説明

ボロン酸複合体を含む抗生物質および使用法

【課題】医薬品技術分野において、特に現在利用可能な治療法に耐性の細菌感染症を治療するための新規抗生化合物の提供。
【解決手段】下記式1のボリン酸含有化合物。


(Az及びDはH、CH等、JはN、CH等、R9及びR11は置換基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗生物質、特に抗菌および抗真菌化合物ならびにその使用の分野に関する。これらの抗生物質の調製法および使用法、ならびにその薬学的組成物も提供される。
【0002】
なお、本出願は2002年12月18日出願の米国仮出願第60/434,375号、2002年12月23日出願の第60/436,095号、および2003年1月3日出願の第60/437,849号の優先権を主張し、これらの開示はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
現代医学の一つの特徴は、細菌および真菌感染に関連する罹患率および死亡率の低下であった。しかし、通常の抗生物質の誤用および感染性菌群の自然淘汰の結果、ほとんどの抗生物質に対するほとんどの細菌感染媒介物による様々な程度の薬物耐性が発生している。MRSA(Multidrug-Resistant StaphA 多剤耐性黄色ブドウ球菌)などのいくつかの重症例においては、現在のところ一つまたは少数の抗生物質しか効かない。加えて、免疫不全症候群があると、集中的抗生物質治療を必要とする日和見感染症の発生原因にもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、医薬品技術分野において、特に現在利用可能な治療法に耐性の細菌感染症を治療するための、より有効な新規抗生化合物が必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
一つの局面において、本発明は抗生化合物に関する。本発明の抗生化合物は、ボリナート誘導体、特にボロン酸複合体で、ヒドロキシキノリン、ピコリン酸およびイミダゾールの誘導体などの化合物を含む。
【0006】
抗生化合物は、免疫学的易感染性または健康衰弱状態の動物、最も好ましくはヒトにおける細菌性もしくは真菌性の病因を有する疾患、または細菌もしくは真菌による日和見感染症を治療するための、動物、最も好ましくはヒトに投与することができる薬学的組成物としても提供される。
【0007】
好ましい態様において、本発明の化合物は、本明細書に開示する好ましい置換基を備えた、式1または2で表す構造を有する化合物である。
【0008】
本発明は、抗生化合物およびその薬学的組成物の調製法、ならびに抗生物質の治療上の使用法も提供する。本発明の抗生化合物および薬学的組成物のキットおよび包装された態様も企図される。
【0009】
本発明は、本明細書に開示する抗生化合物を用いた、感染、好ましくは細菌および/または真菌感染の治療法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、細菌感染の治療および/または予防において有用な抗生物質、特に抗菌および抗真菌化合物を提供する。
【0011】
本発明は、その塩、特にすべての薬学的に許容される塩を含む、下記の式の構造を有する化合物を含む:
【化1】


(式中、Bはホウ素であり、Oは酸素であり、mは0、1、または2であり、
R*およびR**はそれぞれ独立に、置換または無置換アルキル(C1-C4)、置換または無置換シクロアルキル(C3-C6)、置換または無置換ビニル、置換または無置換アルキニル、置換または無置換ベンジル、置換または無置換フェニル、および置換または無置換複素環から選択され、
zは0または1であり、zが1の場合、AはCH、CR10またはNであり、
DはN、CH、またはCR12であり、
EはH、OH、アルコキシまたはN-(モルホリニル)エトキシであり、
rは1または2であり、rが1の場合、Gは=O(二重結合酸素)であり、rが2の場合、各Gは独立にH、メチル、エチルまたはプロピルであり、
R12は(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2*-アミノ、3*-アミノ、NH2SO2およびCONH2から選択され、
JはCR10またはNであり、
R9、R10およびR11はそれぞれ独立に水素、アルキル、(CH2)nOH(n=1から3)、CH2NH2、CH2NHアルキル、CH2N(アルキル)2、ハロゲン、CHO、CH=NOH、C02H、C02-アルキル、S-アルキル、S02-アルキル、S-アリール、NH2、アルコキシ、CF3、SCF3、N02、S03HおよびOHからなる群より選択される)。
【0012】
式1または2のいずれかの好ましい態様において、R*およびR**の一つは置換もしくは無置換アルキル(C1-C4)であるか、またはR*およびR**はそれぞれ置換もしくは無置換アルキル(C1-C4)である。
【0013】
式1または2のいずれかの好ましい態様において、R*およびR**の一つは置換もしくは無置換シクロアルキル(C3-C6)であるか、またはR*およびR**はそれぞれ置換もしくは無置換シクロアルキル(C3-C6)である。
【0014】
式1または2のいずれかの好ましい態様において、R*およびR**の一つは置換もしくは無置換ビニルであるか、またはR*およびR**はそれぞれ置換もしくは無置換ビニルである。そのさらに好ましい態様において、ビニルは下記の構造を有する:
【化2】


(式中、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【0015】
式1または2のいずれかの好ましい態様において、R*およびR**の一つは置換もしくは無置換アルキニルであるか、またはR*およびR**はそれぞれ置換もしくは無置換アルキニルである。そのさらに好ましい態様において、アルキニルは下記の構造を有する:
【化3】


(式中、R1は水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【0016】
式1または2のいずれかの好ましい態様において、R*およびR**の一つは置換もしくは無置換フェニルであるか、またはR*およびR**はそれぞれ置換もしくは無置換フェニルである。そのさらに好ましい態様において、フェニルは下記の構造を有する:
【化4】


(式中、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、CONHアルキル、CON(アルキル)2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2°-アミノ、3°-アミノ、NH2S02、OCH2CH2NH2、OCH2CH2NHアルキル、OCH2CH2N(アルキル)2、オキサゾリジン-2-イル、またはアルキル置換オキサゾリジン-2-イルからなる群より選択される)。
【0017】
式1または2のいずれかの好ましい態様において、R*およびR**の一つは置換もしくは無置換ベンジルであるか、またはR*およびR**はそれぞれ置換もしくは無置換ベンジルである。そのさらに好ましい態様において、ベンジルは下記の構造を有する:
【化5】


(式中、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立にアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、CONHアルキル、CON(アルキル)2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2°-アミノ、3°-アミノ、NH2S02、OCH2CH2NH2、OCH2CH2NHアルキル、OCH2CH2N(アルキル)2、オキサゾリジン-2-イル、またはアルキル置換オキサゾリジン-2-イルからなる群より選択される)。
【0018】
式1または2のいずれかの好ましい態様において、R*およびR**の一つは置換もしくは無置換複素環であるか、またはR*およびR**はそれぞれ置換もしくは無置換複素環である。そのさらに好ましい態様において、複素環は下記の構造を有する:
【化6】


(式中、X=CH=CH、N=CH、NR13(ただしR13=H、アルキル、アリールまたはベンジル)、O、またはSであり
Y=CHまたはNであり
R1、R2、およびR3はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【0019】
本発明の構造は、合成手順および治療上の使用中に本発明の化合物と遭遇する溶媒由来の原子を含む構造(式1Bおよび2B)を提供しうる溶媒相互作用も可能にする。したがって、そのような溶媒構造は特にそれ自体を、本発明の化合物のホウ素原子と窒素原子との間に入り込ませ、それにより本明細書の構造において開示するものよりも1または2原子大きい環サイズを提供することができる。例えば、本発明の構造のホウ素環が、例えば、ホウ素、窒素、酸素および2つの炭素を含む5原子を含む場合、ホウ素と窒素との間に溶媒原子が入り込むことで7員環が生じることになる。一例において、ヒドロキシルおよびアミノ溶媒を使用すると、環上のホウ素原子と窒素原子との間に酸素または窒素を含み、環のサイズが増大した構造を提供することができる。R***がHまたはアルキルであるそのような構造は本発明によって特に企図される。
【化7】

【0020】
本明細書において用いられる下記の用語は明記された意味を有する:
【0021】
本発明における「アルキル」、「低級アルキル」、および「C1-C6アルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、および3-メチルペンチルなどの1〜6炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。
【0022】
本発明における「アルコキシ」、「低級アルコキシ」、および「C1-C6アルコキシ」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、2-ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2-ヘキソキシ、3-ヘキソキシ、および3-メチルペントキシなどの1〜6炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基を意味する。
【0023】
本発明における「ハロゲン」なる用語は、フッ素、臭素、塩素、およびヨウ素を意味する。
【0024】
本発明における「シクロアルキル」、例えばC3-C7シクロアルキルとは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなどの3〜7炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。C3-C7シクロアルキル基において、好ましくはC5-C7シクロアルキル基において、環を形成している炭素原子の1つまたは2つは、硫黄、酸素または窒素などのヘテロ原子で置き換えられていてもよい。そのような基の例はピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ペルヒドロアゼピニル、ペルヒドロオキサザピニル、オキセパニル、およびペルヒドロオキセパニルである。窒素または酸素で置き換えられた環員を有するC3およびC4シクロアルキル基には、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、およびオキシラニルが含まれる。
【0025】
「アリール」とは、単環(例えば、フェニル)、多環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも一つが芳香族である縮合多環(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)を有する芳香族炭素環基を意味し、これは例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、低級アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、およびヒドロキシで1、2、または3置換されていてもよい。好ましいアリール基には、フェニルおよびナフチルが含まれ、これらはそれぞれ本明細書において定義したとおりに置換されていてもよい。
【0026】
「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素、または硫黄から選択される少なくとも1つで、4つまでのヘテロ原子を含む5、6、または7員環の、一つまたは複数の芳香環系を意味する。そのようなヘテロアリール基には、例えば、チエニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、(イソ)オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、(イソ)キノリニル、ナフチリジニル、ベンズイミダゾリル、およびベンゾキサゾリルが含まれる。好ましいヘテロアリールは、チアゾリル、ピリミジニル、好ましくはピリミジン-2-イル、およびピリジルである。他の好ましいヘテロアリール基には、1-イミダゾリル、2-チエニル、1-、または2-キノリニル、1-、または2-イソキノリニル、1-、または2-テトラヒドロイソキノリニル、2-または3-フラニルおよび2-テトラヒドロ-フラニルが含まれる。
【0027】
「リガンド」とは、ルイス酸ホウ素中心と供与結合を形成することができる一方で、ボリン酸エステル部分として連結された、窒素含有芳香族系を意味する。そのようなリガンドは当業者には公知である。例を下記の構造で示す。
【化8】

【0028】
本発明の化合物は、細菌DNAメチルトランスフェラーゼなどの重要な微生物酵素の阻害に関係するとされている。本明細書に開示する化合物の多くは、微生物におけるメチルトランスフェラーゼの選択的阻害剤であるが、哺乳動物におけるメチルトランスフェラーゼは阻害しない。しかし、本発明の化合物の抗菌および抗真菌活性はこの酵素阻害活性に限られるものではなく、また酵素阻害効果は必ずしもこの治療活性に必須というわけでもない。
【0029】
本発明は、本明細書において開示される化合物の薬学的組成物としての態様も提供する。本発明の薬学的組成物は、それ自体公知の様式で、例えば、通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、包括または凍結乾燥法により製造することができる。
【0030】
したがって、本発明に従って使用するための薬学的組成物は、活性化合物の薬学的に用いることができる製剤への加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む、一つまたは複数の生理的に許容される担体を用いて、通常の様式で製剤することができる。適当な製剤は選択した投与経路に依存する。
【0031】
非毒性の薬学的塩には、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸;酢酸、HOOC-(CH2)n-CH3(ただしnは0〜4である)などのアルカン酸などの酸の塩が含まれる。非毒性の薬学的塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、および機能的等価物などの塩基の塩が含まれる。当業者であれば、様々な非毒性の薬学的に許容される付加塩を理解すると思われる。
【0032】
注射のために、本発明の化合物をハンクス液、リンガー液、または生理食塩緩衝液などの生理的に適合する緩衝液などの適当な水溶液に製剤することができる。経粘膜および経皮投与のために、浸透するバリアに適した浸透剤を製剤中で用いる。そのような浸透剤は一般に当技術分野において公知である。
【0033】
経口投与のために、活性化合物を当技術分野において公知の薬学的に許容される担体と混合することにより、化合物を容易に製剤することができる。そのような担体は、本発明の化合物を治療中の患者が経口摂取するための錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして製剤することを可能にする。経口使用のための製剤は、固体賦形剤と共に、任意に、得られた混合物を粉砕し、望まれる場合には適当な補助剤を加えた後、顆粒混合物を加工して錠剤を得ることができる。適当な賦形剤は、特に、乳糖、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。望まれる場合には、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を加えることもできる。
【0034】
経口で用いることができる製剤には、ゼラチン製の押し込み式カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた密封軟カプセルが含まれる。押し込み式カプセルは、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意に安定化剤と混合した活性成分を含むことができる。軟カプセルにおいて、活性化合物は脂肪油、流動パラフィン、または液状ポリエチレングリコールなどの適当な液体中に溶解または懸濁することができる。さらに、安定化剤を加えることもできる。経口投与のための製剤はすべて、そのような投与に適した剤形であるべきである。口腔内投与のために、組成物は通常の様式で製剤した錠剤またはロゼンジの形を取ることもできる。
【0035】
吸入による投与のために、本発明に従って使用するための化合物は、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当な気体を用いた、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形で都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合、投与単位は計量した量を送達するバルブを提供することにより決定することができる。吸入器で用いるための、化合物および乳糖またはデンプンなどの適当な粉末基剤の粉末混合物を含む、例えば、ゼラチンのカプセルやカートリッジを製剤することもできる。
【0036】
注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために、化合物を製剤することができる。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプルまたは複数用量容器中で保存剤を加えて提供することができる。組成物は油性または水性媒体中の懸濁液、溶液または乳濁液などの形を取ることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤用物質を含むことができる。
【0037】
非経口投与用の製剤には、水溶性剤形での活性化合物の水溶液が含まれる。加えて、活性化合物の懸濁液を適当な油性注射用懸濁剤として調製することもできる。適当な親油性溶媒または媒体には、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、あるいはリポソームが含まれる。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘性を高める物質を含むこともできる。任意に、懸濁液は適当な安定化剤または化合物の溶解性を高めて高濃度溶液の調製を可能にする物質も含むことができる。または、活性成分は適当な媒体、例えば、発熱源を含まない滅菌水で使用前に構成するための粉末の形であってもよい。化合物を、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含む、坐剤または停留浣腸などの直腸製剤に製剤することもできる。
【0038】
前述の製剤に加えて、化合物をデポー製剤として製剤することもできる。そのような長期作用製剤は、植え込み(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。したがって、例えば、化合物を適当なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤することもできる。
【0039】
本発明の疎水性化合物用の薬学的担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含む溶媒系である。溶媒系はVPD共溶媒系であってもよい。VPDは3%w/vベンジルアルコール、8%w/v非極性界面活性剤ポリソルベート80、および65%w/vポリエチレングリコール300を無水アルコール中で体積を合わせた溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は5%デキストロース水溶液で1:1希釈したVPDからなる。この共溶媒系は疎水性化合物をよく溶解し、それ自体は全身投与した場合に低毒性である。当然、共溶媒系の比率は、その溶解性および毒性の特徴を損なうことなく、かなり変動することができる。さらに、共溶媒成分の本体は変動することができる:例えば、他の低毒性非極性界面活性剤をポリソルベート80の代わりに用いることができ;ポリエチレングリコールの割合を変えることもでき;ポリエチレングリコールの代わりに他の生体適合性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンを用いることもでき;デキストロースの代わりに他の糖または多糖を用いることもできる。
【0040】
または、疎水性薬学的組成物のための他の送達系を用いることもできる。リポソームおよび乳濁液は、疎水性薬物のための送達媒体または担体の公知の例である。ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒を用いることもできるが、通常は高い毒性という代償を払うことになる。加えて、治療薬を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスなどの持続放出系を用いて化合物を送達することもできる。様々な持続放出材料が確立されており、当業者には公知である。持続放出カプセルは、その化学的性質に応じて、数週間から100日を越える期間にわたり化合物を放出する。治療薬の化学的性質および生物学的安定性に応じて、蛋白質および核酸安定化のためのその他の戦略を用いることもできる。
【0041】
薬学的組成物は適当な固体またはゲル相の担体または賦形剤を含むこともできる。そのような担体または賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0042】
本発明の化合物を薬学的に適合する対イオンとの塩として提供することができる。薬学的に適合する塩は、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、リン酸、臭化水素酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸;酢酸、HOOC-(CH2)n-CH3(ただしnは0〜4である)などのアルカン酸を含むが、これらに限定されることはない、多くの酸と形成することができる。塩は対応する遊離塩基型である水性または他のプロトン性溶媒中で溶解性が高い傾向にある。非毒性の薬学的塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩が含まれる。当業者であれば、様々な非毒性の薬学的に許容される付加塩を理解すると思われる。
【0043】
本発明の化合物の薬学的組成物を製剤し、全身、限局性、または局所投与を含む様々な手段により投与することができる。製剤および投与の技術は「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co., Easton, PAに見いだすことができる。投与様式は体内の所望の標的部位への送達を最大化するよう選択することができる。適当な投与経路には、例えば、経口、直腸内、経粘膜、経皮、または腸内投与;筋肉内、皮下、髄内注射、ならびにクモ膜下、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻内、または眼内注射を含む非経口送達が含まれうる。
【0044】
または、全身ではなく局所様式、例えば、しばしばデポーまたは持続放出製剤で、化合物を特定組織に直接注射することにより、化合物を投与することもできる。
【0045】
本発明における使用に適した薬学的組成物には、活性成分がその所期の目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物が含まれる。特に、治療上有効な量とは、治療中の被検者の症状発現を予防する、または既存の症状を軽減するために有効な量を意味する。有効な量の決定は、特に本明細書において提供する詳細な開示に照らせば、当業者の能力の範囲内である。
【0046】
本発明の方法において用いるいかなる化合物についても、治療上有効な用量は最初は本明細書に開示する細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、動物モデルにおいて細胞培養で決定したEC50(50%上昇のための有効用量)、すなわち、細菌細胞増殖の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度を含む循環濃度範囲を得るための用量を調合することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより厳密に決定することができる。
【0047】
しかし、いかなる特定の患者に対する特定の用量レベルも、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康、性別、食餌、投与時間、投与経路、および排出速度、薬物の組み合わせ、治療中の特定の疾患の重症度、ならびに処方する医師の判断を含む様々な因子に依存することが理解されると思われる。
【0048】
ヒト以外の動物に投与するために、薬物または薬物を含む薬学的組成物は、動物飼料または飲水中に加えることもできる。動物がその食餌と共に適当な量の薬物を摂取するよう、所定の用量の薬物と共に動物飼料および飲水製品を調合することは都合がよいと思われる。また、動物が消費する直前に薬物を含むプレミックスを飼料または飲水に適当に加えることも好都合である。
【0049】
本発明の好ましい化合物は特定の薬理学的性質を有することになる。そのような性質には、経口バイオアベイラビリティ、低毒性、低い血清蛋白質結合ならびに望ましいインビトロおよびインビボ半減期が含まれるが、これらに限定されることはない。これらの望ましい薬理学的性質を予測するためにアッセイを用いることもできる。バイオアベイラビリティを予測するために用いるアッセイには、Caco-2細胞単層を含むヒト腸細胞単層を通過しての輸送が含まれる。血清蛋白質結合はアルブミン結合アッセイから予測することができる。そのようなアッセイはOravcova et al. (1996, J. Chromat. B 677: 1-27)による総説に記載されている。化合物の半減期は化合物の投与頻度に反比例する。化合物のインビトロ半減期はKuhnz and Gieschen (Drug Metabolism and Disposition, (1998) volume 26, pages 1120-1127)によって記載されているとおり、ミクロソーム中の半減期のアッセイから予測することができる。
【0050】
そのような化合物の毒性および治療効果は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的となる用量)およびED50(集団の50%で治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準の薬学的方法により決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50とED50との間の比で表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイから得たデータを、ヒトで用いるための一連の用量を調合する際に用いることができる。そのような化合物の用量は、好ましくは、毒性がないか、またはほとんどなく、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、用いる剤形および投与経路に応じて、この範囲内で変動してもよい。厳密な製剤、投与経路、および剤形は、患者の状態を考慮して、個々の医師が選択することができる。(例えば、Fingl et al., 1975, in "The Pharmacological Basis of Therapeutics", Ch. 1, p. 1参照)。
【0051】
投与の量および間隔は、細菌細胞の増殖阻害効果を維持するのに十分な活性部分の血漿レベルを提供するよう、個々に調節することができる。全身投与のための通常の患者用量は、100〜2000mg/日の範囲である。患者の体表面積に関して言えば、通常の用量は50〜910mg/m2/日の範囲である。通常の平均血漿レベルは0.1〜1000μMの範囲内に維持すべきである。局所投与または選択的取り込みの場合、化合物の有効な局所濃度を血漿濃度と関連づけることはできない。
【0052】
本発明の化合物は、放線菌症、炭疽、細菌性赤痢、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、蜂巣炎、コレラ、結膜炎、膀胱炎、ジフテリア、細菌性心内膜炎、喉頭蓋炎、胃腸炎、馬鼻疽、淋病、レジオネラ病、レプトスピラ症、細菌性髄膜炎、ペスト、細菌性肺炎、産褥敗血症、リウマチ熱、ロッキー山熱、猩紅熱、連鎖球菌咽頭炎、梅毒、破傷風、結核、野兎病、腸チフス熱、チフス、および百日咳を含むが、これらに限定されることはない、動物およびヒト両方の疾患を治療するための抗生物質として有用である。
【0053】
特許を含むすべての論文および参考文献の本出願における開示は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0054】
本発明の化合物は新しい広域抗生物質類を含む。本発明の阻害剤の抗菌活性に対する適当な標的を提供する、医学的に重要な細菌種には、ブドウ球菌および連鎖球菌などの球菌を含むグラム陽性菌;マイコバクテリウムを含む抗酸菌;バチルス、コリネバクテリウム、およびクロストリジウムを含む桿菌;アクチノミセスおよびストレプトミセスを含む糸状菌;ナイセリアおよびアシネトバクターなどの球菌を含むグラム陰性菌;シュードモナス、ブルセラ、アグロバクテリウム、ボルデテラ、エシェリキア、シゲラ、エルシニア、サルモネラ、クレブシエラ、エンテロバクター、ヘモフィラス、パスツレラ、およびストレプトバチルスなどの桿菌;スピロヘータ、カンピロバクター、ビブリオ;ならびにリケッチアおよびクラミジアを含む細胞内細菌が含まれる。
【0055】
本発明の抗生物質の標的である特定の細菌には、黄色ブドウ球菌;表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス-サプロフィティクス;化膿連鎖球菌;ストレプトコッカス-アガラクティエ;肺炎連鎖球菌;エンテロコッカス-フェカーリス;エンテロコッカス-フェシウム;炭疽菌;トリ結核菌、結核菌、アシネトバクター-バウマニイ;ジフテリア菌;ウェルシュ菌;ボツリヌス菌;破傷風菌;淋菌;髄膜炎菌;緑膿菌;レジオネラ-ニューモフィラ;大腸菌;ペスト菌;インフルエンザ菌;ピロリ菌;カンピロバクター-フェトゥス;カンピロバクター-ジェジュニ、コレラ菌;腸炎ビブリオ;梅毒トレポネーマ;イスラエル放線菌;発疹チフスリケッチア;ロッキー山紅斑熱リケッチア;トラコーマ病原体;オウム病病原体;ウシ流産菌;アグロバクテリウム-ツメファシエンス;および野兎病菌が含まれる。
【0056】
本発明の方法を実施するにあたり、当然のことながら、特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件などへの言及は限定を意図するものではなく、その議論が行われる特定の状況において興味深い、または価値があると当業者が認めるすべての関連材料を含むように読まれるべきである。例えば、一つの緩衝液系または培地をもう一つのものに置き換えてもなお、同一ではないにしても、同様の結果が得られることが多い。当業者であれば、過度の実験を行うことなく、本明細書に開示する方法および手順を用いる際のその目的に最適にかなうそのような置き換えを行うことができるほどに、そのような系および方法論の十分な知識を有すると思われる。
【0057】
本発明を下記の非限定的実施例においてより詳細に記載する。これらの方法および実施例は、本発明を本明細書に記載の態様に限定することは決してなく、また他の態様および使用は間違いなく当業者の念頭に浮かぶことが理解されるべきである。
【0058】
本発明の化合物を、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)により規定された指標および方法により、その抗菌活性について評価する(NCCLS文書M7-A3、1993-Antimicrobial Susceptibility Testing参照)。
【0059】
MIC評価のためのプロトコル
MIC評価のための有用なプロトコルは下記のとおりである:
1. 試験する化合物約2.5mgをクライオバイアルに秤量した。
2. DMSOを試料に適宜に加えて、5mg/mlの保存液を調製した。
3. 5mg/mlの保存液を用い、滅菌蒸留水を適宜に加えて、256μg/mlの希釈溶液を調製した。
4. 96穴プレートに下記のとおりブロスおよび化合物を添加するよう、Beckman 2000 Automated Workstationを設定した:
-カラム1〜11に適当なブロス100μlを加えた。
-カラム12に適当なブロス200μlを加えた。
-カラム1に希釈液256μg/mlの化合物100μlを加えた(1列につき1化合物)。
-カラム1から10で2倍連続希釈を行った。
-カラム11を増殖対照とした。
5. -80℃で保存した保存バイアルから10生物パネルを播種し、34℃で24時間インキュベートした。次いで生物を継代培養し、34℃で24時間インキュベートした。
-接種材料をまず滅菌蒸留水中で波長620nmの吸光度0.09〜0.11を標的として調製した。
-適当なブロス中で1/100希釈した。
-カラム1〜11に生物を含むブロス100μlを加えた。
-カラム12をブランク対照とした。
6. 完了した96穴プレートを34℃で24時間インキュベートした。次いで、96穴プレートをBeckman Automated Plate Readerを用い、波長650nmで読み取った。増殖対照(カラム11)およびブランク対照(カラム12)を含む計算により、MICを求めた。
【0060】
ボリナート複合体
この方法を用いて下記の表の結果を得た。化合物10から123の代表的微生物学的データをマイクログラム/mlで表したMIC(最小阻害濃度)として表1から4に示す。
【0061】
したがって、本発明は一般にボリン酸複合体と呼ばれ、最も好ましくは二置換ボリン酸由来の抗生物質を提供する。
【0062】
本発明の化合物の合成は、いくつかの様式で達成される。反応スキーム#1は中間体ボリン酸の合成と、それに続く所望のボリン酸複合体への変換を示している。R*およびR**が同じである場合、2当量のハロゲン化アリールマグネシウム(またはアリールリチウム)とホウ酸トリアルキルとの反応の後、酸加水分解により所望のボリン酸5を得る。R*およびR**が同じではない場合、1当量のハロゲン化アリールマグネシウム(またはアリールリチウム)と適当なアリール(ジアルコキシ)ボラン(4)、ヘテロアリール(ジアルコキシ)ボランまたはアルキル(ジアルコキシ)ボラン(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、またはプロポキシ部分からなるアルコキシ基)との反応の後、酸加水分解により非対称のボリン酸6を高収率で得る。適当な場合には、アルキレンエステル(3、T=なし、CH2、CMe2)と適当な有機リチウムまたは有機マグネシウム反応物との反応が好都合である。
【0063】
スキーム1に示すとおり、ボリン酸複合体を前駆体ボリン酸から、適当な溶媒(すなわち、エタノール、イソプロパノール、ジオキサン、エーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、またはテトラヒドロフラン)中、1当量の所望の複素環リガンドとの反応により得る。
【0064】
【化9】

【0065】
特定の状況において、本発明の化合物は一つまたは複数の不斉炭素原子を含んでいてもよく、したがって化合物は異なる立体異性体で存在することができる。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性体でありうる。これらの状況において、単一の鏡像異性体、すなわち光学活性体は不斉合成またはラセミ体の分割により得ることができる。ラセミ体の分割は、例えば、分割剤存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを用いてのクロマトグラフィなどの通常の方法により達成することができる。
【0066】
本発明の代表的化合物には、本明細書に開示する化合物ならびにそれらの薬学的に許容される酸および塩基付加塩が含まれるが、これらに限定されることはない。加えて、本発明の化合物を酸付加塩として得た場合、酸性塩の溶液を塩基性化することにより遊離塩基を得ることができる。反対に、生成物が遊離塩基である場合、適当な有機溶媒に遊離塩基を溶解し、塩基性化合物から酸付加塩を調製するための通常の方法に従ってこの溶液を酸で処理することにより、付加塩、特に薬学的に許容される付加塩を生成することができる。好ましい態様において、本発明の化合物は化合物10〜123(表1、2、3および4)のいずれか、およびその変異形を含む。
【0067】
(表1)選択したグラム陽性およびグラム陰性病原体に対する抗菌特性
【表1】


【表2】


【表3】

【0068】
(表2)選択したグラム陽性およびグラム陰性病原体に対する抗菌特性
【表4】

【0069】
(表3)インビトロでの抗マイコバクテリウム活性
【表5】

【0070】
(表4)選択したボリン酸複合体の抗真菌活性
【表6】

【0071】
本発明は、本発明の化合物のアシル化プロドラッグも含む。当業者であれば、本発明の化合物の非毒性の薬学的に許容される付加塩およびアシル化プロドラッグを調製するために用いることができる様々な合成法を理解すると思われる。
【0072】
表1、2および3は公知の抗生物質の阻害活性も含み、各表の最後に示している。
【0073】
実施例
プロトンNMRはVarian AS 400分光器で記録し、化学シフトをテトラメチルシランからδ(ppm)低磁場として報告する。質量スペクトルはMicromass Quattro IIで測定する。実施例番号は化合物を指している。
【0074】
エチレングリコールボロン酸エステル(化合物3、T=なし)の生成
一般法
ボロン酸を無水THFまたは無水ジエチルエーテルに窒素雰囲気下で溶解した(約10mL/g)。エチレングリコール(1モル当量)を反応混合物に加え、反応混合物を1から4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去して、エチレングリコールエステルを油状物または固体で得た。油状物を得た場合、またはヘキサンに溶解した固体の場合、無水ヘキサンを加え、減圧下で除去した。次いで、生成物を高真空下に数時間置いた。ヘキサンに溶解しない固体を得た場合、固体をろ取し、冷ヘキサンで洗浄した。
【0075】
3-シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(3a)
3-シアノフェニルボロン酸(1g、6.8mmol)を無水THF(10mL)に窒素雰囲気下で溶解した。エチレングリコール(379μL、422mg、6.8mmol)を加え、反応混合物を4時間加熱還流し、次いで室温まで冷却した。THFをロータリーエバポレーターで除去し、白色固体を得た。冷ヘキサンを加え、生成物をろ取して白色固体(1.18g、定量的収率)を得た。

【0076】
チオフェン3-ボロン酸エチレングリコールエステル(3b)
チオフェン-3-ボロン酸(1g、7.8mmol)を無水THF(10mL)に窒素雰囲気下で溶解した。エチレングリコール(435μL、484mg、7.8mmol)を加え、反応混合物を1時間加熱還流し、次いで室温まで冷却した。THFをロータリーエバポレーターで除去し、白色固体を得た。ヘキサンを加え、固体を溶解して、ロータリーエバポレーターで除去した。生成物を高真空下に置き、黄褐色固体(1.17g、97%)を得た。

【0077】
不斉ボリン酸(6)のボロン酸エチレングリコールエステルからの生成
一般法A:グリニャール法
ボリン酸エチレングリコールエステルを無水THF(10〜20mL/g)に窒素雰囲気下で溶解した。溶液をアセトン/ドライアイス浴中で-78℃まで、または氷水浴中で0℃まで冷却した。グリニャール試薬(0.95から1.2モル当量)を冷却した溶液に滴加した。反応混合物を室温まで加温し、3〜18時間撹拌した。6N HCl(2mL/g)を加え、溶媒を減圧下で除去した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×等量)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィで精製するか、または精製せずに次の段階に進めた。別の後処理:ボリン酸生成物がアミンまたはピリジンなどの塩基性基を含んでいた場合、室温で3〜18時間撹拌した後、水(2mL/g)を加え、pHを5〜7に調節した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×等量)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィで精製するか、または精製せずに次の段階に進めた。
【0078】
(4-シアノフェニル)(3-フルオロフェニル)ボリン酸(6a)
4-シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(500mg、2.89mmol)を無水THFに窒素雰囲気下で溶解した。溶液をアセトン/ドライアイス浴中で-78℃まで冷却し、臭化3-フルオロフェニルマグネシウム(THF中1M)(2.74mL、2.74mmol、0.95モル当量)を冷溶液に滴加した。反応混合物を室温までゆっくり戻し、18時間撹拌した。6N HCl(1mL)を反応混合物に加えると外観が混濁し、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて除去した。生成物をジエチルエーテル(20mL)中に抽出し、水(3×20mL)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粗生成物を油状固体で得た。これを精製せずに次の段階に進めた。
【0079】
一般法B:(ヘテロ)アリール-リチウム法
臭化またはヨウ化(ヘテロ)アリールを無水THF(20〜30mL/g)に窒素雰囲気下で溶解し、脱気した。溶液をアセトン/ドライアイス浴中で-78℃まで冷却し、THFまたは他の溶媒中のn-、sec-またはtert-ブチルリチウム(1.5〜2.4モル当量)を冷却溶液に滴加すると、一般には溶液が濃黄色に変化した。ボロン酸エチレングリコールエステル(1モル当量)を無水THFまたはジエチルエーテル(2〜5mL/g)に窒素雰囲気下で溶解した。THF中のボロン酸エチレングリコールエステルを冷却したアリール-リチウム溶液に滴加すると、一般には溶液は淡黄色に変化した。反応混合物を室温まで加温し、3〜18時間撹拌した。6N HCl(2〜4mL/g)を加え、溶媒を減圧下で除去した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×等量)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィで精製するか、または精製せずに次の段階に進めた。別の後処理:ボリン酸生成物がアミンまたはピリジンなどの塩基性基を含んでいた場合、室温で3〜18時間撹拌した後、水(2mL/g)を加え、pHを5〜7に調節した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×等量)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィで精製するか、または精製せずに次の段階に進めた。
【0080】
(3-チオフェン)(3-クロロフェニル)ボリン酸(6b)
3-クロロ-ブロモベンゼン(447μL、728mg、3.8mmol)を無水THF(15mL)に窒素雰囲気下で溶解した。溶液を脱気し、アセトン/ドライアイス浴中で-78℃まで冷却した。冷却溶液にtert-ブチルリチウム(THF中1.7M)(4.47mL、7.6mmol、2モル当量)を滴加すると、溶液が濃黄色に変化した。溶液を-78℃で撹拌する一方で、3-チオフェンボロン酸エチレングリコールエステル(586mg)を無水ジエチルエーテル(1mL)に溶解した。次いで、ボロン酸エステル溶液を冷却した溶液に滴加すると、色が淡黄色に変化した。反応混合物を室温まで加温し、18時間撹拌した。6N HCl(2mL)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。生成物をジエチルエーテル(10mL)中に抽出し、水(2×10mL)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粗生成物を橙色油状物で得た。生成物をシリカゲルおよび溶離剤としてヘキサン:酢酸エチル(5:1)を用いたカラムクロマトグラフィで精製し、純粋な生成物を澄明油状物で得た(614mg、73%)。
【0081】
(3-クロロフェニル)ビニルボリン酸(6c)
これを3-シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとビニルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0082】
(3-フルオロ-5-クロロフェニル)エチニルボリン酸(6d)
これを3-フルオロ-5-クロロフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとエチニルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0083】
(4-メチル-3-クロロフェニル)(2-チエニル)ボリン酸(6e)
これを2-チエニルボロン酸エチレングリコールエステルと4-メチル-3-クロロフェニルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0084】
(4-シアノフェニル)エチニルボリン酸(6f)
これを4-シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとエチニルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0085】
(3-フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸(6g)
これを3-フルオロフェニルボロン酸エチレングリコールエステルとシクロプロピルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0086】
(3-チエニル)メチルボリン酸(6h)
これを3-チエニルボロン酸エチレングリコールエステルとメチルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0087】
(4-ピリジル)フェニルボリン酸(6i)
これをフェニルボロン酸エチレングリコールエステルと4-ピリジルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0088】
(3-シアノフェニル)(2-フルオロフェニル)ボリン酸(6j)
これを3-シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルと2-フルオロフェニルリチウムとの反応により、6bについての記載と同様の方法で調製した。
【0089】
有機金属とホウ酸トリアルキルとの反応による対称ボリン酸(5)の生成。ビス(4-クロロフェニル)ボリン酸(5a)(方法C)
無水テトラヒドロフラン(THF、25ml)中のホウ酸トリメチル(0.37ml)の冷溶液(-78℃)に臭化4-クロロフェニルマグネシウム(6.75ml、エーテル中1M溶液)を滴加して処理した。反応混合物を-78℃で1h撹拌し、次いで室温で18h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をエーテル100mlおよび6N塩酸15mlと共に撹拌した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去して淡黄色固体を得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィ(Hex:エーテル=1:1)にかけて、ボリン酸420mgを得た。

【0090】
ビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸(5b)
5aと同様の様式で、標題化合物を臭化3-クロロ-4-メチルフェニルマグネシウムとホウ酸トリメチルとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0091】
ビス(3-フルオロ-4-メチルフェニル)ボリン酸(5c)
5aと同様の様式で、標題化合物を3-フルオロ-4-メチルフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0092】
ビス(3-クロロ-4-メトキシフェニル)ボリン酸(5d)
5aと同様の様式で、標題化合物を3-クロロ-4-メトキシフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0093】
ビス(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ボリン酸(5e)
5aと同様の様式で、標題化合物を3-フルオロ-4-メトキシフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0094】
有機金属とアルキル(アリール)ジアルコキシボランとの反応による非対称ボリン酸(6)の生成。(4-クロロフェニル)メチル-ボリン酸(6k)(方法D)
-78℃の臭化4-クロロフェニルマグネシウム(5.5ml、エーテル中1M溶液)に、ジ(イソプロポキシ)メチルボラン(1ml、0.78g)をシリンジから滴加した。反応混合物を-78℃で1h撹拌し、次いで室温で終夜撹拌した。反応混合物にエーテル100mlおよび6N塩酸15mlを滴加して処理し、1h撹拌した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去して油状物質1.1gを得た。生成物の1H NMRは(4-クロロフェニル)メチルボリン酸に一致した。
【0095】
(4-フルオロフェニル)メチルボリン酸(6m)
6kと同様の様式で、標題化合物を臭化4-フルオロフェニルマグネシウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0096】
(4-ビフェニル)メチルボリン酸(6n)
6kと同様の様式で、標題化合物を4-ビフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0097】
(3-クロロ-4-メチルフェニル)メチルボリン酸(6o)
6kと同様の様式で、標題化合物を3-クロロ-4-メチルフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0098】
(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチルボリン酸(6p)
6kと同様の様式で、標題化合物を3-クロロ-4-メトキシフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0099】
(4-ジメチルアミノフェニル)メチルボリン酸(6q)
6kと同様の様式で、標題化合物を4-ジメチルアミノフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0100】
(3-クロロ-4-ジメチルアミノフェニル)ビニルボリン酸(6r)
6kと同様の様式で、標題化合物を3-クロロ-4-ジメチルアミノフェニルリチウムとジ(ブトキシビニル)-ボランとの反応から得た。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィにより得た。
【0101】
ビス(3-クロロフェニル)ボリン酸4-(ヒドロキシエチル)イミダゾールエステル(121)
ビス(3-クロロフェニル)ボリン酸(0.4g、1.428mmol)のエタノール(10ml)溶液に、4-(ヒドロキシエチル)イミダゾール塩酸塩(0.191g、1.428mmol)、炭酸水素ナトリウム(0.180g、2.143mmol)を加え、反応混合物を室温で18h撹拌した。塩をろ去した。ろ液を濃縮し、ヘキサンで処理して、生成物を固体で得、ろ取した。(450mg、収率84.9%)
【0102】
ビス(4-クロロフェニル)ボリン酸4-(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(126)
実施例121と同様の様式で、標題化合物をビス(4-クロロフェニル)ボリン酸と4-(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との反応から得た。生成物を白色結晶で得た。
【0103】
ビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸1-ベンジル-4-(ヒドロキシメチル)-イミダゾールエステル(127)
1-ベンジル-4-(ヒドロキシメチル)イミダゾール(96mg、0.521mmol)のメタノール(5ml)溶液に、ビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸(121mg、0.521mmol)を加え、反応混合物を室温で2h撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をヘキサンで処理して固体を得た。生成物をろ過により単離し、ヘキサンで洗浄して生成物を得た(193mg、83%)。

【0104】
ビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸1-メチル-2-(ヒドロキシメチル)-イミダゾールエステル(128)
実施例127と同様の様式で、標題化合物をビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸と1-メチル-2-(ヒドロキシ-メチル)イミダゾール塩酸塩との反応から得た。生成物を白色結晶で得た。
【0105】
ビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸1-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-イミダゾールエステル(129)
実施例127と同様の様式で、標題化合物をビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸と1-エチル-2-(ヒドロキシ-メチル)イミダゾール塩酸塩との反応から得た。生成物を白色結晶で得た。
【0106】
ビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸1-メチル-4-(ヒドロキシメチル)-イミダゾールエステル(130)
実施例127と同様の様式で、標題化合物をビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸と1-メチル-4-(ヒドロキシ-メチル)イミダゾール塩酸塩との反応から得た。生成物を白色結晶で得た。
【0107】
ビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸2-ピリジルエタノール(131)
実施例121と同様の様式で、標題化合物をビス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ボリン酸と2-ピリジルエタノールとの反応から得た。生成物を白色結晶で得た。
【0108】
ビス(4-クロロフェニル)ボリン酸2-ピリジルメタノール(132)
実施例121と同様の様式で、標題化合物をビス(4-クロロフェニル)ボリン酸と2-ピリジルメタノールとの反応から得た。生成物を白色結晶で得た。
【0109】
ビス(4-フルオロフェニル)ボリン酸2-ピリジルメタノール(133)
実施例121と同様の様式で、標題化合物をビス(4-フルオロフェニル)ボリン酸と2-ピリジルメタノールとの反応から得た。生成物を白色結晶で得た。
【0110】
ヒドロキノリン誘導体
ビス(3-クロロフェニル)ボリン酸8-ヒドロキシキノリンエステル(10)
ビス(3-クロロフェニル)ボリン酸(0.18g)のエタノール(1ml)溶液および8-ヒドロキシキノリン(0.105g)を5℃で撹拌した。次いで、反応混合物を室温で撹拌し、黄色固体沈殿が生成した。反応混合物をさらに4時間撹拌した。生成物をろ過により単離し、ヘキサンで洗浄し、風乾して複合体160mgを得た。
【0111】
ビス(3-クロロフェニル)ボリン酸5-フルオロ-8-ヒドロキシキノリンエステル(12)
実施例10と同様の様式で、標題化合物をビス(3-クロロフェニル)ボリン酸と5-フルオロ-8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を黄色結晶で得た。
【0112】
ビス(3-クロロフェニル)ボリン酸5-クロロ-8-ヒドロキシキノリンエステル(13)
実施例10と同様の様式で、標題化合物をビス(3-クロロフェニル)ボリン酸と5-クロロ-8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を黄色結晶で得た。
【0113】
ビス(3-クロロフェニル)ボリン酸5-シアノ-8-ヒドロキシキノリンエステル(19)
実施例10と同様の様式で、標題化合物をビス(3-クロロフェニル)ボリン酸と5-シアノ-8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を黄色結晶で得た。
【0114】
(2-チエニル)メチルボリン酸8-ヒドロキシキノリンエステル(26)
実施例10と同様の様式で、標題化合物を(2-チエニル)メチルボリン酸と8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を黄色結晶で得た。
【0115】
(3-クロロフェニル)(2-チエニル)ボリン酸8-ヒドロキシキノリンエステル(36)
実施例10と同様の様式で、標題化合物を(3-クロロフェニル)(2-チエニル)ボリン酸と8-ヒドロキシ-キノリンとの反応から得た。生成物を黄色結晶で得た。
【0116】
(3-シアノフェニル)ビニルボリン酸8-ヒドロキシキノリンエステル(40)
実施例10と同様の様式で、標題化合物を(3-シアノフェニル)ビニルボリン酸と8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を黄色結晶で得た。
【0117】
(2-クロロフェニル)エチニルボリン酸8-ヒドロキシキノリンエステル(43)
実施例10と同様の様式で、標題化合物を(2-クロロフェニル)エチニルボリン酸と8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を黄色結晶で得た。
【0118】
ビス(エチニル)ボリン酸8-ヒドロキシキノリン(44)(XXI)
実施例10と同様の様式で、標題化合物をビス(エチニル)ボリン酸と8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を淡黄色結晶で得た。
【0119】
(3-フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸8-ヒドロキシキノリンエステル(70)
実施例10と同様の様式で、標題化合物を(3-フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸と8-ヒドロキシキノリンとの反応から得た。生成物を淡黄色結晶で得た。
【0120】
好ましい態様において、本発明は本明細書に特に挙げた化合物、およびその薬学的に許容される塩、ならびに薬学的に許容される担体を含むこれらの化合物のいずれかの組成物を含む。最も好ましいものは、表1、2、3または4に挙げた化合物のいずれかの構造を有する化合物、特に化合物10から108、化合物111〜112、または化合物116〜120の構造を有するものである。そのような化合物において、リガンドは本明細書の他所に記載のとおりで、示した反応性基によりホウ素に結合している。
【0121】
本発明は、微生物が原因の疾患によって苦しんでいる患者のそのような疾患の治療法、および/または感染のリスクが高い患者のそのような感染の予防法であって、患者に本発明の化合物のいずれか、好ましくは表1から4に挙げたものの一つまたは複数の治療上有効な量を投与する段階を含む方法にも関する。一つの局面において、本発明の化合物は抗菌(すなわち、殺菌)および抗真菌(すなわち、殺真菌)活性を有する。
【0122】
好ましい態様において、微生物は細菌、好ましくはグラム陽性菌であり、このグラム陽性菌はブドウ球菌、連鎖球菌、バチルス、マイコバクテリウム、コリネバクテリウム、クロストリジウム、アクチノミセス、腸球菌およびストレプトミセスからなる群より選択される一員である。
【0123】
そのような方法のもう一つの好ましい態様において、細菌はグラム陰性菌、好ましくはアシネトバクター、ナイセリア、シュードモナス、ブルセラ、アグロバクテリウム、ボルデテラ、エシェリキア、シゲラ、エルシニア、サルモネラ、クレブシエラ、エンテロバクター、ヘモフィラス、パスツレラ、ストレプトバチルス、スピロヘータ、カンピロバクター、ビブリオ、およびヘリコバクターからなる群より選択されるものである。
【0124】
本発明の非常に好ましい態様において、細菌は黄色ブドウ球菌;表皮ブドウ球菌;スタフィロコッカス-サプロフィティクス;化膿連鎖球菌;ストレプトコッカス-アガラクティエ;肺炎連鎖球菌;エンテロコッカス-フェカーリス;エンテロコッカス-フェシウム;炭疽菌;トリ結核菌;結核菌;アシネトバクター-バウマニイ;ジフテリア菌;ウェルシュ菌;ボツリヌス菌;破傷風菌;淋菌;髄膜炎菌;緑膿菌;レジオネラ-ニューモフィラ;大腸菌;ペスト菌;インフルエンザ菌;ピロリ菌;カンピロバクター-フェトゥス;カンピロバクター-ジェジュニ;コレラ菌;腸炎ビブリオ;梅毒トレポネーマ;イスラエル放線菌;発疹チフスリケッチア;ロッキー山紅斑熱リケッチア;トラコーマ病原体;オウム病病原体;ウシ流産菌;アグロバクテリウム-ツメファシエンス;および野兎病菌からなる群より選択される一員である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その塩を含む、式1の構造を有する化合物:
【化1】


(式中、Bはホウ素であり、Oは酸素であり、
R*およびR**はそれぞれ独立に、置換または無置換アルキル(C1-C4)、置換または無置換シクロアルキル(C3-C6)、置換または無置換ビニル、置換または無置換アルキニル、置換または無置換ベンジル、置換または無置換フェニル、および置換または無置換複素環から選択され、
zは0または1であり、zが1の場合、AはCH、CR10またはNであり、
DはN、CH、またはCR12であり、
EはH、OH、アルコキシまたはN-(モルホリニル)エトキシであり、
mは1または2であり、mが1の場合、Gは=O(二重結合酸素)であり、mが2の場合、各Gは独立にH、メチル、エチルまたはプロピルであり、
R12は(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2*-アミノ、3*-アミノ、NH2SO2およびCONH2から選択され、
JはCR10またはNであり、
R9、R10およびR11はそれぞれ独立に水素、アルキル、(CH2)nOH(n=1、2から3)、CH2NH2、CH2NHアルキル、CH2N(アルキル)2、ハロゲン、CHO、CH=NOH、C02H、C02-アルキル、S-アルキル、S02-アルキル、S-アリール、NH2、アルコキシ、CF3、SCF3、N02、S03HおよびOHからなる群より選択される)。
【請求項2】
R*およびR**の一つが置換または無置換アルキル(C1-C4)である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換アルキル(C1-C4)である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R*およびR**の一つが置換または無置換シクロアルキル(C3-C6)である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換シクロアルキル(C3-C6)である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R*およびR**の一つが置換または無置換ビニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換ビニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
ビニルが下記の構造を有する、請求項6または7記載の化合物:
【化2】



(式中、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【請求項9】
R*およびR**の一つが置換または無置換アルキニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換アルキニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
アルキニルが下記の構造を有する、請求項9または10記載の化合物:
【化3】


(式中、R1は水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【請求項12】
R*およびR**の一つが置換または無置換フェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換フェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
フェニルが下記の構造を有する、請求項12または13記載の化合物:
【化4】


(式中、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、CONHアルキル、CON(アルキル)2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2°-アミノ、3°-アミノ、NH2S02、OCH2CH2NH2、OCH2CH2NHアルキル、OCH2CH2N(アルキル)2、オキサゾリジン-2-イル、またはアルキル置換オキサゾリジン-2-イルからなる群より選択される)。
【請求項15】
R*およびR**の一つが置換または無置換ベンジルである、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換ベンジルである、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
ベンジルが下記の構造を有する、請求項15または16記載の化合物:
【化5】


(式中、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立にアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、CONHアルキル、CON(アルキル)2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2°-アミノ、3°-アミノ、NH2S02、OCH2CH2NH2、OCH2CH2NHアルキル、OCH2CH2N(アルキル)2、オキサゾリジン-2-イル、またはアルキル置換オキサゾリジン-2-イルからなる群より選択される)。
【請求項18】
R*およびR**の一つが置換または無置換複素環である、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換複素環である、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
複素環が下記の構造を有する、請求項18または19記載の化合物:
【化6】


(式中、X=CH=CH、N=CH、NR13(ただしR13=H、アルキル、アリールまたはベンジル)、O、またはSであり
Y=CHまたはNであり
R1、R2、およびR3はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【請求項21】
その塩を含む、式2の構造を有する化合物:
【化7】


(式中、Bはホウ素であり、Oは酸素であり、mは0、1、または2であり、
R*およびR**はそれぞれ独立に、置換または無置換アルキル(C1-C4)、置換または無置換シクロアルキル(C3-C6)、置換または無置換ビニル、置換または無置換アルキニル、置換または無置換ベンジル、置換または無置換フェニル、および置換または無置換複素環から選択され、
zは0または1であり、zが1の場合、AはCH、CR10またはNであり、
DはN、CH、またはCR12であり、
EはH、OH、アルコキシまたはN-(モルホリニル)エトキシであり、
rは1または2であり、rが1の場合、Gは=O(二重結合酸素)であり、rが2の場合、各Gは独立にH、メチル、エチルまたはプロピルであり、
R12は(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2*-アミノ、3*-アミノ、NH2SO2およびCONH2から選択され、
JはCR10またはNであり、
R9およびR10はそれぞれ独立に水素、アルキル、(CH2)nOH(n=1、2または3)、CH2NH2、CH2NHアルキル、CH2N(アルキル)2、ハロゲン、CHO、CH=NOH、C02H、C02-アルキル、S-アルキル、S02-アルキル、S-アリール、NH2、アルコキシ、CF3、SCF3、N02、S03HおよびOHからなる群より選択される)。
【請求項22】
R*およびR**の一つが置換または無置換アルキル(C1-C4)である、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換アルキル(C1-C4)である、請求項21記載の化合物。
【請求項24】
R*およびR**の一つが置換または無置換シクロアルキル(C3-C6)である、請求項21記載の化合物。
【請求項25】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換シクロアルキル(C3-C6)である、請求項21記載の化合物。
【請求項26】
R*およびR**の一つが置換または無置換ビニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項27】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換ビニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項28】
ビニルが下記の構造を有する、請求項26または27記載の化合物:
【化8】


(式中、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【請求項29】
R*およびR**の一つが置換または無置換アルキニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項30】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換アルキニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項31】
アルキニルが下記の構造を有する、請求項29または30記載の化合物:
【化9】


(式中、R1は水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【請求項32】
R*およびR**の一つが置換または無置換フェニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項33】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換フェニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項34】
フェニルが下記の構造を有する、請求項32または33記載の化合物:
【化10】


(式中、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、CONHアルキル、CON(アルキル)2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2°-アミノ、3°-アミノ、NH2S02、OCH2CH2NH2、OCH2CH2NHアルキル、OCH2CH2N(アルキル)2、オキサゾリジン-2-イル、またはアルキル置換オキサゾリジン-2-イルからなる群より選択される)。
【請求項35】
R*およびR**の一つが置換または無置換ベンジルである、請求項21記載の化合物。
【請求項36】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換ベンジルである、請求項21記載の化合物。
【請求項37】
ベンジルが下記の構造を有する、請求項35または36記載の化合物:
【化11】


(式中、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立にアルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、CONHアルキル、CON(アルキル)2、OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3、N02、NH2、2°-アミノ、3°-アミノ、NH2S02、OCH2CH2NH2、OCH2CH2NHアルキル、OCH2CH2N(アルキル)2、オキサゾリジン-2-イル、またはアルキル置換オキサゾリジン-2-イルからなる群より選択される)。
【請求項38】
R*およびR**の一つが置換または無置換複素環である、請求項21記載の化合物。
【請求項39】
R*およびR**がそれぞれ置換または無置換複素環である、請求項21記載の化合物。
【請求項40】
複素環が下記の構造を有する、請求項38または39記載の化合物:
【化12】


(式中、X=CH=CH、N=CH、NR13(ただしR13=H、アルキル、アリールまたはベンジル)、O、またはSであり
Y=CHまたはNであり
R1、R2、およびR3はそれぞれ独立に水素、アルキル、アリール、置換アリール、ベンジル、置換ベンジル、(CH2)kOH(ただしk=1、2または3)、CH2NH2、CH2NH-アルキル、CH2N(アルキル)2、C02H、C02アルキル、CONH2、S-アルキル、S-アリール、S02アルキル、S03H、SCF3、CN、ハロゲン、CF3およびN02からなる群より選択される)。
【請求項41】
化合物10から108、化合物111〜112、または化合物116〜120の構造を有する化合物。
【請求項42】
請求項1または21記載の化合物を薬学的に許容される担体中に含む組成物。
【請求項43】
微生物が原因の疾患によって苦しんでいる患者のそのような疾患の治療法であって、患者に請求項1または21記載の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。
【請求項44】
微生物が細菌である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
細菌がグラム陽性菌である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
グラム陽性菌がブドウ球菌、連鎖球菌、バチルス、マイコバクテリウム、コリネバクテリウム、クロストリジウム、アクチノミセス、腸球菌およびストレプトミセスからなる群より選択される一員である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
細菌がグラム陰性菌である、請求項44記載の方法。
【請求項48】
グラム陰性菌がアシネトバクター、ナイセリア、シュードモナス、ブルセラ、アグロバクテリウム、ボルデテラ、エシェリキア、シゲラ、エルシニア、サルモネラ、クレブシエラ、エンテロバクター、ヘモフィラス、パスツレラ、ストレプトバチルス、スピロヘータ、カンピロバクター、ビブリオ、およびヘリコバクターからなる群より選択される一員である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
細菌が黄色ブドウ球菌;表皮ブドウ球菌;スタフィロコッカス-サプロフィティクス;化膿連鎖球菌;ストレプトコッカス-アガラクティエ;肺炎連鎖球菌;エンテロコッカス-フェカーリス;エンテロコッカス-フェシウム;炭疽菌;トリ結核菌;結核菌;アシネトバクター-バウマニイ;ジフテリア菌;ウェルシュ菌;ボツリヌス菌;破傷風菌;淋菌;髄膜炎菌;緑膿菌;レジオネラ-ニューモフィラ;大腸菌;ペスト菌;インフルエンザ菌;ピロリ菌;カンピロバクター-フェトゥス;コレラ菌;腸炎ビブリオ;梅毒トレポネーマ;イスラエル放線菌;発疹チフスリケッチア;ロッキー山紅斑熱リケッチア;トラコーマ病原体;オウム病病原体;ウシ流産菌;アグロバクテリウム-ツメファシエンス;および野兎病菌からなる群より選択される一員である、請求項44記載の方法。
【請求項50】
真菌または酵母が原因の疾患によって苦しんでいる患者のそのような疾患の治療法であって、患者に請求項1または21記載の化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。

【公開番号】特開2009−161540(P2009−161540A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−21716(P2009−21716)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【分割の表示】特願2005−502662(P2005−502662)の分割
【原出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(505465841)アナコール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】