説明

ポジトロン放射断層撮影(PositronEmissionTomography:PET)検出器モジュール、PETスキャナシステム及びPET検出器モジュール製造方法

【課題】効率的かつ実用的なライトガイドを簡易に構築すること。
【解決手段】実施形態のPET検出器モジュールは、結晶素子アレイと、複数の光センサーと、透明接着剤とを備える。複数の光センサーは、結晶素子アレイを少なくとも部分的に網羅するように設けられ、結晶素子アレイから放射される光を受信する。透明接着剤は、結晶素子アレイと複数の光センサーとの間に設けられ、結晶素子のうちの少なくとも1つの結晶素子の表面から光センサーのうちの少なくとも1つの光センサーの表面に直接延在して、結晶素子のうちの1つから放射される光を複数の光センサーのうちの2つ以上に分布させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、PET検出器モジュール、PETスキャナシステム及びPET検出器モジュール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なPETイメージングでは、注入、吸入、又は、経口摂取により、放射性薬剤を撮影対象である被検体に投与する。放射性薬剤の投与後、薬剤の物理的及び生体分子的な特性により、薬剤は、人体内の特定部位に集中する。薬剤の実際の空間分布、薬剤の蓄積領域の濃度、及び、投与から最終の排出までのプロセスの動態は、全て、臨床的な重要性を持ち得る因子である。このプロセスで、放射性薬剤に付着したポジトロン放射体は、半減期、分岐比等の同位元素の物理的性質に応じてポジトロンを放射する。
【0003】
放射性核種は、ポジトロンを放射する。放射されたポジトロンが電子と衝突すると、対消滅イベントが起こり、ポジトロン及び電子は、消滅する。多くの場合、対消滅イベントは、略180度方向に放出される2つのガンマ線(511keVのエネルギーを有する)を生成する。
【0004】
2つのガンマ線を検出して、それらの検出位置間に直線、すなわち、同時計数線(Line−Of−Response:LOR)を引くことによって、本来対消滅したであろう位置を割り出すことができる。このプロセスは、相互作用が起こっている可能性のある線を識別するだけであるが、そのような線を多数蓄積して、断層撮影再構成プロセスを実行することによって、本来の分布を推定できる。2つのシンチレーションイベント(scintillation event)の位置に加えて、正確なタイミング(数百ピコ秒以内の)が利用可能なら、飛行時間(Time−Of−Flight:TOF)の算出によって、同時計数線において、イベント(対消滅イベント:annihilation event)が起こった可能性が高い位置情報を、更に、加えることができる。スキャナのタイミングの分解能の限界が、この線に沿った位置決めの精度を決定する。本来のシンチレーションイベントの位置を決定する際の限界が、スキャナの究極の空間分解能を決定する。一方で、同位元素の固有の特性(例えば、ポジトロンのエネルギー)もまた、ポジトロンの飛程及び2つのガンマ線の共直線性により、特定の薬剤の空間分解能の決定に寄与する。
【0005】
上述の検出プロセスは、多数の対消滅イベントに対して繰り返されなければならない。イメージングタスクを支援するために何回の計数(count)(すなわち、対になったイベント)が必要になるかは、イメージング症例ごとに解析して決定しなければならないが、現在の慣例では、典型的な100cm長の18FDG(Fluoro−Deoxyglucose:フルオロデオキシグルコース)の研究によって、数億の計数を蓄積する必要があるとされている。この数の計数を蓄積するのに要する時間は、薬剤の注入量、スキャナの感度及び計数の性能によって決まる。
【0006】
PETイメージングシステムでは、被検体から放射されるガンマ線を検出するために、互いに対向する位置に配置された検出器を使用する。あらゆる角度から飛来するガンマ線を検出するために、一般的にリング状の検出器を使用する。従って、PETスキャナは、できるだけ多くの放射線を収集できるように、一般的に略円筒形であり、当然のことながら、等方性である。
【0007】
PETスキャナの全体的な形状が明らかになると、次の課題は、できるだけ多くのシンチレーター材料をガンマ線経路内に配置して、できるだけ多くのガンマ線を光に変換することである。断層撮影再構成原理によって放射性同位元素の時空間分布を再構成できるようにするために、各検出されたイベントのエネルギー(すなわち、生成された光量)、位置、及びタイミングを特徴付ける必要がある。ほとんどの最新PETスキャナは、数千個の個別の結晶で構成される。これらの結晶は、モジュール化して設けられ、シンチレーションイベントの位置を識別するために利用される。一般的に結晶素子は、約4mm×4mmの断面を有する。結晶素子は、これよりも小さい寸法や大きい寸法、又は、正方形以外の断面の場合もある。結晶の長さや奥行きによって、ガンマ線の収集可能量が決まり、10〜30mmの範囲が一般的である。シンチレーター結晶の1つの例は、LYSO(又は、Lu1.80.2SiO:Ce、又は、ルテチウムオルト珪酸塩)である。これは、その高い光出力、速い立ち上がり時間、速い減衰時間、高い平均原子番号、及び、高密度のために選ばれる。他の結晶を使うことも可能である。
【0008】
図3は、従来のPET検出器モジュールの正面図を示す背景技術の図である。図3は、光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)20が、RTVを使って個別のライトガイド15に連結されている従来のPET検出器モジュールを示す図である。ここで、「RTV」とは、「room-temperature-vulcanized (vulcanizable):室温加硫(加硫性の)」を意味し、通常、RTVシリコーンを表すのに使われる。すなわち、図3に示すRTVは、室温でゴム状になるシリコーンを意味する。個別のライトガイド15は、通常、ポリメタクリル酸メチル(poly(methyl methacrylate:「PMMA」)から作られる。PMMAのライトガイド15は、第1のRTV34によってシンチレーター結晶素子のアレイである結晶素子アレイ30に連結される。ライトガイド15は、第2のRTV36によってPMT20に連結される。第1のRTV34および第2のRTV36は、同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。図3に例示する従来のPET検出器モジュール10では、結晶素子アレイ30やライトガイド15等は、トレイ26により取り囲まれる。結晶素子アレイ30は、患者又は被検体から放射されるガンマ線を受けて、ガンマ線を光に変換する。光は、次に、ライトガイド15を介してPMT20へ送られる。このように、PETスキャナのリング内に配置された患者又は他の被検体の中で発生したガンマ線は、最終的にシンチレーター結晶素子で光に変換され、その結果、発生した光は、PMT20により検出される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A. KUHN, et al. “DESIGN OF A LANTHANUM BROMIDE DETECTOR FOR TIME-OF-FLIGHT PET” Issued October, 2004, IEEE Transaction On Nuclear Science, Vol. 51, No. 5, Pages 2550-2557
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、効率的かつ実用的なライトガイドを簡易に構築することができるPET検出器モジュール、PETスキャナシステム及びPET検出器モジュール製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のPET検出器モジュールは、結晶素子アレイと、複数の光センサーと、透明接着剤とを備える。複数の光センサーは、前記結晶素子アレイを少なくとも部分的に網羅するように設けられ、前記結晶素子アレイから放射される光を受信する。透明接着剤は、前記結晶素子アレイと前記複数の光センサーとの間に設けられ、前記結晶素子のうちの少なくとも1つの結晶素子の表面から前記光センサーのうちの少なくとも1つの光センサーの表面に直接延在して、前記結晶素子のうちの1つから放射される前記光を前記複数の光センサーのうちの2つ以上に分布させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本開示の好適な実施形態の一例に係るPETスキャナの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すPETスキャナの正面図である。
【図3】図3は、従来のPET検出器モジュールの正面図を示す背景技術の図である。
【図4】図4は、本開示の実施形態の一例に係るPET検出器モジュールの正面図である。
【図5A】図5Aは、本開示の別の実施形態の一例に係るPET検出器モジュールの正面図(1)である。
【図5B】図5Bは、本開示の別の実施形態の一例に係るPET検出器モジュールの正面図(2)である。
【図6】図6は、図4に示すPET検出器モジュール並びに図5A及び図5Bに示すPET検出器モジュールの構成要素であるトレイに、シンチレータアレイセグメントと、シンチレータセグメントの間の反射材とを追加した斜視図である。
【図7】図7は、図6に示すトレイ壁を取り除いて明瞭にした斜視図である。
【図8】図8は、PET検出器モジュールの構築方法の一部を示すために、図7のトレイにスペーサを追加した図である。
【図9】図9は、PET検出器モジュールの構築において、光電子増倍管(Photomultipier Tube:PMT)を加えるステップの後の結果を例示した図である。
【図10】図10は、治具とオプションとして取り付けられる治具ブロックとを、図9に示す構造物に追加した図である。
【図11】図11は、図10に示したPET検出器モジュールの構築の後のステップでスペーサを取り外した結果を示す図である。
【図12】図12は、図11で部分的に完成された形状で描かれたPET検出器モジュールの構築の次のステップで透明な接着剤を加えた結果を表す図である。
【図13】図13は、部分的に完成されたPET検出器モジュールの正面図である。
【図14】図14は、次の製造ステップで、図13に示す部分的に完成されたPET検出器モジュールに上部反射材を加えた結果を示す図である。
【図15】図15は、周囲光を遮るために、更なる構成要素を加えた図14のPET検出器モジュールを示す図である。
【図16】図16は、本開示の好適な実施形態の一例に係るPET検出器モジュールの構築方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示する実施形態の一態様は、シンチレーター結晶を保持するモジュールの製造における複雑性及びコストの低減を提供する。この利点は、1つの結晶、又は、複数の結晶から複数の光センサーへ光を分布させるように作用する有効な構成要素、又は、唯一の構成要素として、透明接着剤を使用することにより達成される。この点に関して、透明接着剤の厚みは、透明接着剤の光分布特性に基づいて決定される。換言すると、本実施形態では、透明接着剤の厚みを設定して、複数のセンサーへの光分布を最適化する。
【0014】
通常、接着剤を使用して、PMTをシンチレーター又は複数のシンチレーターに取り付ける。PMT(又は、任意の構成要素)をシンチレーターに取り付けるために使用される接着剤の厚みは、一般的には、薄く保たれる。しかし、1つ、又は、複数のシンチレーターから複数のPMTに光を分布させるために、たとえ十分に厚く塗られても、透明な接着剤をライトガイドとして使用できることを、本発明者は、発見した。換言すると、透明接着剤は、「(i)PMTをシンチレーター結晶に貼付すること」、及び、「(ii)光を単数又は複数のシンチレーターから複数のPMTに分布させること」の2つの目的を果たすことができる。従来のように、PMTをシンチレーター結晶に単に貼付するためだけに接着剤を使用する場合、接着剤を節約するため、急速硬化を可能にするため、及び、強度を増加させるために、接着剤を望ましくは約0.5mm未満の厚みにする。一方、PMT及びシンチレーター結晶の大きさにもよるが、シンチレーター結晶とPMTとの間に配置された他の構成要素によって光が遮られない、又は、分断されない場合、本実施形態でライトガイドとしても用いることができる透明接着剤に約1mm以上の厚みを設けると、1つのシンチレーター結晶から複数のPMTに十分な光が分布される。更に、PMTの大きさ及び形状は、適切な光の分布に必須の厚みに影響を及ぼすので、PMTとシンチレーター結晶との間の透明接着剤の厚みは、PMTの底面の寸法の百分率として定義されても良い。例えば、透明接着剤の厚みを定義する百分率は、底面の半径の百分率、または底面の最大幅寸法の百分率として設定されても良い。
【0015】
開示する実施形態の別の態様は、シンチレーター結晶を保持するためのモジュールを提供することである。この態様は、場合によっては材料損失を最小にし、容易に保守できる比較的便利な配置を提供するために、従来のモジュールから特定の物理的構造物を削除することを含む。
【0016】
本明細書に記述した実施形態は、最大量の光をシンチレーター結晶から光センサーアレイに導くための新しい方式と装置とに関するものである。
【0017】
一実施形態では、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)検出器モジュールは、シンチレーター結晶素子アレイと、シンチレーター結晶素子アレイを少なくとも部分的に網羅するために配置された複数の光センサーとを含む。複数の光センサーは、シンチレーター結晶素子アレイから放射される光を受信するように構成される。透明接着剤は、シンチレーター結晶素子アレイと複数の光センサーとの間に配置される。透明接着剤は、シンチレーター結晶素子のうちの少なくとも1つの表面から光センサーのうちの少なくとも1つの表面に直接延在され、シンチレーター結晶素子から放射される光が複数の光センサーに分布されるように構成される。
【0018】
一例では、光センサーは、円形(又は、円筒形)であり、透明接着剤は、光センサーからシンチレーター結晶素子に延在する方向に測定した場合に、光センサーの半径の長さ(又は、光センサーの底面の半径の長さ)の特定の百分率であるように事前設定された厚みを有する。一例では、百分率は、少なくとも1つの光センサーの半径の長さ(又は、光センサーの底面の半径の長さ)の5%である。或いは、透明接着剤の厚みは、最大で、光センサーの底面の半径に設定される。すなわち、透明接着剤の厚みは、最高で、少なくとも1つの光センサーの底面の半径の100%に設定される。或いは、少なくとも1つの光センサーは、幅寸法を有し、透明接着剤の厚みは、光センサーからシンチレーター結晶素子に延在する方向に測定した場合に、少なくとも1つの光センサーの幅寸法の少なくとも10%に設定される。或いは、透明接着剤の厚みは、上述したように、少なくとも1つの光センサーから少なくとも1つのシンチレーター結晶素子へ延在する方向に測定した場合に、少なくとも1mmに設定される。
【0019】
また、一実施形態では、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)スキャナシステムは、円筒形の検出器リングを形成するために互いに隣接して配置された複数の検出器モジュールを含む。検出器モジュールのそれぞれは、シンチレーター結晶素子アレイと、シンチレーター結晶素子アレイを少なくとも部分的に網羅するように配置され、かつシンチレーター結晶素子アレイから放射される光を受信する複数の光センサーと、シンチレーター結晶素子アレイと複数の光センサーとの間に設けられた透明接着剤とを含む。透明接着剤は、シンチレーター結晶素子のうちの少なくとも1つのシンチレーター結晶素子の表面から光センサーのうちの少なくとも1つの光センサーの表面に透明な接着剤を直接延在され、シンチレーター結晶素子から放射される光が複数の光センサーに分布させるように構成される。この配置は、部品の構成を比較的単純な構成で実現して、一般的に、従来のPETスキャナシステムより、速くかつ確実に製造できる。以下では、シンチレーター結晶素子を結晶素子と記載し、シンチレーター結晶素子アレイを結晶素子アレイと記載する。
【0020】
本明細書で開示した別の実施形態は、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)検出器モジュールの製造方法を提供する。その方法は、(1)少なくとも1つの光センサーと結晶素子アレイとの間に間隙を形成するように、結晶素子アレイから離れた位置に少なくとも1つの光センサーを配置し、(2)流動可能な透明接着剤が、少なくとも1つの光センサーの表面から結晶素子アレイの表面に直接延在するように間隙に流動可能な透明接着剤を流し込む、ことを含む。
【0021】
本明細書で開示した別の実施形態は、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)検出器モジュールの製造方法を提供する。その方式は、(1)複数の結晶素子を準備し、(2)複数の結晶素子から所定の距離に複数の光センサーを配置し、(3)上記所定の距離を流動可能な透明接着剤で埋める、ことを含む。
【0022】
これらの方法は、一般的に、PET検出器モジュールを製造する従来の方法より安価かつ単純である。全体として、これらの方法は、従来のPET検出器製造方法より少ない部品数で済む。
【0023】
以下、添付図面を参照して、PET検出器モジュール、PETスキャナシステム及びPET検出器モジュール製造方法の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本開示の好適な実施形態の一例に係るPETスキャナの斜視図である。図1は、複数のPET検出器モジュールにより形成される開口空間内、すなわち、リング内に、患者、動物、又は、被検体を挿入するPETスキャナ1の一般的な配置を示している。
【0025】
図2は、図1に示すPETスキャナの正面図である。この図から、各PET検出器モジュール10が、患者または他の被検体をスキャンできる開放空間のまわりで、円周方向に設けられていることが明確に分かる。PET検出器モジュール10は、通常は、すべてリングの中心に向いている。リングの中心から任意のPET検出器モジュール10を通る半径によって定義される方向を、残りの図面では垂直方向として示す。
【0026】
図4は、本開示の実施形態の一例に係るPET検出器モジュールの正面図である。図4は、限定的ではない一実施形態に係るPET検出器モジュール10の一例を表す図である。図3に示した配置とは対照的に、図4に示すPMT20は、透明接着剤50上に直接配置される。透明接着剤50は、PMT20の表面と結晶素子アレイ30の表面とを直接連結する。なお、以下では、結晶素子アレイ30を結晶30と記載する。「直接連結」によって、上の記述が意味することは、PMT20のうちの少なくとも1つから少なくとも1つの結晶30までに一直線の見通し経路(line-of-sight pathway)があり、その見通し経路に沿って透明接着剤50のみが存在するということである。従って、図4に示す実施形態では、図3に示したPET検出器モジュール10の独立した(別々の)ライトガイド15を構成要素から省略している。上記の配列の利点の1つは、PET検出器モジュール10の構築が、かなり単純化されるということである。更に、いくつかの実施形態では、透明接着剤50は、容易に除去可能である。例えば、透明接着剤50は、シリコーンエラストマー(silicone elastomer)であっても良い。例えば、本明細書で開示する一実施形態では、透明接着剤50として、ダウコーニング社のシルガード184シリコーンエラストマー(Dow Corning and Sylgard 184 Silicone Elastomer)(登録商標)を使用する。別の例では、GE RTV615(登録商標)を含有する。本明細書で考察した実施形態で使用可能な透明な接着材の更なる例は、信越化学工業のKE−420(登録商標)である。本明細書で考察するいくつかの実施形態では、熱硬化性または紫外(Ultraviolet:UV)線硬化性の接着剤を使用する。開示された実施形態で使用可能な紫外(Ultraviolet:UV)線硬化性の透明な接着剤の一例は、ダイマックス社(Dymax)のOP−20(登録商標)である。他の透明な接着剤を透明接着剤50として使用可能である。
【0027】
従来のモジュールと対照的に、本明細書で考察するいくつかの実施形態の透明接着剤50は、光の大部分を複数のPMT20に導入又は分布するために使用される。従って、図3を用いて説明したライトガイド15のような独立したライトガイドの使用は、低減、又は、排除可能である。更に、除去可能な透明接着剤50を使用する場合、特に、電動工具を使用することなく接着剤を除去できる場合、保守のためにPMT20を容易に交換したり、PETスキャナ1から異なる動作特性を得たりすることが可能になる。
【0028】
光をPMTに分布させるために、すなわち、光を共有するために透明接着剤50を使用するためには、この目的及び機能に特化して選択した所定の厚みを、透明接着剤50が有することが有利である。一例では、光の適切な共有を得るために、透明接着剤50を少なくとも1ミリメートルの厚みで形成する。別の例では、透明接着剤50の厚みをPMT20の寸法に基づいて決定する。例えば、水平方向に、すなわち、図2で示した半径方向であるガンマ線の伝播方向に対して横方向に測定した場合、PMT20は、幅を有する。多くの場合、PMT20は、円形または円筒形であり、(図4で示す)水平方向で測定したPMTの幅は、直径である。本明細書で考察する一実施形態では、透明接着剤50の厚みは、透明接着剤50と接触している領域のPMT20の幅の10%以上である。別の例では、図2に示したPMT20の半径方向に測定した場合、透明接着剤50の厚みは、PMT20の半径の長さの5%以上である。本明細書で考察する一実施形態では、透明接着剤50の厚みは、PMT20の半径の長さの90%〜100%である。
【0029】
図5A及び図5Bは、本開示の別の実施形態の一例に係るPET検出器モジュールの正面図である。図5A及び図5Bは、治具(fixture)44が設置されている対になったPET検出器モジュール10を表す図である。治具44は、図5Aに例示するように、常設であっても良く、又は、図5Bに例示するように、仮設であっても良く、以下で考察するようにPET検出器モジュール10を製造するプロセスで使用される。図5Bに例示される場合では、治具44は、PET検出器モジュール10の製造過程で取り付けられ、その後、PET検出器モジュール10から、取り外される。更に、図5A及び図5Bでは、接着剤(glue)52を使って、PMT20をトレイ26に固定している。接着剤52は、常設であっても良く、又は、PET検出器モジュール10を完全に構築した後除去しても良い。一実施形態では、接着剤52は、透明接着剤50と同じ材料を含有する。なお、図4、図5A及び図5Bに例示するPET検出器モジュール10では、結晶30及び透明接着剤50を少なくとも部分的に取り囲むトレイ26が設けられる。
【0030】
図6は、図4に示すPET検出器モジュール並びに図5A及び図5Bに示すPET検出器モジュールの構成要素であるトレイに、シンチレータアレイセグメントと、シンチレータセグメントの間の反射材とを追加した斜視図である。図6は、トレイ壁26aに連結されたトレイ本体26bを含むトレイ26を表す図である。トレイ本体26b及びトレイ壁26aの両方、又は、一方は、ガンマ線に対して比較的透過性であるアルミニウムで構成され、例えば、1mm厚のアルミニウムで構成される。すなわち、本実施形態では、ガンマ線を一番吸収しない素材であり、かつ、PET検出器モジュール10に適度な機械的強度を提供できる素材であるアルミニウムで、トレイ26を構成する。ただし、本実施形態では、ガンマ線を吸収しない素材であり、かつ、PET検出器モジュール10に機械的強度を提供できる素材であるならば、アルミニウム以外の素材を用いてトレイ26を構成して良い。また、本実施形態では、トレイ26として、炭素繊維又は幾多のポリマー等の他の材料を使用してもよい。一般的には、トレイ壁26aを、ねじ、又は、他の着脱可能な手段によってトレイ本体26bに連結する。しかし、トレイ壁26aは、常設取り付けでも良い。トレイ壁26aをねじ付きねじ、磁石、留め金、スナップ金具、又は、他の類似デバイスなどを介して着脱可能にする利点の1つは、PET検出器モジュール10の構築を簡単にするために、トレイ壁26aを容易に取り外せることである。この構築については、以下で説明する。図6で示すように、結晶30は、トレイ26の底に取り付けられる。また、図6に示すように、任意の反射材要素である反射材28を、結晶30の間に配置して、垂直方向に延在しても良い。また、別の実施形態では、反射材28を結晶30の上部に全面的に載置する。すなわち、図4並びに図5A及び図5Bに示すPET検出器モジュール10では、格子状に配列される直方体の結晶30それぞれは、反射材により仕切られている。本実施形態では、更に、結晶30のアレイを、複数の結晶30で構成されるブロック単位に分けるために、少なくとも2つの結晶30の間に配置され、少なくとも2つの結晶30から複数のPMT20に向かって、少なくとも部分的に透明接着剤50を介して延在する少なくとも1つの反射材28を設置しても良い。
【0031】
図7は、図6に示すトレイ壁を取り除いて明瞭にした斜視図である。また、図16は、本開示の好適な実施形態の一例に係るPET検出器モジュールの構築方法の一例を示すフローチャートである。図7は、トレイ壁26aを完全に取り外したトレイ26を表す図である。図7で示すように、トレイ本体26bは、通常、トレイ26の両端部を形成する少なくとも2つの独立した部品からなり、トレイ壁26aを介して連結される。PET検出器モジュール10の組み立てプロセスにおける第1のステップは、シンチレーターの結晶30と反射材28とをトレイ26内に配置することである(図16のステップS000「シンチレーターアレイ及び反射材をトレイ内に配置する」を参照)。
【0032】
図8は、PET検出器モジュールの構築方法の一部を示すために、図7のトレイにスペーサを追加した図である。図8に示す配列から説明すると、PET検出器モジュール10の組み立ては、結晶30の上部にスペーサ60を追加することを含む(図16のステップS100「スペーサをトレイに追加する」を参照)。スペーサ60は、PMT20を受けて支持するために配置される。図8に示すように、スペーサ60は、PMT20の形状に合致するように構成された形状を有するくぼみ、又は、空洞を含むと良い。なお、図8に示す一例では、PMT20を支持するために、3つのスペーサ60が配置されている。しかし、本実施形態は、複数のPMT20を支持するために配置されるスペーサの数は、1つである場合や、2つである場合、4つ以上である場合であっても良い。すなわち、本実施形態では、複数のPMT20のPMT20を支持するために用いられるスペーサ60の数は、1つのPET検出器モジュール当たり、1つ以上となる。なお、スペーサ60は、後述する間隙を形成するためにも用いられる。
【0033】
図8で図示した実施形態では、PMT20の長手方向の軸線がリングの半径の線と合致するように、PMT20を垂直方向に保持するためにスペーサ60を配置する。ただし、本実施形態は、PMT20の軸線が、リングの半径と非平行になるように、スペーサ60によってPMTを「傾斜」させる場合であっても良い。
【0034】
図9は、PET検出器モジュールの構築において、光電子増倍管(Photomultipier Tube:PMT)を加えるステップの後の結果を例示した図である。図9は、スペーサ60の上部に配置したPMT20を示している(図16のステップS200「PMTをスペーサ上に取り付ける」を参照)。これにより、PMT20と結晶30との間に間隙(gap)が作り出される。この間隙は、スペーサ60により維持される。リングの半径と平行する方向で測定した場合、間隙は、一方のPMT20から他方のPMT20まで異なっても良い。例えば、第1の大きさのPMT20の場合、間隙は、第1の距離(高さ)であり、第1の大きさとは異なる第2の大きさのPMT20の場合、間隙は、第1の距離とは異なる第2の距離であっても良い。図9では、大きさの異なる2種類のPMT20がスペーサ60の上に配置されている。図8及び図9に例示するスペーサ60は、大きい方のPMT20の底面と結晶30との間の間隙が、小さい方のPMT20の底面と結晶30との間の間隙より長くなるように設計されている。
【0035】
図10は、治具とオプションとして取り付けられる治具ブロックとを、図9に示す構造物に追加した図である。図10は、PET検出器モジュール10の構築プロセスにおいて、スペーサ60を取り外せるように、治具44を追加して、PMT20を所定位置に保持する次のステップの結果を示している(図16のステップS300「治具を追加してPMTを所定の位置に固定する」及びステップS400「スペーサを取り外す」を参照)。図10では、オプションである治具ブロック46が、治具44の内部で、PMT20を、更に固定する。オプションである治具ブロック46は、PMT20の外面を収容する輪郭又は形状を有することが好適である。
【0036】
図11は、図10に示したPET検出器モジュールの構築の後のステップでスペーサを取り外した結果を示す図である。次に、図11で示すように、スペーサ60を取り外す(図16のステップS400「スペーサを取り外す」を参照)。スペーサ60を取り外すために、治具44は、一時的に取り外され、その後、再配置される。すなわち、スペーサ60を取り外すために、複数のPMT20は、治具44とともに、一旦取り外され、スペーサ60を取り外された後に、治具44とともに、トレイ26に再配置される。治具44及びオプションである治具ブロック46(存在する場合)は、PMT20の向きと、PMT20と結晶30との間の間隙とを保持する。なお、上記の製造方法において、間隙を形成する方法は、あくまでも一例であり、本実施形態は、製造用に作製された標準トレイを用いて間隙を形成する場合であっても良い。具体的には、標準トレイは、トレイ20と同じサイズであり、結晶30と同じサイズの構造物が設置される。そして、結晶30を模擬した構造物の上に、上述したスペーサ60が配置される。そして、スペーサ60の上に複数のPMT20が配置され、これら複数のPMT20が治具44により固定される。そして、治具44により位置決めされた複数のPMT20が、治具44とともに標準トレイから取り外され、結晶30(又は、結晶30及び反射材28)が配置されたトレイ26に取り付けられる。これにより、結晶30と複数のPMT20との間には、所望の距離の間隙が形成される。かかる場合、スペーサ60は、標準トレイに残された状態となり、この状態で、別のPET検出器モジュール10の製造に用いることができる。
【0037】
次に、透明接着剤50が、加えられる(図16のステップS500「PMTを取り囲む領域に流動可能な接着剤を加える」を参照)。一般的に、透明な接着剤は、硬化前は、液体、又は、半液体である。透明接着剤50が、液体形状である場合、トレイ壁26aは、透明接着剤50を所定の位置に保持する際に役立つ。上記のように、透明接着剤50は、常温硬化性、熱硬化性、または紫外(Ultraviolet:UV)線硬化性であることが好適である。図12は、図11で部分的に完成された形状で描かれたPET検出器モジュールの構築の次のステップで透明な接着剤を加えた結果を表す図である。図12に例示するように、図11においてスペーサ60が占めていた領域に、流動可能な透明接着剤50が吐出される。
【0038】
すなわち、本実施形態に係るPET検出器モジュール10の製造方法では、上記の間隙を形成するようにPMT20を配置するためのスペーサ60が1つ以上挿入される。そして、スペーサ60を挿入した後、流動可能な透明接着剤50を間隙に吐出する前に、PMT20を治具44により固定する。そして、PMT20を固定した後、スペーサ60を取り外す。そして、スペーサ60を取り外した後、スペーサ60が以前占めていた領域に流動可能な透明接着剤50を吐出する。なお、治具44は、例えば、流動可能な透明接着剤50が硬化した後、取り外される。或いは、治具44は、例えば、PET検出器モジュール10の耐用年数の間、当該PET検出器モジュール10を機械的に支持するために所定の位置(取り付けられた位置)に残される場合であっても良い。かかる場合、治具44は、PMT20に接着剤により固定されても良い。
【0039】
図13は、部分的に完成されたPET検出器モジュールの正面図である。図13は、図12に示した配列を側面から図示した図である。図13に例示するように、透明接着剤50は、複数のPMT20に対面する結晶30の表面の全てを覆うように形成される。これにより、結晶素子アレイを形成する結晶30の全てからの光は、透明接着剤50によって複数のPMT20内の2つ以上の複数のPMT20に分散される。
【0040】
図14は、次の製造ステップで、図13に示す部分的に完成されたPET検出器モジュールに上部反射材を加えた結果を示す図である。図14では、次のステップにおいて、上部反射材68が透明接着剤50の上部に取り付けるオプションのステップを示している(図16のステップS600「流動可能な接着剤が固まる前か後に、流動可能な接着剤上に上部反射材を追加する」を参照)。上部反射材68は、ガンマ線と結晶30との相互作用によって創出される光の収集効率をより高めるので、検出器の性能が向上する。
【0041】
図15は、周囲光を遮るために、更なる構成要素を加えた図14のPET検出器モジュールを示す図である。図15は、図14に示す構造上で実行する次のステップの結果を図示した図である。図15で示すプロセスでは、不透明接着剤70を上部反射材68の上部に追加する(図16のステップS700「上部反射材上に流動可能な不透明材料の層を追加する」を参照)。一般的に、不透明接着剤70は、塗布の際は液体であり、PMT20の間に流れ込み、それによって、PET検出器モジュール10の外周光から透明接着剤50を密封する。すなわち、不透明材料としての不透明接着剤70は、透明接着剤50における結晶30とは反対側に配置され、周辺光が透明接着剤50に達しないように遮るために塗布される。なお、不透明材料としての不透明接着剤70が、十分の遮光性を有するものであるならば、上部反射材68をPET検出器モジュール10に加えるステップは省略することができる。かかる場合、不透明接着剤70は、直接、透明接着剤50の上に流し込まれる。
【0042】
次に、完成したPET検出器モジュール10は、通常、PETスキャナ1に組み込まれる(図16のステップS800「PETスキャナに取り付ける」を参照)。
【0043】
図16は、本明細書で開示した一実施形態によるPETモジュールを製造するためのステップS000〜S800を含むフローチャートである。ステップS000〜S800については、前図を説明するに際して、論述している。本実施形態は、ステップS000〜S800を、全て、図16に記載された順に連続して実行したり、厳密に実行したりする必要はない。本実施形態は、更に、他のステップを必要に応じて加えてもよい。例えば、PMT20の表面にUV硬化、熱硬化、真空適用、又は、予備湿潤を実行してもよい。透明接着剤50から泡を除去するためには、透明接着剤50をPMT20と結晶30との間に吐出した後、しばらく真空圧の下に透明接着剤50を置くと良い。すなわち、本実施形態は、スペーサ60が以前占めていた領域に流動可能な透明接着剤50を吐出した後に、流動可能な透明接着剤の上方の空気圧を、真空引きにより、減少させても良い。そのように泡を除去すると、透明接着剤50の光分配作用の均一性及び光分配作用の効率が向上する。
【0044】
更に泡を減らすためには、PMT20の表面と結晶30の表面との間の間隙を埋める前に、PMT20の表面を予備湿潤することが有益である。すなわち、本実施形態は、スペーサ60が以前占めていた領域に流動可能な透明接着剤50を吐出する前に、少なくとも1つのPMT20を流動可能な透明接着剤50で予め湿潤しておいても良い。予備湿潤を行なうことで、透明接着剤50を円滑に流し込むことができ、透明接着剤50に泡が入り込むことを回避することができる。予備湿潤プロセスは、透明接着剤50にPMT20を浸す、透明接着剤50をPMT20の表面にはけで塗る、透明接着剤50を噴霧する、又は、表面を予備湿潤する他の周知の方法により実行できる。
【0045】
なお、本実施形態では、PET用の検出器モジュールを、ライトガイドの代わりに透明接着剤50を用いて製造する場合について説明した。しかし、本実施形態で説明した検出器モジュールの製造方法は、シングルフォトンエミッションCT(SPECT: Single Photon Emission computed Tomography)用の検出器モジュールを製造する場合にも適用可能である。すなわち、上記の実施形態で説明した検出器モジュールの製造方法は、シンチレーター結晶及び光センサーを用いて検出を行なう検出器モジュール全てに適用することができる。
【0046】
以上、説明したとおり本実施形態によれば、効率的かつ実用的なライトガイドを簡易に構築することができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 PETスキャナ
10 PET検出器モジュール
20 PMT
26 トレイ
26a トレイ壁
26b トレイ本体
28 反射材
30 結晶(結晶素子アレイ)
44 治具
46 治具ブロック
50 透明接着剤
52 接着剤(glue)
60 スペーサ
70 不透明接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶素子アレイと、
前記結晶素子アレイを少なくとも部分的に網羅するように設けられ、前記結晶素子アレイから放射される光を受信する複数の光センサーと、
前記結晶素子アレイと前記複数の光センサーとの間に設けられ、前記結晶素子のうちの少なくとも1つの結晶素子の表面から前記光センサーのうちの少なくとも1つの光センサーの表面に直接延在して、前記結晶素子のうちの1つから放射される前記光を前記複数の光センサーのうちの2つ以上に分布させる透明接着剤と、
を備える、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)検出器モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光センサーは、幅寸法を有し、
前記透明接着剤は、前記少なくとも1つの光センサーから前記少なくとも1つの結晶素子へ延在する方向に測定した場合に、前記少なくとも1つの光センサーの1つの幅寸法の少なくとも10%の厚みを有する、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光センサーは、円筒形であり、
前記透明接着剤は、前記少なくとも1つの光センサーから前記少なくとも1つの結晶素子へ延在する方向に測定した場合に、前記少なくとも1つの光センサーの1つの底面の半径の少なくとも5%の厚みを有する、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項4】
前記透明接着剤の厚みは、最大で、前記少なくとも1つの光センサーの前記底面の前記半径である、請求項3に記載のPET検出器モジュール。
【請求項5】
前記透明接着剤は、前記少なくとも1つの光センサーから前記少なくとも1つの結晶素子へ延在する方向に測定した場合に、少なくとも1mmの厚みを有する、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項6】
前記シンチレータ結晶及び前記透明接着剤を少なくとも部分的に取り囲むトレイ、
を更に備える、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項7】
前記トレイは、ガンマ線を吸収しない素材であり、かつ、機械的強度を提供できる素材で構成される、請求項6に記載のPET検出器モジュール。
【請求項8】
少なくとも2つの結晶素子の間に配置され、前記少なくとも2つの結晶素子から前記複数の光センサーに向かって、少なくとも部分的に前記透明接着剤を介して延在する少なくとも1つの反射材要素、
を更に備える、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項9】
前記透明接着剤における前記結晶素子とは反対側に配置され、周辺光が前記透明接着剤に達しないように遮る不透明材料、
を更に備える、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項10】
前記不透明材料は、不透明接着剤である、請求項9に記載のPET検出器モジュール。
【請求項11】
前記透明接着剤は、前記複数の光センサーに対面する前記結晶素子アレイの表面の全てを覆う、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項12】
前記結晶素子アレイの前記結晶素子の全てからの光は、前記透明接着剤によって前記複数の光センサー内の複数の光センサーに分散される、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項13】
円筒形の検出器リングを形成するために互いに隣接して設けられた複数の検出器モジュールの各検出器モジュールが、
結晶素子アレイと、
前記結晶素子アレイを少なくとも部分的に網羅するように設けられ、前記結晶素子アレイから放射される光を受信する複数の光センサーと、
前記結晶素子アレイと前記複数の光センサーとの間に設けられ、前記結晶素子のうちの少なくとも1つの結晶素子の表面から前記光センサーのうちの少なくとも1つの光センサーの表面に直接延在して、前記結晶素子のうちの1つから放射される前記光を前記複数の光センサーのうちの2つ以上に分布させる透明接着剤と、
を備える、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)スキャナシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの光センサーと結晶素子アレイとの間に間隙を形成するように、結晶素子アレイから離れた位置に前記少なくとも1つの光センサーを配置し、
流動可能な透明接着剤が前記少なくとも1つの光センサーの表面から前記結晶素子アレイの表面に直接延在するように、前記流動可能な透明接着剤を前記間隙に吐出する、
ことを含む、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)検出器モジュール製造方法。
【請求項15】
前記間隙を保持するために、前記流動可能な透明接着剤を前記間隙に吐出する前に、前記少なくとも1つの光センサーを治具により固定する、
ことを更に含む、請求項14に記載のPET検出器モジュール製造方法。
【請求項16】
前記治具は、前記流動可能な透明接着剤が硬化した後、取り外される、請求項15に記載のPET検出器モジュール製造方法。
【請求項17】
前記治具は、前記PET検出器モジュールの耐用年数の間、当該PET検出器モジュールを機械的に支持するために所定の位置に残される、請求項15に記載のPET検出器モジュール製造方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの光センサーと前記結晶素子アレイとの間に前記間隙を形成するために、前記少なくとも1つの光センサーと前記結晶素子アレイとの間に少なくとも1つのスペーサを挿入する、
ことを更に含む、請求項14に記載のPET検出器モジュール製造方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのスペーサを挿入した後、前記少なくとも1つの光センサーを固定し、前記少なくとも1つの光センサーを固定した後、前記少なくとも1つのスペーサを取り外す、
ことを更に含む、請求項18に記載のPET検出器モジュール製造方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのスペーサを取り外した後、前記少なくとも1つのスペーサが以前占めていた領域に前記流動可能な透明接着剤を吐出する、
ことを更に含む、請求項19に記載のPET検出器モジュール製造方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのスペーサが以前占めていた領域に前記流動可能な透明接着剤を吐出する前に、前記少なくとも1つの光センサーを前記流動可能な透明接着剤で予め湿潤する、
ことを更に含む、請求項20に記載のPET検出器モジュール製造方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのスペーサが以前占めていた前記領域に前記流動可能な透明接着剤を吐出した後に、前記流動可能な透明接着剤の上方の空気圧を減少させる、
ことを更に含む、請求項20に記載のPET検出器モジュール製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−251996(P2012−251996A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100690(P2012−100690)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】