説明

ポリビオチニル化化合物の調製方法

本発明は、化学式(I)で表される化合物の新規な調製方法に関するものである。


但し、
−X は、ビオチン又は


−Y は、ビオチン又は


−Z は、ビオチン又は


−V は、ビオチン又は


である。また、本発明は、化学式(I)で表される化合物及びそれらの臨床診断及び産業診断への使用に関する者である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は診断分野に関するものである。具体的には、信号増幅、特に、診断検査における被分析物の信号増幅に有効なポリビオチニル化デンドリマー化合物を生成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質及び核酸のような被分析物の検出結果を可能にするプローブは広く用いられており、インビトロ及びインビボ診断のための最適なツールである。しかし、これらの被分析物は、常に十分な量存在するわけではないので、検出が難しいことがある。従って、検出増幅システムが重要となる。
【0003】
十分な量の被分析物を検出するための幾つかの方法が開発されてきた。これらの技術は、例えば、PCR又はNASBA技術によって被分析物の量を増加させるか、又は、例えば、複数のマーカーを有する構造を用いて検出結果を増幅させるステップを含むものである。
【0004】
従って、欧州特許出願公開第0774119号明細書は、複数のマーカーを有する結合体であって、1〜10のハプテン分子及び1〜10のマーカー基を含有する、最大100モノマーユニットを有するポリマー担体を備える結合体と、これらの結合体の固相合成による調製方法であって、(a)合成後に、担体の所定位置において、ハプテン分子及び/又はマーカー基に共有結合するモノマー誘導体を導入し、及び/又は、(b)ハプテン分子及び/又はマーカー基を担体の反応基に結合する、方法を開示する。
【0005】
デンドリマーは複数の分岐を有し、複数の末端官能基で終了する高分子として明確に定義されている。デンドリマーの利点の一つは、本出願人により出願された国際公開第03/72546号パンフレットに記載されているように、複数の官能基を有することにより、安定なカップリング剤として使用することができることである。他の利点は、末端官能基を用いて、ビオチン、フルオロフォア、又はこれらの組み合わせのような複数のマーカーに結合することができるために、複数のマーカーを有する構造をとることができるということである。従って、国際公開第01/02861号パンフレットは、デンドリマーは一方で1~1200個のプローブに結合することができ、他方で1~1200個のマーカーに結合することができるということを開示している。これらのデンドリマーは、信号増幅に使用することができる。
【0006】
他のポリビオチニル化デンドリマーは、国際公開第00/72802号パンフレットに記載されている。
【0007】
しかし、デンドリマーを調製するための従来の方法には、デンドリマーを液相で合成するという欠点がある。液相は固相よりも複雑であり長時間を要する。さらに、幾つかの方法によれば、中性でなく極性を有さないデンドリマーが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0774119号明細書
【特許文献2】国際公開第03/72546号パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/02861号パンフレット
【特許文献4】国際公開第00/72802号パンフレット
【発明の概要】
【0009】
驚くべきことに、出願人は、以下のようなビオチニル化化合物の、再現性があり制御可能な調製を実現するという点で従来の方法における欠点を克服することができる、ポリビオチニル化デンドリマー化合物の新規な調製方法を開発した。
−水溶性だが電気的に中性である。
−ビオチン官能基を含む官能基が分離し、正確に空間分布していることに起因して極性を有している。
−固相で合成可能である。
【0010】
従って、本発明の目的は、化学式(I)で表される化合物を調製する方法であって、
【化1】

但し、
−X は、ビオチン又は
【化2】

−Y は、ビオチン又は
【化3】

−Z は、ビオチン又は
【化4】

−V は、ビオチン又は
【化5】

−B は、NH2又はH、
−AA は、BがNH2である場合には3官能分子誘導体であり、BがHである場合には2官能分子誘導体であり、
−AA1 〜 AA5は、それぞれ、3官能分子誘導体であり、
−G0 〜 G5は、それぞれ、少なくとも1つの(-CH2-CH2-O)ユニットを備えるアームであり、
−n0 〜 n5は、それぞれ、1〜8の整数であり、
−Tは、リガンドと反応することができる抗リガンド、又は抗リガンドに結合するための反応基であり、
前記方法は以下のステップ、すなわち、
(i)化学式W’’0-G0-OHで表されるn0個の化合物(但し、W’’0 はアミン保護基であり、n0及び G0 は、上述の定義に従うものである)を、化学式(II)で表される化合物に対してグラフト化して化学式(III)で表される化合物を得る、ステップと、
【化6】

【化7】

(但し、Rは予め官能化した樹脂であり、W 及び W0 は相互に異なるアミン保護基を表し、WはW’’0と異なり、AAは上述の定義に従う)
(ii)化学式(IV)で表される化合物を化学式(III)で表される化合物とカップリングして化学式(V)で表される化合物を得る、ステップと、
【化8】

【化9】

(但し、W1 及び W’1は、Wとは異なり、相互に同一のアミン保護基、又は相互に異なり、W0及び W’’0とも異なるアミン保護基であり、AA1 は上述の定義に従う)
(iii)化学式W’’1-G1-OHで表される2n1個の化合物(但し、W’’1は、Wとは異なり、相互に同一のアミン保護基、又は相互に異なり前記方法に用いられる他の保護基とも異なるアミン保護基であり、G1及び n1は上述の定義に従う)を前記ステップ(ii)にて得られた化合物に対してグラフト化して、化学式(VI)で表される化合物を得る、ステップと、
【化10】

(iv)化学式(I)のXがビオチンの場合、ステップ(v)に直接進む、あるいは、化学式(I)のXがビオチンでない場合、化学式(VII)で表される2p-1個の化合物を用いてステップ(ii)及び(iii)を繰り返し、
【化11】

化学式W’’p-Gp-OHで表される化合物(但し、pは2〜5の整数であり、Wp, W’p, W’’pは、Wとは異なり、相互に同一のアミン保護基、又は相互に異なり、前記方法に使用される他の保護基と異なるアミン保護基であり、AApは3官能分子である)を、以下の順序で2pnp倍とする;
−Yがビオチンの場合1回であり、この場合、pは2となる
−YがビオチンでなくZがビオチンである場合2回であり、この場合、pは2を経て、3となる
−Y及びZがビオチンではなくZがビオチンである場合3回であり、この場合、pは2, 3を経て、4となる
−Y, Z 及び Vがビオチンではない場合、pは2, 3, 4を経て、5となる
(v)上述のようにして得た化合物のW’’1 又は W’’p 基(pは2〜5)を脱保護して、ビオチンとカップリングするステップと、
(vi)上述のようにしてポリビオチニル化した化合物のW基を脱保護して、抗リガンド又は抗リガンド(T)に結合する反応基とカップリングするステップと、
(vii)前記樹脂(R)から得た化合物を切断して、化学式(I)で表される化合物を得るステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関するものである。
【0011】
本発明の更なる目的は、化学式(I)で表される化合物であって、
−Xはビオチン又は
【化12】

−Yはビオチン又は
【化13】

−Zはビオチン又は
【化14】

−Vはビオチン又は
【化15】

−BはNH2 又は H
−AAは、BはNH2 である場合には3官能分子誘導体であり、BがHである場合に2官能分子誘導体であり、
−AA1 〜 AA4は、それぞれ、3官能分子誘導体であり、
−G0 〜 G5は、それぞれ、少なくとも1つの(-CH2-CH2-O-)ユニットを備えるアームであり、
−n0 〜 n5は、それぞれ、1〜8の整数であり、
−Tはマレイミド基、カルボン酸基、又は抗リガンドである、
ことを特徴とする、化合物に関するものである。
【0012】
さらに、本発明は、上述の方法により得ることができる化合物の診断試験における信号増幅への使用に関するものである。
【0013】
従って、本発明による方法は、再現性があり制御可能なビオチニル化化合物の調製に役立つものである。更に、上述のようにして得られた化合物は、置換基G0 〜 G5 が存在するため電荷が無くても溶解性が高い。上述の化合物の特定のデンドリマー構造により、分子の極性化が可能となり、立体障害が制御され、ビオチンがより良好に存在することができ、従って、2〜32のビオチンが存在することにより(特に、診断用途での使用において)信号増幅が実現する。得られた化合物は、非常に少量の被分析物の検出に特に有効である。
【0014】
本発明による方法により得られる化合物のデンドリマー構造は、3官能又は2官能分子の誘導体を使用することにより得られる。
【0015】
2官能分子は、少なくとも1つの3価又は4価の分子であって、2つの分子と反応できるようにする2つの官能基を有する分子を意味する。これらの官能基は、NH2及びCOOHから選択することができる。これらの2官能分子は、2つの同一又は異なる官能基を有し、すなわち、2つのNH2 官能基、2つのCOOH官能基、又は1つのCOOH官能基及び1つのNH2官能基を有する。2官能分子は、例えば、エチレンジアミン及び4,7,10-トリオキサトリデカンジアミンのような2官能ジアミンであるが、これらに限定されない。
【0016】
2官能分子誘導体とは、2つの官能基のそれぞれが他の化学物質と結合(bonding engagement)している2官能分子を意味する。従って、2官能分子誘導体は、各NH2 官能基が水素原子を失い、各COOH官能基がヒドロキシル(OH)ラジカルを失った状態の2官能分子骨格からなる。従って、例えば、2官能分子誘導体が、化学式H2N-CH2-CH2-NH2で表されるエチレンジアミンである場合、エチレンジアミン誘導体は、-HN-CH2-CH2-NH-となる。
【0017】
置換基AAが2官能分子誘導体である場合、化学式(I)のBは、Hである。
【0018】
3官能分子は、少なくとも1つの3価又は4価の分子であって、3つの分子と反応できるようにする2つの官能基を有する分子を意味する。これらの官能基は、NH2及びCOOHから選択することができる。これらの3官能分子は、3つの同一又は異なる官能基を有し、すなわち、3つのNH2 官能基、2つのNH2 官能基及び1つのCOOH官能基、2つのCOOH官能基及び1つのNH2官能基、又は3つのCOOH官能基を有する。3官能分子は、例えば、リシン、ジアミノ酪酸、ジアミノプロパン酸、L-オルニチン、及びこれらの誘導体であるが、これらに限定されない。
【0019】
3官能分子誘導体は、3つの官能基のそれぞれが他の化学物質と結合している3官能分子を意味する。従って、3官能分子誘導体は、各NH2 官能基が水素原子を失い、各COOH官能基がヒドロキシル(OH)ラジカルを失った状態の2官能分子骨格からなる。従って、例えば、3官能分子誘導体が、化学式H2N-(CH2)4-CH(NH2)-COOHで表されるリシンである場合、リシン誘導体は、-HN -(CH2)4-CH(NH-)-CO-となる。
【0020】
置換基AAが3官能分子誘導体である場合、化学式(I)のBは、Hである。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明による方法における化合物は以下の特徴のうち一つを有する。
−置換基AA1 及び AA2、該当する場合、AA3, AA4 及び AA5は、同一であり、好ましくはリシン誘導体である。
−置換基AAはリシン誘導体であり、BはNH2である。
【0022】
本発明による方法により得られる化合物は、使用されたスペーサーアームG0〜 G5が少なくとも1つの(-CH2-CH2-O-)ユニットを有するため、可溶性である。好ましくは、本発明による化合物は、1〜6個の(-CH2-CH2-O-)ユニットを有し、更に好ましくは、1〜4個の(-CH2-CH2-O-)ユニットを有する。スペーサーアームは、例えば、ペンタオキサオクタデカノイル、テトラ沖さペン多デカノイル、トリオキサドデカノイル、トリオキサトリデカノイル、ジオキサオクタノイル、オクサペントイル、及びヘキサオキサヘニコサノイル、及びこれらの誘導体であるが、これらに限定されない。
【0023】
一実施形態によれば、本発明による方法に使用される化合物は、以下の特徴のうち一つを有する:
−置換基G0, G1、該当する場合、G2, G3, G4 及び G5 は同一であり、好ましくは化学式(-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-)で表される
−整数n0, n1、該当する場合、n2, n3, n4 及び n5 は、同一であり、好ましくは2又は3である。
【0024】
本発明による方法に従って調製された化合物において、Tは抗リガンド、又は抗リガンドに結合するための反応基である。
【0025】
抗リガンドはリガンドと結合可能なあらゆる分子を意味する。リガンド/抗リガンド−ペアの例は、当業者によく知られており、例えば、以下のようなペアである:ハプテン/抗体、抗原/抗体、ペプチド/抗体、糖/レクチン、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド相補体。
【0026】
抗リガンドに対して結合する反応基は、当業者によく知られている。そのような反応基は、例えば、マレイミド基、カルボン酸基、チオール基、アミン基、アルコキシアミン基、ヒドラジン基、アジド基、アルキン基、アルデヒド基であるが、これらに限定されない。
【0027】
以下の表1に示すように、本発明による方法により得られる化合物は、複数のビオチンを有するため、診断試験における信号検出を増幅できるようにする。
【0028】
【表1】

【0029】
本発明の特定の実施形態によれば、Xは
【化16】

であり、Yはビオチンである。
【0030】
本発明による方法におけるグラフト化及びカップリングのステップは、ペプチド合成型の固相合成の分野で当業者に従前から使用されてきたステップである。これらのステップは、ABI 431 Aシンセサイザー及びABI433Aシンセサイザーのような市販のシンセサイザーを用いて、手動又は自動で実施することが可能である。
【0031】
これらのステップ中に使用する試薬は、当業者に知られており、例えば、Paul Lloyd Williams, Fernando Albericio, Ernest Giralt著、「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides & Proteins」(CRC Press)に記載されている。
【0032】
従って、化学式(II)で表される化合物(但し、Rは予め官能化した樹脂であり、AAは2官能分子誘導体である)は、Novabiochem社より入手可能である。例えば、以下が挙げられる:
−以下の化学式で表されるUniversal NovaTag樹脂化合物(参照番号04-12-3910):
【化17】

−以下の化学式で表されるUniversal PEG NovaTag樹脂化合物(参照番号04-12-3911):
【化18】

【0033】
化学式(II)で表される化合物におけるAAが3官能分子である場合、後者は、化学式(II’)で表される化合物を、化学式(II’) Wr-R(但し、Rは以下に従い、WrはWo及びWと同一の又は異なるアミン保護基である。)で表される化合物に対してカップリングすることによって得られる。
【化19】

(但し、Wo及びWは、上述に従う)
Rは
【化20】

【0034】
固相アミン相の一例は、Novabiochem社製の樹脂RINK-アミド-MHBA(参照番号01-64-0037)を含む。
【0035】
樹脂Rのポリビオチニル化化合物の脱保護及び分離ステップは、当業者に広く知られており、例えば、上掲の「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides & Proteins」に記載されている。
【0036】
アミン保護基も当業者に広く知られており、例えば、ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンゾオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、又はメトキシトリチル(Mmt)であるが、これらに限定されない。Wが他の使用中の保護基と異なる限りにおいて、本発明による方法にあらゆる保護基を使用することができる。
【0037】
一実施形態によれば、本発明による方法に使用する化合物は以下の特徴のうちの一つを有する:
−W基はメトキシトリチルである。
−W1 基及び W’1基は、同一であり、適切な場合、W2 及び W’2は同一であり、W3 及び W’3 は同一であり、W4 及び W’4は同一であり、W5 及び W’5 は同一である。
−W1 基、W’1 基、及び、適切な場合、W2, W’2, W3, W’3, W4 、及び W’4 , W5 、及び W’5 は、フルオレニルトキシカルボニル基である。
【0038】
本発明による方法は、化学式(I)で表される新規なポリビオチニル化デンドリマー化合物を調製するために役立つ。
【化21】

但し、
−X はビオチン、又は
【化22】

−Y はビオチン、又は
【化23】

−Z はビオチン、又は
【化24】

−V はビオチン、又は
【化25】

−B はNH2 又はH、
−AA は、BがNH2 である場合には3官能分子誘導体であり、BがHである場合に2官能分子誘導体であり、
−AA1 〜 AA4は、それぞれ、3官能分子誘導体であり、
−G0 〜 G5は、それぞれ、少なくとも1つの(-CH2-CH2-O-)ユニットを備えるアームであり、
−n0 〜 n5は、それぞれ、1〜8の整数であり、
−Tはマレイミド基、カルボン酸基、又は抗リガンドである。
【0039】
特定の実施形態によれば、本発明の化合物は以下の特徴のうちの一つを有する:
−AA1 及び AA2、該当する場合、AA3, AA4 及び AA5 は同一であり、好ましくはリシン誘導体であり、
−置換基G0, G1、該当する場合、G2, G3, G4 及びG5 は同一であり、好ましくは化学式(-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-),で表され、
−整数n0, n1、該当する場合、n2, n3, n4 及び n5 は、同一であり、好ましくは2又は3であり、
−X は
【化26】

であり、Yはビオチンであり、
−AA はリシン誘導体であり、BはNH2 であり、
−抗リガンドはFab’ フラグメントであり、
−X は
【化27】

であり、Y はビオチンであり、AA, AA1 及びAA2 はリシン誘導体であり、G0, G1 及び G2 は、化学式(-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-)で表され、n0, n1 及び n2 は2であり、B は NH2 であり、T は抗リガンド、好ましくはFab’ フラグメントである。
【0040】
本発明による方法によって調製される化合物は、インビトロ診断法における信号増幅に特に有効であり、上述のようにして本発明の他の目的を構成する、リガンドを構成する診断対象の分子である、リガンド/抗リガンドペアの識別を示唆する。
【0041】
実際に、本発明の化合物は、抗リガンド(置換基T)を直接含んでいるか、又は当業者によく知られた方法で前記置換基Tに対して結合する抗リガンドと反応する。
【0042】
リガンド/抗リガンドペアの例は、当業者によく知られており、例えば、以下のようなペアである:ハプテン/抗体、抗原/抗体、ペプチド/抗体、糖/レクチン、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド相補体。
【0043】
本発明による結合体を採用することができるインビトロ診断法は、具体的には、ELISA法、IRMA法、及びRIA法のようなサンドイッチ法、拮抗法又は直接免疫検出法と称される、免疫組織化学法、免疫細胞化学法、ウェスタンブロット法、ドットブロット法である。これらの方法は全て、当業者によく知られている。
【0044】
本発明による方法により調製される化合物を用いた診断方法は、病気の臨床診断、及び、アグロプロセッシング産業製品やヘルスケア製品のような産業において製造された製品の診断(産業診断)の両方において有効である。
【0045】
本発明による化合物を用いて診断可能な病気に制限は無く、その病気の特異的なマーカーの存在によって判明する全ての病気を含む。この特異的なマーカーとは、結合パートナーが存在する、生物学的に関連がある分子、被分析物分子、又はリガンド分子である。例えば、肝炎及びAIDSのようなウイルス性疾患、乳がん、大腸がん、前立腺がんのような固形癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
検出可能な信号を直接的又は間接的に生成することができるマーカー分子を使用することによって、信号増幅を実施することができる。このようなマーカーには、例えば以下のようなものがあるがこれらに限定されない。
・例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロジナーゼのような、比色定量、蛍光、発光によって検出することができる信号を生成する酵素
・蛍光化合物、発光化合物、染色化合物のようなクロモフォア
32P, 35S 又は 125Iのような放射性分子
・Alexa又はフィコシアニンのような蛍光分子
これらのマーカーは、ストレプトアビジンのようなビオチンとの結合パートナーに結合するように改変する。このような改変は、当業者によく知られている。
【0047】
当業者は、使用するマーカーのタイプに応じた、マーカーを可視化するための試薬を加えることができる。
【0048】
本発明は、以下の実施例及び図1〜8を参照することでより理解しやすくなる。実施例は、例示的なものであり、本発明を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による、4つのビオチンを有する化合物の展開化学式(developed formula)を示す図である。
【図2】濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗リステリアモノサイトゲネスFab’結合体、又は(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗リステリアモノサイトゲネスについての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
【図3】濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗サルモネラFab’結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗サルモネラFab’結合体についての直接ELISA試験と、これらの結合体についての間接ELISA試験の(サルモネラ抗原による)OD測定結果を示すグラフである。
【図4】濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗HIV Fab’結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗HIV Fab’結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
【図5】濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗カリクレインFab’結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗カリクレインFab’結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
【図6】濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した、DTTで抑制したgp160抗原結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した、DTTで抑制したgp160抗原結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
【図7】濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンNHsにより)モノビオチニル化したB型肝炎表面抗原結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化したB型肝炎表面抗原結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
【図8】濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンNHsにより)モノビオチニル化した抗サルモネラ抗体結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗サルモネラ抗体結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0050】
[4つのビオチンを有する化学式(I)の化合物の調製]
(AA=AA1=AA2=リシン誘導体;
BはNH2
G0=G1=G2= (-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-) = Ado;
n0=n1=n2= 2
T= マレイミド
X=
【化28】

Y = ビオチン)
【0051】
Fmoc-RINK-MBHA(Novabiochem社)樹脂約132 μmolを、UV検出器を備える433A自動シンセサイザー(Applied Biosystems社)のリアクタ内に配置した。カートリッジあたり1ミリモルの割合で以下のシントンを含有するカートリッジを準備した。
−Fmoc-Lys(Mmt)-OH, 640.8 mg (Novabiochem社)
−Fmoc-Lys(Fmoc)-OH, 590.7 mg (Novabiochem社)
−Fmoc-Ado-OH, 385.4 mg (Fmoc-8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸、Polypeptide社)
−N-マレオイル-β-アラニン, 169.1 mg (FLUKA社)
−ビオチン, MW 244.3 (SIGMA社):予め、DMSO (ALDRICH社)に0.5Mで溶解した溶液(カートリッジあたりの溶液は2 ml)
下記の原料を使用した。
−N-メチル-ピロリドン(NMP)(Applied Biosystems社)
−ジクロロメタン(DCM)(Applied biosystems社)
−ピペリジン(ALDRICH社)
−無水酢酸(FLUKA社)
−メタノール(MERCK社)
−上記NMP中の2M ジ−イソプロピルエチルアミン、すなわちDIEA (ALDRICH社)溶液
−N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ALDRICH社)中で、全体で約0.45M N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(SENN社)当量のベンゾトリアゾリルテトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)(Novabiochem社)溶液
−上記DCMと同一のDCM中で、1%トリフルオロ酢酸(TFA)(ACROS社)及び2.5%トリイソプロピルシラン(TIS)(FLUKA社)を含有する溶液
【0052】
デフォルト設定で、各シントンについて2つのカートリッジを準備し、コンディショナル・ダブル・カップリング・モードで動作するように組み込んだ。
【0053】
シンセサイザーのプログラミングは、一連のサイクルに基づき、サイクルはプログラマブル論理制御装置の一連の主要機能であるモジュールに分割されている。供給元のプログラムをベースに用いて、プログラムを以下の例を準備するために適合させた。
以下のモジュールを使用した。
−A:アミノ酸パウダーカートリッジを回収する
−B:ピペリジンによりFmoc N-末端基を脱保護する
−C:無水酢酸により未反応アミンをキャッピング(マスキング)する
−D:NMPにより樹脂をリンスする
−E:アミノ酸溶液を活性化して樹脂に移す
−F:攪拌してカップリングさせる
−G:第1リシンの側鎖のモノメトキシトリチルを脱保護する
−I:リアクタを断続的に30分間攪拌する
−a:カートリッジの回収、樹脂のリンス、及び活性化/リアクタへの移動のための条件モジュール
−b:ピペリジンによる追加の脱保護のための条件モジュール
−c:DCMにより樹脂をリンスする
−d:NMPにより樹脂をリンスする他のモジュール
−f:攪拌によってロングカップリングする条件モジュール
−i:未使用カートリッジを排出する条件モジュール
以下の表2に示すサイクルに従って、シンセサイザーをプログラムした。
【0054】
【表2】

【0055】
Fmocの脱保護中に、装置はテストを実施した。得られた結果に従って、上記プログラムによってシングル又はダブルカップリングを生成した(それぞれ、備えられたカートリッジのうち1つ又は2つのみを使用)。
【0056】
[1.1 第1リシン(AA)のカップリング]
樹脂を脱保護し、Fmoc-Lys(Mmt)-OH (II’)を以下のようにしてカップリングした(サイクル1:装置は、条件テストの結果に従って1つ又は2つのFmoc-Lys(Mmt)-OHアミノ酸カートリッジのみを使用した)。
【化29】

(1) 又は (II’’):以下によって表すこともできる。
【化30】

【0057】
[1.2 骨格構築]
以下の何れかによる:
a) 疎水性スペーサーアームAdo2のグラフト化
b) 分岐シントン=Fmoc-Lys(Fmoc)-OH のカップリング
【0058】
上述の(1)に対して
i) 疎水性スペーサーアームAdo2のグラフト化(ステップa)
(サイクル2及び3:装置は、各サイクルで条件テストの結果に従って1つ又は2つのFmoc-Ado-OHアミノ酸カートリッジのみを使用した)
【化31】

ii) Fmoc-Lys(Fmoc)-OHによる分岐 (ステップb)
(サイクル4:装置は、条件テストの結果に従って1つ又は2つのFmoc-Lys(Fmoc)-OHアミノ酸カートリッジのみを使用した)
(3)に対して
【化32】

iii) ステップa)、b)を繰り返して、骨格を完成させる
−サイクル5及び6:装置は、条件テストの結果に従って、1つ又は2つのFmoc-Ado-OHアミノ酸カートリッジのみを使用した。
【化33】

−サイクル7:装置は、条件テストの結果に従って、1つ又は2つのFmoc-Lys(Fmoc)-OHアミノ酸カートリッジのみを使用した。
【化34】

−サイクル8及び9:装置は、条件テストの結果に従って、1つ又は2つのFmoc-Ado-OHアミノ酸カートリッジのみを使用した。
【化35】

[1.3 4つの分岐の末端へのビオチンのカップリング]
(サイクル10:装置は、条件テストの結果に従って、1つ又は2つのビオチンカートリッジのみを使用した。)
【化36】

[1.4 Mmtの脱保護及びマレイミドのグラフト化]
(サイクル11:この際、プログラムは条件テストによらず、2つのN-マレオイル-β-アラニンのカートリッジを使用する)
保護基Mmtは、1.5% TFA(トリフルオロ酢酸)及び1.5% TIS(トリイソプロピルシラン)を含むDCM(ジクロロメタン)溶液の反復的な作用により選択的に切断された。よって、ステップ1)で挿入されたリシン側鎖のアミンは自由になり、マレイミドの酸性型であるN-マレオイル-β-アラニンとカップリングされた。
【化37】

又は:
【化38】

[1.5 クリーベッジ]
合成後、樹脂を窒素ブランケットして乾燥させた。シンターを含む20 mlプラスチックシリンジに移して、室温で1時間30分にわたり攪拌し、10 mlのTFA/水(95/5)溶液と接触させた。そして、クリーベッジ溶液を収集して、(シリンジ中のシンターを介した)フィルタリングによりガラスフラスコに回収した。樹脂をTFA 5 mlでリンスし、さらに、約5 mlのDCMで3回リンスする。フラスコに樹脂をすべて加えた。未処理のクリーベッジ混合物を、バスを室温としたロータリーエバポレーターで、数十分間低圧で蒸発させた。最終的に、オイリーなオレンジ色の残留物が得られた。
【0059】
この生成物を数ミリリットルの脱イオン水に溶解し、分析及び生成に使用した。
【0060】
アリコット(分割量)を脱イオン水で再希釈し、HPLC及びHPLCに連結された質量分析計で分析した。
【0061】
直径5.4 mm 長さ250 mm のVYDAC C18 逆相クロマトグラフィーカラムを有する、BECKMANアナリティカルHPLCを使用した。この逆相クロマトグラフィーカラムは、溶離剤A = 0.1% TFAを含む水、及びB = アセトニトリル(ACN)と0.1% TFAを含む水の混合物(各95/5)を含有した。流速は1 ml/分とした。試料を注入して、0〜80%の濃度勾配を30分間実施した。そのような条件の下、約3分後のデッドボリュームピーク後に、テトラビオチン化分子/マレイミドが約15分前後に放出された。LC/MS分析(HPLC及びTHERMO ELECTRON質量ディテクタ)によって、再計算した分子量が3617.7 g/モル(理論上は3618.26)であると予想される化合物を同定した。
【0062】
未処理混合物の残余物を、BECKMAN分取HPLCの、直径20 mm、長さ250mm のVYDAC C18逆相カラム上に注入し、流速を22 ml/分として精製して、少なくとも3当量体積(equivalent volume)とした。溶離剤A及びBは、アナリティカルHPLCに使用したものと同一であった。一般的な精製プログラム:注入後、5%の溶離剤Bで10分間休ませ、5〜23%の溶離剤Bに1分間通し、さらに、23〜31%の濃度勾配の溶離剤Bで30分間精製した。このような条件の下、約21分から約30分までに、チューブあたり0.33分の速度で(チューブ25本)について、所望の産物のバルクの到達後すぐに、精製フラクションを回収した。各チューブの分割量をアナリティカルHPLCで、アイソクラチックモードで分析した(26%溶離剤Bで10分間無勾配処理(isocrate)したこと以外は上述と同条件)。
【0063】
最も純粋なフラクションをガラスフラスコに回収して、溶液を凍結乾燥させた。凍結乾燥後に重量を計測し、重量に従って凍結乾燥物(lyophilisate)を1 mg/mlで脱イオン水に溶解した。このストック溶液を1〜数ミリリットルずつ褐色ガラスボトルに分配した。そして、ボトルを再度凍結乾燥し、700ミリバールアルゴンの不活性雰囲気で閉塞した。
【0064】
分割量を用いて、HPLC(BECKMAN社、上述の濃度勾配を使用する第1分析と同一条件)、LC/MS(上述と同一条件)、及びAgilent1100システムシリーズの製造元手順に従う蛍光検出を伴うアミノ酸分析により、最終分析を実施した。
【化39】

【実施例2】
【0065】
このようにして、開発された方途により、図1のようなテトラビオチニル化化合物(13)が得られた。
[4つのビオチンを有する化学式(I)の化合物の調製]
(AA=AA1=AA2=リシン誘導体;
BはNH2
G0=G1=G2=(-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-) = Ado;
n0=n1=n2= 3
T= マレイミド
X=
【化40】

Y = ビオチン)
【0066】
本例では、樹脂以外は実施例1と同一の試薬を使用した。本例の樹脂は、H-RINK-ChemMatrix樹脂(MATRIX Innovation社)の、Fmoc基を有さない遊離アミン型の148個のミクロ粒子をABI433Aシンセサイザーのリアクタに配置した。
【0067】
[2.1 第1リシン(AA)のカップリング]
実施例1とは異なり、Fmoc-Lys(Mmt)-OHを手動でカップリングした。樹脂は既にアミン型であり、脱保護は不要である。Fmoc-Lys(Mmt)-OHの137個のミクロ粒子をNMP中の溶液に溶解し、HBTU/HOBtカップリング剤1当量と共にリアクタに手動で送った。試薬を最終的に体積が6 mlとする。そして、同様のDIEA 2M / NMP の溶液を0.5 mlリアクタに送り、カップリング反応を開始させた。樹脂は若干過剰であった。断続的にボルテックスしながら、実験室温で反応を2時間実施する。そして、以下の表3に示すプログラムに従う全自動モードで合成を再開した。
【0068】
【表3】

【0069】
このプログラムの第1サイクル後、実施例1の化合物(I)と同一タイプの構造が得られる。
[2.2 骨格構築]
セクション1.2のステップi)に記載の手順を繰り返す。ただし、本例では、ステップi)を3回反復し、その結果3つのFmoc-Ado-OH(2つではない)を連続してカップリングして、以下の構造とする(ステップ2.2.i))。

【化41】

【0070】
ステップ1.2 ii)と同様に、Fmoc-Lys(Fmoc)-OHをカップリングして、分岐を生成し、以下を得た(ステップ2.2.ii))。
【化42】

【0071】
以下に示す2つの分岐を有する分子を得るために、ステップ2.2 i) 及び 2.2 ii)を同じように繰り返した。
【化43】

【0072】
さらに、上述のステップ2.2 i) 及び 2.2 ii)を同じように繰り返して、「Fmoc」により保護された4つの分岐を有する中間分子を生成した。
【化44】

【0073】
セクション1.3及び1.4に記載の手順に従って、マレイミドを有するテトラビオチニル化分子を得た。
【化45】

【0074】
実施例1と同様の条件下で、担体から分子をクリーベッジし、分析及び精製した。アナリティカルHPLC(同一の実験条件)により、15分前後で「3つのAdo」アームを有するテトラビオチニル化分子/マレイミドの流出が確認された。LC/MS分析(同一の実験条件)により、再計算した分子量が4634 g/モル(理論上は4634.37)であると予想される化合物の存在を確認した。精製濃度勾配22〜32%の溶離剤Bを通過させたこと以外は、実施例1と同一条件の下、30分間で分子を精製した。
【0075】
実施例1と同様に、最も純粋なフラクションを回収して、混合物を凍結乾燥させる。その後、凍結乾燥物の重量を計測し、水(可溶性)に溶解して、1〜数ミリリットルのフラクションに分配し、順に凍結乾燥して、700ミリバールアルゴンの不活性雰囲気で閉塞した。
【0076】
実施例1のように、分割量を用いて同様の最終分析を実施した。
【化46】

【実施例3】
【0077】
[8つのビオチンを有する化学式(I)の化合物の調製]
(AA=AA1=AA2= AA3= リシン誘導体;
BはNH2
G0=G1=G2= G3=(-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-) = Ado;
n0=n1=n2= 3
T= マレイミド
Y=
【化47】

Z = ビオチン
【0078】
8つの分岐を有する本構造を得るために、実施例1にて用いた方法に若干の変更を加えて繰り返した。ABI433Aシンセサイザーで使用したプログラムを以下の表4に示す。
【0079】
【表4】

【0080】
448マイクロモルの樹脂(Fmoc-RINK-MBHA)を自動充填し、Fmoc-Lys(Mmt)-OHを80マイクロモルのみ用いて、実施例1の樹脂(I)上で化合物を得た。樹脂上の過剰のアミンはアセチル化によってマスクした。
【0081】
そして、実施例2のように、構造(17)を得るステップまで合成を継続した。
【0082】
以降、実施例2のステップ2.2 i)及び2.2 ii)を同じように繰り返し、「Fmoc」基で保護される8つの分岐を有する中間分子を得た。
【化48】

【0083】
そして、実施例1のように、実施例1のセクション1.3及び1.4を実施して、マレイミドを有するオクトビオチニル化分子を得た。
【化49】

【0084】
実施例1のセクション1.5と同様の条件の下、担体から分子をクリーベッジし、分析及び精製した。アナリティカルHPLC(同一の実験条件)により、16分前後でブロードなピークとして3つのAdoアームを有するオクトビオチニル化分子/マレイミドの流出が確認された。LC/MS分析(同一の実験条件)により、再計算した分子量が9535 g/モル(理論上は9536.06)であると予想される化合物の存在を確認した。精製濃度勾配25〜35%の溶離剤Bを通過させたこと以外は、実施例1と同一条件の下、30分間で分子を精製した。
【0085】
実施例1と同様に、最も純粋なフラクションを回収して凍結乾燥した。その後、凍結乾燥物の重量を計測し、水(可溶性)に溶解して、1〜数ミリリットルのフラクションに分配し、順に凍結乾燥して、700ミリバールアルゴンの不活性雰囲気で閉塞した。
【0086】
実施例1のように、分割量を用いて同様の最終分析を実施した。
【0087】
得られた「3Ado」アームを有するオクトビオチニル化分子/マレイミドは、以下の分子であった(22)。
【化50】

【実施例4】
【0088】
[SHタンパク質と化学式(I)の化合物とのカップリング]
[4.1 内容]
従来、ビオチンのSHタンパク質(例えば、Fab’フラグメント、DTTで抑制した抗原、トラウト試薬によって改変したタンパク質)へのカップリングは、ビオチンBMCC(Pierce参照番号21900:1-ビオチンアミド-4{4'-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシアミド]ブテン)を、SHタンパク質の遊離スルフヒドリル官能基へ結合させることにより、実施されてきた。しかし、遊離スルフヒドリル官能基は少量では多数のビオチンを結合することができないので、ビオチン/SHタンパク質結合体を診断に使用する場合、検出信号は弱く、結合体1つ当たりビオチンが1つ存在することを表す。したがって、信号を強調することが重要である。
【0089】
本発明による化合物に対して、2〜32個のビオチンが結合しており、出願人は、すべての期待に反して、多数のビオチンが結合していることに起因する立体障害にもかかわらず、SHタンパク質を遊離スルフヒドリルラジカルにカップリングした後に、存在するビオチンの数に比例する信号を維持することを証明した。
【0090】
カップリング手順を以下のセクションで説明する。
【0091】
[4.2 試薬]
使用した市販の試薬を表5に挙げる。
【0092】
【表5】

【0093】
さらに、ビオメリュー社(フランス)から取得した使用したSHタンパク質は、以下の通りである。
− Fab’フラグメント:抗Listeria monocytogenes Fab’フラグメント、サルモネラ壁の抗抗原、HIVクローンA及びクローンBの抗p24、及び抗ヒトカリクレイン2
− HIVのgp160、HBVのHBs Ad、HBVのHBs Ay
− 抗体:サルモネラ壁抗抗原抗体
【0094】
サルモネラのFab’フラグメントの間接ELISAアッセイに使用される抗原を、Salmonella bergedorf株、Salmonella typhimurium株、及びSalmonella enteritidis株をペプトン培地で37℃で24時間培養し、100℃で15分間加熱して得た。
【0095】
最終的に、実施例1に従って調整された化学式(I)の化合物を使用した。
【0096】
[4.3 Fab’上でのビオチンBMCC及び実施例1の化合物に対するカップリング]
以下のようなカップリングにより結合体を得た。
− ペプシン処理によりFab’フラグメントを得て、2bMEで抑制し、Superdex 200 pg(prep grade)での精製後に、バッファー(PO450mM + NaCl 150 mM + EDTA(4Na) 5mM、pH=6.8)中で2 mg/mlに調節した
− DMSO中8.5 mM (4.54 g/l)でビオチンBMCC (533.69 g/モル)溶液を新たに調製した
− 脱イオン水2.5 mg/mlを含む実施例1の組成物の混合物を新たに調製した
− Fab'を1モル(46,000ダルトン)あたり、ビオチンBMCC又は実施例1の化合物を5モルの割合で、Fab'にカップリングした
− 実験室温で、褐色ガラスボトル中でロータリー攪拌しながら2時間培養した
− ビオチンBMCC又は実施例1の化合物に対してモル当量のヨードアセトアミドを添加してブロックした
− 新たに調製したPBSバッファー中10 mMヨードアセトアミド溶液を使用した
− 実験室温で、ロータリー攪拌しながら1時間培養した
− PBSバッファー+アジドに対して透析した
− 透析をやめ、280nm (e = 1.48)でODを測定して結合体の濃度を測定した
【0097】
[4.4 トラウト試薬で改変した抗体に対する実施例1の化合物のカップリング]
結合体は、以下のようなカップリングにより得た。
− 抗体1モルあたり20モルのトラウト試薬を添加して抗体を改変し、バッファー(PO4 50mM + NaCl 150 mM + EDTA(4Na) 5mM、pH=6.8)中で透析した
− 脱イオン水中、2.5 mg/mlで実施例1の化合物(3618.26 g/モル)の溶液を新たに調製した
− 抗体1モル(160,000ダルトン)あたり、実施例1の化合物を20モルの割合で改変抗体をカップリングした
−実験室温で、褐色ガラスボトル中でロータリー攪拌しながら2時間培養した
−実施例1の化合物に対してモル当量のヨードアセトアミドを添加してブロックした
− 新たに調製したPBSヨードアセトアミド溶液を使用した
− 実験室温で、ロータリー攪拌しながら1時間培養した
− PBSバッファー+アジドに対して透析した
− 透析をやめ、280nm (e = 1.4)でODを測定して結合体の濃度を測定した
【0098】
[4.5 トラウト試薬で改変した抗体に対する実施例1の化合物のカップリング]
以下のようにして結合体を得た。
− トラウト試薬4モルを抗原1モルに加えて抗原を改変し、バッファー(PO4 50mM + NaCl 150 mM + EDTA(4Na) 5mM、pH=6.8)中で透析した
− 脱イオン水中、1 mg/mlで実施例1の化合物(3618.26 g/モル)の溶液を新たに調製した
− 抗原1モル(MW = 25,000ダルトン)あたり、実施例1の化合物を1モルの割合で改変抗原に対してカップリングした
− 実験室温で、褐色ガラスボトル中でロータリー攪拌しながら2時間培養した
− 実施例1の化合物に対してモル当量のヨードアセトアミドを添加してブロックした
− 新たに調製したPBSヨードアセトアミド溶液を使用した
− 実験室温で、ロータリー攪拌しながら1時間培養した
− PBSバッファー+アジド+SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)に対して透析した
− 透析をやめ、280nmでODを測定して結合体の濃度を測定した
【0099】
[4.6 抗原又は抗体に対するビオチンNHsのカップリング]
以下のようなカップリングにより結合体を得た。
− pH=8.3の0.1M NaHCO3 バッファー中で抗体又は抗原を透析した
− 抗体をカップリングするための、ビオチンNHs溶液(DMSO中11.36 g/l)、及び抗原をカップリングするためのビオチンNHs溶液(DMSO中2.0 g/l)を新たに調製した
− 抗体1モル(160,000ダルトン)あたり、ビオチンNHsを20モルの割合で抗原に対してカップリングし、抗原1モル(25,000ダルトン)あたり、ビオチンNHsを1モルの割合で抗原に対してカップリングした
− 実験室温で、褐色ガラスボトル中でロータリー攪拌しながら1時間培養した
− ビオチンNHsに対してモル当量の1Mリシンを添加してブロックした
− 実験室温で、ロータリー攪拌しながら1時間培養した
− 抗体は、PBSバッファー+アジドで透析し、抗原は、PBSバッファー+アジド+SDSで透析した
− 透析をやめ、280nmでODを測定して結合体の濃度を測定した
【0100】
[4.7 DTTで抑制した抗体に対する実施例1の化合物及びビオチンBMCCのカップリング]
以下のようなカップリングにより結合体を得た。
− 抗原1モルあたり800モルのDTTで抗原を抑制し、実験室音で30分間攪拌した
− 抑制した抗原をPBS buffer + EDTA pH=7.5中で、Sephadex G25 ゲルにより脱塩した
− DMSO中4.35 mM(2.32 g/l)でビオチンBMCC(533.69 g/モル)溶液を新たに調製した
− 脱イオン水中、2.5 mg/mlで実施例1の化合物(3618.26 g/モル)の溶液を新たに調製した
− 抗原1モル(160,000ダルトン)あたり、ビオチンBMCC又は実施例1の化合物を20モルの割合で抑制抗原に対してカップリングした
− 実験室温で、褐色ガラスボトル中で攪拌又はボルテックスしながら2時間培養した
− 抗原1モルあたり20モルのNEMを添加してブロックした
− PBSバッファー中、10mM NEMの溶液を新たに調製して使用した
− 結合体をPBS+MIT中で透析した
− 透析を終了した
【実施例5】
【0101】
[直接及び間接ELISA検出試験の応用]
[5.1 直接ELISA試験]
本発明によるテトラビオチニル化化合物又は単一のビオチンを含む結合体の活性を、結合体をマイクロプレートに固定してペルオキシダーゼに結合したストレプトアビジンによって信号を生じさせて、ELISA試験で比較した。本発明の一実施形態では、ELISA試験によって、ポリビオチニル化化合物の「カップリングレベル」をモノビオチニル化化合物と比較した。
【0102】
[手順]
(抗体フラグメント及び全抗体を堆積させるための)Maxisorpウェルストリップ、又は(抗原を堆積させるための)Polysorpウェルストリップを使用した。
モノビオチニル化又はテトラビオチニル化結合体を、pH=9.6の50 mM CO3バッファーに0.05 μg/ml〜0.5 μg/mlの範囲で希釈して、倍数希釈した。
各希釈液を100 μl/ウェルで堆積した。
実験室温度で一晩培養した。
PBS tweenで3回洗浄した。
100 μl/ウェルのストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ堆積物を、PBSで1/6000°に希釈した。
オーブンで37 °Cで15分間培養した。
PBS tweenで3回洗浄した。
100 μl/ウェルのOPDを堆積した。
実験室温度で30分間暗黒で培養した。
100 μl/ウェルの1.8N H2SO4でブロックした。
492 nmでODを読み取った。
【0103】
[5.2 抗サルモネラFab’結合体/テトラビオチニル化又はモノビオチニル化化合物を用いた間接ELISA試験]
この目的のために、サルモネラの3つの株の培養物に由来する抗原をPolysorpマイクロプレートにまいた。そして、以下のステップを実施した。
− PBS中1 g/l BSAで、37 °Cのオーブンで1時間パッシベーションした
− PBS tweenで3回洗浄した
− PBSで2倍希釈した結合体を37 °Cで30分間培養し、PBS tweenで3回洗浄した
ストレプトアビジンを堆積させるステップから、直接ELISA試験と同様の手順に従った。
間接ELISA法により、結合体と、抗原又は抗体との間の「カップリングレベル」及び生物学的反応を試験した。
【0104】
[5.3 結果]
以下のように、結果を図2〜8に示す。
− 図2は、濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗リステリアモノサイトゲネス(LMO)Fab’結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗LMOFab’結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
− 図3は、濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗サルモネラFab’結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗サルモネラFab’結合体についての直接ELISA試験と、これらの結合体についての間接ELISA試験の(サルモネラ抗原による)OD測定結果を示すグラフである。
− 図4は、濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗HIV Fab’結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗HIV Fab’結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
− 図5は、濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した抗カリクレインFab’結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗カリクレインFab’結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
− 図6は、濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンBMCCにより)モノビオチニル化した、DTTで抑制したgp160抗原結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した、DTTで抑制したgp160抗原結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
− 図7は、濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンNHsにより)モノビオチニル化したB型肝炎表面抗原結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化したB型肝炎表面抗原結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
− 図8は、濃度に従ってマイクロプレートの底部に固定した、(ビオチンNHsにより)モノビオチニル化した抗サルモネラ抗体結合体、又は(本発明の実施形態に従う化合物により)テトラビオチニル化した抗サルモネラ抗体結合体についての直接ELISA試験のOD測定結果を示すグラフである。
【0105】
測定結果により、本発明によるポリビオチニル化分子を使用した場合に、障害があるにもかかわらず、信号が有意に改善されたことが明らかとなった。具体的には、ODが1.8の場合、以下の表6に示すようなゲインが観察された。
【0106】
【表6】

【実施例6】
【0107】
[リステリア株を用いた診断試験への応用]
本試験の目的は、一実施形態によるテトラビオチニル化結合体とモノビオチニル化結合体のVidas信号を比較して、特異性を損なうことなく応答感受性を増強することである。
【0108】
[6.1 材料及び方法]
[使用した試薬]
リステリアモノサイトゲネス(bioMerieux社、フランス)のFab’抗体フラグメントを用いてテトラビオチニニル化結合体及びモノビオチニル化結合体を調製し、ビオチンBMCC及び実施例1と同様の化合物を調製し、上述のセクション4.3で記載した手順に従った。
他の試薬は以下の通りであった。
− LMO2コーン及びウェルストリップ(bioMerieux社、参照番号30 704)
− PALストレプトアビジン(BioSPA社、参照番号045 66074)
− モノビオチニル化ストック溶液:Fab’濃度0.32 mg/ml
− テトラビオチニル化ストック溶液:Fab’濃度0.26 mg/ml
− LMO2結合体希釈物(bioMerieux社、参照番号500 26004)
− PALストレプトアビジン希釈物(bioMerieux社、参照番号500 25992)
− Vidas装置(bioMerieux社)1台
【0109】
[試験した株]
− リステリアモノサイトゲネス4 b ATCC 19115
− リステリアモノサイトゲネス3a ATCC 51 782
− リステリアモノサイトゲネス1/2c 83 09 024
− リステリアモノサイトゲネス4c 83 09 031
− リステリアイノキュア6a 83 09 035
− リステリアイバノビ91 01 014
− リステリアウェルシメリ94 09 074
【0110】
[方法]
全株をブロス(LX Ref 42 120)中で、37 °C ± 1 °Cで24時間培養し、95-100 °Cで5分間加熱した。
純粋なリステリアイノキュア、リステリアイバノビ、及びリステリアウェルシメリ株を使用した。これらの株は、結合済みの抗体によって認識されないので、特異性を試験するために役立った。
リステリアモノサイトゲネスの4種の株を希釈物中で試験し、計数した。これらの株は被試験物の感受性を試験するために役立つ。
2種類の結合体を、Fab’濃度0.36 μg/mlに調節した。
LMO2ウェルストリップのキットを使用するために、開始結合体をウェルX5から回収した。そのウェルを、生理水600 μlでリンスした。そして、生理水を除去した後、試験対象のモノビオチニル化結合体又はテトラビオチニル化結合体を400 μl加えた。試料(株の希釈物)500 μlをウェルX0に堆積させて、LMO2 Vidas試験を開始した。この試験は約80分間にわたった。
【0111】
[結果]
結果を以下の表7に示す。
【0112】
【表7】

* 相対蛍光値
【0113】
上記表に示す結果は、本発明の一実施形態によるテトラビオチニル化化合物を有する結合体を使用することで、信号が2倍となって、試験の感度を向上させるのに役立つことを示している。同時に、この場合、信号は同一であったため、本発明の一実施形態によるテトラビオチニル化化合物を有する結合体を使用しても、特異性が変化することは無い。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)で表される化合物を調製する方法であって、
【化1】

但し、
−X は、ビオチン又は
【化2】

−Y は、ビオチン又は
【化3】

−Z は、ビオチン又は
【化4】

−V は、ビオチン又は
【化5】

−B は、NH2又はH、
−AA は、BがNH2である場合には3官能分子誘導体であり、BがHである場合には2官能分子誘導体であり、
−AA1 〜 AA5は、それぞれ、3官能分子誘導体であり、
−G0 〜 G5は、それぞれ、少なくとも1つの(-CH2-CH2-O)ユニットを備えるアームであり、
−n0 〜 n5は、それぞれ、1〜8の整数であり、
−Tは、リガンドと反応することができる抗リガンド、又は抗リガンドに結合するための反応基であり、
前記方法は以下のステップ、すなわち、
(i)化学式W’’0-G0-OHで表されるn0個の化合物(但し、W’’0 はアミン保護基であり、n0及び G0 は、上述の定義に従うものである)を、化学式(II)で表される化合物に対してグラフト化して化学式(III)で表される化合物を得る、ステップと、
【化6】

【化7】

(但し、Rは予め官能化した樹脂であり、W 及び W0 は相互に異なるアミン保護基を表し、WはW’’0と異なり、AAは上述の定義に従う)

(ii)化学式(IV)で表される化合物を化学式(III)で表される化合物とカップリングして化学式(V)で表される化合物を得る、ステップと、
【化8】

【化9】

(但し、W1 及び W’1は、Wとは異なり、相互に同一のアミン保護基、又は相互に異なり、W0及び W’’0とも異なるアミン保護基であり、AA1 は上述の定義に従う)

(iii)化学式W’’1-G1-OHで表される2n1個の化合物(但し、W’’1は、Wとは異なり、相互に同一のアミン保護基、又は相互に異なり前記方法に用いられる他の保護基とも異なるアミン保護基であり、G1及び n1は上述の定義に従う)を前記ステップ(ii)にて得られた化合物に対してグラフト化して、化学式(VI)で表される化合物を得る、ステップと、
【化10】

(iv)化学式(I)のXがビオチンの場合、ステップ(v)に直接進む、あるいは、化学式(I)のXがビオチンでない場合、化学式(VII)で表される2p-1個の化合物を用いてステップ(ii)及び(iii)を繰り返し、
【化11】

化学式W’’p-Gp-OHで表される化合物(但し、pは2〜5の整数であり、Wp, W’p, W’’pは、Wとは異なり、相互に同一のアミン保護基、又は相互に異なり、前記方法に使用される他の保護基と異なるアミン保護基であり、AApは3官能分子である)を、以下の順序で2pnp倍とする;
−Yがビオチンの場合1回であり、この場合、pは2となる
−YがビオチンでなくZがビオチンである場合2回であり、この場合、pは2を経て、3となる
−Y及びZがビオチンではなくZがビオチンである場合3回であり、この場合、pは2, 3を経て、4となる
−Y, Z 及び Vがビオチンではない場合、pは2, 3, 4を経て、5となる
(v)上述のようにして得た化合物のW’’1 又は W’’p 基(pは2〜5)を脱保護して、ビオチンとカップリングするステップと、
(vi)上述のようにしてポリビオチニル化した化合物のW基を脱保護して、抗リガンド又は抗リガンド(T)に結合する反応基とカップリングするステップと、
(vii)前記樹脂(R)から得た化合物を切断して、化学式(I)で表される化合物を得るステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
置換基AA1 及び AA2、該当する場合、AA3, AA4 及び AA5は、同一であり、好ましくはリシン誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
置換基G0, G1、該当する場合、G2, G3, G4 及び G5 は同一であり、好ましくは化学式(-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
整数n0, n1、該当する場合、n2, n3, n4 及び n5 は、同一であり、好ましくは2又は3であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
W基はメトキシトリチルであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
W1 及び W’1 は同一であり、該当する場合、W2及び W’2 は同一であり、W3 及び W’3は同一であり、W4 及び W’4 は同一であり、並びに、W5及び W’5 は同一であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
アミン保護基W1,W’1 及び、該当する場合、W2, W’2, W3, W’3, W4 及び W’4, W5 及び W’5は、フルオレニルメチルオキシカルボニル基であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
置換基AAは、リシン誘導体であり、BはNH2であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
Xは
【化12】

であり、Yはビオチンであることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
化学式(I)で表される化合物であって、
【化13】

但し、
−Xはビオチン又は
【化14】

−Yはビオチン又は
【化15】

−Zはビオチン又は
【化16】

−Vはビオチン又は
【化17】

−BはNH2 又は H
−AAは、BがNH2 である場合には3官能分子誘導体であり、BがHである場合に2官能分子誘導体であり、
−AA1 〜 AA4は、それぞれ、3官能分子誘導体であり、
−G0 〜 G5は、それぞれ、少なくとも1つの(-CH2-CH2-O-)ユニットを備えるアームであり、
−n0 〜 n5は、それぞれ、1〜8の整数であり、
−Tはマレイミド基、カルボン酸基、又は抗リガンドである、
ことを特徴とする、化合物。
【請求項11】
置換基AA1 及び AA2、該当する場合、AA3, AA4 及び AA5は、同一であり、好ましくはリシン誘導体であることを特徴とする、請求項10に記載の、化学式(I)で表される化合物。
【請求項12】
置換基G0, G1、該当する場合、G2, G3, G4 及び G5 は同一であり、好ましくは化学式(-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO-)で表されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の、化学式(I)で表される化合物。
【請求項13】
整数n0, n1、該当する場合、n2, n3, n4 及び n5 は、同一であり、好ましくは2又は3であることを特徴とする、請求項10〜12の何れか一項に記載の、化学式(I)で表される化合物。
【請求項14】
Xは
【化18】

であり、Yはビオチンであることを特徴とする、請求項10〜13の何れか一項に記載の、化学式(I)で表される化合物。
【請求項15】
AAはリシン誘導体であり、BはNH2であることを特徴とする、請求項10〜14の何れか一項に記載の、化学式(I)で表される化合物。
【請求項16】
前記抗リガンドは、Fab’フラグメントであることを特徴とする、請求項10〜15の何れか一項に記載の、化学式(I)で表される化合物。
【請求項17】
−Xは
【化19】

であり、
−Yはビオチンであり、
−AA, AA1 及び AA2 はリシン誘導体であり、
−G0, G1 及び G2は、化学式−(NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CO)−を有し
−n0, n1 及び n2 は2であり、
−BはNH2 であり、
−Tは抗リガンド、好ましくはFab’フラグメントである
ことを特徴とする、請求項10に記載の、化学式(I)で表される化合物。
【請求項18】
請求項1〜9に記載された方法によって得られる化合物の、診断試験における信号増幅への使用。
【請求項19】
請求項10〜17に記載された化合物の、診断試験における信号増幅への使用。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−517221(P2013−517221A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547538(P2012−547538)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050048
【国際公開番号】WO2011/086321
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】