説明

ポリカーボネートコポリマー及びポリカーボネートコポリマーの製造方法

下記の式(I)(式中、Aは式C(式中、RはC〜Cアルキル基及び上述の基の1種以上を含む組合せからなる群から選択される。)を有する三置換芳香族基である。)を有するシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)と、下記の式(II)(式中、Aは置換又は非置換芳香族基であり、RはC13〜C22アルキル基からなる群から選択される。)を有する長鎖アルキル置換ビスフェノールと、炭酸ジエステル化合物と、適宜下記の式(III)(式中、Aは二価置換及び非置換芳香族基から選択される。)を有する1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物とから導かれる構造単位を含んでなるポリカーボネートコポリマー。
【化1】


【化2】


【化3】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にポリカーボネート及びポリカーボネートの製造方法に関し、さらに詳しくは、ポリカーボネートコポリマー、ポリカーボネートコポリマーの製造方法、及びそれを含んだ物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートホモポリマーは、耐衝撃性、機械的特性、透明性などの優れた物理的性質のため、各種の用途で広く使用されている。工業界での基準材料であるビスフェノールA(BPA)ポリカーボネートは、安い原価、良好な透明性、及び良好な機械的性質のため、例えばコンパクトディスクやディジタルバーサタイルディスク(DVD)のような光情報記憶媒体用の好適な基板として役立ってきた。しかし、個々のディスク上にさらに多量の情報を記憶させる必要性は、多重情報層及び短波長レーザーに基づく新しい高密度情報記憶技術をもたらした。例示的な高密度記憶ディスクには、高密度DVD(HDDVD)、ディジタルビデオレコーダブル(DVR)、DVDレコーダブル(DVD−R及びDVD+R)並びにDVDリライタブル(DVD−RW及びDVD+RW)フォーマットがある。高密度記憶ディスクは、非干渉性遮蔽層をなす透明プラスチック層を含んでいる。透明プラスチック層は高い透明度、耐熱性、低い吸水度及び延性を示すことが好ましいが、これらは標準的なBPAホモポリカーボネートが満たすことのできない規格である。
【0003】
高い情報記憶密度に対する所定材料の有効性に影響する一つの特性は、基板材料上におけるピット及び溝の間隔である。これらのピット及び溝に情報が記憶されるので、情報の喪失を防止するためにはディスクの平面性が必要である。ディスクによる過度の吸湿はディスク又はディスクを形成するフィルムのゆがみ(ひずみともいう)をもたらすことがあり、ひいては情報の読取り及び書込みの信頼性を低下させることが知られている。このようなゆがみ(以後は寸法安定度という)は、レーザービームによる情報の不正確な記録又は読取りをもたらす。ディスクの本体は一般にポリマー材料からなるので、ディスクの平面性はポリマー材料の低い吸水度に依存する。例えば、通常のBPAポリカーボネートで製造されたフィルムは、周囲湿気の吸収に原因するひずみを示すことが多い。寸法安定度は、とりわけ、存在する周囲湿気の量及び吸湿速度の関数である。かかる先進フォーマットの光ディスク用として満足すべき材料は、良好な寸法安定度を有することに加え、コンパクトディスクのような通常の光ディスクを製造するために使用する条件に対して良好な複写性及びサイクル時間を与えることが可能でなければならない。高密度記憶用として適したディスクを射出成形で製造するためには、ポリマーは容易に加工し得ること、即ち、良好な流れを示すことも必要である。したがって、BPAホモポリカーボネートが既に有する他の望ましい特性のいずれも損なうことなく、効果的な寸法安定度、複写性及びサイクル時間を与える、先進情報記憶フォーマットで使用するのに適した新しい材料を開発することが絶えず要望されている。
【発明の開示】
【0004】
本明細書中には、
次式で表されるシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)化合物と、
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、Aは式C(式中、RはC〜Cアルキル基及び上述の基の1種以上を含む組合せからなる群から選択される。)を有する三置換芳香族基である。)
次式で表されるアルキル置換ビスフェノールと、
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、Aは置換又は非置換芳香族基であり、RはC13〜C22アルキル基からなる群から選択される。)
炭酸ジエステル化合物と
から導かれる構造単位を含んでなるポリカーボネートコポリマーが開示される。
【0009】
ポリカーボネートを製造するための溶融エステル交換重合法は、触媒及び反応体組成物を合わせて反応混合物を形成することと、ポリカーボネート生成物を製造するための時間にわたり反応混合物を反応条件下で混合することとを含んでなり、ここで反応体組成物は、
式(ZO)C=O(式中、各Zは独立に非置換又は置換アルキル基或いは非置換又は置換アリール基である。)を有する炭酸ジエステルと、
次式を有するシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)と、
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、Aは式C(式中、RはC〜Cアルキル基及び上述の基の1種以上を含む組合せからなる群から選択される。)を有する三置換芳香族基である。)
次式を有するアルキル置換ビスフェノールと
【0012】
【化4】

【0013】
(式中、Aは置換又は非置換芳香族基であり、RはC13〜C22アルキル基からなる群から選択される。)
を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態では、ポリカーボネートコポリマーを製造するための溶融エステル交換重合法は、水酸化ナトリウム又はテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの1種以上を含む触媒及び反応体組成物を合わせて反応混合物を形成することと、ポリカーボネート生成物を製造するための時間にわたり反応混合物を反応条件下で混合することとを含んでなり、ここで反応体組成物は、
ジフェニルカーボネートと、
次式を有するシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)と、
【0015】
【化5】

【0016】
次式を有する長鎖アルキル置換ビスフェノールと、
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、Rは独立にC13〜C22長鎖アルキル基からなる。)
レゾルシノール、ビスフェノールA、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーと
を含む。
【0019】
上述の実施形態及びその他の特徴は、以下の詳しい説明から一層よく理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本明細書中には、高密度情報記憶フォーマットを用いる光ディスクで使用するのに適したポリカーボネートコポリマーが開示される。かかるポリカーボネートコポリマーは、好ましくは、シクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)、アルキル置換ビスフェノール及び炭酸ジエステル化合物を含む反応混合物を用いる溶融エステル交換法(即ち、溶融法)で製造される。ポリカーボネートコポリマーの所望特性に応じ、光学的芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーを反応混合物中に含めることもできる。アルキル置換ビスフェノールは、好ましくは、バランスの取れた組合せの延性、流れ特性及び熱的性質をもったポリカーボネートコポリマーを与える長鎖アルキル基(即ち、約C13〜約C22のアルキル基)を含む。
【0021】
シクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)は、好ましくは下記の式(I)で表される化合物からなる。
【0022】
【化7】

【0023】
式中、Aは三置換芳香族基である。好ましい実施形態では、Aは式C(式中、RはC〜Cアルキル基及び上述の基の1種以上を含む組合せからなる群から選択される。)を有する。さらに、アルキル基は線状又は枝分れのものであり得る。別の実施形態では、Rはシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル)並びにハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素及び臭素)でもあり得る。好ましい実施形態では、シクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)は下記の式(II)を有する。
【0024】
【化8】

【0025】
アルキル置換ビスフェノールは、好ましくは下記の式(III)で表される。
【0026】
【化9】

【0027】
式中、Aは置換又は非置換芳香族基であり、Rは約13〜約22の炭素原子を有する飽和脂肪酸基である。Rは、原則として、シクロヘキサン環上で利用できる五つの位置のいずれかを占める。好ましい実施形態では、Aは非置換フェニレン基又はメチル置換フェニレン基であり、Rはシクロヘキサン環の(二つのA−OH基に結合した炭素に対して)C−3又はC−4原子に結合した炭素原子数約13〜約22の飽和脂肪族基である。若干の実施形態では、アルキル置換ビスフェノールは、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタデシルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−オクタデシルシクロヘキサン及び1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ドコシルシクロヘキサンからなる群から選択される。
【0028】
炭酸ジエステルは、好ましくは下記の式(IV)で表される。
【0029】
【化10】

【0030】
式中、各Zは独立に非置換又は置換アルキル基或いは非置換又は置換アリール基である。Z上の置換基(存在する場合)は、特に限定されないが、アルキル、ハロゲン、クロロ、ブロモ、フルオロ、ニトロ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル及びシアノの1種以上を含み得る。本発明で使用できる炭酸シエステルの若干の特定例には、ジフェニルカーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、ビス(o−ニトロフェニル)カーボネート、(o−カルボメトキシフェニル)カーボネート、(o−カルボエトキシフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジ(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、及びこれらの2種以上の組合せのようなジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート及び混合アリールーアルキルカーボネートがある。これらのうち、特定の実施形態ではジフェニルカーボネートがしばしば使用される。若干の実施形態では、これらの化合物の2種以上を使用する場合、一方はジフェニルカーボネートである。
【0031】
任意成分としての芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーは、好ましくは下記の式(V)で表される。
【0032】
【化11】

【0033】
式中、Aは二価置換及び非置換芳香族基から選択される。
【0034】
若干の実施形態では、Aは好ましくは下記の式(VI)で表される構造を有する。
【0035】
【化12】

【0036】
式中、Gはフェニレン、ビフェニレン、ナフチレンなどの芳香族基を表す。Eは、メチレン、エチレン、エチリデン、プロピレン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチレン、ブチリデン、イソブチリデン、アミレン、アミリデン、イソアミリデンなどのアルキレン又はアルキリデン基であり得ると共に、芳香族結合、第三級アミノ結合、エーテル結合、カルボニル基、含ケイ素結合(例えば、シラン又はシロキシ)、含イオウ結合(例えば、スルフィド、スルホキシド、スルホンなど)或いは含リン結合(例えば、ホスフィニル、ホスホニルなど)のような、アルキレン又はアルキリデンと異なる部分で連結された2以上のアルキレン又はアルキリデン基からなり得る。加えて、Eは脂環式基からなり得る。Rは、好ましくは水素或いはアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール又はシクロアルキルのような一価炭化水素基を表す。Yは、好ましくはハロゲン(例えば、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素)、ニトロ基、有機基(例えば、アルケニル、アリル又は上述のR)、或いはORのようなオキシ基からなる。好ましくは、Yはコポリマーを製造するために使用する反応体及び反応条件に対して不活性であると共に、これらの影響を受けない。文字「m」は0からG上の置換可能な部位の数まで(両端を含む)の任意の整数を表し、「p」は0からE上の置換可能な部位の数まで(両端を含む)の整数を表し、「t」は1以上に等しい整数を表し、「s」は0又は1であり、「u」は0を含む任意の整数を表す。
【0037】
Eの好適な例には、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、ネオペンチリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデンなど、スルフィドやスルホキシドやスルホンのような含イオウ結合、ホスフィニルやホスホニルのような含リン結合、エーテル結合、カルボニル基、第三級アミノ基、又はシランやシロキシのような含ケイ素結合がある。
【0038】
が式(VI)で表される式(V)の芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物中で、2以上のY置換基が存在する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。同じことはR置換基についても当てはまる。式(VI)中で「s」が0であり、「u」が0でない場合、芳香環はアルキリデン橋かけ基又は他の橋かけ基の介在なしに直接結合される。芳香環残基(G)上のヒドロキシル基及びYの位置はオルト位、メタ位又はパラ位に変化し得ると共に、炭化水素残基の2以上の環内炭素原子がY及びヒドロキシル基で置換される場合、これらの基は隣接関係、非対称関係又は対称関係にあり得る。若干の特定の実施形態では、「t」、「s」及び「u」は各々1であり、両方のG基は非置換フェニレン基であり、Eはイソプロピリデンのようなアルキリデン基である。特定の実施形態では、両方のG基はp−フェニレン基であるが、両方がo−又はm−フェニレンであってもよいし、或いは一方がo−又はm−フェニレンであり、他方がp−フェニレン基であってもよい。
【0039】
式(V)の芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物の若干の非限定的実例は、米国特許第4217438号中に名称或いは式(一般式又は特定式)で開示されたジヒドロキシ置換芳香族炭化水素を包含する。芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの若干の特定例には、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、(一般にビスフェノールAとして知られる)2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール及びC1−3アルキル置換レゾルシノールがある。
【0040】
好適な芳香族ジヒドロキシコモノマー化合物は、下記の式(VII)及び(VIII)で表されるもののような、インダン構造単位を含むものも包含する。
【0041】
【化13】

【0042】
【化14】

【0043】
また、好適な芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーには、下記の式(IX)を有する2,2,2’,2’−テトラヒドロ−1,1’−スピロジオールも包含される。
【0044】
【化15】

【0045】
式中、各Rは一価炭化水素基及びハロゲン基から独立に選択され、各R、R、R及びR10は独立にC1−6アルキル基であり、各R11及びR12は独立にH又はC1−6アルキル基であり、各nは0〜3(両端を含む)の値を有する正の整数から独立に選択される。特定の実施形態では、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−1,1’−スピロジオールは2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオールである。
【0046】
本発明の様々な実施形態で使用する「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、枝分れアルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基及びビシクロアルキル基を示すものである。様々な実施形態では、特記しない限り、直鎖及び枝分れアルキル基は1〜約8の炭素原子を含むものであり、その非限定的実例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルがある。様々な実施形態では、シクロアルキル基は3〜約12の環内炭素原子を含むものである。これらのシクロアルキル基の若干の非限定的実例には、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル及びシクロヘプチルがある。様々な実施形態では、アリール基は7〜14の炭素原子を含むものである。これらには、特に限定されないが、ベンジル、フェニルブチル、フェニルプロピル及びフェニルエチルがある。様々な実施形態では、芳香族基は6〜約12の環内炭素原子を含む単環式又は多環式部分からなるのが好ましい。これらの芳香族基は、環内炭素原子上に置換された1以上のハロゲン原子又はアルキル基も含み得る。これらの芳香族基の若干の非限定的実例には、フェニル、ハロフェニル、ビフェニル及びナフチルがある。別の実施形態では、芳香族基は7〜14の炭素原子を含むアラルキル基からなるのが好ましい。
【0047】
ポリカーボネートコポリマーは、好ましくは、下記の式(X)及び(XI)のカーボネート構造単位タイプを含む。
【0048】
【化16】

【0049】
【化17】

【0050】
式中、A、A及びRは前述の通りである。
【0051】
別の実施形態では、任意成分として芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーを使用する場合、ポリカーボネートコポリマーは下記の式(XII)に示す基から選択される1種以上のカーボネート構造単位を含む。
【0052】
【化18】

【0053】
式中、Aは前述の通りである。
【0054】
溶融エステル交換重合法でポリカーボネートコポリマーを製造するための方法(以後は「溶融法」ということがある)は、触媒及び反応体組成物を合わせて反応混合物を形成することと、ポリカーボネート生成物を製造するのに有効な時間にわたり反応混合物を反応条件下で混合することとを含んでなる。反応体組成物は、好ましくは、式(I)のシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)と、式(III)のアルキル置換ビスフェノールと、式(IX)の炭酸ジエステルとを含んでいる。式中、各Zは独立に非置換又は置換アルキル基或いは非置換又は置換アリール基である。適宜、反応体組成物はさらに式(IV)の1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物を含む。
【0055】
好ましい実施形態では、ポリカーボネートコポリマーの製造のために好適な芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般にビスフェノールA又は「BPA」として知られる)、レゾルシノール(以後は「Res」ということがある)、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール(以後は「bispded」ということがある)及び2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以後は「s−BPA」ということがある)、並びに上述の芳香族ジヒドロキシ化合物の1種以上を含む組合せである。
【0056】
溶融法によるポリカーボネートの製造に際しては、炭酸ジエステルの量は、好ましくはビスフェノール及び任意成分の芳香族ジヒドロキシコモノマー(存在する場合)1モルを基準として約0.95〜約1.30モルであり、さらに好ましくは約1.05〜約1.15モルである。
【0057】
溶融法のために使用できる触媒は、かかる重合のために有効であると知られているすべてのものを包含する。好適な触媒には、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、テトラオルガノアンモニウム化合物、テトラオルガノホスホニウム化合物、及び上述の触媒の1種以上を含む組合せがある。
【0058】
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属触媒化合物の具体例には、有機酸塩、無機酸塩、酸化物、水酸化物、水素化物、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコラートがある。若干の実施形態では、触媒は式M(式中、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択され、Xは水酸化物イオン及びOAr(式中、Arは一価芳香族基である。)からなる群から選択される。)のアルカリ金属化合物からなる。
【0059】
例示的なアルカリ金属化合物には、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ヒドロキシホウ酸リチウム、ヒドロキシホウ酸ナトリウム、フェノキシホウ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩及び二リチウム塩、並びにフェニルのナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩、などがある。
【0060】
例示的なアルカリ土類金属化合物には、特に限定されないが、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、重炭酸カルシウム、重炭酸バリウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム及びステアリン酸ストロンチウム、などがある。
【0061】
好適なテトラオルガノアンモニウム触媒は、式(XIII)R13NY(式中、R13はC〜Cアルキル基であり、Yは水酸化物イオン、酢酸イオン又はOAr(式中、Arは一価芳香族基である。)である。)を有するものからなる。例示的なテトラオルガノアンモニウム触媒には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどがある。
【0062】
好適なテトラオルガノホスホニウム触媒は、式(XIV)(R14)PY(式中、R14はC〜Cアルキル基 であり、Yは前述の通りである。)を有するものからなる。例示的なテトラオルガノホスホニウム触媒には、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどがある。
【0063】
上記に開示した触媒のいずれもが、2種以上の物質の組合せとして使用できる。触媒は各種の形態で添加できる。触媒は固体(例えば、粉末)として添加してもよく、或いは溶媒(例えば、水又はアルコール)中に溶解してもよい。
【0064】
本発明では、全触媒組成物は、シクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)、アルキル置換ビスフェノール及び任意成分の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー(存在する場合)の組合せ1モル当たり、好ましくは約1×10−7〜約2×10−3モルであり、さらに好ましくは約1×10−6〜約4×10−4モルである。
【0065】
「溶融エステル交換重合」という用語は、一般に、反応体組成物が、式(I)のシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)と、式(III)のアルキル置換ビスフェノールと、式(IX)の炭酸ジエステルと、前述の触媒と、式(IV)の任意成分として芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー(存在する場合)とを含んでなる重合法をいう。溶融エステル交換重合は、1以上の段階を含む方法で達成できる。第一の段階は、好ましくは、触媒の存在下で上記の反応体組成物の重縮合を行うことからなる。かかる重合を実施するために使用する反応器は、ガラス又は金属からなり得る。若干の実施形態では、反応器の壁体を適当な酸性物質による処理で不動態化することができる。ガラス反応器内で重合を実施することが望ましい場合には、不動態化のため水性酸媒質中にそれを浸すことができる。不動態化のために適した酸には、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸及び酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸の水溶液がある。
【0066】
反応体は、固体状態又は溶融状態で反応器内に仕込むことができる。反応体の初期仕込み及びそれに続く混合は、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素ガス雰囲気)中で行うことができる。反応混合物の混合は、当技術分野で公知の方法(例えば、撹拌)で達成される。本発明に関連した反応条件とは、時間、温度、圧力、及び反応体の重合をもたらす他の因子を含む条件をいう。
【0067】
重合は、上記の反応混合物に一連の温度−圧力−時間プロトコルを施すことで実施できる。若干の実施形態では、これは圧力を徐々に段階的に低下させながら反応温度を徐々に段階的に上昇させることを含んでいる。例えば、圧力は、反応の開始時におけるほぼ大気圧からほぼ大気圧と約0.01ミリバールとの間の圧力まで変化させることができ、ほぼ大気圧と約0.05ミリバールとの間の圧力がさらに好ましく、約300ミリバールと約0.05ミリバールとの間の圧力がさらに一段と好ましい。温度は、反応混合物の融解温度から約350℃まで変化させるのが好ましく、約180〜約230℃がより好ましく、約230〜約270℃がさらに一段と好ましく、約270〜約300℃が最も好ましい。この手順は、一般に、反応体が適切に反応して所望の分子量、ガラス転移温度及び物理的性質をもったポリカーボネートコポリマーを生成することを保証する。反応は、フェノール副生物を生じながらポリマー鎖を成長させるように進行する。真空を加えてフェノール副生物を効率的に除去することで、高分子量のポリカーボネートが製造される。フェノールを効率的に除去しないと、それは逆反応に関与することがある。即ち、重合触媒の存在下でポリマー鎖がフェノールにより開裂される結果、望ましくない機械的性質及び他の物理的性質をもった低分子量のポリマーが生じることがある。様々な実施形態では、反応混合物の溶融粘度又は重量平均分子量を測定することで反応の進行を監視できる。所望の溶融粘度及び/又は分子量に到達した後、最終ポリカーボネート生成物を固体状態又は溶融状態で反応器から単離できる。
【0068】
溶融エステル交換重合は、バッチモード、半バッチモード又は連続モードで実施できる。この反応を実施する際には、当技術分野で公知の反応装置を使用できる。
【0069】
本明細書中に記載したポリカーボネートコポリマーは、好ましくは、約5000以上の重量平均分子量、約125℃以上のガラス転移温度、並びに約23℃の温度及び約100の相対湿度を有する窒素に約3時間暴露した後における初期長さに対しての伸び百分率で測定した場合、ポリカーボネートコポリマーからなるフィルムについて約0.05%未満の寸法安定度を有する。
【0070】
寸法安定度は、管理されたチャンバー内にポリカーボネートコポリマーのフィルムを配置し、所定レベルの湿度及び温度に維持した窒素の流れに規定時間にわたり暴露することで測定される。湿気の吸収は、フィルムの膨潤又は伸びを引き起こす。次いで、除湿加熱窒素を用いて吸収された湿気を追い出すことでフィルムを解膨潤させ、一般にこの操作を繰り返すことでパーセント伸び率に到達する。比較的低いパーセント伸び率(例えば、約0.05%未満)は吸湿に対する抵抗性を表し、これは優れた寸法安定度を意味する。本発明に係るポリカーボネートコポリマーフィルムは、フィルムの原長を基準にして約0.05%未満のパーセント伸び率で証明されるように、湿潤環境中で顕著な寸法安定度を示す。本明細書中に記載したポリカーボネートコポリマーは、意外にも、BPAホモポリカーボネートフィルム並びにレゾルシノールコモノマー又はレゾルシノール及びBPAをコモノマーとして用いて製造される他の同等な材料より優れた寸法安定度を示す。
【0071】
ポリカーボネートコポリマー及びこれらのポリカーボネートコポリマーを製造するための溶融法は、高密度光記憶媒体用途のために適した物品を製造するために使用できる。かかるポリカーボネート組成物及びこれらを製造するために上述した方法は、ディスプレイ装置用の光学物品及びフィルムを製造するために使用される。かかるポリカーボネートを用いて製造できる光学物品には、フィルム、光情報記憶媒体、書換え型光ディスク、及び光情報記憶媒体用の基板がある。かかる光学物品は、DVD、さらに具体的にはHD−DVD、DVR、DVD−R及びDVD+R、並びにDVD−RW及びDVD+RWフォーマットを用いた高密度情報記憶媒体のような各種の記録媒体を被覆する透明保護層としても機能し得る。
【0072】
本発明の別の態様は、上述の溶融エステル交換重合法で製造したポリカーボネートコポリマーを含む組成物を成形することを含んでなる物品の製造方法である。様々な実施形態では、成形組成物用のポリカーボネートコポリマーは、本明細書中に記載したシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)、長鎖アルキル置換ビスフェノール、及び任意成分としての芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーを含んでなる。
【0073】
かかる物品を製造するための成形段階は、射出成形、熱成形、吹込み成形などで実施できる。
【実施例】
【0074】
本発明は、以下の非限定的実施例でさらに例証される。以下の実施例中では、下記の手順を使用した。
【0075】
ポリカーボネートのガラス転移温度は、窒素下で試料を毎分10〜20℃の速度で加熱することによる示差走査熱量測定法で測定した。重量平均分子量(M)及び数平均分子量(M)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した。記載した値は、ポリスルホン標準について測定した値に関するものである。ポリカーボネート試料の寸法安定度を測定するためには、まず、ポリカーボネートのジクロロメタン溶液からフィルムをキャストした。次いで、フィルムをチャンバー内に配置し、100%の相対湿度及び23℃に維持した窒素ガスの流れに暴露した。所定時間(一般に約30〜約45分)の後、約150〜約200ml/分の速度で流れる乾燥窒素ガスの流れにフィルムを暴露して吸収された湿気のすべてをフィルムから除去した。上記の操作を3回繰り返し、フィルムの最終長さを測定した。次いで、初期長さに対するフィルムのパーセント伸び率(長さの増加)を計算した。0.1モル濃度の水酸化ナトリウム水溶液及び25重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液からなる原液の適当なアリコートを分取することで触媒組成物を調製した。
【0076】
実施例1
この実施例では、本発明に係るポリカーボネートコポリマーを溶融エステル交換重合で製造し、同様な条件下で製造したBPAポリカーボネートと比較した。
【0077】
最初に、1モル濃度の塩酸水溶液を含む浴中にガラス重合反応器を浸すことで不動態化した。約24時間後、反応器をまず脱塩水で洗い、次いで脱イオン水で洗って微量の酸及び他の夾雑物のすべてを確実に除去した。次に、反応器を乾燥して反応体組成物を仕込み、次いで反応器を重合アセンブリ中に取り付け、点検によって漏れが存在しないことを確認した。上述のようにして調製した触媒溶液の所要量を注射器で反応器内に導入した。真空源を用いて反応器内の雰囲気を排気し、窒素でパージした。このサイクルを3回繰り返した後、反応器の内容物を加熱してモノマー混合物を溶融した。混合物の温度が約180℃に達したとき、反応器内の撹拌機のスイッチを入れ、約40〜約80回転/分(rpm)に調整して約15〜約20分間動作させた。次いで、反応器内の圧力を約170ミリバールに調整しながら反応混合物を約230℃に加熱した。この温度−圧力−時間スケジュールをP1と呼ぶ。この条件で反応塊を約1時間撹拌した後、圧力を約20ミリバールに再調整しながら反応温度を約270℃に上昇させた。この条件(P2と呼ぶ)に約30分間維持した後、圧力を約1.5ミリバールに低下させながら反応混合物の温度を約300℃に上昇させた。これらの条件(P3と呼ぶ)下で反応を約30〜約60分間進行させた後、反応器内の圧力を大気圧に戻し、反応器からのガス抜きで過剰の圧力を逃がした。生成物の単離は、反応器底部のガラスニップルを破断して材料を回収することで行った。生成物が非常に高い分子量を有する場合には、反応器を窒素ガスで加圧することで高温の溶融ポリマーを落下させた。
【0078】
上述の一般重合手順を用いてポリカーボネートを製造した。製造した各ポリカーボネートについて、上述した一般手順を用いてガラス転移温度、分子量及び膨潤データを測定した。結果を下記表1に示す。
【0079】
すべての反応は、ジフェニルカーボネートと式(II)のシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)、式(III)のアルキル置換ビスフェノール及び芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー(IV)の組合せとのモル比がそれぞれ1.08:1になるようにして行った。使用した触媒は、それぞれ1:100のモル比で分取した水酸化ナトリウム及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの混合物であった。各場合において、ビスフェノール及び芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーの組合せ1モル当たり2.5×10−4モルのテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを使用した。
【0080】
実施例1は、(表1中に式(XV)として示す)アルキル置換ビスフェノールとして1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタデシルシクロヘキサンモノマーを含んでいた。比較例2は、BPA、レゾルシノール及び1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタデシルシクロヘキサンモノマーを含んでいた。比較例3は、BPA及び1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタデシルシクロヘキサンモノマーを含んでいた。比較例4は、BPA及びジフェニルカーボネートを用いて製造したBPAホモポリカーボネートである。表1中の「ビスフェノール混合物」には、シクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)モノマー、アルキル置換ビスフェノールモノマー及び芳香族ジヒドロキシ化合物モノマーの百分率を示す。
【0081】
【表1】

【0082】
表1は、実施例1のポリカーボネートコポリマーが(モノマーの1種として長鎖アルキル置換ビスフェノールを含まない)比較例2〜4のポリカーボネートより顕著で意外に低い%伸び率をもたたらしたことを示している。約0.05%未満の比較的低い%伸び率を有するポリカーボネートは、高密度ディジタルバーサタイルディスクやディジタルビデオリライタブルフォーマットのような光学的用途で使用する物品を製造するための価値ある材料である。
【0083】
以上、例示的な実施形態について本発明を説明してきたが、当業者ならば、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び同等物による構成要素の置換を行い得ることが理解されよう。加えて、本発明の本質的な技術的範囲から逸脱せずに特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるため、数多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために想定される最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表されるシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)化合物と、
【化1】

(式中、Aは式C(式中、RはC〜Cアルキル基及び上述の基の1種以上を含む組合せからなる群から選択される。)を有する三置換芳香族基である。)
次式で表されるアルキル置換ビスフェノールと、
【化2】

(式中、Aは置換又は非置換芳香族基であり、RはC13〜C22アルキル基からなる群から選択される。)
炭酸ジエステル化合物と
から導かれる構造単位を含んでなるポリカーボネートコポリマー。
【請求項2】
さらに、次式で表される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から導かれる構造単位を含む、請求項1記載のポリカーボネートコポリマー。
【化3】

(式中、Aは二価置換及び非置換芳香族基から選択される。)
【請求項3】
さらに、次式で表される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から導かれる構造単位を含む、請求項1記載のポリカーボネートコポリマー。
【化4】

(式中、Gは芳香族基であり、Eはアルキレン、アルキリデン又は脂環式基、含イオウ結合、含リン結合、エーテル結合、カルボニル基、第三級窒素基或いは含ケイ素結合であり、Rは水素又は一価炭化水素基であり、Yは水素、一価炭化水素基、アルケニル、アリル、ハロゲン、臭素、塩素及びニトロからなる群から選択され、「m」は0からG上の置換可能な部位の数まで(両端を含む)の任意の整数を表し、「p」は0からE上の置換可能な部位の数まで(両端を含む)の整数を表し、「t」は1以上に等しい整数を表し、「s」は0又は1であり、「u」は0を含む任意の整数を表す。)
【請求項4】
1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物が、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノール、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オール、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオール、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び上述の芳香族ジヒドロキシ化合物の1種以上を含む組合せからなる群から選択される、請求項2記載のポリカーボネートコポリマー。
【請求項5】
ポリカーボネートが、約125℃以上のガラス転移温度、約5000以上の重量平均分子量、及び約100%の相対湿度を有する空気に約23℃の温度で約3時間暴露した後におけるその初期長さに対しての伸び率が約0.05%未満であることで測定される寸法安定度を有する、請求項1記載のポリカーボネートコポリマー。
【請求項6】
アルキル置換ビスフェノールが、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタデシルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−オクタデシルシクロヘキサン及び1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ドコシルシクロヘキサンからなる群から選択される、請求項1記載のポリカーボネートコポリマー。
【請求項7】
請求項1記載のポリカーボネートを含んでなる射出成形又は吹込み成形物品。
【請求項8】
当該物品が高密度ディジタルバーサタイルディスク及びディジタルビデオリライタブルフォーマットからなる群から選択される光ディスクである、請求項7記載の物品。
【請求項9】
シクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)が次式で表され、
【化5】

アルキル置換ビスフェノールが次式で表される、
【化6】

(式中、Rは独立にC13〜C22長鎖アルキル基である。)
請求項1記載のポリカーボネートコポリマー。
【請求項10】
ポリカーボネートを製造するための溶融エステル交換重合法であって、
触媒及び反応体組成物を合わせて反応混合物を形成することと、
ポリカーボネート生成物を製造するための時間にわたり反応混合物を反応条件下で混合することと
を含んでなり、前記反応体組成物が、
式(ZO)C=O(式中、各Zは独立に非置換又は置換アルキル基或いは非置換又は置換アリール基である。)を有する炭酸ジエステルと、
次式を有するシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)と、
【化7】

(式中、Aは式C(式中、RはC〜Cアルキル基及び上述の基の1種以上を含む組合せからなる群から選択される。)を有する三置換芳香族基である。)
次式を有するアルキル置換ビスフェノールと
【化8】

(式中、Aは置換又は非置換芳香族基であり、RはC13〜C22アルキル基からなる群から選択される。)
を含む、溶融エステル交換重合法。
【請求項11】
反応体組成物がさらに、次式を有する1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物を含む、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【化9】

(式中、Aは二価置換及び非置換芳香族基から選択される。)
【請求項12】
芳香族ジヒドロキシ化合物が、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、C1−3アルキル置換レゾルシノール、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オール、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオール、レゾルシノール、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び上述の芳香族ジヒドロキシ化合物の1種以上を含む組合せからなる群から選択される、請求項11記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項13】
触媒が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、テトラオルガノアンモニウム化合物及びテトラオルガノホスホニウム化合物からなる群から選択される、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項14】
触媒組成物が、反応体組成物1モル当たり1×10−7〜約2×10−3モルである、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項15】
炭酸ジエステルが、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、混合アリール−アルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、ビス(o−ニトロフェニル)カーボネート、(o−カルボメトキシフェニル)カーボネート、(o−カルボエトキシフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジ(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、及び上述の炭酸ジエステルの1種以上を含む組合せからなる群から選択される、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項16】
反応混合物を、反応混合物のほぼ融解温度から350℃までの温度で混合する、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項17】
反応混合物を、反応混合物のほぼ融解温度から180℃までの初期値の第一段階から、次いで約180〜約230℃の第二段階に、次いで約230〜約270℃の第三段階に、次いで約270〜約300℃の第四段階に段階的に上昇する温度で混合する、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項18】
反応混合物を、約0.01mbarからほぼ大気圧までの圧力で混合する、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項19】
炭酸ジエステルが、反応体組成物の全モル量に対して約0.95〜約1.30のモル比を有する、請求項10記載の溶融エステル交換重合法。
【請求項20】
ポリカーボネートを製造するための溶融エステル交換重合法であって、
水酸化ナトリウム又はテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの1種以上を含む触媒及び反応体組成物を合わせて反応混合物を形成することと、ポリカーボネート生成物を製造するための時間にわたり反応混合物を反応条件下で混合することとを含んでなり、反応体組成物が、
ジフェニルカーボネートと、
次式を有するシクロヘキシリデンビス(アルキルフェノール)と、
【化10】

次式を有する長鎖アルキル置換ビスフェノールと、
【化11】

(式中、Rは独立にC13〜C22長鎖アルキル基からなる。)
レゾルシノール、ビスフェノールA、4,4’−(1−デシリデン)−ビスフェノール、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマーと
を含む、溶融エステル交換重合法。
【請求項21】
長鎖アルキル置換ビスフェノールが、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ペンタデシルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−オクタデシルシクロヘキサン及び1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ドコシルシクロヘキサンからなる群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
請求項20記載の方法で製造したポリカーボネートを含んでなる射出成形又は吹込み成形物品。
【請求項23】
請求項20記載の方法で製造したポリカーボネートを含んでなる光ディスク。

【公表番号】特表2006−502279(P2006−502279A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543239(P2004−543239)
【出願日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/025278
【国際公開番号】WO2004/033529
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】