説明

ポケット用物品抜け出し防止クリップおよびポケットからの物品抜け出し防止方法

【課題】表面が平滑な物品であっても、誤ってポケットから該物品が抜け出るのを防止することができるポケット用物品抜け出し防止クリップを提供する。
【解決手段】本発明のポケット用物品抜け出し防止クリップAは、クリップ本体1と、ストッパー部材2とを備え、クリップ本体1は、ポケットp内部に挿入され、ポケットp内側から開口縁部p1に当接する第1の挟持片11と、ポケットp外側から開口縁部p1に当接する第2の挟持片12と、第1の挟持片11と第2の挟持片12とを連結すると共に、これら第1および第2の挟持片11、12を挟持方向に付勢する連結体13とを有し、ストッパー部材2は、クリップ本体1の第1の挟持片11の第2の挟持片12とは反対側に設けられ、ポケットp内部の物品bに当接して摩擦力により該物品bがポケットpから抜け出すのを防止するものであり、かつ、粘着性を有しない部材により形成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポケットの開口縁部に着脱自在に取り付けられ、該ポケット内部に収納されている物品が抜け出すのを防止するポケット用物品抜け出し防止クリップおよびポケットからの物品抜け出し防止方法に係り、特に、クリップ本体にストッパー部材を設け、このストッパー部材をポケット内部の物品に当接させて摩擦力により該物品のポケットからの抜け出しを防止するものに関する。
【背景技術】
【0002】
上着やズボン、スカートなどの多くには物品を収納するポケットが設けられている。収納される物品は、例えば、ハンカチや財布、定期入れなど多種多様であるが、昨今にあっては、電子機器の小型化などとも相俟って、ポケットに携帯電話、音楽プレーヤー、デジタルカメラなどの電子機器を収納する機会が増えている。
【0003】
このような状況下において、ポケット内に収納してある物品を誤って落としてしまい、該物品を破損させたり、紛失したりしてしまうケースが増加しており、特に、上述したような電子機器にあっては、その表面が平滑であるため、その傾向は一層顕著である。
【0004】
この問題に対し、例えば、ポケットの出し入れ口の内面の一部に起毛繊維を設け、この起毛繊維の起立方向を奥向きに配してポケット内の物品の抜け出し抵抗を大きし、物品の抜け出しを防止するような滑り止め機能付きポケットが提案されている(例えば、特許文献1の図1〜図3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−166108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような滑り止め機能付きポケットにあっては、ハンカチや財布など、表面に比較的凹凸が多いものに対しては有効であるものの、電子機器のような表面が平滑な物品にあっては依然として抜け出し抵抗(摩擦抵抗)が小さく、該物品の抜け出しを確実に防止することが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、ポケットの開口縁部に着脱自在に取り付けられ、該ポケット内部に収納されている物品が抜け出すのを防止するポケット用物品抜け出し防止クリップであって、クリップ本体と、ストッパー部材とを備え、前記クリップ本体は、前記ポケット内部に挿入され、前記ポケット内側から前記開口縁部に当接する第1の挟持片と、前記ポケット外側から前記開口縁部に当接する第2の挟持片と、前記第1の挟持片と前記第2の挟持片とを連結すると共に、これら第1および第2の挟持片を挟持方向に付勢する連結体とを有し、前記ストッパー部材は、前記クリップ本体の前記第1の挟持片の前記第2の挟持片とは反対側に設けられ、前記ポケット内部の物品に当接して摩擦力により該物品が前記ポケットから抜け出すのを防止するものであり、かつ、粘着性を有しない部材により形成されているポケット用物品抜け出し防止クリップである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のポケット用物品抜け出し防止クリップにおいて、ストッパー部材は、シート状に形成されているものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、ポケットの内側に位置するクリップ本体の第1の挟持片と、前記ポケットの外側に位置する前記クリップ本体の第2の挟持片とにより前記ポケットの開口縁部を着脱自在に挟持し、前記クリップ本体の前記第1の挟持片の前記第2の挟持片とは反対側に設けられたストッパー部材に前記ポケット内部に収納されている物品を当接させ、前記ストッパー部材と前記物品との間で作用する摩擦力により該物品が前記ポケットから抜け出さないように保持するポケットからの物品抜け出し防止方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のポケット用物品抜け出し防止クリップによれば、クリップ本体は、ポケット内部に挿入され、前記ポケット内側から開口縁部に当接する第1の挟持片と、前記ポケット外側から前記開口縁部に当接する第2の挟持片と、前記第1の挟持片と前記第2の挟持片とを連結すると共に、これら第1および第2の挟持片を挟持方向に付勢する連結体とを有し、ストッパー部材は、前記クリップ本体の前記第1の挟持片の前記第2の挟持片とは反対側に設けられ、前記ポケット内部の物品に当接して摩擦力により該物品が前記ポケットから抜け出すのを防止するものであり、かつ、粘着性を有しない部材により形成されているため、既製のポケットであっても簡易に取り付けてポケット内部に収納されている物品が抜け出すのを防止することができ、しかも、物品がストッパー部材に粘着しない分、ストッパー部材から物品を引き離せば容易に該物品をポケットから取り出すことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載のポケット用物品抜け出し防止クリップの効果に加え、ストッパー部材は、シート状に形成されているため、嵩張らず、かつ、物品とストッパー部材とが面接触をすることにより両者間に作用する摩擦力を増大させることができ、より一層確実にポケットから物品が抜け出すのを防止することができる。
【0013】
請求項3記載のポケットからの物品抜け出し防止方法によれば、ポケットの内側に位置するクリップ本体の第1の挟持片と、前記ポケットの外側に位置する前記クリップ本体の第2の挟持片とにより前記ポケットの開口縁部を着脱自在に挟持し、前記クリップ本体の前記第1の挟持片の前記第2の挟持片とは反対側に設けられたストッパー部材に前記ポケット内部に収納されている物品を当接させ、前記ストッパー部材と前記物品との間で作用する摩擦力により該物品が前記ポケットから抜け出さないように保持するため、既製のポケットであっても簡易に取り付けてポケット内部に収納されている物品が抜け出すのを防止することができ、しかも、物品がストッパー部材との間で作用する摩擦力により保持されている分、ストッパー部材から物品を引き離せば容易に該物品をポケットから取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るポケット用物品抜け出し防止クリップの一実施例を示した概略図であり、図1(a)は正面図を、図1(b)は側面図をそれぞれ示している。
【図2】図1の変形例を示した概略図であり、図2(a)は分解斜視図を、図2(b)は図2(a)のX−X線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【図3】図1の変形例を示した概略図であり、図3(a)は正面図を、図3(b)は側面図をそれぞれ示している。
【図4】図1の変形例を示した概略図であり、図4(a)は正面図を、図4(b)は側面図をそれぞれ示している。
【図5】図1のポケット用物品抜け出し防止クリップに、付設体を取り付けた概略図であり、図5(a)は一形態の付設体を取り付けた正面図を、図5(b)は図5(a)の側面図を、図5(c)は他の形態の付設体を取り付けた正面図を、図5(d)はさらに他の形態の付設体を取り付けた正面図をそれぞれ示している。
【図6】図1の使用状態を説明するための概略図である。
【図7】図1の使用状態を説明するための概略図であり、図7(a)はポケット用物品抜け出し防止クリップ装着前の側面図を、図7(b)はポケット用物品抜け出し防止クリップを装着したときの側面図をそれぞれ示している。
【図8】上半身が前屈み状態になったときのポケット内の物品の抜け出し状態を示した概略的側面図であり、図8(a)はポケット用物品抜け出し防止クリップを装着していないときの図を、図8(b)はポケット用物品抜け出し防止クリップを装着しているときの図をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例を、図1、図6を参照して説明する。図1(a)、(b)において、Aはポケット用物品抜け出し防止クリップであり、ポケット用物品抜け出し防止クリップAは、図6に示したように、ポケットpの開口縁部p1に着脱自在に取り付けられ、該ポケットp内部に収納されている物品bが抜け出すのを防止するもので、概略的に、クリップ本体1と、ストッパー部材2とにより構成されている。
【0016】
クリップ本体1は、図1(b)の仮想線で示したように、例えば、衣服やズボンなどに設けられたポケットp内部に挿入され、ポケットp内側から開口縁部p1に当接する第1の挟持片11と、ポケットp外側から開口縁部p1に当接する第2の挟持片12と、第1の挟持片11と第2の挟持片12とを連結すると共に、これら第1および第2の挟持片11、12を挟持方向に付勢する連結体13とを有している。
【0017】
なお、図1(a)、(b)は、クリップ本体1がゼムクリップであるものを示しており、このゼムクリップは、例えば、金属の芯金により形成され、芯金が略U字状に折り曲げられて第1の挟持片11をなすと共に、同じく芯金が略U字状に折り曲げられて第2の挟持片12をなし、これら第1の挟持片11の一端と第2の挟持片12の一端とが芯金の連結体13により連結されているもので、この連結体13は、第1および第2の挟持片11、12を挟持方向に付勢するように、弾性を有する材料により形成されている。なお、図示していないが、芯金は、ポリエチレン等の材料で形成された被覆部材により被覆してもよい。
【0018】
ストッパー部材2は、図1(b)に示したように、前記クリップ本体1の第1の挟持片11の第2の挟持片12とは反対側に設けられ、ポケットp内部の物品bに当接して摩擦力により該物品bがポケットpから抜け出すのを防止するものであり、かつ、粘着性を有しない部材、具体的には、例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン・ブロック共重合体(SEBS)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン樹脂(BDR)、スチレン共重合合成樹脂、ポリウレタン(PU)等の摩擦係数の高い材料により形成されている。このストッパー部材2は、例えば、図1(a)に示したように、前述のクリップ本体1に接着剤sにより接着することもができるが、例えば、図2(a)、(b)に示したように、取付凸部3aを有する取付部材3を用い、この取付凸部3aをストッパー部材2に穿設された取付孔2aに挿着してクリップ本体1に固定するようにしてもよい。
【0019】
ところで、上述した実施例にあっては、クリップ本体1としてゼムクリップを用いた例を示したが、ポケットpの開口縁部p1を挟持できるものであれば、いずれのものを用いてもよく、例えば、図3(a)、(b)に示したように、長手形状の第1の挟持片11’と、同じく長手形状の第2の挟持片12’と、これら第1および第2の挟持片11’、12’を長手方向の中途で軸13’aにより揺動可能に枢結すると共に、挟持方向にバネ13’bにより付勢する連結体13’と、を備えたクリップ本体1を用いたり、図4(a)、(b)に示したように、長手形状の第1の挟持片11”と、同じく長手形状の第2の挟持片12”と、これら第1および第2の挟持片11”、12”を長手方向の一端部において挟持方向に付勢する連結体13”と、を備えた側面視略逆U字状のクリップ本体1などを用いてもよい。
【0020】
また、クリップ本体1の第2の挟持片12側には、図5(a)、(b)に示したようなネームプレートなどの付設体4を取り付けたり、図5(c)、(d)に示したようなキャラクターデザインをあしらった付設体4を取り付けてもよく、更には、この付設体4に前述したような取付凸部3aを設け(不図示)、取付部材3(図2参照)と兼用するようにしてもよい(図5(a)〜(d)にあっては、クリップ本体1としてゼムクリップを用いたものを例示)。
【0021】
なお、ストッパー部材2は、図1(a)、(b)に示したように、シート状に形成するのが、特に物品bとストッパー部材2との間に作用する摩擦力を増大させる点で好ましい。
【0022】
次に、上述した実施例のように構成されるポケット用物品抜け出し防止クリップAの作用効果について、ゼムクリップを例にとり、図6〜図8を参照して説明する。図6は、上着のポケットpにポケット用物品抜け出し防止クリップAを装着した例を示したもので、物品b(例えば、携帯電話など)がポケットpの中に入れられた状態を示している。
【0023】
また、図7(a)、(b)は、ポケット用物品抜け出し防止クリップAを、ポケットpに装着する前後の状態を示した概略的断面図を示しており、まず、図7(a)に示したように、物品bがポケットp内に収納されている状態において、第1の挟持片11と第2の挟持片12とを押し広げ、これら第1および第2の挟持片11、12の間にポケットpの開口縁部p1を差し入れる。
【0024】
そして、図7(b)に示したように、第1および第2の挟持片11、12を挟持方向に付勢させれば、ポケット用物品抜け出し防止クリップAがポケット開口縁部p1に挟持されるもので、ストッパー部材2が物品bに当接し、該ストッパー部材2と物品bとの間で作用する摩擦力により物品bがポケットpから抜き出ないように保持される。なお、ストッパー部材2は粘着性を有しない部材により形成されているため、物品bがストッパー部材2に貼り付くことは無く、例えば、ストッパー部材2と物品bとを引き離せば、該ストッパー部材2と物品bとの間の摩擦力が解除され、ポケットpから容易に物品bを抜き出すことができる。
【0025】
ところで、図8(a)、(b)は、例えば、上半身が前屈み状態になったときに
物品bが衣服の胸のポケットpから抜け出すか否かを、ポケット用物品抜け出し防止クリップAの有無により比較例示したもので、ポケット用物品抜け出し防止クリップAが装着されていない図8(a)のものにあっては、ポケットpと物品bとの摩擦力が小さいために誤って該物品bがポケットpから抜け出してしまう可能性が高いものの、ポケット用物品抜け出し防止クリップAが装着された図8(b)のものにあっては、ポケットpと物品bとの摩擦力が大きく(本図にあっては、特に物品bの自重により摩擦力が大きくなる)、物品bがポケットpから抜け出し難くなる。
【符号の説明】
【0026】
A ポケット用物品抜け出し防止クリップ
b 物品
p ポケット
p1 開口縁部
1 クリップ本体
11、11’、11” 第1の挟持片
12、12’、12” 第2の挟持片
13、13’、13” 連結体
2 ストッパー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケットの開口縁部に着脱自在に取り付けられ、該ポケット内部に収納されている物品が抜け出すのを防止するポケット用物品抜け出し防止クリップであって、
クリップ本体と、ストッパー部材とを備え、
前記クリップ本体は、
前記ポケット内部に挿入され、前記ポケット内側から前記開口縁部に当接する第1の挟持片と、
前記ポケット外側から前記開口縁部に当接する第2の挟持片と、
前記第1の挟持片と前記第2の挟持片とを連結すると共に、これら第1および第2の挟持片を挟持方向に付勢する連結体とを有し、
前記ストッパー部材は、
前記クリップ本体の前記第1の挟持片の前記第2の挟持片とは反対側に設けられ、前記ポケット内部の物品に当接して摩擦力により該物品が前記ポケットから抜け出すのを防止するものであり、かつ、粘着性を有しない部材により形成されていることを特徴とするポケット用物品抜け出し防止クリップ。
【請求項2】
ストッパー部材は、シート状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のポケット用物品抜け出し防止クリップ。
【請求項3】
ポケットの内側に位置するクリップ本体の第1の挟持片と、前記ポケットの外側に位置する前記クリップ本体の第2の挟持片とにより前記ポケットの開口縁部を着脱自在に挟持し、
前記クリップ本体の前記第1の挟持片の前記第2の挟持片とは反対側に設けられたストッパー部材に前記ポケット内部に収納されている物品を当接させ、
前記ストッパー部材と前記物品との間で作用する摩擦力により該物品が前記ポケットから抜け出さないように保持することを特徴とするポケットからの物品抜け出し防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−10970(P2011−10970A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159449(P2009−159449)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(598011802)株式会社エビスサンプル (2)
【Fターム(参考)】