説明

ポリエチレン組成物の低温押出被覆方法

【発明の詳細な説明】
本発明は押出被覆方法に関する。一面に於いて、本発明は押出被覆に有用なポリエチレン組成物に関する。他の面に於いて、本発明は、押出方法を著しく低い押出被覆温度で行うときでも、押し出された材料が基体(又は下地)に対して優れた接着性を示す拘束押出被覆に関する。他の面に於いて、本発明は吸湿性添加剤を高い含有量で含む被覆物に関する。本発明の更に他の面は、感熱性である添加剤を含む被覆に関する。
発明の背景 ポリオレフィン又はポリオレフィンのブレンドの被覆を、紙又はアルミニウム箔のような基体上に押し出して押出被覆された基体を形成することは、当該技術分野に於いてよく知られている。種々のポリエチレン及びポリエチレンのブレンドが押出被覆組成物として広く使用されてきた。しかしながら、これらのポリエチレンベースの被覆は、基体に対する良好な接着性をもたらすために高温で押出被覆しなくてはならず、そのために幾つかの欠点を有している。
高温押出被覆方法は、温度感受性である基体については有用ではない。高温押出被覆方法はまた温度感受性である添加剤を含む被覆を適用するときに実際的ではない。高温押出被覆方法の温度は非常に僅か下げることができるが、良好な接着性を維持するために被覆速度も著しく低下させなくてはならない。しかしながら、高い被覆速度は押出被覆装置の経済的に魅力のある運転を可能にするので重要である。
発明の記述 従って、印画紙を含む種々の基体に適用したときに実質的に均一な押出被覆を生成し、押出被覆方法に通常使用されている温度よりも低い温度で適度な被覆速度で被覆する方法を使用しながら、基体に対して接着し得る感熱性添加剤を含むポリエチレンベースの押出被覆材料が望まれている。
本発明に従えば、(a)190℃で1〜200dg/分のメルトインデックスを有し、得られた組成物を175〜290℃の温度で押出被覆することができる分子量分布を有するポリエチレン成分、(b)(a)及び(b)の合計の重量基準で0.5〜15重量%の、90〜150℃のRBSPを有する炭化水素粘着付与樹脂、並びに(c)高温で不所望の欠陥を生ずるのに十分な量の揮発分を含む、高配合量の添加剤で175〜190℃の温度に感受性でない、組成物全量基準で10重量%を超える濃度の少なくとも1種の吸湿性又は親水性の感熱性添加剤を含んでなる組成物を、基体の少なくとも一方の表面に175〜290℃の温度で押出被覆することを含んでなる、少なくとも0.0075mmの厚さを有するポリエチレンフィルムで基体を低温押出被覆する方法が提供される。
本発明に従えば、(a)190で10〜100dg/分のメルトインデックスを有し、得られた組成物を175〜290℃の温度で押出被覆することができる分子量分布を有するポリエチレン成分、(b)(a)及び(b)の合計の重量基準で0.5〜15重量%の、90〜150℃のRBSPを有する炭化水素粘着付与樹脂、並びに(c)高温で不所望の欠陥を生ずるのに十分な量の揮発分を含む、高配合量の添加剤で175〜190℃の温度に感受性でない、組成物全量基準で10重量%を超える濃度の少なくとも1種の吸湿性又は親水性の感熱性添加剤を含んでなる組成物であって、他のポリオレフィンを前記ポリエチレン成分(a)の量以下であって40重量%未満の量で含む組成物を、基体の少なくとも一方の表面に175〜290℃の温度で押出被覆することを含んでなる、少なくとも0.0075mmの厚さを有するポリエチレンフィルムで基体を低温押出被覆する方法が提供される。
本発明に従えば、前述のごとく、特定のポリエチレン成分、特定の粘着付与樹脂及び特定量の感熱添加剤からなる新規な組成物が提供される。本発明の組成物は、約550゜F(約290℃)より低い押出被覆温度での押出被覆方法により種々の基体に適用することができる。本発明の押出被覆方法は、1分間当たり約300m(約1,000フィート)より高い被覆速度で約0.0075mmのように薄い厚さを有する実質的に均一な被覆を適用することができる。
図面の簡単な説明 図1は、粘着付与剤を含有するポリエチレンの示差走査熱量計(DSC)曲線である。
図2a〜2dは、幾つかの先行技術のポリエチレン押出被覆組成物についてのDSC曲線である。
図3は、純ポリエチレン粘着付与剤ブレンドの厚さ対良好な接着性のために必要な粘着付与剤の最小レベルの関係を示す。
発明の詳細な説明 本発明によれば、基体に対する良好な接着性を有する低温押出被覆可能な組成物を使用する。この組成物は、(a)190℃で約10〜100dg/分の範囲内のメルトインデックスを有し、十分広い分子量分布を有し、そうして得られた組成物が350〜550゜F(約175〜290℃)の範囲内の温度で押出被覆することができるポリエチレン成分又はポリエチレン成分ブレンド、(b)(a)及び(b)の合計の重量基準で約0.5〜15重量%の範囲内の、約90〜150℃の範囲内の環状軟化点(RBSP)を有する炭化水素粘着付与樹脂、並びに(c)高温で不所望の欠陥を生じるのに十分な量の揮発分を含む、高配合量の添加剤で175〜190℃の温度に感受性でない、組成物全量基準で10重量%を超える濃度の少なくとも1種の吸湿性又は親水性の感熱性添加剤を含んでなり、この組成物を、基体の少なくとも一方の表面に175〜290℃の温度で押出被覆することによって、少なくとも0.0075mmの厚さを有するポリエチレンフィルムで基体を低温押出被覆する。
本発明の特別の態様に従った、約0.0075mmのように薄い厚さを有するポリエチレン型フィルムでの基体の低温押出被覆方法は、約550゜F(290℃)より低い温度で1分間当たり少なくとも約300m(約1,000フィート)の基体の被覆速度でさえもこの厚さで良好な接着性で実質的に均一に被覆することができる。本発明の方法は、上記の組成物を基体の少なくとも一方の面に、約350〜550゜F(約175〜290℃)の範囲内の温度で押出被覆することにより適用することからなる。この押出被覆温度は約400〜525゜F(約205〜275℃)の範囲内であることが好ましい。ある種の適用に於いては、この押出被覆温度は約350〜480゜F(約175〜250℃)の範囲内であることが好ましい。しかしながら、樹脂被覆を目的とする印画紙にとっては、この温度範囲は約450〜525゜F(約230〜275℃)であることが好ましい。
本発明の押出被覆方法に従えば、(A)190℃で約10〜100dg/分のメルトインデックスを有し、十分広い分子量分布を有し、そうして得られた組成物が350〜550゜F(約175〜290℃)の温度で押出被覆することができるポリエチレン成分、(B)ポリエチレン成分及び粘着付与剤の合計の重量基準で約0.5〜15重量%の、約90〜150℃の範囲内のRBSPを有する炭化水素粘着付与樹脂(粘着付与剤)、並びに(C)高温で不所望の欠陥を生ずるのに十分な量の揮発分を含む、高配合量の添加剤で175〜190℃の温度に感受性でない、組成物全量基準で10重量%を超える濃度の少なくとも1種の吸湿性又は親水性の感熱性添加剤を含んでなる組成物を、基体の少なくとも一方の表面に175〜290℃の温度で押出被覆することを含んでなる、少なくとも0.0075mmの厚さを有するポリエチレンフィルムで基体を低温押出被覆した製造物品が提供される。
上に定義したポリエチレン成分のメルトインデックスは、それが得られた組成物を、或るレベルの粘着付与剤と組み合わせて、必要な温度、厚さ及び速度で基体に良好な接着性で押出被覆することができるようなものでなくてはならない。ポリエチレン組成物は種々のレベルの粘着付与剤と組み合わせてこれらの性質を有していなくてはならないが、得られる組成物はそのように限定されず、必ずしも粘着付与剤の全ての濃度でこれらの性質に合致しなくてはならないことはない。特に、良好な接着性を維持するために必要な0.5〜15重量%の粘着付与剤の量は、一定押出吐出量速度で押出速度に比例し、被覆厚さ及び押出温度に反比例する。即ち、押出速度が増加すると粘着付与剤の量を増加させることが必要であり、被覆厚さ又は押出温度が低下すると粘着付与剤の量を増加させることが必要であろう。
本発明の実施に有用なポリエチレン組成物は約10〜100dg(デシグラム)/分の範囲以内の190℃でのメルトインデックスを有する材料である。好ましくは、ポリエチレン成分は約15〜80dg/分の範囲内のメルトインデックスを有する材料であり、約20〜70の範囲内のメルトインデックスを有する材料が最も好ましい。
また、本発明の実施に使用されるポリエチレン成分は、190℃での約15〜125dg/分の範囲内のメルトインデックスを有する最終組成物を与えるように選択することができる。好ましいポリエチレン材料は、約30〜90dg/分の範囲内のメルトインデックスを有する最終組成物を与えるものであり、30〜80dg/分の範囲内のメルトインデックスを有する最終組成物が最も好ましい。
本発明の実施に有用なポリエチレン材料は、密度が変化するポリエチレンのブレンドのように典型的には約0.915g/cc〜0.96g/ccの範囲内の密度を有している。約0.915g/cc〜0.945g/ccの範囲内の密度を有するポリエチレンが現在好ましい材料である。
本発明の実施に使用されるポリエチレン材料は十分に広い分子量分布を有し、そうして得られる組成物が約350〜550゜F(約175〜290℃)の範囲内の温度で押出被覆することができることが望ましい。当業者は、非常に狭い分子量分布の材料が望ましい押出被覆適用のために適当でなく、一方、非常に広い分子量分布までの中間のものを有する材料が望ましい押出被覆適用のために一層適していることを認めている。典型的に、本発明の実施に使用される材料は、少なくとも約7の多分散度指数、即ち重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比を有するであろう。
本発明の実施に使用されるポリエチレン材料が、示差走査熱量計(DSC)で測定して、少なくとも約95℃の最低融点開始温度(minimum melting point onset temperature)を有することも望ましい。このような溶融特性を有する材料は押出被覆適用のために優れた加工特性を与える。
感熱添加剤を含まない例示的組成物のDSC曲線を図1に示す。このDSC曲線を得るのに使用した組成物は、約32dg/分のメルトインデックス及び約0.915g/ccの密度を有する材料である。この材料は、約20dg/分のメルトインデックスを有する低密度ポリエチレン90重量%をNIREZ(商標)1135粘着付与樹脂10重量%とブレンドすることにより製造した。この図から、この試料は約105℃の実際の融点で、96.1℃の開始融点(図示するように外挿により決定)を有することが分かる。
比較のために、幾つかの先行技術の市販のポリエチレン押出被覆組成物についてのDSC曲線を図2a〜2dに示す。図2aに、BYNEL CXAについてのDSC曲線を示す。BYNEL CXA(商標)はデュポン社から入手でき、高い酸性官能性と組み合わせて温度安定性エステルを含むエチレンターポリマーとして特徴付けられる。図2bに、ADMER 507(商標)についてのDSC曲線を示す。ADMER 507は三井石油化学(株)から入手でき、エチレン−ビニルアルコール型ポリオレフィンへの接着のための「ポリオレフィンブレンド」として特徴付けられる。デュポン社から入手できるSURLYN 8255(商標)を図2cに示す。ダウ社から入手できるPRIMACOR 3440(商標)を図2dに示す。この材料はエチレン−アクリル酸コポリマーである。これらの先行技術の材料の夫々は、本発明のポリエチレン粘着付与剤組成物ブレンドの立上り融点(onset melting point)よりも実質的に低い立上り融点を有していることが分かる。
本発明の実施に有用なポリエチレン材料は、比較的高純度のエチレンを攪拌した反応器中で約1,000気圧より高い圧力及び約200℃より高い温度で、例えば、ジ−第三級ブチルパーオキシドのような過酸化物触媒を使用して重合させることにより製造できる。メタン、エタン、二酸化炭素等のような不活性の物質を含むより低い純度のエチレンを、エチレン供給物中に含有させてその純度を調節することができる。適当な低密度ポリエチレンの製造についての更に一般的な詳細なことの刊行物は、Renfrew及びMorgan著の教科書Polytheneの11〜17頁並びにThomasson、McKetta及びPonder著のPetroleum Refiner(1956年)の191頁の記事である。
本発明のポリエチレン組成物は、ポリエチレンコポリマー及びプロピレンホモポリマー又はコポリマーのような他のポリオレフィンを少量含むポリエチレンブレンドであってもよい。この他のポリマーオレフィンの少量は、一般的に約40重量%よりも少なく、好ましくは約20重量%よりも少なく、約10重量%よりも少ないことが最も好ましい。
本発明の組成物で有用である粘着付与樹脂は、約90〜150℃のRBSPを有し、米国特許第3,701,760号に開示されている方法により製造されるDAC−B炭化水素樹脂並びに他の炭化水素樹脂類、合成及び天然ポリテルペン類、ロジンエステル類等のような炭化水素樹脂であってよい。好ましい粘着付与樹脂は、そのより良い色特性のために合成粘着付与樹脂である。無色の粘着付与樹脂(water white tackifying resins)は特に印画紙用に一層好ましい。
適当な炭化水素粘着付与樹脂の一つは、130℃の軟化点を有し、Eastman Chemical Products,Inc.からEastman Resin H−130(商標)として市販されている炭化水素樹脂である。適当な炭化水素粘着付与樹脂である市販の樹脂の他の例には、Goodyear Tire and Rubber Co.により販売されているWINGTACK 95(商標)、Swift Adhesives CompanyのReichhold Divisionにより販売されているSTA−TAC(商標)及びSUPER STA−TAC(商標)並びに(Eastman Chemical Products,Inc.から販売されている)C5炭化水素の水素化ポリマーであるEASTOTAC(商標)が含まれる。他の炭化水素粘着付与樹脂は、主としてオレフィン類及びジオレフィン類からなり、例えば、イソプレンの製造から得られる残留副生モノマーを含むモノマーの重合によって製造することができる。これらの炭化水素粘着付与樹脂は、典型的に約90〜150℃のRBSP、約0〜2の酸価及び約1より小さい鹸化価を示す。好ましい炭化水素粘着付与樹脂はより高い官能性を示す。また適当な粘着付与剤は、好ましい粘着付与剤であるPICCOTEX 120(商標)(Hercules Chemicalから入手できる)、即ちα−メチルスチレンとビニルトルエンとのコポリマーのようなビニル芳香族モノマーのポリマーである。この材料は約120℃のRBSPを有している。
追加の適当な樹脂は、ロジンエステル樹脂並びにアロ−オシメン、カレン、異性化したピネン、ピネン、ジペンテン、テルピネン、テルピノレン、リモネン、テルペンチン、テルペンカット又は留分及び種々の他のテルペン類を含む、脂環式、単環及び二環モノテルペン及びそれらの混合物のようなテルペン炭化水素の重合及び/又は共重合により得られる、二量体を含むポリマー樹脂状材料並びに高分子ポリマーのようなテルペンポリマーである。他の有用な樹脂エステルは、Arizona Chemicalから入手できるZonester(商標)製品群のような、約7〜16の酸価及び約100〜110℃のRBSPを有するロジンのペンタエリトリトールエステルである。一つのこのような樹脂は、100℃のRBSP及び約11の酸価を有するトール油ロジンのペンタエリトリトールエステルである。最も好ましい粘着付与剤は、最も好ましい粘着付与剤であるSwift Adhesives CompanyのReichhold Divisionから入手できる125〜140℃のRBSPを有するNIREZ 1135を含むβ−ピネン類から重合したNIREZ(商標)ポリテルペンのようなポリテルペン類である。
本発明の組成物に使用される粘着付与樹脂の量は、広範囲に変わり、典型的にポリエチレン成分及び粘着付与樹脂の合計重量基準で約0.5〜15重量%の範囲内に入る。粘着付与樹脂の好ましい量は約1〜10重量%の範囲内に入る。粘着付与剤のこれらのレベルで粘着付与剤の量当たりの最大接着力が得られるので、これらの量が好ましい。即ち、所定の厚さでより低いレベルの粘着付与剤で、低下した接着力が観察され、一方より高いレベルの粘着付与剤で少し増大した利点が得られる。
好ましい粘着付与剤は無色であるが、これは使用のために、特に写真目的のために粘着付与剤を不十分にする時間で変色し劣化するであろう。それでこれらの粘着付与剤を、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のような安定剤で安定化することが重要である。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例には、IRGANOX 1076、IRGANOX 1010等のようなブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びその誘導体が含まれ、IRGANOX 1010が最も好ましい。IRGANOX(商標)安定剤はCiba−Geigyから入手できる。組成物に使用される安定剤の量は、組成物中に存在する粘着付与剤の量に直接比例する。この安定剤の量は一般にポリエチレン及び粘着付与剤の合計基準で約0.1〜0.3重量%の範囲内である。安定剤のこの量は約0.1〜0.2重量%であることが好ましい。
本発明で使用することができる感熱性添加剤としては、(1)従来法におけるような相対的に高い含有量の、相対的に高い押出温度での押出被覆に於いて不所望の欠陥を作ることができる量の揮発物を含む添加剤及び(2)600゜F(315℃)よりも低いがポリエチレンの融点よりも高い温度で分解又は揮発する添加剤が含まれる。本発明者等は、押出被覆の間に比較的多量の揮発物を含むか又は作る感熱添加剤が、約600゜F(315℃)より高い通常の押出被覆温度で濃度制限があることを見出した。換言すると、これらの添加剤の含有量が比較的高いと、通常の押出被覆温度で気孔、レーシング(lacing)、顔料ライン、湿分ライン、泡などのようは不所望の欠陥を作ることを見出した。本発明者等は、これらの不所望な欠陥が、添加粒子上又は粒子中に水和水を含む水のような化合物が吸収又は吸着された微粒状の添加剤からの揮発物の放出によるものであることを見出した。本発明者らは、押出温度を25℃〜290℃(50゜F〜550゜F)のように下げることにより、これらの揮発物が生成被覆に不所望の欠陥を作るような形で放出されないことを意外にも見出した。比較的高い蒸気圧を有するか又は容易に放出される揮発物は重要ではなく、これらの揮発物は押出に際し、かなり早く蒸発するか又は放出され、押出機から後方にベントされるので、被覆に欠陥を生じない。
本発明の方法によれば、吸湿性又は親水性の大抵の添加剤を高い配合量で含む組成物を成功裡に押出被覆することができる。従って、本発明は、従来、その揮発分含量のために通常押出被覆することができなかった添加剤を押出被覆方法で新たに使用することができるようにしたのである。
多量の揮発物を含有する添加剤又は添加剤の組合せの好ましい含有量は、組成物全量基準で約10重量%を超え、更に好ましくは20重量%を超え50重量%以下である。適当な添加剤の例には、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化珪素、珪藻土、タルク、酸化亜鉛、種々のカーボンブラック、アナターゼ型及びルチル型の二酸化チタン等並びにこれらの混合物が含まれる。最も好ましい添加剤はカーボンブラック及び二酸化チタンである。しかしながら、6%のように低い濃度でカーボンブラックのようなある種の添加剤は、先行技術の方法によって成功裡に押出被覆することができない。
写真への適用の場合に、添加剤の通常の濃度は普通約20%よりも少ない。これについて、二酸化チタンと酸化亜鉛との組合せは、9〜18%の範囲内の二酸化チタンと0〜3%の範囲内の酸化亜鉛とで一般に約18%よりも少ない。他の添加剤は全部で約1%以下であり、これには光学増白剤、安定剤、酸化防止剤及び着色剤が含まれる。本発明の方法は、18%よりも多く約50%以下の二酸化チタンの量を許容し、全量基準で18%よりも多いが50%よりも少ない二酸化チタンと酸化亜鉛との合計の組合せで3%より多い酸化亜鉛を許容する。二酸化チタン及び酸化亜鉛をこのように増加させると、不透明度、白色度、明度及び画像鮮鋭度を改良することができる。
通常の押出温度(600゜F、315℃)で又はそれよりも低くてそれ自体分解又は揮発する添加剤は、最終被覆物に望ましくない不完全性を起こし得るし、そして/又はその元の形及び/又は濃度で存在しない。これらの温度で分解又は揮発する適当な添加剤の例には、フタロシアニン類のような有機着色剤、有機酸化防止剤、有機帯電防止剤、スリップ剤、光学的増白剤、滑剤等が含まれる。これらの添加剤の量は好ましくは全量基準で約0.05〜10重量%の範囲内である。更に好ましくは約0.1〜5重量%であり、約0.1〜3重量%が最も好ましい。
更に、比較的高い温度で分解する他の適当な添加剤には、好ましくは約10重量%以下の生物分解性有機ポリマーが含まれる。用語「生物分解性有機ポリマー」により意図される化合物には、環境中に豊富に存在する微生物の存在下でそれ自体固有的に直接酵素鎖開裂に感受性であるポリマー物質が含まれる。上記の定義により意図される代表的な物質には、コーンスターチのようなポリマー炭水化物が含まれる。
使用するとき、生物分解性有機ポリマーの量は全量基準で約1〜10重量%の範囲内が典型的である。好ましくは、約4〜6重量%の範囲内の生物分解性有機ポリマーが使用されるであろう。
他の添加剤、即ち安定剤、充填材等を本発明の組成物に添加することができる。このような材料はポリマーブレンドを形成する成分中に存在していてよく、又は、ポリマーをブレンドして押出被覆組成物を形成するとき添加することができる。
本発明の組成物には更に、約25〜200ppmの遷移金属プロオキシダント(pro−oxidant)が含まれていてもよい。本発明の実施に際して使用することができる遷移金属化合物は、コバルト、マンガン及び銅のような遷移金属と十分に高い分子量の有機酸とを、使用されるポリマーブレンド中に可溶性である塩を得るように組み合わせることによって形成される塩である。
本明細書で使用する、用語「遷移金属」は、イオン種の外殻に8個より多く18個より少ない電子を有する元素を含むことが意図される。即ち、遷移金属は通常それらの外殻間で電子遷移が可能である。そして、その結果である可変性原子価状態はこれらの元素を酸化反応を誘導し得るようにする。実際に、非常に毒性であるか、そして/又は放射性であるこれらの遷移元素は非常に少ないか又は高価であり、それで通常酸化触媒として工業的な使用には遭遇しない。その塩及び錯体がこのような応用に有用である一層典型的に遭遇する遷移金属には、セリウム、亜鉛、銅、銀、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム及びバナジウムが含まれる。これらの元素は、ポリマー溶融物中の適当なレベルの溶解性を有するような塩の形で使用することができ、この形には典型的に、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、ベヘン酸塩、ミリスチン酸塩、エルカ酸塩、リノレン酸塩、ナフタン酸塩(naphthanate)又はアセトニルアセテート、8−ヒドロキシキノリン酸塩、金属アミン錯塩体などのような錯体、並びにこれらの2種又はそれ以上の混合物のような形が含まれる。
使用するとき、プロオキシダントの好ましい量は、ポリエチレン組成物の全重量基準で約100〜150ppmの範囲内である。
本発明の組成物は、ドライブレンドし、次いでコンパウンディング押出機を通すこと、ミリングロールでコンパウンディングすること又はバンバリーミキサーで溶融することなどのような種々の方法で製造することができる。成分をブレンドするどのような方法も、本発明で有用である。例えば、夫々のポリマーのペレットを機械的にブレンドし、次いでそのブレンドを押出機に入れ、そこで溶融し押し出す。
上記の利点に加えて、本発明者等は、本発明の低温押出方法により最終被覆製品のカールの量が減少すること並びに押出被覆方法自体を行うために必要なエネルギーの量が減少することを見出した。
本発明の押出被覆材料を基体に適用する方法は当該技術分野でよく知られており、当業者の技術の範囲内に十分入る。同様に、2種又はそれ以上の基体の押出/ラミネートのために本発明の押出被覆材料を使用する方法は当該技術分野でよく知られている。当該技術分野のこれらの技術によって、このような方法に本発明の組成物を容易に適用することができる。
本発明の実施に際して使用することができる基体には、紙、印画紙、板紙、繊維、ポリマー材料、金属箔等が含まれる。ポリマー材料には、ポリオレフィン又は官能的に変性したポリオレフィン、ポリエステル又は官能的に変性したポリエステル、エチレン−ビニルアルコールコポリマー又は官能的に変性したその誘導体、ポリアミド又は官能的に変性したポリアミド等が含まれ、更に二酸化チタン、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムのような微小気孔形成剤/顔料を含む又は含まないエンボスした及び/又は配向したポリマー基体が含まれる。
本発明の組成物は、押出被覆方法により基体に適用する際に、破壊的結合を形成する。即ち、基体−被覆物結合は、基体から被覆物を分離するために力を掛けたとき、被覆物又は基体の何れかの破壊を起こすほど十分強い。
本発明をその好ましい態様の下記の実施例によって更に説明するが、これらの実施例は単に例示の目的のために含まれるものであり、他に特に示さない限り本発明の範囲を限定することを意図するものではないことはいうまでもない。
実施例 下記の5例は、粘着付与剤の量の押出速度及び被覆厚さに対する関係を示す。下記の5例に於ける試料は下記の同一条件下で押出被覆した。
押出物温度 :360゜F(182℃)
ダイ開口 :0.020インチ(0.508mm)
押出排出速度 :10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)
ダイ開口とニップとの距離:5.25インチ(133.35mm)
ラミネーターの最大速度 :1400fpm(430m/分)
押出機バレル、アダプター及びダイでのヒーターの設定は388℃(198℃)又はそれより低かった。
これらの例は図3のグラフにより一層容易に理解される。このグラフは、下記の5例の夫々について、厚さに対する、優れた接着性を与えるために必要な粘着付与剤の最小レベルの関係を示す。
下記の5例は、双曲線関係: (t)(N)=2(式中、tはミルで表した粘着付与剤変性ポリエチレンの厚さであり、Nは重量%で表したポリエチレン中の粘着付与剤(Nirez 1135)のレベルである)
をプロットした。この観察は、ラミネートした紙対紙構造中の2ミル(0.00508mm)のポリエチレン厚さが、優れた接着力を得るために僅かに1重量%の粘着付与剤の最小レベルを必要とすることを予示している。この観察はまた、0.2ミルのより薄いポリエチレンラミネートが良好な接着力のためにより高いレベル(10重量%)の粘着付与剤を必要とすることが予測される。
例1 1重量%の粘着付与剤Nirez 1135(約135℃のRBSPを有する重合したβ−ピネン)を含む70dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、クラフト紙に対して天然クラフト紙をラミネートするために使用した。押出物温度は360゜F(182℃)であった。ダイ吐出速度は10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)であった。ラミネートを均一厚さを与える押出機で1,400fpm(430m/分)で引き取った。最終厚さは0.3ミル(0.0075mm)であった。この厚さ及び速度で材料は良好な接着力を有していなかった。しかしながら、この材料は少なくとも2ミル(0.0508mm)の厚さで200fpm(61m/分)を含むこれ以下のより遅い被覆速度でクラフト紙の両方の層に繊維引き裂き(破壊的)接着力を与えた。
例2 2重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む70dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、クラフト紙に対して天然クラフト紙をラミネートするために使用した。押出物温度を360゜F(182℃)であった。ダイ吐出速度は10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)であった。ラミネートを均一厚さを与える押出機で1,400fpm(430m/分)で引き取った。最終厚さは0.3ミル(0.0075mm)であった。この厚さ及び速度で材料は良好な接着力を有していなかった。しかしながら、この材料は(少なくとも1ミル(0.0254mm)の厚さで)400fpm(122m/分)を含むこれ以下のより遅い被覆速度でクラフト紙の両方の層に繊維引き裂き(破壊的)接着力を与えた。
例3 3重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む70dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、クラフト紙に対して天然クラフト紙をラミネートするために使用した。押出物温度を360゜F(182℃)であった。ダイ吐出速度は10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)であった。ラミネートを均一厚さを与える押出機で1,400fpm(430m/分)で引き取った。最終厚さは0.3ミル(0.0075mm)であった。この厚さ及び速度で材料は良好な接着力を有していなかった。しかしながら、この材料は(少なくとも0.75ミル(0.019mm)の厚さで)600fpm(183m/分)を含むこれ以下のより遅い被覆速度でクラフト紙の両方の層に繊維引き裂き(破壊的)接着力を与えた。
例4 5重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む32dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、クラフト紙に対して天然クラフト紙をラミネートするために使用した。押出物温度を360゜F(182℃)であった。ダイ吐出速度は10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)であった。ラミネートを均一厚さを与える押出機で1,400fpmで引き取った。最終厚さは0.3ミル(0.0075mm)であった。この厚さ及び速度で材料は良好な接着力を有していなかった。しかしながら、この材料は(少なくとも0.4ミル(0.0102mm)の厚さで)1,000fpm(307m/分)の被覆速度でクラフト紙の両方の層に繊維引き裂き(破壊的)接着力を与えた。
例5 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む36dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、クラフト紙に対して天然クラフト紙をラミネートするために使用した。押出物温度を360゜F(182℃)であった。ダイ吐出速度は10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)であった。ラミネートを均一厚さを与える押出機で1,400fpm(430m/分)で引き取った。最終厚さは0.3ミル(0.0075mm)であった。この材料は(0.3ミル(0.0075mm)の厚さで)1,300fpm(396.5m/分)でクラフト紙の両方の層に繊維引き裂き(破壊的)接着力を与えた。
下記の10例は、約300m/分を超える押出被覆速度で少なくとも約0.0075mmの必要最小被覆物厚さを得る際のメルトインデックスの限界を示す。試料は下記の同一条件下で押出被覆した。
押出物温度 :440゜F(227℃)
ダイ開口 :0.020インチ(0.508mm)
押出排出速度 :10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)
ダイ開口とニップとの距離:5.25インチ(133.35mm)
ラミネーターの最大速度 :1400fpm(430m/分)
押出機バレル、アダプター及びダイでのヒーターの固定は460゜F(238℃)又はそれより低かった。
例6 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む3.5dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。押出物エッジ引き裂き(extrudate edge tear)により制限されるので、325fpm(約100m/分)の最大速度で1.3ミル(0.033mm)の最小厚さを得ることのみが可能であった。
例7 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む7.0dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。押出物エッジ引き裂きにより制限されるので、475fpm(145m/分)の最大速度で0.9ミル(0.023mm)の最小厚さを得ることのみが可能であった。
例8 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む13dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。押出物エッジ引き裂きにより制限されるので、875fpm(255m/分)の最大速度で0.5ミル(0.013mm)の最小厚さを得ることのみが可能であった。
例9 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む20dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。押出物エッジ引き裂きにより制限されるので、1,050fpm(320m/分)の最大速度で0.4ミル(0.010mm)の最小厚さを得ることのみが可能であった。
例10 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む32dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。1,400fpm(430m/分)を超える最大速度で0.3ミル(0.0075mm)よりも小さい最小厚さを得ることのみが可能であった。押出物エッジ引き裂き又はエッジウイービング(edge weabing)は1,400fpm(430m/分)の被覆速度で観察されなかった。
例11 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む50dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。1,400fpm(430m/分)を超える最大速度で0.3ミル(0.0075mm)よりも小さい最小厚さを得ることが可能であった。押出物エッジ引き裂き又はエッジウイービングは1,400fpm(430m/分)の被覆速度で観察されなかった。
例12 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む80dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。1,400fpm(430m/分)を超える最大速度で0.3ミル(0.0075mm)よりも小さい最小厚さを得ることのみが可能であった。押出物エッジ引き裂き又はエッジウイービングは1,400fpm(430m/分)の被覆速度で観察されなかった。
例13 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む100dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。押出物エッジの大きなウイービングにより制限されるので、350fpm(107m/分)の最大速度で1.2ミル(0.030mm)の最小厚さを得ることのみが可能であった。
例14 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む130dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。押出物エッジの大きなウイービングにより制限されるので、275fpm(84m/分)の最大速度で1.5ミル(0.039mm)の最小厚さを得ることのみが可能であった。
例15 10重量%の粘着付与剤Nirez 1135を含む200dg/分のメルトインデックスのポリエチレンを、上記のようにして押出被覆した。押出物エッジの大きなウイービングにより制限されるので、200fpm(61m/分)の最大速度で2.1ミル(0.053mm)の最小厚さを得ることのみが可能であった。
下記の例は、通常の押出温度で通常不満足な不完全性を作る揮発物を多量含有する添加剤を比較的高い含有量で含む押出被覆組成物に対する本発明の能力を示す。
例16 この例は、吸湿性添加剤濃度及び押出被覆方法に於ける押出物温度の関数として写真品質紙被覆樹脂組成物の被覆多様性を示す。下記の表1に示すように吸湿性添加剤のレベルを変えるために、濃度を変えた下記の二つの組成物をドライブレンドした。
コンセントレート組成物1: 37.57重量% アナターゼ型二酸化チタン 9.0% 酸化亜鉛 1.5% ステアリン酸亜鉛 0.15 光学的増白剤 0.2779 Irganox 1076 0.5 無機青色顔料 0.02% 有機赤色顔料 残りは4dg/分のメルトインデックス及び0.92g/ccの密度を有するポリエチレンである。
コンセントレート組成物2: 10% Nirez 1135 0.1% Irganox 1010 残りは20dg/分のメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するポリエチレンである。
下記の表1の試料を下記の条件下で押出被覆した。
ダイ開口 :0.020インチ(0.508mm)
押出吐出速度 :10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)
ダイ開口とニップとの距離:5インチ(127mm)
被覆重量 :33g/m2

上記の例は、本発明の方法が、もし適当な押出温度を選択するならば、ある種の吸湿性添加剤の高い含有量で完全な押出被覆物を作ることができることを示している。
例17 下記の例は、粘着付与剤無しで600゜F(315℃)で及び粘着付与剤有りで495゜F(257℃)で押し出す場合の、粘着付与剤の量の紙とポリエチレンとの間の接着力レベルに対する関係を示す。これらの被覆物は低密度ポリエチレンを使用して写真グレードの紙の上に作った。その結果を下記の表2に示す。この例は下記の条件下で押出被覆した。
押出物温度 :下記参照 ダイ開口 :0.040インチ(1.016mm)
押出吐出速度 :6.3ポンド/時間/ダイ幅インチ(112.5g/時間/mm)
ダイ開口とニップとの距離:5.25インチ(133.35mm)
コロナ放電処理(CDT) :有り 被覆重量 :48g/m2

この例は、低温でのポリエチレンと写真グレード紙との間の接着力が粘着付与剤の量を増加させることによって改良され、600゜F(315℃)で粘着付与剤無しでの押出被覆により得られる接着力が、或る量の粘着付与剤で495゜F(257℃)での押出により合致させるか又は超えることができることを示している。
例18 この例は、表3に示されるように、二酸化チタンの量を、下塗被覆物欠陥を作ることなく樹脂被覆写真グレード紙の樹脂層中に著しく増加できることを示す。
押出物温度 :表3参照 ダイ開口 :0.040インチ(1.016mm)
押出吐出速度 :6.3ポンド/時間/ダイ幅インチ(112.5g/時間/mm)
ダイ開口とニップとの距離:5.25インチ(133.35mm)
CDT :有り

この例は、600゜F(315℃)で押し出すことができる二酸化チタンの量が被覆物の品質によって制限されることを示す。しかしながら、この品質制限は粘着付与剤がより低い温度で存在するときは存在しない。本発明は、印画紙の白色度、明るさ、明度及び画像鮮鋭度に於ける潜在的改良をもたらす。更に、押出被覆物の厚さも、樹脂被覆写真支持体の品質を損なうことなく、実質的に減少させることができる。
例19 この例は、吸湿性添加剤濃度及び押出被覆方法に於ける押出物温度の関数として被覆物品質を示す。下記の表4に示すように吸湿性添加剤のレベルを変えるために、濃度を変えた下記の二つの組成物をドライブレンドした。
コンセントレート組成物1: 30% 水1%を含むカーボンブラック 残りは12dg/分のメルトインデックス及び0.918g/ccの密度を有するポリエチレンである。
コンセントレート組成物2: 10% Nirez 1135 0.1重量% Irganox 1010 残りは20dg/分のメルトインデックス及び0.916g/ccの密度を有するポリエチレンである。
表4の下記の試料を下記の条件下で押出被覆した。
押出物温度 :表参照 ダイ開口 :0.020インチ(1.508mm)
押出吐出速度 :10ポンド/時間/ダイ幅インチ(178.6g/時間/mm)
ダイ開口とニップとの距離:約5インチ(127mm)
被覆重量 :33g/m2

本発明をその好ましい態様を特に参照して詳細に記載したが、その変形及び修正が本発明の精神及び範囲内で有効であることは言うまでもない。
以下に、本発明の具体的態様のいくつかを列挙する。
1.(a)190℃で10〜100dg/分のメルトインデックスを有し、そして得られた組成物を175〜290℃の温度で押出被覆することができる、十分広い分子量分布を有する、ポリエチレン成分、(b)(a)及び(b)の合計の重量基準で0.5〜15重量%の範囲内の、90〜150℃のRBSPを有する炭化水素粘着付与樹脂、並びに(c)(1)相対的に高い含有量の、十分な量の相対的に高い押出温度で不所望な欠陥を生じる揮発物を含む添加剤及び(2)通常の押出被覆温度で又はそれよりも低い温度で分解又は揮発する添加剤から選択された、少なくとも1種の感熱性添加剤を含んでなる、基体に対する良好な接着性を有する低温押出被覆可能な組成物。
2.前記ポリエチレン成分が20〜80dg/分のメルトインデックスを有する第1項記載の組成物。
3.前記炭化水素粘着付与樹脂が、1〜10重量%の範囲内で存在し、重合したβ−ピネン類、C5炭化水素の水素化ポリマー、α−メチルスチレン−ビニルトルエンコポリマー又はトール油ロジンのペンタエリトリトールエステルから選択される第1項記載の組成物。
4.前記粘着付与樹脂が重合したβ−ピネンである第3項記載の組成物。
5.前記感熱性添加剤が粒子の中又は上に吸収又は吸着された化合物を有する微粒子状添加剤である第1項記載の組成物。
6.前記感熱性添加剤が吸湿性又は親水性添加剤である第1項記載の組成物。
7.前記感熱性添加剤がカーボンブラック及び二酸化チタンから選択される第6項記載の組成物。
8.前記吸湿性又は親水性の添加剤が全量基準で10重量%を超える濃度で組成物中に存在する第6項記載の組成物。
9.前記吸湿性又は親水性の添加剤が全量基準で20重量%を超え50重量%以下の濃度で組成物中に存在する第8項記載の組成物。
10.前記感熱性添加剤が、有機着色剤、有機酸化防止剤、有機帯電防止剤、スリップ剤、光学的増白剤及び滑剤から選択される第1項記載の組成物。
11.前記感熱性添加剤が全量基準で0.05〜10重量%の濃度で存在する第10項記載の組成物。
12.(a)第1項に記載の組成物を、175〜290℃の温度で押出被覆することによって基体の少なくとも一方の表面に適用することを含んでなる、少なくとも0.0075mmの厚さを有するポリエチレンフィルムでの基体の低温押出被覆方法。
13.前記基体が紙、印画紙、紙板、繊維、ポリマー材料及び金属箔から選択される第12項記載の方法。
14.前記基体が感熱性である第13項記載の方法。
15.第13項記載の方法により製造された物品。
16.(A)190℃で10〜100dg/分のメルトインデックスを有し、かつ十分広い分子量分布を有し、そして得られた組成物が175〜290℃の温度で押出被覆することができるポリエチレン成分、(B)全組成物の重量基準で0.5〜15重量%の、90〜150℃のRBSPを有する炭化水素粘着付与樹脂、並びに(c)(1)相対的に高い含有量の、十分な量の相対的に高い押出温度で不所望な欠陥を作る揮発物を含む添加剤及び(2)通常の押出被覆温度で又はそれよりも低い温度で分解又は揮発する添加剤から選択された、少なくとも1種の感熱性添加剤を含んでなるポリエチレン組成物を有する基体からなる製造物品。
17.前記基体が紙、印画紙、板紙、繊維、ポリマー材料及び金属箔から選択される第16項記載の製造物品。
18.前記基体が感熱性である第17項記載の製造物品。
19.前記物品が改良された不透明度、白色度、明るさ、明度又は画像鮮鋭度の印画紙である第17項記載の製造物品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)190℃で1〜200dg/分のメルトインデックスを有し、得られた組成物を175〜290℃の温度で押出被覆することができる分子量分布を有するポリエチレン成分、(b)(a)及び(b)の合計の重量基準で0.5〜15重量%の、90〜150℃のRBSPを有する炭化水素粘着付与樹脂、並びに(c)高温で不所望の欠陥を生ずるのに十分な量の揮発分を含む、高配合量の添加剤で175〜190℃の温度に感受性でない、組成物全量基準で10重量%を超える濃度の少なくとも1種の吸湿性又は親水性の感受性添加剤を含んでなる組成物を基体の少なくとも一方の表面に175〜290℃の温度で押出被覆することを含んでなる、少なくとも0.0075mmの厚さを有するポリエチレンフィルムで基体を低温押出被覆する方法。
【請求項2】前記基体が紙、印画紙、板紙、繊維、ポリマー材料及び金属箔から選択される請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項3】前記基体が感熱性である請求の範囲第2項に記載の方法。
【請求項4】(a)の押出被覆を300m/分を超える被覆速度で行なう請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項5】前記押出被覆温度が175〜250℃である請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項6】前記感熱性添加剤がカーボンブラック及び二酸化チタンから選択される請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項7】前記吸湿性又は親水性の感熱性添加剤が組成物全量基準で20重量%を超え50重量%以下の濃度で組成物中に存在する請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項8】前記ポリエチレン(a)が少なくとも7の多分散度指数を有する請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項9】(a)190℃で10〜100dg/分のメルトインデックスを有し、得られた組成物を175〜290℃の温度で押出被覆することができる分子量分布を有するポリエチレン成分、(b)(a)及び(b)の合計の重量基準で0.5〜15重量%の、90〜150℃のRBSPを有する炭化水素粘着付与樹脂、並びに(c)高温で不所望の欠陥を生ずるのに十分な量の揮発分を含む、高配合量の添加剤で175〜190℃の温度に感受性でない、組成物全量基準で10重量%を超える濃度の少なくとも1種の吸湿性又は親水性の感熱性添加剤を含んでなる組成物であって、他のポリオレフィンを前記ポリエチレン成分(a)の量以下であって40重量%未満の量で含む組成物を、基体の少なくとも一方の表面に175〜290℃の温度で押出被覆することを含んでなる、少なくとも0.0075mmの厚さを有するポリエチレンフィルムで基体を低温押出被覆する方法。

【第1図】
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【第2a図】
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【第2b図】
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【第2c図】
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【第2d図】
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【第3図】
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【特許番号】特許第3140462号(P3140462)
【登録日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【発行日】平成13年3月5日(2001.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−509091
【出願日】平成4年4月2日(1992.4.2)
【公表番号】特表平6−505766
【公表日】平成6年6月30日(1994.6.30)
【国際出願番号】PCT/US92/02578
【国際公開番号】WO92/17538
【国際公開日】平成4年10月15日(1992.10.15)
【審査請求日】平成11年4月2日(1999.4.2)
【出願人】(999999999)イーストマン ケミカル カンパニー
【参考文献】
【文献】特開 平2−230235(JP,A)
【文献】特開 昭59−179643(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開407309(EP,A1)