説明

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体

【課題】ポリカーボネート樹脂に離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物について、使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の効果を低減させることがなく、かつ離型性にも優れるポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形体を提供する。
【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル0.1〜0.4質量部及び(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.1〜0.4質量部を配合してなる樹脂組成物であって、該(B)成分中に含まれるカルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下であるポリカーボネート樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体に関する。さらに詳しくは、優れた耐候性及び透明性に加えて、良好な離型性を有するポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れており、その特徴を活かして光学ディスク基板、レンズ及び窓ガラス等のガラス代替製品、カーポート屋根、電気・電子機器の各種部品、自動車部品等に幅広く用いられている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は紫外線の影響による耐光性が十分ではなく、例えば屋外での使用または蛍光灯照射での屋内使用においては、製品の変色あるいは強度の低下により使用が制限されていた。このため、従来から種々の紫外線吸収剤が単独であるいは数種組み合わせて用いられており、特に300〜350nmの波長領域を中心に紫外線吸収能を持つ、ベンゾトリアゾール骨格を有する分子構造を持つベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤はその効果が比較的大きいので一般的に用いられている。(特許文献1又は2参照)
【0003】
一方、ポリカーボネート樹脂は、成形時の離型性を改善するために離型剤が用いられており、離型剤として脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、フッ素オイル、パラフィンワックス等が知られている。これらの離型剤の中でも脂肪酸エステルを用いる方法が広く知られており、中でもグリセリンモノステアレートが多く使用されている。しかし、成形品の離型性が十分でない場合、単純にグリセリンモノステアレートのみを増量添加した光ディスク基板用ポリカーボネート樹脂組成物では、長期に亘るデータ保存性(耐加水分解性)が損なわれてしまう可能性も有り、光ディスク基板の成形材料を成形するに当たって、ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルをグリセリンモノステアレート等の脂肪酸モノグリセリドと併用して使用することが知られている。(特許文献3参照)また、ポリカーボネート樹脂に特定のペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル及び紫外線吸収剤を併用して用いることにより、透明性、耐候性、離型性、耐熱性等に優れるポリカーボネート樹脂組成物が知られている。(特許文献4参照)そして、ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルをポリカーボネート樹脂に配合するに当たって、該離型剤中の金属元素(スズ、ナトリウム、カルシウム、亜鉛)が特定量以下であるものを用いることにより、耐衝撃性、耐熱性を損なうことなく、優れた離型性および耐加水分解性を有するポリカーボネート樹脂組成物が知られている。(特許文献5参照)
【0004】
本発明者等はポリカーボネート樹脂にペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルとベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用した際に、紫外線吸収剤の効果が十分に発揮されないという問題点があることを見出し、本発明をなしたものであるが、前記特許文献3〜5には、このような問題点等は示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−216206号公報
【特許文献2】特開2003−301101号公報
【特許文献3】特開2007−242126号公報
【特許文献4】特開2004−27105号公報
【特許文献5】特開2005−42003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポリカーボネート樹脂に離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物について、使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の効果を低減させることがなく、かつ離型性にも優れるポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、ポリカーボネート樹脂にペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルとベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用した際に、得られるポリカーボネート樹脂組成物について紫外線吸収剤の効果が十分に発揮されないという問題点について、鋭意検討を進めた結果、ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル中に不純物として含まれている特定の金属成分が影響を及ぼしていることをつきとめ、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記のポリカーボネート樹脂組成物及び成形体を提供するものである。
【0008】
1.(A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル0.1〜0.4質量部及び(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.1〜0.4質量部を配合してなる樹脂組成物であって、該(B)成分中に含まれるカルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
2.(B)成分がペンタエリスリトールと炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸とのフルエステルである上記1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
3.(B)成分がペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及びペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとの混合物である上記1又は2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
4.(B)成分のペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及びペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとの混合比が9:1〜1:9である上記3に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
5.(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び/又は2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]である上記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
6.上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂に離型剤としてペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物について、使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の効果を低減させることがなく、かつ離型性にも優れるポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂と(B)特定のペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物である。以下、各成分及びその他の添加し得る成分について説明する。
【0011】
[(A)ポリカーボネート樹脂]
本発明において(A)ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂であっても脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよいが、芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることが耐衝撃性、耐熱性がより優れることから好ましい。
(芳香族ポリカーボネート樹脂)
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、他の熱可塑性樹脂に比べて、耐熱性、難燃性及び耐衝撃性が良好であるため樹脂組成物の主成分とすることができる。
【0012】
二価フェノールとしては、4,4'−ジヒドロキシジフェニル;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕などのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどを挙げることができる。なかでも、ビスフェノールAが好ましい。二価フェノールとしては、これらの二価フェノールの一種を用いたホモポリマーでも、二種以上を用いたコポリマーであってもよい。さらに、多官能性芳香族化合物を二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、ハロホーメート、炭酸エステルなどが挙げられ、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートなどが挙げられる。
【0013】
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造においては、必要に応じて末端停止剤を用いることができる。末端停止剤としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造における公知の末端停止剤を用いればよく、例えば、その具体的化合物としては、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、及びp−tert−アミルフェノールなどを挙げることができる。これらの一価フェノールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を導入するためには分岐剤を用いればよく、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドキシフェニル)エタン;α,α’,α’’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4’’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;フロログルシン、トリメリット酸、及びイサチンビス(o−クレゾール)などの官能基を三個以上有する化合物などを用いることができる。
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、樹脂組成物の物性面から、10,000〜40,000であることが好ましく、13,000〜30,000であることがより好ましい。
【0015】
また、本発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂として、芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体であるか又は芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含むものを用いる場合には、難燃性及び低温における耐衝撃性を向上することができる。該共重合体を構成するポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサンであることが難燃性の点からより好ましい。
【0016】
[(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル]
本発明において(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルは、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形する際の離型性を向上させるために用いられるものである。このペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルは、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とをエステル化反応させ、フルエステルとすることにより得られるものである。
ここで、フルエステルの構成成分である脂肪族カルボン酸としては、好ましくは、炭素数12〜30のものを用いることができる。
【0017】
これらの脂肪族カルボン酸は、通常各種の植物性油脂や動物性油脂より製造され、これらの油脂類はその成分として各種の脂肪酸を含んだエステル化合物となっている。そのため、例えば上記植物性油脂や動物性油脂から製造されたステアリン酸は通常パルミチン酸などの他の脂肪酸成分を多量に含んでいる。本発明では、このような植物性油脂や動物性油脂より製造される複数の脂肪酸を含む混合脂肪酸を用いたものであってもよいし、精製分離された脂肪酸であってもよい。
そして、炭素数12〜30の脂肪族カルボン酸の中でも炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸が好ましい。また、脂肪族カルボン酸の中でも飽和脂肪酸を用いることが好ましく、特に炭素数12〜22の飽和脂肪酸を用いることが更に好ましい。炭素数12〜22の飽和脂肪酸の中でもステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸が好ましい。
【0018】
従って、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルの好ましい具体的な化合物は、ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステル、ペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及びペンタエリスリトールベヘン酸フルエステルである。また、特にペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルとペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとの混合比が質量比で9:1〜1:9、好ましくは、5:5〜3:7である混合物を使用することが、欧州REACH規格への適合を考慮する観点等から好ましい。例えば、ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルについては、従来より広く離型剤としても使用されてきた為、REACHでは既存物質として既に予備登録されているのに対し、ペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルは新規物質として新たに予備登録が必要になる。しかし、本登録に要する経費は高価であり、その手続きが更に煩雑となる。その為、ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルの組成比率が高く、ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとして取り扱える混合物を使用することが好ましい。また、炭素鎖がC18のペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルの方が、C16のペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルに比べて、樹脂組成物にする場合の離型性能がより優れること等も、ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルの組成比率高いことが好ましい理由として挙げられる。
【0019】
本発明では、上記(B)成分であるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル中に含まれるカルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下であることが必要である。カルシウム及びナトリウムが各々15ppm超えると、本発明の(C)成分として使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の効果が十分に発揮されず、かつ耐衝撃性等の機械的強度も低下する。本発明者等は、種々検討の結果、ポリカーボネート樹脂に、上述の様なペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用して押出機等で溶融混練された際に、分子切断されたポリカーボネート樹脂の末端カルボニル結合部位とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とがエステル交換反応を起こすことによるものであることをつきとめた。
この反応メカニズムは定かではないが、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル中に不純物として含まれるカルシウム及びナトリウムが各々ポリカーボネート樹脂の分子切断を促進する一方、紫外線吸収剤を有するベンゾトリアゾール骨格も元来、このような金属イオンを配位し易いものである為、配位によって隣接する紫外線吸収剤の末端OHの求核性が向上したことによるものと推定される。
【0020】
その結果、配合されたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の内、樹脂組成物内に残存する未反応ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤量が減少し、本来の紫外線吸収剤の効果が十分に発揮されず、かつカーボネート樹脂の分子切断による耐衝撃性等の機械的強度も低下するものと考えられる。このような現象は、(B)成分であるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルと(C)成分として使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とを併用した際の特有の現象であるものと考えられる。
上記の影響を避けるため、本発明では(B)成分であるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル中に含まれるカルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下であることを必要とするが、より好ましくはカルシウムが1ppm以下、ナトリウムが12ppm以下、更に好ましくはカルシウムが0.5ppm以下、ナトリウムが10ppm以下であることが望ましい。
【0021】
本発明では、(B)成分の離型剤中に含有されるカルシウムやナトリウムのみならず、(A)成分のポリカーボネート及び/または(C)成分の紫外線吸収剤に含まれるカルシウムやナトリウムも問題になる可能性があるが、本発明者が調べた限りにおいては、(B)成分の離型剤を含まない(A)成分のポリカーボネート、(C)成分の紫外線吸収剤、更に(D)成分として酸化防止剤を配合してなる樹脂組成物では、(B)成分の存在下に比べて、耐衝撃性等の機械的強度も低下するという問題点が顕著には認められなかった。
【0022】
本発明においては、トリアゾール骨格への配位により反応が起こることから、ナトリウム及び/またはカルシウムの含有量に留意しているが、その他にも、スズ、亜鉛等はエステル交換を促進する触媒の代表的なものであること、また、チタン等は、脱水触媒にも使われることも広く知られており、スズ、亜鉛、チタン等の含有量を、本発明で記載されたナトリウム、カルシウムのレベルと同等、或いはそれ以下にしておくことが望ましい。
【0023】
本発明に使用されるカルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下であるペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルについては、市販されているものはカルシウム及びナトリウムのどちらかは15ppmを超えている状況にある。本発明では、カルシウム及びナトリウムの片方又は両方共15ppmを超えている市販のペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルを、例えば、特開2004−137423号の製造例でも記載されているように、マグネシウム、アルミニウム、珪素等を主成分とする吸着剤で精製し、カルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下として使用することができる。
【0024】
[(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤]
本発明においては、紫外線吸収剤として、(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用される。
本発明において、使用される(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル―2―ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(’3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンズトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物等が上げられる。これらの中でも、特に、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、αジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2‘−ヒドロキシ−5‘−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールあるいは2,2’−メチレンビス[4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]を用いることが好ましい。紫外線吸収剤は単独でも2種もしくはそれ以上の混合物として用いることが出来る。用いられる紫外線吸収剤の添加量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.1〜0.4重量部が好ましい。より好ましくは、0.2〜0.35重量部である。
【0025】
[(A)、(B)、(C)成分の配合割合について]
(A)ポリカーボネート樹脂、(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤との配合割合は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分は0.1〜0.4質量部、好ましくは0.13〜0.35質量部、(C)成分は0.1〜0.4質量部、好ましくは0.2〜0.35質量部である。(B)成分が0.1質量部より少ないと離型性が劣ることとなり、0.4質量部を超えると組成物の着色や分子量低下などの問題を生じる場合がある。また、(C)成分が0.1質量部より少ないと紫外線吸収能が劣ることとなり、耐候性が悪くなる。また、0.4質量部を超えると、金型を汚染する恐れがあり好ましくない。
【0026】
[その他の添加成分について]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分とともに、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤を(A)成分に対して、30〜1000質量ppm、好ましくは100〜600質量ppm添加することにより、組成物の熱安定性を向上させることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、特に制限はないが、ヒンダードフェノール系が好適に用いられる。代表的な例としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)−ヒドロシンナマミド]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト及びビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウムなどが挙げられる。
【0027】
リン系酸化防止剤としては、特に制限はない。代表的な例としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2−エチルヘキシジフェニルホスファイトの他、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト、トリス(2−クロロエチル)ホスファイト、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイト等のトリアルキルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト等のトリシクロアルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト、トリメチルホスフェイト、トリエチルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、トリオクチルホスフェイト、トリデシルホスフェイト、トリオクタデシルホスフェイト、ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェイト、トリス(2−クロロエチル)ホスフェイト、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホフェイト等のトリアルキルホスフェイト、トリシクロヘキシ−1−ホスフェイト等のトリシクロアルキルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、トリス(ノニルフェニル)ホスフェイト、2−エチルフェニルジフェニルホスフェイト等のトリアリールホスフェイトなどが挙げられる。この中では、トリアリールホスファイト及びトリアリールホスフェイトが好適に用いられる。
【0028】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、更に必要に応じ、その他の添加剤として、ガラス繊維、ガラス粉、炭素繊維、タルク、マイカ等の無機充填剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)などを適宜添加することができる。
【0029】
[混練・成形]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を前記割合で、さらに必要に応じて用いられる添加剤成分を適当な割合で配合し、混練することにより得られる。このときの配合及び混練は、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、及びコニーダなどを用いる方法で行うことができる。
混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機、あるいは、得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、及び発泡成形法などにより各種成形品を製造することができる。特に、上記溶融混練方法により、ペレット状の成形原料を製造し、次いでこのペレットを用いて、射出成形あるいは射出圧縮成形による射出成形品の製造に好適に用いることができる。
【0030】
本発明は、また前述した本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体をも提供する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体、好ましくは射出成形体(射出圧縮を含む)は、光ディスク基板等の光学材料、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジなどのOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングやその構造部材、自動車部材、建築部材等の各種部材などに用いられる。
【実施例】
【0031】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
各例で得られた樹脂組成物の性能試験は、次のとおり行った。
(1)粘度数
ISO 1628に準拠して得られたペレットの粘度数を測定した。また、使用したポリカーボネート樹脂の粘度数から、その差(ΔVN)を求めた。
(2)PC−UVA反応率(%)及び残存UVA(ppm)の測定
PC−UVA反応率は、使用されたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がポリカーボネートと反応した割合を示すものである。その測定方法は、1H−NMRにて(A)成分であるポリカーボネート樹脂原料のビスフェノールA及びパラターシャリーブチルフェノール、(B)成分のペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び(C)成分のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のシグナル強度からペレット中の夫々の組成を算出した。この組成比率から紫外線吸収剤である全(C)成分量を算出した。次いで、1H−NMRスペクトルで、紫外線吸収剤特有のシグナルが8.41ppmに観測される。このシグナルは紫外線吸収剤がポリカーボネートと反応すると8.25ppmに観測される。両者のシグナル強度比からポリカーボネート-紫外線吸収剤反応率〔PC−UVA反応率(%)〕を算出した。また、この反応比率と全(C)成分量とから残存紫外線吸収剤量〔残存UVA(ppm)〕を算出した。なお、1H−NMRの測定方法は、試料40mgを径5ミリのNMR試料管に採取し、重クロロホルム0.5ミリリットルに室温下で試料を均一に溶解させ、日本電子株式会社製500MHz NMR(ECA−500)を使用し、パルス幅:45度、パルス繰り返し時間:9秒、積算回数:256回、化学シフト基準:テトラメチルシラン、測定温度:室温、BF値:0.1の条件で測定した。
(3)耐候性
耐候性試験を以下の方法で行った。
ブラックパネル温度63℃、湿度50%、降雨サイクル12/60分(60分のうち降雨時間が12分)、照射強度(300〜400nm)78.5W/m2に設定したサンシャインウェザーメーター(SUGA SUNSHINE SUPER LONG−LIFE WEATHER)にテストピースを放置して500時間後に取り出したサンプルの目視観察を行なった。
○は、表面外観が良好である状態を示す。
△は、表面に曇りが観察される状態を示す。
×は、著しい表面荒れが観察される状態を示す。
(4)残存離型剤(ppm)の測定
その測定方法は、1H−NMRにて(A)成分であるポリカーボネート樹脂原料のビスフェノールA及びパラターシャリーブチルフェノール、(B)成分のペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び(C)成分のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のシグナル強度からペレット中の夫々の組成を算出した。この組成比率から離型剤である全(B)成分量を測定した。次いで、1H−NMRスペクトルで離型剤特有のシグナルが4.12ppmに観測される。このシグナルは離型剤がポリカーボネートと反応すると4.18ppmに観測される。両者のシグナル強度比からポリカーボネート-離型剤反応率を算出し、全離型剤量〔全(B)成分量〕から残存離型剤量を算出した。
(5)離型性
離型性試験を以下の方法で行った。
80mm×160mm、深さ40mm、抜き勾配0°、基本肉厚3mmの箱型形状で、ピン製品中央部に1点のピンポイントゲートを有する射出成形用金型を使用し、射出成形機のシリンダ温度300℃、金型温度40℃の条件で成形を行った際に、成形品を金型から突き出すために必要な離型圧を測定する。離型圧は、標準条件と標準条件に対して製品重量を増減させる条件の少なくとも3条件で測定を行う。評価材料ごとに成形して得られる製品重量と離型圧の関係を比較し、離型性の差を評価・判断した。
○は、標準条件での離型圧が45kg/cm2未満の状態を示す。
△は、標準条件での離型圧が45kg/cm2以上且つ50kg/cm2未満の状態を示す。
×は、標準条件での離型圧が50kg/cm2以上の状態を示す。
【0032】
また、各例で用いた各成分は次のとおりである。
(A)ポリカーボネート樹脂:
FN2200:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度数56.5、粘度平均分子量22000(出光興産株式会社製)
(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル
(B−1):ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルと混合物(混合比は、C16:C18=1:1.1)で、カルシウム含有量が0.5ppm未満(検出下限未満)、ナトリウム含有量が1ppmであるものを使用した。この(B−1)は、市販品である理研ビタミン製EW440Aをキョーワード600 (協和化学(株)製)で吸着を行い、濾過分離したものである。
(B−2):ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルと混合物(混合比は、C16:C18=1:1.1)で、カルシウム含有量が0.5ppm未満(検出下限未満)、ナトリウム含有量が10ppmであるものを使用した。この(B−2)は、市販品である理研ビタミン製EW480Aをキョーワード600 (協和化学(株)製)で吸着を行い、濾過分離したものである。
(B−3):ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルと混合物(混合比は、C16:C18=1:1.1)で、カルシウム含有量が0.8ppm、ナトリウム含有量が18ppmであるものを使用した。この(B−3)は、市販品であるコグニスジャパン製のコグニスVPG861をキョーワード600 (協和化学(株)製)で吸着を行い、濾過分離したものである。
(B−4):ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルと混合物〔リケスターEW−440A:理研ビタミン株式会社製〕(混合比は、C16:C18=1:1.1)で、カルシウム含有量が2ppm、ナトリウム含有量が24ppmであるものを使用した。
なお、カルシウム含有量及びナトリウム含有量の測定は、(B−1)〜(B−4)の各試料0.5gを電子工業用NMP25gに溶解した溶液を高周波誘導結合プラズマ質量分析装置〔セイコー電子工業株式会社製ICP−MS、SPQ9000〕を用い、検量線を作成、定量測定した。
(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(C−1):2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール〔シプロ化成株式会社製、SEESORB 709G〕
(D)酸化防止剤
(D−1):リン系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト〔チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガフォス168〕
(D−2):フェノール系酸化防止剤、〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガノックス1076〕
【0033】
実施例1〜4及び比較例1〜6
第1表に示す割合で各成分を配合し、ベント式二軸押出し機(東芝機械株式会社製TEM37SS、押出部の径50mm)に供給し、シリンダー温度280℃でペレット化した。得られたペレットを120℃で4時間乾燥した後、射出成形を行い、試験片を作製した。成形は、射出成形機(機種名:IS−100EN、東芝機械株式会社製)を用い、成形温度280℃、金型温度80℃にて行った。得られたペレット及び試験片について、性能を前記各種評価試験によって評価した。結果を第1表に示す。また、使用した(B−1)〜(B−4)中の金属成分を第2表に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
1表より次のことが分かった。実施例1〜では、(A)ポリカーボネート樹脂に、(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル及び(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合するに当たり、(B)成分中に含まれるカルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下であれば、使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の効果を低減させることがなく、かつ離型性にも優れるポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形体を得ることができる。また、比較例1〜6では、(B)成分中のカルシウム及びナトリウムが各々15ppmを超えると、残存するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が減少し、減少した紫外線吸収剤はポリカーボネート樹脂と反応していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルとベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用した際に、紫外線吸収剤の効果を低減させることがなく、かつ離型性にも優れる成形体を与える。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、これらの特性を必要とする産業部材、とりわけ光ディスク基板等の光学材料、電子・電気機器、情報・通信機器、OA機器等のハウジングやその構造部材、自動車部材、建材部材などに好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、(B)ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸とのフルエステル0.1〜0.4質量部及び(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.1〜0.4質量部を配合してなる樹脂組成物であって、該(B)成分中に含まれるカルシウム及びナトリウムが各々15ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
(B)成分がペンタエリスリトールと炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸とのフルエステルである請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
(B)成分がペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及びペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとの混合物である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
(B)成分のペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及びペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルとの混合比が9:1〜1:9である請求項3に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
(C)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び/又は2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]である請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。

【公開番号】特開2012−251013(P2012−251013A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122260(P2011−122260)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】