説明

ポジトロンCT装置

【課題】コストを抑えつつ、空間分解能を向上させたポジトロンCT装置を提供する。
【解決手段】隣り合った複数個の検出素子が同時にガンマ線を検出した場合、それらの検出結果である入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、それらの検出素子の各通過距離が比率に一致するガンマ線の軌跡とそれら検出素子の境界との交点を通過位置として算出し、算出された通過位置を通る軌跡を投影方向として逆投影処理する。通過位置の算出としては、同時にガンマ線を検出した隣り合った複数個の検出素子が検出したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出して、これら検出素子の境界上であって検出素子を深さ方向に比率で分割した点を通過位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内の放射性同位元素から放射されるガンマ線を検出するポジトロンCT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロンCT装置は、被検体内の放射性同位元素から放射されるガンマ線を検出して画像を作成する。放射性同位元素としてフルオロデオキシグルコース等のポジトロン放射核種を被検体に投与し、被検体内の生体物質等を標識させ、これをトレーサとして用いる。生理学的或いは生化学的な機能が放射性同位元素の濃度分布からデータとして得られる。このデータは、2次元状又は3次元状に配置された画像として可視化される。
【0003】
ポジトロンCT装置は、陽電子が自由電子と結合して消滅する際に180°対向方向に放射されるガンマ線のペアを検出することでその放射方向を通る軌跡上に放射性同位元素が存在するものとして濃度分布を示す画像データを再構成する。これにより、操作者は、外科的手段によることなく被検体内部の病変部、血流量、脂肪酸代謝量等を確認することができる。
【0004】
図9にポジトロンCT装置の検出器の構成を示す。検出器は、リング状に並べて配される。この検出器には、ガンマ線を検出する複数の検出素子100がリング内周側に並べて配される。被検体P内の放射性同位元素の濃度分布の画像は、二カ所の検出素子で同一タイミングで検出したガンマ線のペアを基に、この二カ所の検出素子100を通る軌跡上に放射性同位元素が存在するものと仮定して作成する。各検出素子にはその位置情報が付与され、ペアのガンマ線を検出した両検出素子100の位置情報が示す位置を結んだ線上をガンマ線の放射軌跡として逆投影処理している。
【0005】
従って、画像の空間分解能は、検出素子100の大きさに依存する。つまり、ガンマ線のペアを検出した両検出素子をそのガンマ線の放射方向に投影した投影帯Bを考える。この投影帯Bの何れかに存在する放射性同位元素から放射されるガンマ線が両検出素子100に入射した場合、その投影帯Bの何れから放射されたかは特定できないため、この投影帯Bの幅が画像の空間分解能を決定する。更に、通常、検出素子100は、検出効率を高めるため深さ方向に30mm乃至40mm程度の厚みを有しており、検出素子100に対して斜めにガンマ線が入射すると、その結果得られる空間分解能は更に低下してしまう。
【0006】
そこで、この空間分解能を高めるために、近年では、図10に示すDOI(Depth of Interaction)検出器をリング状に並べたポジトロンCT装置が提案されている(例えば、「特許文献1」、「非特許文献1」参照。)。
【0007】
DOI検出器は、リングの半径方向を深さ方向とすると、検出素子200をこの深さ方向にも複数段積み上げて有する。従って、このポジトロンCT装置では、投影帯Bは線源周囲に限定され、空間分解能が向上する。
【0008】
しかし、このようにDOI検出器は、検出素子200を深さ方向へ複数段配しているためにコストがかかるといった問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−090979号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「DOI測定装置」http://www.nirs.go.jp/usr/medical-imaging/ja/study/jPET_D4_2006/p87_90.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コストを抑えつつ、空間分解能を向上させたポジトロンCT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、被検体内の放射性同位元素から放出されるガンマ線の検出結果に基づき画像を生成するポジトロンCT装置であって、入射される前記ガンマ線を検出する複数の検出素子を有し、前記被検体を囲んでリング状に並べて配置された検出器と、隣り合った複数個の前記検出素子が同時にガンマ線を検出した検出結果に基づき、前記ガンマ線の通過位置を算出する位置算出手段と、前記算出された通過位置を通る軌跡を投影方向として逆投影処理することで、前記被検体内の前記放射性同位元素の濃度分布である前記画像を再構成する再構成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0013】
前記位置算出手段は、隣り合った2個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、それらの検出素子内を通過する各通過距離が前記比率に一致する前記ガンマ線の軌跡と前記隣り合った2個の検出素子の境界との交点を算出し、この交点を前記通過位置とするようにしてもよい。
【0014】
前記位置算出手段は、隣り合った3個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、それらの検出素子内を通過する各通過距離が前記比率に一致する前記ガンマ線の軌跡と前記隣り合った3個の検出素子の各境界との交点を算出し、この交点を前記通過位置とするようにしてもよい。
【0015】
前記位置算出手段は、隣り合った複数個の前記検出素子と同時に前記ガンマ線を検出した他の前記検出素子の位置に基づいて、前記隣り合った複数個の前記検出素子が検出した前記ガンマ線の入射方向を略判別し、前記略判別した入射方向と一致する前記ガンマ線の前記軌跡に基づき前記通過位置を算出するようにしてもよい。
【0016】
前記位置算出手段は、隣り合った2個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、前記隣り合った2個の検出素子の境界上であって前記検出素子を深さ方向に前記比率で分割した点を前記通過位置とするようにしてもよい。
【0017】
前記位置算出手段は、隣り合った3個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、前記隣り合った3個の検出素子の各境界上の各1点であって前記検出素子を深さ方向に前記比率で分点をそれぞれ前記通過位置とするようにしてもよい。
【0018】
前記位置算出手段は、隣り合った2又は3個の前記検出素子と同時に前記ガンマ線を検出した他の前記検出素子の位置に基づいて、前記隣り合った2又は3個の前記検出素子が検出した前記ガンマ線の入射方向を略判別し、前記検出素子の前記深さ方向を深くなる方向に、[前記略判別された入射方向の手前側の前記検出素子の波高]:[前記略判別された入射方向の奥側の前記検出素子の波高]の比率で分割することで、前記通過位置を算出するようにしてもよい。
【0019】
前記検出素子の深さ方向の厚みは10mm以下であるようにしてもよい。
【0020】
前記検出素子は、入射される前記ガンマ線をそのエネルギーに応じた光量の光に変換するシンチレータ素子であり、前記検出器は、各検出素子に対応して光学的に結合され、各検出素子が出力した光をその光量に応じてそれぞれ電気信号に変換する位置感応型光電子増倍管を更に有し、前記電気信号を前記検出結果として出力するようにしてもよい。
【0021】
前記位置算出手段は、隣り合った複数個の前記検出素子で同時に検出した前記ガンマ線のエネルギーの総和が、コンプトンエッジ以上のエネルギーに相当するときに、これら検出素子の検出結果から前記通過位置を算出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、隣り合った複数個の検出素子が同時にガンマ線を検出した検出結果に基づき、ガンマ線の通過位置を算出するため、DOI検出器と比べてコストを抑えつつも、従来のポジトロンCT装置より空間分解能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ポジトロンCT装置の構成を示す。
【図2】ポジトロンCT装置が備える検出器の構成を示す。
【図3】1個の検出素子のみにガンマ線が入射した場合の検出態様を示す。
【図4】隣り合った2個の検出素子を通過するようにガンマ線が入射した場合の検出態様を示す。
【図5】隣り合った2個の検出素子を通過するようにガンマ線が入射した場合の第2の検出態様を示す。
【図6】隣り合った3個の検出素子を通過するようにガンマ線が入射した場合の検出態様を示す。
【図7】ポジトロンCT装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】シングル情報のリストを示す。
【図9】従来のポジトロンCT装置の検出器を示す。
【図10】DOI検出器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るポジトロンCT装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
図1に示すポジトロンCT装置1は、被検体P内の放射性同位元素から放出されるガンマ線を検出し、被検体P内の画像を作成する装置である。放射性同位元素としては、フルオロデオキシグルコース等のポジトロン放射核種が利用される。
【0026】
このポジトロンCT装置1は、ポジトロン放射核種から放出された陽電子が近傍の自由電子と結合して消滅する際に180°対向方向に放射される511keVのガンマ線を検出し、同じタイミングで入射したものを弁別することでこれらガンマ線の入射方向を決定して、その入射方向の軌跡上に放射性同位元素が存在することを用いて逆投影処理により画像を再構成する。入射前にコンプトン散乱を経たガンマ線は、当初の放射方向と入射方向とが異なる場合があり、入射タイミングの他、コンプトンエッジ以上のエネルギーを有するガンマ線を弁別することでも入射方向決定の精度を高めている。
【0027】
ポジトロンCT装置1が生成する画像は、ガンマ線の入射方向が通る軌跡の重なり度合いを画素値として入射データを配したデータであり、被検体P内の放射性同位元素の濃度分布が表わされる。
【0028】
このポジトロンCT装置1は、複数の検出器10と寝台20とタイムスタンプ部30とシングル情報収集部40と同時判定部50とエネルギー弁別部60と位置算出部70とコインシデンス情報収集部80と画像再構成部90とを備える。
【0029】
複数の検出器10は、リング状に並べて配される。各検出器10は、図2に示すように、入射したガンマ線をそのエネルギーに応じた光量の光に変換する検出素子11をリング内周側に複数並べて配するピクセル型の検出器である。
【0030】
検出素子11は、4mm×4mmや1.6mm×1.6mm等の面積を有し、その深さ方向の厚みが10mm以下のシンチレータである。シンチレータとしては、LSO(LuSiO)やBGO(BiGe12)等の511keVに対する検出効率が高く且つ潮解性がない結晶が採用される。検出素子11の素子間には、光を遮断する板状のリフレクタ12で区切られている。
【0031】
更に、各検出器10は、検出素子11の背面にライトガイド13を介在させて光電子増倍管(PMT)14を配する。光電子増倍管14は、光をその光量に応じた電気信号に変換する。この光電子増倍管14は、位置感応型光電子増倍管であり、各検出素子11が出力した光をその光量に応じてそれぞれ電気信号に変換する。
【0032】
この検出器10は、検出素子11に入射したガンマ線をそのエネルギーに応じた光量の波長420nmにピークを持つ光に変換し、その光を光電子増倍管14で光量に応じた電気信号に変換して出力する。この電気信号には、入射した検出素子11の位置を示す位置情報と検出素子11で光に変換されたガンマ線のエネルギーを示す電気信号の波高であるエネルギー情報が含まれる。
【0033】
寝台20には、被検体Pが載置され、検出器10のリングに挿入される。被検体Pには、予め放射性同位元素が投与されている。即ち、検出器10は、被検体Pをリング状に囲み、この被検体P内から放射されたガンマ線を検出する。
【0034】
タイムスタンプ部30は、タイマーを有し、検出器10から出力された電気信号について、いつ検出されたものであるかを示す検出タイミング情報を刻印する。
【0035】
シングル情報収集部40は、ガンマ線の検出開始から終了までの全てのシングル情報を記憶するメモリを含む。シングル情報は、検出器10とタイムスタンプ部30から出力された電気信号をアナログ/デジタル変換器を介してデジタル化したデータである。つまり、シングル情報は、入射したガンマ線のエネルギー情報、検出した検出素子11の存在位置を示す位置情報、及び検出タイミング情報が含まれる。ガンマ線のエネルギー情報は、そのエネルギーを示す波高値eを10ビット等のデジタルの波高値eに変換されている。
【0036】
同時判定部50は、検出タイミングが同時であるシングル情報を選択して、その選択されたシングル情報のグループをエネルギー弁別部60に出力する。同時とは、検出タイミング情報が示すタイミングの時間差が例えば10ns程度に収まる場合が該当する。同時判定部50は、所定の時間差を示すタイミングウィンドウを予め保持しており、このタイミングウィンドウ内に収まるシングル情報のグループをエネルギー弁別部60に出力する。
【0037】
この同時判定部50で弁別されるシングル情報のグループには、ペアのガンマ線のそれぞれ一方が入射した対向する両検出素子11のガンマ線検出によって生成されたシングル情報の他、ガンマ線が隣り合った複数の検出素子11を横切り、その軌跡L上で幾つかの光電効果、コンプトン散乱、及び電子対生成が発生することによるそれら検出素子11の個々のガンマ線検出によって生成された複数のシングル情報も含まれる。
【0038】
エネルギー弁別部60は、検出素子11に入射する前のコンプトン散乱を経たガンマ線を検出した結果であるシングル情報を含むグループを除き、それ以外のシングル情報のグループを位置算出部70に出力する。
【0039】
このエネルギー弁別部60は、所定範囲のエネルギー範囲情報を予め保持している。このエネルギー範囲情報は、コンプトンエッジ以上、且つ511keVを含む範囲を有する。
【0040】
同一検出器10において1個の検出素子11のみがガンマ線を検出している場合は、エネルギー弁別部60は、この検出素子11の検出結果であるシングル情報のエネルギー情報がこのエネルギー範囲情報に収まるか判定する。
【0041】
同一検出器10において隣り合った複数個の検出素子11が同時にガンマ線を検出している場合には、エネルギー弁別部60は、それら検出素子11の検出結果であるシングル情報に含まれるエネルギー情報の総計がエネルギー範囲情報に収まるか判定する。隣り合った複数個の検出素子11内で生じた全ての光電効果、コンプトン散乱、及び電子対生成で検出されたガンマ線のエネルギーの総計がコンプトンエッジ以上であれば、検出器10に入射する前にコンプトン散乱が生じた結果ではないからである。同一検出器10において隣り合った複数個の検出素子11が同時にガンマ線を検出している場合とは、ガンマ線の軌跡Lが複数個の検出素子11を横切る場合が該当する。
【0042】
具体的には、エネルギー弁別部60は、位置情報が隣り合っているシングル情報のエネルギー情報の波高値eをそれぞれ総計し、それら各総計が何れもエネルギー範囲情報に収まるか判定する。一のグループについて全ての判定結果がエネルギー範囲情報に収まるものであれば、位置算出部70にそのシングル情報のグループを出力する。
【0043】
位置算出部70は、180°対向方向に放射されたペアのガンマ線の各通過位置を算出する。同一検出器10内において隣り合った複数個の検出素子11が同時にガンマ線を検出した場合、位置算出部70は、これら検出素子11の位置情報とエネルギー情報を用いて通過位置を算出する。同一検出器10内において隣り合った複数個の検出素子11が同時にガンマ線を検出した場合とは、シングル情報の同一グループに隣り合った位置情報を有する複数のシングル情報が存在する場合である。
【0044】
図3乃至図6に位置算出部70の通過位置算出の概念をそれぞれの場合に応じて示す。図3は、同一検出器10内で1個の検出素子11のみにガンマ線が入射した場合を示し、図4は、同一検出器10内で隣り合った2個の検出素子11を通過するようにガンマ線が入射した場合を示し、図5は、図4におけるガンマ線の入射方向とは逆であるが、それぞれの検出素子11の検出結果であるエネルギー情報が同一である場合を示し、図6は、同一検出器10内で隣り合った3個の検出素子11を通過するようにガンマ線が入射した場合を示す。
【0045】
まず、図3に示すように、同一検出器10内で1個の検出素子11のみにガンマ線が入射した場合、即ち同一シングル情報グループにそのシングル情報の位置情報と隣り合う関係にある位置情報を有するシングル情報がない場合を説明する。
【0046】
この場合、位置算出部70は、このシングル情報の位置情報に対応して予め保持している通過位置情報と、このシングル情報のエネルギー情報と検出タイミング情報とを合わせた新たなシングル情報を生成する。この予め保持している通過位置情報は、例えば、検出した検出素子11の中心座標である。
【0047】
次に、図4に示すように、同一検出器10内で隣り合う2個の検出素子11にガンマ線が同時に入射した場合、即ち同一シングル情報グループにそのシングル情報の位置情報と隣り合う関係にある位置情報を有するシングル情報が一つ存在する場合の通過位置算出を説明する。
【0048】
この場合、位置算出部70は、隣り合う2個の検出素子11の検出結果であるエネルギー情報の波高値eの比率を算出し、隣り合う2個の検出素子11を横断するようにガンマ線が通過したときのそれぞれの通過距離が比率に一致する軌跡Lを求め、この軌跡Lと隣り合った2個の検出素子11の境界との交点(分割点)Jを通過位置とする。ガンマ線の入射方向に沿って各点で同一の確率で光電効果、コンプトン散乱の前方散乱、及び電子対生成が発生すれば、エネルギー情報の波高値は通過距離に比例するためである。そして、ガンマ線は、どのような角度で入射しようとも、この通過位置を通過するからである。
【0049】
具体的には、位置算出部70は、予め、隣り合う2個の検出素子11の境界上端及び境界下端の座標情報を保持している。位置算出部70は、両エネルギー情報の波高値eの比率を算出した後、算出した比率でこの座標情報で示される両端で挟まれた線分を分割し、分割点Jの座標情報を求める。そして、この分割点Jの座標情報を通過位置情報、両エネルギー情報の総和を新たなエネルギー情報、及び両シングル情報の検出タイミング情報のいずれかを合わせた新たなシングル情報を生成する。
【0050】
但し、図4及び図5に示すように、隣り合う2個の検出素子11へ異なる方向からガンマ線が入射しても出力されるエネルギー情報が同一となる場合がある。そのため、位置算出部70は、分割点Jの座標情報の算出前に、ペアのガンマ線の他方を検出した検出素子11の位置情報を用いて、隣り合う2個の検出素子11に対するガンマ線の入射方向を概略判別する。
【0051】
具体的には、位置算出部70は、ペアのガンマ線の他方を検出したことにより生成されたシングル情報に含まれる位置情報が、隣り合う2個の検出素子11の位置情報とリング中心を通って対向する検出素子11を挟んで、どちら側に含まれるかによって分割における比率の適用態様を選択する。比率の適用態様とは、境界上端からa:bで分割するか、b:aで分割するかである。どちら側に含まれるかは、例えば、検出素子11に付される位置情報を並び順に応じたものとしておき、隣り合う2個の検出素子11と対向関係に該当する検出素子11の位置情報と、ペアのガンマ線の他方を検出したことにより生成されたシングル情報の位置情報との大小を比較すればよい。
【0052】
入射方向が概略特定されると、位置算出部70は、(略判別された入射方向の手前側の検出素子11のエネルギー情報が示すエネルギーの波高値e):(奥側の検出素子11の波高値e)の比率で、分割する隣り合った2個の検出素子11の境界を深さ方向に深くなる方向に分割し、分割点Jの座標情報を得る。
【0053】
次に、図6に示すような、同一検出器10内で隣り合う3個の検出素子11にガンマ線が同時に入射した場合を説明する。
【0054】
この場合も2個の場合と同様に、位置算出部70は、隣り合う3個の検出素子11の検出結果であるエネルギー情報の波高値eの比率を算出し、これら検出素子11を横断するようにガンマ線が通過したときのそれぞれの通過距離が比率に一致する軌跡Lを求め、この軌跡Lと隣り合った3個の検出素子11の境界との交点(分割点)Jを通過位置とする。
【0055】
具体的には、位置算出部70は、予め、隣り合う2個の検出素子11の境界上端及び境界下端の座標情報をそれぞれ保持している。位置算出部70は、3つのエネルギー情報の波高値eの比率を算出した後、算出した比率でこの座標情報で示される両端で挟まれた各線分を分割する。各境界には、それぞれ2点ずつ分割点Jが発生するが、真の通過位置は各境界から選ばれた各一点である。位置算出部70は、入射方向を概略特定した後、入射方向の手前に位置する境界の上端側の分割点Jと、入射方向の奥に位置する境界の下端側の分割点Jをそれぞれ選択し、選択したこれら又は一方の分割点を通過位置とする。
【0056】
位置算出部70は、同一シングル情報グループにおいて、通過位置を算出すると、これら通過位置情報、エネルギー情報、及び検出タイミング情報をまとめたコインシデンス情報を作成し、コインシデンス情報収集部80に出力する。コインシデンス情報は、ペアのガンマ線の軌跡L上の少なくとも2点以上の通過位置を示す各通過位置情報、ペアのガンマ線の両エネルギー情報、及びペアのガンマ線の検出タイミング情報を含むデータである。
【0057】
コインシデンス情報収集部80は、主にメモリを含み構成され、ガンマ線の検出開始から終了までの全てのコインシデンス情報を記憶する。
【0058】
画像再構成部90は、含まれる全ての通過位置情報が同一であるコインシデンス情報をそれぞれカウントし、そのカウント数とその通過位置情報とを関連づけた投影データを作成した上で、この投影データを逆投影処理して画像を作成する。逆投影処理としては、フィルタードバックプロジェクション法(Filtered Back Projection Method)やOS−EM再構成法等であり、この逆投影処理により被検体P内の放射性同位元素の濃度分布が表わされる画像を作成する。
【0059】
このようなポジトロンCT装置1の動作の一例を図7に示すフローチャートに基づき説明する。
【0060】
まず、被検体P内からペアのガンマ線が対向方向に放射されて、検出器10がこのガンマ線の入射を検出すると(S01)、タイムスタンプ部30によって検出タイミングが刻印されたシングル情報がシングル情報収集部40に記録される(S02)。ポジトロンCT装置は、一定時間の計時又は一定のカウント数が集まると、ガンマ線の検出を終了させる(S03)。
【0061】
ガンマ線の検出を終了すると、同時判定部50は、シングル情報収集部40からタイムウィンドウ内に収まるシングル情報のグループを検索する(S04)。
【0062】
エネルギー弁別部60は、位置情報が隣接関係を示す複数のシングル情報をそれぞれグループから取り出して、それに含まれるエネルギー情報をそれぞれ総計して(S05)、総計がエネルギー範囲情報の範囲内に収まるかそれぞれ判定する(S06)。
【0063】
位置算出部70は、まず、グループを位置情報が隣接関係を示すか又は孤立している1又は複数のシングル情報の小グループに分ける(S07)。そして、この小グループ毎に通過位置を算出する。
【0064】
小グループに1個のシングル情報のみが属する場合(S08,No)、位置算出部70は、このシングル情報の位置情報に対応して予め保持している座標情報を通過位置として決定する(S09)。
【0065】
小グループに複数個のシングル情報が属する場合(S08,Yes)、位置算出部70は、まず、ガンマ線の入射方向を概略決定する(S10)。例えば、位置算出部70は、これらシングル情報の何れかに含まれる位置情報に対応して予め保持されておりこの位置情報が示す検出素子11と対向する検出素子11の位置情報と、他の小グループのシングル情報に含まれる位置情報とを比較して、大小関係によりどちらの側からガンマ線が入射したか特定する。
【0066】
更に、位置算出部70は、小グループに属する複数個のシングル情報に含まれるエネルギー情報が示す波高値eの比率を(略判別された入射方向の手前側の検出素子11のエネルギー情報が示すエネルギーの波高値e):(奥側の検出素子11の波高値e)で算出する(S11)。
【0067】
そして、位置算出部70は、隣接関係を示す位置情報に対応して予め保持している境界上端と境界下端との間の線分をS10で算出した比率で分割して分割点Jの座標情報を算出し、この分割点Jを通過位置として決定する(S12)。小グループに3個以上のシングル情報が含まれている場合には(S13,Yes)、概略判別された入射方向の手前にある境界から奥側になるに従って最も浅い分割点から一つずつ順々に深い分割点Jを選び、その選出された分割点のうちの何れかを代表の分割点とし、この代表の分割点Jを通過位置として決定する(S14)。
【0068】
位置算出部70は、通過位置を算出すると(S09、S13,No、若しくはS14)、これら通過位置情報を加えたシングル情報のグループをコインシデンス情報としてコインシデンス情報収集部80に記録する(S15)。
【0069】
画像再構成部90は、コインシデンス情報収集部80に記録されたコインシデンス情報を用いて逆投影処理を行い、画像を再構成する(S16)。
【0070】
このポジトロンCT装置1の処理について図4乃至図6及び図8に基づき具体例を説明する。図8は、シングル情報のリストを示す図である。
【0071】
例えば、図8に示すナンバー01と02と03は、180°対向放射されたペアのガンマ線を検出した結果であり、特にナンバー01と02のシングル情報は、図4に示す図中左側から一方のガンマ線が入射して隣接する2個の検出素子11がこのガンマ線を検出した結果である。そのため、ナンバー01と02と03のシングル情報は、検出タイミングが同時といえる検出タイミング情報T1を含んでいる。また、ナンバー01と02のシングル情報は、隣接関係を示す位置情報P1とP2とを含んでいる。
【0072】
このナンバー01のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eであるEとナンバー01のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eである2Eの総計である3E、及びナンバー03のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eである3Eがそれぞれエネルギー範囲情報の範囲内であるものとすると、これらナンバー01と02と03のシングル情報は、同一グループとして位置算出部70に出力される。尚、ナンバー03のシングル情報の位置情報P100で示される検出素子11は、位置情報P2で示される検出素子11よりも位置情報P1で示される検出素子11側に配されているものとする。
【0073】
位置算出部70は、ナンバー01と02のシングル情報に含まれる位置情報P1とP2とが隣接関係にあり、ナンバー03のシングル情報に含まれる位置情報P100が位置情報P1とP2の何れにも隣接しているものではないので、ナンバー01と02のシングル情報を同一の小グループ、ナンバー03のシングル情報を他の小グループとして、それぞれの小グループについて通過位置を算出する。
【0074】
位置算出部70は、位置情報P1とP2とで示される検出素子11の境界上端の座標(X1,Y1)と境界下端の座標(X1,Y2)の情報と、ナンバー01と02のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eであるEと2Eとを読み出す。
【0075】
そして、位置算出部70は、他の小グループに含まれているシングル情報の位置情報P100が位置情報P1で示される検出素子11側からガンマ線が入射したことを示しているため、境界上端の座標(X1,Y1)と境界下端の座標(X1,Y2)との間を深くなる方向に1:2で分割した分割点J(X1,Y3)を求める。即ち、位置算出部70は、Y3=(2×Y1+Y2)/3を演算する。演算の結果、位置算出部70は、この分割点J(X,Y3)をナンバー01と02と03のシングル情報で表わされるペアのガンマ線の一方の通過位置として決定する。
【0076】
また、図8に示すナンバー04と05と06は、180°対向放射されたペアのガンマ線を検出した結果であり、特にナンバー04と05のシングル情報は、図5に示す図中右側から一方のガンマ線が入射して隣接する2個の検出素子11がこのガンマ線を検出した結果である。そのため、ナンバー04と05と06のシングル情報は、検出タイミングが同時といえる検出タイミング情報T2を含んでいる。また、ナンバー04と05のシングル情報は、隣接関係を示す位置情報P4とP5とを含んでいる。
【0077】
このナンバー04のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eであるEとナンバー05のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eである2Eの総計3E、及びナンバー06のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eである3Eがそれぞれエネルギー範囲情報の範囲内であるものとすると、これらナンバー04と05と06のシングル情報は、同一グループとして位置算出部70に出力される。尚、ナンバー06のシングル情報の位置情報P30で示される検出素子11は、位置情報P4で示される検出素子11よりも位置情報P5で示される検出素子11側に配されているものとする。
【0078】
位置算出部70は、ナンバー04と05のシングル情報に含まれる位置情報P4とP5とが隣接関係にあり、ナンバー06のシングル情報に含まれる位置情報P30が位置情報P4とP5の何れにも隣接しているものではないので、ナンバー04と05のシングル情報を同一の小グループ、ナンバー06のシングル情報を他の小グループとして、それぞれの小グループについて通過位置を算出する。
【0079】
位置算出部70は、位置情報P4とP5とで示される検出素子11の境界上端の座標(X4,Y4)と境界下端の座標(X4,Y5)の情報と、ナンバー04と05のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eであるEと2Eとを読み出す。
【0080】
そして、位置算出部70は、他の小グループに含まれているシングル情報の位置情報P30が位置情報P5で示される検出素子11側からガンマ線が入射したことを示しているため、境界上端の座標(X4,Y4)と境界下端の座標(X4,Y5)との間を深くなる方向に2:1で分割した分割点J(X4,Y6)を求める。即ち、位置算出部70は、Y6=(Y4+2×Y5)/3を演算する。演算の結果、位置算出部70は、この分割点J(X4,Y6)をナンバー04と05と06のシングル情報で表わされるペアのガンマ線の一方の通過位置として決定する。
【0081】
また、図8に示すナンバー07と08と09と10は、180°対向放射されたペアのガンマ線を検出した結果であり、特にナンバー07と08と09のシングル情報は、図6に示す図中左側から一方のガンマ線が入射して隣接する3個の検出素子11がこのガンマ線を検出した結果である。そのため、ナンバー07と08と09と10のシングル情報は、検出タイミングが同時といえる検出タイミング情報T3を含んでいる。また、ナンバー07と08と09のシングル情報は、隣接関係を示す位置情報P7とP8とP9とを含んでいる。
【0082】
このナンバー07のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eであるEとナンバー08のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eである2Eとナンバー09のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eである0.5Eの総計3.5E、及びナンバー10のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eである3Eがそれぞれエネルギー範囲情報の範囲内であるものとすると、これらナンバー07と08と09と10のシングル情報は、同一グループとして位置算出部70に出力される。尚、ナンバー10のシングル情報の位置情報P110で示される検出素子11は、位置情報P9で示される検出素子11よりも位置情報P7で示される検出素子11側に配されているものとする。
【0083】
位置算出部70は、ナンバー07と08と09のシングル情報に含まれる位置情報P7とP8とP9とが隣接関係にあり、ナンバー10のシングル情報に含まれる位置情報P110が位置情報P7とP9の何れにも隣接しているものではないので、ナンバー07と08と09のシングル情報を同一の小グループ、ナンバー10のシングル情報を他の小グループとして、それぞれの小グループについて通過位置を算出する。
【0084】
位置算出部70は、位置情報P7とP8とで示される検出素子11の境界B1の上端の座標(X7,Y7)と境界B1の下端の座標(X7,Y8)の情報と、位置情報P8とP9とで示される検出素子11の境界B2の上端の座標(X9,Y9)と境界B2の下端の座標(X9,Y10)の情報と、ナンバー07と08と09のシングル情報に含まれるエネルギー情報の波高値eであるEと2Eと0.5Eとを読み出す。
【0085】
そして、位置算出部70は、他の小グループに含まれているシングル情報の位置情報P110が位置情報P7で示される検出素子11側からガンマ線が入射したことを示しているため、境界B1とB2とを深くなる方向に1:2:0.5で分割した分割点Jをそれぞれ求める。尚、各境界B1とB2には、二つずつ分割点Jが存在するが、他の小グループに含まれているシングル情報の位置情報P110が位置情報P7で示される検出素子11側からガンマ線が入射したことを示しているため、手前側の境界B1については、上端側の分割点J(X7,Y11)を、奥側の境界B2については、下端側の分割点J(X9,Y12)を求める。若しくは何れか一方であってもよい。
【0086】
即ち、位置算出部70は、Y11=(2.5×Y7+Y8)/3.5、Y12=(0.5×Y9+3×Y10)/3.5を演算する。演算の結果、位置算出部70は、この分割点J(X7,Y11)又はJ(X9,Y12)若しくはこれらの両方をナンバー07と08と09のシングル情報で表わされるペアのガンマ線の一方の通過位置として決定する。
【0087】
以上のように、隣り合った複数個の検出素子11が同時にガンマ線を検出した検出結果に基づき、ガンマ線の通過位置を算出するようにした。これにより、DOI検出器と比べてコストを抑えつつも、従来のポジトロンCT装置より空間分解能を向上させることができる。
【0088】
また、検出素子11の深さ方向の厚みは10mm以下とした。これにより、検出素子11内でのコンプトン散乱のうち、後方散乱を検出素子11外へ逃がしやすくなるため、放射性同位元素と算出した通過位置とを通る軌跡上の各点で同一の確率でガンマ線が検出されるという擬制と検出結果がよりマッチするため、通過位置の算出精度が向上する。
【0089】
検出素子11は、入射されるガンマ線をそのエネルギーに応じた光量の光に変換するシンチレータ素子であり、検出器10は、各検出素子11に対応して光学的に結合され、各検出素子11が出力した光をその光量に応じてそれぞれ電気信号に変換する位置感応型の光電子増倍管14を更に有するようにした。これにより、各検出素子11の検出結果を個々に取得することができ、通過位置の算出精度が向上する。
【符号の説明】
【0090】
1 ポジトロンCT装置
10 検出器
11 検出素子
12 リフレクタ
13 ライトガイド
14 光電子増倍管
20 寝台
30 タイムスタンプ部
40 シングル情報収集部
50 同時判定部
60 エネルギー弁別部
70 位置算出部
80 コインシデンス情報収集部
90 画像再構成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の放射性同位元素から放出されるガンマ線の検出結果に基づき画像を生成するポジトロンCT装置であって、
入射される前記ガンマ線を検出する複数の検出素子を有し、前記被検体を囲んでリング状に並べて配置された検出器と、
隣り合った複数個の前記検出素子が同時にガンマ線を検出した検出結果に基づき、前記ガンマ線の通過位置を算出する位置算出手段と、
前記算出された通過位置を通る軌跡を投影方向として逆投影処理することで、前記被検体内の前記放射性同位元素の濃度分布である前記画像を再構成する再構成手段と、
を備えること、
を特徴とするポジトロンCT装置。
【請求項2】
前記位置算出手段は、
隣り合った2個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、それらの検出素子内を通過する各通過距離が前記比率に一致する前記ガンマ線の軌跡と前記隣り合った2個の検出素子の境界との交点を算出し、この交点を前記通過位置とすること、
を特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
【請求項3】
前記位置算出手段は、
隣り合った3個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、それらの検出素子内を通過する各通過距離が前記比率に一致する前記ガンマ線の軌跡と前記隣り合った3個の検出素子の各境界との交点を算出し、この交点を前記通過位置とすること、
を特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
【請求項4】
前記位置算出手段は、
隣り合った複数個の前記検出素子と同時に前記ガンマ線を検出した他の前記検出素子の位置に基づいて、前記隣り合った複数個の前記検出素子が検出した前記ガンマ線の入射方向を略判別し、
前記略判別した入射方向と一致する前記ガンマ線の前記軌跡に基づき前記通過位置を算出すること、
を特徴とする請求項2又は3記載のポジトロンCT装置。
【請求項5】
前記位置算出手段は、
隣り合った2個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、前記隣り合った2個の検出素子の境界上であって前記検出素子を深さ方向に前記比率で分割した点を前記通過位置とすること、
を特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
【請求項6】
前記位置算出手段は、
隣り合った3個の前記検出素子で同時に前記ガンマ線を検出した場合には、それらの検出結果である前記入射したガンマ線のエネルギーを示す波高の比率を算出し、前記隣り合った3個の検出素子の各境界上の各1点であって前記検出素子を深さ方向に前記比率で分点をそれぞれ前記通過位置とすること、
を特徴とする請求項1記載のポジトロンCT装置。
【請求項7】
前記位置算出手段は、
隣り合った2又は3個の前記検出素子と同時に前記ガンマ線を検出した他の前記検出素子の位置に基づいて、前記隣り合った2又は3個の前記検出素子が検出した前記ガンマ線の入射方向を略判別し、
前記検出素子の前記深さ方向を深くなる方向に、[前記略判別された入射方向の手前側の前記検出素子の波高]:[前記略判別された入射方向の奥側の前記検出素子の波高]の比率で分割することで、前記通過位置を算出すること、
を特徴とする請求項5又は6記載のポジトロンCT装置。
【請求項8】
前記検出素子の深さ方向の厚みは10mm以下であること、
を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のポジトロンCT装置。
【請求項9】
前記検出素子は、入射される前記ガンマ線をそのエネルギーに応じた光量の光に変換するシンチレータ素子であり、
前記検出器は、各検出素子に対応して光学的に結合され、各検出素子が出力した光をその光量に応じてそれぞれ電気信号に変換する位置感応型光電子増倍管を更に有し、前記電気信号を前記検出結果として出力すること、
を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のポジトロンCT装置。
【請求項10】
前記位置算出手段は、
隣り合った複数個の前記検出素子で同時に検出した前記ガンマ線のエネルギーの総和が、コンプトンエッジ以上のエネルギーに相当するときに、これら検出素子の検出結果から前記通過位置を算出すること、
を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のポジトロンCT装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−249672(P2010−249672A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99649(P2009−99649)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】