説明

ポリエステルポリウレタン成形品

【課題】総揮発性有機化合物量が少なく周囲の環境や接触する物質を汚染しにくいポリエステルポリウレタン成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】主鎖の炭素数が3以下のジアルコールを30質量%以上含有する多価アルコール成分とダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸のいずれか単独若しくは複数を30質量%以上含有する多価カルボン酸成分とを縮合反応せしめて得られるポリエステルポリオールであって、かつ揮発性副生成物がトルエン検量線換算で100ppm以下であるポリエステルポリオールを用いて得られる、総揮発性有機化合物量の少ないポリエステルポリウレタン成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総揮発性有機化合物量の少ないポリエステルポリウレタン成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン成形品は高弾性、柔軟性、耐摩耗性等に優れ、フォーム、エラストマー、フィルム、合成皮革、接着剤、塗料等の素材として幅広く用いられている。
【0003】
ポリウレタン成形品は主としてポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリヒドロキシ化合物にポリイソシアネートおよび必要により鎖伸長剤、発泡剤、整泡剤、骨材等を加えて反応させフィルム、シート、フォーム等の所望の形状に成形される。この内、ポリヒドロキシ化合物として、ポリエステルポリオールを用いたものはポリエーテルポリオールを用いたものに比べ、力学的物性、耐摩耗性、耐油性、耐溶剤性の面で優れるという特徴を有する。ポリエステルポリオールを用いたもののなかでは安価で最も汎用性が高いアジピン酸系ポリエステルポリオールのものが多く使用されている。しかし、アジピン酸系ポリエステルポリオールは環状エステル等の揮発性副生成物が多く、これらはウレタン反応に関与せずそのままの形でポリエステルウレタン成形品中に残存するため、このようなポリエステルポリオールより得られたポリエステルポリウレタン成形品は総揮発性有機化合物量が多く、揮発してきた有機化合物が周囲の環境、接触する物質を汚染するという欠点を有するために用途が制限される場合が多い。このような欠点を解消するために研究がなされてきた。
【0004】
例えば、特開平6−107759公報では、フォギングの原因となる揮発成分の揮発量を減らすために、合成後に2〜600秒間にわたり160〜250℃の温度で0.05〜10ミリバールの圧力で減圧蒸留させたポリエステルポリオールを用いることを特徴とするポリエステルウレタンフォームの製造方法が提案されているが、この方法では揮発成分は十分除去できない。また、減圧蒸留によりポリエステルポリオールの水酸基価が低下するため、所望の水酸基価を得るには、予め多価アルコールを余分に添加する必要がある。さらに、減圧蒸留の効果を上げるために蒸留過程での不活性溶剤の添加も示されているが、この不活性溶剤を添加する方式は不活性溶剤の十分な回収ができずそれ自体が揮発成分として含有される恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、総揮発性有機化合物量が少なく周囲の環境や接触する物質を汚染しにくいポリエステルポリウレタン成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためには、揮発性副生成物の少ないポリエステルポリオールを使うことが必須であり、本発明者等は、鋭意検討した結果、特定の多価アルコールと多価カルボン酸成分を所定量用いて縮合反応させたポリエステルポリオールは、揮発性副生成物が少なくなることを発見し、これを用いたポリエステルポリウレタン成形品は、総揮発性有機化合物量が少なく、周囲の環境や接触する物質を汚染しにくいことを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
即ち、本発明は主鎖の炭素数が3以下のジアルコールを30質量%以上含有する多価アルコール成分とダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸のいずれか単独若しくは複数を30質量%以上含有する多価カルボン酸成分とを縮合反応せしめて得られるポリエステルポリオールであって、かつ揮発性副生成物がトルエン検量線換算で100ppm以下であるポリエステルポリオールを用いて得られる、総揮発性有機化合物量の少ないポリエステルポリウレタン成形品に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリエステルポリウレタン成形品を用いれば、総揮発性有機化合物量を低減できるため、周囲の環境や接触する物質を汚染しにくく、自動車内装部品やクリーンルーム部材等多くの産業分野で利用可能である。
【発明の実施するための最良の形態】
【0009】
本発明においてジアルコールとしては、主鎖の炭素数が3以下の化合物であればよく、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−ノルマルブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられ、これらを単独、または2種以上で用いることができる。
【0010】
上記に示す主鎖の炭素数が3以下のジアルコールは全多価アルコール成分中、30質量%以上である必要がある。もし、30質量%未満の場合は得られたポリエステルポリオール中の揮発性副生成物の生成量が多くなり、得られたポリエステルポリオールを用いたポリエステルポリウレタン成形品の総揮発性有機化合物量が多くなる。多価アルコール成分として、本発明の効果を損なわない範囲で他の多価アルコールを併用できる。
【0011】
併用し得る他の多価アルコールとしては、一般にポリエステルポリオールに使用されるものであればよく、例えば1,4−ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ダイマージオールなどのジアルコール類、および、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコール類が挙げられる。
【0012】
本発明では、構成する多価カルボン酸成分としてダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸のいずれか単独若しくは複数を30質量%以上用いることで、揮発性副生成物の生成量が少なくなる。多価カルボン酸成分として、本発明の効果を損なわない範囲で一般的なポリエステルポリオールに使用される他の多価カルボン酸を併用できる。
【0013】
本発明に用いられるダイマー酸とは、樹液や穀類から得られる植物性脂肪酸の重合によって得られるカルボン酸である。植物性脂肪酸としてはオレイン酸、リノール酸等の不飽和酸とステアリン酸等の混合物が用いられる。重合によって得られる上記カルボン酸は、炭素数36のニ塩基酸が主成分であり、他に少量の炭素数18の一塩基酸(モノマー酸)および炭素数54の三塩基酸(トリマー酸)を含有しているが、本発明の効果を達成するものであればこれらの成分の割合は特に限定されるものではない。また、ダイマー酸を更に水素添加する事によって得られる水添ダイマー酸を用いることも可能である。
【0014】
併用できる他の多価カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸では、例えばマロン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。又、芳香族系ジカルボン酸では例えばオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等があるが、それらの無水物あるいは各種の誘導体も使用できることは無論であり、これらは単独または二種以上の混合物として用いても良い。
【0015】
ポリエステルポリオールの製造方法については特に制限は無く、従来公知のポリエステルポリオールの製造方法を使用できる。例えば、前記した多価アルコールと多価カルボン酸を常圧下でエステル化反応を行う方法、真空下でエステル化反応を行う方法、トルエンのごとき不活性溶剤の共存下にエステル化反応を行い、縮合水を溶剤と共沸させ反応系外へ除去する方法等が使用できる。
【0016】
上記エステル化反応は、触媒の存在しない系でも行うことができるが、通常エステル化反応を円滑に進行させるため、重縮合触媒としては、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルトなどの金属の化合物や、スルホサリチル酸などの有機スルホン酸化合物を適宜選択して使用することができる。その際の触媒の添加量は、使用する原料の総質量に対して約0.0001質量%〜2質量%の範囲内であるが、好ましくは、約0.0005質量%〜1.0質量%の範囲内である。反応温度は160℃〜250℃が好ましい。
【0017】
本発明のポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは500〜4000の範囲内、特に好ましくは700〜3000の範囲が適当である。ポリエステルポリオールの数平均分子量が500〜4000であると、ポリエステルポリオールの合成自体が容易であり、それが適度の粘度を有し、作業性に優れるため均一なポリエステルポリウレタン成形品をもたらすというメリットがある。
【0018】
本発明で規定するGC/MS測定は加熱脱着−GC/MS装置で行い、加熱脱着装置でサンプルチューブ内に入れた試験片(0.030g秤量)を120℃×30分加熱し、発生した揮発性有機化合物をトラップ吸着管に濃縮後、GC−MS装置の分析カラムに導入し測定する。加熱脱着装置としては、パーキンエルマー社のTurboMatrixATDを使用する。また、GC/MS装置としては、JISK0123に該当するものであれば良いが、分析カラムとしては微極性カラム(5%ジフェニル95%ジメチルポリシロキサン)を使用する。
【0019】
加熱脱着装置の条件として、トラップ吸着剤はTenax−TAを使用し、トラップ温度は−30℃、脱着温度は300℃とする。またGC/MS装置の条件として、マスレンジはm/z33〜400、オーブン温度は80℃で5分保持し、10℃/分の昇温速度で260℃まで昇温後10分保持する。
【0020】
本発明において揮発性副生成物とはポリエステルポリオールの製造過程で生じる副生成物であり、本発明で規定するGC/MS測定条件でポリエステルポリオールから揮発し検出された有機化合物のうち、イソシアネートと反応してポリエステルポリウレタン成形品を形成する出発原料の多価アルコールと低分子ポリオールを除いたものを指す。これらの揮発性副生成物としては、例えば、低分子量の環状エステル、多価アルコール分解物や環状エーテル等が挙げられる。また、揮発性有機化合物とは本発明で規定するGC/MS測定条件でポリエステルポリウレタン成形品から揮発し検出された有機化合物であり、ポリエステルポリオールが含有している前述の揮発性副生成物、及びこのポリエステルポリオールを用いて得られるポリエステルポリウレタン成形品の製造過程で生じる揮発性副生成物等が挙げられる。
【0021】
本発明において揮発性副生成物量とは、本発明で規定するGC/MS測定条件でポリエステルポリオールより検出されたトータルイオンクロマトグラムのシグナルのうち出発原料である多価アルコールと低分子ポリオールを除いたシグナルの面積の総和をトルエン検量線を用いて換算した値である。一方、総揮発性有機化合物量は本発明で規定するGC/MS測定条件でポリエステルポリウレタン成形品より検出されたトータルイオンクロマトグラムのシグナルの面積の総和をトルエン検量線換算した値である。尚、トルエンの検量線は、メタノールで希釈したトルエンを、ガラスウールを充填したサンプルチューブに注入し、これをGC/MS測定した際に得られたトータルイオンクロマトグラムより作成した。
【0022】
本発明のポリエステルポリオールは、揮発性副生成物量が、トルエン検量線換算で100ppm以下である必要がある。揮発性副生成物量がトルエン検量線換算で100ppm以下であると、得られるポリエステルポリウレタン成形品の総揮発性有機化合物量が少なくなる。
【0023】
本発明のポリエステルポリウレタン成形品とは、前記のポリエステルポリオールにポリイソシアネート及び必要に応じて鎖伸長剤、発泡剤、整泡剤、触媒、界面活性剤、顔料、染料、難燃剤、安定剤、充填剤、可塑剤、骨材等を加えて反応させ、フィルム、シート、フォーム等の所望の形状に成形させて得られる。
【0024】
本発明に用いることのできるポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネートもしくは2,6−トリレンジイソシアネートまたはこれらの混合物、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、3,3’−ジクロル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネートまたは1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンシイソシアネート、イホソロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびこれらの各種誘導体がある。
【0025】
これらのポリイソシアネートは併用してもよく、また、これらに限るものではない。これらのポリイソシアネートは希望する成形品物性に応じて選択される。
【0026】
以上の原料を用いて従来公知の方法例えばワンショット法、プレポリマー法等種々の方法によりポリエステルウレタン成形品を製造すれば良い。ワンショット法とは、触媒、発泡剤、整泡剤等のその他添加剤の存在下にポリオール成分とポリイソシアネートとを反応させるものである。プレポリマー法とは、ポリオール成分とポリイソシアネートをあらかじめ反応させ一種のプレポリマーを得、次いで例えばウレタンフォームを製造する際にはこれに発泡剤,触媒、整泡剤及びその他添加剤の存在下反応させるものであり、エラストマーを製造する際にはこのプレポリマーに鎖伸長剤やポリオール成分を加え架橋反応させるものである。
【0027】
さらに各種成分を溶融状態で反応せしめるバルク重合法の他に、ウレタン反応をジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、トリクレン等の1種または2種以上からなる溶媒中で行う溶液重合法も用いることができる。
【0028】
本発明のポリエステルポリウレタン成形品を得るにあたり、本発明の効果を損わないかぎりは請求項1に示したポリエステルポリオールと組み合わせて、他のポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを併用してもよい。ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0029】
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジエチルカーボネートの脱エタノール縮合反応、あるいは多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応あるいは多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール反応によって得られるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0030】
尚、本発明のポリエステルポリウレタン成形品を製造するに当たり、要求される性能に応じて、触媒、充填剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤等を加えることもできる。
【0031】
本発明は、従来のポリエステルポリウレタン成形品に比べ、総揮発性有機化合物量を大幅に低減したポリエステルポリウレタン成形品を与えることをできるため、建材、自動車内装部品やクリーンルーム部材等の汚染が嫌われる産業分野に用いることができる。
【実施例】
【0032】
次に本発明の合成例及び実施例につき説明するが、これらに限定するものではない。文中「部」、「%」は質量基準であるものとする。
【0033】
<揮発性副生成物と総揮発性有機化合物の定量>
ポリエステルポリオールの揮発性副生成物量及びポリエステルポリウレタン成形品の総揮発性有機化合物量を本発明で規定するGC/MS測定条件で測定した。この際、揮発性副生成物量は得られたトータルイオンクロマトグラムのシグナルのうち出発原料である多価アルコールと低分子ポリオールを除いたシグナル面積の総和を、トルエン検量線換算量として求める。また、総揮発性有機化合物量については得られたトータルイオンクロマトグラムのシグナル面積の総和をトルエン検量線換算量として求める。
加熱脱着−GC/MS分析装置:
パーキンエルマー社 TurboMatrix ATD−
島津製作所社 GC/MS−QP5050A
[TurboMatrix ATD条件]
サンプルチューブ加熱温度:120℃ サンプルチューブ加熱時間:30分
脱着流量:20mL/分 入口スプリット:20mL/分
トラップ吸着剤:Tenax−TA トラップ温度:−30℃
トラップ脱着温度:300℃ 出口スプリット:10mL/分
[GC/MS−QP5050A条件]
カラム:0.25mm×60m×0.25μm GLサイエンス社TC−5
(5%ジフェニル95%ジメチルポリシロキサン)
オーブン温度:80℃(5分)−(10℃/分)−260℃(10分)
マスレンジ:m/z40〜350
【0034】
合成例1 2−メチル−1,3−プロパンジオール344部、ダイマー酸1757部および触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、常圧下で窒素ガスを通じつつ、約200℃で縮合水を流出させながら脱水エステル化反応を行い、酸価0.3mgKOH/g、水酸基価56.2mgKOH/g、揮発性副生成物量10ppmのポリエステルポリオールを得た。
【0035】
合成例2 2−メチル−1,3−プロパンジオール439部、テレフタル酸720部および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05部仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0036】
合成例3 2−メチル−1,3−プロパンジオール439部、イソフタル酸720部、および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05部仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0037】
合成例4 2−メチル−1,3−プロパンジオール548部、コハク酸655部、および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05部仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0038】
合成例5 2−メチル−1,3−プロパンジオール416部、ダイマー酸184部、テレフタル酸184部、イソフタル酸184部、コハク酸184部、および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05部仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0039】
合成例6 2−メチル−1,3−プロパンジオール392部、ダイマー酸374部、コハク酸374部および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05部仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0040】
合成例7 2−メチル−1,3−プロパンジオール478部、アジピン酸697部および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05部仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0041】
合成例8 2−メチル−1,3−プロパンジオール384部、セバチン酸753部および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0042】
合成例9 3−メチル−1,5−ペンタンジオール462部、ダイマー酸332部、コハク酸332部、および触媒としてテトラブチルチタネートを0.05部仕込み、合成例1と同様の方法にてポリエステルポリオールを得た。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例1 合成例1で得られたポリエステルポリオール100部に、TDI−80 10部を加え、攪拌後、金型に入れ80℃×24時間エージングし30mm×30mm×30mmのポリウレタン硬化物を作製、得られたポリウレタン硬化物の中心部分から試験片を作製し、総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0045】
実施例2 ポリオールとして合成例2で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0046】
実施例3 ポリオールとして合成例3で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0047】
実施例4 ポリオールとして合成例4で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0048】
実施例5 ポリオールとして合成例5で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0049】
実施例6 ポリオールとして合成例6で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0050】
比較例1 ポリオールとして合成例7で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0051】
比較例2 ポリオールとして合成例8で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0052】
比較例3 ポリオールとして合成例9で得られたポリエステルポリオール100部を使用する他はすべて実施例1と同様の方法で総揮発性有機化合物の定量を行った。
【0053】
【表2】

【0054】
請求項1に該当するポリエステルポリオールである合成例1〜6は、揮発性副生成物量が少なく、これらを用いて得られたポリエステルポリウレタン成形品である実施例1〜6は、総揮発性有機化合物量が少ないことが確認できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖の炭素数が3以下のジアルコールを30質量%以上含有する多価アルコール成分とダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸のいずれか単独若しくは複数を30質量%以上含有する多価カルボン酸成分とを縮合反応せしめて得られるポリエステルポリオールであって、かつ揮発性副生成物がトルエン検量線換算で100ppm以下であるポリエステルポリオールを用いて得られる、総揮発性有機化合物量の少ないポリエステルポリウレタン成形品。

【公開番号】特開2006−22293(P2006−22293A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231683(P2004−231683)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000233170)日立化成ポリマー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】