説明

ポット苗箱用補助剤の自動塗布装置

【課題】洗浄装置で洗浄されたポット苗箱に、ポット苗押出用の補助剤を連続して塗布できる作業効率の高い自動塗布装置を提供する。
【解決手段】補助剤を水に混合して所要濃度範囲とした補助剤混合液を貯留した水槽を、前記洗浄装置と連続して配置し、ポット苗箱の連続搬送手段を前記水槽の搬入側の一端側から搬出側の他端側へと連続させて設け、前記搬送手段はポット苗箱を下方傾斜させて前記水槽内に搬入し、該水槽内の液中に浸漬させて搬送し、搬出側では上方傾斜させ、余剰の補助剤混合液を前記水槽へと流れ落としている。また、水槽への搬入前に水切りブラシを取り付けて、洗浄液の水切りをしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポット苗箱用補助剤の自動塗布装置に関し、詳しくは、洗浄装置で洗浄されたポット苗箱にポット苗箱用補助剤を連続して塗布できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水稲や野菜などの育苗を行うために、図8に示されるようなポット苗箱30が用いられている。この矩形状のポット苗箱30には、ポットとよばれる多数の穴部31が縦横に等間隔で設けられており、穴部31への土入れ、播種、覆土を経て育苗が行われる。
前記のようなポット苗箱で生育した苗は、移植機に設けられた苗押出装置の押出ピンによって苗の根鉢がポットから押し出されて圃場に植え付けられる一方、空になったポット苗箱は、洗浄装置で洗浄されることにより再度育苗に用いることが可能となる。前記ポット苗箱の洗浄装置としては、例えば、特開2000−316392号公報(特許文献1)などに種々提案されている。
【0003】
一方、移植時における苗の根鉢の押し出しをスムーズにし、ポット苗箱への土残りを軽減するためには、育苗に用いるポット苗箱にポット苗押出用の補助剤を予め塗布しておくことが有効である。しかし、前記ポット苗押出用の補助剤をポット苗箱に塗布する際には、前記補助剤が貯留された水槽に、洗浄されたポット苗箱を作業者が手作業で1箱ずつ浸漬して塗布する必要があり、1日に塗布できるポット苗箱の数が限られ作業効率が低いという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−316392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、洗浄装置で洗浄されたポット苗箱に、ポット苗押出用の補助剤を連続して塗布できる作業効率の高い自動塗布装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、ポット苗箱の洗浄装置で洗浄されたポット苗箱に、ポット苗押出用の補助剤を塗布する塗布装置であって、
補助剤を水に混合して所要濃度範囲とした補助剤混合液を貯留した水槽を、前記洗浄装置と連続して配置し、ポット苗箱の連続搬送手段を前記水槽の搬入側の一端側から搬出側の他端側へと連続させて設け、
前記搬送手段は、前記ポット苗箱を下方傾斜させて前記水槽内に搬入し、該水槽内の液中に浸漬させて搬送し、搬出側では上方傾斜させ、余剰の補助剤混合液を前記水槽へと流れ落としていることを特徴とするポット苗箱用補助剤の自動塗布装置を提供している。
【0007】
前記のように、洗浄装置と連続してポット苗押出用の補助剤混合液を貯留した水槽を配置すると共に、ポット苗箱の連続搬送手段を前記水槽の搬入側から搬出側へと連続させて設けることにより、洗浄装置で洗浄を終えたポット苗箱を順次前記水槽に搬入し、該水槽内にポット苗箱を浸漬して前記補助剤混合液を塗布した後、搬出するという一連の作業を連続して行うことができる。よって、従来のような人手による浸漬、塗布作業が不要となり、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0008】
特に、搬出側において、連続搬送手段によりポット苗箱を上方傾斜させ余剰の補助剤混合液を前記水槽へと流れ落とすことにより、補助剤混合液の無駄な流出を防止し、水槽内の補助剤混合液の液量減少を必要最小限に抑えることができる。
【0009】
前記搬入側での下方傾斜角度、搬出側での上方傾斜角度は、搬送するポット苗箱の材質等によっても異なるため限定することはできないが、例えば25度〜160度としている。 前記下方傾斜角度が25度より小さいと、十分な浸漬、塗布を可能とするために水槽の全長(搬送方向の全長)を大幅に伸ばす必要が生じて装置が大型化するおそれもある。
一方、該上方傾斜角度および下方傾斜角度が160度より大きいと、ポット苗箱が過度に屈曲されて抵抗が大きくなり、ポット苗箱を円滑に搬送することができなくなるおそれがある。
【0010】
水槽に貯留される補助剤混合液の深さは、前記連続搬送手段の下方傾斜部分および搬出側の上方傾斜部分の半分程度が浸漬される深さとすることが好ましい。このように、前記搬送手段のうち、搬入側の下方傾斜部分における上側部分、さらには搬出側の上方傾斜部分における下側部分を、前記補助剤混合液に浸漬されない露出部分としておくことにより、補助剤混合液の水槽への返流をより効果的に行うことができる。
【0011】
前記補助剤としては、例えば、シリコーン離型剤等を用いることができ、前記補助剤を水に混合して、例えば、1〜2%程度の濃度とした補助剤混合液を前記水槽に貯留することが好ましい。
【0012】
前記洗浄装置と前記水槽との間に水切りブラシを設置し、洗浄液を水切りして前記水槽へ前記ポット苗箱を搬入していることが好ましい。
洗浄装置で洗浄されたポット苗箱には洗浄液が付着しており、洗浄液が付着された状態のままポット苗箱が水槽内に挿入されると、余剰の洗浄液が水槽内に入り、水槽内の補助剤混合液の濃度が次第に低下していくこととなる。
よって、洗浄後に水槽内に挿入する前に水切りブラシをポット苗箱に接触させて付着した洗浄水の水滴を除去する事が好ましい。
【0013】
前記水切りブラシとして、前記連続搬送手段で搬送されるポット苗箱の上方位置とポット苗箱の下方位置の両方に水切りブラシを配置し、該上下に配置する水切りブラシは回転式または固定式とし、ポット苗箱の上面と下面との両面に接触させていることが好ましい。 このように、ポット苗箱の上下両面に水切りブラシを配置すると、ポット苗箱の上下両面に付着した洗浄液の水滴を確実に除去できる。
例えば、上方に配置する水切りブラシを回転式とし、下方に配置する水切りブラシを固定式として上向きに突設している。その場合、上方に配置する回転ブラシは回転軸をポット苗箱の搬送手段を構成するチェーン等と係合させて回転駆動させ、該回転軸の全周面から植毛した刷毛を設けた構成とし、搬送されてくるポット苗箱との接触で回転しながら刷毛で水切りしている。一方、下方から立設する固定ブラシは、立設した刷毛でポット苗箱の穴の表面に付着した水滴を除去している。
【0014】
さらに、前記搬送手段は、水槽への搬入側で上記ポット苗箱を下方傾斜させる前に上方傾斜させて移動させ、該ポット苗箱に付着した洗浄液を前記洗浄装置側へ流れ落としていることが好ましい。
前記水切りブラシの設置箇所より水槽側で、前記のようにポット苗箱を上昇させることが好ましいが、水切りブラシを並設せずに、ポット苗箱を上昇させた後に水槽へ搬入しても、洗浄液の水切りを行うことができる。該搬入側の上方傾斜部分の傾斜角度は、例えば、約25度程度とすることが好ましい。
【0015】
前記水槽の搬出側にはポット苗箱を積層して収容する収容槽を備え、前記搬送手段で上方傾斜させて搬出させる前記ポット苗箱を前記収容槽内に落とし込んでいることが好ましい。
【0016】
前記構成によれば、搬出されるポット苗箱を収容槽に落とし込んで収容するため、先に搬出されたポット苗箱が後に搬出されてくるポット苗箱の搬出の妨げになることなくスムーズに搬出、収容作業を継続することができる。
【0017】
例えば、前記収容槽の両側辺上端よりポット苗箱を支持する支持片を内側に突出させておき、搬出されたポット苗箱の全体が前記支持片に位置したときに支持片が下向きに開いて、ポット苗箱を収容槽内に落下させる構成とすることができる。
これにより、搬送されるポット苗箱の落下位置や落下姿勢を統一させ、ポット苗箱を規則正しく積層していくことができる。
【0018】
前記連続搬送手段として、前記ポット苗箱に等間隔に設けた穴部に係合する凸部を周方向に間隔をあけて設けた送給ローラと、該送給ローラの回転駆動手段を備え、かつ、
前記ポット苗箱を前記搬入側で上方傾斜させた後に下方傾斜する移動姿勢にガイドし、
かつ、搬出側で上方傾斜する移動姿勢にガイドするガイド手段を備えていることが好ましい。
【0019】
ポット苗箱には、前記したように、育苗を行う穴部が縦横に等間隔で多数設けられており、前記穴部の開口側の面を前記搬送手段と接する下面側として前記洗浄装置から水槽へと搬入される。このポット苗箱の下向きに開口した穴部を利用し、前記のように、該穴部に係合する凸部を周方向に間隔をあけて設けた送給ローラと、該送給ローラの回転駆動手段とを設けることにより、ポット苗箱を送給ローラの送給方向に搬送することができる。したがって、前記送給ローラの送給方向をポット苗箱の搬送方向と一致させるように送給ローラを設置することで、前記ポット苗箱を所定の搬送方向へとスムーズに搬送していくことができる。
【0020】
前記送給ローラは、例えば、水槽の搬入側でポット苗箱を下方傾斜へと移行させる位置や、搬出側の上方傾斜部分の中間位置、上方傾斜後の搬出口付近の位置など複数箇所に下側から凸部を突出させて設けることが好ましい。また、前記のように送給ローラを複数個設ける場合には、1つの送給ローラのみ送給ローラ駆動軸の端部に取り付けたモータで回転駆動させ、他の送給ローラはチェーン等の伝動機構を介して従動回転させてもよい。
【0021】
また、連続搬送手段として、前記のようにポット苗箱を水槽の搬入側で下方傾斜する移動姿勢にガイドし、搬出側で上方傾斜する移動姿勢にガイドするガイド手段を設けることにより、可撓性を有するポット苗箱の動きを適切に規制しながら、所定の搬送経路に沿ってポット苗箱を滑らかに搬送することができる。
【0022】
ガイド手段としては、例えば、搬送されるポット苗箱の下面側に配置され、該ポット苗箱の下方向への動きを規制する下面ガイド部材や、搬送されるポット苗箱の上面側に配置され、該ポット苗箱の上方向への動きを規制する上面ガイド部材、さらには、搬送されるポット苗箱の両側面側に配置され、該ポット苗箱の左右方向の動きを規制する側面ガイド部材などを設けることが好ましい。これらのガイド手段によって、ポット苗箱を上方傾斜や下方傾斜といった移動姿勢にガイドすることができる。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、本発明によれば、洗浄装置と連続して補助剤混合液を貯留した水槽を配置すると共に、ポット苗箱の連続搬送手段を前記水槽の搬入側から搬出側へと連続させて設けているため、洗浄装置で洗浄を終えたポット苗箱を順次前記水槽に搬入し、該水槽内にポット苗箱を浸漬して補助剤混合液を塗布した後、搬出するという一連の作業を連続して行うことができる。よって、従来のような人手による浸漬、塗布作業が不要となり、作業効率を大幅に向上させることができる。
また、前記のように、搬出側で上方傾斜させ余剰の補助剤混合液を前記水槽へと流れ落とすことにより、補助剤混合液の無駄な流出を防止し、水槽内の補助剤混合液の液量減少を必要最小限に抑えることができる。
【0024】
さらに、水槽の搬入側において、水切りブラシを設けるとポット苗箱を前記水槽内の液中に浸漬させる際、ポット苗箱と共に余剰の洗浄液が前記水槽内に流入するのを抑制することができる。
前記水切りブラシと並設して、または、水切りブラシを無くして、水槽の搬送側において、ポット苗箱をまず上方傾斜させて該ポット苗箱に付着した洗浄液を洗浄装置側へ流れ落とす構成とすると、連続的な塗布作業を継続しても水槽内の補助剤混合液の大幅な濃度低下を防止することができる。
【0025】
また、前記のように、搬出されるポット苗箱を収容槽に落とし込んで収容することにより、先に搬出されたポット苗箱が後に搬出されてくるポット苗箱の搬出の妨げになることなくスムーズに搬出、収容作業を継続することができる。
【0026】
さらに、前記のように、ポット苗箱の穴部に係合する凸部を周方向に間隔をあけて設けた送給ローラと、該送給ローラの回転駆動手段とを設けることにより、ポット苗箱を送給ローラの送給方向に搬送することができ、前記送給ローラの送給方向をポット苗箱の搬送方向に一致させるように送給ローラを設置することで、前記ポット苗箱を所定の搬送方向へとスムーズに搬送していくことができる。
【0027】
かつ、ポット苗箱を水槽の搬入側で下方傾斜する移動姿勢にガイドし、搬出側で上方傾斜する移動姿勢にガイドするガイド手段を設けることにより、可撓性を有するポット苗箱の動きを適切に規制しながら、所定の搬送経路に沿ってポット苗箱を滑らかに搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4に本発明の第1実施形態を示す。
ポット苗箱用補助剤の自動塗布装置10は、補助剤混合液12を内部に貯留した水槽13とポット苗箱30の連続搬送手段14を備え、水槽13をポット苗箱30の洗浄装置11に連続して配置すると共に、連続搬送手段14を水槽13の搬入側の一端側13aから搬出側の他端側13bへと連続させて設けている。これにより、洗浄装置11で洗浄されたポット苗箱30を連続搬送手段14によって水槽13内へと搬入し、水槽13内でポット押出用の補助剤混合液12を塗布した後、収容槽15側へ搬出することを可能とするものである。
なお、水槽13に補助剤混合液12を直接流し込んでもよいが、本実施形態では水槽13の内部に内槽13Aを配置し、この内槽13Aに補助剤混合液を貯留している。
【0029】
補助剤混合液12が塗布されるポット苗箱30は、図5(A)、(B)、(C)に示すように、樹脂成形された可撓性を有する全体が矩形状のものであり、ポットとよばれる育苗用の穴部31が縦横に等間隔で設けられ、穴部31の底面には苗押出装置(図示せず)の押出ピンが挿通できるように略Y字状のスリット(図示せず)が設けられている。なお、本実施形態では、穴部31開口側の面を下面側として搬送している。
【0030】
補助剤混合液12は、移植時における苗の根鉢の押し出しをスムーズにし、ポット苗箱30への土残りを軽減するために、洗浄されたポット苗箱30に塗布するものであり、本実施形態においては、シリコーン離型剤からなる補助剤を水に混合し濃度を約2%とした補助剤混合液12を内槽13Aに貯留している。
【0031】
連続搬送手段14は、具体的に以下の構成からなる。即ち、連続搬送手段14は、大きく分けて、ポット苗箱30を水槽13の搬入側13aから搬出側13bまでガイドするガイド手段と、ポット苗箱30を送給する送給ローラ21と、送給ローラ21の回転駆動手段とから構成している。
【0032】
前記ガイド手段は、図2および図3に示す、下面ガイド板16、下面ガイドレール17、上面ガイドレール18、上面ガイド板19、側面ガイドレール20から構成している。
左右一対の帯状の下面ガイド板16およびその内側に配置される一対の下面ガイドレール17は、搬送されるポット苗箱30の下面を支持してポット苗箱30の下方向への動きを規制する部分であり、下面ガイド板16および下面ガイドレール17を水槽13の搬入側13aから搬出側13bまで連続的に設けている。下面ガイド板16および下面ガイドレール17は、水槽13の搬入側13aで上方傾斜(16a)させた後、下方傾斜(16b)させ、搬出側で再度上方傾斜(16c)させている。本実施形態においては、下面ガイド板16および下面ガイドレール17を上方傾斜させる際の傾斜角度(θ1、θ3)は、θ1を25度、θ3を55度程度とし、下面ガイド板15および下面ガイドレール16を下方傾斜させる際の傾斜角度(θ2)を60度程度としている。
また、図3に示すように、搬入側の最高位置、即ち、下面ガイド板16および下面ガイドレール17が上方傾斜から下方傾斜に移行する位置から、搬出側の最高位置、即ち、下面ガイド板16および下面ガイドレール17の上方傾斜が終了する位置までの全長が、ポット苗箱30の全長と同程度となるように設計している。
【0033】
水槽13の両側面間を架け渡している上面ガイドレール18には、図3に示すように、下面ガイド板16同一面との距離がポット苗箱30の高さ(H)の寸法分だけ確保できるように上面押さえローラ18aを外嵌しており、この上面押さえローラ18aにより、搬送されるポット苗箱30が下面ガイド板16や下面ガイドレール17から離脱して上方向へ移動することを規制している。本実施形態においては、上面押さえローラ18aを外嵌した上面ガイドレール18を、搬入側の下面ガイド板16および下面ガイドレール17が上方傾斜から下方傾斜に移行する位置と、下面ガイド板16および下面ガイドレール17が下方傾斜している中間位置と、上方傾斜後の搬出口付近の位置の上方に3箇所設けている。
また、上方傾斜を終えて搬出されるポット苗箱30の上方向への動きを規制するために、上面ガイド板19を水平方向に設置している。
【0034】
左右一対の側面ガイドレール20は、搬送されるポット苗箱30の左右方向への動きを規制するものであり、側面ガイドレール20と下面ガイド板16との間には、ポット苗箱30の長さ方向の端縁部30aを挟み込むことができる隙間を形成している。側面ガイドレール20も下面ガイド板16や下面ガイドレール17と同様に傾斜させている。
【0035】
送給ローラ21には、ポット苗箱30に設けた長さ方向の穴部31に係合する凸部21aを周方向に多数設けており、凸部21aは穴部31のピッチと同ピッチで設けている。また、回転駆動手段としてモータ23を用い、水槽13の両側面間を架け渡す送給ローラ駆動軸22の幅方向中央部に送給ローラ21を取り付けると共に、送給ローラ駆動軸22の一端を水槽13の外側面に取り付けたモータ23と連結することにより、送給ローラ21をモータ23の回転により駆動している。本実施形態においては、送給ローラ21を、一対の下面ガイドレール17間の開口より送給ローラ21の凸部21aが上向きに突出するように取り付けている。
【0036】
なお、本実施形態においては、下面ガイド板16および下面ガイドレール17が搬入側で上方傾斜から下方傾斜に移行する位置と、搬出側で下面ガイド板16および下面ガイドレール17が上方傾斜している中間位置と、上方傾斜後の搬出口付近の位置のそれぞれ下側に送給ローラ21を設けている。
【0037】
本実施形態においては、図2(A)、(B)に示すように、搬入側で下面ガイド板16および下面ガイドレール17が上方傾斜から下方傾斜に移行する位置の下側に設けた送給ローラ21のみ、送給ローラ駆動軸22の一端に取り付けたモータ23で回転駆動させ、他の送給ローラ21は伝動機構を介して従動回転させている。即ち、各送給ローラ21の送給ローラ駆動軸22の他端(モータ23取付側面に対向する側面側)にスプロケット24をそれぞれ固定し、伝動チェーン25をスプロケット24にかけ回すことにより、モータ23で回転駆動させていない送給ローラ21を従動回転させることができる。
【0038】
前記構成の連続搬送手段14を設けることにより、水槽13への搬入側13aではポット苗箱30を上方傾斜させて移動させ、ポット苗箱30に付着した洗浄液を洗浄装置11側に流れ落とすと共に、前記上方傾斜後に下方傾斜させてポット苗箱30を内槽13Aの液中に浸漬させて搬送し、搬出側で再度上方傾斜させ、余剰の補助剤混合液を内槽13Aに流れ落としている。
なお、本実施形態では、洗浄液の洗浄装置11への返流、余剰な補助剤混合液12の内槽13Aへの返流を効果的に行うために、内槽13Aに貯留される補助剤混合液12の深さとしては、下方傾斜および搬出側で上方傾斜する下面ガイド板16、下面ガイドレール17、側面ガイドレール20の半分程度が浸漬される深さとしている。
また、水槽13には、さらに補助剤混合液が貯留された予備タンクを併設しておき、内槽13Aの補助剤混合液が減少したときに適宜補充できるようにしておいてもよい。
【0039】
水槽13の搬出側にはポット苗箱30を積層して収容する収容槽15を設けており、上方傾斜させて搬出されるポット苗箱30を収容槽15内に落とし込んでいる。具体的には、図4に示すように、収容槽15両側辺上端より搬出されたポット苗箱30を支持きする支持片15aを内側に突出させておき、搬出されたポット苗箱30の全体が支持片15a上に位置したときに、ポット苗箱30の先端がスイッチレバー15bを押圧することにより支持片15aが下向きに開いてポット苗箱30を収容槽15内に落下させる構成としている。
【0040】
前記のように、本発明によれば、洗浄装置11と連続して補助剤混合液12を貯留した水槽13を配置すると共に、ポット苗箱30の連続搬送手段14を水槽13の搬入側13aから搬出側13bへと連続させて設けているため、洗浄装置11で洗浄を終えたポット苗箱30を順次水槽13に搬入し、水槽13内に配置した内槽13A内にポット苗箱30を浸漬して補助剤混合液12を塗布した後、搬出するという一連の作業を連続して行うことができる。よって、従来のような人手による浸漬、塗布作業が不要となり、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0041】
また、前記のように、水槽13への搬入側13aにおいて、ポット苗箱30をまず上方傾斜させてポット苗箱30に付着した洗浄液を洗浄装置11側へ流れ落としておくことにより、後段の下方傾斜によってポット苗箱30を内槽13A内の液中に浸漬させる際、ポット苗箱30と共に余剰の洗浄液が内槽13A内に流入するのを抑制することができる。よって、連続的な塗布作業を継続しても内槽13A内の補助剤混合液12の大幅な濃度低下を防止することができる。
さらに、前記のように、搬出側13bで再度上方傾斜させ余剰の補助剤混合液12を内槽13Aへと流れ落とすことにより、補助剤混合液12の無駄な流出を防止し、内槽13A内の補助剤混合液12の液量減少を必要最小限に抑えることができる。
【0042】
また、前記のように、搬出されるポット苗箱30を収容槽15に落とし込んで収容することにより、先に搬出されたポット苗箱30が後に搬出されてくるポット苗箱30の搬出の妨げになることなくスムーズに搬出、収容作業を継続することができる。
【0043】
さらに、前記のように、ポット苗箱30の穴部31に係合する凸部21aを周方向に間隔をあけて設けた送給ローラ21と、送給ローラ21の回転駆動手段、即ち、送給ローラ駆動軸22およびモータ23を設けることにより、ポット苗箱30を送給ローラ21の送給方向に搬送することができ、送給ローラ21の送給方向をポット苗箱30の搬送方向に一致させるように送給ローラ21を設置することで、ポット苗箱30を所定の搬送方向へとスムーズに搬送していくことができる。
【0044】
また、前記のように、ポット苗箱30を水槽13の搬入側で上方傾斜させた後に下方傾斜する移動姿勢にガイドし、搬出側で上方傾斜する移動姿勢にガイドするガイド手段(下面ガイド板16、下面ガイドレール17、上面ガイドレール18、上面ガイド板19、側面ガイドレール20)を設けることにより、可撓性を有するポット苗箱30の動きを適切に規制しながら、所定の搬送経路に沿ってポット苗箱30を滑らかに搬送することができる。
【0045】
図5乃至図7に第2実施形態を示す。
第2実施形態では、洗浄装置11と水槽13との間の搬送経路に、ポット苗箱30の上方に回転式の水切りブラシ40と、ポット苗箱30の下方位置に固定した水切りブラシ41とを設置し、上下両側からポット苗箱30に付着した洗浄液を水切りしている。
前記洗浄装置11から水槽13への連続搬送手段14は、洗浄装置11側から略水平方向にポット苗箱30を搬送した後に、上方に緩やかに湾曲し、次いで、水槽13に向けて下方傾斜しており、前記上下の水切りブラシ40と41とは前記上向き湾曲部14Xの位置に配置している。
【0046】
搬送されてくるポット苗箱30を挟んで上方に配置する前記回転式の水切りブラシ40は、水槽30の両側壁の上端間に回転自在に軸架した回転軸40aの外周から植毛した刷毛40bを突出させている。図6(B)に示すように、回転軸40aの一端に伝動回転部40cを設け、該伝動回転部40cの端面に形成した係合溝40dに、ポット苗箱30の搬送手段14を構成する伝動チェーン25の各円柱部25aの端面を順次係合させて、伝動チェーン25のより回転作動させている。
該上方の回転式の水切りブラシ40の刷毛40bは、図7に示すように、ポット苗箱30の上面と接触して水滴を除去している。
【0047】
上方の水切りブラシ40と対向する下方に配置する水切りブラシ41は、水槽30の両側壁の間に装架した支持フレーム41aの上面から受け向きに刷毛41bを突出させ、刷毛41bの上端がポット苗箱30の穴部31に挿入できる位置としている。
この下方から突出させた水切りブラシ41の刷毛41bによりポット苗箱30の穴部31の内周面に接触することにより、穴部31の内周面に付着している洗浄液の水滴を除去している。
【0048】
このように、ポット苗箱30を水槽12へ搬入前に上方傾斜させて水滴を自重落下させるだけでなく、水切りブラシ40と41とでポット苗箱30の表面に付着した洗浄液の水滴を水切りすることで、水槽12内に持ち込まれる洗浄液を大幅に減少することができる。よって、水槽12内で、連続的な塗布作業を継続しても水槽12内の補助剤混合液の濃度低下を抑制でき、補助剤の使用量を低減できる。
なお、第2実施形態において、他の構成および作用は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限定されず、例えば、ポット苗箱を水槽へ搬入する側では、第2実施形態に記載の水切りブラシのみを設置し、水切りブラシで水滴を除去した後、水槽への上方傾斜させることなく、下方傾斜させて水槽内に搬入してもよい。
また、上下に配置する水切りブラシは、両方とも回転式または固定式としてもよいし、上方を固定式として刷毛を下向きに突設し、下方を回転式としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】洗浄装置に連続して配置された第1実施形態のポット苗箱用補助剤の自動塗布装置を示す概略斜視図である。
【図2】ポット苗箱用補助剤の自動塗布装置の水槽の搬入側から搬出側までを示し、(A)は伝動チェーン取付け面側の側面図、(B)は平面図、(C)は側面断面図である。
【図3】搬出側に収容槽を備えたポット苗箱用補助剤の自動塗布装置の側面断面図である。
【図4】収容槽の要部拡大図である。
【図5】第2実施形態を示し、(A)は水槽の側面図、(B)は要部拡大図である。
【図6】(A)は要部斜視図、(B)は回転式の水切りブラシの駆動機構を示す断面図である。
【図7】ブラシとポット苗箱との接触状態を示す図面である。
【図8】ポット苗箱を示し、(A)は要部斜視図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 ポット苗箱用補助剤の自動塗布装置
11 洗浄装置
12 補助剤混合液
13 水槽
13A 内槽
13a 搬入側
13b 搬出側
14 連続搬送手段
15 収容槽
16 下面ガイド板
17 下面ガイドレール
18 上面ガイドレール
18a 上面押さえローラ
19 上面ガイド板
20 側面ガイドレール
21 送給ローラ
21a 凸部
22 送給ローラ駆動軸
23 モータ
24 スプロケット
25 伝動チェーン
30 ポット苗箱
31 穴部
40 回転式の水切りブラシ
41 固定式の水切りブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポット苗箱の洗浄装置で洗浄されたポット苗箱に、ポット苗押出用の補助剤を塗布する塗布装置であって、
補助剤を水に混合して所要濃度範囲とした補助剤混合液を貯留した水槽を、前記洗浄装置と連続して配置し、ポット苗箱の連続搬送手段を前記水槽の搬入側の一端側から搬出側の他端側へと連続させて設け、
前記搬送手段は、前記ポット苗箱を下方傾斜させて前記水槽内に搬入し、該水槽内の液中に浸漬させて搬送し、搬出側では上方傾斜させ、余剰の補助剤混合液を前記水槽へと流れ落としていることを特徴とするポット苗箱用補助剤の自動塗布装置。
【請求項2】
前記洗浄装置と前記水槽との間に水切りブラシを設置し、洗浄液を水切りして前記水槽へ前記ポット苗箱を搬入している請求項1に記載のポット苗箱用補助剤の自動塗布装置。
【請求項3】
前記水切りブラシとして、前記連続搬送手段で搬送されるポット苗箱の上方位置とポット苗箱の下方位置の両方に水切りブラシを配置し、該上下に配置する水切りブラシは回転式または固定式とし、ポット苗箱の上面と下面との両面に接触させている請求項2に記載のポット苗箱用補助剤の自動塗布装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、前記水槽への搬入側で上記ポット苗箱を下方傾斜させる前に上方傾斜させて移動させ、該ポット苗箱に付着した洗浄液を前記洗浄装置側へ流れ落としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポット苗箱用補助剤の自動塗布装置。
【請求項5】
前記水槽の搬出側にはポット苗箱を積層して収容する収容槽を備え、前記搬送手段で上方傾斜させて搬出させる前記ポット苗箱を前記収容槽内に落とし込んでいる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポット苗箱用補助剤の自動塗布装置。
【請求項6】
前記搬送手段として、前記ポット苗箱に等間隔に設けた穴部に係合する凸部を周方向に間隔をあけて設けた送給ローラと、該送給ローラの回転駆動手段を備え、かつ、
前記ポット苗箱を前記搬入側で上方傾斜させた後に下方傾斜する移動姿勢にガイドし、かつ、搬出側で上方傾斜する移動姿勢にガイドするガイド手段を備えている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のポット苗箱用補助剤の自動塗布装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−159930(P2009−159930A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8447(P2008−8447)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】