説明

ボルト締め付け監視装置、システム、方法及びプログラム

【課題】手間をかけずに簡易な構成でボルトの締め付けが適正に行われるように監視できるようにする。
【解決手段】ボルト締め付け監視装置100は、照明装置1を識別する機器番号、照明装置1毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録された登録部101を備え、音声入力部102に照明装置1の機器番号が入力された後、測定トルク値受信部103でトルクレンチ200からの測定トルク値を受信すると、その測定トルク値が登録部101に登録された適性範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲内にあると判定されたボルトの本数が、登録部101に登録された当該識別情報で識別される対象物について定められたボルトの本数に達する前に音声入力部102に別の識別情報が入力された場合、音声出力部105を介して通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業を行う際に利用して好適なボルト締め付け監視装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数のボルトを締め付ける作業においては、ボルトの締め忘れ等が生じることがある。ボルトの締め忘れ等を防止するために、締め付けトルクが所定値に達すると、ボルトの頭部等にマークを付すマーカ付トルクレンチ等が提案されている。しかしながら、マークの確認は作業者の目視により行うことになり、ここでもマークの見落とし等のヒューマンエラーが発生することもありえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−249388号公報
【特許文献2】特開2008−307669号公報
【特許文献3】特開2007−228344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の技術として、例えば特許文献1には、マーカ付トルクレンチで締め付けられた複数のねじ部材をカメラで撮影し、ねじ部材の頭部に付されたマークに基づいて全てのねじ部材が締め付けられているか否かを判定するようにしたねじ締め付け監視システムおよびねじ締め付け監視装置が開示されている。しかしながら、複数のねじ部材をカメラで撮影する必要があり、その撮影が手間になるとともに、装置構成が複雑になってしまう。また、作業現場によってはマークをうまく撮影できないような状況もありえる。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、手間をかけずに簡易な構成でボルトの締め付けが適正に行われるように監視できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のボルト締め付け監視装置は、複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業を行う際に、ボルトの締め付けを監視するボルト締め付け監視装置であって、対象物を識別する識別情報、対象物毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録された登録手段と、対象物の識別情報を入力する識別情報入力手段と、ボルトの締め付け時のトルク値を入力するトルク値入力手段と、前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されると、そのトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲内にあると判定されたボルトの本数が、前記登録手段に登録された当該識別情報で識別される対象物について定められたボルトの本数に達する前に前記識別情報入力手段に別の識別情報が入力された場合、通知する制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明のボルト締め付け監視装置の他の特徴とするところは、前記識別情報入力手段は、識別情報を音声入力する点にある。
また、本発明のボルト締め付け監視装置の他の特徴とするところは、前記制御手段は、前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後初めて前記トルク値入力手段にトルク値が入力されたとき、及び前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後であって前回に前記トルク値入力手段に入力されたトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあった後に前記トルク値入力手段にトルク値が入力されたとき、連続番号を順に付し、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されたトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かの判定結果を前記付された連続番号とともに通知する点にある。
本発明のボルト締め付け監視システムは、本発明のボルト締め付け監視装置と、ボルトを締め付けるときのトルク値を測定し、その測定トルク値を前記ボルト締め付け監視装置に送信可能なトルクレンチとを備えたことを特徴とする。
本発明のボルト締め付け監視方法は、複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業を行う際に、ボルトの締め付けを監視するボルト締め付け監視方法であって、対象物を識別する識別情報、対象物毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録された登録手段と、対象物の識別情報を入力する識別情報入力手段と、ボルトの締め付け時のトルク値を入力するトルク値入力手段とを備えた情報処理装置が、前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されると、そのトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲内にあると判定されたボルトの本数が、前記登録手段に登録された当該識別情報で識別される対象物について定められたボルトの本数に達する前に前記識別情報入力手段に別の識別情報が入力された場合、通知する手順を実行することを特徴とする。
本発明のプログラムは、複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業を行う際に、ボルトの締め付けを監視するためのプログラムであって、対象物を識別する識別情報、対象物毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録された登録手段と、対象物の識別情報を入力する識別情報入力手段と、ボルトの締め付け時のトルク値を入力するトルク値入力手段と、前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されると、そのトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲内にあると判定されたボルトの本数が、前記登録手段に登録された当該識別情報で識別される対象物について定められたボルトの本数に達する前に前記識別情報入力手段に別の識別情報が入力された場合、通知する制御手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、手間をかけずに簡易な構成でボルトの締め付けが適正に行われるように監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るボルト締め付け監視システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係るボルト締め付け監視装置での処理動作を示すフローチャートである。
【図3】実施形態に係るボルト締め付け監視装置での処理動作を示すフローチャートである。
【図4】実施形態において登録部に登録されている識別情報、ボルトの本数、及びトルク値の適正範囲を示す図である。
【図5】実施形態に係るボルト締め付け監視装置で記録、管理する情報を説明するための図である。
【図6】トンネルについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本実施形態では、複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業として、トンネル内での照明装置の設置作業を例にする。図6に示すように、トンネルの内壁には、トンネルの長さ方向に所定の間隔で照明装置1が多数配置され、一つの照明装置1は複数本のボルトにより締結、固定される。すなわち、本実施形態では、照明装置1が本発明でいう対象物に相当する。
【0010】
図1に、本実施形態に係るボルト締め付け監視システムの構成を示す。本実施形態に係るボルト締め付け監視システムは、トルクレンチ200及びボルト締め付け監視装置100により構成される。
【0011】
トルクレンチ200は、作業者2がボルトを締め付けるのに使用するもので、ボルトを締め付けるときのトルク値を測定し、その測定トルク値をボルト締め付け監視装置100に無線通信により送信可能である。この種のトルクレンチは、例えば特許文献2に開示されている。本実施形態では、作業者2がボルトの締め付けを完了し、ボタン201を押下すると、そのときの測定トルク値がボルト締め付け監視装置100に無線通信により送信される構成となっている。
【0012】
ボルト締め付け監視装置100は、CPU、ROM及びRAM等を備えた携帯情報端末により構成され、作業者2が胸ポケット等に収容して携帯することができる。
101は登録部であり、照明装置1を識別する識別情報、照明装置1毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録される。図4には、登録部101に登録されている識別情報、ボルトの本数、及びトルク値の適正範囲の例を示す。例えばトンネルの入口側から順に、照明装置1には「1」、「2」、・・・のように識別情報である機器番号が付される。また、機器番号「1」の照明装置1はX1本のボルトで締結され、機器番号「2」の照明装置1はX2本のボルトで締結される、といったように、照明装置1毎にボルトの本数は定められている。本実施形態では、いずれの照明装置1も同型であり、照明装置1毎に定められたボルトの本数(以下、「登録本数」とも称する。)は同じで4本であるとする。また、本実施形態では、照明装置1を締結するボルトは全て同規格のものが使用されるとし、登録部101には、このボルトを締め付ける適正範囲を規定するトルク値の上下限値Tmin、Tmaxが登録される。
【0013】
102は音声入力部であり、作業者2が機器番号を発声することにより、ボルト締め付け監視装置100に機器番号を音声入力することができる。本実施形態では、音声入力部102が本発明でいう識別情報入力手段として機能する。
【0014】
103は測定トルク値受信部であり、トルクレンチ200から無線通信により送信された測定トルク値を受信する。本実施形態では、測定トルク値受信部103が本発明でいうトルク値入力手段として機能する。
【0015】
104は制御部であり、測定トルク値受信部103で受信したトルクレンチ200からの測定トルク値が、登録部101に登録された適正範囲Tmin〜Tmax内にあるか否かを判定する機能を有する。制御部104は、音声入力部102により機器番号が音声入力された後初めて測定トルク値受信部103でトルクレンチ200からの測定トルク値を受信したとき、及び音声入力部102により機器番号が音声入力された後であって前回に測定トルク値受信部103で受信したトルクレンチ200からの測定トルク値が登録部101に登録された適正範囲Tmin〜Tmax内にあった後に測定トルク値受信部103でトルクレンチ200からの測定トルク値を受信したとき、連続番号(以下、「ボルトの番号」とも称する。)を順に付す。そして、音声出力部105を介して、測定トルク値が適性範囲Tmin〜Tmax内にあるか否かの判定結果を前記付された連続番号とともに音声出力する。
【0016】
また、制御部104は、音声入力部102により機器番号が音声入力された後、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあると判定されたボルトの本数が、登録部101に登録された当該機器番号で識別される照明装置1についての登録本数「4本」に達する前に音声入力部102により別の機器番号が入力された場合、音声出力部105を介して、適正範囲Tmin〜Tmaxを外れたボルト又は締め忘れたボルトが存在する旨を音声出力する。
【0017】
105は音声出力部であり、制御部104の制御下で、予め登録されている音声データを用いて各種の通知を音声出力する。
【0018】
以下、本実施形態に係るボルト締め付け監視システムを利用した照明装置の設置作業の概要について説明する。図2、図3は、ボルト締め付け監視装置100での処理動作を示すフローチャートであり、具体的にはCPUがプログラムを実行することによって実現される。
【0019】
いまから機器番号「n」の照明装置1の設置作業を行おうとしているものとする。機器番号「n」の照明装置1の設置作業の開始に際して、作業者2は機器番号「n」を発声することにより、ボルト締め付け監視装置100に機器番号「n」を音声入力することができる。
【0020】
まず、図2のフローチャートについて説明する。ボルト締め付け監視装置100では、音声入力部102を介して機器番号「n」が音声入力されると(ステップS1)、入力された機器番号「n」を記録して(ステップS2)、トルクレンチ200からの測定トルク値の受信を待機する(ステップS3)。図5は、ボルト締め付け監視装置100で記録、管理する情報を説明するための図である。
【0021】
作業者2は、ボルト締め付け監視装置100に機器番号「n」を音声入力した後、トルクレンチ200を使用してボルトの締め付け作業を開始する。各ボルトの締め付けを完了するたびに、ボタン201を押下して、測定トルク値をボルト締め付け監視装置100に無線通信により送信する。
【0022】
ボルト締め付け監視装置100では、測定トルク値受信部103でトルクレンチ200からの測定トルク値を受信すると(ステップS3)、所定の条件に合致する場合、その測定トルク値に連続番号(以下、「ボルトの番号」とも称する。)を順に付す(ステップS4)。所定の条件に合致する場合とは、音声入力部102により機器番号が音声入力された後初めて測定トルク値受信部103で測定トルク値を受信した場合である。また、音声入力部102により機器番号が音声入力された後であって前回に測定トルク値受信部103で受信した測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあった後に測定トルク値受信部103で測定トルク値を受信した場合である。そして、測定トルク値受信部103で受信したトルクレンチ200からの測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあるか否かを判定して(ステップS5)、判定結果を記録し、その判定結果を連続番号とともに音声出力部105から音声出力する(ステップS6)。
【0023】
具体的に説明すると、機器番号「n」が音声入力された後初めて測定トルク値受信部103で測定トルク値を受信すると、その測定トルク値にボルトの番号「1番」を付す(ステップS4)。そして、その測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあるか否かを判定する(ステップS5)。その結果、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあれば、音声出力部105から例えば「1番のボルト正常」と音声出力する(ステップS6)。一方、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax外にあれば、音声出力部105から例えば「1番のボルト異常」と音声出力する(ステップS6)。
【0024】
作業者2は、ボルト締め付け監視装置100からの音声出力を聞いて、「1番のボルト正常」であれば、2本目のボルトの締め付け作業に移ればよいし、「1番のボルト異常」であれば、当該1本目のボルトを締め直すことになる。
ここで、1本目のボルトについてと「1番のボルト異常」の音声出力があったため、同ボルトを締め直し、再度ボタン201を押下して測定トルク値をボルト締め付け監視装置100に送信したとする。この場合、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内になるまで、ボルトの番号は維持し、「1番のボルト正常」や「1番のボルト異常」と音声出力する。
【0025】
1本目のボルトについて測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあった後に測定トルク値受信部103で測定トルク値を受信すると、その測定トルク値にボルトの番号「2番」を付す(ステップS4)。そして、その測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあるか否かを判定する(ステップS5)。その結果、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にあれば、音声出力部105から例えば「2番のボルト正常」と音声出力する(ステップS6)。一方、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax外にあれば、音声出力部105から例えば「2番のボルト異常」と音声出力する(ステップS6)。
【0026】
作業者2は、ボルト締め付け監視装置100からの音声出力を聞いて、「2番のボルト正常」であれば、3本目のボルトの締め付け作業に移ればよいし、「2番のボルト異常」であれば、当該1本目のボルトを締め直すことになる。
ここで、2本目のボルトについて「2番のボルト異常」との音声出力があったため、同ボルトを締め直し、再度ボタン201を押下して測定トルク値をボルト締め付け監視装置100に送信したとする。この場合、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内になるまで、ボルトの番号は維持し、「2番のボルト正常」や「2番のボルト異常」と音声出力する。以降、3本目、4本目のボルトに関しても同様である。
【0027】
以上のように、あるボルトについてボルト締め付け監視装置100から適正範囲Tmin〜Tmax外である旨の音声出力があったため、同ボルトを締め直し、再度ボタン201を押下して測定トルク値をボルト締め付け監視装置100に送信した場合、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内になるまで、ボルトの番号は維持される。したがって、ボルト締め付け監視装置100からは、登録本数「4本」を超える「5番のボルト異常」、「6番のボルト異常」、・・・との音声出力がなされることはありえない。測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax外のまま次のボルトの締め付け作業に移行することはなく、ほとんどの場合、ボルトを締め直すことから、ボルトの番号は維持することにしている。これにより、作業者に、正常に締め付けたボルトの本数が常にわからせることができる。なお、測定トルク値が適正範囲Tmin〜Tmax内にある場合、ボルトの番号を+1するので、同じボルトを2回以上正常に締め付けた場合は、登録本数「4本」を超える「5番のボルト正常」、「6番のボルト正常」、・・・との音声出力がなされることはありえる。
【0028】
音声入力部102を介して「n」とは別の機器番号が音声入力されると(ステップS7)、図3のフローチャートを抜け、この「n」とは別の機器番号について新たに図3のフローチャートが実行される。
【0029】
このように、ボルトを締め付けるたびに、ボルト締め付け監視装置100からその締め付け時のトルク値が適正範囲内にあるか否かが通知されるので、確実にボルトを締め付けることができる。また、ボルトの連続番号も同時に通知されるので、作業者は目視により認識している締め付けたボルトと、ボルト締め付け監視装置100で認識しているボルトの番号とを照合することができる。例えば作業者2が4本目のボルトを締め付けたと認識している場合に、ボルト締め付け監視装置100から「3番のボルト」であることが通知されれば、いずれか1箇所でボルトの締め忘れがあることに気付くことができる。逆に、例えば作業者2が3本目のボルトを締め付けたと認識している場合に、ボルト締め付け監視装置100から「4番のボルト」であることが通知されれば、いずれか1箇所でボルトを二度締め付けたことに気付くことができる。
【0030】
次に、図3のフローチャートについて説明する。ボルト締め付け監視装置100では、音声入力部102を介して機器番号「n」が音声入力されると(ステップS11)、その前に設置作業を行っていた機器番号(例えば機器番号「n−1」とする。)において、適正範囲Tmin〜Tmax内にあると判定されたボルトの本数(図5において適否判定に「○」が記録された数)が、機器番号「n−1」で識別される照明装置1について定められた登録本数「4本」に達しているか否かを判定する(ステップS12)。その結果、適正範囲Tmin〜Tmax内にあると判定されたボルトの本数が登録本数「4本」に達していなければ、適正範囲Tmin〜Tmaxを外れたボルト又は締め忘れたボルトが存在する旨を音声出力部105から音声出力する(ステップS13)。
【0031】
以上述べたように、手間をかけずに簡易な構成でボルトの締め付けが適正に行われるように監視することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、照明装置1を締結するボルトは全て同規格のものが使用されるとしたが、複数種のボルトが使用される場合、登録部101には、使用される各ボルトについて適正範囲を規定するトルク値の上下限値Tmin(n)、Tmax(n)(nはボルトの種類を意味する。)を登録しておく。そして、ボルトの締め付け作業を行うときに、そのボルトの種類をボルト締め付け監視装置100に入力するようにして、ボルト締め付け監視装置100でボルトの種類に応じてトルク値の上下限値Tmin(n)、Tmax(n)を読み出すようにすればよい。
【0033】
また、耳に装着して使用するマイクロホン及びイヤホンが実用化されている(例えば本願出願人が提案した特許文献3を参照)。騒音が発生する作業現場である場合には、このマイクロホン及びイヤホンを利用して、ボルト締め付け監視装置100に音声入力し、ボルト締め付け監視装置100からの音声出力を聞くようにしてもよい。
【0034】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば上記実施形態では、トルクレンチ200がボルト締め付け監視装置100と無線通信する例を説明したが、有線通信する形態でもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、識別情報をボルト締め付け監視装置100に音声入力する例を説明した。このように識別情報を音声入力できるようにすれば、効率よく作業を進めることができる。ただし、識別情報を入力する手段はこれに限定されるものではなく、ボルト締め付け監視装置100のボタン等を利用して作業者2が識別情報を手入力するような形態でもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、トルクレンチ200が測定トルク値を無線通信によりボルト締め付け監視装置100に送信する例を説明した。このようにトルクレンチ200が測定トルク値を無線通信によりボルト締め付け監視装置100に送信するようにすれば、効率よく作業を進めることができる。ただし、トルク値を入力する手段はこれに限定されるものではなく、ボルト締め付け監視装置100のボタン等を利用して作業者2がトルク値を手入力するような形態でもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、ボルト締め付け監視装置100が各種の通知を音声出力する例を説明したが、画面表示する等、他の通知手段によるものでもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、ボルト締め付け監視装置100を携帯情報端末により構成した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えばボルト締め付け監視装置100が上述したような耳に装着して使用するマイクロホン及びイヤホン、トルクレンチ200と通信可能であれば、ボルト締め付け監視装置100を携帯情報端末とする必要はなく、通信可能範囲に設置されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置により構成することも可能である。
【0039】
本発明の目的は、本発明のボルト締め付け監視装置の機能を実現するプログラムをシステム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、プログラム自体が発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、トンネル内での照明装置の設置作業に限らず、複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業であれば広く適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:照明装置、100:ボルト締め付け監視装置、101:登録部、102:音声入力部、103:測定トルク値受信部、104:制御部、105:音声出力部、200:トルクレンチ、201:ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業を行う際に、ボルトの締め付けを監視するボルト締め付け監視装置であって、
対象物を識別する識別情報、対象物毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録された登録手段と、
対象物の識別情報を入力する識別情報入力手段と、
ボルトの締め付け時のトルク値を入力するトルク値入力手段と、
前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されると、そのトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲内にあると判定されたボルトの本数が、前記登録手段に登録された当該識別情報で識別される対象物について定められたボルトの本数に達する前に前記識別情報入力手段に別の識別情報が入力された場合、通知する制御手段とを備えたことを特徴とするボルト締め付け監視装置。
【請求項2】
前記識別情報入力手段は、識別情報を音声入力することを特徴とする請求項1に記載のボルト締め付け監視装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後初めて前記トルク値入力手段にトルク値が入力されたとき、及び前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後であって前回に前記トルク値入力手段に入力されたトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあった後に前記トルク値入力手段にトルク値が入力されたとき、連続番号を順に付し、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されたトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かの判定結果を前記付された連続番号とともに通知することを特徴とする請求項1又は2に記載のボルト締め付け監視装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のボルト締め付け監視装置と、
ボルトを締め付けるときのトルク値を測定し、その測定トルク値を前記ボルト締め付け監視装置に送信可能なトルクレンチとを備えたことを特徴とするボルト締め付け監視システム。
【請求項5】
複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業を行う際に、ボルトの締め付けを監視するボルト締め付け監視方法であって、
対象物を識別する識別情報、対象物毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録された登録手段と、対象物の識別情報を入力する識別情報入力手段と、ボルトの締め付け時のトルク値を入力するトルク値入力手段とを備えた情報処理装置が、
前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されると、そのトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲内にあると判定されたボルトの本数が、前記登録手段に登録された当該識別情報で識別される対象物について定められたボルトの本数に達する前に前記識別情報入力手段に別の識別情報が入力された場合、通知する手順を実行することを特徴とするボルト締め付け監視方法。
【請求項6】
複数の対象物を対象として、対象物毎に定められた本数のボルトを締め付ける作業を行う際に、ボルトの締め付けを監視するためのプログラムであって、
対象物を識別する識別情報、対象物毎に定められたボルトの本数、及びボルトを締め付けるトルク値の適正範囲が登録された登録手段と、
対象物の識別情報を入力する識別情報入力手段と、
ボルトの締め付け時のトルク値を入力するトルク値入力手段と、
前記識別情報入力手段に識別情報が入力された後、前記トルク値入力手段にトルク値が入力されると、そのトルク値が前記登録手段に登録された適性範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲内にあると判定されたボルトの本数が、前記登録手段に登録された当該識別情報で識別される対象物について定められたボルトの本数に達する前に前記識別情報入力手段に別の識別情報が入力された場合、通知する制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−91115(P2013−91115A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232845(P2011−232845)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000233697)株式会社日鉄エレックス (51)
【Fターム(参考)】