説明

ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートを含む高強度樹脂組成物及び成形品

【課題】ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートを含む高強度樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリフェニレンスルフィド樹脂及びポリエチレンテレフタラート樹脂を含む高強度樹脂組成物に関する。高強度樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂10〜80重量%と、ポリエチレンテレフタラート樹脂20〜90重量%と、を含む基礎ブレンド樹脂と、前記基礎ブレンド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含まれる変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度樹脂組成物及びこれを熱硬化させて得られる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、耐熱性に卓越しており、ほとんどの溶剤に対して耐薬品性を有し、他の熱可塑性樹脂に比べて寸法安定性に優れていることから、自動車、電子・電気部品をはじめとして、高精度射出が求められるコネクタ、ボビン類、ギアに至るまで様々な産業分野に適用可能である。しかも、近年、自動車部品などにまでその使用範囲が広がることにより、ポリフェニレンスルフィド樹脂の機械的物性を向上させることに関心が高まっている。
【0003】
ところが、ポリフェニレンスルフィド樹脂を単独で使用する場合、耐薬品性及び難燃性が高まるのに対し、十分な機械的物性が得られない。この理由から、その機械的物性を向上させるための取り組みが続いている。例えば、大韓民国特許登録公告第10−0238111号明細書には、ポリフェニレンスルフィド樹脂の機械的物性を改善するために繊維状充填剤を添加することが開示されている。加えて、いくつかの特許文献では、ポリフェニレンスルフィド樹脂にガラス繊維などを添加して機械的物性及び電気的特性などを改善する方法が開示されている。
【0004】
さらに、ポリフェニレンスルフィドとは異なる樹脂とのブレンド樹脂組成物が知られているが、この種のブレンド樹脂組成物においては二次加工など後加工する場合に剥離が生じるなど工程上の不安定性に起因するいくつかの問題点が報告されているのが現状である。
【0005】
したがって、最近では、機械的特性及び難燃性を維持しつつも、より経済的に製造し得る熱可塑性ポリフェニレンスルフィド樹脂のブレンド樹脂組成物への関心が高まりつつある。
【0006】
本発明者らは、上述した問題点を解消するために、ポリフェニレンスルフィドを基礎樹脂とし、機械的特性が卓越しており、難燃剤を添加する場合に機械的物性を低下させないようにしつつも難燃性を有する樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国特許登録公告第10−0238111号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートを含む高強度樹脂組成物及び成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートを含む高強度樹脂組成物及びこれを熱硬化させて得られる成形品を提供する。
【0010】
本発明の実施形態に係る高強度樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂10〜80重量%と、ポリエチレンテレフタラート樹脂20〜90重量%と、を含む基礎ブレンド樹脂と、前記基礎ブレンド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含まれる変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂組成物は、成形品として製造時に、高強度を示し、難燃剤を添加する場合にも、難燃性と共に高強度の性質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記高強度樹脂組成物に含まれるポリフェニレンスルフィド樹脂は、その製造方式に応じて、線状、枝状、架橋型などのものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、いずれも使用可能である。好ましくは、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を70モル%以上含むポリフェニレンスルフィド樹脂が使用される。
【0013】
【化1】

上記の一般式(1)で表される繰り返し単位を70モル%以上含む線状ポリフェニレンスルフィドは、結晶化度が高く、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度にも優れている。ポリフェニレンスルフィド樹脂は、基礎ブレンド樹脂中に10〜80重量%含まれる。10重量%未満で含まれると、難燃性及び耐熱性に優れたポリフェニレンスルフィドの低い含量によってブレンドでの難燃性及び耐熱性の改善効果がわずかなものとなる。他方、80重量%超えて含まれると、延伸率が低下して非常にもろくなるという欠点がある。
【0014】
また、本発明の実施形態による高強度樹脂組成物に使用されるポリエチレンテレフタラート樹脂は、通常のものであれば、いずれも採用可能である。本発明において、ポリエチレンテレフタラート樹脂は、好ましくは、基礎ブレンド樹脂中に20〜90重量%含まれる。20重量%未満で含まれると、ポリエチレンテレフタラートの添加に伴う生産コストの節減による経済的効果がわずかなものとなる。他方、90重量%を超えて含まれると、ポリエチレンテレフタラートの低い耐加水分解性を改善し得ないという問題点がある。
【0015】
本発明の実施形態による高強度樹脂組成物中に含まれる変性ポリスチレンは、下記の一般式(2)で表されるポリスチレン構造において、Rに、オキサゾリン、アミン、無水マレイン酸及びカルボン酸よりなる群から選ばれる1種が独立して導入されたものであり得る。
【0016】
【化2】

但し、Rは、H又はCHである。
【0017】
このような変性ポリスチレンを含むことにより、樹脂組成物を熱硬化させて得られる成形品の機械的強度が増大される。前述したように、変性ポリスチレンは、基礎ブレンド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含まれ得る。変性ポリスチレンが基礎ブレンド樹脂100重量部に対して0.1重量部未満で含まれると、樹脂組成物への添加による機械的物性の上昇効果がわずかなものとなる。他方、20重量部を超えて含まれると、相分離がむしろ激しくなる結果、所望の機械的強度が得られなくなり、しかも、成形性が悪くなる。
【0018】
また、前記変性ポリスチレンと一緒に、又は、変性ポリスチレンの代わりに添加可能なスチレン系エラストマーは、特に制限はないが、好ましくは、ブタジエン及びイソプレンよりなる群から選ばれる1種以上のブロックとスチレンとの二元ブロック共重合体、又は三元ブロック共重合体である。さらに、前記スチレン系エラストマーは、前記二元ブロック共重合体又は三元ブロック共重合体において、ブタジエンブロック及びイソプレンブロックの一部が水和(hydrogenated)された形態が選択され得る。好ましくは、前記スチレン系エラストマーは、前記ブタジエンブロック及びイソプレンブロックの一部にオキサゾリン、アミン、無水マレイン酸及びカルボン酸よりなる群から選ばれる1種以上がグラフトされた形態で提供される。上述したように、ブタジエンブロック及びイソプレンブロックの一部にオキサゾリンなどがグラフトされた形態のスチレン系エラストマーを使用する場合、ポリフェニレンスルフィド樹脂のベンゼン基との相溶性を期待することができる。
【0019】
上述したスチレン系エラストマーを基礎ブレンド樹脂に添加することにより、機械的強度の向上を期待することができる。このとき、スチレン系エラストマーを基礎ブレンド樹脂100重量部に対して0.1重量部未満で使用すると、相溶性に十分な程度の機械的強度が得られず、20重量部を超えて使用すると、むしろ相分離が激しくなる結果、機械的強度が低下して成形性が悪くなる。
【0020】
また、本発明の実施形態による高強度樹脂組成物は、その態様に応じて、基礎ブレンド樹脂100重量部に対して難燃剤を5〜50重量部さらに含み得る。上述したように難燃剤をさらに含む場合、高強度樹脂組成物を熱硬化させて得られる成形品に難燃性が与えられつつも、引張強さなどの機械的物性が低下しない結果、高強度及び難燃性を併せ持つことが求められる成形品に有効に使用され得る。このとき、難燃剤は、最終品が火と接触したときに難燃性を与えるために添加するものであり、特に、高温での熱分解に耐えねばならない。本発明の実施形態による樹脂組成物にさらに含まれ得る難燃剤は、特に制限がなく、単独又は複合難燃剤が使用可能である。使用可能な難燃剤としては、リン系難燃剤、メラミン系難燃剤(窒素系)、ハロゲン系難燃剤及び金属水酸化物系難燃剤よりなる群から選ばれる1種以上であり、ハロゲン系難燃剤を使用するとき、必要に応じて、アンチモン系の難燃補助剤を添加することができる。好ましくは、ハロゲン系難燃剤、メラミン系難燃剤、及び高温で使用可能なリン系難燃剤が使用される。さらに好ましくは、メラミン系難燃剤が使用可能であるが、メラミン系難燃剤は少量の添加によっても難燃性が発揮されるという点で有利である。
【0021】
前述したように、難燃剤は、基礎ブレンド樹脂100重量部に対して5〜50重量部含まれ得るが、5重量部未満で含まれると、難燃剤の添加による難燃性能が十分に得られず、50重量部を超えて含まれると、難燃剤の過剰な熱分解が起こってしまう。
【0022】
このとき、前記高強度難燃性樹脂組成物は、実施形態によって、機械的強度を高めると共に耐熱性を与えるために、前記基礎ブレンド樹脂100重量部に対して5〜70重量部で充填剤をさらに含み得る。
【0023】
使用可能な充填剤は、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、チタン酸カリウム繊維、チタン繊維、アラミド繊維及びアスベストス繊維よりなる繊維状充填剤群から選ばれる1種以上、又は、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、炭酸バリウム、ガラスビード、アルミナ、カーボンブラック、炭酸リチウム、酸化チタン、酸化鉄、黒鉛、クレイ、雲母、滑石、ケイ酸カルシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素及び二硫化モリブデンよりなる粉粒子状充填剤群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0024】
好ましくは、ガラス繊維が使用されるが、これは、機械的強度の補強及び生産工程性の側面で有利である。前述したように、充填剤は、基礎ブレンド樹脂100重量部に対して5〜70重量部含まれ得るが、70重量部を超えて含まれると、補強性が低下し、成形性も悪くなる。好ましくは、前記充填剤は、基礎ブレンド樹脂100重量部に対して10〜50重量部含まれ得る。
【0025】
また、好ましくは、前記充填剤の中でも、表面処理の施された繊維状充填剤が使用されるが、この場合、繊維状充填剤と樹脂との接着性が良好になるだけではなく、水への抵抗性及び熱膨張係数などの物性が一層安定化された製品が得られるため有利である。
【0026】
このように、本発明における主要成分に加えて、目的に応じて、酸化防止剤、顔料、潤滑剤、核剤及び鋳型腐食防止剤などの成分を添加して使用することができる。
【0027】
また、本発明の他の実施形態によれば、前記実施形態による高強度樹脂組成物を熱硬化させて得られる成形品の形で提供され得る。このとき、前述したように、前記成形品は、自動車部品又は電気部品などに使用可能であり、具体的には、その構成に特に制限がなく、コネクタ、ボビン類、ギアなど様々な分野に応用可能である。
【0028】
好ましくは、前記成形品は、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、ポリエチレンテレフタラート樹脂と、からなる基礎樹脂基材と、前記基礎樹脂基材中に分散されている変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーと、を含む形態である。
【0029】
このとき、前記樹脂基材中に分散されている変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーは、分散されたままで、互いに物理的な結合をした状態で、或いは含まれている官能基との化学的反応によって化学的結合をした状態で、化学的結合と物理的結合をしたものが共存された状態でさらに微細に分散されて成形品の機械的物性を向上させることができる。
【0030】
さらに好ましくは、成形品は、前記樹脂基材中に分散されている変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーに加えて、充填剤及び/又は難燃剤をさらに含む。ここで、さらに含まれる難燃剤及び充填剤の種類については、上述した高強度樹脂組成物に関する実施形態に記載された通りである。
【0031】
このような本発明の樹脂組成物は、成形品として製造時に、前述したように高強度を示し、難燃剤を添加する場合にも、難燃性と共に高強度の性質を示して、自動車、電子・電気部品をはじめとして、高精度射出が求められるコネクタ、ボビン類、ギアに至るまで様々な産業分野に適用可能である。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を下記の実施例を挙げて詳しく説明するが、これらの実施例は単に本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されることはない。
【0033】
[実施例1〜7]
<変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーを含むポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートブレンド樹脂組成物からの硬化物の製造>
ポリフェニレンスルフィド樹脂(Fortron,Deyang)1kgを基準として、下記表1に示す重量%のポリエチレンテレフタラート(SKYPET、SKケミカル社製)、及び前記ポリフェニレンスルフィド樹脂及びポリエチレンテレフタラートの合計100重量部に対して、表1に示す重量部でオキサゾリン変性ポリスチレン(Epocros、日本触媒社製)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(Kraton、Shell)[スチレン系エラストマーA]、又は無水マレイン酸とカルボン酸変性スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(Kraton、Shell)[スチレン系エラストマーB]、メラミン系難燃剤としてメラミンホスファート(melaminephosphate)(Chempia)、ガラス単繊維(Vetrotex)の混合物を単軸押出機(L/D=25、D=19mm)付きハウケプラスティコーダー(Haakeplasticoder)のホッパーに投入して押出した。このとき、押出機の設定温度は300℃であり、回転速度は100rpmであった。押出されたブレンドストランドを冷却した後にペレット状にした。
【0034】
このようにして製造されたブレンドペレットを60℃で24時間真空オーブンで乾燥させた後、射出機(Arburg)を用いて引張強さ用試験片を製造した。
【0035】
[比較例]
<比較例1〜3:変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーを含まないポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートブレンド樹脂組成物からの硬化物の製造>
比較例1〜3は前記実施例の方法と同様にして行うが、変性ポリスチレンやスチレン系エラストマーを使用せず、下記表1に示す成分組成比のブレンドを製造した。製造されたブレンドを実施例の方法と同様にして圧縮成形した後、ペレット状にした。
【0036】
<比較例4及び5>
前記実施例の方法と同様に行うが、ポリフェニレンスルフィド、変性ポリスチレンやスチレン系エラストマーを使用せず、ポリエチレンテレフタラート及び難燃剤のみを含む成分の組成物を準備した。樹脂組成物の成分含量比は、下記表1に示す通りである。製造された組成物を実施例の方法と同様にして圧縮成形した後、ペレット状に製造した。
【0037】
[実験例]実施例及び比較例による硬化物の物性測定
1.引張強さ
引張強さは、万能試験器(Universaltest machine、Lloyd Instruments)で一つの試片に対して7回測定し、その平均値を得た。
【0038】
2.難燃性測定
難燃性は、UL94VB規格に準拠して測定した。前記規格に準拠した方法で測定して、難燃性を示すものはUL94VBの規格によるV0、V1、V2等の等級とし、難燃性を示さないものはXとした。
【0039】
前記実施例及び比較例によるブレンド樹脂組成物の組成及びこれら樹脂組成物により製造された硬化物の引張強さ及び難燃性を表1に示す。樹脂組成物中、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートは重量%で示す値であり、残りの変性ポリスチレンなどの値はポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラートを含む基礎樹脂100重量部に対する値である。
【0040】
【表1】

X;難燃性なし
【0041】
上記表1の結果から、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラート基礎樹脂ブレンドに変性ポリスチレンが添加された実施例1による硬化物の引張強さが、変性ポリスチレン樹脂未添加の比較例1〜3に比べて、向上したことが分かる。また、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンテレフタラート基礎樹脂ブレンドにスチレン系エラストマーが添加された実施例2、3による硬化物の場合も、比較例1〜3に比べて、引張強さが向上したことが分かる。
【0042】
一方、ポリエチレンテレフタラート組成物に難燃性を与えるために難燃剤を添加した比較例4及び5の場合、ポリエチレンテレフタラート100重量部に対して難燃剤を40重量部さらに添加した比較例4はV0の難燃等級を示しているものの、引張強さが急激に低下して高強度が求められる成形品の製造には不向きであることが分かる。なお、難燃剤の含量を少なめに添加した比較例5の場合、引張強さは比較例4に比べてやや高くなったものの、やはり高強度製品の製造には不向きであり、難燃等級もV2と低かった。
【0043】
加えて、実施例4〜6に示すように、難燃剤及び充填剤をさらに含む場合、難燃性を示すと共に、引張強さが大幅に高くなることが確認できた。特に、難燃剤を添加しても、引張強さなどの物理的物性の低下をもたらさないことが確認できた。よって、本発明に係る樹脂組成物を熱硬化させて得られる成形品は、高強度が求められる成形品の製造に関する産業分野に幅広く使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンスルフィド樹脂10〜80重量%と、ポリエチレンテレフタラート樹脂20〜90重量%と、を含む基礎ブレンド樹脂と、
前記基礎ブレンド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーと、
を含む、高強度樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂は、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を70モル%以上含むものである、請求項1に記載の高強度樹脂組成物。
【化1】

【請求項3】
前記変性ポリスチレンは、下記の一般式(2)で表されるものである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【化2】

但し、RはH又はCHであり、
は、オキサゾリン、アミン、無水マレイン酸及びカルボン酸よりなる群から選ばれるいずれか1種が独立して導入されたものである。
【請求項4】
前記スチレン系エラストマーは、ブタジエン及びイソプレンよりなる群から選ばれる1種以上のブロックとスチレンとの二元ブロック共重合体、又は三元ブロック共重合体である、請求項1に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項5】
前記ブタジエンブロック及びイソプレンブロックの一部が水和(hydrogenated)されたものである、請求項4に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項6】
前記ブタジエンブロック及びイソプレンブロックに、オキサゾリン、アミン、無水マレイン酸及びカルボン酸よりなる群から選ばれる1種以上が独立してグラフトされた、請求項4に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項7】
前記基礎樹脂ブレンド樹脂100重量部に対して難燃剤5〜50重量部をさらに含む、請求項1に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項8】
前記難燃剤は、リン系難燃剤、メラミン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤及び金属水酸化物難燃剤よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項7に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項9】
前記難燃剤は、メラミン系難燃剤である、請求項7に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項10】
前記基礎ブレンド樹脂100重量部に対して5〜70重量部の充填剤をさらに含む、請求項1に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項11】
前記充填剤が、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、チタン酸カリウム繊維、チタン繊維、アラミド繊維及びアスベストス繊維よりなる繊維状充填剤群から選ばれる1種以上、又は、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、炭酸バリウム、ガラスビード、アルミナ、カーボンブラック、炭酸リチウム、酸化チタン、酸化鉄、黒鉛、クレイ、雲母、滑石、ケイ酸カルシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素及び二硫化モリブデンよりなる粉粒子状充填剤群から選ばれる1種以上である、請求項10に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項12】
前記充填剤は、ガラス繊維である、請求項10に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項13】
酸化防止剤、顔料、潤滑剤、核剤及び鋳型腐食防止剤よりなる群から選ばれる1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の高強度樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の樹脂組成物の熱硬化により得られる成形品。
【請求項15】
ポリフェニレンスルフィド樹脂及びポリエチレンテレフタラート樹脂からなる基礎樹脂基材と、
前記基礎樹脂基材内に分散されている変性ポリスチレン又はスチレン系エラストマーと、
を含む、成形品。
【請求項16】
請求項14に記載の成形品は、自動車部品又は電気部品に使用されるものである、成形品。

【公表番号】特表2012−514069(P2012−514069A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543443(P2011−543443)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007961
【国際公開番号】WO2010/077091
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500116041)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (49)
【Fターム(参考)】