説明

ポリカーボネートの製造方法

(1)アセトンおよびジフェニルカーボネートの液体混合物を作製する工程と、(2)工程(1)の液体混合物をポリカーボネート製造プラントまで輸送する工程と、(3)ポリカーボネート製造プラント中の液体混合物中のアセトンからジフェニルカーボネートを分離する工程と、(4)ジフェニルカーボネートをビスフェノールアセトンと反応させてポリカーボネートを生産し、これによってフェノールを遊離させる工程と、(5)工程(4)のフェノールを工程(3)のアセトンと反応させてビスフェノールアセトンを生産する工程と、(6)工程(4)の反応において工程(5)のビスフェノールアセトンを使用する工程とを含む、芳香族ポリカーボネートを製造するための一体化された方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族ポリカーボネートを製造するための一体化された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書においてポリカーボネートと呼んでいる芳香族ポリカーボネートは、多くの異なる製造部門において原材料として広く使用されている。この材料は硬度が高く良好な透明性を有するため、自動車の窓から光学レンズまで多種多様の用途において使用することができる。ポリカーボネートに対する要求は、今後数年以内に大きく増加すると考えられており、このため、効率および環境影響に関してポリカーボネートの製造の改善が必要とされる。
【0003】
ポリカーボネートを製造するための方法は数種類が知られている。たとえば、相間移動条件下でのホスゲンおよびBPAの反応を伴う方法が工業規模で使用されている。しかし、この方法は、有害なホスゲンを使用し、塩化物を含有する廃棄物流が生じるという固有の欠点を有する。
【0004】
ホスゲンを使用する必要がない別の方法の1つは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般にはビスフェノールアセトン、またはBPAと呼ばれる)とジアルキルカーボネートまたはジアリールカーボネートとのエステル交換に基づいている。
【0005】
ジアルキルカーボネートは、BPAとのエステル交換において、ジアルキルカーボネートは反応性が不十分であり、そのためポリマーのポリカーボネートを形成できないという欠点を有する。さらに、遊離したアルキルアルコールは、ポリカーボネート製造方法の別の部分でまったく使用されない。しかし、アルキルアルコールをジアルキルカーボネート製造に再循環すると、実質的な精製が必要となる。
【0006】
ジアリールカーボネート、特にジフェニルカーボネート(DPC)の使用は、ポリマーのポリカーボネートを形成するのに十分な反応性を有するという利点を有する。さらに、米国特許第5,589,564号明細書などに記載されるように、ポリカーボネートが形成されるジフェニルカーボネートとBPAとの反応中にフェノールが遊離する。続いてこのフェノールは、主な原材料であるBPAまたはDPCの製造のために再循環させることができる。
【0007】
DPCの製造に遊離したフェノールを使用するためには、米国特許第5,747,609号明細書などに記載されるように、実質的な精製が必要となる。米国特許第6,277,945号明細書に記載されるように、さらに精製することなく遊離したフェノールをBPAの製造に使用することが、より効率的な方法となる。
【0008】
上述のすべての方法では共通して、大量の別々の原材料の製造、輸送、および保管が必要であるか、1つの製造場所で数種類の大型製造設備を併用する必要があるかであり、通常は環境的および経済的な理由のため実現できない。
【0009】
BPAおよびポリカーボネートの製造を組み合わせた上記方法では、原材料としてアセトン、フェノール、およびDPCが必要である。最後の2つの原材料は周囲温度で固体であり、このため、これらの材料を大量に輸送する場合、全体のプロセスの安全性および経済性の両方に影響する多数の問題が発生する。
【0010】
DPCは78から79℃の融点を有し、液体材料用の大部分の標準的輸送容器は70℃を超える温度に維持するための設備がないため、溶融状態での輸送が実際的ではない。しかし、溶融製品の安全な輸送および取り扱い(たとえばタンク洗浄による廃棄物を最小限にするため)のためには、融点よりも約15から20℃高温で製品を維持する必要がある。このような温度で液体材料を輸送するためには、大量のエネルギーも必要となり、適切に取り扱われなかった場合には材料の固化による問題が発生しうる。これらの温度においてこのような適切な取り扱いがなお可能である容器の種類は非常に限定されており、これらすべてはタンクのサイズが小さい。
【0011】
一方、固体状態でDPCを輸送するには、製造後にDPCを固化させる必要がある。通常これはDPCを冷却することによって実施され、好適な粒子に成形することによって、袋詰めし、固体材料として輸送することが可能となる。一般に、冷却および粒子形成には、冷却帯および/またはプリル塔などの大型で複雑な設備が必要である。このような設備は不必要に投資が増加し、運転に費用がかかりエネルギーも消費する。
【0012】
固体DPCの取り扱いおよび輸送は、一般に固体の取り扱いに共通する欠点を有する。たとえば、固体粒子は、これらの後の用途に好適な粒径および粒径分布を有する必要があり、さもないとこれらの材料はブロッキングのために自由に流動できなくなる。中程度の高温および/または高圧に曝露した場合でさえも粒子が焼結しやすいため、このような粒径および粒径分布は維持が困難である。これらの粒子は静電荷を蓄積することもあり、このため爆発および火災の危険性が増加する。溶融生成物または溶液を得るためにDPC粒子を再加熱する場合にさらに別の問題が発生する。これは多量のエネルギーを消費するだけでなく、ホットスポットによる材料の部分的な分解および変色が発生しうる。
【0013】
さらに、冷却、粉砕、または輸送中のちりによる汚染も、回避が困難である。これはポリカーボネートの汚染の原因となる場合があり、特に光学装置に使用される場合にポリカーボネート製品の性質に有害となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、上記のポリカーボネート製造方法は、特に原材料の導入経路に関して、改善の余地が十分に残っている。本発明は、上記問題の解決策を提供し、さらにこれによってプロセス全体をより円滑に進行させることが可能となり、この方法自体のさらなる利点も得られる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は:
(1)アセトンおよびDPCの液体混合物を作製する工程と、
(2)工程(1)の液体混合物をポリカーボネート製造プラントまで輸送する工程と、
(3)ポリカーボネート製造プラント中の液体混合物中のアセトンからDPCを分離する工程と、
(4)DPCをBPAと反応させてポリカーボネートを生産し、これによってフェノールを遊離させる工程と、
(5)工程(4)のフェノールを工程(3)のアセトンと反応させてBPAを生産する工程と、
(6)工程(4)の反応において工程(5)のBPAを使用する工程と、
を含む芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方法は、溶融状態および固体の両方のDPCの輸送に関する欠点および問題が、好適な溶媒中にDPCを溶解させることによって回避可能であるという洞察に基づいている。しかし、これは、ポリカーボネート製造場所においてDPCから溶媒を除去することが必要であり、汚染の可能性がある溶媒分画が生じる。次に、この溶媒は、DPC製造場所に戻したり、他の用途を見いだしたり、焼却処分したりする必要がある。
【0017】
この問題は、ポリカーボネートの製造に必要な原材料をDPCの溶媒として使用することによって回避される。
【0018】
アセトンはBPAの製造に使用され、BPAはポリカーボネートの原材料である。理論的には、1モルのアセトンと2モルのフェノールとが1モルのBPAの生成に必要である。次に、BPAと反応したDPC1モル当たり2モルのフェノールが遊離してポリカーボネートが得られる。一般に、BPAの製造を伴うポリカーボネートの製造では、ポリカーボネート工場に存在すべきアセトンおよびDPCがほぼ等モル量となることが必要となる。
【0019】
アセトンはDPCに適した溶媒であり、輸送および取り扱いに好適な温度範囲と一般に見なされる15から70℃の温度範囲において必要な粘度低下が得られることを発見した。さらに、周囲温度またはわずかに高温において、DPCを溶解するために必要なアセトンの量が、遊離したフェノールからBPAを製造するために必要なモル範囲内となるように、DPCがアセトン中に溶解することも発見した。したがって、DPCの溶媒としてアセトンを使用することによって、本発明の方法では、使用した溶媒を戻す必要が生じずに、上記方法の2つの重要な原材料を混合することができる。さらに、この方法によって、DPCを固化が、および固体DPCの取り扱いに関する問題が回避される。
【0020】
さらに、他の場合では別々の容器およびタンク中で輸送し保管していた2つの重要な原材料を混合して液体混合物にすることによって、アセトンおよびDPCの独立したタンクが不要となるため、輸送中および顧客の場所における保管容量の必要性が減少する。
【0021】
液体混合物中のアセトンのDPCに対する正確な比率は、輸送および取り扱いの必要条件によって、ならびにポリカーボネート製造場所において必要とされる量によって決定される。好ましくは、液体混合物中のアセトンのDPCに対するモル比は0.5:1から7:1の範囲である。しかし、ポリカーボネートの場所においてアセトンの他の用途が存在する場合は、液体混合物により多量のアセトンを使用することができる。
【0022】
好都合には、アセトンのDPCに対するモル比は、少なくとも、取り扱いが容易になる必要な保管温度および輸送温度において液体混合物を得るために必要なモル範囲であり、たとえば約1:1(またはこれを超える)である。この比において、液体混合物は、約50℃(またはそれ未満)での取り扱いおよび保管が可能となり、温度は、タンク輸送車およびタンカー中で液体を輸送するための通常標準と見なされる温度である。
【0023】
アセトンのDPCに対するモル比は、液体混合物の取り扱い中および保管中の低粘度に対する要求条件によっても決定される。好適な低粘度を実現するためには、アセトンのDPCに対するモル比は、好ましくは少なくとも0.5:1であり、より好ましくは少なくとも0.6:1であり、さらにより好ましくは少なくとも0.8:1であり、さらにより好ましくは少なくとも0.9:1である。一方、十分な低粘度を実現し、プロセス全体で両方の成分の必要な量の間で良好なバランスを達成するために、液体混合物中のアセトンのDPCに対するモル比は、好ましくは最大5:1であり、より好ましくは最大3.5:1であり、さらにより好ましくは3未満であり、さらにより好ましくは2.5未満であり、最も好ましくは最大2:1である。
【0024】
したがって、本発明の方法の工程(1)は、アセトンおよびDPCの液体混合物の作製を含む。これは、好ましくは、DPC製造場所においてDPCがなお液体である間に、所望のアセトン/DPC比が得られるまで、たとえば液体DPCを含有する撹拌容器にアセトンを加えることによって、または液体DPCをアセトンに加えることによって実施することができる。
【0025】
工業規模のBPAプロセスにおいては、プロセスサイクルから除去される望ましくない副生成物のため、わずかに多い量のアセトンおよびフェノールが必要となる場合があることが分かった。この結果、全体のプロセスでアセトンおよびフェノールを追加する必要が生じる場合があり、これらは顧客の場所に輸送し、その場所で保管する必要があり、したがって全体のプロセスが複雑化する。この追加の原材料流は、好ましくは、BPAプロセスに必要な液体混合物中に追加の量のフェノールおよびアセトンが存在することによって回避することができる。したがって、工程(1)の液体混合物は、0から10重量%のフェノール、より好ましくは1から8重量%のフェノール、さらにより好ましくは1.5から5重量%のフェノールをさらに含有する。好都合には、追加のフェノールは、DPC製造中にフェノールを完全には除去しないことによって存在させることもできる。これは、DPCの製造において、すべてのフェノールを転化および/または除去する必要がなくなり、そのためプロセスが単純化されるという利点を有する。
【0026】
DPCが加水分解によってフェノールおよび二酸化炭素となるのを回避するため、使用されるアセトンが実質的に水を含有しないのであれば、保管温度範囲で長時間保管しても、DPCおよび溶液の性質は変化しないことが試験により分かった。好ましくは、水は1.0重量%を超える量で液体混合物中に存在するべきではない。より好ましくは、液体混合物は0から0.3重量%の水を含有する。これは、0から0.5重量%の水、より好ましくは0.5重量%未満の水を含有するアセトンを使用することによって実現することができる。しかし、液体混合物中に追加のフェノールが存在することが望ましい場合、アセトンは好ましくはより多くの水を含有することができる。この場合、二酸化炭素の放出による過剰の起泡を回避するよう注意すべきである。
【0027】
DPCは、多数の方法、たとえば、フェノールのホスゲン化、またはフェノールの酸化的カルボニル化などによって製造することができ、これら二つの方法は煩雑な反応段階を含み、および不必要な量の廃棄物が生じる。
【0028】
本発明によるジフェニルカーボネートおよび/またはビスフェノールアセトンは、未置換フェノールの生成物、および置換フェノールの生成物を含む。特に、臭素化フェノールは、ポリカーボネートの耐火性を改善することが分かっている。したがって、本発明によるDPCおよび/またはBPAは、置換フェノール、特に臭素化フェノールの生成物を含むことができる。
【0029】
より一体化された原材料サイクルのためにより効率的となる方法は、(i)オレフィン(たとえばプロピレン)と酸化剤との反応によって、対応するアルキレンオキシド(たとえばプロピレンオキシド)を得る工程と、続いて、(ii)得られたアルキレンオキシドを二酸化炭素と反応させて環状アルキレンカーボネート(たとえばプロピレンカーボネート)を得る工程と、続いて、(iii)得られた環状アルキレンカーボネートをメタノールと反応させてDMCと対応するアルキレングリコール(たとえばプロピレングリコール)とを得る工程と、(iv)米国特許第5,543,546号明細書などに記載されるように、得られたDMCをフェノールと反応させてDPCを得る工程とを含む。工程(iii)および(iv)は反応蒸留として実施すると好都合である。
【0030】
新しく生成した液体DPCを直ちにアセトン中に溶解させることが好ましく、これによってDPCの高温保管が回避される。この結果、この液体混合物は、加熱せずに、またはわずかな加熱で保管または移送および輸送が可能となり、実質的な熱損失を回避するためには輸送タンクおよびパイプを従来通りに断熱するだけでよい。
【0031】
本発明の方法の工程(2)において、工程(1)の液体混合物は、ポリカーボネート製造プラントまで輸送される。この輸送は、液体化学製品の大量輸送の場合に一般に実施されるように行われる。この輸送という用語は、好適な輸送容器中での保管および移動を含んでいる。
【0032】
好適な貯蔵および輸送用の容器としては、タンク車およびタンク列車、バルクコンテナ、タンクはしけおよびタンカー、貯蔵タンク、ドラム、ならびにパイプラインなどの容器が挙げられる。
【0033】
当然ながら、輸送容器の材料は、液体混合物および使用温度に対して抵抗性であるべきである。好ましい材料はステンレス鋼である。
【0034】
保管および輸送の温度は一般に、周囲温度から約70℃の範囲であり、DPCおよびアセトンの相対量に依存する。
【0035】
液体混合物が高温で輸送される場合、輸送および保管用の容器は、熱損失を軽減するために従来通りに断熱され、要求される必要な安全装置が取り付けられる。
【0036】
製造場所において、本発明の液体混合物は、DPCおよびアセトンに容易に分離することができ、それぞれを本発明の方法の工程(4)および(5)で直接使用することができる。
【0037】
必要に応じて輸送または取り扱いの任意の段階で、アセトンを加えたり部分的に除去したりすることができる。たとえば、より大型のはしけに積載するときに過剰のアセトンを除去することができるし、好適な輸送粘度を実現するために、はしけから荷を下ろすときにアセトンを再び加えることもできる。
【0038】
工程(3)において、液体混合物中のアセトンからDPCが分離される。この分離は、蒸留処理によって好都合に実施することができる。このような蒸留処理は、フラッシュ装置によって実施することができるし、または連続蒸留塔中で実施することもでき、この場合アセトンは塔頂生成物として除去され、一方DPCは塔底留分中に残留する。
【0039】
また、DPCが長時間高温に曝露するのを回避するために連続薄膜蒸発装置を使用することもできる。
【0040】
アセトンとDPCの沸点は離れているため、得られるアセトンは、さらなる精製を行わずにさらに使用するのに十分な純度となる。しかし、希望するなら、アセトンのさらなる精製のために、蒸留塔などの独立した精製装置を追加することができる。
【0041】
分離中のDPCの熱分解、または水による加水分解によって生じたものである、または意図的に加えられたものである、アセトン中に存在するあらゆるフェノールは、BPAの生成反応に関与しうるので、除去する必要はない。
【0042】
蒸留装置中の塔底留分は、主としてDPCからなる。しかし、アセトンを完全に除去する必要はない。DPC留分中に残留する少量のアセトンは、後の工程において有益な効果も得られ、さらに、この分離工程(3)において消費されるエネルギーを削減することもできる。
【0043】
工程(4)において、米国特許第6,277,941号明細書などに記載されるように、DPCがBPAと反応してポリカーボネートを生産し、これによってフェノールを遊離する。この反応条件下で、遊離したフェノールは混合物から直ちに除去することができ、そのため追加の除去工程は不要である。
【0044】
この工程(4)において、少量のアセトンがDPC中に存在すると、DPCの粘度および融点を低下させるのに役立ち、これによってDPC溶融物の取り扱いが改善される。
【0045】
少量のアセトンが存在すると、全体の反応に対して以下の有益な効果も得られる。
【0046】
アセトンが溶媒および/または可塑剤として機能することによって、DPC、BPA、および形成されたポリカーボネートの溶融粘度およびガラス転移温度が低下する。この結果、より低温で溶融加工を実施することができる。
【0047】
アセトンによって成分の混合が改善され、このため、ポリカーボネート生成物の分子量分布をより十分に制御することができる。
【0048】
さらにアセトンは遊離したフェノールの除去を促進し、したがって抽出溶媒として機能する。
【0049】
さらに、フェノールおよびアセトンを含有する取り出された混合物は、さらに精製しなくてもBPAの製造に直接使用することができる。
【0050】
したがって、工程(3)で得られ、工程(4)で使用されるDPC留分は、好ましくは、なお最大3重量%のアセトンを含有し、より好ましくは最大2%、さらにより好ましくは最大1.5重量%、さらにより好ましくは、最大1重量%のアセトンを含有し、最も好ましくは最大0.5重量%のアセトンを含有する。
【0051】
工程(5)において、工程(4)のフェノールが工程(3)のアセトンと反応してBPAを生産する。
【0052】
工程(6)において、こうして得られたBPAが工程(4)の反応に使用される。BPAを使用することによって、プロセスの全体のサイクルが閉じ、これによって従来得られなかったレベルでの一体化が可能となり、このため、本発明の方法は非常にエネルギー効率が良くなり、さらに使用される全原材料を効率的に使用でき、同時に、全体のプロセスの原材料を分離して輸送、取り扱い、および保管を行う必要性も軽減される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)アセトンおよびジフェニルカーボネートの液体混合物を作製する工程と、
(2)工程(1)の前記液体混合物をポリカーボネート製造プラントまで輸送する工程と、
(3)前記ポリカーボネート製造プラント中の前記液体混合物中の前記アセトンから前記ジフェニルカーボネートを分離する工程と、
(4)前記ジフェニルカーボネートをビスフェノールアセトンと反応させてポリカーボネートを生産し、これによってフェノールを遊離させる工程と、
(5)工程(4)のフェノールを工程(3)のアセトンと反応させてビスフェノールアセトンを生産する工程と、
(6)工程(4)の反応において工程(5)のビスフェノールアセトンを使用する工程と、
を含む、芳香族ポリカーボネートを製造するための一体化された方法。
【請求項2】
工程(1)におけるアセトンのジフェニルカーボネートに対するモル比が0.5:1から7:1の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(1)におけるアセトンのジフェニルカーボネートに対するモル比が0.9:1から2:1の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程2における温度が15から70℃の範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(3)において得られ、工程(4)において使用される前記ジフェニルカーボネートが最大3重量%のアセトンを含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(1)の前記液体混合物が、0から10重量%のフェノールをさらに含有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(1)において使用される前記ジフェニルカーボネートが、(i)オレフィンと酸化剤との反応によって、対応するアルキレンオキシドを得る工程と、続いて、(ii)前記アルキレンオキシドを二酸化炭素と反応させて環状アルキレンカーボネートを得る工程と、続いて、(iii)前記環状アルキレンカーボネートをメタノールと反応させてジメチルカーボネートと対応するアルキレングリコールとを得る工程と、および(iv)前記ジメチルカーボネートをフェノールと反応させてジフェニルカーボネートを得る工程とを含む反応により得られる、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記オレフィンがプロピレンであり、前記アルキレンオキシドがプロピレンオキシドであり、前記環状カーボネートがプロピレンカーボネートであり、前記アルキレングリコールがモノプロピレングリコールである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(3)が連続薄膜蒸発装置を使用して実施される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−505952(P2007−505952A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525839(P2006−525839)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052160
【国際公開番号】WO2005/026235
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】