説明

ポリウレタンフォーム成形品の製造法

【課題】 スキンおよび高密度部と発泡層コアーとの割合を任意に変化可能であり、成形品が実際に必要とする各部位だけにスキンや高密度を有するポリウレタンフォーム成形品の製造が、1段階で可能となる。
【解決手段】 ポリイソシアネート化合物(a)と、ポリオール、触媒および架橋剤を含んでなるポリオール混合物(b)と、発泡剤(c)からポリウレタンフォーム成形品を製造する方法であって、
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)と発泡剤(c)とを別個に供給できる成形機を使用し、ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)と発泡剤(c)を連続的に型に注入し、発泡剤(c)の注入開始は、ポリイソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の注入開始よりも遅れていることを特徴とする製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度部分と低密度発泡層のコアー部を併せ持つポリウレタンフォーム成形品を、一度の連続成形作業(1段階)で製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高密度の表面層(以下、「スキン」という)を有するポリウレタンフォーム成形品は、マットレス、あるいはクッション等のように別素材で作られた表皮でカバーされる以外の用途において、優れた表面性能を持つことから、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォームにおいては、家具やアームレスト、ハンドル、チェンジノブなどの自動車内装品や靴底およびスポーツ用品などに使われる。また硬質ポリウレタンフォームは合成木材、構造材など多くの用途がある。
【0003】
例えば自動車用ハンドルや靴底などのように高い耐摩耗性が要求される部品にとっては、成形品表面(靴底は接地部分)にはスキンを有しているほうが良く、使用上の触感からは、内部(コアー)は低密度で柔らかいほうが好まれる。
また自転車用サドルなどの場合も、使用者が接触する表面および車体への取付け部分は高強度が望まれるためスキンを形成している方が良く、コアーは低密度で柔らかくした方が感触もよく好まれている。塗装表面を綺麗に仕上げるためには高密度表面を有している必要がある。
【0004】
硬質ポリウレタンフォームの構造材の場合でも、成形品の塗装表面を綺麗に仕上げるためにはスキンを有しているほうが良く、一方成形品の軽量化のためにはコアーを発泡させて低密度にしておく必要がある。
【0005】
ポリウレタンフォーム成形品において、要求される性能に合わせ、実用上の必要な部分にスキンや高密度部を形成させまたコアーを発泡させ低密度低硬度に変化させることが出来れば、成形品として用途が広がりその価値は向上する。
【0006】
ポリウレタン樹脂を発泡させるための発泡剤として、従来、水や、フロンなどのいわゆる低沸点液体などが主に用いられてきた。しかし、一般的な発泡剤である水の場合、ポリウレタン発泡成形品にスキンを形成することは非常に困難である。そのためこれまでスキンを有するポリウレタン発泡成形品の製造には、フロンなどのいわゆる低沸点液体が発泡剤として使われてきた。
【0007】
これらの低沸点液体発泡剤を含む3種以上のポリウレタン用成分を計量混合して、ポリウレタン発泡成形品を製造する成形技術および設備などがあるが、低沸点液体の発泡剤を含め一定した比率の原料を連続して計量混合し吐出するように設計されている。したがって成形品のスキンと発泡層コアーの割合はほぼ一定で、成形品全体にスキンの形成はできるものの、成形品が実際にスキンを必要とする各部位だけへのスキンの形成やそれに伴う各部位の硬さの変化および成形品自体の密度変化はできない。
【0008】
また最近フロンなどに変わって、発泡剤として炭酸ガスを用いる方法があり、ポリウレタン原液に予め炭酸ガスを添加して発泡成形する炭酸ガス発泡技術が開発されている。しかし、ポリオール成分側への添加は反応劣化が生じやすく必ずしも十分なポリウレタンの発泡成形品が得られない。またイソシアネート側への添加も炭酸ガスの溶解量を一定にするため、成形品が実際にスキンを必要とする各部位だけへのスキンの形成やそれに伴う各部位の硬さの変化および成形品自体の密度変化はできない。
【0009】
このため炭酸ガスを第3成分として発泡機のミキシングヘッドへ計量ポンプで直接供給する方法が考えられ、既にこの為の発泡機を含めた設備も開発されている。しかしこれらの設備を用いた成形技術も各部位の密度が均一な成形品を得ることを前提にしているため、ミキシングヘッドへのポリウレタン原液の供給開始から終了までの間は、炭酸ガスを含め一定した比率の原料を吐出するように作られている。したがって成形品が実際にスキンを必要とする各部位だけへのスキンの形成や発泡した低密度コアーの形成など、スキンと低密度コアーの割合やそれに伴う各部位の硬さの変化および成形品自体の密度変化はできない。
【0010】
【非特許文献1】Polyurethane World Congress'97 P-185
【特許文献1】特開平11−293027公報
【特許文献2】特開2003−334828公報
【0011】
Polyurethane World Congress'97 P-185には、ポリウレタン樹脂の発泡機による成形方法として、発泡に必要な成分、例えばイソシアネート、ポリオール、触媒、架橋剤、およびフロンなど低沸点の発泡剤を別々にタンクから計量ポンプでミキシングヘッドへ供給し、ポリウレタン発泡成形品を得る製造方法が記載されている。
特開平11−293027公報には、発泡剤の炭酸ガスをポリオールに飽和溶解させた原料と、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、それぞれ別個にミキシングヘッドに供給し、低密度のポリウレタンフォームを製造する方法が記載されている。
特開2003−334828公報には、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分のポリウレタン原液に、ミキシングヘッドで炭酸ガスを供給し、炭酸ガスの取込み効率を高めた低密度のポリウレタンフォームを成形する製造方法が記載されている。
【0012】
Polyurethane World Congress'97 P-185の製造方法では、密度や硬さが均一な成形品を得るために、発泡機も発泡に必要なそれぞれの成分を一定量供給し一定した組成の原料を連続して吐出するよう設定されている。したがって、スキンと発泡層コアーの割合はほぼ一定であり安定したポリウレタンフォームの成形品は得られるが、スキンと発泡層コアーの割合が変化させられ、成形品が実際に必要とする部分だけにスキンや高密度を有するポリウレタン発泡成形品の製造は1段階では出来ない。
【0013】
特開平11−293027公報の製造方法では、発泡剤の炭酸ガスをポリオールに飽和溶解させているため、ポリウレタンフォーム成形品の密度(発泡倍率)の安定化は計れるが、スキンと発泡層コアーの割合が変化させられ、成形品が実際に必要とする部分のみにスキンや高密度を有するポリウレタン発泡成形品の製造は1段階では出来ない。
【0014】
特開2003−334828公報では、発泡剤の炭酸ガスをポリウレタン原液に連続して供給する量は一定であり、安定した低密度のポリウレタンフォームを成形することは出来るが、スキンと発泡層コアーの割合が変化させられ、成形品が実際に必要とする部分にのみスキンや高密度を有するポリウレタン発泡成形品の製造は1段階では出来ない。
【0015】
したがって、これまでの発泡剤を用いる方法では、1段階で均一性能のポリウレタン発泡成形品を成形することは出来るが、スキンおよび高密度部と発泡層コアーの割合が変化させられ、成形品が実際に必要とする各部位だけにスキンや高密度を有しかつ各部位の密度また硬さ等を1段階で変化させられるような製造方法は現在見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の解決しようとする課題は、スキンおよび高密度部と発泡層コアーとの割合を任意に変化可能であり、成形品が実際に必要とする各部位だけにスキンや高密度を有するポリウレタンフォーム成形品の製造が、1段階で可能となる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる問題を解決するために検討を重ねた結果、下記のポリウレタンフォーム成形品の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
本発明は、ポリイソシアネート化合物(a)と、ポリオール、触媒および架橋剤を含んでなるポリオール混合物(b)と、発泡剤(c)からポリウレタンフォーム成形品を製造する方法であって、
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)と発泡剤(c)とを別個に供給できる成形機を使用し、
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)と発泡剤(c)を連続的に型に注入し、発泡剤(c)の注入開始が、ポリイソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の注入開始よりも遅れていることを特徴とする製造法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、ポリウレタンフォーム成形品にあって、スキンおよび高密度部と発泡層コアーの割合が任意に変化させられ、成形品が実際に必要とする各部位だけにスキンや高密度を有した高密度部分と低密度部分を併せ持つポリウレタンフォーム成形品の製造が、1段階(一度の連続成形作業)で可能となる。加えて必要とする各部位だけにスキンや高密度を有するので、従来と同様の性能を有する成形品でありながら密度を低くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明においては、ポリウレタン樹脂成型に必要な、各成分、たとえばポリイソシアネート成分とポリオール成分、さらに必要に応じて発泡剤用のタンクと各成分の計量昇圧の為の計量ポンプと各成分の混合するためのミキシングヘッドを備えたポリウレタン樹脂用発泡機を用いる。
本発明において、ポリウレタンフォーム用成形機として種々の発泡機の使用が可能で、ポリイソシアネート成分とポリオール成分をミキシングヘッド(各成分の原料を混合して外部に放出し、成形用の型へ注入する反応混合装置)に、0.1〜5Mpa、特に2Mpa程度の圧力で計量供給しミキシングヘッド内のミキサーで混合する低圧発泡機、また10Mpa以上、特に12〜25Mpaの高圧でミキシングヘッド内で衝突混合させる高圧タイプのポリウレタン発泡機などがある。特に良いのは高圧タイプのポリウレタン発泡機である。
従って、本発明の製造方法は、成形型を用いるモールドウレタンフォーム成形品およびスラブのような成形型を用いないウレタンフォームの製造でも適用し得る。
【0021】
ただし、本発明に使う発泡機は少なくともポリイソシアネート成分とポリオール成分の原料タンクとは別に発泡剤の原料タンクを装備し、発泡剤をミキシングヘッドに計量供給できるポンプも独立して持っておく必要がある。
【0022】
発泡剤(c)をミキシングヘッド供給する方法に関しては、直接ミキシングヘッドに供給しても、あるいはポリオール混合物(b)のミキシングヘッド手前の供給ラインに予め供給され混合された後にポリオール混合物(b)と一緒にミキシングヘッドに供給しても良い。
【0023】
発泡剤(c)のミキシングヘッドへの供給開始および停止の制御が可能な切り替えバルブ(通常油圧あるいは空気による作動を電気的にタイマーでコントロールする)をポリイソシアネート成分とポリオール成分とは別に装備していることが必要であり、その制御機能は少なくとも、0.1秒単位で出来るものが良く、より望ましくは0.01秒単位である。そのため、その制御機能が可能となるタイマーも設置することが好ましい。
【0024】
以上のことから本発明に用いる成形装置として、キャノオキシド設備(この場合は液体炭酸ガスを別成分としてミキシングヘッドに供給する装置)を取付けたキャノン社製ポリウレタン発泡用成形機に、キャノオキシド設備から発泡剤(c)のミキシングヘッドへの供給が時間差供給(供給開始遅延かつ早期供給停止)されるように、0.01秒単位で制御可能な切り替えバルブおよびタイマーを取り付け改造したものを使用できる。つまりポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の型への注入に対して発泡剤(c)の注入が遅れるように、さらに発泡剤(c)の注入を終えてからもポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の注入が続いて行えるようにした。
【0025】
初めから型を閉じた状態で注入ゲートを通じてポリウレタン原液を注入し成形するいわゆるRIM成形(反応射出成形)においては、先に注入されたポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)との混合液(以下、「反応混合液(1)」という)は、まず注入ゲート付近に充填しており、続いて注入される発泡剤(c)を含むポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)との混合液(以下、「反応混合液(2)」という)の吐出勢いまたその発泡作用で押されて型内に広がっていく。
【0026】
反応混合液(1)の型面に接している部分は型面による流動抵抗で動きにくいので、型面にある程度残りながら、液流動の原則に乗っ取ったトンネル効果によって、つまり、反応混合液(2)が成形型内の空間の中央を流れて行くと共に、型面に接していない部分の反応混合液(1)も型面に接しながら型面に沿って型内に広がっていく。反応混合液(1)の型面に接する部分は成形品の表面でスキンとなる。また続いて注入される反応混合液(2)は発泡剤を含む処方としているため、型内部で発泡し、反応混合液(1)のスキンより低密度の発泡したコアーとなる。
【0027】
発泡剤(c)の注入開始前に型へ注入する反応混合液(1)の量により、成形品のスキン形成割合や厚み等の調整が可能で、注入量が多いほどスキンを必要な部位に多く配置することができると共にスキンも厚くなる。
【0028】
発泡剤(c)の注入開始前に型に注入する反応混合液(1)の量は、型に注入する反応混合液(1)と反応混合液(2)の合計量に対して少なくとも10重量%、例えば10〜50重量%であることが好ましい。
【0029】
反応混合液(1)の注入開始から、発泡剤(c)の注入開始までの時間が、少なくとも0.1秒、例えば0.15〜3.0秒である事が好ましい。この時間の差が大きいほど成形品の必要部分にスキンを配置することが容易になる。
【0030】
また、反応混合液(2)の型への注入を終えて、反応混合液(1)を型に注入することが可能であり、反応混合液(1)を注入ゲートと接している成形品付近および注入ゲートに留まらせることが出来る。したがって、この部分全体においてセルサイズが小さい高密度部が形成される。これにより製品として不要な注入ゲートを切取っても、切取部にセルサイズの大きい発泡層コアーの露出がなくなり、塗装不良や低耐熱性などのこれまでの問題が解決できる。
【0031】
反応混合液(2)の型への注入を終えてから注入する反応混合液(1)の量に応じて、注入ゲートと接している成形品付近および注入ゲートの高密度部におけるスキンや高密度部と発泡層コアーの割合が決められる。
【0032】
反応混合液(2)の注入を終えてから注入する反応混合液(1)の量は、型に注入する反応混合液(1)と反応混合液(2)の合計量に対して少なくとも1.0重量%、例えば1.0〜5.0重量%が良い。
【0033】
また、ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)と発泡剤(c)を含む反応混合液(2)の秒間あたりの吐出量(ミキシングヘッドへの供給量即ち注入量)の調整も必要である。吐出量があまりに多いと、先に注入されていた反応混合液(1)が続いて注入される反応混合液(2)の勢いによって必要以上に押し流されてしまう傾向がある。成形品の大きさにもよるが、吐出量はポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)合わせて800g/秒以下、例えば50〜800g/秒にするのが良い。
【0034】
型への全注入時間も1.0秒以上、例えば1.2〜10秒、特に1.5〜10秒になるように調整することが好ましい。型への全注入時間が1.5秒以上であれば、発泡剤(c)の注入開始を反応混合液(1)の注入開始より遅らすことや、また、発泡剤(c)の注入を終えてから反応混合液(1)を注入するために、発泡剤(c)または反応混合液(2)の注入を停止する切替えバルブやタイマーの制御が十分に可能になる。これによりスキンまた高密度部と発泡層コアーの割合を変化させたスキンまた高密度部と発泡層のコアーを明確に併せ持つ成形品が得られる。
【0035】
以上の条件下で、RIM成形において成形品上下両面に高密度表皮を得ようとする場合は、成形品の厚みは20mm以下が良く、特に10mm以下、特に2〜10mmが良い。10mm以下であると成形品の実用上の表面にスキンを形成させやすくまた注入ゲート全体を高密度部にしやすい。ただし、2mm未満ではその部分は発泡コアー層を持たない場合も出てくるが、部分的に厚さの異なる成形品を成形する場合、上記範囲は本発明を制限しない。
また注入ゲートの位置は型の下側(成形品の下部になる)にするほうが望ましい。注入ゲートの位置が型の下側にあると、注入された反応混合液(1)および反応混合液(2)が注入ゲートから型の端の方へ、型の厚さ一杯になって共に流れていくので好都合である。
【0036】
注入ゲートを用いないオープン注入方式の成形型を用い、反応混合液(2)の注入開始を反応混合液(1)に対し遅らし成形品を作成した。先に注いだ反応混合液(1)の上に、反応混合液(2)が注入と同時に低密度の発泡した泡状になり溜まる。これによって反応混合液(1)は、反応混合液(2)の発泡作用によって成形型内に押され広がりスキンを形成し、反応混合液(2)は発泡したコアーを形成する。 スキンの厚みや形成部位などの調整は、先に注入した反応混合液(1)の量および注型パターンを変えることによって可能である。
【0037】
反応混合液(2)の注入を終えてからも、反応混合液(1)だけを型に注入することが可能であり、反応混合液(1)と反応混合液(2)の注型パターンを、例えば注入を横方向にして、初めに反応混合液(1)、続いて反応混合液(2)、最後に反応混合液(1)と変えたりすることで成形品が必要とする部位へのスキン形成や発泡したコアーの配置や割合が可能となる。
【0038】
オープン注入方式においても、ポリイソシアネート(a)とポリオール混合物(b)および発泡剤(c)の型への注入時期および吐出量等の条件は、RIM成形と同様であることが好ましい。
オープン注入方式による成形品の厚みは、発泡させコアーになる反応混合液(2)の密度によって決められるが、比較的任意に行え、厚さが少なくとも10mm、特に10〜300mm、例えば100mmである成形品の製造も可能である。
【0039】
オープン注入において、成形品の必要とされる表面へのスキン形成やあるいは特定部位にのみ高密度部を得るような場合は、ロボットなどを用い再現性が取れるよう型への注入パターンを画一化することがより望ましい。また成形品表面の面積が大きい場合、ミキシングヘッドからポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)が広がって吐出し注入されるように、扇あるいは魚尾のような形状のノズル等をミキングヘッドに取り付け使用する工夫も好ましい。
【0040】
本発明における成形法としては、以上のように、初めから型を閉じた状態で注入ゲートを使用するRIM成形あるいは注入ゲートを用いないオープン注入による成形どちらでも可能であるが、好ましいのはRIM成形である。RIM成形であると、トンネル効果等により成形品表面におけるスキンの占める割合および高密度部の形成、特に注入ゲート付近への調整がしやすくなる。
【0041】
このように発泡剤(c)の型への注入が0.01秒単位で制御可能な切り替えバルブおよびタイマーを取り付けたポリウレタンフォーム用成形機を使用し、発泡剤(c)のミキシングヘドへの供給(型への注入)をポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)に同調させず、つまり時間差供給(開始遅延および要すれば早期停止)することで、RIM成形におけるスキンや高密度部と発泡層コアーの割合を変化させた、つまり成形品が実際スキンを必要とする部位だけへスキンの形成また注入ゲート部分に高密度部分を配することが可能である。また一方オープン注入による成形でも必要部分にスキンの形成と発泡した低密度部コアーを併せ持つ成形品の成形が可能であることが判明した。
【0042】
図1は、本発明において使用する装置の概略を示す図である。
図1の装置は、ポリイソシアネート化合物10が輸送管11から供給される第一タンク12と、ポリオール混合物20が輸送管21から供給される第二タンク22と、ミキシングヘッド40とから構成されている。タンク12,22は、各々、モータ13,23を有する攪拌器14,24を備えており、槽内に貯留する原料を常時攪拌混合することができる。タンク12,22とミキシングヘッドとは、計量ポンプ16,26を備えた供給用輸送管15,25および排出用輸送管17,27によって接続されている。ポリイソシアネート化合物10およびポリオール混合物20は、タンク12,22からミキシングヘッドへと矢印方向に送られる。発泡剤(例えば、二酸化炭素ガス)30がボンベ32に貯蔵されており、計量ポンプ36を備えた輸送管35からミキシングヘッド40に矢印の方向に送られる。ミキシングヘッド40は、発泡剤の供給を制御できる(例えば、遅延できる)バルブを有する。
【0043】
まず、ポリイソシアネート化合物10およびポリオール混合物20をミキシングヘッド40へ連続的に供給してミキシングヘッド40の放出口41から型(図示せず)中に連続的に注入する。こうして、後に、型中でウレタンフォームのスキンまたは高密度部分が形成される。遅れて発泡剤をミキシングヘッドへ連続的に供給することを開始し、ポリイソシアネート化合物10およびポリオール混合物20とともに発泡剤30を連続的に放出口41から型中に注入する。こうして、後に、型中でウレタンフォームのコアーが形成される。次に、型への原料の注入の最終段階において、発泡剤30のミキシングヘッドへの供給を止め、ポリイソシアネート化合物10およびポリオール混合物20をミキシングヘッド40へ連続的に供給する。こうして、型の注入口付近(および注入口がある成形品の面)は、スキンまたは高密度部分となる。
【0044】
図2は、本発明において使用する別の態様の装置の概略を示す図である。図2の装置は、輸送管25,35がミキシングヘッドに到達する前に混合機39に接続している以外は、図1の装置と同様である。ポリオール混合物20および発泡剤30が、ミキシングヘッドに到達する前に、混合機39で混合される。この装置は、ポリオール混合物20と発泡剤30を予め混合したい場合に好都合である。
【0045】
成形品のスキンや低密度発泡コアー部の要求される性能を満たし、また発泡剤(c)の添加によるオープンセル効果に対しても安定である発泡した低密度部が成形できるポリイソシアネート(a)とポリオール混合物(b)を用いるのが好ましい。その場合成形品のスキンまた高密度部になる反応混合液(1)のみを蓋の無い容器中において開放状態で反応させたフリーライズドフォームの密度が0.8g/cm以上であることが好ましく、特に0.85g/cm以上が好ましい。密度が0.85g/cm以上であれば、発泡剤(c)の添加による発泡時のオープンセル効果に対しても、密度を0.2g/cm〜0.8g/cm、例えば0.20g/cmにしても安定である。反応混合液(1)が作る高密度表皮としての性能も満足する事ができる。
【0046】
またポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の25℃における粘度に関して、ポリイソシアネート化合物(a)は、2000mPa.s以下、特に30mPa.s〜1000mPa.sが良く、ポリオール混合物(b)は、10000mPa.s以下、特に500mPa.s〜5000mPa.sが良い。
ポリイソシアネート化合物(a)の25℃粘度が30mPa.sから1000mPa.sまでで、ポリオール混合物(b)が500mPa.sから5000mPa.sまでの粘度であれば、反応混合液(1)として最初に注入された時に型へ広がりやすくまた反応混合液(2)によっても押し広げられやすくなる。
【0047】
以下に本発明において用いる原料について説明する。
本願発明において、ポリイソシアネート化合物(a)、ポリオール混合物(b)に用いられるポリオール(1)、触媒(2)、架橋剤(3)、必要に応じて、整泡剤、補強材及びその他の助剤などは特に限定されない。
【0048】
ポリイソシアネート化合物(a)としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等、これらのポリイソシアネートのウレタン変性、アロファネート変性、カルボジイミド変性、イソシアヌレート変性した変性ポリイソシアネート、およびこれらの混合物などがある。
【0049】
ポリオール混合物(b)は、ポリオール(1)、触媒(2)、架橋剤(3)、必要に応じて、整泡剤、補強材およびその他の助剤から構成される。
【0050】
ポリオール(1)としては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖などの水酸基含有化合物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノ基や水酸基を含有する化合物、あるいはエチレンジアミン、ジアミノトルエンなどのアミノ基含有化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した分子中に2〜6個の水酸基を含有し、平均水酸基当量が100〜3000のポリエーテルポリオール、あるいはこれらのポリエーテルポリオールにビニル化合物を付加重合したポリマーポリオールなどか用いられる。
また、ポリカルボン酸と低分子量の水酸基含有化合物から得られるポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合して得られるラクトン系ポリエステル、ポリカーボネートポリオール、テトラヒドロフランの開環重合から得られるポリテトラメチレングリコール、ポリエーテルポリオールの水酸基をアミノ化し、あるいはポリエーテルポリオールのイソシアネートプレポリマーを加水分解して得られるポリエーテルポリアミンであって、平均活性水素当量が100〜3000のものも使用できる。
イソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の量は、イソシアネートインデックスが80〜120になるような量であることが好ましい。
【0051】
触媒(2)としては、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,8ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7、ジメチルアミノエタノール、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルなどの第3級アミンやジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、ジブチル錫ジアセテートなどの有機金属化合物などが用いられる。
【0052】
架橋剤(3)としては、分子量が62〜300の2価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールや、2価アミン、例えばジエチルトルエンジアミン、t−ブチルトルエンジアミン、ジエチルジアミノベンゼン、トリエチルジアミノベンゼン、テトラエチルジアミノジフェニルメタンなどが必要に応じて用いられ、これらにアルキレンオキシドを付加したポリエーテルポリオールなども用いられる。特公昭54−17359号公報、特開昭57−74325号公報、特公昭63−47726号公報、特公平1−34527号公報などに記載されている。
【0053】
助剤として、気泡安定剤、例えばシリコーン系整泡剤、界面活性剤、補強剤、耐候剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス〔メチレン 3−(3`,5`−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、着色剤などが必要に応じて用いられる。
補強材として、ガラス質、無機質、鉱物質などのファイバー、例えばミルドグラスファイバー、ワラストナイトファイバー、プロセストミネラルファイバーあるいはフレーク、例えばマイカ、ガラスフレークなども必要に応じて用いられる。これらの成分は第2成分であるポリオール混合物に普通加えられる。
【0054】
発泡剤(c)としては、ポリウレタン発泡機の仕様に応じて、水(ポリイソシアネート化合物と反応し炭酸ガスを発生)、二酸化炭素、ペンタンやシクロペンタンなどの炭化水素類、あるいはクロロフルオロカーボン(例えば、HCFC141b)やフルオロカーボン(例えば、HFC245faやHFC365mfc)などのフッ素化炭化水素類が使用できる。発泡剤(c)の混合物の使用も場合により可能である。発泡剤をOH当量が1000以上(例えば、1500〜30,000)の高分子量ポリオールに混合させたもの(例えば、圧力下で溶解させたもの)(発泡剤と高分子量ポリオールの重量比例えば5:95〜95:5)も使用できる。OH当量が1000以上の高分子量ポリオールであれば、第3成分として使用としても、ポリイソシアネート化合物との反応比率が低いため、ポリイソシアネート化合物の吐出量を変更する必要が無い利点がある。
アミン化合物の炭酸塩(ウレタン化反応時解離し炭酸ガス発生)あるいは蟻酸などの有機酸(ポリイソシアネート化合物と反応し炭酸ガスを発生)を発泡剤としてポリオールに混合して使用することも可能である。
【0055】
発泡剤(c)としては、二酸化炭素、炭化水素、フッ素化炭化水素および水からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。二酸化炭素が液状化された液体炭酸ガスまたは液体炭酸ガスとポリオールの混合物が特に好ましく、より一層好ましいのは液体炭酸ガスである。発泡剤(c)が液体炭酸ガスであれば、オゾン層破壊による環境問題や易可燃性またコスト高等の問題も無い。また液体炭酸ガスを含む反応混合液(2)は、成形型へ注入と同時に泡状に発泡し低密度になるので先に注入している反応混合液(1)中に浸入していくことも無く反応混合液(1)の上部に留まりやすくスキンとコアー層との区別が明確になる。
【0056】
ポリウレタンフォーム成形品の平均密度は、0.2〜0.8g/cmあることが好ましい。
ポリウレタンフォーム成形品は、高密度部分と低密度部分(すなわち、発泡部分)を併せ持つ。高密度部分の密度が0.8g/cm以上、例えば0.8〜1.2g/cmであり、高密度部分が成形品の表面全体の少なくとも50%を覆っている成形品であることが好ましい。低密度部分の密度が0.7g/cm以下、例えば0.05〜0.5g/cmであることが好ましい。
高密度部分の密度が0.8g/cm以上であれば、スキンとしての性能を十分に充たすことが可能である。また高密度部分が成形品の表面全体の少なくとも50%を覆っていれば、成形品の50%以上に当たる片側の表面だけスキンが有れば良い例えば靴底やサドルなど利用される製品として用途が多い。
【0057】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、部および%は、特記しない限り、重量部および重量%である。成形品のスキンの厚みや発泡層のコアーなどのセルサイズを、成形品断面にて顕微鏡で確認した。
【0058】
実施例および比較例において次の化合物を使用した。
ポリイソシアネート化合物(a)として、NCO含有率31.5%、粘度130mPa.s/25℃のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートを使用した。
ポリオール混合物(b)として、グリセリンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドを付加した水酸基価35mgKOH/gのポリエーテルポリオール45部とプロピレングリコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシドを付加した水酸基価28mgKOH/gのポリエーテルポリオール45部、エチレングリコール14部、トリエチレンジアミンの33%エチレングリコール溶液0.54部、PELCAT9540(ペルロン社製、オクチル酸カリウムのジエチレングリコール75重量%溶液)0.125部、シリコーン整泡剤0.2部を混合し用いた。このポリオール混合物の粘度は1000mPa.s/25℃であった。
【0059】
液体炭酸ガスの供給制御が0.01秒単位で可能な切替えバルブとタイマーを取り付けた高圧ポリウレタン発泡機(キャノン社製:Asystem60、液体炭酸ガス供給Unitキャノオキシド3−9、FPL14ミキシングヘッド装備)を使用し、原料温度を30℃、液体炭酸ガスを5℃に調整し、ポリイソシアネート化合物(a)とポリオ−ル混合物(b)の混合比率が100:67重量比に設定した。
【0060】
RIM方式による成形は、2mm(t)×300mmの注入ゲートが端に付随した9mm(t)×300mm×900mm(成形型1)または9mm(t)×300mm×450mm(成形型2)の成形型を用い、型温度を60℃に設定し、反応混合液(1)を注入開始後6分で脱型した。またオープン注入による成形では、100mm(t)×300mm×300mmの成形型を用い、型温度はやはり60℃に設定し、反応混合液(1)を注入開始後10分で脱型した。
【0061】
参考例1
成形品においてスキンのみを切り出すことはその厚みから困難であるため、スキンの密度の測定は難しい。従って、成形品のスキンを形成する液体炭酸ガスを含まないポリイソシアネート化合物(a)とポリオ−ル混合物(b)のみの反応混合液(1)を開放状態で硬化させ成形品(RIM成形)の密度およびセルの平均サイズの測定を行い、成形品におけるスキンおよび高密度部の形成状態の判断目安とした。
その結果、開放状態での全密度は、約0.85g/cmで、内部セルの平均サイズは約20μmで細かい状態であった。また9mm厚の成形品では、適切な充填時の密度は約0.9g/cmでセルの平均サイズは細かく約20μm以下であった。
【0062】
実施例1
成形型2を用いポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の吐出量を600g/秒、注入時間を1.2秒にし、液体炭酸ガスの注入だけを0.17秒遅れるようにタイマーを設定した。液体炭酸ガスの量(供給・注入量)を4.5g/秒にし、RIM方式にて平均密度が0.55g/cmの成形品を作成した。成形品を観察した結果、成形品は型に適切に充填された状態で、表面は全体的に色が濃く密度が高くなっていることが確認された。注入ゲートから10cm、40cmの部位を切取り断面を顕微鏡で観察した結果、セルの平均サイズはいずれも20μm以下であり、10cm部位には約200μm、40cm部位には約700μm厚さのスキンが形成されていた。その他のコアー部はいずれの部分もセルの平均サイズが100μm以上で発泡していることを確認した。
【0063】
実施例2
成形型1を用いポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の吐出量を300g/秒、注入時間を4.2秒にし、液体炭酸ガスの注入だけを1.35秒遅れるようにタイマーを設定した。液体炭酸ガスの量(供給・注入量)を2.25g/秒にし、RIM方式にて平均密度が0.52g/cmの成形品を作成した。成形品を観察した結果、成形品は型に適切に充填された状態で、表面は全体的に色が濃く密度が高くなっていることが確認された。注入ゲートから10cm、45cm、80cmの部位を切取り断面を顕微鏡で観察した結果、セルの平均サイズはいずれも20μm以下であり、10cm部位には約200μm、45cm部位には約700μm厚さのスキンが形成されていた。先端部付近の80cm部分は殆どがセルの平均サイズ20μm以下のスキンで覆われており、この部分の平均密度は0.95g/cmであった。その他のコアー部はいずれの部分もセルの平均サイズが100μm以上で発泡していることを確認した。
【0064】
実施例3
成形型1を用いポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の吐出量を300g/秒、注入時間を4.4秒にし、液体炭酸ガスの注入開始を1.00秒遅れるように、また液体炭酸ガスの注入を終えてからもポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)が0.5秒注入するようにタイマーを設定した。液体炭酸ガスの量を2.25g/秒にし、RIM方式にて平均密度0.52g/cmの成形品を作成した。注入ゲートから10cm、45cm、80cmの部位を切取り断面を顕微鏡で観察した結果、セルの平均サイズはいずれも20μm以下であり、10cm部位には約200μm、45cm部位には約700μm厚さのスキンが確認できた。先端部付近の80cm部分は殆どスキンで覆われており、この部分の平均密度は0.95g/cmであった。その他のコアー部はいずれの部分もセルの平均サイズが100μm以上で発泡層が存在することを確認した。
また注入ゲート部分の切り取り断面のセルの平均サイズは20μm以下であり、細かいセルが形成されて高密度になっていることを確認した。
【0065】
実施例4
成形型2を用いポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の吐出量を170g/秒、注入時間を4.2秒にし、液体炭酸ガスの注入だけを1.35秒遅れるようにタイマーを設定した。液体炭酸ガスの量(供給・注入量)を0.8g/秒にし、RIM方式にて平均密度が0.56g/cmの成形品を作成した。成形品を観察した結果、成形品は型に適切に充填された状態で、表面は全体的に色が濃く密度が高くなっていることが確認された。注入ゲートから10cm、40cmの部位を切取り断面を顕微鏡で観察した結果、セルの平均サイズはいずれも20μm以下であり、10cm部位には約400μm、40cm部位には約700μm厚さのスキンが形成されていた。その他のコアー部はいずれの部分もセルの平均サイズが100μm以上で発泡していることを確認した。
【0066】
実施例5
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の吐出量を300g/秒、注入時間を6.5秒にし、液体炭酸ガスの注入開始だけを0.67秒遅れるようにタイマーを設定した。液体炭酸ガスの量を1.00g/秒にし、平均密度が0.22g/cmの成形品をオープン注入方式にて作成した。成形品の表面(型底)の中央部分を切断し断面を観察したところ、セルの平均サイズが20μm以下で約1.0mm厚みのスキンが形成されていることを確認した。
またコアー部は明らかに発泡しており、スキンと発泡したコアーを併せ持つ一体成形品が1段階で作成されることが確認された。
【0067】
比較例1
実施例1と同様にRIM方式にて成形品を作成したが、液体炭酸ガスの注入開始をポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の注入開始と同じにし、また、液体炭酸ガスの注入終了と同時にポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の注入も終えるようにした。型内は充填され、成形品の平均密度は0.52g/cmであった。
成形品各部の断面のセルは厚さ方向には均一であったが、成形品各部の表面にサイズが20μm以下のセルは無くまた液流れ先端部にも200μmを越すサイズのセルがみられることから、この両方部分にスキンが形成されていないことが判明した。また液流れ先端部の平均密度は0.45g/cmで実施例1に比べ低密度であった。
また注入ゲート部分の切り取り断面のセルの平均サイズも20μm以下のセルは無く、細かいセルが形成されていないことから高密度になっていないことが判明した。
【0068】
比較例2
実施例3と同様にオープン注入方式にて成形品を作成したが、液体炭酸ガスの注入開始をポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の注入開始と同じにし、また、液体炭酸ガスの注入終了と同時にポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)の注入も終えるようにし平均密度約0.2g/cmの成形品を得た。成形品の表面(型底)の中央部分を切断し断面を観察したところ、表面近くの断面には100μmを越すサイズのセルがまたその下部には500μmのサイズのセルが観察された。表面近くには20μm以下のサイズのセルは無くスキンの形成はみられなかった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のポリウレタン成形品は、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォームとしては、家具やアームレスト、ハンドル、チェンジノブなどの自動車内装品や靴底およびスポーツ用品などに使われる。また硬質ポリウレタンフォームとしては合成木材、構造材など多くの用途がある。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明において使用する一つの態様の装置の概略を示す図である。
【図2】本発明において使用する他の態様の装置の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
10 ポリイソシアネート化合物
20 ポリオール混合物
30 発泡剤
40 ミキシングヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート化合物(a)と、ポリオール、触媒および架橋剤を含んでなるポリオール混合物(b)と、発泡剤(c)からポリウレタンフォーム成形品を製造する方法であって、
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)と発泡剤(c)とを別個に供給できる成形機を使用し、
ポリイソシアネート化合物(a)とポリオール混合物(b)と発泡剤(c)を連続的に型に注入するに際し、発泡剤(c)の注入開始が、ポリイソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の注入開始よりも遅れていることを特徴とする製造法。
【請求項2】
発泡剤(c)の注入開始前に注入するポリイソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の量は、それぞれ、ポリイソシアネート化合物(a)の全量およびポリオール混合物(b)の全量に対して少なくとも10重量%である請求項1に記載の製造法。
【請求項3】
ポリイソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の注入開始から、発泡剤(c)の注入開始までの時間が、少なくとも0.1秒である請求項1に記載の製造法。
【請求項4】
発泡剤(c)の注入を終えてからも、ポリイソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の注入を続けて行う請求項1に記載の製造法。
【請求項5】
発泡剤(c)の注入を終えてから注入するポリイソシアネート化合物(a)およびポリオール混合物(b)の量は、それぞれ、ポリイソシアネート化合物(a)の全量およびポリオール混合物(b)の全量に対して少なくとも1.0重量%である請求項4に記載の製造法。
【請求項6】
発泡剤(c)が二酸化炭素、炭化水素、フッ素化炭化水素および水からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載の製造法。
【請求項7】
発泡剤(c)がポリオールをも含有する請求項6に記載の製造法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法で製造されたポリウレタンフォーム成形品であって、成形品が高密度部分と低密度部分を併せ持ち、高密度部分の密度が0.8g/cm以上であり、高密度部分が成形品の表面全体の少なくとも50%を覆っている成形品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−169436(P2006−169436A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366178(P2004−366178)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000183299)住化バイエルウレタン株式会社 (33)
【Fターム(参考)】