説明

ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーの製造方法並びにこれに対応する装置

本発明は、ポリオキシメチレンホモ−およびコポリマーを製造するための装置に関する。この装置は次の要素:A)ポリオキシメチレンホモ−およびコポリマーを均質相中で本質的に公知の方法で重合および非活性化するための、重合帯域(2)およびそのすぐ下流の非活性化帯域(3)を含む反応器(1);B)ポリマーへ加えられる添加剤の計量装置(5)を任意に含む減圧装置(4);C)ペレタイザー(6);D)抽出装置(7);およびE)任意に乾燥装置(8);を含む。本発明の装置およびこれで実施される重合法では、特に、簡単なかつ動力を節約した方法で残留モノマー含有率を低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均質な相中でのポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーの改善された製造方法、並びにこの目的に特に適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレンの製造は本質的には公知である。重合反応はバルク中またはその他溶液中のいずれかで、そしてまた大気圧または加圧下で行うことができる。
多くのポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーの製造法が知られている。多数の刊行物、例えば、US−A−3,027,352、US−A−3,803,094、DE−A−1,161,421、DE−A−1,495,228、DE−A−1,720,358およびDE−A−3,018,898、には工業規模でのモノマーの連続重合が記載されている。記載されている重合反応器は、特に、混練機、押出し機、ロールまたはベルトである。
【0003】
これらの方法に共通の特徴は、重合反応の間に生じる、気体または液体モノマーから半結晶質固体ポリマーへの相転移である。これは、重合および結晶化の際に発する熱の消散の問題をもたらし、従って、変換損失が生じる。
【0004】
ポリマーが均質相中で製造される方法の記載もある。EP−A−080,656には、135℃以上の温度の均質液相中でトリオキサンを連続バルク重合する方法が記載されている。この方法の利点は、特に、プロセスの操作が簡単で、エネルギーコストが非常に低く、そして生成物の品質にばらつきがないことである。
【0005】
EP−A−638,599およびDE−A−44 23 617には、より簡単な方法の実施による均質相重合法の改良が記載されている。そこには、分離器なしの重合反応器から非活性化反応器への簡単な転移がある。重合帯域と非活性化帯域との間で、非活性化剤の添加を経ることのみが定められている連続転移がある。別の改良は、残留モノマーの存在下で不安定な鎖末端を除くことである。ここでは、不安定な鎖末端の含有率を約0.1重量%まで減じることが可能である。しかしながら、生成物を液化させるアセンブリーによって処理するとき、汚染物質がこの重合法によって製造された生成物中に残留する。
【0006】
EP−A−699,695は上記重合法の改良を提案するものである。ここでは、不安定な鎖末端は残留モノマーの存在下で0.01〜1%のレベルまで除去され、ペレタイザー中での減圧により生成物には残留モノマーが反応器出口でほとんどない。そして、残りの残留モノマーは生成物中に溶解された汚染物質と共に溶媒での抽出により除去され、それから生成物は乾燥および安定化の後、ペレット化される。
【0007】
WO−A−01/58,974には、別の均質相重合反応が記載されている。ここでは、生成物メルトは、適切な場合には非活性化され、そして排出、冷却され、そして液体溶媒の存在下、高圧でのペレット化が行われる。この方法では液化の際の発泡しやすさが減ぜられ、ペレット化の際における微粒子の生成が極めて少なくなる。
【0008】
あらゆる面で遭遇するコストの圧力に対抗するために、さらに有利な重合法および処理法が絶えず求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、均質相中でオキシメチレンホモポリマーまたはコポリマーを製造することができ、エネルギー的に有利であり、そして残留モノマー含有率を効果的に減じることが可能な、簡便な方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、均質相中でオキシメチレンホモポリマーまたはコポリマーを製造することができ、そして安定化されたポリオキシメチレン混合物の生成をエネルギー的に有利な方法で可能にする簡便な手段を用いる方法を提供することである。
【0011】
意外なことに、所定の順序で様々な工程を組み合わせた方法が、その方法のエネルギー操作に特に有利となることをこのたび見出した。第1に、残留モノマーの含有率はポリマーメルトの温度の利用で減じられ、第2に、残留汚染物質は下流抽出段階で効果的に除去される。
【0012】
1つの装置で、残留モノマーの含有率を減じるだけでなく、安定剤をポリマーに加えることもまた可能であることをも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーの製造方法を提供するものであって、
i)CH2−O−単位を形成する少なくとも1種のモノマーを重合し、そして適切な場合には、1種以上のコモノマーおよび少なくとも1種の開始剤を均質相中で重合帯域にて本質的に公知の方法で重合すること、
ii)工程i)で製造されたポリマーを取り出し、その融点より高い温度でその不安定な鎖末端を除去しおよび/またはその末端基をキャップし、前記重合帯域のすぐ下流の非活性化帯域での非活性化剤の添加により本質的に公知の方法で前記開始剤を非活性化すること、
iii)ポリマーメルトを減圧帯域へ移すこと、
iv)前記減圧帯域を減圧することにより、残留モノマーを前記ポリマーメルトから除くこと、
v)前記ポリマーをペレット化すること、
vi)前記残留モノマーおよび/またはオリゴマーおよびその他の汚染物質を前記ポリマーから抽出すること、そして
vii)適切な場合には、前記ポリマーを乾燥すること、
を含む方法である。
【0014】
工程i)は、均質相中での本質的に公知の重合反応を伴う。
このためには、−CH2−O−単位を形成するモノマー、または異なるモノマーの混合物を、得られるホモポリマーまたはコポリマーの融点より上の温度にて、2000バール以下の圧力で、一般的な開始剤、および適切ならば調節剤と共に(共)重合する。
【0015】
ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーを製造するためには、−CH2−O−単位を形成するモノマー、または異なるモノマーの混合物を上記のように反応させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーは、一般に、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも80モル%、特に少なくとも90モル%のオキシメチレン単位(−CH2−O−)を含有する非分枝鎖線状ポリマーを含む。必要ならば、少量の分岐剤を用いてもよい。分岐剤の量は、ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーの製造に用いられるモノマーの合計量に基づいて、通常1重量%以下、好ましくは0.3重量%以下である。
【0017】
これらのポリマーの分子量は広く変えることができる。これらのポリマーは式(−CH2−O−)xの構造反復単位を一般に有し、式中、xは100〜10000、好ましくは300〜3000である。
【0018】
ここで用いられるポリオキシメチレン基という表現は、ホルムアルデヒドまたはその環状オリゴマー、例えばトリオキサンまたはテトラオキサンのホモポリマーから誘導される基ばかりでなく、コポリマー成分から誘導される基も包含する。
【0019】
ポリオキシメチレンコポリマーは、ホルムアルデヒドまたはその環状オリゴマー、特にトリオキサン、および環状エーテル、アルデヒド、例えばグリオキシルエーテル、環状アセタール(これらは適切ならば置換基を有していてもよい)から、および/または線状のオリゴ−もしくはポリアセタール誘導される。
【0020】
好ましい環状エーテルまたはアセタールは式
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、xは0または1であり、R2は、C2−C4アルキレン基であって、適切ならば1つ以上のC1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、および/またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子で置換されている、C2−C4アルキレン基である)
を有する化合物である。
【0023】
例として、エチレンオキシド、プロピレン1,2−オキシド、ブチレン1,2−オキシド、ブチレン1,3−オキシド、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキセパン、および1,3,6−トリオキソカンが環状エーテルとして、そしてまた線状のオリゴ−またはポリホルマール、例えばポリジオキソランまたはポリジオキセパンがコモノマーとして挙げられる。
【0024】
これらの材料は、ポリオキシメチレンブロックを有するばかりでなく、ヒドロキシ−末端ポリマーから誘導される構造単位をも有するブロックコポリマーも包含しうる。好ましいブロックコポリマーは、ポリオキシメチレンホモポリマーブロックからまたはポリオキシメチレンコポリマーブロックから、およびポリアルキレングリコールブロックからまたはヒドロキシ−末端ポリブタジエンブロックから、誘導される。
【0025】
これらのコポリマーはEP−A−1,418,190に例として記載されている。
好ましくはトリオキサンから誘導される、式(−CH2−O−)xの構造反復単位99.9〜90モル%、および上記コモノマーの1つから誘導される構造反復単位0.1〜10モル%を有するポリオキシメチレン基をもつポリオキシメチレンコポリマーを製造するのが好ましい。
【0026】
好ましくはトリオキサンから誘導される、式(−CH2−O−)xの構造反復単位99.9〜90モル%、および式
(−CH2−CH2−O−)Z
(式中、zは少なくとも1の整数である)
の構造反復単位0.1〜10モル%を有するポリオキシメチレンブロックを有するポリオキシメチレンコポリマーを製造するのが特に好ましい。
【0027】
製造しうる他のポリオキシメチレンコポリマーは、例えば、トリオキサンと上記環状エーテルまたはアセタールの1つとの反応により製造される、構造反復単位を有するポリマーであって、第3のモノマーとして、好ましくは二官能性ジオキソラン、二官能性ジオキサン、または二官能性エポキシドを用いて製造される、構造反復単位を有するポリマーである。二官能性エポキシドの例は式
【0028】
【化2】

【0029】
(式中、Zは化学結合、−O−または−O−R1−O−(R1=C2−C8アルキレンまたはC2−C8シクロアルキレン)である)
の化合物である。
【0030】
このタイプの好ましいモノマーのいくつかの例を挙げると、エチレンジグリシド、ジグリシジルエーテル、およびモル比2:1のグリシジル化合物とホルムアルデヒドからなるジエーテル、そしてまた2モルのグリシジル化合物と1モルの炭素原子数2〜8の脂肪族ジオールからなるジエーテルであって、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−シクロブタンジオール、1,2−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、そしてまたジグリセロールジホルマールである。
【0031】
上記POMホモポリマーおよびコポリマーの製造法は本技術分野における当業者に知られており、文献に記載されている。
重合混合物は、均質相重合反応の間、液体状態であるか、あるいは重合反応が行われる間、この条件下にある。
【0032】
得られる(コ)ポリマーの分子量は、適切ならば、ポリオキシメチレンの製造用に公知の調節剤の使用により調節することができる。
調節剤の例はアセタール、例えばメチラール、エチラールもしくはブチラール、または式HO−R1−OH(R1は2価の脂肪族基である)のその他の2価アルコール、そしてまた極少量の水である。これらは連鎖移動剤として作用しうる。調節剤の通常の使用量は50000ppm以下であり、好ましくは100〜3000ppmである。
【0033】
用いうる開始剤は、オキシメチレンホモポリマーまたはオキシメチレンコポリマーの製造に通常用いられる陽イオン開始剤である。これらの例はプロトン酸、例えばフッ素化もしくは塩素化アルキル−およびアリールスルホン酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、またはヘテロポリ酸、例えばヘキサタングステートリン酸もしくはヘキサモリブデートリン酸、またはルイス酸、例えば四塩化錫、五フッ化砒素、五フッ化リンおよび三フッ化硼素、そしてまたそれらの錯化合物および塩状化合物、例えば三フッ化硼素エーテル錯化合物およびトリフェニルメチルヘキサフルオロホスフェートである。
【0034】
開始剤の通常の使用量は、モノマー(混合物)に基づいて、0.01〜1000ppm、好ましくは0.03〜100ppmである。
本発明では、重合帯域の圧力および温度は、モノマーおよびポリマーが均質分布状態で存在するような、好ましくは互いに完全に溶解しているような、圧力および温度を選択する。反応圧力および反応温度はこのような状態が確実に生じるように選択するのが適している。
【0035】
一般的な重合温度は130〜170℃である。
一般的な非活性化温度は150〜250℃、好ましくは170〜200℃である。
一般的な重合圧力および非活性化圧力は10〜2000バール、好ましくは15〜200バールである。
【0036】
重合および非活性化はPOMホモポリマーまたはコポリマーの製造に公知の反応器中で行うことができる。一般に用いられるものは混練機、押出し機、または好ましくは静止型混合器を備えた管状反応器であり、これらは温度調節可能かつ耐圧設計のものである。
【0037】
工程i)およびii)は温度および圧力を上げて行うのが好ましい。
工程i)およびii)は1つの反応器、特に静止型混合器を備えた管状反応器で行われるのが特に好ましい。
【0038】
重合時間は広く変えることができ、一般に0.1〜20分である。重合時間は0.4〜5分が好ましい。
重合反応の後、ホットポリマーメルトは公知の方法で非活性化される。これは重合メルトに開始剤用の非活性化剤を重合反応直後に加えることによって行われる。この工程はEP−A−699,695またはEP−A−638,599に記載のように行うことができる。公知の基本的な化合物、例えば炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、または第三アミンを非活性化剤として用いることができる。
【0039】
重合および非活性化は1つの反応器、例えば管状反応器で行われるのが好ましく、重合帯域と非活性化帯域との間に、非活性化剤の添加を経ることのみが定められている連続転移がある。しかしながら、本方法の2つの工程は別のアセンブリーで行うこともできる。
【0040】
得られる粗製(コ)ポリマーの安定化は開始剤の不活性化と平衡して進行する。ホモポリマーの場合、これは末端基のキャッピング、例えば、適したキャッピング剤、例えば無水酢酸のような酢酸誘導体でのエーテル化またはエステル化により行うことができ、コポリマーの場合、安定化モノマー単位に達するまで、生成されるポリマー鎖の分解を調節することにより行うことができる。これらの手段は本質的に知られている。
【0041】
ポリマーメルトの非活性化および安定化の後、ポリマーメルトは、残留モノマーを除去するための減圧帯域へ移し、残留モノマーを減圧により除去する。
減圧帯域は、ホットポリマーメルトで満たされる空間で形成される。残った残留モノマーの大部分は、ポリマーメルトの温度を利用して、大気圧より低い圧力、好ましくは500ミリバール未満、特に200ミリバール未満にすることにより、ポリマーメルトから追い出される。本方法のこの工程は管状反応器の別の部分、好ましくは押出し機中で行われてもよい。しかしながら、他のアセンブリー、例えばフラッシュチャンバーを用いることも可能である。
【0042】
このために、工程ii)の後、圧力を維持しながらポリマーメルトを押出し機へ移し、そこで減圧および残留モノマーの吸引除去を行うのが好ましい。
二軸スクリュー押出し機を用いるのが特に好ましい。
【0043】
適切な場合には、安定剤および加工助剤(以後、添加剤とも称する)を、ポリマーが減圧帯域から離れる前に、ポリマーに加えてもよい。これらの添加剤は、その後の抽出段階によりそれらがポリマーから順に除去されないようなものを選択する。
【0044】
本発明の方法の好ましい変法の1つでは、残留モノマーの除去後、添加剤混合物を押出し機へ供給し、ホットポリオキシメチレンホモポリマーまたはコポリマーへ加える。
本発明の方法のこの態様では、添加剤混合物は、その後の抽出段階に耐える成分のみを含むように選択し、これらは温水に不溶性であるのが好ましい。
【0045】
本発明において、温水に不溶性という用語は、温水中の化合物の溶解度が、それらの少なくとも95重量%が選択された抽出条件下で混合物中に残留するほど低いことを意味する。
【0046】
添加剤混合物に用いることができる成分は、ポリオキシメチレンの安定化および/または改良に通常用いられる化合物である。
これらの例は、限定するものではないが、酸化防止剤、酸スカベンジャー、ホルムアルデヒドスカベンジャー、UV安定剤、または熱安定剤である。添加剤混合物は加工助剤、例えばカップリング剤、潤滑剤、成核剤、または離型剤、充填剤、強化材、または静電防止剤、そしてまた成形組成物に望ましい性質を与える添加剤、例えば染料および/または顔料、および/または衝撃改良剤、および/または導電性にする添加剤;そしてまた、これらの添加剤の混合物である。
【0047】
残留モノマーが減圧帯域から追い出され、添加剤が添加されると、ポリマーはペレット化され、そして残った残留モノマーおよび/またはオリゴマーおよび/またはその他の汚染物質は抽出段階でポリマーから除去される。
【0048】
ペレット化および抽出は本質的に公知のアセンブリーで行うことができる。
ペレタイザーの例は、ストランドペレタイザー、水冷ダイフェースペレタイザー、および水中ペレタイザーである。
【0049】
抽出装置の例は向流洗浄器である。
ペレットに付着残留している抽出剤を取り除くために、抽出段階の下流に乾燥プロセスがあるのが好ましい。
【0050】
その後、適切な場合には、ポリマーに本質的に公知の方法で添加剤を施してもよい。本方法のこの段階で、抽出段階でポリマーから順に溶出してしまう添加剤を加えることも可能である。
【0051】
抽出プロセスはオリゴマーおよび/または残留モノマーの除去のために望ましいどのような抽出剤を用いて行ってもよい。温水処理が好ましい。
温水処理は、特に加圧下および100℃以上の温度で、向流洗浄の形で行うのが好ましい。
【0052】
一般的な処理温度は100〜170℃、好ましくは110〜150℃、特に好ましくは120〜135℃である。
処理圧力は一般に、選択された抽出温度での抽出媒質の蒸気圧より1〜5バール上である。
【0053】
本方法の別の好ましい変法では、ポリオキシメチレンホモポリマーまたはコポリマーのメルトは、減圧帯域で添加剤混合物をポリマーに加えずに、減圧帯域を離れた後に固化およびペレット化し、その後、温水抽出処理する。
【0054】
この態様では、温水処理後、好ましくは押出し機中でペレットを溶融し、そして押出し機中で添加剤混合物を加えて混合することにより、ペレットをポリオキシメチレンホモポリマーまたはコポリマーのための添加剤混合物と配合する。その後、押出し物を再度ペレット化する。
【0055】
本発明の方法のこの態様では、温水に可溶性の成分を含む添加剤の混合物を用いることが可能である。
本発明により製造されるポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーは成形プロセス、例えば吹き込み成形、射出成形または押出し成形により、本質的に公知の方法でさらに処理することができる。
【0056】
本発明はまた上記の方法を実施するための装置を提供する。この装置は下記の順序で下記の要素を含む:
A)ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーを均質相中で本質的に公知の方法で重合しおよび非活性化するための、重合帯域(2)およびそのすぐ下流の非活性化帯域(3)を含む反応器(1)、
B)適切な場合には、ポリマーのための安定剤を計量する装置(5)を有する、減圧アセンブリー(4)、
C)ペレタイザー(6)、
D)抽出装置(7)、
E)適切な場合には、乾燥装置(8)、および
F)適切な場合には、ポリマーのための安定剤を加える装置(17)。
【0057】
反応器(1)としては静止型混合器を備えた管状反応器が好ましい。
減圧アセンブリー(4)としては押出し機、好ましくは二軸スクリュー押出し機が好ましい。
【0058】
抽出装置(7)としては向流洗浄器が好ましい。
装置(17)としては押出し機、特に、二軸スクリュー押出し機が好ましい。
【実施例】
【0059】
本発明の装置および方法についての2つの態様を例として以下の図で説明する。
図1は、反応器(1)、ポリマーのための添加剤を計量する装置(5)を有する押出し機(4)から形成される減圧アセンブリー、ペレタイザー(6)、抽出装置(7)および乾燥装置(8)からなる本発明の装置のダイアグラムである。
【0060】
反応器(1)は重合帯域(2)、およびライン(17)による非活性化剤の供給部位で始まるそのすぐ下流の非活性化帯域(3)からなる。反応物質はライン(9)を経て反応器(1)へ導入される。ライン(10)により反応器(1)を離れるポリマーメルトは、ライン(11)による残留モノマーの吸引除去により押出し機(4)中では残留モノマーを含まない。計量装置(5)により温水抽出に耐える添加剤がポリマーに導入され、押出し機(4)中でポリマーに加えられる。押出し物は次にペレタイザー(6)でペレット化され、ライン(12)により抽出装置(7)へ導入され、そこで向流温水処理(13、14)される。抽出処理されたペレットはライン(15)により抽出装置(7)を離れ、乾燥装置(8)で乾燥され、ライン(16)により離れる。
【0061】
図2は、反応器(1)、押出し機(4)から形成される減圧アセンブリー、ペレタイザー(6)、抽出装置(7)、乾燥装置(8)および別の押出し機(17)からなる、別の本発明の装置についてのダイアグラムである。
【0062】
反応器(1)は重合帯域(2)、およびライン(20)による非活性化剤の供給部位で始まるそのすぐ下流の非活性化帯域(3)からなる。反応物質はライン(9)を経て反応器(1)へ導入される。ライン(10)により反応器(1)を離れるポリマーメルトは、ライン(11)による残留モノマーの吸引除去により押出し機(4)中では残留モノマーを含まない。押出し物は次にペレタイザー(6)でペレット化され、ライン(12)により抽出装置(7)へ導入され、そこで向流温水処理(13、14)される。抽出処理されたペレットはライン(15)により抽出装置(7)を離れ、乾燥装置(8)で乾燥され、ライン(16)により押出し機(17)へ導入される。計量装置(18)により添加剤がポリマーに導入され、押出し機(17)中でポリマーに加えられる。添加剤が加えられたポリマーはライン(19)により押出し機(17)を離れる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】反応器(1)、ポリマーのための添加剤を計量する装置(5)を有する押出し機(4)から形成される減圧アセンブリー、ペレタイザー(6)、抽出装置(7)および乾燥装置(8)からなる本発明の装置のダイアグラムである。
【図2】反応器(1)、押出し機(4)から形成される減圧アセンブリー、ペレタイザー(6)、抽出装置(7)、乾燥装置(8)および別の押出し機(17)からなる、別の本発明の装置についてのダイアグラムである。
【符号の説明】
【0064】
1 反応器
2 重合帯域
3 非活性化帯域
4 押出し機から形成される減圧アセンブリー
5、18 計量装置
6 ペレタイザー
7 抽出装置
8 乾燥装置
9、10、11、12、15、16、19、20 ライン
13、14 向流温水処理
17 ライン(図1)/押出し機(図2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーの製造方法であって、
i)CH2−O−単位を形成する少なくとも1種のモノマーを重合し、そして適切な場合には、1種以上のコモノマーおよび少なくとも1種の開始剤を均質相中で重合帯域にて本質的に公知の方法で重合すること、
ii)工程i)で製造されたポリマーを取り出し、その融点より高い温度でその不安定な鎖末端を除去しおよび/またはその末端基をキャップし、前記重合帯域のすぐ下流の非活性化帯域での非活性化剤の添加により本質的に公知の方法で前記開始剤を非活性化すること、
iii)ポリマーメルトを減圧帯域へ移すこと、
iv)前記減圧帯域を減圧することにより、残留モノマーを前記ポリマーメルトから除くこと、
v)前記ポリマーをペレット化すること、
vi)残った残留モノマーおよび/またはオリゴマーおよびその他の汚染物質を前記ポリマーから抽出すること、そして
vii)適切な場合には、前記ポリマーを乾燥すること、
を含む方法。
【請求項2】
工程i)およびii)が静止型混合器を備えた管状反応器中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
減圧が押出し機中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
二軸スクリュー押出し機が押出し機として用いられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
残留モノマーの除去後、添加剤混合物を押出し機へ供給して、前記押出し機中のホットポリマーへ加え、ここに前記添加剤混合物は工程vii)で抽出不可能なものを選択する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
添加剤混合物が温水に不溶性の成分のみを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
抽出プロセスが、水溶性オリゴマーおよび/または残留モノマー除去のための温水処理である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
温水処理が加圧下、100℃以上の温度での向流洗浄の形式をとる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抽出および乾燥後、ペレットが、好ましくはペレットの押出し機中での溶融によりおよび添加剤混合物を押出し機へ加えるための混合により、ポリオキシメチレンホモポリマーまたはコポリマーのための添加剤混合物と共に配合され、そして、その後、その押出し物がペレット化される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
添加剤混合物が温水に可溶性の成分を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーを製造するための装置であって、下記の順序で下記の要素:
A)ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマーを均質相中で本質的に公知の方法で重合しおよび非活性化するための、重合帯域(2)およびそのすぐ下流の非活性化帯域(3)を含む反応器(1)、
B)適切な場合には、ポリマーのための安定剤を計量する装置(5)を有する、減圧アセンブリー(4)、
C)ペレタイザー(6)、
D)抽出装置(7)、
E)適切な場合には、乾燥装置(8)、および
F)適切な場合には、ポリマーのための安定剤を加える装置(17)、
を含む装置。
【請求項12】
反応器(1)が静止型混合器を備えた管状反応器である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
減圧アセンブリー(4)が押出し機、好ましくは二軸スクリュー押出し機である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
抽出装置(7)が向流洗浄機である、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
ポリマーのための安定剤を加える装置(17)が押出し機、好ましくは二軸スクリュー押出し機である、請求項11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−532510(P2009−532510A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504688(P2008−504688)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003148
【国際公開番号】WO2006/105970
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(598029656)ティコナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Ticona GmbH
【Fターム(参考)】