説明

ポットグリッパー移動補助機及びポットグリッパー移動装置

【課題】安定性に優れたポットグリッパー移動補助機を提供する。
【解決手段】ポットグリッパー移動補助機100は、ポットグリッパー90の上下左右への移動を補助するためのものであって、前記ポットグリッパー90を吊り下げる吊り下げ部材40と、前記吊り下げ部材40を連結する紐状部材30と、水平に形成された水平部24を水平可動可能で、かつ前記紐状部材30を架設する架設部材を有する水平可動架設手段21と、前記紐状部材40に連結され、前記ポットグリッパー90の重量に相当する力で前記ポットグリッパー90を上下移動可能に支持する上下可動支持手段と、前記上下可動支持手段は、前記吊り下げ部材40と連結されている前記紐状部材30の反対側に前記架設部材を介して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の育苗ポットを保持するポットグリッパーの上下左右の移動を補助するポットグリッパー移動補助機及びポットグリッパーと移動補助機を備えた移動補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、特許文献1において、前記ポットグリッパーの上下左右の移動を補助するものとして、複数の育成ポットを縦横に配列した状態で手動により、保持し又は保持解除可能なポットグリッパーを支持し上下左右に移動可能とするポットグリッパー補助機であって、前記ポットグリッパーの重量に見合う力で前記ポットグリッパーを上下移動可能に支持する上下可動支持手段と、前記上下可動支持手段で支持された状態のポットグリッパーを水平可動させ得る水平可動手段とを備えたポットグリッパー補助機を提案している。
【0003】
係るポットグリッパー補助機を用いれば、ポットグリッパーの重量の影響を回避して、多数配列状態の育成ポットの移し替えを安価で簡易な構成で達成することができるという点で、非常に優れたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2007−263643号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記ポットグリッパー補助機は、巻き取り式バランサーである上下可動手段が水平可動手段とポットグリッパーとの間に設置されているため、上下可動手段とポットグリッパーとの二つの重心に有することになる。いわば二重振り子の状態になる。そのため、吊り下げられたポットグリッパーが揺れると不規則で予測のつかない動きとなり、安定性に欠けていたという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、安定性に優れたポットグリッパー移動補助機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するために、本発明が採った手段は以下の通りである。
【0008】
本発明に係るポットグリッパー移動補助機は、
ポットグリッパーの上下左右への移動を補助するポットグリッパー移動補助機であって、
前記ポットグリッパーを吊り下げる吊り下げ部材と、
前記吊り下げ部材を連結する紐状部材と、
水平に形成された水平部を水平可動可能で、かつ前記紐状部材を架設する架設部材を有する水平可動架設手段と、
前記吊り下げ部材を連結されている前記紐状部材の反対側に前記架設部材を介して連結され、前記ポットグリッパーの重量に相当する力で前記ポットグリッパーを上下移動可能に支持する上下可動支持手段と、
を備えているものである。
【0009】
係る構成を採用することによって、上下可動支持手段が架設部材と吊り下げ部材との間に存在しないので、いわゆる二重振り子の状態が回避される。そのため、ポットグリッパー移動補助機の振り子の重心はポットグリッパーのみとなり、仮に左右に振られたとしても、ポットグリッパーは振り子のように規則的に左右に振られるので、予測可能性が高く安定した移動を確保することができる。なお、上下可動支持手段は、なるべく低い位置に設置すれば、ポットグリッパー移動補助機の重心が下がるので、ポットグリッパー移動補助機の安定性が高くなり、より扱いやすくなる。
【0010】
また、本発明に係るポットグリッパー移動補助機として、水平可動架設手段は、垂直に立設された支柱部と、前記支柱部に回動自在に接続され、途中から水平方向に延設された回転支柱部とを備えていてもよい。
【0011】
係る構成を採用することによって、前述した効果に加えて、回転支柱部が支柱部に対して回動するので、回転支柱部が首振りするように水平方向に移動できる。結果として、吊り下げられたポットグリッパーが水平方向に移動される。この水平移動は、右方向、左方向ともに可能であるので、収納されたポットグリッパーを右に移動させて作業してもよいし、左に移動させて作業させてもよい。作業者によって、右方向、左方向のいずれかによって作業能率に差があるので、作業者の特性に合わせて選択することができる。
【0012】
さらに、本発明に係るポットグリッパー移動補助機としては、水平可動架設手段は、前記回転支柱部が前記支柱部に対して任意の角度で位置固定される位置固定手段を有していてもよい。
【0013】
係る構成を採用することによって、前述した効果に加えて、吊り下げられたポットグリッパーの首振りの移動を任意の位置に設定できるようになる。また、固定手段を備えることによって、水平可動が止められ、不必要な移動が抑えられる。なお、この場合、例えば、一定の角度毎、例えば5°毎、10°毎に固定できるようにすると使い勝手がよい。
【0014】
さらに、本発明に係るポットグリッパー移動補助機としては、水平可動架設手段の先端に形成された架設部材は、2つの滑車部材からなり、前記吊り下げ部材を直接懸架する滑車部材は、前記回転支柱部の水平部の軸方向と同じ方向に回転軸を有してもよい。
【0015】
係る構成を採用すれば、前記吊り下げ部材を直接懸架する滑車部材の滑車は、回転支柱部の回動方向に水平に配置されることになる。そのため、回転支柱部を回動させたときに発生するポットグリッパーの振り子運動の方向と回転方向が同じ方向になるので、紐部材が滑車から外れることがない。
【0016】
また、本発明に係るポットグリッパー移動補助装置は、前記ポットグリッパーと、前記ポットグリッパー移動補助機とを備えているものである。
【0017】
係る構成を採用することによって、ポットグリッパーの重量の影響が回避されて、種苗ポットの移し替えを容易かつ迅速に行うことができる。
【0018】
さらに、本発明に係るポットグリッパー移動補助装置として、前記ポットグリッパーは、
育苗ポットの内壁に入り込んで保持する複数の保持具と、
前記複数の保持具を上方から支持する第1支持枠と、
前記第1支持枠に取り付けられた第1把持ハンドルと、
前記保持具で保持された育苗ポットを離脱させる押し出し部材と、
前記押し出し部材を第1支持枠より上方で支持する第2支持枠と、
前記第2支持枠に取り付けられた第2把持ハンドルと、
第1支持枠と第2支持枠との間に配置された弾性部材と、を備え、
前記第1把持ハンドルは、前記第2支持枠を貫通して上方に伸び出して水平部分で連結されてなり、
前記吊り下げ部材に吊り下げられる被吊り下げ部材が第1支持枠を貫通して第2支持枠に固定されているものであってもよい。
【0019】
係るポットグリッパーは、第2把持ハンドルを両手で持ち、配列積層されている育苗ポットの収容部にそれぞれの保持具が入るようにして育苗ポットに押しつけた後、第2把持ハンドルを持ち上げれば、最上層の各1個の育苗ポットが一度に保持され、持ち上げられる。その後、所定の移し替え場所にある種苗トレイ等の上方に移動させて、第2把持ハンドルに対して第1把持ハンドルを近づけるようにして操作すれば、第1支持枠と第2支持枠とが近づき、結果として相対的に保持具に対して押し出し部材が突出して、各保持された育苗ポットを離脱させて育苗トレイのそれぞれの収容部に収容させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、吊り下げられたポットグリッパーの動きが安定して、取り扱いし易いポットグリッパー移動補助機とすることができる。結果として、育苗ポット移し替えの作業効率が向上して、大幅な労力軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の水平可動架設手段の水平可動を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の第1滑車部材及び第2滑車部材の拡大斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機に使用されるポットグリッパーの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の水平可動架設手段の別実施形態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の水平可動架設手段のさらなる別実施形態を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の水平可動架設手段のさらなる別実施形態を示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機に係る水平可動架設手段の設置位置の別実施形態を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機に係る紐状部材の架設位置の別実施形態を示す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に係るポットグリッパー移動補助機の架設部材の別実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面に沿って、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一の符号が付されている。
【0023】
(実施形態)
実施形態に係るポットグリッパー90の上下左右への移動を補助するポットグリッパー移動補助機100の斜視図が図1に、側面図が図2に示されている。ポットグリッパー移動補助機100は、作業台10、この作業台10に取り付けられる水平可動架設手段20、水平可動架設手段20に架設される紐状部材30、紐状部材30に連結されポットグリッパー90を吊り下げる吊り下げ部材40、吊り下げ部材40に吊り下げられたポットグリッパー90を上下移動可能に支持する上下可動支持手段50と、を備えている。
【0024】
作業台10は、図2に示されるように、作業台10内に上下可動支持手段50を収納可能な収納領域を備えており、この収納領域には上下可動支持手段50に連結された紐部材30を架設する滑車部材11を有している。その下方には、移動用のフリーキャスター12と、作業台10を一定位置に固定する固定脚13とを備えている。この固定脚13を伸ばすとフリーキャスター12は地上に浮いて作業台10は所定位置で固定され、固定脚13を短くするとフリーキャスター12が接地して作業台10は自在に移動可能になる。
【0025】
水平可動架設手段20は、ポットグリッパー90を水平に可動するための手段である。第1実施形態においては、直線パイプからなる支柱部21と、L字状に屈曲されたL字パイプからなる回転支柱部22とからなる。支柱部21は、作業台10に垂直に立設されている。回転支柱部22は、支柱部21に対して回動自在に取り付けられており、側方方向に延長した水平部23が首を振るように水平方向へ可動する。支柱部21と回転支柱部22との回動を確保するために、図3に示されるように、支柱部21のパイプの内周と同径の外周を有する接続パイプ24を支柱部21に溶接されている。一方、回転支柱部22をなすL字状パイプには、L字状パイプを接続パイプ24に嵌合させた場合に接続パイプ24が内側に配置される位置に螺合溝22aが形成されている。螺合溝222aには、蝶ネジ27が螺合されている。係る構成を採用することによって、蝶ネジ27を緩めれば、回転支柱部22は自在に回動可能となり、蝶ネジ27を締めれば固定することができるようになる。
【0026】
また、水平可動架設手段20は、同時に紐状部材30を架設する機能も有しており、回転支柱部22のL字の先端22bには、2つの第1滑車部材26a、第2滑車部材26bが設けられており、L字のエルボー部22cには、第3滑車部材26cが設けられている。第1滑車部材26aは、吊り下げ部材40を直接懸架する滑車部材である。第1滑車部材26a、第2滑車部材26b、第3滑車部材26cは、すべて回転軸の方向が異なっている。図4に示されるように、回転支柱部22の水平部23の軸方向Aと同じ方向、すなわち平行に回転軸A’を有している。第2滑車部材26bは、垂直方向に回転軸Bを有している。第3滑車部材26cは、L字の平面と垂直の回転軸Cを有している。第1滑車部材の回転軸を前記のように設ければ、回転支柱部22を回動させたときに発生するポットグリッパー90の振り子運動の方向と回転方向が同じ方向になるので、紐状部材30が第1滑車部材26aから外れることを防止することができる。
【0027】
紐状部材30は、吊り下げ部材40と上下可動支持手段50とを連結する部材であり、ロープ、鎖、金属ワイヤー等が使用される。ポットグリッパー90を支持することができる程度の引っ張り強さを有していれば、特にその素材は限定されるものではない。
【0028】
吊り下げ部材40は、ポットグリッパー90を吊り下げるための部材であり、例えば、フック、鈎、吊り金具、強力磁石等、従来使用されている種々の吊り下げ部材を使用することができる。
【0029】
上下可動支持手段50は、ゼンマイ式バネを内蔵した巻き取り式バランサーからなる。巻き取り式バランサー50は、支持する対象の重量に対応して巻き取り支持力を調整することができる。また、その支持力をほぼ維持しながら、巻き取り式バランサー50から伸びている紐状部材30を出し入れすることができる。従って、この巻き取り式バランサー50の支持力を、その先端部分に吊り下げられるポットグリッパー90の重量に相当するものとしておけば、作業者はほとんどポットグリッパー90の重量の付加を受けることなく作業を行うことができる。
【0030】
上下可動支持部材50は、吊り下げ部材40が連結されている側と反対側の紐状部材30に連結されており、作業台10内の収納領域に取り付けられている。上下可動支持部材50は、それぞれ吊り下げ部材40から第1滑車部材26a、第2滑車部材26b、第3滑車部材26c、滑車部材11と順に架設されてきた紐状部材30に連結されている。よって、上下可動支持部材50は、第1滑車部材26aと吊り下げ部材40との間に設置されることはない。従って、いわゆる二重振り子の状態が回避され、ポットグリッパー90は振り子上に規則的に左右に振られ、予測可能性が高く安定した移動を確保することができる。
【0031】
また、第1実施形態においては、作業台10の収納領域内に設置されるので、重心が非常に低くなり、安定性の高いポットグリッパー移動補助機100となる。
【0032】
ポットグリッパー90は、図5に示されるように、育苗ポットの内周に入り込んで保持する複数の保持具91と、4列×5列に配列された保持具91を上方から支持する第1支持枠92と、この第1支持枠92を上下に移動操作する左右一対の第1把持ハンドル93とを備えている。さらに、ポットグリッパー90は、それぞれの保持具91の中心を貫通して、保持具91に対して相対的に上下移動して、保持具91で保持された育苗ポットを離脱させる押し出し部材94と、この押し出し部材94を第1支持枠92より上方で支持する第2支持枠95と、この第2支持枠95を把持するための左右一対の第2把持ハンドル96とを備えている。
【0033】
第1支持枠92の第1把持ハンドル93の縦軸部分は第2支持枠95を貫通して、その上方に伸び出した状態で水平に連結されている。第1把持ハンドル93の縦軸部分の外周には、第1支持枠92と第2支持枠95とを離間させるように付勢するスプリング97が嵌め入れられていて、保持具91と押し出し部材94の上下近接状態を保持している。さらに、吊り下げ部材に吊り下げられる被吊り下げ部材98が第1支持枠92を貫通して第2支持枠95に固定されている。
【0034】
上述したポットグリッパー移動補助機100の吊り下げ部材40に、ポットグリッパー90の被吊り下げ部材97を吊り下げて、ポットグリッパー移動装置1となる。
【0035】
なお、保持具91は、従来使用されている種々の形態のものを使用できるが、好適には、平面視で十字状に一体成形されたゴム素材で作成され、各突端が育苗ポットの内面に弾性接触する保持本体部91aと、この保持本体部91aの表面に貼着された育苗ポットの内面に接触する発泡性合成樹脂滑り止めシート91bとを備えているものが使用される。
【0036】
以上詳述した本実施形態のポットグリッパー移動補助機100は、以下のようにして使用される。なお、以下の説明により、ポットグリッパー移動装置の実質的説明がなされているものである。
【0037】
まず、ポットグリッパー移動補助機100の固定脚13を短くし、フリーキャスター12を接地させた後、作業を行う場所へポットグリッパー移動補助機100を移動する。そして、支柱部21と回転支柱部22を固定しているピン25を外して回転支柱部22の回転を自在にしておく。なお、この段階で首振りによる水平方向の移動を欲しない場合には、ピン25をそのまま挿入しておけばよい。
【0038】
その後、吊り下げ部材40を引き出して、ポットグリッパー90の被吊り下げ部材97に引っ掛けて一定の高さ位置まで引き上げる。この際に吊り下げ部材40に紐状部材30を介して連結されている上下可動支持部材50は、巻き取り式バランサーであるので、作業者はほとんどポットグリッパー90の重さによる負荷を感じることなく引き上げることができる。
【0039】
そして、ポットグリッパー90を配列積層された育苗ポットの最上層まで移動する。このときも、フリーキャスター12によってポットグリッパー移動機100は容易に移動可能であることに加え、回転支柱部22によって首振り可動可能であるので、作業者は大きな負荷を感じることなく、移動することができる。また、移動する際のポットグリッパー移動機100は、重心が下方にあるので、安定して移動させることができる。さらに、首振りによってポットグリッパー90が振り子のように振られたとしても、従来のように二重振り子の状態ではないので、ポットグリッパー90が不規則な挙動を示すことはない。
【0040】
そして、育苗ポットの内周にすべてのポットグリッパーの保持具91を挿入し、24個の育苗ポットを保持して上昇させた後、育苗トレイの各収納部の直上位置にポットグリッパーを移動する。
そして、育苗トレイに育苗ポットを載置し、押し出し部材94で育苗ポットを押し出して育苗トレイに配置して完了する。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態で何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施し得るものである。
【0042】
例えば、上述した実施形態においては、水平可動架設手段20は、支柱部21に溶接された接続パイプ24と、L字状パイプに形成された螺合溝22aとで、回転可能及び固定を確保したが、図6に示されるにように、支柱部21に押し込み可能なピン部材21bを設け、一方回転支柱部22のL字パイプに例えば10°おきに孔22dを開けて形成してもよい。係る構成を採用すれば、10°おきに回転を制御することができるので好適である。
【0043】
また、図7に示されるように、支柱部21のパイプの内周と同径の外周を有する接続パイプ24を支柱部21に溶接しておき、接続パイプ24に水平方向に貫通した方向位置決め孔24aを形成しておく。一方、回転支柱部22をなすL字状パイプにも、L字状パイプを接続パイプ24に嵌合させた場合に同様の高さとなる位置に位置決め孔22eを形成しておく。係る構成を採用することによって、図8に示されるように、両方の位置決め孔24a、22eの両方を貫通するようにピン25を挿入すれば、回転支柱部22の回動を防止固定することができる。一方、ピン25を外せば、接続パイプ24を中心として回転支柱部22は自由に回動することができる。
【0044】
また、上述した実施形態においては、上下可動支持部材50は、作業台10内に設置したが、これに限定されるものではなく、図9に示されるように、例えば作業台の上に設置してもよい。すなわち、第1滑車部材と吊り下げ部材との間に設置されなければ、どの位置に設置しても構わない。
【0045】
さらに、上述した実施形態においては、上下可動支持部材50は、巻き取り式バランサーとしたが、これに限定されるものではなく、カウンターウエイトやスプリング等を用いてもよい。この場合も上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
さらにまた、上述した実施形態においては、紐状部材は水平可動架設手段20の外側に架設したが、図10に示されるように、パイプ状に形成された水平可動架設手段の内部に配置しても構わない。
【0047】
さらに、上述した実施形態において、第2滑車部材26bは、第2滑車部材26bは、垂直方向に回転軸Bを有しているが、図11に示されるように、第2滑車部材26bの回転軸を第3滑車部材と同じ方向に形成し、第1滑車部材より下方に設置してもよい。係る構成によっても同様の効果を得ることができる。
【0048】
上述した実施形態においては使用されるポットグリッパーは特に限定されるものではなく種々のものを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のポットグリッパー移動補助機及びポットグリッパー移動装置は、ポットグリッパーの重量の影響を回避して上下左右に移動させることが要請される産業分野に用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ポットグリッパー移動装置、10 作業台、12 フリーキャスター、13 固定脚、20 水平可動架設手段、21 支柱部、22 回転支柱部、22a 螺合溝、22e 位置決め孔、22b 回転支柱部のL字の先端、22c L字のエルボー部、23 水平部、24 接続パイプ、24a 方向位置決め孔、25 ピン、26a 第1滑車部材、26b 第2滑車部材、26c 第3滑車部材、30 紐状部材、40 吊り下げ部材、50 上下可動支持手段、90 ポットグリッパー、91 保持具、92 第1支持枠、93 第1把持ハンドル、94 押し出し部材、95 第2支持枠、96 第2把持ハンドル、97 スプリング、98 被吊り下げ部材、100 ポットグリッパー移動補助機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポットグリッパーの上下左右への移動を補助するポットグリッパー移動補助機であって、
前記ポットグリッパーを吊り下げる吊り下げ部材と、
前記吊り下げ部材を連結する紐状部材と、
水平に形成された水平部を水平可動可能で、かつ前記紐状部材を架設する架設部材を有する水平可動架設手段と、
前記吊り下げ部材を連結されている前記紐状部材の反対側に前記架設部材を介して連結され、前記ポットグリッパーの重量に相当する力で前記ポットグリッパーを上下移動可能に支持する上下可動支持手段と、
を備えていることを特徴とするポットグリッパー移動補助機。
【請求項2】
前記水平可動架設手段は、垂直に立設された支柱部と、前記支柱部に回動自在に接続され、途中から水平方向に延設された回転支柱部とを備えていることを特徴とする請求項1記載のポットグリッパー移動補助機。
【請求項3】
前記水平可動架設手段は、前記回転支柱部が前記支柱部に対して任意の角度で位置固定される位置固定手段を有することを特徴とする請求項2記載のポットグリッパー移動補助機。
【請求項4】
水平可動架設手段の先端に形成された架設部材は、2つの滑車部材からなり、前記吊り下げ部材を直接懸架する滑車部材は、前記回転支柱部の水平部の軸方向と同じ方向に回転軸を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポットグリッパー移動補助機。
【請求項5】
前記ポットグリッパーと、請求項1から4のいずれか1項に記載のポットグリッパー移動補助機とを備えたポットグリッパー移動装置。
【請求項6】
前記ポットグリッパーは、
育苗ポットの内壁に入り込んで保持する複数の保持具と、
前記複数の保持具を上方から支持する第1支持枠と、
前記第1支持枠に取り付けられた第1把持ハンドルと、
前記保持具で保持された育苗ポットを離脱させる押し出し部材と、
前記押し出し部材を第1支持枠より上方で支持する第2支持枠と、
前記第2支持枠に取り付けられた第2ハンドルと、
第1支持枠と第2支持枠との間に配置された弾性部材と、を備え、
前記第1把持ハンドルは、前記第2支持枠を貫通して上方に伸び出して水平部分で連結されてなり、
前記吊り下げ部材に吊り下げられる被吊り下げ部材が第1支持枠を貫通して第2支持枠に固定されていることを特徴とする請求項5記載のポットグリッパー移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−246464(P2010−246464A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99427(P2009−99427)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(593049914)株式会社東海化成 (20)
【Fターム(参考)】