説明

ボールペン用油性インキ

【目的】 ペン先を空気に接した状態で、長期間静置していてもカスレが発生しにくいボールペン用インキを提供する。
【構成】 着色剤と、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルと、フェノール樹脂と、水酸基またはエーテル基を有する有機溶剤から少なくともなるボールペン用油性インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキを紙面等の被筆記面に転写するボールを、ボールホルダーの先端開口部から一部臨出させて回転自在に抱持したボールペンチップをペン先としたボールペンに収容されるボールペン用インキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボールペン用インキは、染料や顔料などの着色材と、溶剤と、紙面への定着を主な目的とした樹脂と、必要に応じて粘度調整、流動特性調整、ボテを防止することを主な目的とした樹脂とからなっている。
【0003】
このボールペンによる筆記は、ボールホルダーの内孔に流通したインキを、紙面などの被筆記面と接触して移動させられることによって回転するボールによって転写させ、筆跡をつくりだすものである。ペン先を空気に接した状態で、長期間静置しておくと、インキ表面から溶剤が揮発し、着色剤や樹脂がインキ表面に高濃度に局在するようになる。さらに溶剤の揮発が進むと、着色剤や樹脂が析出し、硬い膜となり、再筆記時に、ボールの回転を阻害して、インキの転写がされなくなる、いわゆるカスレが発生しやすいという問題がある。
【0004】
カスレを防止する事は古くから様々な研究がなされている。その具体的手段としては、潤滑剤を添加して、ボールの回転を円滑にしたもの(特許文献1参照)、蒸気圧の低い溶剤を添加して、溶剤の揮発を遅くしたもの(特許文献2参照)、アルキル基とポリオキシエチレン鎖を有するリン酸エステルの中和物を添加し、ボール表面で固まったインキ膜をはがれ易くしたもの(特許文献3参照)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加し、ペン先に脆い膜を形成させて、溶剤の揮発を遅くしたもの(特許文献4、5参照)、テルペンフェノール樹脂を添加し、粘性と潤滑性を高めたもの(特許文献6参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭61−52872号公報(第1頁第1欄2行〜12行)
【特許文献2】特開平6−247093号公報(段落番号0004〜0007)
【特許文献3】特開2004−107592号公報(段落番号0007〜0010)
【特許文献4】特公昭62−34352号公報(第1頁第1欄2行〜20行)
【特許文献5】特開2002−53785号公報(段落番号0005〜0008)
【特許文献6】特開2007−126528号広報(段落番号0004〜0005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
潤滑剤を添加し、筆記時のボールの回転を円滑にしたものは、長期間静置した場合には、溶剤の揮発を抑えることが出来ず、インキ表面が硬くなり、ボールの回転が阻害されて、カスレが発生したり、チップ内部のインキまで乾燥してインキが供給されずにカスレが発生してしまう。
【0007】
アルキル基とポリオキシエチレン鎖を有するリン酸エステルの中和物は、ボール表面に吸着し、硬くなったインキ膜をはがれ易くすることは出来るが、硬くなったインキが、ボールとチップの間に挟まって、ボールの回転を阻害したり、溶剤の揮発を抑えることが出来ず、チップ内部のインキまで乾燥したりして、インキが供給されずにカスレが発生してしまう。
【0008】
蒸気圧の低い溶剤を添加したものでは、一時的には効果があるが、長期的には徐々に溶剤が揮発し、インキ表面が硬くなり、ボールの回転が阻害されたり、チップ内部のインキまで乾燥したりして、インキが供給されずにカスレが発生してしまう。
【0009】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したものでは、インキの界面で脆い膜を形成し、揮発を遅くし、カスレを防ぐとされているが、溶剤が長期的には揮発し、チップ内部のインキまで乾燥してしまい、インキが供給されずにカスレが発生してしまう。
【0010】
テルペンフェノール樹脂を添加したものは、潤滑性を高めるとされているが、溶剤の揮発を抑えることが出来ず、チップ内部のインキまで乾燥したりして、インキが供給されずにカスレが発生してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明は、着色剤と、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルと、フェノール樹脂と、水酸基またはエーテル基を有する有機溶剤とから少なくともなるボールペン用油性インキを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0012】
フェノール樹脂は、フェノール同士がメチル基を介して結合している樹脂なので、水酸基の数が多く、水酸基同士の距離がほぼ一定となっている。また、フェノールの水酸基は、分極が大きく、強力な水素結合を形成しやすく、かつ、フェノールの水酸基は弱酸性なので、金属塩を形成しやすく、チップやボールなどの金属に付着しやすい。
ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルのノナエチレングリコール部に規則的に位置するエーテル基が、フェノール樹脂の分極が大きくほぼ等間隔に位置する水酸基と強力な複数の水素結合を形成すると同時に、水酸基またはエーテル基を有する有機溶剤とも水素結合をするので、水酸基またはエーテル基を有する有機溶剤を、フェノール樹脂と、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルで覆うような複合体を形成する。
複合体を形成していない溶剤が揮発して、複合体の濃度が高くなると、膜を形成する。
複合体が形成された状態で作られた膜は、複合体内に保持された溶剤の作用と、ドデシル部の立体障害の作用で柔軟性を維持し、かつ、複合体を形成しているフェノール樹脂の弱酸性の水酸基がチップやボールなどの金属に付着し、膜がはがれにくくなる。
複合体によって、柔軟性が維持されて、チップとボールに付着した膜は、破れにくく、それ以上のインキ乾燥を抑制するので、インキ乾燥による初筆カスレを抑制することができる。
筆記に際しては、膜自体が水酸基またはエーテル基を有する有機溶剤を取り込んだ柔軟なものであるため、筆記の際のボールが回転しようとする荷重で容易に破られ、潤沢なインキを吐出できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を詳細に説明する。
着色剤は一般的に使用されている染料、顔料が使用可能である。染料の一例としては、SPILON BLACK GMH SPECIAL、SPILON RED C−GH、SPILON RED C−BH、SPILON BLUE C−RH、SPILON BLUE BPNH、SPILON YELLOW C−GNH、SPILON YELLOW C−2GH、SPILON VIOLET C−RH、S.P.T. ORANGE6、S.P.T. BLUE111、SOT Yellow−1、SOT Yellow−2、SOT Yellow−3、SOT Yellow−4、SOT Yellow−6、SOT Orange−1、SOT Orange−2、SOT Scarlet−1、SOT Red−1、SOT Red−2、SOT Red−3、SOT Pink−1、SOT Brown−1、SOT Brown−2、SOT Blue−1、SOT Blue−2、SOT Blue−3、SOT Blue−4、SOT Violet−1、SOT Green−1、SOT Green−2、SOT Green−3、SOT Brack−1、SOT Brack−2、SOT Brack−4、SOT Brack−5、SOT Brack−6、SOT Brack−8、ORIENT SPRIT BLACK AB、VALIFAST BLACK 3804、VALIFAST RED 1320、VALIFAST RED 1360、VALIFAST ORANGE 2210、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST VIOLET 1701、VALIFAST BLUE 1601、VALIFAST BLUE 1603、VALIFAST BLUE 1621、VALIFAST BLUE 2601、VALIFAST YELLOW 1110、VALIFAST YELLOW 1171、VALIFAST YELLOW 3104、VALIFAST YELLOW 3105、VALIFAST YELLOW 1109、Oil Colors Yellow #101、Oil Colors Yellow 3G、Oil Colors Yellow GGS、Oil Colors Yellow #105、Oil Colors Yellow #107、Oil Colors Yellow #136、Oil Colors Yellow #140、Oil Colors Orange PS、Oil Colors Orange PR、Oil Colors Orange #201、Oil Colors Pink OP、Oil Colors Pink #312、Oil Colors Scarlet #308、Oil Colors Red RR、Oil Colors Red 5B、Oil Colors Red #330、Oil Colors Brown GR、Oil Colors Brown #416、Oil Colors Brown BB、Oil Colors Green BG、Oil Colors Green #502、Oil Colors Green #533、Oil Colors Blue BOS、Oil Colors Blue IIN、Oil Colors Blue #603、Oil Colors Blue #613、Oil Colors Violet #730、Oil Colors Violet #732、Oil Colors Black BY、Oil Colors Black BS、Oil Colors Black HBB、Oil Colors Black #803、Oil Colors Black EB、Oil Colors Black EX、ネオスーパーブルーC−555、ローダミンBベース、ソルダンレッド3R、メチルバイオレット2Bベース、ビクトリアブルーF4R、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、などの直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同50、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同91、同92、同93、同94、同95、同98、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドブルー74、C.I.アシッドグリーン5などの酸性用染料、ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同56、同61、同62、同79、同80、同82、同83:1、同151、ソルベントオレンジ1、同2、同5、同6、同14、同37、同40、同41、同44、同45、同62、ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同89、同91、同100、同109、同121、同122、同127、同132、同218、ディスパースレッド9、ソルベントバイオレット8、同13、同14、同21、同21:1、同27、ディスパースバイオレット1、ソルベントブルー2、同4、同5、同11、同12、同25、同35、同36、同38、同44、同45、同55、同67、同70、同73、ソルベントグリーン3、ソルベントブラウン3、同5、同20、同28、同37、ソルベントブラック3、同5、同7、同22、同22:1、同23、同27、同29、同34、同43、同123が挙げられる。
【0014】
顔料の一例としては、カーボンブラックや不溶性アゾ顔料、アゾレーキ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ペリノン、ペリレン系顔料等有機顔料などの従来公知の一般的な顔料が使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組合せて調色して用いてもよい。
【0015】
カーボンブラックの一例としては、プリンテックス3、同25、同30、同35、同40、同45、同55、同60、同75、同80、同85、同90、同95、同300、スペシャルブラック4、同5、同100、同250、同550(以上、デグサヒュルスジャパン(株)製)、三菱カーボンブラック#2700、同#2650、同#2600、同#2400、同#2350、同#2300、同#2200、同#1000、同#990、同#980、同#970、同#960、同#950、同#900、同#850、同#750、同#650、同#52、同#50、同#47、同#45、同#45L、同#44、同#40、同#33、同#32、同#30、同#25、同#20、同#10、同#5、同#95、同#260、同CF9、同MCF88、同MA600、同MA77、同MA7、同MA11、同MA100、同MA100R、同MA100S、同MA220、同MA230(以上、三菱化学(株)製)、トーカブラック#8500/F、同#8300/F、同#7550SB/F、同#7400、同#7360SB/F、同#7350/F、同#7270SB、同#7100/F、同#7050(以上、東海カーボン(株)製)や、ダイヤモンドブラックN(玉億色材(株)製)などのアニリンブラックや、ボーンブラック(三重カラーテクノ(株)製)や、鉄化ブラックKN−320(日本鉄化(株)製)などの鉄黒が挙げられる。が挙げられる。青色顔料の一例としては、例えばC.I.Pigment Blue 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同28、同29、同36、同60、同68、同76、同80が挙げられる。赤色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Red 2、同3、同5、同8、同14、同17、同22、同23、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同53:1、同53:2、同57:1、同112、同122、同144、同146、同149、同166、同170、同175、同176、同177、同179、同184、同185、同187、同188、同202、同207、同208、同209、同210、同211、同213、同214、同242、同253、同254、同255、同256、同257、同264、同266、同268、同270、同272が挙げられる。黄色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同55、同73、同74、同79、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同109、同110、同111、同120、同128、同133、同136、同138、同139、同147、同151、同154、同155、同167、同173、同174、同175、同176、同180、同185、同191、同194、同213が挙げられる。橙色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Orange5、同13、同16、同34、同36、同38、同43、同62、同68、同72、同74が挙げられる。緑色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Green7、同36、同37が挙げられる。紫色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Violet19、同23等が使用出来る。
【0016】
これらの染料および顔料の使用量はボールペン用インキ全量に対し1重量%以上40重量%以下が好適に使用でき、1重量%以上30重量%以下がより好ましい。使用量が1重量%より少ないと筆跡が薄すぎて判読がし難くなる。40重量%より多いと配合時の溶解不足や、経時的な沈降による目詰まりによる筆記不能やボールペン用インキ中の固形分の増加により書き味が重くなる不具合を生じやすくなる。
【0017】
ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルの具体的な商品名の一例としては、NIKKOL BL−9EX(日光ケミカルズ(株)製)が挙げられる。ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルの総量はインキ全量に対し0.1重量%以上10重量%以下で使用することが好ましい。0.1重量%よりも少ないと、充分にカスレを抑制することができず、10重量%よりも多くなると、着色剤や樹脂の溶解性を低下させてしまうおそれがある。
【0018】
本発明のボールペン用インキは、液媒体としての有機溶剤及び/又は該液媒体に溶解又は分散した上記染料及び/又は顔料を含む。
【0019】
水酸基またはエーテル基を有する有機溶剤の一例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート等のグリコールエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,3ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のグリコール類、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシペンタノール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール類、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル等のエーテル類、酢酸−2−エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独あるいは組み合わせて使用でき、その使用量は油性インキ全量に対し10重量%以上90重量%以下が好ましい。
【0020】
フェノール樹脂の一例を挙げると、住友ベークライト(株)製のスミライトレジンPR−219、同PR−19788、同PR−50641、同PR−51530、同PR−53053、荒川化学工業(株)製のタマノル135、同340、同350、同352、同354、同361、同366、同380、同386、同392、同396、同406、同409、同410、同412、同414、同417、同418、同420、同423、同100S、同200N、同1010R、同510、同521、同526、同586、同572S、同7509、同PA、同531、同758、同759、ハリマ化成(株)製のハリフェノール145G、同512、同532、同561、同573、同582、同504、同565、同P−102U、同P−130、同P−160、同P−292、同PN717、同S−420、同P−600、同T3120、同P−216、同P−637、同P−222、同P−622、日立化成工業(株)製のヒタノール1133、同1135、同1140、同1501、同1002、同2501、同2100、同2181、同2181S、同2181SL、同2300N、同2306N、同2330N、同2353N、同2420、同2422、同2423A、同2426B、同643KNなどがある。フェノール樹脂は単独あるいは組み合わせて使用でき、その使用量は油性インキ全量に対し0.05重量%以上15重量%が好ましい。
【0021】
上記成分の他に必要に応じて、潤滑剤や樹脂、防錆剤、防腐剤、消泡剤、受け座磨耗防止剤等の添加剤を併用することも可能である。
【0022】
潤滑剤は、ボールの回転を円滑にし、筆記感を向上させるために添加するものであり、一例としては、切削油類、高級脂肪酸類、リン酸エステル類、リン酸エステル類の中和物、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とこれらの誘導体、アシルアミノ酸類、チアゾール類、ポリエチレングリコール類、ポリオール変性シリコーン、が挙げることが出来る。
リン酸エステル類の例を挙げると、フォスファノールBH−650、SM−172、ED−200、GF−339、RA−600、GF199、ML−200、ML−220、ML−240、RD−510Y、GF−185、RS−410、RS−610、RS−710、RL−210、RL−310、RB−410、RP−710、AK−25、GF702、RS−610NA、SC−6103、RD−720、LP−700、LS−500、LB400(以上、東邦化学工業(株)製)や、プライサーフA208B、A219B、A208S、A212S、A215C(以上、第一工業製薬(株)製)、NIKKOL DLP−10、DOP−8N、DDP−2、DDP−4、DDP−6、DDP−8、DDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)、TLP−4、TCP−5、NIKKOL TOP−0V、TDP−2、TDP−6、TDP−8、TDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)などがある。
リン酸エステルの中和物を形成する中和剤としては、アミン化合物、アミド化合物、アミノ酸化合物やこれらの誘導体、両性界面活性剤などが用いられる。具体的には、アミート102、アミート105、アミート302、アミート308、アミート320などのポリオキシエチレンアルキルアミン類や、ファーミンCS、ファーミン08D、ファーミン20D、ファーミン80、ファーミン86T、ファーミンO、ファーミンT、ファーミンなどの脂肪アミン類(以上、花王(株)製)や、ナイミーンL−201、ナイミーンL−202、ナイミーンL207、ナイミーンF−215、ナイミーンS−202、ナイミーンS−204、ナイミーンS−210、ナイミーンS−215、ナイミーンS−220、ナイミーンT2−206、ナイミーンT2−210、ナイミーンT2−230、ナイミーンT2−260、ナイミーンDT−203、ナイミーンDT−208などのアルキルポリエーテルアミン類(以上、日本油脂(株)製)や、NIKKOL TAMNOS−5、TAMNOS−10、TAMNOS−15、TAMNO−5、TAMNO−15などのポリオキシエチレンアルキルアミン類や、TAMDS−4、TAMDS−15、TAMDO−5などのポリオキシエチレン脂肪酸アミド類や、NIKKOL AM−301、AM3130Nなどの両性界面活性剤(以上、日光ケミカルズ(株)製)や、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジエチルイソプロパノールアミン、ブチルイソプロピルアミン、ブチルベンジルアミン、ブトキシプロピルアミン(以上、関東化学(株)製)などが挙げられる。
ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とこれらの誘導体の一例を挙げると、NIKKOL HCO−5、HCO−10、HCO−20、HCO−30、HCO−40、HCO−50、HCO−60、HCO−80、HCO−100(以上、日光ケミカルズ(株)製)、EMALEX HC−5、HC−7、HC−10、HC−20、HC−30、HC−40、HC−50、HC−60、HC−80、HC−100(以上、日本エマルジョン(株)製)、ブラウノン BR−404、BR−407、BR−410、BR−4135、BR−417、BR−420、BR−425、BR−430、BR−450、RCW−20、RCW−40、RCW−60、RCW−80、RCW−100(以上、日進化成(株)製)、UNIOXHC−10、HC−20、HC−40、HC−60、HC−100、HC−20ML、HC−40ML、HC−20MIS、HC−40MIS、HC−60MIS、HC−50MSU、NONION C−2300(日油(株)製)などがある。
ポリオール変性シリコーンオイルの一例を挙げると、東レ・ダウコーニング(株)製のFZ−2110、FZ−2122、FZ−7006、FZ−2166、FZ−2164、FZ−2154、FZ−2191、FZ−7001、FZ−2120、FZ−2130、SF−8410、FZ−2101、SH8400、SH−8700、FZ−720、FZ−7002、FZ−2123、FZ−2104、FZ−77、FZ−2105、SH3748、FZ−2118、FZ−7604、FZ−2161、SH3771、FZ−2162や信越化学工業(株)製のKF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4615、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017やGE東芝シリコーン(株)製のSILWETL−77、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4460などがある。
これらはインキ全量に対し0.2〜4.5重量%使用する。0.2重量%以下ではボール表面を濡らす効果が弱くなり、4.5重量%以上添加するとインキの表面張力が小さくなり、ペン先を下向きにして放置したときにインキが漏れ出す畏れがある。
【0023】
樹脂は、顔料などの固形物の分散、定着性向上、糸曳き性付与、筆跡の裏写り防止の他、粘度調整、染料の溶解促進の為に添加するものであり、一例としては、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、シクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びそれらを水素添加した樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、重合脂肪酸とポリアミン類との縮合体であるポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、ロジン系樹脂やその水素添加物、ロジン変性されたマレイン酸樹脂、ロジン変性されたフェノール樹脂、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物、ポリメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。特に、ポリビニルブチラール樹脂は、造膜性がよく、本発明の複合体の膜形成の一助にもなりえる。ポリビニルブチラールの一例を挙げると、ヘキスト社製のMowitalB20H、B30B、B30H、B60T、B60H、B60HH、B70H、積水化学工業(株)製のエスレック BH−3、BL−1、BL−2、BL−L、BL−S、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BL−2H、BL−SH、BX−10、BX−L、電気化学工業(株)製のデンカブチラール#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−3、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#5000−A、#6000−Cなどがある。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用することができる。これらの樹脂の使用量はインキ全量に対して0.05〜30重量%が好ましい。
【0024】
受け座磨耗防止剤の一例としては、アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、炭化ホウ素、ジルコン、セン晶石、ヒスイ石、フッ化カルシウム、タングステンカーバイド、シリカ、ダイヤ、ザクロ石、窒化アルミニウム、窒化珪素が挙げられる。
【0025】
本発明のインキは不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止したりするために剪断減粘性を付与しても良い。剪断減粘性剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、アラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、アルカガム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピル化グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体又はそれらの塩、ヒアルロン酸等の多糖類、ベンジリデンソルビトール、シリカ、ベントナイト系無機化合物、有機ベントナイトが挙げられる。
【0026】
本発明において顔料を分散するには通常一般的な方法で可能である。例えば、顔料と、溶剤と、分散剤とを混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、ニーダー等の分散機はインキの溶剤量や、顔料濃度によって適宜選択する。
【0027】
インキを製造するには、上記で分散した顔料と染料から選ばれる1種もしくは2種以上の色材と、樹脂と、溶剤をホモミキサー等の撹拌機にて充分に混合攪拌した後、他の成分、例えば粘度調整剤や、色調調整のための染料、潤滑剤等を混合し、更に均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合したインキをさらに分散機にて分散したり、得られたインキを濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
(実施例1)
プリンテックス35(カーボンブラック、デグサヒュルスジャパン(株)製) 6.0部
VALIFAST VIOLET 1730(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
16.3部
SPILON RED C−GH(油性染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 1.0部
OIL BLUE 613(油性染料、オリエント化学工業(株)製) 1.0部
SPILON YELLOW C−GNH(油性染料、保土ヶ谷化学工業(株)製)
1.1部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 37.0部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル 17.2部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 10.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.6部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 0.3部
ヒタノール1501(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製) 1.0部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 2.0部
NIKKOL HCO−10(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
フォスファノールLB400(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製) 1.5部
NIKKOL TOP−0V(トリアルキルリン酸、東邦化学工業(株)製) 1.0部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0部
ユニオールD2000(ポリオキシプロピレングリコール、日油(株)製) 1.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとエチレングリコールモノイソプロピルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を室温で攪拌、混合溶解した後、プリンテックス35の全量を加えてさらに攪拌した後、ダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い黒色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で4時間攪して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0029】
(実施例2)
SPILON VIOLET C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
13.0部
SPILON YELLOW C−GNH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
7.0部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 40.0部
エチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル 20.5部
ベンジルグリコール 5.0部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
ヒタノール1140(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製) 6.0部
PEMULEN TR−2(アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、B.F.Goodrich社製、米国) 1.5部
NIKKOL HCO−5(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 2.0部
NONION C−2300(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日油(株)製)
1.0部
フォスファノールLP710(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、東邦化学工業(株)製) 2.0部
アミート105(ポリオキシエチレンココナットアミン、(株)花王製) 1.0部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0030】
(実施例3)
FUJI Red 8800(C.I.Pigment Red 254、冨士色素(株)製) 3.0部
SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 17.6部
SPILON RED C−BH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 0.8部
SPILON YELLOW C−GNH 3.8部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 18.0部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル 10.5部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 32.1部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.6部
ハリフェノール582(フェノール樹脂、ハリマ化成(株)製) 0.5部NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 2.0部
EMALEX HC−20(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日本エマルジョン(株)
製) 10.0部
プライサーフA208(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、第一工業製薬(
株)製) 0.1部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとエチレングリコールモノイソプロピルエーテルとフェニルセルソルブの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからFUJI Red 8800の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い赤色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で3時間攪拌して赤色のボールペン用油性インキを得た。
【0031】
(実施例4)
VALIFAST BLUE 1603(C.I.DIRECT BLUE 86とC.I.BASIC BLUE 7との造塩染料、オリエント化学工業(株)製)20.0部SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 3.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 40.5部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 20.3部
ベンジルアルコール 10.2部
タマノル414(フェノール樹脂、荒川化学工業(株)製) 1.0部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 4.0部
NIKKOL TOP−0V(トリアルキルリン酸、日光ケミカルズ(株)製)
1.0部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して青色のボールペン用油性インキを得た。
【0032】
(比較例1)
実施例1において、NIKKOL BL−9EXの全量に替えて、ジエチレングリコールモノメチルエーテル2.0部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。
【0033】
(比較例2)
実施例1において、ヒタノール1501の全量に替えて、エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)1.0部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。
【0034】
(比較例3)
実施例1において、ヒタノール1501の全量及びNIKKOL BL−9EXの全量に替えて、エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)1.0部及びジエチレングリコールモノメチルエーテル2.0部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。
【0035】
(比較例4)
実施例1において、NIKKOL BL−9EXの全量に替えて、ヘキサエチレングリコールジオレエート2.0部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。
【0036】
(比較例5)
実施例1において、ヒタノール1501の全量、NIKKOL BL−9EXの全量、及びジエチレングリコールモノメチルエーテル7部に替えて、ユニオールTG−1000(ポリオキシプロピルトリオール、日本油脂(株)製)10.0部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。
【0037】
(比較例6)
実施例2において、ヒタノール1140の全量、NIKKOL BL−9EXの全量、及びエチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル0.3部に替えて、RL−210(エチレンオキサイド付加モル数が2モルのステアリルアルコールとリン酸のモノエステル、ジエステル、及び微量なトリエステルからなる混合物、東邦化学工業(株)製)2.0部、ジブチルエタノールアミン0.3部、グリセリン5.0部を加えた以外は同様にして黒色のボールペン用インキを得た。
【0038】
(比較例7)
実施例3において、NIKKOL BL−9EXの全量の代わりに、ヘキサグリセリンジステアリル2.0部を加えた以外は同様にして赤色のボールペン用インキを得た。
【0039】
(比較例8)
実施例4において、タマノル414の全量、NIKKOL BL−9EXの全量、及びエチレングリコールモノフェニルエーテル10.0部に替えて、YP−90L(テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル(株)製)ヘキサグリセリンジステアリル15.0部を加えた以外は同様にして青色のボールペン用インキを得た。
【0040】
(試験用ボールペンの作製)
上記実施例及び比較例で得たボールペン用インキを市販のボールペン(ジェットストリーム、三菱鉛筆(株)製(ボール径φ0.7))からインキを抜いて洗浄した部品に0.3g充填し、遠心機にて遠心力を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。
【0041】
初筆カスレ試験:
上記で試験用ボールペンを作製した直後に筆記後、ペン先を空気に接した状態で、温度50℃、湿度30±5%にて3日間静置した後、上質紙に、荷重150g、筆記速度7.0cm/秒、筆記角度70°で直線を10cm筆記し、その書き始めから正常筆記できた筆跡の位置までの長さを定規で測定した結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
以上、詳細に説明したように本発明は、ペン先を空気に接した状態で、長期間静置していてもカスレが発生しにくいボールペン用インキに関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤と、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルと、フェノール樹脂と、水酸基またはエーテル基を有する有機溶剤とから少なくともなるボールペン用油性インキ。

【公開番号】特開2011−153266(P2011−153266A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17240(P2010−17240)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】