説明

ポケット付き清掃部材及び清掃具

【目的】優れた布糸解れ防止効果を有して、耐久性があり、特に、基布とポケット部とを折り返しによって一体に形成することができ、折り返し部分が糸解れ防止効果を有し、耐久性のあるポケット付き清掃部材及び清掃具を提供する。
【構成】下面に払拭部材3を設けた基布2の長手方向両端部にポケット部4、5を有し、ポケット部4、5に清掃部材保持具10の端部を挿入できるようにする。基布2の両側縁に布糸解れ防止手段を設け、基布2の長手方向両端部を折り返し、折り返し部分の両側縁を固定してポケット部4、5を形成する。ポケット部4、5の開口部4a、5aを覆うように基布2の中間部に当布6を配置し、当布6の両側縁を基布2に固定する。基布2及びポケット部4、5及び当布6が織布からなり、布糸解れ防止手段及び当布糸解れ防止手段が、織布の横糸8をジグザグ状に織成し、両側縁に糸切断部を有しない布縁構造からなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下面に払拭部材が設けられた基布の長手方向両端部にポケット部を有し、前記ポケット部の少なくとも一方に清掃部材保持具の端部を挿入できるようにしたポケット付き清掃部材及び清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は特開平1−270837(特許文献1)によって開示された従来技術の湿潤清掃用モップカバーの一部切断斜視図である。図11によって説明すると、この従来技術の湿潤清掃用モップカバー101は、長手方向の端部分の上側にハンドルを挿入するための二つのポケット部103が縫い付けられている繊維製支持部材102を有している。繊維製支持部材102はその下側に、隣接して列をなすスポンジ状布のストリップ104を有している。これらのストリップ104は、支持部材102の長手方向に互いに平行に配列されており、ライン105に沿った領域全体にわたり支持部材102に取り付けられている。ストリップ104は、縫合、接着または溶着により取付けることができる。繊維製支持部材102の外縁部を囲んで、更にフリンジ106が下側に取り付けられている。このフリンジ106は湿潤清用モップカバー101について一般的である長さを有し、支持部材102に縫合、ふさ付け、粘着または溶着されている。
【0003】
図12は特開平11−42194(特許文献2)によって開示された従来技術の清掃具を示し、(12A)はその分解斜視図、(12B)はその組み付けされた状態を示す斜視図である。(12A)(12B)によって説明すると、この従来技術の清掃具は、払拭布202と、この払拭布202の滑り防止手段213を備えた払拭布受け部211と払拭布受け部211に結合された把持部212とからなる取っ手201を有する。払拭布202は、取っ手201に装着するためにシート状に形成され、複数の切り込み202aを入れている。取っ手201は、畳んだ払拭布202の中に挿入することによって払拭布202の芯材を構成する払拭布受け部211と、この受け部211に連接する把持部212とから構成している。この取っ手201を払拭布202に挿入・装着して清掃具として用いるようになっている。
【特許文献1】特開平1−270837号公報
【特許文献2】特開平11−42194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図11に示す従来の湿潤清掃用モップカバーにおいては、繊維製支持部材102の両側縁は裁断されたものであって、糸解れ防止処理がなされていないから、多数回使用することによって、両側縁に糸解れが生じてしまうという問題があった。また、二つのポケット部103の両側縁も裁断されたものであって、糸解れ防止処理がなされていないから、ポケット103の両側部に糸解れが生じてしまい、繊維製支持部材102からポケット103が剥がれてしまうという問題があった。また、汚れたモップカバーを洗濯する頻度が多くなると、布糸が解れたり、千切れたりして、耐久性に劣っていた。
【0005】
また、図12に示す従来の清掃具においては、払拭布202に多数の切り込み202aを入れているから、多数回使用することによって、切り込み202a部分が千切れてしまい、耐久性に劣るという問題があった。また、汚れた払拭布202を洗濯する頻度が多くなると、切り込み202a部分が千切れてしまい、耐久性に劣るという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、優れた布糸解れ防止効果を有して、耐久性のあるポケット付き清掃部材を提供することを目的としている。特に、基布とポケット部とを折り返しによって一体に形成することができ、折り返し部分が糸解れ防止効果を有し、耐久性のあるポケット付き清掃部材を提供することを目的とする。更に、洗濯等により繰返し使用でき、耐久性のあるポケット付き清掃部材及び清掃具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、下面に払拭部材が設けられた基布の長手方向両端部にポケット部を有し、前記ポケット部の少なくとも一方に清掃部材保持具の端部を挿入できるようにしたポケット付き清掃部材において、前記基布の両側縁に布糸解れ防止手段を設け、前記基布の長手方向両端部を折り返し、その折り返し部分の両側縁を固定して前記ポケット部を形成したポケット付き清掃部材である。
【0008】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記基布及び前記ポケット部が織布からなり、前記布糸解れ防止手段が、前記織布の横糸をジグザグ状に織成し、前記両側縁に糸切断部を有しない布縁構造からなり、前記基布と前記ポケット部が縫着により固定されているポケット付き清掃部材である。
【0009】
本発明の第3の形態は、第1の形態において、前記基布及び前記ポケット部が化繊糸布からなり、前記布糸解れ防止手段が、前記化繊糸布の両側縁を溶着した溶着部を備えた布縁構造からなり、前記基布と前記ポケット部が溶着により固定されているポケット付き清掃部材である。
【0010】
本発明の第4の形態は、第1の形態において、前記基布及び前記ポケット部が布に合成樹脂を塗布した素材から形成され、前記布糸解れ防止手段が、合成樹脂を布に塗布して布の縁部を固着する構造からなり、前記基布と前記ポケット部の両側縁が縫着及び/又は溶着により固定されているポケット付き清掃部材である。
【0011】
本発明の第5の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記ポケット部の端縁にテープが縫着されることにより、解れ防止処理が施されているポケット付き清掃部材である。
【0012】
本発明の第6の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記ポケット部の端縁が内側に折り返されて縫着されることにより、解れ防止処理が施されているポケット付き清掃部材である。
【0013】
本発明の第7の形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記ポケット部の開口部を覆うように前記基布の中間部に当布が配置され、この当布の両側縁が前記基布に固定され、前記当布は両側縁に当布糸解れ防止手段が設けられているポケット付き清掃部材である。
【0014】
本発明の第8の形態は、第7の形態において、前記当布が織布からなり、前記当布糸解れ防止手段が、前記織布の横糸をジグザク状に織成し、両側縁に糸切断部を有しない布縁構造からなり、前記当布と前記基布が縫着により固定されているポケット付き清掃部材である。
【0015】
本発明の第9の形態は、第7の形態において、前記当布が化繊糸布からなり、前記当布糸解れ防止手段が、前記化繊糸布の両側縁を溶着した溶着部を備えた布縁構造からなり、前記基布と前記当布が溶着により固定されているポケット付き清掃部材である。
【0016】
本発明の第10の形態は、第7の形態において、前記当布が布に合成樹脂を塗布した素材から形成され、前記当布糸解れ防止手段が、合成樹脂を布に塗布して布の縁部を固着する構造からなり、前記基布と前記当布の両側縁が縫着及び/又は溶着により固定されているポケット付き清掃部材である。
【0017】
本発明の第11の形態は、第7〜第10のいずれかの形態において、前記当布の長手方向両端縁にテープが縫着されることにより、解れ防止処理が施されているポケット付き清掃部材である。
【0018】
本発明の第12の形態は、第7〜第10のいずれかの形態において、前記当布の長手方向両端縁が内側に折り返されて縫着されることにより、解れ防止処理が施されているポケット付き清掃部材である。
【0019】
本発明の第13の形態は、第1〜第6のいずれかの形態のポケット付き清掃部材の両側のポケット部に、清掃部材保持具の両端部がそれぞれ挿入されている清掃具である。
【0020】
本発明の第14の形態は、第7〜第12のいずれかの形態のポケット付き清掃部材の前記当布の一端側の開口部から他端側の前記ポケット部に、グリップ部に支持片が突設された清掃部材保持具の前記支持片が挿入されている清掃具である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の形態によれば、基布の両側縁に布糸解れ防止手段を設けているから、布糸の解れが発生したり、千切れたりせず、使用上の寿命が長く、耐久性に富んだ清掃部材を提供することができる。また、ポケット部が基布の長手方向両端部を折り返して形成されているから、この折り返し部分に裁断箇所がない。従って、この折り返し部分に布糸の解れが発生せず、千切れたりせず、使用上の寿命が長く、耐久性に富んだものとすることができる。また、洗濯を繰返して再利用した場合にも、布糸の解れが発生せず、千切れたりすることがなく、耐久性に優れている。従って、家庭用清掃具に限らず、洗濯再生頻度の多いレンタル業務用清掃具等に好適に用いることができる。尚、払拭部材としては、例えば、モップ等のパイル材、クロス体、スポンジ体、ブラシ体などがある。
【0022】
本発明の第2の形態によれば、基布及びポケット部が織布からなり、糸解れ防止手段が織布の横糸をジクザグ状に織成し、両側縁に糸切断部を有しない布縁構造からなるから、切断糸が露出せず、織布の糸の解れが発生せず、耐久性に優れている。
【0023】
本発明の第3の形態によれば、基布及びポケット部が化繊糸布からなり、布糸解れ防止手段が、化繊糸布の両側縁を溶着した溶着部を備えた布縁構造からなるものであるから、裁断糸が露出せず、布糸の解れが発生せず、耐久性に優れている。
【0024】
本発明の第4の形態によれば、基布及びポケット部が布に合成樹脂を塗布した素材から形成され、布糸解れ防止手段が、合成樹脂を布に塗布して布の縁部を固着する構造からなるから、布の解れが生じなく耐久性に優れている。また、合成樹脂を布に塗布するだけであるから、布糸解れ防止手段の形成を簡単に行える。
【0025】
本発明の第5の形態によれば、ポケット部の端縁にテープが縫着されることにより、解れ防止処理が施されているから、ポケット部の端縁の解れを防ぐことができる。特に、清掃部材保持具の端部を挿入する際に、この清掃部材保持具の端部がポケット部の端縁に当接しても、その端縁の解れを防止でき、耐久性に優れている。尚、テープとしては、縦糸と横糸が斜めに交差した伸縮性のあるバイアステープや、縦糸と横糸が垂直に交差したテープ等がある。
【0026】
本発明の第6の形態によれば、ポケット部の端縁が内側に折り返されて縫着されることにより、解れ防止処理が施されているから、ポケット部の端縁の解れを防ぐことができる。また、ポケット部の端縁を内側に折り返すだけであるから、他の部材を用いることなく、解れ防止処理を行うことができ、コストダウンを図ることができる。特に、清掃部材保持具の端部を挿入する際に、この清掃部材の端部がポケット部の端縁に当接しても、その端縁の解れを防止でき、耐久性に優れている。
【0027】
本発明の第7の形態によれば、ポケット部の開口部を覆うように基布の中間部に配置された当布の両側縁に当布糸解れ防止手段が設けられているから、この当布の両側縁に、布糸の解れが発生したり、千切れたりせず、耐久性に富んでいる。また、この当布の両側縁が基布に固定された状態で、洗濯を繰り返して再利用した場合にも、当布の布糸の解れが発生せず、千切れたりすることがなく、耐久性に優れたポケット付き清掃部材を提供することができる。
【0028】
本発明の第8の形態によれば、当布が織布からなり、当布糸解れ防止手段が、織布の横糸をジグザグ状に織成し、両側縁に糸切断部を有しない布縁構造からなるものであるから、切断糸が露出せず、織布の糸の解れが発生せず、耐久性に優れている。
【0029】
本発明の第9の形態によれば、当布が化繊糸布からなり、当布糸解れ防止手段が、化繊糸布の両側縁を溶着した溶着部を備えた布縁構造からなるものであるから、裁断糸が露出せず、布糸の解れが発生せず、耐久性に優れている。尚、布としては、織布、編布、不織布などの一般の布が使用できる。
【0030】
本発明の第10の形態によれば、当布が布に合成樹脂を塗布した素材から形成され、当布糸解れ防止手段が、合成樹脂を布に塗布して布の縁部固着する構造からなるものであるから、布糸の解れが生じなく、耐久性に優れている。また、基布と当布の両側縁は、縫着又は溶着によって固定できるから、その作業を簡単に行うことができる。更に、基布と当布の両側縁を、溶着した後に縫着することによって強固に固定することができる。尚、布としては、織布、編布、不織布などの一般の布が使用できる。
【0031】
本発明の第11の形態によれば、当布の長手方向両端縁にテープが縫着されることにより、解れ防止処理が施されているから、当布の長手方向両端縁の解れを防止することができ、耐久性に優れている。特に、清掃部材保持具の端部を挿入する際に、この清掃部材保持具の端部が当布の端縁に当接しても、当布の端縁の解れを防止でき、耐久性に優れている。尚、テープとしては、縦糸と横糸が斜めに交差した伸縮性のあるバイアステープや、縦糸と横糸が垂直に交差したテープ等がある。
【0032】
本発明の第12の形態によれば、当布の長手方向両端縁が内側に折り返されて縫着されることにより、解れ防止処理が施されているから、ポケット部の長手方向両端縁の解れを防止できる。また、当布の長手方向両端縁を内側に折り返すだけであるから、別部材を用いる必要がなく、解れ防止処理を行うことができ、コストダウンを図ることができる。特に、清掃部材保持具を挿入するときに、この清掃部材保持具の端部が当布の長手方向端縁に当接しても、その端縁の解れを防止でき、耐久性に優れている。
【0033】
本発明の第13の形態によれば、第1〜第6のいずれかの形態に記載のポケット付き清掃部材の両側のポケット部に、清掃部材保持具の両端部がそれぞれ挿入されているから、ハンドルを有するモップとして使用することができる。また、ハンドルを有さないモップとしても使用できる。更に、両側のポケット部は、その端縁が解れ防止処理されているから、清掃部材保持具の端部をポケット部に挿入するときに、清掃部材保持具の端部がポケット部の端縁に多数回当接しても、その端縁が解れることがなく、耐久性に優れている。
【0034】
本発明の第14の形態によれば、第7〜第12のいずれかの形態に記載のポケット付き清掃部材の当布の一端側の開口部から他端側のポケット部に、清掃具のグリップ部に突設された支持片が挿入されているから、ハンディモップとして使用できる。また、当布の長手方向端縁が解れ防止処理なされているから、清掃具の支持片の端部が当布の長手方向端縁に当接しても、これら端縁に解れが生じることがない。従って、耐久性に優れた清掃具を提供することができる。更に、ポケット付き清掃部材の当布の他端側の開口部から一端側のポケット部に、グリップ部に突設された支持片を挿入することもできるから、より一層耐久性に優れた清掃具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係るポケット付き清掃部材及び清掃具の実施の形態を、添付する図1〜図10に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るポケット付き清掃部材の第1実施形態を示し、(1A)はその斜視図、(1B)はその基布及びポケット部を形成する織布の縦糸と横糸の構成を模式的に拡大した布構造を示す平面図である。(1A)に示すように、この第1実施形態のポケット付き清掃部材1は、基布2下面に複数のパイルからなる払拭部材3が設けられており、基布2の長手方向両端部を折り返してポケット部4、5が形成されている。更に、ポケット部4、5の開口部4a、5aを覆うように、基布2の中間部に当布6が配置されている。ポケット部4、5の両側縁と当布6の両側縁は、基布2の両側縁に縫着されている。
【0036】
基布2とポケット部4、5と当布6には、(1B)に示す布材が用いられており、この布材は、縦糸7及び横糸8より織成された織布からなり、縦糸7に対して横糸8がジグザグ状(S字状)に織成されている。従って、縦糸7側の布端縁7aには縦糸7を裁断した切断部があるが、横糸8側の布端縁8aには、ジグザグ状に織成された折り返しループ部が露出して糸切断部を有しない布縁構造を形成している。基布2、ポケット部4、5及び当布6は、縦糸7を長辺にした布材が使用されている。布材の素繊維には綿繊維やナイロン等の合成化学繊維を使用できる。
【0037】
従って、基布2、ポケット部4、5及び当布6の両側縁には、布糸の解れが生じたり、千切れたりせず、使用上の寿命が長く、耐久性に富んでいる。更に、ポケット部4、5が基布2の長手方向両端部を折り返して形成しているから、この折り返し部分に裁断箇所がない。従って、この折り返し部分に布糸の解れが発生したり、千切れたりせず、使用上の寿命が長く、耐久性に富んでいる。また、洗濯を繰り返して再利用した場合にも、布糸の解れが発生せず、千切れたりすることがなく、耐久性に優れている。
【0038】
図2は図1に示すポケット付き清掃部材の第1例における縫着前の分解斜視図である。図2に示すように、当布6の長手方向両端縁には、第1例として、横向きU字状に曲成されたテープ9が縫着されて、解れ防止処理が施されている。このテープ9としては縦糸と横糸とが斜めに交差した伸縮性のあるバイアステープや、縦糸と横糸が垂直に交差したテープ等が使用される。従って、解れ防止処理により、当布6の長手方向両端縁に解れが発生せず、千切れたりすることがなく、耐久性に優れている。
【0039】
図3は図1に示すポケット付き清掃部材の第2例における縫着前の分解斜視図である。図3に示すように、第2例として、当布6の長手方向両端縁6a、6aが内側に折り返されて縫着されて、解れ防止処理が施されている。従って、解れ防止処理により、当布6の長手方向両端縁6a、6aに解れが発生せず、千切れたりすることがなく、耐久性に優れている。
【0040】
図4は図1に示すポケット付き清掃部材を用いた本発明に係る清掃具の第1例の分解斜視図である。図4に示すように、(1A)に示すポケット付き清掃部材1に、清掃部材保持具10のグリップ部11に突設された支持片12が挿入されるようになっている。この清掃部材保持具10は、グリップ部11の先端部13に下向きに設けた上歯部14,15を、支持片12の上面に対して支持片12とグリップ部11との連設部分16に揺動自在に支持片12上に軸支された揺動片17が設けられている。揺動片17のグリップ部11側一端には指操作部18が設けられている。支持片12の上面には、上歯部14、15と対向して下歯部19が突設されている。
【0041】
図5は図4に示す清掃具の組み付け完了時の斜視図である。図5に示すように、清掃部材保持具10の支持片12をポケット付き清掃部材1の当布6の一方側の端縁から内部に向けて挿入する。更に、支持片12の先端を他方側のポケット部5の開口部5aから奥部に挿入する。次に、指操作部18を指で押して先端部13を開いて指を離すと、先端部13が閉まり、上歯部14、15と下歯部19が当布6の縁部に喰い込んでポケット付き清掃部材1が清掃部材保持具10の支持片12に装着される。この状態でハンディモップとして使用することができる。
【0042】
図6は図5に示す清掃具の縦断面図である。図6に示すように、清掃部材保持具10の支持片12は一方側のポケット部4と当布6の端縁との間隙に挿入され、当布6の一方側の端縁の下側に挿入された後に、他方側のポケット部5の開口部5aから奥部に挿入されて装着される。また、清掃部材保持具10の支持片12は、当布6の他方側の端縁の下側に挿入して、一方側のポケット部4内に挿入して装着することも可能である。従って、当布6の長手方向端縁が解れ防止処理なされているから、清掃部材保持具10の支持片12の端部が当布6の長手方向端縁に当接しても、これら端縁に解れが生じることがない。従って、耐久性に優れた清掃具を提供することができる。
【0043】
図7は図1における基布とポケット部における別の布の縦糸と横糸の構成を模式的に拡大した布構造を示す平面図である。図7に示すように、この布材はナイロン等の合成化学繊維糸からなる縦糸20及び横糸21により織成された織布からなり、縦糸20及び横糸21の布端縁の裁断部分は溶着され、縦横のそれぞれに溶着部22、23を備えている。このような布切断部を溶着した溶着部22、23を備えた布縁構造からなる布糸解れ防止手段及び当布糸解れ防止手段を施した布材を基布2、ポケット部4、5及び当布6として用いることもできる。このようにすれば、(1B)の布材と同様に、布側縁において切断糸が露出せず、布糸の解れが発生しない、優れた耐久性を有することができる。
【0044】
尚、基布2、ポケット部4、5及び当布6が布に合成樹脂を塗布した素材から形成し、合成樹脂を布に塗布して布の縁部を固着して解れ防止するようにしてもよい。この場合、基布2とポケット部4、5及び当布6の両側縁を縫着及び/又は溶着により固定するとよい。このようにすると、裁断糸が露出せず、布糸の解れが発生せず、耐久性に優れている。布としては、織布、編布、不織布などの一般の布が使用できる。
【0045】
図8は第2実施形態のポケット付き清掃部材を用いた第2例の清掃具の斜視図である。図8に示すように、このポケット付き清掃部材25は、基布26下面に複数のパイルからなる払拭部材3が設けられており、基布26の長手方向両端部を折り返してポケット部27、28が形成されている。基布26及びポケット部27、28は、(1B)に示す布材で形成されている。清掃部材保持具29は、回動操作可能なハンドル30と、このハンドル30が取り付けられた開閉可能な二股状の支持片部31、32とから構成されている。この清掃部材保持具29の各支持片部31、32をポケット部27、28に挿入することにより、モップとしての清掃具が実現する。
【0046】
図9は図8に示すポケット付き清掃部材の縫着前の分解斜視図である。図9に示すように、ポケット部27、28の端縁に横向きU字状に曲成したテープ33を縫着して、解れ防止処理を施すようにしている。従って、このポケット部27、28の端縁に清掃部材保持具29の支持片部31、32の先端が当接しても、布糸の解れが生じることがなく、千切れたりすることもなく、耐久性に優れている。
【0047】
図10は図9に示すポケット付き清掃部材の別例の縫着前の分解斜視図である。図10に示すように、ポケット部27、28の端縁27a、28aを内側に折り返して縫着して、解れ防止処理を施すようにしている。従って、このポケット部27、28の端縁27a、28aに清掃部材保持具29の支持片部31、32の先端が当接しても、布糸の解れが生じることがなく、千切れたりすることもなく、耐久性に優れている。
【0048】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係るポケット付き清掃部材及び清掃具は、ハンディモップや一般のモップ等に適用でき、家庭用のモップや業務用のモップ等として使用可能であり、ポケット付き清掃部材は、レンタル業務用としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るポケット付き清掃部材の第1実施形態を示し、(1A)はその斜視図、(1B)はその基布及びポケット部を形成する織布の縦糸と横糸の構成を模式的に拡大した布構造を示す平面図である。
【図2】図1に示すポケット付き清掃部材の第1例における縫着前の分解斜視図である。
【図3】図1に示すポケット付き清掃部材の第2例における縫着前の分解斜視図である。
【図4】図1に示すポケット付き清掃部材を用いた本発明に係る清掃具の第1例の分解斜視図である。
【図5】図4に示す清掃具の組み付け完了時の斜視図である。
【図6】図5に示す清掃具の縦断面図である。
【図7】図1における基布とポケット部における別の布の縦糸と横糸の構成を模式的に拡大した布構造を示す平面図である。
【図8】第2実施形態のポケット付き清掃部材を用いた第2例の清掃具の斜視図である。
【図9】図8に示すポケット付き清掃部材の縫着前の分解斜視図である。
【図10】図9に示すポケット付き清掃部材の別例の縫着前の分解斜視図である。
【図11】従来の湿潤清掃用モップカバーの一部切断斜視図である。
【図12】従来の清掃具を示し、(12A)はその分解斜視図、(12B)はその組み付けされた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ポケット付き清掃部材
2 基布
3 払拭部材
4 ポケット部
4a 開口部
5 ポケット部
5a 開口部
6 当布
6a 長手方向端縁
7 縦糸
7a 布端縁
8 横糸
8a 布端縁
9 テープ
10 清掃部材保持具
11 グリップ部
12 支持片
13 グリップ部の先端部
14 上歯部
15 上歯部
16 連設部分
17 揺動片
18 指操作部
19 下歯部
20 縦糸
21 横糸
22 溶着部
23 溶着部
25 ポケット付き清掃部材
26 基布
27 ポケット部
27a 端縁
28 ポケット部
28a 端縁
29 清掃部材保持具
30 ハンドル
31 支持片部
32 支持片部
33 テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に払拭部材が設けられた基布の長手方向両端部にポケット部を有し、前記ポケット部の少なくとも一方に清掃部材保持具の端部を挿入できるようにしたポケット付き清掃部材において、前記基布の両側縁に布糸解れ防止手段を設け、前記基布の長手方向両端部を折り返し、その折り返し部分の両側縁を固定して前記ポケット部を形成したことを特徴とするポケット付き清掃部材。
【請求項2】
前記基布及び前記ポケット部が織布からなり、前記布糸解れ防止手段が、前記織布の横糸をジグザグ状に織成し、前記両側縁に糸切断部を有しない布縁構造からなり、前記基布と前記ポケット部が縫着により固定されている請求項1に記載のポケット付き清掃部材。
【請求項3】
前記基布及び前記ポケット部が化繊糸布からなり、前記布糸解れ防止手段が、前記化繊糸布の両側縁を溶着した溶着部を備えた布縁構造からなり、前記基布と前記ポケット部が溶着により固定されている請求項1に記載のポケット付き清掃部材。
【請求項4】
前記基布及び前記ポケット部が布に合成樹脂を塗布した素材から形成され、前記布糸解れ防止手段が、合成樹脂を布に塗布して布の縁部を固着する構造からなり、前記基布と前記ポケット部の両側縁が縫着及び/又は溶着により固定されている請求項1に記載のポケット付き清掃部材。
【請求項5】
前記ポケット部の端縁にテープが縫着されることにより、解れ防止処理が施されている請求項1〜4のいずれかに記載のポケット付き清掃部材。
【請求項6】
前記ポケット部の端縁が内側に折り返されて縫着されることにより、解れ防止処理が施されている請求項1〜4のいずれかに記載のポケット付き清掃部材。
【請求項7】
前記ポケット部の開口部を覆うように前記基布の中間部に当布が配置され、この当布の両側縁が前記基布に固定され、前記当布は両側縁に当布糸解れ防止手段が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載のポケット付き清掃部材。
【請求項8】
前記当布が織布からなり、前記当布糸解れ防止手段が、前記織布の横糸をジグザク状に織成し、両側縁に糸切断部を有しない布縁構造からなり、前記当布と前記基布が縫着により固定されている請求項7に記載のポケット付き清掃部材。
【請求項9】
前記当布が化繊糸布からなり、前記当布糸解れ防止手段が、前記化繊糸布の両側縁を溶着した溶着部を備えた布縁構造からなり、前記基布と前記当布が溶着により固定されている請求項7に記載のポケット付き清掃部材。
【請求項10】
前記当布が布に合成樹脂を塗布した素材から形成され、前記当布糸解れ防止手段が、合成樹脂を布に塗布して布の縁部を固着する構造からなり、前記基布と前記当布の両側縁が縫着及び/又は溶着により固定されている請求項7に記載のポケット付き清掃部材。
【請求項11】
前記当布の長手方向両端縁にテープが縫着されることにより、解れ防止処理が施されている請求項7〜10のいずれかに記載のポケット付き清掃部材。
【請求項12】
前記当布の長手方向両端縁が内側に折り返されて縫着されることにより、解れ防止処理が施されている請求項7〜10のいずれかに記載のポケット付き清掃部材。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれかに記載のポケット付き清掃部材の両側のポケット部に、清掃部材保持具の両端部がそれぞれ挿入されていることを特徴とする清掃具。
【請求項14】
請求項7〜12のいずれかに記載のポケット付き清掃部材の前記当布の一端側の開口部から他端側の前記ポケット部に、グリップ部に支持片が突設された清掃部材保持具の前記支持片が挿入されていることを特徴とする清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−215791(P2007−215791A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40142(P2006−40142)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】