptococcus)種などの球菌を含む);抗酸菌(マイコバクテリウム(Mycobacterium)種を含む);桿菌(バシラス(Bacillus)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種およびクロストリジウム(Clostridium)種を含む);糸状菌(アクチノミセス(Actinomyces)種およびストレプトミセス(Streptomyces)種を含む);グラム陰性菌(ナイセリア(Neisseria)種およびアシネトバクター(Acinetobacter)種などの球菌を含む);桿菌(例、シュードモナス(Pseudomonas)種、ブルセラ(Brucella)種、アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、ボルデテラ(Bordetella)種、大腸菌(Escherichia)種、シゲラ(Shigella)種、エルシニア(Yersinia)種、サルモネラ(Salmonella)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、ヘモフィルス(Haemophilus)種、パスツレラ(Pasteurella)種、およびストレプトバシラス(Streptobacillus)種;スピロヘータ(spirochetal)種、カンピロバクター(Campylobacter)種、ビブリオ(Vibrio)種など);および細胞内細菌(リケッチア(Rickettsiae)種およびクラミジア(Chlamydia)種を含む)が挙げられる。
【0077】
本発明の抗生物質の標的である特異的細菌種として、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus);スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus);ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes);ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae);ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae);エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis);エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium);炭疽菌(Bacillus anthracis);マイコバクテリウム・エイビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・ツベルキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii);コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria);クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens);クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum);クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani);ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae);ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis);シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa);レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila);大腸菌(Escherichia coli);エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis);ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori);カンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus);カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、;ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae);ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahemolyticus);トレポメーナ・パリダム(Trepomena pallidum);アクチノマイセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii);発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii);斑点熱リケッチア(Rickettsia rickettsii);クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis);クラミジア・シッタシイ(Chlamydia psittaci);ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus);アグロバクテリウム・ツメフェイシェンス(Agrobacterium tumefaciens);およびフランシセラ・ツラレンシス(Franscisella tularensis)が挙げられる。
【0078】
本発明の阻害剤の抗真菌活性に適切である標的を提供する医学的に重要な真菌種および酵母種として、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、トリコフィトンメンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、マイクロポリウム・カニス(Microporium canis)、アスペルギルス(Aspergillus)種、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、コクシディオデス・イミチス(Coccidiodes immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)およびパラコッキジオデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)が、挙げられる。
【0079】
本発明の手順を実施する際に、特定の緩衝液、媒体、試薬、細胞、培養状態等に関しては、限定するつもりはないが、論議されている特定の背景において、当業者が関心または価値があると認識しているだろう全ての関連材料を含むように、解釈されることは、当然理解されることである。例えば、ある緩衝液系または培養基を別のものと代えても、同一でないにしても、同様の結果を達成できることは、多くの場合において可能である。当業者は、このような系および方法論の十分な知識を持っているので、本明細書に開示した方法および手順を用いる際に、過度の実験をすることなく、それらの目的を最適に果たすような代わりのものを生み出すことができるだろう。
【0080】
本発明は、以下の非限定の実施例において、さらに詳細に記載される。これらの方法および実施例は、本明細書に記載された実施形態に本発明を決して限定しないし、当業者が、おそらく、他の実施形態および使用を思いつくだろうことは、理解されることである。
【0081】
本発明の化合物は、米国臨床検査標準化協会(NCCLS)(参照、NCCLS基準(Document)M7−A3、1993−抗菌剤感受性試験法(Antimicrobial Susceptibility Testing))により規定された指標基準および手順に従って、それらの抗菌活性に対して評価される。
【0082】
MIC測定のためのプロトコル
MIC測定に有用なプロトコルは、以下の通りである。
1.試験化合物約2.5mgをクライオバイアル内で秤量した。
2.試料にDMSOを適宜に加えて、5mg/mLの保存液を作製した。
3.5mg/mL保存液を用いて、無菌の蒸留水を適宜に加え、256μg/mLの作用液を作製した。
4.以下の通り培養液と化合物を有する96穴プレートを装填するように、ベックマン2000自動ワークステーション(Beckman 2000 Automated Workstation)をプログラムした。
−100μLの適切な培養液をカラム1〜11に加える。
−200μLの適切な培養液をカラム12加える。
−256μg/mLの作用液での100μLの化合物をカラム1(列あたり1化合物)に加える。
−カラム1〜10を2倍系列希釈する。
−カラム11を増殖対照とした。
5.−80℃で保存した保存バイアルから、10の生物体パネルを平板培養し、34℃で24時間インキュベートした。次に、その生物体を2次培養し、34℃で24時間インキュベートした。
−620nmの波長で0.09〜0.11吸光度の標的で、接種材料を無菌の蒸留水中で最初に調製した。
−1/100希釈物を適切な培養液にした。
−生物体を有する100μLの培養液をカラム1〜11に加える。
−カラム12をブランク対照とした。
6.完了した96穴プレートを34℃で24時間インキュベートした。次に、96穴プレートを、ベックマン自動プレートリーダー(Beckman Automated Plate Reader)を用いて、650nm波長で読み取った。増殖対照(カラム11)とブランク対照(カラム12)に関する計算により、MICを測定した。
【0083】
抗真菌のin vitroでのMIC測定のためのプロトコル
抗真菌活性を測定に有用なプロトコルを以下に記載する。
【0084】
調製
実験開始の1〜2週前に、培地を調製する。使用に先立って、培地を冷蔵室(4℃)内に保管する。
・サブローデキストロース寒天培地プレート:
1.粉末サブローデキストロース寒天培地65gを、穏やかに攪拌しながら、1LのdHOに加える。
2.121℃、22psiで15分間オートクレーブする。
3.培地を約50℃まで冷却させる。
4.20mLのアリコットで、100×15mmの減菌済みのペトリ皿に培地を注ぐ。
・RPMI 1640+MOPS培養液:
1.1包みの粉末RPMI培地を1LのdHO(15℃〜30℃)に穏やかに攪拌しながら加える。
2.2gのNaHCOを加える。
3.34.5gのMOPSを加える。
4.NaOHまたはHClを用いて、pHを7.0に調節する。
5.膜濾過(0.22ミクロンのセルロースアセタートフィルター)で滅菌する。
・無菌の生理食塩水(0.9%)
1.1LのdHOに9gのNaClを溶かす。
2.121℃、22psiで15分間オートクレーブする。
・無菌のdH
1.121℃、22psiで15分間、dHOをオートクレーブする。
【0085】
手順
1.−80℃で保存した保存バイアル(20%グリセロールで培養液中に懸濁した)から、10の生物体パネルを平板培養し、37℃で24時間インキュベートした。次に、その生物体を2次培養し、37℃で24時間インキュベートした。これらは、段階6のための新鮮な接種材料を調製するのに、使用される。
2.試験化合物の約2.5mgを2mLのクライオバイアル内で秤量した。参照化合物として、フルコナゾール、アンホテリシンBおよびイトラコナゾールを試験する。
3.サンプルにDMSOを適宜に加えて、5mg/mLの保存液を作製する。ボルテックスだけで溶解しない化合物を超音波処理する。
4.5mg/mLの保存液を用いて、256μg/mLの作用液を作製し、無菌の蒸留水を適宜に加える。
5.96穴プレートを使用して、MIC測定をする。各々8列を用いて、種々の化合物を試験することが可能である。化合物を第一カラムに装填し、カラム1〜10から2倍希釈物を作製した。カラム11は、増殖対照(化合物なし)であり、カラム12は、ブランク対照(化合物も生物体もなし)である。以下の通り、培養液と化合物を手動で添加した。
・100μLのRPMI+MOPS培養液をカラム1〜11に加える。
・200μLのRPMI+MOPS培養液をカラム12に加える。
・256μg/mLの作用液での100μLの化合物をカラム1(列あたり1化合物)に加える。
・カラム1〜10を2倍系列希釈する。
・カラム11を増殖対照(培地+生物体のみ)とする。
6.2次培養した生物体を用いて、96穴プレートでの試験のための新鮮な接種材料を調製する。各96穴プレートは、異なる生物体を試験する。
・2次培養した生物体(段階1)からのコロニーを用いて、無菌の生理食塩水で接種材料を調製する。NovospecII分光光度計を用いて、標的を530nm波長で70〜75%の透過率に調節する。
・1/1000希釈物をRPMI+MOPS培養液にする。
・生物体を伴うこの培養液100μLをカラム1〜11に加える(カラム12は、ブランク対照とする)。
7.完了した96穴プレートを37℃で24時間インキュベートした。次に、96穴プレートをベックマン自動プレートリーダー(Beckman Automated Plate Reader)を用いて、650nm波長での吸光度に関して読み取る。
【0086】
計算
ベックマン自動プレートリーダーから読み取った吸光度を用いて、各試験穴に関して阻害パーセントを測定する。使用する式は、以下の通りである。
%阻害=[1−(ABStest−ABSblank)/(ABSmean growth−ABSblank)]×100%
ABStest:試験穴の吸光度
ABSblank:試験穴(カラム12)と同じ列のブランク穴の吸光度
ABSmean growth:増殖対照穴(カラム11)の平均吸光度
【0087】
最小阻害濃度(MIC)は、阻害パーセントが80%以上である化合物の最低濃度で、確認される。
【0088】
上記の手順を用いて、以下の表の結果を得た。化合物10〜123の代表的微生物データを、mL当りのマイクログラムとして表した値でMIC(最小阻害濃度)として、表1〜4に示す。
【0089】
従って、本発明は、一般的にボリン酸錯体と称され、最も好ましくは二置換ボリン酸から誘導される抗生物質を提供する。
【0090】
ボリン酸錯体
本発明の化合物の合成は、いくつかの形式において達成される。反応スキーム#1は、中間生成物ボリン酸の合成と、続いておこるそれらの所望のボリン酸錯体への変換とを例示する。RとR**が同一である場合、2当量のハロゲン化アリールマグネシウム(またはアリールリチウム)とホウ酸トリアルキルの反応は、酸性加水分解の後に、所望のボリン酸5を生じる。RとR**が同一でない場合、1当量のハロゲン化アリールマグネシウム(またはアリールリチウム)と、適切なホウ酸アリール(ジアルコキシ)(4)、ホウ酸ヘテロアリール(ジアルコキシ)またはホウ酸アルキル(ジアルコキシ)(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、またはプロポキシ部分を含むアルコキシ基)との反応は、酸性加水分解の後に、優れた収量で非対称のボリン酸6を生じる。適切である場合、アルキレンエステル(3,T=無、CH、CMe)と適切な有機セリウム、有機リチウム、有機マグネシウムまたは同等の反応物との反応は、都合がよい。
【0091】
スキーム1に示す通り、適切な溶媒(つまり、エタノール、イソプロパノール、ジオキサン、エーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、またはテトラヒドロフラン)中での1当量の所望の複素環配位子の反応により、前駆体ボリン酸から、ボリン酸錯体を得る。
【化9】

【0092】
特定の状況において、本発明の化合物は、1個もしくは複数個の不斉炭素原子を含有することがあり、その結果、上記化合物は、異なる立体異性の形態で存在する。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性形態でありうる。上記の状況で、単一の鏡像異性体、つまり光学活性形態は、不斉合成により、またはラセミ体の分割により、得られうる。ラセミ体の分割は、例えば、従来型の方法(例、分解剤の存在下での晶化、または例えばキラルHPLCカラムを使用してのクロマトグラフィー等)により、達成されうる。
【0093】
ピコリン酸錯体の予期しない安定性
式2の化合物を調製中に、本発明者らは、ヒドロキシメチル型ボリン酸エステル、例えば2−ヒドロキシメチル−ピリジン(RがH、AがCH、DがCH、EがH、mが0、rが2、GがHである)を含有する錯体は、典型的なHPLC条件下では安定でないことを見出した。例えば、図1Aおよび1Bに示す2−ヒドロキシメチルピリジン錯体は、両方とも2つのピークとして溶出され(1つは溶媒の先端で、もう1つはかなり後に)、いくつかの方法の分解が、HPLCプロセス中に、起こったことを示唆している。これは、重大な問題を引き起こす。不安定性の問題は、このクラスの化合物が薬剤候補として開発されるのを妨害する。しかしながら、続いて、ピコリン酸錯体(例えば、RがH、AがCH、DがCH、EがH、mが0、rが1、Gが=O(二重結合した酸素)である)は、同一のHPLC条件下で、安定であったことがわかった。例えば、図2Aおよび2Bに示すピコリン酸錯体は、単一のピークとして溶出する錯体を示し、錯体の分解が起こらなかったことを示唆している。ピコリン酸クラスの生物活性は、ヒドロキシメチルピリジン錯体に匹敵するか、或いはより優れているので、ピコリン酸錯体を理想創薬候補とする。
【0094】
【表1】

【0095】
代表的な本発明の化合物として、本明細書に開示した化合物およびそれらの薬学的に許容できる酸および塩基付加塩が挙げられるが、それらに限定されない。さらに、本発明の化合物が、酸付加塩として得られるならば、その遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性化することにより、得られることができる。反対に、生成物が、遊離塩基であるならば、付加塩、特に薬学的に許容できる付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来型手順に従って、適切な有機溶媒中に遊離塩基を溶かし、その溶液を酸で処理することにより、生成されうる。好適な一実施形態において、本発明の化合物は、任意の化合物10〜123(表1、2、3および4)およびそれらの異性体を含んでなる。
【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
【表7】

【0102】
本発明は、さらに、本発明の化合物のアシル化されたプロドラックも包含する。当業者は、本発明の化合物の無毒性の薬学的に許容できる付加塩およびアシル化されたプロドラックを調製するのに使用する様々な合成方法論を認識しているだろう。
【0103】
表1〜4は、周知の抗生物質の阻害活性を含み、各表の末尾に示す。
【実施例】
【0104】
バリアン(Varian)AS 400およびマーキュリプラス(MercuryPlus)300MHz分光計で、プロトンNMRを記録し、テトラメチルシランを基準としてδ(ppm)で、化学シフトを報告する。マイクロマス・クアットロ(Micromass Quattro)IIおよびアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)AP3000で、質量スペクトルを測定する。化合物番号は、括弧内に記載され、表1〜4における番号と一致している。
【0105】
エチレングリコールボロン酸エステル(3,T=無)の生成
一般的手順
窒素下で、乾燥THF、乾燥トルエンまたは乾燥ジエチルエーテル(約10mL/g)に、ボロン酸を溶かした。エチレングリコール(1モル当量)を反応液に加え、反応液を加熱して1〜4時間還流させる。反応液を室温まで冷却させ、減圧下で、溶媒を除去し、オイルまたは固体として、エチレングリコールエステルが残った。オイルが得られた場合、或いはヘキサン中に溶解する固体の場合、乾燥ヘキサンを加え、減圧下で除去した。次に、数時間、生成物を高真空下に置いた。ヘキサンに不溶の固体が得られた場合、その固体を濾過で回収して、冷ヘキサンで洗浄した。
【0106】
3−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(3a)
窒素下で、乾燥THF(10mL)中に、3−シアノフェニルボロン酸(1g、6.8mmol)を溶かした。エチレングリコール(379μL、422mg、6.8mmol)を加え、反応液を加熱させて4時間還流させ、室温まで冷却させた。ロータリーエバポレーターにより、THFを除去し、白色固体を得た。冷ヘキサンを加え、生成物を濾過で回収して、白色固体(1.18g、量子収量)を得た。H−NMR(300.058MHz,DMSO−d6)δppm7.92−8.01(3H,m),7.50−7.64(1H,m),4.35(4H,s)
【0107】
チオフェン3−ボロン酸エチレングリコールエステル(3b)
窒素下で、乾燥THF(10mL)中に、チオフェン−3−ボロン酸(1g、7.8mmol)を溶かした。エチレングリコール(435μL、484mg、7.8mmol)を加え、反応液を加熱させて1時間還流させた後、室温まで冷却させた。ロータリーエバポレーターにより、THFを除去し、白色固体を得た。ヘキサンを加え、固体を溶かし、ロータリーエバポレーションにより除去した。生成物を高真空下に置き、黄褐色固体(1.17g、97%)を得た。H−NMR(300.058MHz,CDCl)δppm7.93(1H,S),7.3−7.4(2H,m),4.35(4H,s)
【0108】
3−フルオロフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(3c)
トルエン(200mL)中に溶かした3−フルオロフェニルボロン酸(7.00g、50.0mmol)とエチレングリコール(2.8mL、50mmol)の混合液を、ディーン・スターク(Dean−Stark)条件下で、加熱させて3時間還流させた。減圧下で溶媒を除去し、3−フルオロフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(7.57g、91%)を得た。
【0109】
ボロン酸エチレングリコールエステルから非対称ボリン酸(6)の生成
一般的手順A:グリニャール方法論
窒素下で、乾燥THF(10〜20mL/g)中に、ボロン酸エチレングリコールエステルを溶かした。溶液をアセトン/乾燥氷浴内で−78℃まで冷却、或いは氷/水浴内で0℃まで冷却した。冷却した溶液に、グリニャール試薬(0.95〜1.2モル当量)を一滴ずつ加えた。反応液を室温まで暖め、3〜18時間攪拌した。6NのHCl(2mL/g)を加え、溶媒を低真空下で除去した。ジエチルエーテル(40mL/g)中に生成物を抽出して、水で洗浄した(3×同量)。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過して、ロータリーエバポレーションにより、溶媒を除去して、粗生成物を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製するか、或いは精製しないで次の段階に取っておいた。別の試案:ボリン酸生成物が、塩基性基(例、アミンまたはピリジン等)を含有するならば、室温で3〜18時間攪拌した後、水(2mL/g)を加え、pHを5〜8まで調節した。生成物を、ジエチルエーテルまたはエチルアセタート或いはTHF中で、最大3回(40mL/g)まで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過して、ロータリーエバポレーションにより、溶媒を除去して、粗生成物を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製するか、或いは精製しないで次の段階に取っておいた。
【0110】
(4−シアノフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸(6a)
窒素下で、乾燥THF中に、4−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(500mg、2.89mmol)を溶かした。溶液をアセトン/乾燥氷浴内で−78℃まで冷却し、その冷却した溶液に、3−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中に1M)(2.74mL、2.74mmol、0.95モル当量)を一滴ずつ加えた。反応液を室温まで徐々に暖め、18時間攪拌した。反応液に6NのHCl(1mL/g)を加えて、不透明に見えるようになり、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒を除去した。ジエチルエーテル(20mL)中に生成物を抽出して、水で洗浄した(3×20mL)。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒を除去して、油性固体として粗生成物を得た。その粗生成物は、精製しないで、次の段階に取っておいた。
【0111】
一般的手順B:(ヘテロ)アリール−リチウム方法論
窒素下で、乾燥THF(20〜30mL/g)中に、臭化(ヘテロ)アリールまたはヨウ化(ヘテロ)アリールを溶かし、ガス抜きした。アセトン/乾燥氷浴内で、溶液を−78℃まで冷却し、THFもしくは他の溶媒(1.2〜2.4モル当量)に溶かしたn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウムを、冷却した溶液に一滴ずつ加える(通常、溶液が徐々に濃黄色に変わる)。窒素下で、乾燥THFまたはジエチルエーテル(2〜10mL/g)中に、ボロン酸エチレングリコールエステル(1モル当量)を溶かした。THFに溶かしたボロン酸エチレングリコールエステルを、冷却したアリール−リチウム溶液に一滴ずつ加えた(通常、溶液が徐々に浅黄色に変わる)。反応液を室温まで暖め、1〜18時間攪拌した。6NのHCl(2〜4mL/g)を加え、低真空下で、溶媒を除去した。ジエチルエーテル(40mL)中に生成物を抽出して、水で洗浄した(3×同量)。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過して、ロータリーエバポレーションにより、溶媒を除去して、粗生成物を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製するか、或いは精製しないで次の段階に取っておいた。別の試案:ボリン酸生成物が、塩基性基(例、アミンまたはピリジン等)を含有するならば、室温で3〜18時間攪拌した後、水(2mL/g)を加え、pHを5〜8まで調節した。生成物を、ジエチルエーテルまたはエチルアセタート或いはTHF中で、最大3回(40mL/g)まで抽出し、水で洗浄した(3×同量)。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過して、ロータリーエバポレーションにより、溶媒を除去して、粗生成物を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製するか、或いは精製しないで次の段階に取っておいた。
【0112】
(3−チエニル)(3−クロロフェニルボリン酸(6b)
窒素下で、乾燥THF(15mL)中に、3−クロロ−ブロモベンゼン(447μL、728mg、3.8mmol)を溶かした。その溶液を脱ガスして、アセトン/乾燥氷浴内で−78℃まで冷却し、tert−ブチルリチウム(THF中に1.7M)(4.47mL、7.6mmol、2モル当量)を、冷却した溶液に一滴ずつ加え、溶液が徐々に濃黄色に変わった。乾燥ジエチルエーテル(1mL)中に、3−チオフェンボロン酸エチレングリコールエステル(586mg)を溶かしながら、−78℃で溶液を攪拌した。冷却した溶液に、ボロン酸エステル溶液を一滴ずつ加え、溶液の色が浅黄色に変化した。反応液を室温まで暖め、18時間攪拌した。6NのHCl(2mL)を加え、反応液を1時間攪拌した。ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒を除去した。ジエチルエーテル(10mL)中で、生成物を抽出し、水で洗浄した(2×10mL)。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒を除去して、オレンジオイルとして、粗生成物を得た。その生成物を、シリカゲルと、溶離液としてヘキサン:エチルアセタート=5:1を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製して、透明オイル(614mg、73%)として純粋な生成物を得た。
【0113】
(3−クロロフェニル)ビニルボリン酸(6c)
3−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとビニルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0114】
(3−フルオロ−5−クロロフェニル)エチニルボリン酸(6d)
3−フルオロ−5−クロロフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとエチニルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0115】
(4−メチル−3−クロロフェニル)(2−チエニル)ボリン酸(6e)
2−チエニルボロン酸エチレングリコールエステルと4−メチル−3−クロロフェニルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0116】
(4−シアノフェニル)エチニルボリン酸(6f)
4−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとエチニルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0117】
(3−フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸(6g)
3−フルオロフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとシクロプロピルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0118】
(3−チエニル)メチルボリン酸(6h)
3−チエニルボロン酸エチレングリコールエステルとメチルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0119】
(4−ピリジル)フェニルボリン酸(6i)
フェニルボロン酸エチレングリコールエステルと4−ピリジルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0120】
(3−シアノフェニル)(2−フルオロフェニル)ボリン酸(6j)
3−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルと2−フルオロフェニルリチウムとの反応により、6bで記載した方法と同様な方法で、この化合物を調製した。
【0121】
4−(ジメチルアミノメチル)フェニル3−フルオロフェニルボリン酸(6k)
窒素雰囲気下、−78℃で、THF(14mL)中に溶かしたN,N−ジメチル−4−ブロモベンジルアミン(1.50g、7.00mmol)の溶液に、Sec−ブチルリチウム(シクロヘキサン中に1.4M、6.0mL)を加え、混合液を15分間攪拌した。THF(7mL)に溶かした3−フルオロフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(1.16g、7.00mmol)を混合液に加えた。反応液を室温まで暖め、1時間攪拌した。水を加え、混合液をエーテルで洗浄した。1Mの塩酸で、pHを8に調節した。エチルアセタートで、混合液を2回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、ボリン酸(890mg、49%)を得た。
【0122】
有機金属とホウ酸トリアルキルの反応による対称ボリン酸(5)の生成。ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸(5a)(手順C)
乾燥テトラヒドロフラン(THF、25mL)に溶かしたホウ酸トリメチル(0.37mL)の冷溶液(−78℃)を、4−クロロフェニルマグネシウムブロミド(6.75mL、エーテル中に1M溶液)で一滴ずつ処理した。反応混合液を、−78℃で、1時間攪拌した後、室温で18時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去した。結果としての残渣を100mLのエーテルと15mLの6N塩酸と一緒に攪拌した。有機層を分離して、水性層をエーテル(2×100mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物を塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去して、淡黄色の固体を得た。生成物を、シリカゲル(Hex:エーテル=1:1)でクロマトグラフィーにかけて、420mgのボリン酸を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ:5.84(s,OH),7.46(d,4H、Ar−H),7.72(d,4H、Ar−H)
【0123】
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(5b)
5aと同様の方法で、3−クロロ−4−メチルフェニルマグネシウムブロミドとホウ酸トリメチルとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0124】
ビス(3−フルオロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(5c)
5aと同様の方法で、3−フルオロ−4−メチルフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0125】
ビス(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸(5d)
5aと同様の方法で、3−クロロ−4−メトキシフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0126】
ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸(5e)
5aと同様の方法で、3−フルオロ−4−メトキシフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0127】
有機金属とアルキル(またはアリールもしくはアルケニル)アルコキシボランとの反応による非対称ボリン酸(6)の生成。(4−クロロ−フェニル)メチル−ボリン酸(6m)(手順D)
−78℃で、4−クロロフェニルマグネシウムブロミド(5.5mL、エーテル中に1M溶液)に、ジ(イソプロポキシ)メチルボラン(1mL、0.78g)を注射器で一滴ずつ加えた。反応混合液を−78℃で1時間攪拌した後、周囲温度で一晩攪拌した。反応混合液を100mLのエーテルと15mLの6N塩酸で一滴ずつ処理し、1時間攪拌した。有機層を分離して、水性層をエーテル(2×100mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物を塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、1.1gのオイルを得た。生成物のH−NMRは、(4−クロロフェニル)メチルボリン酸と一致した。
【0128】
(4−フルオロフェニル)メチルボリン酸(6n)
6mと同様の方法で、4−フルオロフェニルマグネシウムブロミドとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0129】
(4−ビフェニル)メチルボリン酸(6o)
6mと同様の方法で、4−ビフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0130】
(3−クロロ−4−メチルフェニル)メチルボリン酸(6p)
6mと同様の方法で、3−クロロ−4−メチルフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0131】
(3−クロロ−4−メトキシフェニル)メチルボリン酸(6q)
6mと同様の方法で、3−クロロ−4−メトキシフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0132】
(4−ジメチルアミノフェニル)メチルボリン酸(6r)
6mと同様の方法で、4−ジメチルアミノフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0133】
(3−ピリジル)ビニルボリン酸(6s)
3−ブロモピリジン(1.60g、10.0mmol)をTHF(15mL)に溶かした溶液に、窒素雰囲気下、室温で、イソプロピルマグネシウムクロリド(THF中に2.0M)(5.0mL、10mmol)を加えた。混合液を1時間攪拌した。ビニルボロン酸ジブチルエステル(3.4mL)を、反応に一滴ずつ加え、その混合液を室温で、18時間攪拌した。水を加え、1Mの塩酸で、pHを7に調節した。エチルアセタートで、混合液を抽出した。有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下で、溶媒を除去し、標題化合物(1.04g、78%)を得た。
【0134】
(3−クロロ−4−ジメチルアミノフェニル)ビニルボリン酸(6t)
6sと同様の方法で、3−クロロ−4−ジメチルアミノフェニルリチウムとビニルボロン酸ジブチルエステルとの反応から、標題化合物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、生成物を得た。
【0135】
ボリン酸−アルキルアルコール誘導体
ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸4−(ヒドロキシエチル)イミダゾールエステル(121)
ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸(0.4g、1.428mmol)をエタノール(10mL)に溶かした溶液に、4−(ヒドロキシエチル)イミダゾールハイドロクロリド(0.191g、1.428mmol)、重炭酸ナトリウム(0.180g、2.143mmol)を加え、反応混合液を室温で18時間攪拌した。塩を濾過で除去した。濾液を濃縮して、ヘキサンで処理して、固体として生成物を得て、濾過により、回収した(450mg、84.9%収量)。H−NMR(CDOD)δ(ppm)2.92(t,2H),3.82(t,2H),7.0−7.2(m,9H),7.90(s,1H);(ES)(m/z)343.11,MF C1715BCl
【0136】
ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(126)
実施例121と同様の方法で、ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸と4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールハイドロクロリドとの反応から、標題化合物を得た。白色結晶として、生成物を得た。(ES)(m/z)328.79,MF C1613BCl
【0137】
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)−イミダゾールエステル(127)
メタノール(5mL)に溶かした1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール(96mg、0.521mmol)の溶液に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(121mg,0.521mmol)を加え、反応混合液を室温で、2時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、その残渣をヘキサンで処理して、固体を得た。濾過により、生成物を単離して、ヘキサンで洗浄し、生成物(193mg、83%)を得た。H−NMR(CDCl)δ:2.3(s,6H、2XCH),4.8(brs,2H,CH),5.1(brs,2H,CH),6.9−7.4(複合,13H,Ar−H);MS(ESI)(m/z)448.78,MF C2523BCl
【0138】
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−メチル−2−(ヒドロキシメチル)−イミダゾールエステル(128)
実施例127と同様の方法で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と1−メチル−2−(ヒドロキシ−メチル)イミダゾールハイドロクロリドとの反応から、標題化合物を得た。白色結晶として、生成物を得た。(ESI)(m/z)372.82,MF C1921BCl
【0139】
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−イミダゾールエステル(129)
実施例127と同様の方法で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と1−エチル−2−(ヒドロキシ−メチル)イミダゾールハイドロクロリドとの反応から、標題化合物を得た。白色結晶として、生成物を得た。(ESI)(m/z)386.83,MF C2023BCl
【0140】
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−メチル−4−(ヒドロキシメチル)−イミダゾールエステル(130)
実施例127と同様の方法で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と1−メチル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールハイドロクロリドとの反応から、標題化合物を得た。白色結晶として、生成物を得た。(ESI)(m/z)372.88,MF C1921BCl
【0141】
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸2−ピリジルエタノール(131)
実施例121と同様の方法で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と2−ピリジルエタノールとの反応から、標題化合物を得た。白色結晶として、生成物を得た。(ESI)(m/z)383.84,MF C2120BCl
【0142】
ヒドロキシキノリン誘導体
ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸5−シアノ−8−ヒドロキシキノリンエステル(19)
エタノール(5mL)と水(2mL)中にビス(3−クロロフェニル)ボリン酸(0.25g)を溶かした溶液に、5−シアノ−8−ヒドロキシキノリン(0.15g)を加えた。その溶液を室温で21時間攪拌した。黄色の固体沈殿を形成し、濾過によりその沈殿を回収し、冷エタノールで洗浄した。黄色の結晶として、生成物を得た。H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm)7.24−7.35(m,8H),7.38(d,1H),8.18(dd,1H),8.40(d,1H),8.86(d,1H),9.50(d,1H).
【0143】
(3−クロロフェニル)(2−チエニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(36)
エタノール(2mL)に溶かした(3−クロロフェニル)(2−チエニル)ボリン酸(1.5g)の溶液に、温エタノール(2mL)中に溶かした8−ヒドロキシキノリン(0.77g)を加えた。反応液を加熱して還流し、室温まで冷却した。黄色の固体を沈殿させた。混合液を氷中で冷却し、濾過により、固体を回収し、冷エタノールで洗浄した。黄色の固体(1.01g)として、生成物を得た。H−NMR(DMSO)δ(ppm)6.98−7.06(m,2H),7.19−7.26(m,3H),7.38−7.50(m,4H),7.71(t,1H),7.91(dd,1H),8.80(d,1H),9.18(d,1H);(ESI)(m/z)350.1,MF C1913BClNOS
【0144】
(2−チエニル)メチルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(26)
実施例36と同様の方法で、(2−チエニル)メチルボリン酸と8−ヒドロキシキノリンとの反応から、標題化合物を得た。黄色の結晶として、生成物を得た。
【0145】
(3−シアノフェニル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(40)
実施例36と同様の方法で、(3−シアノフェニル)ビニルボリン酸と8−ヒドロキシキノリンとの反応から、標題化合物を得た。黄色の結晶として、生成物を得た。(ESI)(m/z)285.1,MF C1813BN
【0146】
(2−クロロフェニル)エチニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(43)
実施例36と同様の方法で、(2−クロロフェニル)エチニルボリン酸と8−ヒドロキシキノリンとの反応から、標題化合物を得た。黄色の結晶として、生成物を得た。(ESI)(m/z)292.1,MF C1711BClNO
【0147】
ビス(エチニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリン(44)
実施例36と同様の方法で、ビス(エチニル)ボリン酸と8−ヒドロキシキノリンとの反応から、標題化合物を得た。淡黄色の結晶として、生成物を得た。(ESI)(m/z)206.1,MF C13BNO
【0148】
(3−フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(70)
実施例36と同様の方法で、(3−フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸と8−ヒドロキシキノリンとの反応から、標題化合物を得た。淡黄色の結晶として、生成物を得た。(ES)(m/z)291.05,MF C1815BFNO
【0149】
(3−ピリジル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(99)
エタノール中に(3−ピリジル)ビニルボリン酸(1.04g、7.82mmol)と8−ヒドロキシキノリン(961mg、6.63mmol)とを溶かした溶液を、40℃で20分間攪拌した。減圧下で、溶媒を除去し、ジエチルエーテル/ジイソプロピルエーテル/ヘキサンから残渣を結晶化して、淡黄色の粉末製剤(355mg、21%)として、標題生成物(99)を得た。H NMR(DMSO−d)δ(ppm)5.23(dd,1H),5.46(dd,1H),6.43(dd,1H),7.14(d,1H),7.19(dd,1H),7.41(d,1H),7.6−7.8(m,2H),7.88(dd,1H),8.35(dd,1H),8.57(s,1H),8.78(d,1H),9.00(d,1H);(ESI)(m/z)261 MF C1613BN
【0150】
(4−(ジメチルアミノメチル)フェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(100)
実施例99と同様の方法で、(4−(ジメチルアミノメチル)フェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸と8−ヒドロキシキノリンとの反応から、標題化合物を得た。淡黄色の粉末製剤として、生成物を得た。ESI(m/z)385 MF C2422BFN
【0151】
3−ヒドロキシピコリン酸誘導体
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(111)
エタノール(120mL)に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(14.6g)を溶かし、加熱して還流した。3−ヒドロキシピコリン酸(5.83g)を温溶液に数回にわけて加えた。3−ヒドロキシピコリン酸の最後の添加をした後、反応液を室温まで冷却した。一部のエタノールを除去して、反応液を濃縮した。濾過により、固体を除去した。エタノールから1回再結晶して、白色結晶(13.4g)として、標題生成物を得た。MP=165.0〜166.5℃
【0152】
好適な一の実施形態において、本発明は、具体的には本明細書に記載した化合物と、薬学的に許容できるそれらの塩と、これらが薬学的に許容できる担体を含んでなるこれらの任意の化合物の組成物とを含む。
【0153】
本発明は、さらに、微生物が原因となる疾患で苦しむ患者の治療方法および/または感染するリスクにある患者においてこのような感染を予防する方法に関し、治療上有効量の本発明の任意の化合物、好ましくは表1〜4に記載される化合物のうち1種または数種の化合物を前記患者に投与することを含む。一の態様において、本発明の化合物は、抗細菌(つまり、殺菌)活性と、抗真菌(つまり、殺真菌)活性を有する。
【0154】
好適な一の実施形態において、該微生物は、細菌、好ましくはグラム陽性細菌であり、前記グラム陽性細菌は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、ストレプトコッカス(Streptococcus)種、バシラス(Bacillus)種、マイコバクテリウム(Mycobacterium)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、クロストリジウム(Clostridium)種、アクチノミセス(Actinomyces)種、エンテロコッカス(Enterococcus)種、およびストレプトミセス(Streptomyces)種からなる群から選択されるメンバーである。
【0155】
上記方法の別の好適な実施形態において、該細菌は、グラム陰性細菌であり、アシネトバクター(Acinetobacter)種、ナイセリア(Neisseria)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、ブルセラ(Brucella)種、アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、ボルデテラ(Bordetella)種、大腸菌(Escherichia)種、シゲラ(Shigella)種、エルシニア(Yersinia)種、サルモネラ(Salmonella)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、ヘモフィルス(Haemophilus)種、パスツレラ(Pasteurella)種、ストレプトバシラス(Streptobacillus)種、スピロヘータ(spirochetal)種、カンピロバクター(Campylobacter)種、ビブリオ(Vibrio)種、およびヘリコバクター(Helicobacter)種からなる群から選択されるグラム陰性細菌であるのが好ましい。
【0156】
本発明の非常に好適な一の実施形態において、本細菌は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus);スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis);スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus);ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes);ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae);ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae);エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis);エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium);炭疽菌(Bacillus anthracis);マイコバクテリウム・エイビウム(Mycobacterium avium);マイコバクテリウム・ツベルキュロシス(Mycobacterium tuberculosis);アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii);コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria);クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens);クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum);クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani);ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae);ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis);シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa);レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila);大腸菌(Escherichia coli);エルシニア・ペスティス(Yersina pestis);ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori);カンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus);カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni);ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae);ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahemolyticus);トレポメーナ・パリダム(Trepomena pallidum);アクチノマイセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii);発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii);斑点熱リケッチア(Rickettsia rickettsii);クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis);クラミジア・シッタシイ(Chlamydia psittaci);ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus);アグロバクテリウム・ツメフェイシェンス(Agrobacterium tumefaciens);およびフランシセラ・ツラレンシス(Franscisella tularensis)からなる群から選択されるメンバーである。
【0157】
好適な一の実施形態において、該微生物は、真菌または酵母であり、前記真菌は、アスペルギルス(Aspergillus)種、トリコフィトン(Trichophyton)種、マイクロスポリウム(Microsporium)種、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、コクシディオデス・イミチス(Coccidiodes immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、またはパラコッキジオデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)からなる群から選択されるメンバーであり、前記酵母は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、またはカンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)からなる群から選択されるメンバーである。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の数種のピコリン酸誘導体に関するHPLC(高速液体クロマトグラフィー)の結果を示す。
【図2】本発明の数種のピコリン酸誘導体に関するHPLC(高速液体クロマトグラフィー)の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

[式中、Bは、ホウ素であり、Oは、酸素であり、
およびR**は、各々独立して、置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)、置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)、置換もしくは未置換のアルケニル、置換もしくは未置換のアルキニル、置換もしくは未置換のアラルキル、置換もしくは未置換のフェニル、および置換もしくは未置換のヘテロアリールから選択され、
zは、0または1であり、zが1である場合、Aは、CH、CR10またはNであり、
Dは、N、CH、またはCR12であり、
12は、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SO−アルキル、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2−アミノ、3−アミノ、NHSOおよびCONHから選択され、
Jは、CR10またはNであり、
、R10およびR11は、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、(CHOH(n=2〜3)、CHNH、CHNHアルキル、CHN(アルキル)、ハロゲン、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、NH、アルコキシ、CF、SCF、NO、SOHおよびOHからなる群から選択される]
の構造を有する化合物(それらの塩を含む)。
【請求項2】
とR**が、同一である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
とR**が、異なる請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)である請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルケニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のアルケニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記アルケニルが、以下の構造
【化2】

[式中、R、R、およびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOからなる群から選択される]
を有する請求項8または9に記載の化合物。
【請求項11】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルキニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のアルキニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記アルキニルが、以下の構造
【化3】

[式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOからなる群から選択される]
を有する請求項11または12に記載の化合物。
【請求項14】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のフェニルであり、Jが−CH−でかつz=1である場合、AとDが、両方とも−CH−であることはない請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記フェニルが、以下の構造
【化4】

[式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する請求項12または13に記載の化合物。
【請求項17】
が3−フルオロフェニルであり、R**が4−クロロフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、AがCHであり、DがCHであり、JがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
およびR**が、各々3−(4,4−ジメチルオキサゾリジン−2−イル)フェニルであり、およびRがHであり、R11がHであり、z=1、AがCHであり、DがCHであり、JがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
が3−フルオロフェニルであり、R**がシクロプロピルであり、RがHであり、R11がHであり、z=1、AがCHであり、DがCHであり、およびJがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
が4−(N,N−ジメチル)−アミノメチルフェニルであり、R**が4−シアノフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、z=1、AがCHであり、DがCHであり、およびJがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のベンジルである請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のベンジルである請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
前記ベンジルが、以下の構造
【化5】

[式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する請求項21または22に記載の化合物。
【請求項24】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換の複素環である請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
およびR**が、各々置換もしくは未置換の複素環である請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
前記複素環が、以下の構造
【化6】

[式中、Xは、CH=CH、N=CH、NR13(式中、R13=H、アルキル、アリールまたはアラルキル)、O、またはSであり、
Yは、CHまたはNであり、
、R、およびRは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する請求項18または19に記載の化合物。
【請求項27】
がピリド−3−イルであり、R**が4−クロロフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、z=1、AがCHであり、DがCHであり、およびJがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
が5−シアノピリド−3−イルであり、R**がビニルであり、RがHであり、R11がHであり、z=1、AがCHであり、DがCHであり、およびJがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
がHであり、R11がHであり、z=1、AがCHであり、DがCHであり、およびJがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
以下の構造
【化7】

[式中、R***は、Hまたはアルキルである]
を有する溶媒付加体をさらに含んでなる請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
式2
【化8】

[式中、Bは、ホウ素であり、Oは、酸素であり、
およびR**は、各々独立して、置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)、置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)、置換もしくは未置換のアルケニル、置換もしくは未置換のアルキニル、置換もしくは未置換のアラルキル、置換もしくは未置換のフェニル、および置換もしくは未置換の複素環から選択され、
zは、0または1であり、zが1である場合、Aは、CH、CR10またはNであり、
Dは、N、CH、またはCR12であり、
Eは、H、OH、アルコキシもしくは2−(モルホリノ)エトキシ、COHまたはCO−アルキルであり、
およびm=0〜2である
rは、1または2であり、rが1である場合、Gは、=O(二重結合した酸素)であり、rが2である場合、各Gは独立して、H、メチル、エチルまたはプロピルであり、
12は、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2−アミノ、3−アミノ、NHSOおよびCONHから選択され、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、(CHOH(n=1〜3)、CHNH、CHNHアルキル、CHN(アルキル)、ハロゲン、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、NH、アルコキシ、CF、SCF、NO、SOHおよびOHからなる群から選択される]
の構造を有する化合物(それらの塩を含む)。
【請求項32】
とR**が、同一である請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
とR**が、異なる請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)である請求項31に記載の化合物。
【請求項35】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のアルキル(C〜C)である請求項31に記載の化合物。
【請求項36】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)である請求項31に記載の化合物。
【請求項37】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のシクロアルキル(C〜C)である請求項31に記載の化合物。
【請求項38】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルケニルである請求項31に記載の化合物。
【請求項39】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のアルケニルである請求項31に記載の化合物。
【請求項40】
前記アルケニルが、以下の構造
【化9】

[式中、R、R、およびRは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOからなる群から選択される]
を有する請求項38または39に記載の化合物。
【請求項41】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のアルキニルである請求項31に記載の化合物。
【請求項42】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のアルキニルである請求項31に記載の化合物。
【請求項43】
前記アルキニルが、以下の構造
【化10】

[式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CFおよびNOからなる群から選択される]
を有する請求項41または42に記載の化合物。
【請求項44】
およびR**の一方が、置換もしくは未置換のフェニルである請求項31に記載の化合物。
【請求項45】
およびR**が、各々フェニルと置換フェニル以外である請求項31に記載の化合物。
【請求項46】
およびR**の一方が、ベンジルもしくは置換ベンジルである請求項31に記載の化合物。
【請求項47】
rが1であり、Gが=Oであり、mが0であり、およびEがOHである請求項31に記載の化合物。
【請求項48】
zが、1であり、かつRが、アルキル(Cより大きい)、(CHOH(n=1、2または3)、CHNH、CHNHアルキル、CHN(アルキル)、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、アルコキシ(Cより大きい)、SCF、およびNOから選択される請求項31に記載の化合物。
【請求項49】
zが1であり、かつR10がアルキル(Cより大きい)、(CHOH(n=1、2または3)、CHNH、CHNHアルキル、CHN(アルキル)、CHO、CH=NOH、COH、CO−アルキル、S−アルキル、SO−アルキル、S−アリール、アルコキシ(Cより大きい)、SCF、およびNOから選択される請求項31に記載の化合物。
【請求項50】
zが1であり、かつDが、CR12(式中、R12は、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、OH、アルコキシ(Cより大きい)、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SOH、SCF、CN、NO、NHSOおよびCONHから選択される)である請求項31に記載の化合物。
【請求項51】
zが、1であり、かつEが、N−(モルホリニル)エトキシまたはCより大きいアルコキシである請求項31に記載の化合物。
【請求項52】
AまたはDが、窒素である請求項31に記載の化合物。
【請求項53】
mが、2である請求項31に記載の化合物。
【請求項54】
またはR**の一方が、1〜5個の置換基で置換された置換フェニルであり、前記置換基の各々が、独立して、アルキル(Cより大きい)、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ(Cより大きい)、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SOH、SCF、CN、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、およびアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルから選択される請求項31に記載の化合物。
【請求項55】
前記フェニルが、以下の構造
【化11】

[式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する請求項44に記載の化合物。
【請求項56】
およびR**が、各々3−クロロ−4−メチルフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、zが1であり、AがCHであり、DがCHであり、EがOHであり、m=0、rが1であり、およびGが=O(二重結合した酸素)である請求項31に記載の化合物。
【請求項57】
およびR**が、各々2−メチル−4−クロロフェニルであり、RがHであり、R11がHであり、zが1であり、AがCHであり、DがCHであり、EがOHであり、m=0、rが1であり、およびGが=O(二重結合した酸素)である請求項31に記載の化合物。
【請求項58】
またはR**の一方が、置換もしくは未置換のアラルキルである請求項31に記載の化合物。
【請求項59】
およびR**が、各々置換もしくは未置換のアラルキルである請求項31に記載の化合物。
【請求項60】
前記ベンジルが、以下の構造
【化12】

[式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、NH、2°−アミノ、3°−アミノ、NHSO、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する請求項58または59に記載の化合物。
【請求項61】
またはR**の一方が、置換もしくは未置換の複素環である請求項31に記載の化合物。
【請求項62】
およびR**が、各々置換もしくは未置換の複素環である請求項31に記載の化合物。
【請求項63】
前記複素環が、以下の構造
【化13】

[式中、Xは、CH=CH、N=CH、NR13(式中、R13=H、アルキル、アリールまたはアラルキル)、O、またはSであり、
Yは、CHまたはNであり、
、R、およびRは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、(CHOH(k=1、2または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される]
を有する請求項61または62に記載の化合物。
【請求項64】
がHであり、R11がHであり、zが1であり、AがCHであり、DがCHであり、EがOHであり、m=0、rが1であり、およびGが=O(二重結合した酸素)である請求項31に記載の化合物。
【請求項65】
以下の構造
【化14】

[式中、R***は、Hまたはアルキルである]
を有する溶媒付加体をさらに含んでなる請求項31に記載の化合物。
【請求項66】
表1の化合物の構造を有する化合物。
【請求項67】
表2の化合物の構造を有する化合物。
【請求項68】
表3の化合物の構造を有する化合物。
【請求項69】
表4の化合物の構造を有する化合物。
【請求項70】
薬学的に許容できる担体に請求項1の化合物を含んでなる組成物。
【請求項71】
微生物が原因となる疾患をその疾患で苦しむ患者において治療する方法であって、治療上有効量の請求項1〜69に記載の化合物を前記患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項72】
前記微生物が、細菌である請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記細菌が、グラム陽性細菌である請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記グラム陽性細菌が、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、ストレプトコッカス(Streptococcus)種、バシラス(Bacillus)種、マイコバクテリウム(Mycobacterium)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、クロストリジウム(Clostridium)種、アクチノミセス(Actinomyces)種、エンテロコッカス(Enterococcus)種、およびストレプトミセス(Streptomyces)種からなる群から選択されるメンバーである請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記細菌が、グラム陰性細菌である請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記グラム陰性細菌が、アシネトバクター(Acinetobacter)種、ナイセリア(Neisseria)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、ブルセラ(Brucella)種、アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、ボルデテラ(Bordetella)種、大腸菌(Escherichia)種、シゲラ(Shigella)種、エルシニア(Yersinia)種、サルモネラ(Salmonella)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、エンテロバクター(Enterobacter)種、ヘモフィルス(Haemophilus)種、パスツレラ(Pasteurella)種、ストレプトバシラス(Streptobacillus)種、スピロヘータ(spirochetal)種、カンピロバクター(Campylobacter)種、ビブリオ(Vibrio)種、およびヘリコバクター(Helicobacter)種からなる群から選択されるメンバーである請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記細菌が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus);スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis);スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus);ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes);ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae);ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae);エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis);エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium);炭疽菌(Bacillus anthracis);マイコバクテリウム・エイビウム(Mycobacterium avium);マイコバクテリウム・ツベルキュロシス(Mycobacterium tuberculosis);アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii);コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheria);クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens);クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum);クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani);ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae);ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis);シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa);レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila);大腸菌(Escherichia coli);エルシニア・ペスティス(Yersina pestis);ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori);カンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus);カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、;ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae);ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahemolyticus);トレポメーナ・パリダム(Trepomena pallidum);アクチノマイセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii);発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii);斑点熱リケッチア(Rickettsia rickettsiis);クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis);クラミジア・シッタシイ(Chlamydia psittaci);ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus);アグロバクテリウム・ツメフェイシェンス(Agrobacterium tumefaciens);およびフランシセラ・ツラレンシス(Franscisella tularensis)からなる群から選択されるメンバーである請求項72に記載の方法。
【請求項78】
前記微生物が、真菌または酵母である請求項71に記載の方法。
【請求項79】
前記酵母が、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、またはカンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)からなる群から選択されるメンバーである請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記真菌が、アスペルギルス(Aspergillus)種、トリコフィトン(Trichophyton)種、マイクロスポリウム(Microsporium)種、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、コクシディオデス・イミチス(Coccidiodes immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、またはパラコッキジオデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)からなる群から選択されるメンバーである請求項78に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−502701(P2008−502701A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516705(P2007−516705)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/021214
【国際公開番号】WO2006/007384
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(505465841)アナコール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】