説明

ポリエーテルポリオールから製造された軟質ポリウレタンフォーム

【課題】軟質ポリウレタンフォームを製造するために際立って好適なポリエーテルポリオールを提供し、それを用いて亀裂のない軟質ポリウレタンフォームを製造する。
【解決手段】ポリイソシアネートと、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる少なくとも1種の連鎖並びにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる末端基を含有し、700〜50,000g/molの数平均分子量を有するDMC触媒作用により製造されたポリエーテルポリオールとの反応の生成物であり、該ポリエーテルポリオールは、50mol%を超える割合の第1級OH基を有する軟質ポリウレタンフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとから複金属シアン化物(DMC)触媒の存在下で製造された少なくとも1種の混合エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックを有する軟質ポリウレタンフォーム、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表現「軟質ポリウレタンフォーム」は、圧力に対し小さな抵抗しか発揮せず、連続気泡で空気透過性であり、可逆変形できるフォームを意味する。軟質ポリウレタンフォームの性質は、実質的に、その製造において使用するポリエーテルポリオール、ポリイソシアネートおよび添加剤(例えば、触媒および安定剤)の構造に依存する。ポリエーテルに関して、官能価、鎖長および使用エポキシドおよび結果として生ずるヒドロキシル基の反応性が、フォームの特性に大きな影響を及ぼす。
【0003】
ポリエーテルポリオールの製造は、ほとんど、アルキレンオキシドの多官能性出発化合物(例えば、アルコール、酸、アミドなど)への塩基触媒重付加により行われる(例えば、Gum, Riese & Ulrich (編): "Reaction Polymers", Hanser Verlag, ミュンヘン1992年, 第75〜96頁参照)。重付加完了後、触媒をポリエーテルポリオールから非常に複雑な方法で、例えば中和、蒸留および濾過により除去する。長鎖ポリエーテルを特に念入りに触媒残留物から無くさなければならない。そうでないと、望ましくない二次反応、例えばポリイソシアヌレート形成が発泡中に生じ得るからである。ポリエーテルポリオール中のカリウムおよびナトリウムイオン残留量は、ほんの数ppmにしか達しない。非常に低いアルカリ金属含有量を有するポリエーテルポリオールだけが、ポリウレタンエラストマーおよび軟質ポリウレタンフォームの製造のために好適である。塩基触媒作用により製造されたポリエーテルポリオールはまた、鎖長が増加するにつれ、単官能性ポリエーテル(いわゆるモノオール)含有量が絶えず増加し、官能価が減少するという欠点を有する。
【0004】
上記欠点を解消するために、ポリウレタンエラストマーの分野において複金属シアン化物(DMC)触媒を使用して製造され、それにより、非常に低いアリルエーテル(モノオール)含有量を有し、より高い官能価を示すポリエーテルポリオールを使用することが推奨される。そのような製造方法は、1960年代から知られている(US-A 3 427 256、US-A 3 427 334、US-A 3 427 335)。しかしながら、この製造法の欠点は、非常に複雑で費用のかかる触媒の除去である。
【0005】
より最近の特許出願(例えば、EP-A 700 949、EP-A 761 708、WO 97/40086、WO 98/16310、DE-A 19 745 120、DE-A 19 757 574、DE-A 198 102 269)中で、高活性改良DMC触媒が記載され、その非常に高い活性により該触媒は、触媒をポリエーテルポリオールから分離することがもはや不要になるような少量(触媒濃度≦50ppm)で使用することができる。これにより通例の塩基触媒法と比べてより経済的なポリエーテルポリオールの製造が可能となる。これらの生成物は、ポリウレタンエラストマーの製造に直接使用し得る。
【0006】
しかしながらその欠点は、通例の低分子量出発化合物(例えば、プロピレングリコール、グリセロールおよびトリメチロールプロパン)は一般にDMC触媒でアルコキシル化できないことである。それゆえDMC触媒は一般に、あらかじめ上記低分子量出発物から、例えば通例のアルカリ触媒作用(一般にKOHによる)、次いで、例えば中和、蒸留および濾過による複雑な回収により得られたオリゴマープロポキシル化出発化合物の使用を必要とする。
【0007】
ドイツ特許出願 198 17 676.7 は、全く回収段階の無い長鎖ポリエーテルポリオールの製造方法を記載し、その方法ではまず予備プロポキシル化出発化合物を、第 III A 族金属(1970年IUPAC 会議に対応する元素周期律表)のパーフルオロアルキルスルホネート(好ましくは、トリフラート(Triflaten))を用いる触媒作用により得て、次いで、触媒の分離および回収をせずに高活性DMC触媒により長鎖高分子量ポリエーテルポリオールに転化する。このようにして非常に経済的な長鎖ポリエーテルポリオールの製造が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US-A 3 427 256
【特許文献2】US-A 3 427 334
【特許文献3】US-A 3 427 335
【特許文献4】EP-A 700 949
【特許文献5】EP-A 761 708
【特許文献6】WO 97/40086
【特許文献7】WO 98/16310
【特許文献8】DE-A 19 745 120
【特許文献9】DE-A 19 757 574
【特許文献10】DE-A 198 102 269
【特許文献11】ドイツ特許出願 198 17 676.7
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Gum, Riese & Ulrich (編): "Reaction Polymers", Hanser Verlag, ミュンヘン1992年, 第75〜96頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながらその欠点は、DMC触媒を全く分離しないこの高活性DMC触媒を用いて非常に経済的に製造され得るポリ(オキシプロピレン)ポリオールが、軟質ポリウレタンフォームの製造のために好適でないことである。そのようなポリエーテルポリオールを軟質フォーム配合物中で使用すると、重大な亀裂形成につながる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
軟質ポリウレタンフォームを製造するために際立って好適なポリエーテルポリオールを、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる連鎖(以下、エチレンオキシド(EO)/プロピレンオキシド(PO)混合ブロックと称する)のDMC触媒導入により得られることを見出した。混合ブロックを、直接に予備プロポキシル化出発化合物に鎖末端まで付加するか、またはプロピレンオキシドブロックの後にだけ付加する。両方の場合において、プロピレンオキシドからなる末端基(以下、末端プロピレンオキシドブロックと称する)をまた付加することができる。
【0012】
そのようなポリエーテルポリオールをまた軟質ポリウレタンフォームの製造のために、フィラー含有ポリオール(例えば、ポリマーポリオール(スチレン-アクリロニトリルコポリマー)またはポリ尿素分散ポリオールなど)を同時使用せずに、および変性ポリイソシアネート(例えば、アロファネートポリイソシアネート、ビウレットポリイソシアネート)を用いずに使用し得る。この場合、触媒痕跡は、負の影響を全く示さない。
【0013】
従って、本発明は、ポリイソシアネートと、DMC触媒作用により製造され触媒を分離していない、少なくとも1種の混合エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックを有し、700〜15,000g/molの間の数平均分子量を有する長鎖ポリエーテルポリオールとの軟質ポリウレタンフォーム、およびその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フォームの空気透過性を測定するための流れ抵抗測定装置の該略図。
【図2】流れ抵抗測定装置用ガラス容器の該略図。
【図3】流れ抵抗測定装置用計量ヘッドの該略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ポリイソシアネートとして好適なものは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族および複素環ポリイソシアネートであり、例えば、Justus Liebigs Annalen der Chemie 562(1949年) 75 に記載されているようなものであり、例えば、次式で表されるものである:
Q(NCO)n
〔式中、
nは、2〜4の整数、好ましくは2であり、
Qは、2〜18個、好ましくは6〜10個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、4〜15個、好ましくは5〜10個のC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個、好ましくは6〜13個のC原子を有する芳香族炭化水素基、または8〜15個、好ましくは8〜13個のC原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を表す。〕
【0016】
好ましいものは、DE-OS 2 832 253 に記載されているようなポリイソシアネートである。一般に、工業的に容易に入手できるポリイソシアネート、例えば、2,4-トリレンジイソシアネートおよび2,6-トリレンジイソシアネート並びにこれら異性体の任意混合物(「TDI」)、アニリン-ホルムアルデヒド縮合、次いでホスゲン化により製造されたようなポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「粗MDI」)およびカルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、尿素基またはビウレット基を有するポリイソシアネート(「変性ポリイソシアネート」)、特に2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートから、または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導されたそれらの変性ポリイソシアネートを使用することが特に好ましい。
【0017】
本発明の方法において使用する長鎖ポリエーテルポリオールの製造を、アルキレンオキシドの活性水素原子含有出発化合物へのDMC触媒重付加により行う。
好適なDMC触媒は基本的に既知であり、上で列挙した先行技術に詳細に記載されている。例えば、EP-A 700 949、EP-A 761 708、WO 97/40086、WO 98/16310、DE-A 197 45 120、DE-A 197 57 574 および DE-A 198 102 269 に記載されている改良高活性DMC触媒を好ましくは使用する。典型例は、EP-A 700 949 に記載されており、複金属シアン化物化合物(例えば、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛)および有機錯体配位子(例えば、tert-ブタノール)に加えて、500g/molを超える数平均分子量を有するポリエーテルも含有する高活性DMC触媒である。
【0018】
活性水素原子を有する出発化合物として、(数平均)分子量18〜2,000g/molおよびヒドロキシル基1〜8個を有する化合物を好ましくは使用する。その例として、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、カンショ糖、分解デンプンまたは水を挙げることができる。
【0019】
より有利には、あらかじめ低分子量出発化合物から製造されており、(数平均)分子量200〜2,000g/molを有するオリゴマーアルコキシル化生成物を形成するそれらの活性水素原子含有出発化合物を使用する。好ましくは1〜8個のヒドロキシル基、特に好ましくは2〜6個のヒドロキシル基、および(数平均)分子量200〜2,000g/molを有するオリゴマープロポキシル化出発化合物を使用する。
【0020】
これらのオリゴマープロポキシル化出発化合物の低分子量出発物からの製造を、例えば通例のアルカリ触媒作用(例えば、KOHによる)、次いで例えば中和、蒸留および濾過による回収により、あるいはドイツ特許出願 198 17 676.7 に記載されているように第 III A 族金属(1970年IUPAC 会議に対応する元素周期律表)のパーフルオロアルキルスルホネートを用いる触媒作用により、その後触媒を分離せずに行い得る。
【0021】
次いでさらなるアルコキシル化を、高活性DMC触媒を用いて行う。本発明に従い予備プロポキシル化出発化合物を、混合EO/POブロックを質量比2/98〜90/10のいずれかで用いてDMC触媒により転化するか、またはさらにプロポキシル化し、次いで混合EO/POブロックと質量比2/98〜90/10のいずれかで反応させるか、またはまず混合EO/POブロックと質量比2/98〜90/10で反応させ、最後にもう一度POブロックと反応させるか、またはさらにプロポキシル化し、次いで混合EO/POブロックと質量比2/98〜90/10で反応させ、最後にもう一度POブロックと反応させる。
【0022】
DMC触媒アルコキシル化を、一般に20〜200℃の温度、好ましくは40〜180℃の範囲、特に好ましくは50〜150℃の温度で行う。反応を、全圧0.001〜20barで行い得る。重付加を、バルク中または不活性有機溶媒(例えば、トルエンおよび/またはTHF)中で行い得る。溶媒量は、製造するポリエーテルポリオールの量に対して通常10〜30質量%である。重付加を、連続的にまたはバッチ式に、例えばバッチ法またはセミバッチ法で行い得る。
【0023】
反応させる混合EO/POブロックの質量比は、2/98〜90/10、好ましくは5/95〜80/20である。DMC触媒作用により延長される混合EO/POブロックおよび純粋POブロックの長さは、各場合で、1〜1,000個のアルキレンオキシド単位、好ましくは2〜500個のアルキレンオキシド単位、特に好ましくは3〜200個のアルキレンオキシド単位である。
【0024】
DMC触媒作用により製造されたポリエーテルポリオールが末端混合EO/POブロックを有する場合、これらを、好ましくはエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物をEO:PO質量比40:60〜95:5、好ましくは50:50〜90:10、特に好ましくは60:40〜90:10で用いて製造する。そのようなポリエーテル中では、第1級OH基の割合は、好ましくは40〜95mol%、特に好ましくは50〜90mol%であり、ポリエーテルポリオール中のオキシエチレン単位全含有量は、好ましくは>25質量%、特に好ましくは>30質量%、最も特に好ましくは>35質量%である。
【0025】
本発明に従い軟質ポリウレタンフォームを製造するために使用する長鎖ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、700〜50,000g/mol、好ましくは1,000〜30,000g/mol、特に好ましくは1,500〜20,000g/molである。
【0026】
高活性DMC触媒の濃度は、製造するポリエーテルポリオールの量に対して5〜100ppm、好ましくは10〜75ppm、特に好ましくは15〜50ppmである。非常に低い触媒濃度により、ポリエーテルポリオールを、製品品質に悪影響を及ぼすことなく触媒を分離せずに軟質ポリウレタンフォームの製造に使用し得る。
【0027】
DMC触媒により製造し触媒を分離していない上記長鎖ポリエーテルポリオールに加えて、さらなるヒドロキシル基含有化合物(ポリオール)を、本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造のためのポリオール配合物中に使用し得る。これら自体既知のポリオールは、例えば、Gum, Riese & Ulrich (編): "Reaction Polymers", Hanser Verlag, ミュンヘン1992年, 第66〜96頁、および G. Oertel (編): "Kunststoffhandbuch, 第7巻, Polyurethanes", Hanser Verlag, ミュンヘン1993年, 第57〜75頁に詳細に記載されている。好適なポリオールの例は、上記引用文献中および US-A 3 652 639、US-A 4 421 872 および US-A 4 310 632 中で見出し得る。
好ましく使用するポリオールは、ポリエーテルポリオール(特に、ポリ(オキシアルキレン)ポリオール)およびポリエステルポリオールである。
【0028】
ポリエーテルポリオールの製造を既知の方法に従い、好ましくはアルキレンオキシドの活性水素原子含有多官能性出発化合物(例えば、アルコールまたはアミン)への塩基触媒重付加により行う。以下のものを例として挙げることができる:エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、カンショ糖、分解デンプン、水、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、ベンジルアミン、o-およびp-トルイジン、α,β-ナフチルアミン、アンモニア、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,2-、1,3-、1,4-、1,5-および/または1,6-ヘキサメチレンジアミン、o-、m-およびp-フェニレンジアミン、2,4-、2,6-トルイレンジアミン、2,2'-、2,4-および4,4'-ジアミノジフェニルメタンおよびジエチレンジアミン。
【0029】
アルキレンオキシドとして、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびこれらの混合物を使用する。アルコキシル化によるポリエーテル鎖の延長を、1種のモノマーエポキシドを用いるだけでなく、2種または3種の異なるモノマーエポキシドを用いて統計的にまたはブロック様に行い得る。
【0030】
そのようなポリエーテルポリオールの製造方法は、"Kunststoffhandbuch, 第7巻, Polyurethanes"中、"Reaction Polymers"中、および例えば、US-A 1 922 451、US-A 2 674 619、US-A 1 922 459、US-A 3 190 927 および US-A 3 346 557 中に記載されている。
【0031】
ポリエステルポリオールの製造方法も良く知られており、例えば、2つの上記引用文献("Kunststoffhandbuch, 第7巻, Polyurethanes"および"Reaction Polymers")中に記載されている。ポリエステルポリオールを、とりわけ多官能性カルボン酸またはそれらの誘導体(例えば、酸塩化物または無水物)と多官能性ヒドロキシル化合物とを重縮合することにより製造する。
【0032】
多官能性カルボン酸として、例えば次のものを使用し得る:アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸またはマレイン酸。
【0033】
多官能性ヒドロキシル化合物として、例えば次のものを使用し得る:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパンまたはグリセロール。
【0034】
さらに、ポリエステルポリオールの製造をラクトン(例えば、カプロラクトン)と出発物としてのジオールおよび/またはトリオールとの開環重合によっても行い得る。
【0035】
さらに、架橋成分を本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造において添加し得る。使用し得る架橋成分は、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、OH価<1,000を有するそのような架橋化合物とエチレンオキシドおよび/若しくはプロピレンオキシドとの付加物、または数平均分子量≦1,000を有するグリコールである。特に好ましいものは、トリエタノールアミン、グリセロール、TMPまたはそれらの低分子量EOおよび/またはPO付加物である。
【0036】
さらに、自体既知の補助物質および添加剤および/または難燃剤もさらなる成分として任意に添加し得る。これに関して補助物質は、特に自体既知の触媒および安定剤を意味すると理解される。例えば、メラミンを難燃剤として使用し得る。
【0037】
任意に添加し得る触媒は自体既知である。その例として、第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよび高級同族体(DE-A 26 24 527 および DE-A 26 24 528)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン(DE-A 26 36 787)、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-β-フェニルエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、単環および二環アミジン(DE-A 17 20 633)、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルエーテル(US-A 3 330 782、DE-A 10 30 558、DE-A 18 04 361 および DE-A 26 18 280)、並びに DE-A 25 23 633 および DE-A 27 32 292 によるアミド基(好ましくはホルムアミド基)含有第3級アミンを挙げることができる。
【0038】
また触媒として好適なものは、第2級アミン(例えばジメチルアミン)およびアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)またはケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンまたはシクロヘキサノン)およびフェノール類(例えば、フェノール、ノニルフェノールまたはビスフェノール)から形成される自体既知のマンニッヒ塩基である。イソシアネート基に対して活性な水素原子を有し、触媒として使用し得る第3級アミンは、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、これらとアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド)との反応生成物、および DE-A 27 32 292 による第2級-第3級アミンである。
【0039】
また触媒として好適なものは、炭素-ケイ素結合を有するシラアミンであり、例えば DE-A 12 29 290 に記載されており、例えば、2,2,4-トリメチル-2-シラモルホリンおよび1,3-ジエチルアミノメチルテトラメチルジシロキサンである。触媒として、窒素含有塩基(例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)、およびアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)、アルカリ金属フェノラート(例えばナトリウムフェノラート)、またはアルカリ金属アルコラート(例えばナトリウムメチラート)も使用し得る。ヘキサヒドロトリアジンも触媒として使用し得る(DE-A 17 69 043)。
【0040】
NCO基とツェレウィチノフ活性水素原子との間の反応も、ラクタムおよびアザラクタムにより大幅に加速される。最初に、ラクタムと酸性水素含有化合物との間で会合を形成する。そのような会合およびそれらの触媒作用は、DE-A 20 62 286、DE-A 20 62 289、DE-A 21 17 576、DE-A 21 29 198、DE-A 23 30 175 および DE-A 23 30 211 に記載されている。本発明において、有機金属化合物、特に有機スズ化合物も触媒として使用し得る。有機スズ化合物として、硫黄含有化合物(例えば、ジ-n-オクチルスズメルカプチド(DE-A 17 69 367、US-A 3 645 927))に加えて、好ましくはスズ(II)カルボン酸塩(例えば、スズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエートおよびスズ(II)ラウレート)およびスズ(IV)化合物(例えば、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートまたはジオクチルスズジアセテート)を使用し得る。
【0041】
明らかに、あらゆる上記触媒を混合物の形態で使用し得る。これに関して特に興味があるものは、有機金属化合物と、アミジン、アミノピリジンまたはヒドラジノピリジンとの組合せである(DE-A 24 34 185、DE-A 26 01 082 および DE-A 26 03 834)。さらに、DE-A 42 18 840 に記載されているようないわゆるポリマー触媒を触媒として使用し得る。これらの触媒は、アルカリ金属塩の形態で存在する、(数平均)分子量92〜1,000を有する三官能性またはより多官能性アルコールと分子内カルボン酸無水物との反応生成物である。該反応性生成物は(統計平均で)少なくとも2個、好ましくは2〜5個のヒドロキシル基、および少なくとも0.5個、好ましくは1.0〜4個のカルボキシレート基(カルボキシレート基の対イオンはアルカリカチオンである)を有する。出発成分の「反応生成物」は、カルボキシレート基含有量から明らかなように、真の反応生成物と過剰量のアルコールとの混合物でもあり得る。
【0042】
該反応生成物を製造するために好適な多価アルコールは、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、そのような多価アルコールの混合物、そのような多価アルコールの(数平均)分子量92〜1,000を有するアルコールアルコキシル化生成物、またはそのようなアルコール混合物のアルコキシル化生成物であり、そのアルコキシル化においてプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドを、任意に連続にまたは混合物として使用し得るが、好ましくはプロピレンオキシドのみを使用する。該反応生成物を製造するために好適な分子内カルボン酸無水物は、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水ピロメリト酸またはそのような無水物の任意混合物である。特に好ましくは、無水マレイン酸を使用する。
【0043】
使用し得る触媒のさらなる例および触媒の作用形式についての詳細は、Vieweg und Hoechtlen (編):Kunststoff-Handbuch, 第VII巻, Carl-Hanser-Verlag, ミュンヘン1966年, 第96〜102頁に記載されている。
触媒を、イソシアネートに対して反応性である少なくとも2個の水素原子を有する化合物の総量を基準に、たいてい約0.001〜10質量%の量で使用する。
【0044】
任意に使用し得るさらなる添加剤は、界面活性添加剤、例えば、乳化剤および気泡安定剤である。好適な乳化剤は、例えば、ヒマシ油スルホン酸ナトリウム塩または脂肪酸とアミンとの塩、例えば、オレイン酸ジエチルアミンまたはステアリン酸ジエタノールアミンである。スルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸またはジナフチルメタンジスルホン酸)、脂肪酸(例えば、ヒマシ油)若しくはポリマー脂肪酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩も、界面活性添加剤として同時使用し得る。
【0045】
気泡安定剤として、特にポリエーテルシロキサンをとりわけ水溶性形態で使用し得る。これらの化合物を、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーをポリジメチルシロキサン基に結合させるような方法により一般に合成する。そのような気泡安定剤は、例えば、US-A 2 834 748、US-A 2 917 480 および US-A 3 629 308 に記載されている。特に興味のあるものは、DE-A 25 58 523 によるアロファネート基を介して多重分枝したポリシロキサン-ポリオキシアルキレンコポリマーである。
【0046】
さらなる可能な添加剤は、反応抑制剤(例えば、塩酸または有機酸のハロゲン化物のような酸反応性物質)、さらに自体既知の整泡剤(例えば、パラフィン、脂肪アルコールまたはジメチルポリシロキサン)、および顔料、染料、および自体既知の難燃剤(例えば、トリクロロエチルホスフェート、トリクレジルホスフェートまたはアンモニウムホスフェートおよびアンモニウムポリホスフェート)、老化および屋外暴露の影響に対するさらなる安定剤、可塑剤、静真菌性作用および静菌性作用物質、さらにフィラー(例えば、硫酸バリウム、珪藻土、カーボンブラックまたは沈降チョーク)である。
【0047】
本発明に従い任意に同時使用し得る界面活性添加剤および気泡安定剤並びに整泡剤、反応抑制剤、安定剤、難燃物質、可塑剤、染料およびフィラー、さらに静真菌性作用および静菌性作用物質のさらなる例、並びにこれら添加剤の使用および作用形式の詳細は、Vieweg und Hoechtlen (編):Kunststoff-Handbuch, 第VII巻, Carl-Hanser-Verlag, ミュンヘン1966年, 第103〜113頁に記載されている。
【0048】
任意に使用し得る発泡剤成分は、ポリウレタンフォームの製造において既知のあらゆる発泡剤である。好適な有機発泡剤は、例えば、アセトン、エチルアセテート、ハロゲン置換アルカン(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチリデン、塩化ビニリデン、モノフルオロトリクロロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン)、さらにブタン、ヘキサン、ヘプタンまたはジエチルエーテルを含み、一方、好適な無機発泡剤は、例えば、空気、CO2またはN2Oである。発泡作用を、室温を超える温度で分解してガス(例えば窒素)を放出する化合物を添加することによっても達成でき、そのような化合物の例は、アゾ化合物、例えば、アゾジカルボンアミドまたはアゾイソブチロニトリルである。発泡剤として特に好ましいものは、水素含有フルオロアルカン(HCFC)および低級アルカン(例えば、ブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、イソヘキサン)であり、任意に相互に混合および/または水を添加し得る。発泡剤のさらなる例およびそれらの使用の詳細は、Vieweg und Hoechtlen (編):Kunststoff-Handbuch, 第VII巻, Carl-Hanser-Verlag, ミュンヘン1966年, 第108頁以降, 第453頁以降および第507頁以降に記載されている。しかしながら、水またはCO2を単独発泡剤として使用することが好ましい。
【0049】
本発明の方法を行うために反応成分を、自体既知の一段階法、プレポリマー法またはセミプレポリマー法により反応させ、この中で US-A 2 764 565 に記載されているような機械装置を好ましくは使用する。本発明に従い使用し得る加工装置の詳細は、Vieweg und Hoechtlen (編):Kunststoff-Handbuch, 第VII巻, Carl-Hanser-Verlag, ミュンヘン1966年, 第121〜205頁中に与えられている。
【0050】
フォームの製造において、発泡を本発明に従い密閉金型内でも行い得る。このために反応混合物を金型に添加する。好適な金型の材料は、金属(例えばアルミニウム)またはプラスチック物質(例えばエポキシ樹脂)である。発泡性反応混合物は金型内で発泡し、成形品を形成する。金型発泡を、成形品表面が気泡構造を有するように行い得る。しかしながら、成形品が完全な外皮および気泡コアを有するようにも発泡を行い得る。これに関連して本発明に従い、形成されるフォームがちょうど金型を満たすために十分な発泡性反応混合物を金型に添加するように発泡を行い得る。しかしながら代わりに、金型内部をフォームで満たすために必要な量より多い発泡性反応混合物を金型に添加し得る。後者の場合、そのプロセスをいわゆる「過装填」条件下で行い、そのような手順は、例えば US-A 3 178 490 および US-A 3 182 104 から知られている。
【0051】
金型発泡プロセスでの多くの場合において、自体既知の「外部離型剤」、例えばシリコーンオイルを同時使用する。しかしながら、例えば DE-OS 21 21 670 および DE-OS 23 07 589 に開示されているように、いわゆる「内部離型剤」も、場合により外部離型剤と混合して使用することができる。
【0052】
しかしながら明らかに、発泡品をまた、ブロック発泡によりまたは自体既知のダブルコンベヤーベルト法により製造し得る("Kunststoffhandbuch", 第VII巻, Carl Hanser Verlag, ミュンヘン, ウィーン, 第3版1993年, 第148頁参照)。
【0053】
発泡品を、ブロックフォームを製造する際に使用する種々の方法により、さらに金型内で製造し得る。ブロックフォームを製造する本発明の好ましい実施態様では、POの割合が少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも60mol%である混合EO/POブロックを含有するポリエーテルポリオールを使用し、さらに該ポリエーテルポリオールは末端POブロックも含有し得る。超軟質フォームを製造すべき場合、オキシエチレン単位の大きな割合を有する混合EO/POブロックを含有するポリエーテルポリオールを使用する。好ましくはこれらのポリオールはまた、第1級OH基の大きな割合(好ましくは、少なくとも40mol%、特に好ましくは少なくとも50mol%)を有する。これに関連して、これらポリエーテルポリオールを、第1級OH基の大きな割合を有する通例通りに製造されたポリオールと組み合せて使用し得る。熱硬化成形フォームを製造するために、少なくとも1種の内部混合EO/POブロックおよび末端POブロックを含有するポリエーテルポリオールを好ましくは使用し、一方、常温硬化成形フォームの製造のために、末端混合EO/POブロックを有し、40mol%を超える、特に50mol%を超えるOH基の割合を有するポリエーテルポリオールが特に好適であることが分かっている。
【実施例】
【0054】
実施例
DMC触媒の製造(EP-A 700 949 による)
蒸留水20ml中塩化亜鉛12.5g(91.5mmol)の溶液を激しく攪拌しながら(24,000回転/分)、蒸留水70ml中ヘキサシアノコバルト酸カリウム4g(12mmol)の溶液に添加する。その直後に、tert-ブタノール50gと蒸留水50gとの混合物を得られた懸濁液に添加し、次いでその全体を10分間激しく攪拌する(24,000回転/分)。次いで、平均分子量2,000を有するプロピレングリコール1g、tert-ブタノール1gおよび蒸留水100gの混合物を添加し、3分間攪拌する(1,000回転/分)。固体を濾過により取出し、次いで tert-ブタノール70g、蒸留水30gおよび上記ポリエーテル1gの混合物を用いて10分間攪拌し(10,000回転/分)、再濾過する。最後に、生成物をもう一度 tert-ブタノール100gと上記ポリエーテル0.5gとの混合物を用いて10分間攪拌する(10,000回転/分)。濾過後、触媒を恒量まで50℃標準圧力下で乾燥する。
【0055】
乾燥粉末触媒の収量:6.23g
元素分析および熱重量分析:
コバルト=11.6質量%、亜鉛=24.6質量%、tert-ブタノール=3.0質量%、ポリエーテル=25.8質量%
【0056】
ポリエーテルポリオールの製造
実施例1
グリセロールとプロピレンオキシドとからイットリウムトリフラート(Yttriumtriflat)触媒作用(100ppm)により製造し、触媒を分離していないポリ(オキシプロピレン)トリオール出発化合物(ヒドロキシル価=431mgKOH/g)746.7gおよびDMC触媒0.6g(製造する長鎖ポリオールの量に対して100ppm)を保護ガス(窒素)下で10L容量ガラス耐圧フラスコに入れ、攪拌しながら105℃に加熱する。次いでプロピレンオキシド(約100g)を、全圧が1.5barに上昇するまで一度に添加する。次いでさらなるプロピレンオキシドを、圧力降下の促進が観察された時にだけ添加する。この促進された圧力降下は、触媒が活性化したことを示す。次いで残りのプロピレンオキシド(3,408.4g)を、一定の全圧1.5barで連続的に供給する。全てのプロピレンオキシドの添加、および105℃での後反応時間5時間の後にエチレンオキシド581.6gおよびプロピレンオキシド1,163.2gを混合ブロック中に温度100〜110℃で添加する。後反応時間5時間の後、揮発留分を105℃(1mbar)で留去し、次いで内容物を室温に冷却し、酸化防止剤(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、BHT)6gを添加する。
得られた長鎖ポリエーテルポリオールは、OH価54.7mgKOH/gおよび二重結合含有量7mmol/kgを有する。
【0057】
実施例2
プロピレンオキシド1,182.0g、エチレンオキシド581.6gとプロピレンオキシド2,326.5gとの混合ブロック、およびプロピレンオキシド1,163.2gの末端ブロックを使用したこと以外は実施例1の手順と同じである。
生成物は、OH価54.4mgKOH/gおよび二重結合含有量8mmol/kgを有する。
【0058】
実施例3
KOH触媒作用によりTMPとプロピレンオキシドとから製造したポリ(オキシプロピレン)トリオール出発化合物(ヒドロキシル価=380mgKOH/g)872.7gおよびDMC触媒0.3g(製造する長鎖ポリオールの量に対して50ppm)を保護ガス(窒素)下で10L容量ガラス耐圧フラスコに添加し、攪拌しながら105℃に加熱する。次いでプロピレンオキシド(541.3g)とエチレンオキシド(4,586.0g)との混合物を、一定の全圧1.5barで連続的に添加する。後反応時間5時間の後、揮発留分を105℃(1mbar)で留去し、次いで内容物を室温に冷却し、酸化防止剤(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、BHT)6gを添加する。
得られた長鎖ポリエーテルポリオールは、OH価58.5mgKOH/gおよび二重結合含有量2mmol/kgを有する。
【0059】
実施例4
プロピレンオキシド4,614.6gとエチレンオキシド512.7gとからなる混合ブロックを使用したこと以外は実施例3の手順と同じである。
得られた長鎖ポリエーテルポリオールは、OH価58.1mgKOH/gおよび二重結合含有量7mmol/kgを有する。
【0060】
実施例5
エチレンオキシド3,589.1gとプロピレンオキシド1,538.2gとからなる混合ブロックを使用したこと以外は実施例3の手順と同じである。
生成物は、OH価59.1mgKOH/gおよび二重結合含有量2mmol/kgを有する。
【0061】
実施例6
エチレンオキシド1,719.8gとプロピレンオキシド3,407.4gとからなる混合ブロックを使用したこと以外は実施例3の手順と同じである。
生成物は、OH価58.5mgKOH/gおよび二重結合含有量4mmol/kgを有する。
【0062】
比較例1
グリセロールとプロピレンオキシドとからイットリウムトリフラート(Yttriumtriflat)触媒作用(100ppm)により製造し、触媒を分離していないポリ(オキシプロピレン)トリオール出発化合物(ヒドロキシル価=431mgKOH/g)746.7gおよびDMC触媒0.6g(製造する長鎖ポリオールの量に対して100ppm)を保護ガス(窒素)下で10L容量ガラス耐圧フラスコに入れ、攪拌しながら105℃に加熱する。次いでプロピレンオキシド(約100g)を、全圧が1.5barに上昇するまで一度に添加する。次いでさらなるプロピレンオキシドを、圧力降下の促進が観察された時にだけ添加する。この促進された圧力降下は、触媒が活性化したことを示す。次いで残りのプロピレンオキシド(5,153.3g)を、一定の全圧1.5barで連続的に供給する。全てのプロピレンオキシドの添加、および105℃での後反応時間5時間の後に、揮発留分を105℃(1mbar)で留去し、次いで内容物を室温に冷却する。
得られた長鎖ポリエーテルポリオールは、OH価54.4mgKOH/gおよび二重結合含有量10mmol/kgを有する。
【0063】
軟質ポリウレタンフォームの製造
軟質フォームの製造:
自由フォーム
a)常温硬化成形フォーム
ポリオール配合物を、配合指示に従い高速実験室用秤で秤り取る。これに関して対応するポリエーテル(場合によりポリエーテル混合物)を、この目的のために準備した通例の実験室用厚紙製ビーカーに添加し、25℃に加熱する。簡単に内容物をかき混ぜた後、全ての必要な添加剤を配合項目に従い添加する。ポリエーテル配合物を25℃に加熱した後、試料を LM-34 攪拌機を最大速(4,200回転/分)で使用して30秒間攪拌し、均一混合物を製造し、空気との均一な装填を確保する。これに関して、攪拌トレイが容器の板金底に触れないことを確保するよう注意すべきである。
【0064】
25℃に加熱したイソシアネート/イソシアネート混合物を、量の指示に従い高速実験室用秤で秤り取り、適当なビーカーに添加する。こうして予め準備した量のイソシアネートをポリエーテル配合物と一緒に反応容器に添加する。これに関して、イソシアネート成分の流出時間を約3秒に確保するよう注意すべきである。次いで成分を反応容器内でLM-34 攪拌機を4,200回転/分で用いて攪拌する。混合物がクリーム状粘稠度を呈した(上昇し始めた)時、即座に反応混合物の部分を木箱で固定された小さな紙製包みに移す。
【0065】
開始時間は、混合段階の開始から明らかに認識できる反応開始までの期間である。
硬化時間(「糸延伸時間」)は、ポリマー形成反応の尺度であり、予想される硬化時間の少し前に細くて丸い木製ロッドを上昇している反応混合物に繰り返し挿入することにより測定される(実験値)。混合開始から丸い木製ロッドを引抜いた時に糸(TDIまたはTDI/MDI系)またはくぼみ(MDI系)が形成されるかまたは吊り下がったままであるまでの期間が、硬化時間である。
ライズタイムは、混合開始からフォームの垂直高さが最大になった時までの間の期間であると理解される。
【0066】
a)熱硬化成形フォーム
ポリエーテル、水、活性化剤および安定剤を30秒間攪拌し(LM-34 攪拌機、4,200回転/分)、次いで、架橋剤(スズオクトエートSO)を秤り取り、反応混合物と混合する。次いで計算量のイソシアネートをポリエーテル配合物と一緒に反応容器に添加する。これに関して、イソシアネート成分の流出時間を約3秒に確保するよう注意すべきである。次いで成分を反応容器内でLM-34 攪拌機を4,200回転/分で用いて攪拌する。
混合物がクリーム状粘稠度を呈した(上昇し始めた)時、即座に反応混合物の部分を木箱で固定された小さな紙製包みに移す。
【0067】
開始時間は、混合段階の開始から明らかに認識できる反応開始までの期間である。
ライズタイム:用語「ライズタイム」は、混合開始からフォームの垂直高さが最大になった時までの間の間隔であると理解される。熱硬化フォームの場合、収縮も観察される。
ライズタイム終了後30秒に、小包を150℃に加熱したキャビネットに置く。滞留時間5分。
【0068】
成形品(常温硬化成形フォーム)
反応混合物を、市販離型剤を供給した金型(金型温度50〜60℃)に移す。金型を、フタで密閉し、フォーム圧力に対抗し器具を密閉に維持するためにプレス機または密閉式容器に移す。5分後にフタを外し、フォームが連続気泡構造を有する(無収縮)までフォームを機械的圧縮(例えば、パンチまたはローラーを用いる手動により、あるいは減圧により)で加工する。
【0069】
成形品(熱硬化成形フォーム)
反応混合物を金型(金型温度40〜45℃)に移し、金型を穴のあいたフタで閉める。
ライズタイム終了(収縮)後30秒に、金型を150℃の加熱キャビネットに置く。滞留時間15分。
加熱キャビネットから取り出した後、熱金型に離型剤(Acmos(登録商標) 32-574、Acmos Chemie GmbH & Co.、D-28199 ブレーメン)を吹付ける。
【0070】
比較例2
100質量部の比較例1からのポリエーテル、
3.0質量部の水、
0.5質量部のシリコーン安定剤(OS(登録商標) 15、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
0.1質量部のN,N'-ジメチルエタノールアミン(DMEA)、
0.05質量部のアミン触媒(Niax(登録商標) A1、Witco Osi)、
0.34質量部のスズオクトエート、
35.6質量部のトリレンジイソシアネート(2,4-異性体65質量%、2,6-異性体35質量%、Desmodur(登録商標) T 65、Bayer AG)
を完全に混合し、発泡させてフォームを形成した。ブロックは、スズ触媒(0.24〜0.38質量部)を変化させることによって、またはNCO/OH比(標数102〜108)によっても修正できない水平の内部亀裂を示した。
【0071】
実施例7
100質量部の実施例4からのポリエーテル、
4.0質量部の水、
0.4質量部のシリコーン安定剤(OS(登録商標) 25、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
0.1質量部のDMEA、
0.05質量部のアミン触媒(Niax(登録商標) A1、Witco Osi)、
0.18質量部のスズオクトエート、
51.2質量部のトリレンジイソシアネート(2,4-異性体80質量%、2,6-異性体20質量%、Desmodur(登録商標) T 80、Bayer AG)
を完全に混合し、発泡させてフォームブロックを形成した。無亀裂で整った気泡構造を有する連続フォームが得られた。
【0072】
実施例8
100質量部の実施例6からのポリエーテル、
4.0質量部の水、
0.4質量部のシリコーン安定剤(OS(登録商標) 25、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
0.1質量部のDMEA、
0.05質量部のアミン触媒(Niax(登録商標) A1、Witco Osi)、
0.18質量部のスズオクトエート、
51.2質量部の Desmodur(登録商標) T 65
を完全に混合し、発泡させてフォームブロックを形成した。無亀裂で整った気泡構造を有するフォームが得られた。
【0073】
実施例9
配合において超軟質の品質を得るために、実施例5からのポリエーテルを、活性な通例のポリエーテルとの混合物として発泡させた:
75質量部の実施例5からのポリエーテル、
25質量部の三官能性ポリエーテル(OH価35mgKOH/g、第1級OH基>80mol%、Desmophen(登録商標) 3900 I、Bayer AG)、
3.50質量部の水、
0.8質量部のシリコーン安定剤(OS(登録商標) 15、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
0.7質量部のDMEA、
0.25質量部のアミン触媒(catalyst 33LV、Air Products GmbH、D-45527 ハッチンゲン)、
2.0質量部のTCPP(トリクロロプロピルホスフェート)、
45.4質量部の Desmodur(登録商標) T 80
を完全に混合し、発泡させてフォームブロックを形成した。無亀裂で整った気泡構造を有する超軟質弾性フォームが得られた。
【0074】
実施例10
100質量部の実施例2からのポリエーテル、
3.0質量部の水、
0.8質量部のシリコーン安定剤(OS(登録商標) 22、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
0.1質量部のDMEA、
0.05質量部のアミン触媒(Niax(登録商標) A1、Witco Osi)、
0.18質量部のスズオクトエート、
40.5質量部の Desmodur(登録商標) T 80
を完全に混合し、発泡させてフォームブロックを形成した。無亀裂フォームが得られた。
【0075】
実施例11(常温硬化自由フォーム)
配合:
50.0質量部の実施例1からのポリエーテル、
50.0質量部の三官能性ポリエーテル(OH価28mgKOH/g、第1級OH基>80mol%、Desmophen(登録商標) VP PU 10WF22、Bayer AG)、
3.6質量部の水、
0.15質量部のアミン触媒(Niax(登録商標) A1、Witco Osi)、
0.4質量部のアミン触媒(catalyst 33LV、Air Products GmbH、D-45527 ハッチンゲン)、
1.25質量部のジエタノールアミン、
0.50質量部のシリコーン安定剤(Tegostab(登録商標) B 8708、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
62.8質量部のモノマー高含有量4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(ポリマー留分を含有、NCO含有量32.3質量%、VP PU Desmodur(登録商標) 3230、Bayer AG)。
高品質自由フォームが得られた。
【0076】
実施例12(熱硬化成形フォーム)
配合:
100.0質量部の実施例2からのポリエーテル、
3.5質量部の水、
0.05質量部のスズオクトエート
0.15質量部のアミン触媒(Niax(登録商標) A1、Witco Osi)、
0.50質量部のシリコーン安定剤(Tegostab(登録商標) B 4900、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
62.8質量部の Desmodur(登録商標) T 80。
高品質成形フォームが得られた。フォームの空気透過性を測定するために、図1〜3に示す装置を用いて気流に対する流れ抵抗を測定した。
【0077】
装置は、0〜350mmの目盛付きガラスシリンダー(内径36mm)および内管(内径7mm)からなる。この内管の頂部末端はT部であり、その片方は空気供給部とつながっており、もう一方は計量ヘッドを有するホースとつながっている。計量ヘッドのためのホースは、内径12mmおよび長さ1.80mを有する。ガラスシリンダーは、底部が閉じられ、後部に接続した漏斗から水を充填することができる。試験装置は2つのストップコック、減圧弁並びに適当な長さおよび適当な直径のホースを介して圧縮空気源とつながり、減圧弁は約2.0barに調節されている。メニスカスの下端がH2O-時間マークに達するまで、ガラス容器を蒸留水で満たす。次いでストップコック1を回し、内部柱のメニスカス下端が0mmマークに達するまでストップコック2で流速を変更させる。これは、水柱100mmの予備圧力が設定されたことを示す。予備圧力の設定後、計量ヘッドを圧力を加えずに試料上に置き、次いで内管中の水柱の高さを読み取る。これが試料の流れ抵抗と等しい。
次の値が測定された:フォームコアの流れ抵抗:水柱100mm、フォーム+外皮の流れ抵抗:水柱300mm。
【0078】
実施例13(熱硬化成形フォーム)
配合
100質量部の実施例1からのポリエーテル、
3.5質量部の水、
0.15質量部のアミン触媒(Niax(登録商標) A1、Witco Osi)、
0.10質量部のスズオクトエート
0.50質量部のシリコーン安定剤(Tegostab(登録商標) B 4900、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
40.6質量部の Desmodur(登録商標) T 80。
高品質成形フォームが得られた。試料の流れ抵抗を、実施例12に記載の手順に従い測定した。次の値が測定された:フォームコアの流れ抵抗:水柱50mm、フォーム+外皮の流れ抵抗:水柱160mm。
【0079】
実施例14(熱硬化成形フォーム)
30.0質量部の実施例1からのポリエーテル、
70.0質量部の Desmophen(登録商標) 3426 L、
3.5質量部の水、
0.09質量部のスズオクトエート
1.00質量部のシリコーン安定剤(Tegostab(登録商標) B 4900、Th. Goldschmidt AG、D-45127 エッセン)、
40.6質量部の Desmodur(登録商標) T 80。
高品質成形フォームが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートと、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる少なくとも1種の連鎖並びにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる末端基を含有し、700〜50,000g/molの数平均分子量を有するDMC触媒作用により製造されたポリエーテルポリオールとの反応の生成物であり、該ポリエーテルポリオールは、50mol%を超える割合の第1級OH基を有する軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
常温硬化成形フォームであることを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
超軟質ブロックフォームであることを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
ポリイソシアネートを、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる少なくとも1種の連鎖並びにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる末端基を含有し、700〜50,000g/molの間の数平均分子量を有するDMC触媒作用により製造されたポリエーテルポリオールと反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−99124(P2011−99124A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38000(P2011−38000)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【分割の表示】特願2001−505593(P2001−505593)の分割
【原出願日】平成12年6月6日(2000.6.6)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】