説明

ポインティングデバイスを有する情報処理装置

【課題】1台の情報処理装置に対して2つ以上のタッチパッドやタッチパネルを設けることにより、簡単な操作でより高度な内容の入力を可能とする。
【解決手段】2つ以上のポインティングデバイスとして、例えば第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5を備え、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5のそれぞれの入力結果が、予め分割された表示画面の割り当てられた分割画面に対してそれぞれ出力される。すなわち、分割された表示画面(分割画面)のそれぞれにカーソルKを表示し、これらカーソルKを、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5から別々にコントロールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インティングデバイスを有する情報処理装置に係り、より詳細には、例えばパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)などの情報端末装置において使用されるインティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータを代表とする情報機器では、入力装置としてキーボードやマウス、トラックボール、パッド型ポインティングデバイス(以下、タッチパッドともいう)などが使用されている。そして、文字入力においては、多種のキーを備えたキーボードが一般的に使われており、その他のマウス、トラックボール、タッチパネルはポインタを介したグラフィカルな操作画面の指示用に使用されている。
【0003】
これら入力装置は、使用時の形態に応じて組み合わされており、据え置き型の情報機器と共に使用される場合はキーボードとマウスの組み合わせか、キーボードとトラックボールの組み合わせが選択され、携帯性や一体性が重視される場合はキーボードとタッチパネルやタッチパッドとの組み合わせで使用される。
【0004】
このうち、タッチパッドについては、基本的に直接ポイントして指示を行うものであるが、最近ではドライバーソフトフェア等の対応により、ポイントのみでなくスクロール動作やジェスチャー入力を実現するものもある。このような従来のタッチパッドに関する技術として、例えば特許文献1,2等に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−5806号公報
【特許文献2】特開平9−311746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のタッチパッドの技術に共通しているのは、パッド上の1点で入力を受け付けており、かつ、1台の情報処理装置に対して1つのタッチパッドが設けられている点である。すなわち、入力は1点に限られている。この場合、入力されたデータの処理は単純であるが、入力できる情報が限られてしまうといった問題があった。そのため、より高度な内容の入力を、操作性を複雑にすることなく、簡単に行える手段が要望されていた。
【0007】
本発明は係る実情に鑑みて創案されたもので、その目的は、1台の情報処理装置に対して2つ以上のタッチパッドを設けることにより、簡単な操作でより高度な内容の入力を可能としたポインティングデバイスを有する情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のポインティングデバイスを有する情報処理装置は、2つ以上のポインティングデバイスを備え、その中の1つのポインティングデバイスが3次元座標の入力を行うものであり、これらの入力を組み合わせて出力結果を得ることを特徴とする。より具体的には、ポインティングデバイスが第1のポインティングデバイスと第2のポインティングデバイスからなり、第1のポインティングデバイスによって、表示画面に対して垂直方向のカーソル移動を行い、第2のポインティングデバイスによって、表示画面に対して水平方向のカーソル移動を行う構成とすることができる。
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、3次元の動きを可能とすることができる。
【0010】
また、本発明のポインティングデバイスを有する情報処理装置によれば、使用するポインティングデバイスを選択する選択手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、ユーザの意思によって使用するポインティングデバイスを選択することができるので、ユーザにとって使い勝手のよいものとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポインティングデバイスを有する情報処理装置は、2つ以上のポインティングデバイスを備え、その中の1つのポインティングデバイスが3次元座標の入力を行うものであり、これらの入力を組み合わせて出力結果を得る構成としたので、3次元の動きを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るパッド型ポインティングデバイスを有する情報処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】実施例において、2つのタッチパッドから行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【図3】実施例において、2つのタッチパッドに入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。
【図4】応用例1において、2つのタッチパッドから行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【図5】応用例1において、2つのタッチパッドに入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。
【図6】応用例2において、2つのタッチパッドから行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【図7】応用例2において、第1のタッチパッドおよび第2のタッチパッドの入力方向を任意の方向に切り替えられる例を示す説明図である。
【図8】(a)は第1のタッチパッドの入出力方向の設定を行う画面例、(b)は第2のタッチパッドの入出力方向の設定を行う画面例である。
【図9】応用例3において、2つのタッチパッドに入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。
【図10】応用例4において、2つのタッチパッドから行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【図11】応用例4において、2つのタッチパッドに入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。
【図12】応用例5において、2つのタッチパッドから行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【図13】応用例5において、2つのタッチパッドに入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。
【図14】応用例6において、タッチパッドの設定を行う画面例である。
【図15】応用例6において、2つのタッチパッドに入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明のポインティングデバイスを有する情報処理装置の電気的構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、パッド型ポインティングデバイスに適用した場合につい説明するが、例えばタッチパネルや表示一体型タッチパネルに適用することも可能である。
【0016】
実施の形態の情報処理装置は、情報の表示を行う主表示部1、キー入力などを受け付ける入力部2、各種プログラムを実行する中央演算処理部(CPU)3、1つ目のパッド型ポインティングデバイスである第1のタッチパッド4、2つ目のパッド型ポインティングデバイスである第2のタッチパッド5、BIOS(Basic Input/Output System)などの基本プログラムの一部や、フォント、辞書などの固定データを格納するROM6、データの更新が可能なメモリの処理に必要な情報や各種データ、および拡張性のあるプログラムなど(ROM6に格納されていないもの)を格納するRAM7、経過時間の計測を行うタイマー部8、RAM6にロードするプログラムや保存データを格納するHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの情報の記憶を行う内部記憶装置9、CD−ROMやDVD−ROMなどの様々なデータを記憶した外部記憶装置10、などを備えている。
【0017】
内部記憶装置9は、開始点位置を記憶する開始点記憶部91(91a,91b)、終了点位置を記憶する終了点記憶部92(92a,92b)、カーソル位置計算部93、入力中フラグ記憶部94(94a,94b)、カーソル位置記憶部95、タッチパッド入力方向切替部96(96a,96b)、タッチパッド入力方向記憶部97(97a,97b)、タッチパッド切替部98、タッチパッド切替記憶部99を格納しており、RAM6には、これらのプログラムやデータがロードされる。なお、上記のかっこ中の符号の後に付された小文字の英数字は、第1のタッチパッド4に対応するものと第2のタッチパッド5に対応するものとを区別するためのものであり、「a」が付されたものは第1のタッチパッド4に対応し、「b」が付されたものは第2のタッチパッド5に対応したものを示している。
【0018】
次に、上記構成の情報処理装置において、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5の具体的処理動作の実施例及び応用例について説明する。
【0019】
実施例
実施例は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5のそれぞれの入力結果が、予め分割された表示画面の割り当てられた分割画面に対してそれぞれ出力されるようにしたものである。
【0020】
図2は、分割された表示画面(分割画面)のそれぞれにカーソルKを表示し、これらカーソルKを、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5から別々にコントロールする様子を示す説明図である。本実施例によれば、2つの分割画面を切り替えることなく、別々に操作することができる。
【0021】
図3は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5に入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。以下、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0022】
まず、何等かの入力があって処理が開始されると、CPU3では、その入力が第1のタッチパッド4への入力であるかどうかを判定する(ステップS1)。その結果、第1のタッチパッド4への入力である場合(ステップS1でYesと判断された場合)には、次に、第1のタッチパッド4への入力が継続されているかどうかを判定する(ステップS2)。
【0023】
このステップS2での判定は、入力中フラグ記憶部94aがONかOFFかで行われる。そして、その判定の結果、OFF、すなわち継続中でない場合(ステップS2でNoと判断された場合)には、最初の入力開始点の座標位置を開始点記憶部91aに記憶し(ステップS3)、次に入力中フラグ記憶部94aをOFFからONにする(ステップS4)。
【0024】
一方、ステップS2での判定の結果、第1のタッチパッド4への入力が継続されていた場合(ステップS2でYesと判断された場合)には、前回の終了点を今回の開始点とするために、終了点記憶部92aの値を開始点記憶部91aにセットする(ステップS6)。
【0025】
この後、第1のタッチパッド4への入力が新規の場合も、継続していた場合も、次に、入力が終了したかどうかの判定を行う(ステップS5)。その結果、終了していない場合(ステップS5でNoと判定された場合)には、タイマー部8が起動中かどうかの判定を行い(ステップS7)、起動していなければタイマー部8を起動する(ステップS8)。一方、ループ処理の中ですでに起動している場合(ステップS7でYesと判断された場合)には、新たに起動することはしない。
【0026】
この後、タイマー部8でカウントされている時間から一定時間が経過しているかどうかの判定を行う(ステップS9)。その結果、一定時間以内であれば(ステップS9でNoと判断されれば)、再度ステップS5からの処理を繰り返す。一方、一定時間が経過している場合(ステップS9でYesと判断された場合)には、第1のタッチパッド4の入力受け付け処理を中断し、次の処理であるステップS10に進む。
【0027】
一方、ステップS5において、第1のタッチパッド4への入力が終了したと判断(Yesと判断)された場合には、入力中フラグ記憶部94aをOFFして(ステップS11)、次の処理であるステップS10に進む。
【0028】
このようにして第1のタッチパッド4の入力受け付け処理を終了した後、ステップS10ではタイマー部8のカウントをクリアし、終了点記憶部92aに入力終了点の座標値を記憶する(ステップS12)。次に、開始点記憶部91aと終了点記憶部92aとに保存されたデータを使用して、カーソルの移動後の位置をカーソル位置計算部93により計算する(ステップS13)。ここでの計算は、本実施例では、第1のタッチパッド4上の入力距離とそれに対応する表示画面上の移動距離との比率を決めておき、これによってカーソル位置を計算する。そして、カーソル位置記憶部95aに保存された値に、この計算結果を加えた値を、新しいカーソル位置としてカーソル位置記憶部95aに記憶する(ステップS14)。次に、カーソル位置記憶部95aに記憶された新しいカーソル位置に基づいて画面情報を作成し、この作成した画面情報により、画面を再表示する(ステップS51)。
【0029】
このようにして、第1のタッチパッド4に対する入力処理が終わるか、またはステップS1で第1のタッチパッド4の入力がないと判定された場合に、続いて第2のタッチパッド5の入力処理を行う(ステップS15)。ただし、ステップS15からステップS28及びステップS52までの処理については、第1のタッチパッド4で説明したステップS1からステップS14及びステップS51までの処理と同じであるため、詳細については説明を省略する。
【0030】
すなわち、本実施例のポイントは、ステップS13やステップS27で計算した値をカーソル位置に反映する際に、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5でそれぞれ別々のカーソル位置情報(カーソル位置記憶部95a,95b)に対して反映を行い、それぞれのカーソル位置情報を変更後に、各分割画面ごとに再表示を行う点である。
【0031】
応用例1
応用例1は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5のそれぞれの入力値に対する出力値の比率を変えることにより、タッチパッド4,5ごとに異なる出力結果を得るようにしたものである。
【0032】
図4は、このような2つのタッチパッド4,5から行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【0033】
応用例1では、第1のタッチパッド4については、入力値に対する出力値の比率を大きく設定し、第2のタッチパッド5については、入力値に対する出力値の比率を小さく設定している。すなわち、第1のタッチパッド4は、指等によるパッド上の少しの移動L41に対して表示画面上のカーソルKを大きく移動L42(≫L41)させるように作用し、第2のタッチパッド5は、指等によるパッド上の少しの移動L51に対して表示画面上のカーソルKを小さく移動L52(≦L51)させるように作用している。このような第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5を使って、カーソル移動に対するそれぞれの及ぼし方を変えることで、迅速かつ細かなカーソル移動を実現することができる。
【0034】
すなわち、カーソルKを大きく移動させたいときは第1のタッチパッド4を使用し、カーソルKを小さく移動(微調整等)させたいときは第2のタッチパッド5を使用することで、カーソルKを目的ポイントPまで迅速かつ正確に移動させることができる。
【0035】
図5は、これら2つのタッチパッド4,5に入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに従って説明する。
【0036】
まず、何等かの入力があって処理が開始されると、CPU3では、その入力が第1のタッチパッド4への入力であるかどうかを判定する(ステップS1)。その結果、第1のタッチパッド4への入力である場合(ステップS1でYesと判断された場合)には、次に、第1のタッチパッド4への入力が継続されているかどうかを判定する(ステップS2)。
【0037】
このステップS2での判定は、入力中フラグ記憶部94aがONかOFFかで行われる。そして、その判定の結果、OFF、すなわち継続中でない場合(ステップS2でNoと判断された場合)には、最初の入力開始点の座標位置を開始点記憶部91aに記憶し(ステップS3)、次に入力中フラグ記憶部94aをOFFからONにする(ステップS4)。
【0038】
一方、ステップS2での判定の結果、第1のタッチパッド4への入力が継続されていた場合(ステップS2でYesと判断された場合)には、前回の終了点を今回の開始点とするために、終了点記憶部92aの値を開始点記憶部91aにセットする(ステップS6)。
【0039】
この後、第1のタッチパッド4への入力が新規の場合も、継続していた場合も、次に、入力が終了したかどうかの判定を行う(ステップS5)。その結果、終了していない場合(ステップS5でNoと判定された場合)には、タイマー部8が起動中かどうかの判定を行い(ステップS7)、起動していなければタイマー部8を起動する(ステップS8)。一方、ループ処理の中ですでに起動している場合(ステップS7でYesと判断された場合)には、新たに起動することはしない。
【0040】
この後、タイマー部8でカウントされている時間から一定時間が経過しているかどうかの判定を行う(ステップS9)。その結果、一定時間以内であれば(ステップS9でNoと判断されれば)、再度ステップS5からの処理を繰り返す。一方、一定時間が経過している場合(ステップS9でYesと判断された場合)には、第1のタッチパッド4の入力受け付け処理を中断し、次の処理であるステップS10に進む。
【0041】
一方、ステップS5において、第1のタッチパッド4への入力が終了したと判断(Yesと判断)された場合には、入力中フラグ記憶部94aをOFFして(ステップS11)、次の処理であるステップS10に進む。
【0042】
このようにして第1のタッチパッド4の入力受け付け処理を終了した後、ステップS10ではタイマー部8のカウントをクリアし、終了点記憶部92aに入力終了点の座標値を記憶する(ステップS12)。次に、開始点記憶部91aと終了点記憶部92aとに保存されたデータを使用して、カーソルの移動後の位置をカーソル位置計算部93により計算する(ステップS13)。ここでの計算は、本応用例1では、第1のタッチパッド4上の入力距離とそれに対応する表示画面上の移動距離との比率を決めておき、これによってカーソル位置を計算する。そして、カーソル位置記憶部95aに保存された値に、この計算結果を加えた値を、新しいカーソル位置としてカーソル位置記憶部95aに記憶する(ステップS14)。本応用例1では、このときのカーソル位置が、図4中に符号11で示す位置となる。
【0043】
このようにして、第1のタッチパッド4に対する入力処理が終わるか、またはステップS1で第1のタッチパッド4の入力がないと判定された場合に、続いて第2のタッチパッド5の入力処理を行う(ステップS15)。ただし、ステップS15からステップS28までの処理については、第1のタッチパッド4で説明したステップS1からステップS14までの処理と同じであるため、詳細については説明を省略するが、ここでの処理のポイントは、ステップS27で行うカーソル位置の計算である。
【0044】
すなわち、本応用例1では、上記したように、第1のタッチパッド4については、入力値に対する出力値の比率を大きく設定し、第2のタッチパッド5については、入力値に対する出力値の比率を小さく設定しているため、その比率に従った計算を行うことになる。これにより、2つのタッチパッド4,5の入力を有効に活用することが可能となる。
【0045】
こうしてカーソル位置が決定した後、画面の再表示を行い(ステップS29)、処理を終了する。すなわち、図4に示すように、移動前のカーソルKが、目的のポイントであるPに移動している。
【0046】
応用例2
応用例2は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5のそれぞれが互いに異なる任意の方向への入力のみを受け付け、これらの入力を組み合わせて出力結果を得るようにしたものである。
【0047】
図6は、このような2つのタッチパッド4,5から行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【0048】
応用例2では、第1のタッチパッド4については、左から右への入力のみを受け付け、第2のタッチパッド5については、上から下への入力のみを受け付けるように設定している。このような第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5を組み合わせてカーソル移動を行うことにより、表示画面上ではカーソルKが斜め方向に移動することになる。このように、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5の入力方向を予め決めておき、それらを組み合わせることで、指示の難しい斜め方向への移動である2次元の動作を簡単に実現することができる。また、縦横方向に正確に移動させたい場合や、カーソルではなく画面自体をスクロールさせるときなどにも特に有効である。
【0049】
なお、これら2つのタッチパッド4,5に入力があった場合の一連の処理は、図5に示したフローチャートとほとんど同じである。違うところは、ステップS13での計算が、上から下へのカーソル移動の計算であり、ステップS27での計算が、左から右へのカーソル移動の計算である点だけである。
【0050】
また、図7は、本応用例2において、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5の入力方向を任意の方向に切り替え可能とした例を示している。この例では、第1のタッチパッド4の入力方向は同じであるが、第2のタッチパッド5の入力方向が切り替わっている。すなわち、第2のタッチパッド5aでは、その入力方向(上から下方向)と表示画面上でのカーソルの移動方向(上から下方向)とが同じであるが、入力方向を切り替えた後の第2のタッチパッド5bでは、その入力方向(左から右方向)と表示画面上でのカーソルの移動方向(上から下方向)とが異なっている。すなわち、表示画面上でのカーソル移動の結果は変わらないが、第2のタッチパッド5(5a,5b)に対する入力は異なっている。
【0051】
応用例3
応用例3は、上記応用例2において、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5の入力を受け付ける方向を指定する入力方向指定手段と、この入力方向指定手段にて指定された入力方向に対する出力方向を指定する出力方向指定手段とを備えたものである。
【0052】
図8(a)は第1のタッチパッド4の入出力方向の設定を行う画面例(設定画面1)を示し、同図(b)は第2のタッチパッド5の入出力方向の設定を行う画面例(設定画面2)を示している。すなわち、表示画面上で、カーソルが動作する方向(出力方向)と、それに対するタッチパッド上の入力の方向とをそれぞれ設定できるようになっている。これらの画面は、図1に示すタッチパッド入力方向切替部96によって適宜切り替えながら実行される。図8に示す例では、それぞれ4パターンの設定ができるようになっている。設定した値は、それぞれのタッチパッド4,5に対応したそれぞれのタッチパッド入力方向記憶部97a,97bに記憶される。
【0053】
応用例3によれば、ユーザの意思によってタッチパッドの入力方向に対する出力方向(すなわち、タッチパッドに接触させた指等の移動方向に対する画面上でのカーソルの移動方向)を自由に指定できるので、ユーザにとって使い勝手のよいものとなる。
【0054】
図9は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5に入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートであるが、実質的には図5に示すフローチャートとほぼ同じである。違うところは、ステップS12とステップS13との間にステップS31が追加され、ステップS26とステップS27との間にステップS32が追加されている点である。これは、カーソルの位置を計算する際に、カーソルの移動の方向が必要となるからである。
【0055】
すなわち、ステップS31でタッチパッド入力方向記憶部97aを参照して入力方向を決定し、その入力方向に対して次のステップS13でカーソル位置を計算する。また同様に、ステップS32でタッチパッド入力方向記憶部97bを参照して入力方向を決定し、その入力方向に対して次のステップS27でカーソル位置を計算する。
【0056】
応用例4
応用例4は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5のいずれか一方のタッチパッドを3次元座標の入力を行うものとして設定し、これらの入力を組み合わせて出力結果を得るようにしたものである。
【0057】
図10は、このような2つのタッチパッド4,5から行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【0058】
応用例4では、第1のタッチパッド4によって、表示画面に対して垂直方向のカーソル移動を行い、第2のタッチパッド5によって、表示画面に対して水平方向のカーソル移動を行うように設定している。これにより、第2のタッチパッド5では2次元の動きしか実現できないが、第1のタッチパッド4と組み合わせることで、3次元の動きを可能とすることができる。
【0059】
図11は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5に入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートであるが、実質的には図5に示すフローチャートとほぼ同じである。違うところは、図5のステップS13とステップS14とがステップS41とステップS42とに変更され、図3のステップS27とステップS28とがステップS43とステップS44とに変更された点である。
【0060】
すなわち、ステップS41で、第1のタッチパッド4の入力情報(開始点記憶部91aと終了点記憶部92aとに記憶されている情報)から、現在の画面に対する手前(または奥)方向の移動距離を計算し、この計算した移動距離に基づいて画面情報を作成する。次に、作成した画面情報により、画面を再表示する(ステップS42)。
【0061】
一方、ステップS43で、第2のタッチパッド5の入力情報(開始点記憶部91bと終了点記憶部92bとに記憶されている情報)から、現在の画面に対する画面水平方向の移動距離を計算し、この計算した移動距離に基づいて画面情報を作成する。次に、作成した画面情報により、画面を再表示する(ステップS44)。
【0062】
応用例5
応用例5は、第1のタッチパッド4の入力結果が画面自体に対して出力され、第2のタッチパッド5の入力結果がカーソルに対して出力されるようにしたものである。図12は、このような2つのタッチパッド4,5から行った入力操作が実際の表示画面上ではどのように反映されるかを示す説明図である。
【0063】
応用例5によれば、カーソルの移動と画面自体のスクロールとを並行して行うことができるので、カーソルを所望の画面の移動先へ素早く移動させることができる。
【0064】
図13は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5に入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートであるが、実質的には図5に示すフローチャートとほぼ同じである。違うところは、図5のステップS13とステップS14とがステップS61とステップS62とに変更された点である。すなわち、図5のステップS13では、第1のタッチパッド4の入力に対してカーソルの移動後の位置を計算していたが、ステップS61では、第1のタッチパッド4の入力に対してスクロール後の画面情報を計算している。また、図5のステップS14では、新しいカーソル位置をカーソル位置記憶部95aに記憶しているが、ステップS62では、スクロール後の画面情報を表示画面上に再表示している。
【0065】
応用例6
応用例6は、上記実施例及び各応用例1〜5において、使用するタッチパッドを選択する選択手段をさらに備えたものである。
【0066】
図14は、タッチパッドの設定を行う画面例を示している。この設定画面は、図1に示すタッチパッド切替部98によって実行される。図14に示す例では、タッチパッドが第1のタッチパッド4と第2のタッチパッド5の2つある場合に、両方共使用、第1のタッチパッドのみ使用、第2のタッチパッドのみ使用、どちらも使用しない(その他のポインティングデバイスが使用できる場合等)、の4パターンの切り替えを可能としている。ここで設定された内容は、図1に示すタッチパッド切替記憶部99に記憶される。ここで、第1のタッチパッドのみ使用、第2のタッチパッドのみ使用、のいずれかに切り替えた場合には、従来と同様のタッチパッド操作を提供することができる。
【0067】
応用例6によれば、ユーザの意思によって使用するタッチパッドを選択することができるので、ユーザにとって使い勝手のよいものとなる。
【0068】
図15は、第1のタッチパッド4および第2のタッチパッド5に入力があった場合の一連の処理を示すフローチャートであるが、実質的には図5に示すフローチャートとほぼ同じである。違うところは、ステップS1とステップS2との間にステップS71が追加され、ステップS15とステップS16との間にステップS72が追加された点である。すなわち、各タッチパッド4,5について、タッチパッドの有効、無効の判定を行っている。これらの判定は、タッチパッド切替記憶部99の内容を参照して行う。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のポインティングデバイスを有する情報処理装置は、例えばパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)などの情報端末装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 主表示部
2 入力部
3 中央演算処理部(CPU)
4 第1のタッチパッド
5 第2のタッチパッド
6 ROM
7 RAM
8 タイマー部
9 内部記憶装置
10 外部記憶装置
91 開始点記憶部
92 終了点記憶部
93 カーソル位置計算部
94 入力中フラグ記憶部
95 カーソル位置記憶部
96 タッチパッド入力方向切替部
97 タッチパッド入力方向記憶部
98 タッチパッド切替部
99 タッチパッド切替記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のインティングデバイスを備え、これらインティングデバイスのそれぞれの入力結果が、予め分割された表示画面の割り当てられた分割画面に対してそれぞれ出力されることを特徴とするインティングデバイスを有する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインティングデバイスを有する情報処理装置において、
使用するインティングデバイスを選択する選択手段をさらに備えたことを特徴とするインティングデバイスを有する情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−181596(P2009−181596A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120364(P2009−120364)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2001−261808(P2001−261808)の分割
【原出願日】平成13年8月30日(2001.8.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】