説明

ボールペン用油性インキ

【課題】筆記中に、ボールホルダー外面に付着するインキや溜まったインキが紙面に落ちるボテが少なく、また、手油で汚れた紙面でも筆記が薄くなったり、筆記線が途切れたりしないボールペン用油性インキを提供する。
【解決手段】アミド結合を有する環状構造を持つモノマーとしてN−ビニルラクタムと、窒素含有芳香環構造を持つモノマーとしてN−ビニル芳香族複素環式化合物であるモノマー単位とからなる共重合体と、着色剤と、有機溶剤とを少なくとも含有するボールペン用油性インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記部材としてインキを紙面等の被筆記面に転写するボールを先端から一部臨出させて回転自在に抱持するボールペンチップをペン先としたボールペンに収容されたボールペン用油性インキに関する。さらに詳しく言えば、皮脂などで汚れた紙面でも筆跡が途切れる事が無く、筆記時にボールホルダー外面のインキ付着やボテも少ないボールペン用油性インキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールペンの筆記の機構は、主にボール表面に付着したインキがボールの回転に伴って、紙面に転写されるものであり、一般的なボールペン用の油性インキとしては、主に、着色剤としての染料及び/又は顔料、増粘剤としての樹脂、そしてこれらを溶解又は分散する液媒体としての有機溶剤とからなるものであり、増粘剤としての樹脂は、紙面上で有機溶剤が蒸発乾燥したとき、紙面と着色成分とを繋ぐ定着性を付与するものともなる。
【0003】
このようなボールペン用の油性インキに、潤滑性や、ペン先の耐腐食性、着色成分等の溶解、分散性などの機能を付与する各種の添加剤を使用している。
例えば、特開昭55−023145号公報(特許文献1)には、N−アルキルトリメチレンジアミン及び/又はその塩を添加することによって、潤滑性や、ペン先の耐腐食性、着色成分等の溶解、分散性を付与することが開示されている。また、特開平06−212111号公報(特許文献2)には、オレイン酸や脂肪族アミンを添加して、インキに潤滑性や、ペン先の耐腐食性を付与することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−023145号公報
【特許文献1】特開平06−212111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載のボールペン用油性インキでは、増粘性の樹脂として、ケトン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂、アルキッド樹脂、アミノ樹脂等が使用できる旨が開示されており、これらは皆インキ媒体である有機溶剤が揮発した後にも紙面上に残り、着色成分を紙に定着させる働きを持ち得る。しかしながら、皮脂などで汚れた紙面に対してはインキの紙面への接触が阻害されるため、インキ自体が紙面に乗り難くなり、ボールから紙面へのインキの転写が十分に行われず、筆跡が薄くなったり途中で途切れる部分が発生するなどの問題が起こるものであった。
【0006】
特許文献1に記載のN−アルキルトリメチレンジアミン及び/又はその塩や、特許文献2に記載の脂肪族アミンは、プラスの電荷となる部分を有しており、紙の成分であるセルロースのマイナスの電荷と引き合う作用が発現し得るが、これらの成分だけが紙面に静電的に吸着されてもインキ全体を移動させる働きを担うことはなく、上述の問題の解決にはならないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、少なくともアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体と、着色剤と、有機溶剤とを少なくとも含有するボールペン用油性インキを要旨とするものである。
特に、前記アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位がN−ビニルラクタムであり、前記窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位がN−ビニル芳香族複素環式化合物である請求項1記載のボールペン用油性インキを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明で使用するアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体は、有機性が強いメチレン基、メチリデン基に加えて極性基であるアミド基やアミノ基も持つため、各種の有機溶剤との親和性がよく分子鎖が伸びた状態で溶解しインキ全体に広がるため、この共重合体を含むインキの繋がりが強くなる。また、分子内に分極したアミド結合を有した平面的な環状構造を持つモノマー単位を含むため、この平面的な構造同士が隣接した共重合体分子の間で重なり、分極したアミド基部分の静電的な引力により結合し、共重合体分子間の繋がりが強くなり、更に、窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位の窒素原子は芳香環の平面内にあり、そのプラス電荷の上下の空間は大きく空いていて、近くにマイナス電荷が近づいた時に静電的に遮蔽するものがないため、マイナス電荷と引き合う作用が働きやすく、紙の主成分であるセルロースのマイナス電荷と引き合う力が大きい。そのため、皮脂で汚れた紙面上でも紙に吸着し、インキ全体を紙面に乗せて定着させることができるものと推察される。
特に、前記のアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位がN−ビニルラクタムであるモノマー単位であり、前記の窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位がN−ビニル芳香族複素環式化合物である場合、紙への吸着やインキの繋がりが特に強くなるものと推察され、ボールに付着したインキが紙面に十分に転写され、ボール上に残留したインキがあったとしても再度ボールペンチップ内に回収されやすく、ボールペンチップの小口先端部分に堆積するインキが少なくなり、ボールペンチップの小口先端に堆積したインキが大きな玉となって紙面に落下する、所謂ボテ現象も発生し難くなるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に発明を詳細に説明する。
着色材は、従来よりボールペン用油性インキ組成物に使用されている、染料および/または顔料を用いることができる。
水溶性染料の具体例としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199等の直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56等の酸性染料、C.I.フードイエロー3等の食用染料、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ローダミンF4G(C.I.45160)、ローダミン6GCP(C.I.45160)等の塩基性染料等が挙げられる。
【0010】
油溶性染料の具体例としては、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株)製)、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株)製)、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、National Aniline Div.社製、米国)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、BASF社製、独国)、バリファーストイエロー#3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー#3105(C.I.18690)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック#3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー#1109、バリファーストオレンジ#2210、バリファーストレッド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701、バリファーストバイオレット#1704、オイルブルー#613、オイルイエロ−#129、ニグロシンベースEX(以上、オリエント化学工業(株)製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0011】
顔料は、従来公知の有機顔料及び/又は無機顔料を使用することができる。
有機顔料の具体例としては、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194、同202、同206、同207、同209、同216、同245、同254、同255、同256、同272、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、同61、同64、同71、同73、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同37、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 23、同25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同83、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同128、同139、同147、同151、同153、同166、同167、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36、同37、C.I.PIGMENT BLACK 7等の有機顔料等が挙げられる。
【0012】
また、無機顔料として、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等が挙げられる。
【0013】
カーボンブラックの具体例としては、三菱カーボンブラック#10B、同#20B、同#14、同#30、同#33、同#40、同#44、同#45、同#45L、同#50、同#55、同#95、同#260、同#900、同#1000、同#2200B、同#2300、同#2350、同#2400B、同#2650、同#2700、同#4000B、同CF9、同MA8、同MA11、同MA77、同MA100、同MA220、同MA230、同MA600及びMCF88(以上、三菱化学(株)製)、モナーク120、モナーク700、モナーク800、モナーク880、モナーク1000、モナーク1100、モナーク1300、モナーク1400、モーガルL、リーガル99R、リーガル250R、リーガル300R、リーガル330R、リーガル400R、リーガル500及びリーガル660R(以上、キャボット コーポレーション社製、米国)、プリンテックスA、プリンテックスG、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス55、プリンテックス140U、プリンテックス140V、プリンテックス35、プリンテックス40、プリンテックス45、プリンテックスプリンテックス85、ナインペックス35、スペシャルブラック4,スペシャルブラック4A、スペシャルブラック5、スペシャルブラック6,スペシャルブラック100、スペシャルブラック250、スペシャルブラック350、スペシャルブラック550、カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160及びカラーブラックS170(以上、デグサ ジャパン(株)製)、ラーベン5000ウルトラII、ラーベン2500ウルトラ、ラーベン1250、ラーベン760ウルトラ(以上、コロンビアカーボン日本(株)製)等が挙げられる。
これらの着色剤は、1種又は2種以上混合して使用することができ、使用量は全インキ組成物に対し3重量%〜50重量%が好ましい。
【0014】
着色剤に顔料を用いる場合、分散剤を使用すると経時的な顔料の沈降を防止でき、目詰まり等の不具合を防止することができる。具体例としては、高級脂肪酸、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類、リン酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリグルタミン酸、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、トール油変性マレイン酸樹脂、ベタイン型アクリル酸樹脂、ベタイン型メタクリル酸樹脂等が挙げられる。
その他、市販品の分散剤として、ジョンクリル67、同68、同678、同680、同682、同550、同586、B−36(以上、BASFジャパン(株)製)、ディスパロンDA325、同DA375、同1800シリーズ(以上、楠本化成(株)製)、ソルスパース12000、同20000、同24000、同27000、同28000(以上、アビシア(株)製)、ディスパビッグ2000、同2001、同180番シリーズ(以上、ビッグケミ−(株)製)、エフカ4010、同5054(以上、エフカ・アディティブ社製、仏)、キャリボンB、同L400、サンセパラー100(以上、三洋化成(株)製)などが知られており、これらを使用することもできる。
これらの分散剤の使用量は顔料10重量部に対し0.5重量部以上20重量部以下で使用するのが好ましい。
【0015】
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体は、アミド結合を有する環状構造を持つモノマーと、窒素含有芳香環構造を持つモノマーとを共重合反応させることによって得られるが、共重合にあたっては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を採用することができる。
アミド結合を有する環状構造を持つモノマーとしては、N−ビニルラクタム、N−アルキルマレイミドなどのモノマーが挙げられる。
N−ビニルラクタムとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリジノン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾリジノン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニルピペリドンなどが挙げられる。
N−アルキルマレイミドとしては、o−クロロフェニルマレイミド、o−メチルフェニルマレイミド、p−ヒドロキシフェニルマレイミド、p−カルボキシフェニルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
窒素含有芳香環構造を持つモノマーとしては、N−ビニル芳香族複素環式化合物及び/又はその塩が上げられ、更に具体的には、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルピラゾール、4−メチル−1−ビニルイミダゾール、3−メチル−1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、3−メチル−1−ビニルピラゾール、4−フェニル−1−ビニルイミダゾールなどが挙げられ、その塩としては、ハロゲン化水素酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩など)、硫酸塩、アルキル硫酸塩(メチル硫酸塩、エチル硫酸塩など)、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、カルボン酸塩(酢酸塩など)などが挙げられる。
これらのアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の市販品としては、N−ビニルラクタムとN−ビニル芳香族複素環式化合物及び/又はその塩とからなる共重合体が知られており、具体的には、ルビセット クリアー(ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダソール共重合体、BASFジャパン(株)製)、ルビカット FC370、同 FC550、同 エクセレント、同 スタイル(以上、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、BASFジャパン(株)製)、ルビカット ウルトラケアー(メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、BASFジャパン(株)製)、ルビカット ホールド(3−メチル−1−ビニルイミダソリウムメチル硫酸塩・ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合体、BASFジャパン(株)製)、ルビカット Supreme(ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール・メチルビニルイミダゾリウムメチル硫酸塩共重合体液、BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。これらは単独もしくは複数種を併用することも出来、合計の配合量は、インキ組成物全量に対して、0.1〜20重量%範囲が好ましい。
【0016】
有機溶剤としては、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体を溶解するものであれば使用できる。特に、安全性や臭気の問題から、アルコール、グリコール、グリコールエーテルが好ましい。
アルコールの具体例としては、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等が使用できる。
グリコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
グリコールエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
その他、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、N−メチル−2−ピロリドンなどが使用できる。
これらの溶剤は単独あるいは2種以上併用して使用することができ、使用量は全インキ組成物に対し35重量%〜80重量%が好ましい。 また、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位及び/又はその塩とからなる共重合体の溶解を阻害しない程度であれば、水、植物油、植物油誘導体、動物性油、動物性油誘導体等などの他の溶剤も併用できる。
【0017】
また、従来からボールペン用油性インキに、定着性、分散性、粘度調整、耐水性などを付与する樹脂を添加することも出来る。例えば、ケトン樹脂、スルホアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられ、これらは単独もしくは複数種を併用することも出来る。合計の配合量は、インキ組成物全量に対して、0.1〜30重量%範囲が好ましい。
【0018】
その他必要に応じてつぎのような添加剤を加えることができる。
pH調節剤として、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリポリ燐酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどアルカリ金属の水酸化物など、防腐剤もしくは防黴剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2‐ベンズイソチアゾリン3‐ワン、2,3,5,6‐テトラクロロ‐4(メチルスルフォニル)ピリジン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ソルビン酸やデヒドロ酢酸のアルカリ金属塩、ベンズイミダゾール系化合物など、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、トリルトリアゾールなどが挙げられる。湿潤剤としては、尿素、エチレン尿素、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどフッ素化アルキル基を有する界面活性剤、潤滑剤としては、ひまし油、ひまし油のポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、二硫化モリブデン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンあるいはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンの誘導体、テトラグリセリルジステアレートなどグリセリンあるいはジグリセリンあるいはポリグリセリンの誘導体、ソルビタンモノオレートなどソルビタン誘導体、ジメチルポリシロキサンのポリエチレングリコール付加物などのポリエーテル変成シリコーンなどがあげられる。
【0019】
本発明のボールペン用油性インキ組成物の調製は、従来公知のインキ組成物の製造方法を適用することができる。即ち、分散混合機で顔料を他の成分と共に分散させることによってボールペン用油性インキ組成物を得ることができる。なお、製造時、染料などの固形物を溶解させる為に加熱することや、顔料などの粗大粒子を除去する為にフィルターや遠心分離を用いることなどは特に好ましい方法である。
【実施例】
【0020】
以下、本発明は実施例を示して具体的に説明する。
【0021】
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液A:
ルビカット ホールド(3−メチル−1−ビニルイミダゾリウムメチル硫酸塩・ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合体の20%水溶液、BASF ジャパン(株)製)を70℃72時間(開放系)で乾燥し、ペレット状とする。該乾燥ペレット25gとエチレングリコールモノフェニルエーテル75gとを、還流装置を付けた攪拌機にて80℃5時間攪拌してアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Aとした。
【0022】
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液B:
ルビカット Supreme(ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール・メチルビニルイミダゾリウムメチル硫酸塩共重合体の20%水溶液、BASF ジャパン(株)製)を70℃72時間(開放系)で乾燥し、ペレット状とする。該乾燥ペレット25gとエチレングリコールモノフェニルエーテル75gとを、還流装置を付けた攪拌機にて80℃5時間攪拌してアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Bとした。
【0023】
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液C:
ルビカット スタイル(塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体の20%水溶液、BASF ジャパン(株)製)を70℃72時間(開放系)で乾燥し、ペレット状とする。該乾燥ペレット25gとエチレングリコールモノフェニルエーテル75gとを、還流装置を付けた攪拌機にて80℃5時間攪拌してアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Cとした。
【0024】
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液D:
ルビカット ウルトラケアー(ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダソール共重合体の13%水溶液、BASF ジャパン(株)製)を70℃72時間(開放系)で乾燥し、ペレット状とする。該乾燥ペレット25gとエチレングリコールモノフェニルエーテル75gとを、還流装置を付けた攪拌機にて80℃5時間攪拌してアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Dとした。
【0025】
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液E:
ルビセット クリアー(ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダソール共重合体の20%水溶液、BASF ジャパン(株)製)を70℃72時間(開放系)で乾燥し、ペレット状とする。該乾燥ペレット25gとエチレングリコールモノフェニルエーテル75gとを、還流装置を付けた攪拌機にて80℃5時間攪拌してアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Eとした。
【0026】
アミド結合を有さずに環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液F
ビニルイミダゾールを95ミリモル(8.9414g)と、スチレンを5ミリモル(0.52g)と、アゾビスイソブチロニトリルを0.1ミリモルと、テトラヒドロフランを70mlとをフラスコに仕込み、温度68℃、窒素雰囲気下に撹拌して10時間で共重合させ、ポリビニルイミダゾールとスチレンの共重合体を得た。室温24時間乾燥し、ペレット状にし、該乾燥ペレット25gとエチレングリコールモノフェニルエーテル75gとを、還流装置を付けた攪拌機にて80℃5時間攪拌してアミド結合を有さずに環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Fとした。
【0027】
インキ組成物の配合例を以下に示す。なお、以下の配合数値は重量部を示す。
実施例1
スペシャルブラック4A(カーボンブラック、デグサ・ヒュルスジャパン(株)製)
25.00重量部
ソルスパース#20000(高分子活性剤型分散剤、Lubrizol社製、米国)
8.00重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 21.00重量部
ヘキシレングリコール 25.00重量部
レジンSK(ケトン樹脂、デグサ ジャパン(株)製) 10.00重量部
DGMO90(活性剤、日光ケミカルズ(株)製) 3.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液A 8.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液A以外の成分をビーズミルで分散した後、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Aを添加しプロペラ撹拌機にて60℃で2時間撹拌して、黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0028】
実施例2
プリンテックス 35(カーボンブラック、デグサ・ヒュルスジャパン(株)製)
27.00重量部
エスレックBL−1(ピリビニルブチラール樹脂、積水化学工業(株)製)
6.00重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 19.00重量部
ヘキシレングリコール 20.00重量部
レジンSK(前述) 3.00重量部
DGMO90(前述) 3.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液B 24.00重量部
レジンSK、DGMO90、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液B以外の成分をビーズミルで分散した後、レジンSK、DGMO90、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Bを添加しプロペラ撹拌機にて60℃で2時間撹拌して、黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0029】
実施例3
C.I.ピグメント ブルー 15:6 20.00重量部
ジョンクリル 67(高分子顔料分散剤、ジョンソンポリマー(株)製)
10.00重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 26.00重量部
ヘキシレングリコール 25.00重量部
レジンSK(前述) 5.00重量部
プライサーフA208B(界面活性剤、第一工業製薬(株)製) 2.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液C 12.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液C以外の成分をビーズミルで分散した後、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Cを添加しプロペラ撹拌機にて60℃で2時間撹拌して、青色のボールペン用油性インキを得た。
【0030】
実施例4
C.I.ピグメント レッド 170 20.00重量部
ジョンクリル 67(前述) 10.00重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 2.00重量部
ヘキシレングリコール 20.00重量部
レジンSK(前述) 5.00重量部
DGMO90(前述) 3.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液D 40.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液D以外の成分をビーズミルで分散した後、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Dを添加しプロペラ撹拌機にて60℃で2時間撹拌して、赤色のボールペン用油性インキを得た。
【0031】
実施例5
バリファストバイオレット1704(染料、オリエント化学工業(株)製)
20.00重量部
ニグロシンベースEX(染料、オリエント化学工業(株)製) 10.00重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 5.00重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 31.00重量部
ベンジルアルコール 16.00重量部
ダイトライト1000N(スルホアミド樹脂、大東化成工業(株)製)5.00重量部
プライサーフA208B(前述) 1.00重量部
ナイミーンL201(界面活性剤、日本油脂(株)製) 1.00重量部
オレイン酸 3.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液A 8.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液A以外の成分を60℃で2時間撹拌後、共重合体の溶液Aを添加しプロペラ撹拌機にて60℃で更に2時間撹拌して、黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0032】
実施例6
バリファストレッド1320(染料、オリエント化学工業(株)製)20.00重量部
ベンジルアルコール 10.00重量部
ダイトライト1000N(スルホアミド樹脂、大東化成工業(株)製)5.00重量部
プライサーフA208B(前述) 1.00重量部
ナイミーンL201(前述) 1.00重量部
オレイン酸 3.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液E 60.00重量部
アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液E以外の成分を60℃で2時間撹拌後、共重合体の溶液Eを添加しプロペラ撹拌機にて60℃で更に2時間撹拌して、赤色のボールペン用油性インキを得た。
【0033】
比較例1
実施例1において、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Aの代わりにレジンSKを2重量部添加し、不足分をエチレングリコールモノフェニルエーテルに置き換え加えた以外は同様に為して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0034】
比較例2
実施例1において、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Aの代わりにポリビニルピロリドン K90(ISPジャパン(株)製)2重量部添加し、不足分をエチレングリコールモノフェニルエーテルに置き換え加えた以外は同様に為して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0035】
比較例3
実施例4において、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Dの代わりにアクリドンACP1001(ビニルピロリドン・アクリル酸共重合体、ISPジャパン(株)製)10重量部添加し、不足分をエチレングリコールモノフェニルエーテルに置き換え加えた以外は同様に為して赤色のボールペン用油性インキを得た。
【0036】
比較例4
実施例5において、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Aの代わりにアミド結合を有さずに環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Fに置き換え加えた以外は同様に為して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0037】
比較例5
実施例1において、アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体の溶液Aの代わりにジブチルアミンを2重量部添加し、不足分をエチレングリコールモノフェニルエーテルに置き換え加えた以外は同様に為して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0038】
試験サンプルの作成
上記実施例1〜6及び比較例1〜4で得た各ボールペン用油性インキを、直径0.7mmの超硬製のボールを、ステンレス製のボールホルダーにて、ボールホルダーの先端開口部より一部突出した状態で抱持したボールペンチップと、押出成形により成形したポリプロピレン製パイプとを接続したリフィル体を収容するノック式ボールペン(Rolly、製品符号BP127、ぺんてる(株)製)のインキ収容管に0.25g充填し、市販の遠心機(H−103NR、株式会社コクサン)を用い、回転速度1700rpmで10分間遠心を行い、試験用ボールペンサンプルとした。
【0039】
人口皮脂
スクワラン 3.0重量部
イソプロピルミリステート 6.0重量部
オリーブ油 12.0重量部
コレステロール 0.6重量部
パルミチン酸 0.6重量部
オレイン酸 3.9重量部
イソステアリン酸 3.9重量部
アセトン 70.0重量部
上記成分を攪拌混合して人工皮脂とした。
【0040】
筆記試験:前記人工皮脂を、上質紙(JIP P 3201で規定される筆記用紙)に、筆で縦に1回塗布した後、室温で2時間乾燥させアセトンを除去し、幅約2cmの人工皮脂成分が塗られた紙面を作成した。この人工皮脂成分が塗られた部分を横切るように、長さ4cmの直線を2本筆記した時の筆記線の途切れた長さを測定した。また、人口皮脂成分が塗られた部分に縦横1cmのマスに一文字の大きさの日本文字「国会の年日」(全21画)を筆記して筆記線が途切れた画数をカウントした。
【0041】
インキ付着試験:上記の試験用ボールペンサンプル各3本を、螺旋状に200m連続筆記(試験条件;螺旋式筆記試験機(MODEL TS−4C−20、精機工業研究所製)、筆記速度7cm/sec、筆記角度70度、荷重150g、自転あり、試験紙JIS P3201筆記用紙A)し、ボールホルダー外面に付着したインキの長さを顕微鏡にて観察してインキ付着の長さを測定し、3本での平均を算出した。尚、試験用ボールペンにおいて、ボールホルダーの開口部先端から、インキが付着している部分の、軸心方向の最大長さをインキ長とした。
【0042】
ボテ試験:インキ付着試験での筆跡を観察しボテの個数を合計し、3本での平均を算出した。
尚、ボテはJIS(S6039)の資料中に図示されたボテとほぼ同じ長さ(約15mm)以上のものを1.00個とし、6mm以上15mmまでのものを0.50個、6mmより小さいものを0.25個として計測した。
【0043】
【表1】

【0044】
以上のように、本発明のボールペン用油性インキは筆記時に手油で汚れた紙面でも筆記が良好で、ボールホルダー外面のインキ付着やボテもない優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位と窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位とを含有する共重合体と、着色剤と、有機溶剤とを少なくとも含有するボールペン用油性インキ。
【請求項2】
前記アミド結合を有する環状構造を持つモノマー単位がN−ビニルラクタムであり、前記窒素含有芳香環構造を持つモノマー単位がN−ビニル芳香族複素環式化合物である請求項1記載のボールペン用油性インキ。