説明

ポリスルホン組成物

【課題】耐光性に優れ、良好な機械物性を有するポリスルホン組成物を提供する。
【解決手段】ポリスルホンに、JIS K6221−6.4.2に従って測定されるpHが4以下であるカーボンブラックを、ポリスルホン100質量部に対して、0.01〜2.5質量部配合して、ポリスルホン組成物とする。カーボンブラックの数平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、カーボンブラックを950℃で7時間加熱したときの揮発分は、カーボンブラックに対して、1質量%以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスルホンとカーボンブラックとを含むポリスルホン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスルホンは、耐熱性や耐薬品性に優れ、強度・剛性も高いことから、電気・電子部品をはじめ各種製品・部品の材料として検討されている。また、ポリスルホンにカーボンブラックを配合すると、カーボンブラックの紫外線吸収能により耐候性が付与され、また、カーボンブラックの黒色により黒色化されて、ポリスルホンが帯びた色味が目立たたなくなり、さらに、カーボンブラックの導電性により、帯電防止性又は通電性を付与することも可能なことから、ポリスルホンとカーボンブラックとを含むポリスルホン組成物が、好ましいポリスルホン材料として検討されている。例えば、特許文献1には、ポリスルホン60〜95.9質量部とカーボンブラック3〜15質量部とを含むポリスルホン組成物が記載されている。また、特許文献2には、ポリスルホンとpH5以下のカーボンブラック5〜40質量%とを含むポリスルホン組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−91556号公報
【特許文献2】特開2002−14548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のポリスルホン組成物は、耐光性が必ずしも十分でなく、光照射により色調が変化し易いと言う問題がある。また特許文献1及び2に記載のポリスルホン組成物は、ポリスルホン本来の良好な機械物性が損なわれ易いという問題がある。そこで、本発明の目的は、ポリスルホンとカーボンブラックとを含み、耐光性に優れ、良好な機械物性を有するポリスルホン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、ポリスルホンと、JIS K6221−6.4.2に従って測定されるpHが4以下であるカーボンブラックとを含み、前記カーボンブラックの含有量が、前記ポリスルホン100質量部に対して、0.01〜2.5質量部であるポリスルホン組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリスルホン組成物は、耐光性に優れ、良好な機械物性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ポリスルホンは、典型的には、2価の芳香族基(芳香族化合物から、その芳香環に結合した水素原子を2個除いてなる残基)とスルホニル基(−SO2−)と酸素原子とを含む繰返し単位を有する樹脂である。ポリスルホンは、耐熱性や耐薬品性の点から、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある)を有することが好ましく、さらに、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある)や、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある)等の他の繰返し単位を1種以上有していてもよい。
【0008】
(1)−Ph1−SO2−Ph2−O−
【0009】
(Ph1及びPh2は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【0010】
(2)−Ph3−R−Ph4−O−
【0011】
(Ph3及びPh4は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rは、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
【0012】
(3)−(Ph5)n−O−
【0013】
(Ph5は、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。nは、1〜3の整数を表す。nが2以上である場合、複数存在するPh5は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0014】
Ph1〜Ph5のいずれかで表されるフェニレン基は、p−フェニレン基であってもよいし、m−フェニレン基であってもよいし、o−フェニレン基であってもよいが、p−フェニレン基であることが好ましい。前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記フェニレン基にある水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、前記フェニレン基毎に、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
【0015】
Rであるアルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基及び1−ブチリデン基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜5である。
【0016】
ポリスルホンは、繰返し単位(1)を、全繰返し単位の合計に対して、50モル%以上有することが好ましく、80モル%以上有することがより好ましく、繰返し単位として実質的に繰返し単位(1)のみを有することがさらに好ましい。なお、ポリスルホンは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。
【0017】
ポリスルホンは、それを構成する繰返し単位に対応するジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とを重縮合させることにより、製造することができる。例えば、繰返し単位(1)を有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として下記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」ということがある)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」ということがある)を用いることにより、製造することができる。また、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)とを有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」ということがある)を用いることにより、製造することができる。また、繰返し単位(1)と繰返し単位(3)とを有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記式(7)で表される化合物(以下、「化合物(7)」ということがある)を用いることにより、製造することができる。
【0018】
(4)X1−Ph1−SO2−Ph2−X2
【0019】
(X1は及びX2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。Ph1及びPh2は、前記と同義である。)
【0020】
(5)HO−Ph1−SO2−Ph2−OH
【0021】
(Ph1及びPh2は、前記と同義である。)
【0022】
(6)HO−Ph3−R−Ph4−OH
【0023】
(Ph3、Ph4及びRは、前記と同義である。)
【0024】
(7)HO−(Ph5)n−OH
【0025】
(Ph5及びnは、前記と同義である。)
【0026】
前記重縮合は、炭酸のアルカリ金属塩を用いて、溶媒中で行うことが好ましい。炭酸のアルカリ金属塩は、正塩である炭酸アルカリであってもよいし、酸性塩である重炭酸アルカリ(炭酸水素アルカリ)であってもよいし、両者の混合物であってもよく、炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが好ましく用いられ、重炭酸アルカリとしては、重炭酸ナトリウムや重炭酸カリウムが好ましく用いられる。溶媒としては、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン(1,1−ジオキソチラン)、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等の有機極性溶媒が好ましく用いられる。
【0027】
ポリスルホンは、その還元粘度が、通常0.3dL/g以上、好ましくは0.4〜0.6dL/g、より好ましくは0.45〜0.55dL/gである。還元粘度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、その成形に必要な温度が高くなり易い。
【0028】
前記重縮合において、仮に副反応が生じなければ、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比が1:1に近いほど、炭酸のアルカリ金属塩の使用量が多いほど、重縮合温度が高いほど、また、重縮合時間が長いほど、得られるポリスルホンの重合度が高くなり易く、還元粘度が高くなり易いが、実際は、副生する水酸化アルカリ等により、ハロゲノ基のヒドロキシル基への置換反応や解重合等の副反応が生じ、この副反応により、得られるポリスルホンの重合度が低下し易く、還元粘度が低下し易いので、この副反応の度合いも考慮して、所望の還元粘度を有するポリスルホンが得られるように、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比、炭酸のアルカリ金属塩の使用量、重縮合温度及び重縮合時間を調整することが好ましい。
【0029】
本発明のポリスルホン組成物は、前記のようなポリスルホンと、JIS K6221−6.4.2に従って測定されるpHが4以下であるカーボンブラックとを含み、その含有量が、ポリスルホン100質量部に対して、0.01〜2質量部のものである。このように、ポリスルホンに所定のカーボンブラックを所定量配合することにより、耐光性に優れ、良好な機械物性を有するポリスルホン組成物を得ることができる。
【0030】
前記pHが4以下であるカーボンブラックは、通常、表面が酸化処理されており、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、ヒドロキシル基等の酸素含有基を有するものであり、この酸素含有基が光により生じたラジカルを補足することにより、ポリスルホンの劣化連鎖反応が防止され、ポリスルホン組成物の耐光性が向上すると考えられる。なお、カーボンブラックの前記pHは、通常2以上である。
【0031】
カーボンブラックの含有量は、ポリスルホン100質量部に対して、好ましくは0.05〜2.5質量部、より好ましくは0.5〜2.5質量部である。カーボンブラックの含有量があまり少ないと、ポリスルホン組成物の耐光性が不十分になり、あまり多いと、ポリスルホン組成物の機械物性が不十分になる。
【0032】
カーボンブラックは、その数平均粒径が30nm以下であることが好ましい。カーボンブラックの数平均粒径があまり大きいと、質量あたりの表面積が小さくなり、質量あたりの表面の酸素含有基の量が少なくなるためか、ポリスルホン組成物の耐光性が不十分になり易い。なお、カーボンブラックの数平均粒径は、より好ましくは25nm以下であり、また、通常10nm以上である。カーボンブラックの数平均粒子径は、カーボンブラックを電子顕微鏡で観察することにより測定できる。
【0033】
カーボンブラックは、それを950℃で7時間加熱したときの揮発分が、加熱前のカーボンブラックに対して、1質量%以上であることが好ましい。この揮発分は、質量あたりの表面の酸素含有基の量の指標と考えられ、あまり少ないと、ポリスルホン組成物の耐光性が不十分になり易い。なお、カーボンブラックの前記揮発分は、通常10質量%以下である。
【0034】
本発明のポリスルホン組成物は、充填材、カーボンブラック以外の添加剤、ポリスルホン以外の樹脂等の他の成分を1種以上含んでもよい。
【0035】
充填材は、繊維状充填材であってもよいし、板状充填材であってもよいし、繊維状及び板状以外で、球状その他の粒状充填材であってもよい。また、充填材は、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。繊維状無機充填材の例としては、ガラス繊維;パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維等のセラミック繊維;及びステンレス繊維等の金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー等のウイスカーも挙げられる。繊維状有機充填材の例としては、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が挙げられる。板状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスフレーク、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。粒状無機充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスバルーン、窒化ホウ素、炭化ケイ素及び炭酸カルシウムが挙げられる。ポリスルホン組成物中の充填材の含有量は、ポリスルホン100質量部に対して、通常0〜100質量部である。
【0036】
カーボンブラック以外の添加剤の例としては、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、カーボンブラック以外の着色剤が挙げられる。ポリスルホン組成物中のカーボンブラック以外の添加剤の含有量は、ポリスルホン100質量部に対して、通常0〜5質量部である。
【0037】
ポリスルホン以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等のポリスルホン以外の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。ポリスルホン組成物中のポリスルホン以外の樹脂の含有量は、ポリスルホン100質量部に対して、通常0〜20質量部である。
【0038】
ポリスルホン組成物は、ポリスルホン、カーボンブラック及び必要に応じて用いられる他の成分を、押出機を用いて溶融混練し、ペレット状に押し出すことにより調製することが好ましい。押出機としては、シリンダーと、シリンダー内に配置された1本以上のスクリュウと、シリンダーに設けられた1箇所以上の供給口とを有するものが、好ましく用いられ、さらにシリンダーに設けられた1箇所以上のベント部を有するものが、より好ましく用いられる。
【0039】
こうして得られる本発明のポリスルホン組成物を成形することにより、耐光性に優れ、良好な機械物性を有する成形体を得ることができる。ポリスルホン組成物の成形法としては、溶融成形法が好ましく、その例としては、射出成形法、Tダイ法やインフレーション法等の押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、真空成形法及びプレス成形が挙げられる。中でも射出成形法が好ましい。
【0040】
こうして得られる成形体である製品・部品の例としては、光ピックアップボビン、トランスボビン等のボビン;リレーケース、リレーベース、リレースプルー、リレーアーマチャー等のリレー部品;RIMM、DDR、CPUソケット、S/O、DIMM、Board to Boardコネクター、FPCコネクター、カードコネクター等のコネクター;ランプリフレクター、LEDリフレクター等のリフレクター;ランプホルダー、ヒーターホルダー等のホルダー;スピーカー振動板等の振動板;コピー機用分離爪、プリンター用分離爪等の分離爪;カメラモジュール部品;スイッチ部品;モーター部品;センサー部品;ハードディスクドライブ部品;オーブンウェア等の食器;車両部品;航空機部品;及び半導体素子用封止部材、コイル用封止部材等の封止部材が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0042】
実施例1〜3、比較例1〜4
【0043】
〔ポリスルホン〕
ポリスルホンとして、住友化学(株)の「スミカエクセルPES4800G」(還元粘度0.48)を用いた。ポリスルホンの還元粘度は、次の方法により測定した値である。
【0044】
〔ポリスルホンの還元粘度の測定〕
ポリスルホン約1gをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させて、その容量を1dLとし、この溶液の粘度(η)を、オストワルド型粘度管を用いて、25℃で測定した。また、溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドの粘度(η0)を、オストワルド型粘度管を用いて、25℃で測定した。前記溶液の粘度(η)と前記溶媒の粘度(η0)から、比粘性率((η−η0)/η0)を求め、この比粘性率を、前記溶液の濃度(約1g/dL)で割ることにより、ポリスルホンの還元粘度(dL/g)を求めた。
【0045】
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックとして、次のものを用いた。
カーボンブラック(1):三菱化学(株)の「MA−100」(pH3.5、数平均粒径24nm、揮発分1.5質量%)。
カーボンブラック(2):三菱化学(株)の「CB#20」(pH7.0、数平均粒径50nm、揮発分0.6質量%)。
カーボンブラック(3):三菱化学(株)の「CB#32」(pH8.0、数平均粒径30nm、揮発分6.0質量%)
【0046】
ここで、カーボンブラックのpHは、JIS K6221−6.4.2に従って、カーボンブラック10gと蒸留水100mlとの混合液を15分煮沸した後、遠心分離して、上澄液を除去し、残った泥状物のpHガラス電極pHメーターで測定した値である。また、カーボンブラックの数平均粒径は、電子顕微鏡で観察することにより測定した値である。また、カーボンブラックの揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱し、その質量減少値([加熱前の質量]−[加熱後の質量])を[加熱前の質量]で割ることにより求めた値である。
【0047】
〔ポリスルホン組成物の調製〕
ポリスルホン100質量部に対して、表1に示す種類及び量のカーボンブラックを配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドした。この混合物を二軸押出機(池貝鉄工(株)の「PCM−30型」)を用いて、シリンダー温度340℃で造粒し、ペレット状のポリスルホン組成物を得た。
【0048】
〔耐光性の評価〕
ポリスルホン組成物を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製の「PS−20E5ASE」)を用いて、シリンダー温度370℃、金型温度150℃で、64mm×64mm×3mmの試験片に成形した。この試験片に、ウエザロメーター(スガ試験機(株)の「WBL 75XS」:キセノン型)を用いて、面照射照度160W/m2、測定波長300〜400nm、ブラックパネル温度60℃、相対湿度50%の条件で24時間、光照射した。光照射前後の試験片について、色差計(ミノルタ(株)の「CM−3600d」)を用いて、照明受光光学系D65、C光源、観察視野10゜、測定径25.4mmの条件で、紫外線カットを行わずに、L*a*b*表色系による色度(L*、a*、b*)を測定し、SCE法による色差ΔE*abを算出した。結果を表1に示す。
【0049】
〔耐衝撃性の評価〕
ポリスルホン組成物を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製の「PS−20E5ASE」)を用いて、シリンダー温度370℃、金型温度150℃で、127mm×12.7mm×6.4mmの試験片に成形した。この試験片を2等分し、ASTM D−256に従ってアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスルホンと、JIS K6221−6.4.2に従って測定されるpHが4以下であるカーボンブラックとを含み、前記カーボンブラックの含有量が、前記ポリスルホン100質量部に対して、0.01〜2.5質量部であるポリスルホン組成物。
【請求項2】
前記ポリスルホンが、下記式(1)で表される繰返し単位を有するポリスルホンである請求項1に記載のポリスルホン組成物。
(1)−Ph1−SO2−Ph2−O−
(Ph1及びPh2−、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【請求項3】
前記ポリスルホンが、それを構成する全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位を50モル%以上有するポリスルホンである請求項2に記載のポリスルホン組成物。
【請求項4】
前記カーボンブラックの数平均粒径が、30nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリスルホン組成物。
【請求項5】
前記カーボンブラックを950℃で7時間加熱したときの揮発分が、前記カーボンブラックに対して、1質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポリスルホン組成物。

【公開番号】特開2012−97139(P2012−97139A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243456(P2010−243456)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】