説明

ポケットのあるたわし

【課題】 現行のたわしは、例えば鍋、釜類の内面全周を擦るとき、手先の自転、手の公転に無理がある。片持ち作業が多く手は疲れやすく、洗剤で食器が滑り破損しやすい。食器の種類で、たわしを取り替えている。手先は露出し刃物、串類などで手の損傷が起こりやすい。
【解決手段】 和太鼓のような形のスポンジ状部材のたわしの中央に、一対の指ポケットを設け、指ポケットの間にスリットを作る。スリットの間で皿などは挟んで洗える。鍋、釜類の内面を洗うときの、手先の無理な自転の必要はない。食器類は両手で保持できるので疲れにくく、食器類の滑り落ちるのも防げる。鍋、釜類の周辺部、皿類、刃物類はスリットで挟んで洗う。手先は指ポケット内にあり、手の損傷は起こらない。二つの指ポケットは対象で右手にも、左手にも着用でき、両手先に同時着用可能で、作業効率は向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食器類などを、擦って洗う用品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市場では、厨房用具や食器類を洗うものとしては、植物繊維を束ねたいわゆるたわし、または、スポンジ質とか化学繊維(不織布など)の多孔質で偏平の直方体などのたわし、長方形の網袋にスポンジなどを入れたもの、団子状のスチールウールなど、主としてブロック体のたわしが使われている。
【0003】
また、清掃作業とか洗浄作業などに使われるもので、棒の先端にたわしを取り付けたもの(例えば、特許文献1)とか、市場にあるものでは、小さい棒の先にたわしを固定し、深いコップ状の食器などを洗うたわしがある。
【0004】
市場にある台所用たわしは、手でたわしを掴んで(いわゆる鷲掴みで)食器類を洗うものと、棒の先にたわしを付けたものが主流である。
【0005】
他に、手袋状のたわし(特許文献2)とか、手袋式スポンジたわし(特許文献3)、たわしつきの手袋(特許文献4)、網手袋たわし(特許文献5)、中央に突起ハンドルの付いた円盤状たわし(特許文献6)などがあるが、これらは台所用たわしとしての市場には見当たらない。
【0006】
【特許文献1】 登録実用新案第3044182号 たわし(外に取っ手)
【特許文献2】 実用新案公開平6−68659 手袋状たわし
【特許文献3】 実用新案公開7−247 手袋式スポンジたわし
【特許文献4】 特許公開平7−327903 たわしつきの手袋
【特許文献5】 特許公開2000−37334 網手袋たわし
【特許文献6】 特許公開2004−136059 たわし(中央突起ハンドル)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1に、手先の自転、公転は困難である。
【0008】
従来のたわしで、鍋、釜などの円筒形の内面を洗うときは、洗う面は360°変化するが、たわしをつかんだ手先(てのひら側のたわし)を360°回転させることは不可能であるから、手先は左に180°、続いて右に180°自転させ(これも可なり難しいが)、手の全体は内周にそって左右に半円周を公転して洗うのであるが、公転が自転に制約される。従って、鍋、釜類を回さなければ十分な洗いができないので、作業がやりにくい。
【0009】
深さのある鍋、釜類の内面の底を擦るときは、手首を腕に対して直角に近く曲げるのは困難であるから、たわしを持ちにくいとか、手先を使うとかで効率も悪い。
【0010】
第2に、食器類の形状の変化に対応しにくい。
【0011】
普通、鍋、釜類の内面はブロック型たわしを掴んで擦ることが多いが、続いて縁や把手を擦るときは、接触面積が小さくなり、作業がやりにくく、偏平な直方体に取り替えて、二つ折りにして挟んで擦るなど不便である。
【0012】
第3に、片持ち作業で疲れるうえに、操作が不安定である。
【0013】
食器類にはデリケートで壊れやすいものも多い。従ってそれらを洗うときは、普通は、片手で食器類を持ち、他の片手でたわしを押しつけて擦ることになり、食器を持つ片手にかかるモーメント荷重が大きく、疲れやすく、操作も不安定になり、滑り落ちる事故が起こりやすい。この時、たわしは片面しか使われていない。
【0014】
また、皿とか蓋などの偏平な食器を洗うときは、裏からたわしを押しつける力に、片手の親指だけで対応できないので、裏返しをしなければならない。でなければ、ブロック体のたわしから、二つ折り出来るたわしに取り替えて、周辺部を擦らなければならない。
【0015】
第4に、よく指を損傷し、食器も壊しやすい。
【0016】
洗う対象の調理具や食器類は、平面、曲面、縁、棒類、刃物類など千差万別であるが、現行の市販のたわしを使うときは、たわしを掴んだ手先は露出しているから、鋭利な刃物類や針先を持つ串類とか、おろし金具などで、怪我をすることがままある。
【0017】
更に洗剤を使うので、食器類は手から滑り落ち易く、手も、たわし(例えば金属のたわしとか、研磨材入りのたわしなど)の表面を握ることで、手の皮膚が損傷する問題も起こっている。
【0018】
第5に作業効率が悪い。
【0019】
たわしを持ち替えたり、片手、片面作業で手が疲れやすく能率もよくない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
食器類には、大切なもの、壊れやすいものが多いし、それらを洗うときは、手先に伝わるたわしの擦る感覚で、異物の付着状態も明確に感知出来るので、たわしは直接に手で扱う方式を要件とする。
【0021】
従って本発明は、前記の課題を解決するために、手先の全外周をカバーするたわしを作成し、回転、上下、左右の擦る動作を確実にするために、親指と他の3指または4指で、たわしをつかむための、一対のポケットを設け、たわしの先端からポケットの間にスリットを設け、指先でスリットが開閉できるものとした。
【0022】
第1の課題、手先の自転公転の困難な問題はなくなる。
【0023】
手先の外周は太鼓状または楕円柱状の弾性体に成形するもよく、鍋、釜類の内面になじむ形や、擦り面に順応する材質(例えばスポンジとかブラッシュを取り付けたものなど)とすれば、たわしの面は360°使えるから、内周の洗い落としには、手先を左右にそれぞれ180°の無理な自転の必要はなく、手の全体を腕で公転させることで作業は容易に完了する。鍋、釜類を回さなくてよい。
【0024】
円筒内部の底面は、たわしの先端の平面の部分で擦り洗うので無理なく行える。またはポケット内の手を軽く握った指の背面で(拳で)たわしの側面を食器の底面に強く押して擦ることができるので、作業は楽に行える。
【0025】
第2の課題、擦る面の変化に対応すること。
【0026】
たわしの先端から前記ポケットの間にスリットを設け、指先でスリットを開閉できるものとした。
【0027】
これで、鍋、釜類の内面から縁の部分と把手も、スリットの間に挟んで擦り洗いが容易になる。皿などの食器類を洗うときは、ポケットの間のスリットの部分で手で挟んで洗うので、食器類の形状の変化に対応できるので、二つ折りのできるたわしに取り替える必要もなくなる。。
【0028】
第3の課題、片持ち作業は解消する。
【0029】
ポケットの間のスリットの開閉によって、食器を両手で持つことができるので、食器を落とす確率は低くなり作業は安定し、片持ち応力で疲れる要素が減少する。
【0030】
一対のポケットを設けることで、たわしは内部から手で握られ、従来のたわしのように手から外れて滑り落ちることはないので、器物の保持と擦る作業は安定して行うことができる。また付着した異物の落ちた程度も、手先の感触で判断も容易である。
【0031】
第4の課題、手の損傷と器物の破損は少なくなる。
【0032】
ポケットは手先を保護し、食器類はポケットの間のスリットで挟んで洗うので、両手で保持しながら洗うので、落とす確率は低くなる。刃物類、フォーク、串、高温の器材などを洗う場合は手の損傷を防ぐことになる。また、たわしの擦る面に強化した部材を配しても、手先はポケットの中にあるので、手が荒れることはない。
【0033】
第5の課題、作業効率は向上する。
【0034】
既述のように、片持ち作業が無くなるので疲れにくいし、たわしの取り替え作業も軽減し、擦る力も大きくなるので、作業は楽になる。
【0035】
さらに、本発明のたわしは、一対のポケットによって、左手も右手も使い勝手であり、また両手にはめて洗えばえば、皿洗い作業は2倍に近い速さで行われるので、作業効率は向上する。
【発明の効果】
【0036】
既述のように、本発明により、手で擦って洗う作業において、作業を容易にし、手先の安全性を高め、かつ作業の効率を上げるたわしを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5により説明する。
【0038】
図1は本発明の平面図である。図2はその立面図で、図1のA−A断面図である。図3はその側面図で、図1のB−B断面図を示している
【0039】
図1〜3において、たわし本体11は、図のように、ほぼ円柱状をした、スポンジ状の弾性擦洗部材で、断面が楕円形で側面は和太鼓状に近いものである。その中央に、手先の入る一対の指ポケット12を形成し、たわし本体11の下方に指先で開閉できるスリット13を切り込む。たわし本体11が研磨材など手先の損傷する恐れがある材質のときは、ナイロン布などのポケットライニングを接着する。指ポケット12の外側には、たわし本体の大きさによっては、洗剤注入孔14を設ける。
【0040】
本体11の断面は、スリット13の開閉も考慮して、図1のように、開く方向を短軸とする楕円形が望ましい。外側面も各種食器内外の形状に順応するよう和太鼓状に形成している。指の全外周はたわし本体11で保護され、これで、鍋、釜類の内面は360°を無理なく加圧し擦ることができる。底面も同様に、手先または手の指の甲側で無理なく加圧し擦ることもできる。
【0041】
続いて、鍋、釜などの上縁部は、スリット13の間で挟んで擦ることができる。皿、へら、刃物、串類も同様に、スリット13で挟んで両手で保持しながら擦るので、片持ちにならず疲れにくい。また、手先はポケット12でたわしを掴んでいるので、滑り落ちることはなく、指先の損傷も免れ、安全でもある。また、たわし本体11で擦られる付着物の有無は、指先の触覚で感知できる。
【0042】
本発明のたわしは、手袋と異なり、一対のポケット12は図1〜3の形であるから、既述のように、左手にも右手にも使い勝手であり、両手にも装着できるし、指ポケットによる着脱は容易で、手早い作業が要求される台所に適し、作業効率もよいのである。
【0043】
図4は本発明を同位相変形したたわしの一例である。この形は、主として偏平な食器類の擦り洗いに適している。本体6はアクリルとかナイロンネットに入ったウレタンスポンジあるいはナイロン不織布などで成形している。
【0044】
図4は、同位相変形したたわしのスリットの両面に、スリット(面ポケット)23を設けた場合を示している。スリット(面ポケット)23の側面を、たわし本体21の材質と異なる材質で作れば、用途は広くなり、便利である。たわし本体21を折り返して(指ポケット22を内側にして)使うこともできる。
【0045】
本発明のたわしは、両手にはめて、両手で洗う作業をするのに便利で、作業効率が良くなる。
【0046】
図5は浴場などで人体を洗うたわしを示している。
【0047】
これは本発明を人体洗浄のために手に沿って拡張した形で、たわし本体31の外周部分は手の全体(掌、手の甲)を包む程度に上部を長く設計している。一対の指ポケット32はそのまま(指ポケット12と同じ)であるが、スリット33は人体用に幅を適当に大きくしている。
【0048】
この形を少し大きくすれば、厨房用の大きい器材に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】 本発明の実施例の平面図
【図2】 図1のA〜A断面図
【図3】 図1のB〜B断面図
【図4】 本発明を同位相変形した一例の斜視図
【図5】 本発明の浴室用たわしの斜視図
【符号の説明】
【0050】
11,21,31 たわし本体
12,22,32 指ポケット
13,23,33 スリット
14 洗剤注入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周が擦って汚れを落とすための可撓性弾性部材で手先の周りを包む形にした本体内部に、手先で本体をつかむための一対のポケットを設け、ポケットの間が手先で開閉できるスリットをつけたたわし。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−212593(P2008−212593A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85616(P2007−85616)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(506272080)
【Fターム(参考)】