説明

ポリオレフィン製微多孔膜

【課題】ポリエチレン以外のポリオレフィンを含むポリオレフィン製微多孔膜において、高誘電率・高粘度の電解液含浸性に優れ、かつ電池生産工程における注液性に優れ、またさらに電池特性にも優れるポリオレフィン製微多孔膜を提供すること。
【解決手段】ポリエチレン以外のポリオレフィン1〜30wt%とポリエチレン99〜70wt%とを含み、断面空孔密度が7個/μm以上、平均孔径が0.035〜0.060μmであることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池、コンデンサ、キャパシタ等の電子デバイス用セパレータに好適であり、特にリチウムイオン電池用セパレータとして好適なポリエチレン製微多孔膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン製微多孔膜は、精密濾過膜、電池・コンデンサ・キャパシタ等の電子デバイス用セパレータ、燃料電池用材料等に使用されている。
電子デバイスの中でもリチウムイオン電池用セパレータとして使用する際にポリオレフィン製微多孔膜に要求される特性としては(1)優れた透過性と機械強度を有すること、(2)耐電解液性・電気化学的耐酸化性に優れること、(3)耐熱性に優れること、(4)良好なヒューズ特性を有すること等が挙げられる。耐熱性とは、セパレータの結晶分散温度から融点付近での熱収縮が低いという低熱収縮性と、セパレータが融点以上に加熱された場合においても破膜しないという耐破膜性のことである。ヒューズ特性とは、電池内部の異常昇温時に、セパレータが溶融することで電極を覆う被膜を形成して電流を遮断する特性のことであり、概ね120〜150℃付近で発現されることが望ましい。
【0003】
ポリオレフィン製微多孔膜の耐熱性を向上させる技術として、ポリエチレンを主成分とする微多孔膜にポリプロピレン等をブレンドする方法が従来から知られている。しかし、ポリオレフィン製微多孔膜への電解液の濡れ性という観点では、ポリエチレンの固体臨界表面張力が約31(dyne/cm)に対してポリプロピレンが約29であるため、ポリプロピレンをブレンドすると濡れ性が悪化することが理論的に予想される。したがって、耐熱性が向上する反面、ポリオレフィン製微多孔膜と電解液の親和性が低下するという欠点があった。
リチウムイオン電池の電解液は、一般的に、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート類、エチルメチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類をブレンドし、電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用されている。環状カーボネート類は直鎖状カーボネート類に比べて高誘電率・高粘度の傾向がある。電池セパレータは、イオン透過性を持たせるため、ポリオレフィン製微多孔膜の微細孔内に電解液を含浸させて使用される。したがって、電解液との親和性が劣るということは、電解液の含浸性(以下、「電解液含浸性」とする)が劣ることに繋がる。
【0004】
この場合、電池製造における注液工程のタクトタイムが長くなる、注液後もセパレータ全体に電解液が含浸するまでのエージング時間が長くなる等、生産性が低下するという問題が発生する。さらに、近年のリチウムイオン電池用電解液は、電池の高性能・高容量化を目的として、前述のような高誘電率・高粘度溶媒を使用する、または高電解質濃度電解液を使用するという傾向があり、ポリオレフィン製微多孔膜への電解液含浸性はより低下する傾向にある。またさらに、近年のリチウムイオン電池は電動工具等にも使用されているが、高出力放電を繰り返すうちにセパレータ内の電解液が枯渇状態になり性能が低下するという問題が生じ易い。
以上の状況からポリオレフィン製微多孔膜には電解液含浸性に優れることが望まれていた。
【0005】
本出願人は、特許文献1、および2においてポリプロピレンを含むポリオレフィン製微多孔膜を開示しているが、電解液含浸性に関しては不十分であった。また、より高性能な電池に求められる特性としては不十分な点もあった。
特許文献3にはポリプロピレンを含むポリオレフィン製微多孔膜が開示されている。しかし、該発明の実施例に開示されている微多孔膜は電解液含浸性の点では不十分であった。該発明に記載のポリオレフィン製微多孔膜は、表面に微視的な凹凸を生じるために電解液の保持性に優れる記載がなされている。しかし、微視的な凹凸による電解液保持性とセパレータ内部へ電解液が浸透する電解液含浸性とは本質的に異なる。また、表面の微視的な凹凸はセパレータと電極間の間隔が不均一になる原因となり電池特性が低下する可能性があり好ましくない。
【0006】
特許文献4には平均孔径が0.01〜0.03μm、比表面積が95m/g以上、気孔率が30%以上、有機電解液を滴下したときに5秒以内に透明化する多孔質フィルムが開示されている。しかし、0.01〜0.03μmという平均孔径は、毛細管現象という点では一般的な液体に対する含浸性に優れているが、リチウムイオン電池に使用されている高誘電率・高粘度な電解液に対しては、平均孔径が小さいために含浸時の透過抵抗が増大し注液性に劣るという欠点があった。また、平均孔径が小さい場合には、電池のサイクル試験における容量劣化が大きい場合があり好ましくない。
特許文献5、6には、電解液への親和性(すなわち含浸性)に優れる微多孔膜が開示されている。しかし、何れの発明もポリオレフィン以外の樹脂成分を含むことで電解液の含浸性向上を達成している。しかしポリオレフィン樹脂と非ポリオレフィン樹脂間の界面強度が低下し、高強度の微多孔膜が得難いという課題があった。また高品位の微多孔膜が得られず、微多孔膜の生産性の点でも課題があった。
【0007】
特許文献7および8には、超高分子量ポリオレフィンまたはこれを含む組成物からなるポリオレフィン製微多孔膜及び製造方法が開示されている。しかし、ポリプロピレンをブレンドした実施例についての開示は無い。また、電解液含浸性の向上を目的とした発明では無い。
したがって、ポリプロピレン等のポリエチレン以外のポリオレフィンを含有するポリオレフィン製微多孔膜において、電解液含浸性に優れるポリオレフィン製微多孔膜の開発が課題となっていた。
【特許文献1】特許第3681720号
【特許文献2】特開2002−105235
【特許文献3】特開2001−72792
【特許文献4】特開2002−367590
【特許文献5】特開2002−226639
【特許文献6】特開2004−149637
【特許文献7】WO00/49073
【特許文献8】WO00/49074
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリエチレン以外のポリオレフィンを含むポリオレフィン製微多孔膜において、高誘電率・高粘度の電解液含浸性に優れ、かつ電池生産工程における注液性に優れ、またさらに電池特性にも優れるポリオレフィン製微多孔膜を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、ポリオレフィン製微多孔膜をある特定の構造に制御することで、上記課題に対して従来のポリオレフィン製微多孔膜よりも優れることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)ポリエチレン以外のポリオレフィン1〜30wt%とポリエチレンとを含み、断面空孔密度が7個/μm以上、平均孔径が0.035〜0.060μmであることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜。
(2)突刺強度2.9N/16μm以上である、上記(1)に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(3)MD引張破断伸度が10〜250%である、上記(1)又は(2)に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(4)TD熱収縮開始温度が80℃以上である、上記(1)〜(3)のいずれかのポリオレフィン製微多孔膜。
(5)粘度平均分子量が5万〜40万であるポリエチレン(PEa)を、該微多孔膜中のポリエチレンに対して40〜100wt%含有する、上記(1)〜(4)のいずれかのポリオレフィン製微多孔膜。
(6)ポリエチレン以外のポリオレフィンがポリプロピレンである、上記(1)〜(5)のいずれかのポリオレフィン製微多孔膜。
(7)(a)ポリオレフィン、可塑剤、及び酸化防止剤を窒素雰囲気下で溶融混練する工程、(b)溶融物を押出し、シート状に押出して冷却固化する工程、(c)二軸方向に延伸する工程、(d)可塑剤を抽出する工程、(e)熱固定する工程を含むポリオレフィン製微多孔膜の製造方法において、(a)工程においてポリエチレン以外のポリオレフィン1〜30wt%とポリエチレンとを含む原料樹脂と可塑剤を樹脂濃度33〜80重量%の範囲で混合し、溶融混練を行うこと、(e)工程において120℃未満、緩和倍率0.65倍以上、元の膜幅に対する緩和後の膜幅が1.0倍以上で熱固定することを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(8)前記(c)工程において、機械方向に6倍以上の二軸延伸を行う、上記(7)のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(9)前記(c)工程において、延伸面倍率が26〜100倍である、上記(7)又は(8)のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(10)前記(a)工程におけるポリエチレン中に、粘度平均分子量5万〜40万であるポリエチレン(PEa)を40〜100wt%含有する、上記(7)〜(9)のいずれかのポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
(11)上記(7)〜(10)のいずれかの製造方法によって得られるポリオレフィン微多孔膜。
(12)上記(1)〜(6)及び(11)のいずれかのポリオレフィン製微多孔膜を用いたリチウムイオン電池用セパレータ。
(13)上記(12)の電池用セパレータを使用した電子デバイス。
(14)上記(12)の電池用セパレータを使用したリチウムイオン電池。
【発明の効果】
【0010】
本発明の微多孔膜は、高誘電率・高粘度の電解液含浸性に優れ、かつ電池生産工程における注液性に優れ、またさらに電池特性にも優れる。従って本発明の微多孔膜をリチウムイオン電池用セパレータとして使用した場合、電池生産効率向上と電池特性向上に寄与することが可能である。また、高誘電率・高粘度の電解液含浸性にも優れるので高性能な電池を設計することも可能となる。またさらに、リチウムイオン電池以外の電子デバイスにおいても電解液含浸性に優れるために生産性と性能向上に寄与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明について、以下具体的に説明する。
[ポリオレフィン製微多孔膜の構造]
本発明における電解液含浸性とは、高誘電率・高粘度の電解液の浸透性に優れる側面と、電池製造工程における注液性に優れる側面を意味する。本発明のポリオレフィン製微多孔膜はこの両方の特徴を有する。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、電解液含浸性の観点から、断面空孔密度(膜厚1μm当りの膜厚方向の空孔数、単位は個/μm)が7以上であることが必要であり、好ましくは8以上、より好ましくは9以上である。断面空孔密度が7以上である場合に電解液含浸性が改善される理由は必ずしも明らかでは無いが以下のように考えられる。すなわち、ポリオレフィン製微多孔膜の断面空孔密度が高くなることは、膜面に平行な方向の平均孔径が小さくなり、その空孔数も増えていくことを意味している。例えば、膜厚1μm当りに新円状のフィブリルが平均的に7本存在し、フィブリル間には空孔部が存在し、フィブリル直径と空孔部直径が同じであると仮定すると、平均空孔数は6、平均直径は約0.08μm程度と見積もられる(1μm÷(7+6))。実際には微多孔膜のフィブリル形状も空孔部も様々な形態を取っているため上記のような概算値にはならないが、断面空孔密度が増加することにより、電解液に働く毛細管圧力が膜厚方向だけでなく、膜面内に広がる方向にも効果的に働くようになる結果、従来のポリオレフィン製微多孔膜よりも電解液含浸性が向上していると推測される。断面空孔密度が過度に高い場合、電解液透過抵抗が増大し電解液注液性に劣る場合があるため、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
【0012】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜の平均孔径と見かけ孔数は、後述する方法で測定することが可能である。平均孔径は、電池特性向上の観点から0.035μm以上であり、毛細管圧力による電解液含浸性向上の観点から0.060μm以下である。好ましくは0.035〜0.055μm、より好ましくは0.040〜0.050μmである。見かけ孔数は、好ましくは100〜300個/μmであり、より好ましくは120〜250個/μm、よりさらに好ましくは140〜200個/μm以上、最も好ましくは160〜200個/μmである。見かけの孔数が100個/μm以上であれば電池特性の向上が可能となり、見かけ孔数が300個/μmは生産不可能である。
【0013】
[ポリエチレン]
本発明で用いるポリエチレンはホモポリマーであることが好ましいが、エチレンと、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。エチレン単位に対するα−オレフィン含有量は、ポリオレフィン製微多孔膜のヒューズ温度を下げる観点から、好ましくは0.1モル%以上であり、共重合体の結晶化度低下による微多孔膜の透化性低下を防止する観点から好ましくは2モル%以下である。より好ましくは0.1〜1モル%である。ポリエチレンの重合触媒は特に限定されないが、チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等が使用可能である。
【0014】
本発明で用いるポリエチレンの分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、微多孔膜の成型加工性の観点から、好ましくは3〜20、より好ましくは5〜15、よりさらに好ましくは6〜10である。必要に応じて、2段重合やブレンド等の手段によってPEaの分子量分布を概ね10〜60の範囲で調整して使用することも可能である。
本発明では、粘度平均分子量(Mv)が5万〜40万のポリエチレン(PEa)を、微多孔膜を構成するポリオレフィン中のポリエチレン全体を100wt%として40〜100wt%含むことが好ましい、より好ましくは50〜100wt%、よりさらに好ましくは70〜100wt%、最も好ましくは80〜100wt%である。PEaのMvは、より好ましくは10万〜35万であり、よりさらに好ましくは15万〜30万である。PEaのMvが5万以上であれば高い機械強度の微多孔膜が得られるので好ましい。Mvが40万以下であればセパレータ溶融時の延伸応力緩和が顕著となり、電池安全性試験における安全性向上に繋がるので好ましい。PEaを、微多孔膜を構成するポリエチレン総量100wt%に対して40wt%以上含むと、原料樹脂を高濃度で製膜することが可能となり断面空孔密度が高くなることに繋がるので好ましい。
【0015】
PEa以外のポリエチレン(PEb)のMvは、40万より大きく100万未満が好ましく、より好ましくは50万〜100万未満、さらに好ましくは50万〜80万である。PEbのMvが40万より大きければ機械強度を向上することが可能となり、Mvが100万未満であれば、セパレータ溶融時の収縮応力を小さくすることが可能となる。PEbは異なるMvのポリエチレンを数種類ブレンドして使用することも可能であり、この場合、Mvは上述の範囲内であることが好ましい。PEbの含有量は、微多孔膜を構成するポリエチレン総量100wt%に対して60wt%未満であることが好ましく、50wt%未満であることがより好ましく、30%未満であることがよりさらに好ましく、20wt%未満であることが最も好ましい。
ポリエチレンのオレフィン製微多孔膜中での含有量は99〜70wt%であり、好ましくは97〜80wt%、より好ましくは97〜91wt%である。99〜70wt%であると、強度が高い微多孔膜を得られる。
【0016】
[ポリエチレン以外のポリオレフィン]
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、ポリエチレン以外のポリオレフィンを含有する。オレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のα-オレフィン単独重合体、または、ブテン、メチルペンテン、オクテン等を含むα-オレフィンの共重合体がブレンド可能である。これらの中でもポリプロピレンであることがポリエチレンとのブレンド性の観点で好ましい。
ポリプロピレン(PP)としては、ホモポリマー又はエチレンプロピレンランダムコポリマー、エチレンプロピレンブロックコポリマー等を用いることができる。なかでもポリプロピレンのホモポリマーが好ましい。コポリマーの場合は、ポリプロピレンの結晶化度が低下せず、微多孔膜の透過性が低下しない観点からエチレン含有量が1.0重量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレンのMvは、得られる微多孔膜の機械的強度の観点から10万以上が好ましく、成形性の観点から100万未満であることが好ましい。より好ましくは20万〜80万、更に好ましくは40万〜80万である。
ポリエチレン以外のポリオレフィンの、微多孔膜中での含有量は1〜30wt%であり、好ましくは3〜20wt%、より好ましくは3〜9wt%である。一般的にポリエチレン以外のポリオレフィンは固体臨界表面張力がポリエチレンよりも小さくなるために、ブレンド量が1wt%以上のポリオレフィン製微多孔膜は電解液含浸性が低下する傾向にあるが、本発明に記載の構造とすることで含浸性向上が可能となる。ブレンド量が30wt%以下であればポリオレフィン製微多孔膜の品位低下を防止することが可能である。
【0017】
[微多孔膜の特性]
微多孔膜の膜厚は、好ましくは1〜50μm、より好ましくは3〜30μm、よりさらに好ましくは10〜30μmである。膜厚が1μm以上であれば適度な機械強度を有し、50μm以下であれば電池用セパレータとして十分な透過性を有する。
気孔率は、ポリオレフィン製微多孔膜の電解液保液量が良好となるために25%以上が好ましく、機械強度の観点から60%以下であることが好ましい。より好ましくは40〜53%、よりさらに好ましくは42〜50%、最も好ましくは45〜50%未満である。
透気度は、膜厚16μmあたりに換算した数値で、好ましくは50〜400秒/16μm、より好ましくは100〜300秒/16μm、よりさらに好ましくは150〜250秒/16μmである。50秒/16μm以上であれば適度な機械強度を有し、400秒/16μm以下であれば電池特性が向上するので好ましい。
突刺強度は、電池作成時の工程不良を抑制する点から、膜厚16μmあたりに換算した数値で、好ましくは2.9N/16μm以上である。より好ましくは3.2〜6N/16μm、よりさらに好ましくは3.5〜5.5N/16μm、最も好ましくは3.8〜5.0N/16μmである。
【0018】
微多孔膜の機械方向(以下、「MD」という)破断強度は、電池製造工程において捲回時破断を防ぐ観点から80MPa以上が好ましく、過度の分子配向による微多孔膜製造時の破断を防ぐ観点から200MPa以下が好ましい。より好ましくは100〜200MPa、より更に好ましくは110〜200MPaである。MD破断伸度は、電池捲回体の充放電時の膨張収縮に追随する観点から10%以上であることが好ましく、電池製造工程での捲回性の観点から250%以下であることが好ましい。より好ましくは30〜150%、よりさらに好ましくは30〜120%、最も好ましくは30〜80%である。
微多孔膜のMDを90°の角度で横切る方向(以下、「TD」という)破断強度は、MDに膜が裂けることを防ぐ観点から20MPa以上であることが好ましく、過度の分子配向による微多孔膜製造時の破断を防ぐ観点から、200MPa以下が好ましい。より好ましくは30〜150MPa、より更に好ましくは40〜120MPaである。TD破断伸度は、電池捲回体の充放電時の膨張収縮に追随する観点から10%以上であることが好ましく、電池に異常な圧力が掛かった際に、セパレータが容易に破断してショート面積を大きくすることにより安全性を確保するために300%以下であることが好ましい。より好ましくは50〜200%、よりさらに好ましくは70〜200%、最も好ましくは70〜180%である。MD/TD破断強度比は、TD熱収縮を小さくする観点から1.2以上が好ましく、過度のMD配向により膜が裂けることを防ぐために10以下であることが好ましい。より好ましくは1.2〜8、よりさらに好ましくは1.5〜5、最も好ましくは2〜5である。
【0019】
微多孔膜の100℃におけるMD熱収縮は、電池安全性試験における安全性確保の観点から20%以下であることが好ましく、より好ましくは18%以下、よりさらに好ましくは15%以下である。TD熱収縮は、18%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下である。
TD熱収縮開始温度は、電池セパレータとしての安全性の観点から、80℃以上であることが好ましく、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上、最も好ましくは95℃以上である。
140℃におけるTD熱収縮力は、溶融状態での熱収縮力を低減することによって電池オーブン試験におけるセパレータの溶融破断を防止するために、好ましくは40mN以下、より好ましくは35mN以下、よりさらに好ましくは30mN以下、最も好ましくは25mN以下である。
【0020】
ポリオレフィン製微多孔膜のヒューズ温度は、電池昇温時の安全性の観点から、2℃/minの昇温条件下で150℃以下が好ましい。より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。電池の使用環境を想定して、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上である。
ポリオレフィン製微多孔膜のショート温度は、電池昇温時の安全性及び耐熱性の観点から、2℃/minの昇温条件下で160℃より高いことが好ましく、より好ましくは170℃より高く、更に好ましくは180℃より高いことが好ましい。
本願のポリオレフィン製微多孔膜の電解液含浸性は、電解液浸透性試験と電解液注液性試験で評価可能である。
【0021】
微多孔膜の電解液浸透性試験における浸透時間は、電池特性向上の観点から60秒以下であることが好ましく、より好ましくは20秒以下、より更に好ましくは10秒以下である。電解液浸透時間が60秒以下であることは、高誘電率・高粘度な電解液との親和性に優れることに繋がるため好ましい。
電解液注液性試験において得られる電解液浸透面積比は、セパレータ全体に浸透した場合を100%として、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。浸透面積が50%以上であることは、電池製造における注液工程と、該工程後に電解液がセパレータ全体に浸透する時間の両方が短縮出来ることに繋がるため、電池生産性向上の観点から好ましい。
【0022】
本発明の微多孔膜を使用した電池は、適度な平均孔径と断面空孔密度を有しているために、電解液や電極から発生する劣化物がセパレータの空孔内に詰まる、或いは電解液の液枯れによって起きる電池容量低下を防止することが可能である。後述する60℃電池サイクル試験における容量維持率は電池特性向上の観点から60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。 本発明の微多孔膜を電池用セパレータとして用いる場合、例えば下記の方法で電池を作成すればよい。
まず、微多孔膜を幅10mm〜100mm、長さ200mm〜2000mmの縦長の形状にする。このセパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、または負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ね、円または扁平な渦巻状に巻回する。さらに、この巻回体を電池缶内に収納し、さらに電解液を注入する。
【0023】
本発明における電子デバイスとは、コンデンサ、キャパシタ、電池、燃料電池等のことを意味する。キャパシタとしては、例えば電解質としてアンモニウム塩やイオン性液体を使用する電気二重層キャパシタ、電解質としてリチウム塩を使用するリチウムイオンキャパシタ等が挙げられる。電池の種類は特に限定されないが、ポリオレフィン製微多孔膜と電解液との親和性の観点から、非水電解液を使用した一次電池または二次電池、であることが好ましい。また、本発明の微多孔膜をセパレータとして使用した場合に優れた安全性を付与できるという観点から、リチウムイオン一次電池または二次電池、であることがより好ましく、リチウムイオン二次電池であることがよりさらに好ましい。リチウムイオン一次または二次電池としては、正極、負極、電解液等の構成部材として炭素、リチウム金属、リチウム金属化合物、アルミやスズやケイ素やチタンを含む化合物または合金化合物、リチウム含有遷移金属酸化物、イオン性液体等を使用しているものが挙げられる。
【0024】
本発明の微多孔膜は電解液含浸性に優れているので、特に、エチレンカーボネート、ポロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等に代表される環状カーボネート類を好ましくは20wt%以上、より好ましくは30wt%以上、さらに好ましくは50wt%以上含む溶媒に、LiPF、LiBF等のリチウム塩が好ましくは1mol/L以上溶解している、高誘電率・高粘度の電解液を用いた電池のセパレータに適している。
本発明の微多孔膜の製造方法について説明する。本発明の微多孔膜は、例えば(a)ポリオレフィン、可塑剤、及び酸化防止剤を窒素雰囲気下で溶融混練する工程(溶融混練工程)、(b)溶融物を押出し、シート状に押出して冷却固化する工程(キャスト工程)、(c)二軸方向に延伸を行う工程(延伸工程)、(d)可塑剤を抽出する工程(抽出工程)、(e)熱固定する工程(熱固定工程)より得ることが可能である。
これらの工程の順序および回数については特に限定は無いが、好ましくは以下の3種が挙げられる。
1.(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(e)工程
2.(a)工程→(b)工程→(c)工程→(d)工程→(c)工程→(e)工程
3.(a)工程→(b)工程→(d)工程→(c)工程→(e)工程
より好ましくは上記1または2である。
【0025】
(a)溶融混練工程
酸化防止剤の濃度は、原料樹脂の合計量に対して、分子劣化防止の観点から0.2wt%以上であることが好ましく、経済性の観点から3wt%以下であることが好ましい。より好ましくは0.4〜3wt%以下、よりさらに好ましくは0.5〜2wt%である。
酸化防止剤としては、1次酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。なお、2次酸化防止剤も併用して使用可能である。具体的には、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−チオ−ジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
【0026】
可塑剤は、原料樹脂と混合した際に、その融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を指す。例えば、流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水素類、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート、ジヘプチルフタレートなどが挙げられる。中でも流動パラフィンが好ましい。
原料樹脂と可塑剤の合計量に対する原料樹脂濃度は33〜80wt%であり、より好ましくは40〜80wt%、より更に好ましくは45〜70wt%、最も好ましくは45〜60wt%である。33wt%以上であれば、得られる微多孔膜の断面空孔密度が高くなり、80wt%以下であれば微多孔膜として適度な透過性が得られる。
【0027】
ポリオレフィン以外のポリマーやその他の材料についても、製膜性を損なうことなく、そして本発明の効果を損なわない範囲で配合することが可能である。さらに、必要に応じて、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料などの公知の添加剤も、製膜性を損なうことなく、そして本発明の効果を損なわない範囲で混合することが可能である。
溶融混練の方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、一軸押出し機、二軸押出し機等のスクリュー押出し機、ニーダー、バンバリーミキサー等により溶融混練させる方法が挙げられる。溶融混練する方法としては、連続運転可能な押出し機で行うことが好ましい。混練性の観点から二軸押出し機がより好ましい。可塑剤は、上記ヘンシェルミキサー等で原料樹脂と混合しても良い。また、溶融混練時に押出し機に直接フィードしても良い。
溶融混練時の温度は分散性の観点より、140℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましく、180℃以上が更に好ましい。また分子劣化を防ぐ観点から好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、更に好ましくは260℃以下である。
【0028】
(b)キャスト工程
溶融混練工程で得られた混練物をシート状に成形する方法としては、溶融物を冷却により固化させる方法をあげることができる。冷却方法として、冷風や冷却水等の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールやプレス機に接触させる方法等が挙げられる。冷媒で冷却したロールやプレス機に接触させる方法が、厚み制御が優れる点で好ましい。
【0029】
(c)延伸工程
延伸方法としては、ロール延伸機とテンターの組み合わせによる逐次二軸延伸、同時二軸テンターやインフレーション成形による同時二軸延伸などが挙げられる。中でも、高強度且つ耐変形性の観点より、同時二軸延伸であることが好ましく、同時二軸テンターによる同時二軸延伸が更に好ましい。
本発明においては、TD熱収縮応力を低減しかつ微多孔膜の強度を向上する観点から、MDに6倍以上延伸することが好ましく、より好ましくは7倍以上である。6倍以上の延伸により、フィブリルが十分に微細化され、断面空孔密度が多くすることが可能となるため好ましい。
延伸面倍率は、強度向上の観点から26倍以上が好ましく、過度の延伸による熱収縮応力増大を防ぐために100倍以下が好ましい。より好ましくは28〜60倍、よりさらに好ましくは30〜50倍である。
TDに対するMDの延伸倍率比はTD熱収縮を低減する観点から1.0〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.05〜2.0倍である。 延伸温度は原料樹脂濃度を参照して選択することが可能である。延伸温度は過大な延伸応力による破断を防ぐ観点から110℃以上が好ましく、微多孔膜の強度の観点から130℃以下が好ましい。より好ましくは115〜128℃、よりさらに好ましくは118〜125℃である。
【0030】
(d)抽出工程
抽出溶媒としては、膜を構成するポリオレフィンに対して貧溶媒であり、且つ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点が膜を構成するポリオレフィンの融点よりも低いものが望ましい。このような抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレンや1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ハイドロフロロエーテルやハイドロフロロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤、エタノールやイソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。この中から適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。中でも塩化メチレンやメチルエチルケトンが好ましい。
可塑剤抽出の方法としては、キャスト工程または延伸工程で得られたシートを、これらの抽出溶媒に浸漬、或いはシャワーすることで可塑剤を抽出し、その後充分に乾燥すればよい。
【0031】
(e)熱固定工程
熱固定工程における、処理温度は120℃未満であり、90℃以上であることが好ましい。ポリエチレン以外のポリオレフィンを含むポリオレフィン微多孔膜において、120℃未満の温度で熱処理することで、断面空孔密度が高くすることが可能となる。
ポリエチレン以外のポリオレフィンを含むポリオレフィン製微多孔膜においては、(1)ポリエチレンとこれ以外のポリオレフィンは非相溶であり界面破壊強度に劣る点、(2)ポリエチレンの方が低融点であるためポリエチレン結晶が融解し始めたときに界面破壊が起きやすくなる傾向にあることを考慮すると、熱固定工程において過度の熱と応力が加わると、フィブリル切断、フィブリル同士の融着を伴って断面空孔密度の低下が起きるものと考えられる。また、フィブリル切断した部分は、フィブリル表面にポリエチレン以外のポリオレフィンが存在し、さらに濡れ性が低下することも推測される。しかしながら、本発明においては熱固定温度、および当該温度における効果的な低倍率延伸と緩和操作により、フィブリルの微細化による高断面空孔密度化、収縮応力緩和による高TD熱収縮開始温度化が可能となっていると推測される。
【0032】
熱固定は、テンターやロール延伸機等にて、所定の温度雰囲気において、低倍率延伸と緩和操作を組み合わせて実施される。
低倍率延伸における延伸倍率は、膜のMD及び/或いはTDに対して、好ましくは1.1〜1.8倍、より好ましくは1.2〜1.7倍、よりさらに好ましくは1.3〜1.6倍である。過度の延伸は膜破断の可能性が高くなるため好ましくない。
延伸時の温度は、延伸による膜破断を防止するために90℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上、よりさらに好ましくは105℃以上である。また、上述の理由から120℃未満であり、好ましくは118℃以下、より好ましくは115℃以下、よりさらに好ましくは113℃である。
【0033】
緩和操作とは、膜のMD及び/或いはTDの寸法を少し元に戻す操作のことである。延伸時の膜寸法に対する緩和倍率は、熱収縮を低減する観点から0.9倍以下が好ましく、より好ましくは0.85倍以下、よりさらに好ましくは0.8倍以下である。過度の緩和により断面空孔密度が減少するため、0.65倍以上であり、好ましくは0.67倍以上、より好ましくは0.7倍以上である。
緩和時の温度は、熱収縮率低減の観点より、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。また、上述の理由から120℃未満であることが必要であり、好ましくは118℃以下、より好ましくは116℃である。
元の膜幅に対する緩和後の膜幅は、熱固定工程での延伸倍率と緩和倍率より計算可能である。すなわち元の膜幅を1とすると、緩和後の膜幅(倍)は、元の膜幅(1)×延伸倍率×緩和倍率で計算可能である。元の膜幅に対する緩和後の膜幅は、微多孔膜の小孔径化と断面空孔密度低下を防止する観点から1.0倍以上であることが必要であり、好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.1倍以上である。
なお、必要に応じて、電子線照射、プラズマ照射、イオンビーム照射、界面活性剤塗布、化学的改質などの表面処理を本発明の効果を損なわない程度に施すことが可能である。
【実施例】
【0034】
本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明する。実施例において示す試験方法は次の通りである。
(1)断面空孔密度(個/μm)
ポリオレフィン製微多孔膜を四酸化ルテニウム(RuO)で染色処理した後、該微多孔膜内に電子顕微鏡用エポキシ樹脂を減圧脱泡処理によって完全に含浸させ、エポキシ樹脂を硬化させることで樹脂包埋物を得た。得られた樹脂包埋物を微多孔膜のMDに平行方向に切削することで平滑な微多孔膜断面を得た。次に、得られた微多孔膜断面の表面から2〜3μmまでの反射電子像(撮影倍率3万倍)を、走査型電子顕微鏡「S−5500」(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、商標)を用いて、加速電圧1.5kVにて得た。
【0035】
得られた反射電子像の横1920×縦1480画素の電子画像を取得し、旭化成(株)製画像処理システムIP−1000PC型を用いてフィブリル部が白、空孔部が黒になるような2値化画像を取得した。(画像解像度は1280×960画素以上であることがより詳細な解析をするために好ましい)
次に微多孔膜の膜平面に対して法線方向に、画像中の微多孔膜全体を横切る線を引き、線を横切る空孔部の個数を求め、これを倍率換算した微多孔膜全体を横切る線の長さ(単位はμm)で割ることで単位断面あたりの空孔数(個/μm)を求めた。この操作を画像中の平均的な数値が得られるように10回行い、得られた数値の平均値の小数点第1位を四捨五入した値を断面空孔密度(個/μm)と定義した。
図1に実施例2で得られた微多孔膜断面の走査型電子顕微鏡像を示し、図2に2値化後の画像を示す。
【0036】
(2)粘度平均分子量
ポリエチレンおよびポリオレフィン製微多孔膜の粘度平均分子量は、溶剤としてデカリンを用い、測定温度135℃で測定し、粘度[η]から次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67(Chiangの式)
また、ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
(3)密度(g/cm
ASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23℃)で測定した。
(4)膜厚(μm)
東洋精機製の微小測厚器、KBM(商標)を用いて室温23℃で測定した。
【0037】
(5)気孔率(%)
10cm×10cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、それらと膜密度(g/cm)より、次式を用いて計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度は0.95(g/cm)として算出した。
(6)透気度(sec)
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計、G−B2(商標)により測定した。
(7)突刺強度(N/16μm)
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで微多孔膜を固定した。次に固定された微多孔膜の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として生の突刺強度(N)を得た。これに16(μm)/膜厚(μm)を乗じることにより16μm膜厚換算突刺強度(N/16μm)を算出した。
【0038】
(8)MD、TDの破断強度(MPa)及び破断伸度(%)、破断強度比
JIS K7127に準拠し、島津製作所製の引張試験機、オートグラフAG−A型(商標)を用いて、MD及びTDサンプル(形状;幅10mm×長さ100mm)について測定した。また、サンプルはチャック間距離を50mmとし、サンプルの両端部(各25mm)の片面にセロハンテープ(日東電工包装システム(株)製、商品名:N.29)を貼ったものを用いた。さらに、試験中のサンプル滑りを防止するために、引張試験機のチャック内側に厚み1mmのフッ素ゴムを貼り付けた。
破断伸度(%)は、破断に至るまでの伸び量(mm)をチャック間距離(50mm)で除して100を乗じることにより求めた。破断強度(MPa)は、破断時の強度を、試験前のサンプル断面積で除すことで求めた。
なお、測定は、温度;23±2℃、チャック圧0.30MPa、引張速度;200mm/minで行った。
破断強度比はMD破断強度をTD破断強度で除して求めた。
【0039】
(9)平均孔径(μm)、見かけ孔数(個/μm2
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、微多孔膜の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また微多孔膜の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定する。
この場合、平均孔径d(μm)と屈曲率τ(無次元)は、空気の透過速度定数Rgas(m/(m・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m/(m・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力P(=101325Pa)、気孔率ε(%)、膜厚L(μm)から、次式を用いて求めることができる。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3P)×10
τ=(d×(ε/100)×ν/(3L×P×Rgas))1/2
ここで、Rgasは透気度(sec)から次式を用いて求められる。
gas=0.0001/(透気度×(6.424×10−4)×(0.01276×101325))
また、Rliqは透水度(cm/(cm・sec・Pa))から次式を用いて求められる。
liq=透水度/100
【0040】
なお、透水度は次のように求められる。直径41mmのステンレス製の透液セルに、あらかじめアルコールに浸しておいた微多孔膜をセットし、該膜のアルコールを水で洗浄した後、約50000Paの差圧で水を透過させ、120sec間経過した際の透水量(cm )より、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
また、νは気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、空気の平均分子量M(=2.896×10−2kg/mol)から次式を用いて求められる。
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
さらに、見かけ孔数B(個/μm2)は、次式より求められる。
B=4×(ε/100)/(π×d2×τ)
【0041】
(10)ヒューズ温度(℃)・破膜(ショート)温度(℃)
図3(A)にヒューズ温度の測定装置の概略図を示す。1は微多孔膜であり、2A及び2Bは厚さ10μmのニッケル箔、3A及び3Bはガラス板である。4は電気抵抗測定装置(安藤電気製LCRメーター「AG−4311」(商標))でありニッケル箔2A、2Bと接続されている。5は熱電対であり温度計6と接続されている。7はデーターコレクターであり、電気抵抗装置4及び温度計6と接続されている。8はオーブンであり、微多孔膜を加熱する。
さらに詳細に説明すると、図3(B)に示すようにニッケル箔2A上に微多孔膜1を重ねて、縦方向に「テフロン(登録商標)」テープ(図の斜線部)でニッケル箔2Aに固定する。微多孔膜1には電解液として1mol/リットルのホウフッ化リチウム溶液(溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチルラクトン=1/1/2)が含浸されている。ニッケル箔2B上には図3(C)に示すように「テフロン(登録商標)」テープ(図の斜線部)を貼り合わせ、箔2Bの中央部分に15mm×10mmの窓の部分を残してマスキングした。
【0042】
ニッケル箔2Aとニッケル箔2Bを微多孔膜1をはさむような形で重ね合わせ、さらにその両側からガラス板3A、3Bによって2枚のニッケル箔をはさみこんだ。このとき、箔2Bの窓の部分と、微多孔膜1が相対する位置に来るようにした。
2枚のガラス板は市販のダブルクリップではさむことにより固定した。熱電対5は「テフロン(登録商標)」テープでガラス板に固定した。
このような装置で連続的に温度と電気抵抗を測定する。なお、温度は25℃から200℃まで2℃/minの速度にて昇温させ、電気抵抗値は1V、1kHzの交流にて測定した。ヒューズ温度とは微多孔膜の電気抵抗値が10Ωに達するときの温度と定義した。また、ヒューズの後、電気抵抗値が再び10Ωを下回るときの温度を破膜(ショート)温度とした。
【0043】
(11)100℃熱収縮率(%)
ポリオレフィン製微多孔膜を各辺がMDとTDに平行となるように100mm四方に切り取り、100℃に温調したオーブン内に1時間放置した後に、MD、TD熱収縮率を測定した。
(12)TD熱収縮開始温度(℃)、140℃TD熱収縮力(mN)
島津製作所製TMA50(商標)を用いて測定した。サンプル幅をMDに3mm、チャック間距離がTDに10mmとなるようにチャックに固定し、専用プローブにセットした。初期荷重を9.8mN(1.0g)とし、30℃から200℃まで10℃/minの昇温速度で加熱した。この際に、11.8mN(1.2g)以上の荷重が発生した温度をTD熱収縮開始温度とし、140℃における荷重を140℃TD熱収縮力とした。
(13)電解液浸透性
電解液としてエチレンカーボネートを20wt%、プロピレンカーボネートを80wt%の混合液体を用い、高さ30mmよりスポイトで一滴垂らし、混合液体が膜に浸透して透明になるときの時間を測定した。5秒以内で透明化した場合を◎、30秒以内を○、30〜180秒以内に若干の浸透がみられた場合を△、全く浸透しなかった場合を×とした。
【0044】
(14)電解液注液性
a.正極の作製
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2wt%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3wt%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2wt%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m,活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにした。
【0045】
b.負極の作製
活物質として人造グラファイト96.9wt%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4wt%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7wt%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の両面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m,活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにした。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート:γ−ブチロラクトン=1:1:2(体積比)の混合溶媒に、電解質としてLiBFを1.0mol/Lの濃度で溶解したものを調製した。
【0046】
d.注液性評価
前項aで作成した正極を縦方向に96mm横方向に40mmで切断し、前項bで作成した負極を縦方向に98mm横方向に42mmで切断し、微多孔膜をMDに100mmTDに44mmのサイズに切断した。次に下側から負極、セパレータ、正極の順番に中心部が一致するように重ね合わせて積層体を作成した。この積層体全体に58.8N(6.0kg)の荷重を均一に掛けた状態で、5torrまで減圧した後、前記cで調製した電解液5mlを積層体周辺に注液した。この状態で10分間放置した後、常圧に戻し、余剰電解液を拭き取った後、積層体を解体した。セパレータの面積に対して電解液が浸透していた面積が90%以上の場合を○、70%以上の場合を△、70%未満の場合を×とした。
【0047】
(15)60℃電池サイクル試験
a.正極の作成
前項(14)のaで作成した正極を面積2.00cmの円形に打ち抜いた。
b.負極の作成
前項(14)のbで作成した負極を面積2.05cmの円形に打ち抜いた。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調製した。
d.電池組立
正極と負極の活物質面が対向するよう、下から負極、セパレータ、正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収納する。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と接している。この容器内に前記した非水電解液を注入して密閉する。
【0048】
e.上記のようにして組み立てた簡易電池を25℃雰囲気下、3mA(約0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計6時間電池作製後の最初の充電を行い、そして3mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、60℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行い、そして6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電するというサイクルを100回繰り返す。
このサイクルにおける1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合(%)が60%以上維持していた場合を○、60%未満であった場合を×と判断した。
【0049】
[実施例1]
PEa(Mv25万、密度0.95g/cm、ホモポリマー)95wt%、PP(Mv40万、密度0.91g/cm、ホモポリマー)5wt%を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99wt%に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。フィーダーおよび二軸延伸機内の雰囲気を窒素で置換し、得られた混合物をフィーダーにより二軸押出機へ供給し、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練で押し出される全混合物中に占める樹脂濃度が50wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練は、設定温度200℃、スクリュー回転数180rpm、吐出量8kg/hにて行った。
【0050】
続いて、溶融混練物をT−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み1100μmのゲルシートを得た。
次に、このゲルシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度123℃とした。
その後、このシートをメチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬させて流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらに、このシートをTDテンターに導き、延伸温度107℃、延伸倍率1.45倍で低倍率延伸し、さらに緩和温度112℃、緩和率0.79倍、元の膜幅に対する緩和後の膜幅1.15倍にて熱固定を行った。
製膜条件を表1に、測定結果を表2に示す。
なお、実施例1の微多孔膜について島津製作所製比表面積/細孔分布測定装置ASAP−2400を用いて、窒素ガス吸着法によりBET比表面積とBJH法の吸着側平均孔径を測定した。その結果、各々64.6m/gと0.046μmであった。
【0051】
[実施例2〜11]
実施例1と同様な手順で、表1、3に示すような条件に変更して行った。なお、実施例8にて使用したPEaはMv30万、密度0.95g/cm、炭素原子10000個あたりの末端ビニル基濃度10個のホモポリマーポリエチレンである。
製膜条件を表1、3に測定結果を表2、4に示す。
【0052】
[比較例1〜6]
実施例1と同様な手順で、表5に示すような条件に変更して行ない、得られた膜の物性を測定した。その結果を表6に示す。なお、比較例5における原料組成は特許第3681720の実施例13に記載と同様で行っており、その他条件においても記載と同様にした。また、比較例6は特開2002−105235と同様の方法で行った。
【0053】
[比較例7]
実施例1において、熱固定工程における低延伸温度を93℃、緩和温度を98℃にて行った。TD熱収縮開始温度は70℃となり、電池用セパレータとしては不十分なものであった。
【0054】
[比較例8]
特開2001−72788の比較例2に記載の条件にて追試を行った。
断面空孔密度6、平均孔径0.035μmであり、電解液浸透性の判定は△、電解液注液性は×、60℃高温サイクル試験は×であった。
以上の結果より次のことが明らかである。
実施例1〜11に記載のポリオレフィン製微多孔膜は、請求項記載条件を満たしているために電解液浸透性と注液性の両方に優れる。したがって、60℃サイクル試験の結果からも明らかなように、本発明のポリオレフィン製微多孔膜を使用することで高性能な電池が作製可能である。
【0055】
実施例1〜3と比較例1から、熱処理温度を120℃未満として作製されたポリオレフィン製微多孔膜は、断面空孔密度が高く、同等の平均孔径と気孔率であっても電解液浸透性と電解液注液性に優れていることがわかる。
また実施例1〜11と比較例2〜4、7から、本願記載の製造方法により、電解液浸透性、電解液注液性、熱収縮特性に優れたポリオレフィン製微多孔膜の作製が可能となることがわかる。
実施例1〜11と比較例5〜6及び8からは、本発明のポリオレフィン製微多孔膜は従来技術よりも、断面空孔密度が高く、電解液浸透性と電解液注液性に優れることがわかる。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の微多孔膜は、耐熱性に優れ、かつ電解液含浸性にも優れている。従って本発明の微多孔膜は電池安全性と電池生産効率向上に優れるリチウムイオン電池用セパレータとして使用することが可能である。さらに高誘電率・高粘度の電解液含浸性に優れるので高性能な電池を設計することも可能となる。またさらに、リチウムイオン電池以外の電子デバイスにおいても電解液含浸性に優れるために生産性と性能向上に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例2のポリオレフィン製微多孔膜断面の走査型電子顕微鏡写真(倍率3万倍)。
【図2】図1を2値化した画像である。
【図3】本発明のヒューズ温度・ショート温度測定装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン以外のポリオレフィン1〜30wt%とポリエチレン99〜70wt%とを含み、断面空孔密度が7個/μm以上、平均孔径が0.035〜0.060μmであることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項2】
突刺強度2.9N/16μm以上である、請求項1に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項3】
MD引張破断伸度が10〜250%である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項4】
TD熱収縮開始温度が80℃以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項5】
粘度平均分子量が5万〜40万であるポリエチレン(PEa)を、該微多孔膜中のポリエチレンに対して40〜100wt%含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項6】
ポリエチレン以外のポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
【請求項7】
(a)ポリオレフィン、可塑剤、及び酸化防止剤を窒素雰囲気下で溶融混練する工程、(b)溶融物を押出し、シート状に押出して冷却固化する工程、(c)二軸方向に延伸する工程、(d)可塑剤を抽出する工程、(e)熱固定する工程を含むポリオレフィン製微多孔膜の製造方法において、(a)工程においてポリエチレン以外のポリオレフィン1〜30wt%とポリエチレンとを含む原料樹脂と可塑剤を樹脂濃度33〜80重量%の範囲で混合し、溶融混練を行うこと、(e)工程において120℃未満、緩和倍率0.65倍以上、元の膜幅に対する緩和後の膜幅が1.0倍以上で熱固定することを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
【請求項8】
前記(c)工程において、機械方向に6倍以上の二軸延伸を行う、請求項7に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
【請求項9】
前記(c)工程において、延伸面倍率が26〜100倍である、請求項7又は8に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
【請求項10】
前記(a)工程におけるポリエチレン中に、粘度平均分子量5万〜40万であるポリエチレン(PEa)を40〜100wt%含有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の製造方法によって得られるポリオレフィン微多孔膜。
【請求項12】
請求項1〜6及び11のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜を用いたリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項13】
請求項12に記載の電池用セパレータを使用した電子デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の電池用セパレータを使用したリチウムイオン電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−106237(P2008−106237A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241948(P2007−241948)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】