説明

ポリマーから形成される繊維を含む形成物を変形させる方法

【課題】ポリマーから形成される繊維を含む形成物を変形させる方法を提供する。
【解決手段】変形させる方法としては、前記ポリマーから形成される繊維を含む形成物と流体とを接触させる工程を含む方法が提供される。そのようなポリマーとしては、前記流体が液体である場合、前記液体に対して難溶性であるのが好ましく、ポリアミド;ポリエステル;ポリカーボネート;レーヨン;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、アクリロニトリルおよびアクリルアミド類からなる群から選択される少なくとも1つをモノマーとして含むホモポリマーまたはコポリマー;からなる群から選択される1つ以上であるのがより好ましい。また、前記形成物は、電界紡糸により形成された形成物であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーから形成される繊維を含む形成物を変形させる方法である。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリアクリル酸塩から形成される高吸水性樹脂は、水と接触すると大量の水(例えば数千倍の体積の水)を吸収して大きく体積膨張することが知られている(例えば特許文献1参照)。このような樹脂は、紙おむつ等の材料に用いられている。また、フッ素樹脂は熱により体積収縮することが知られている。このような樹脂は、熱収縮チューブ等の材料に用いられている。
【0003】
しかしながら、ポリマーから形成される繊維を含む形成物に対して変形の度合いが高くなるような方法については、ほとんど知られていなかった。
【特許文献1】特開2006−57200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、ポリマーから形成される繊維を含む形成物を変形させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリマーから形成される繊維を含む形成物を変形させる方法であって、前記形成物と流体とを接触させる工程を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法により、ポリマーから形成される繊維を含む形成物を、高い変形の度合いで変形させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明におけるポリマーとしては、ポリアミド;ポリエステル;ポリカーボネート;レーヨン;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、アクリロニトリルおよびアクリルアミド類からなる群から選択される少なくとも1つをモノマーとして含むホモポリマーまたはコポリマー;からなる群から選択される1つ以上であるのが好ましい。アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、アクリロニトリルおよびアクリルアミド類からなる群から選択される少なくとも1つをモノマーとして含むホモポリマーまたはコポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸(アクリル酸のホモポリマー)、アクリル酸を含むコポリマー、ポリメタクリル酸(メタクリル酸のホモポリマー)、メタクリル酸を含むコポリマー、ポリアクリル酸エステル類(アクリル酸エステル類のホモポリマー)、アクリル酸エステル類を含むコポリマー、ポリメタクリル酸エステル類(メタクリル酸エステル類のホモポリマー)、メタクリル酸エステル類を含むコポリマー、ポリスチレン(スチレンのホモポリマー)、スチレンを含むコポリマー、ポリアクリロニトリル(アクリロニトリルのホモポリマー)、アクリロニトリルを含むコポリマー、ポリアクリルアミド類(アクリルアミド類のホモポリマー)、アクリルアミド類を含むコポリマー等が挙げられる。
【0008】
前記ポリアミドとしては、例えば、ナイロン、アラミド繊維等が挙げられる。前記ナイロンとしては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、7−ナイロン、9−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロン等が挙げられる。前記アラミド繊維としては、例えば、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(ケブラー)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)(ノーメックス)等が挙げられる。
【0009】
前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンスクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられる。
【0010】
前記ポリカーボネートとしては、例えば、芳香族および脂肪族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの直接重合から製造されるポリカーボネート、または芳香族および脂肪族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応によって得られる重合体が挙げられる。前記芳香族ジヒドロキシ化合物として、ビスフェノールAが挙げられる。
【0011】
前記アクリル酸を含むコポリマーとしては、例えば、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステル類のコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸エステル類のコポリマー、アクリル酸とスチレンのコポリマー、アクリル酸とアクリロニトリルのコポリマー、アクリル酸とアクリルアミド類のコポリマー、アクリル酸と前記以外のモノマーのコポリマー等が挙げられる。
【0012】
前記メタクリル酸を含むコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸とアクリル酸のコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸エステル類のコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸エステル類のコポリマー、メタクリル酸とスチレンのコポリマー、メタクリル酸とアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸とアクリルアミド類のコポリマー、メタクリル酸と前記以外のモノマーのコポリマー等が挙げられる。
【0013】
前記アクリル酸エステル類を含むコポリマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステル類とアクリル酸エステル類のコポリマー、アクリル酸エステル類とメタクリル酸エステル類のコポリマー、アクリル酸エステル類とスチレンのコポリマー、アクリル酸エステル類とアクリロニトリルのコポリマー、アクリル酸エステル類とアクリルアミド類のコポリマー、アクリル酸エステル類と前記以外のモノマーのコポリマー等が挙げられる。
【0014】
前記メタクリル酸エステル類を含むコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸エステル類とアクリル酸のコポリマー、メタクリル酸エステル類とメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸エステル類とアクリル酸エステル類のコポリマー、メタクリル酸エステル類とメタクリル酸エステル類のコポリマー、メタクリル酸エステル類とスチレンのコポリマー、メタクリル酸エステル類とアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸エステル類とアクリルアミド類のコポリマー、メタクリル酸エステル類と前記以外のモノマーのコポリマー等が挙げられる。
【0015】
前記スチレンを含むコポリマーとしては、スチレンとアクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸のコポリマー、スチレンとアクリル酸エステル類のコポリマー、スチレンとメタクリル酸エステル類のコポリマー、スチレンとアクリロニトリルのコポリマー、スチレンとアクリルアミド類のコポリマー、スチレンと前記以外のモノマーのコポリマー等が挙げられる。
【0016】
前記アクリロニトリルを含むコポリマーとしては、アクリロニトリルとアクリル酸のコポリマー、アクリロニトリルとメタクリル酸のコポリマー、アクリロニトリルとアクリル酸エステル類のコポリマー、アクリロニトリルとメタクリル酸エステル類のコポリマー、アクリロニトリルとスチレンのコポリマー、アクリロニトリルとアクリルアミド類のコポリマー、アクリロニトリルと前記以外のモノマーのコポリマー等が挙げられる。
【0017】
前記アクリルアミド類を含むコポリマーとしては、例えば、アクリルアミド類とアクリル酸のコポリマー、アクリルアミド類とメタクリル酸のコポリマー、アクリルアミド類とアクリル酸エステル類のコポリマー、アクリルアミド類とメタクリル酸エステル類のコポリマー、アクリルアミド類とスチレンのコポリマー、アクリルアミド類とアクリロニトリルのコポリマー、アクリルアミド類とアクリルアミド類のコポリマー、アクリルアミド類と前記以外のモノマーのコポリマー等が挙げられる。
【0018】
前記ポリアクリル酸エステル類としては、例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸t-ブチル、ポリアクリル酸ベンジル、ポリアクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0019】
前記ポリメタクリル酸エステル類としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸t-ブチル、ポリメタクリル酸ベンジル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0020】
前記ポリアクリルアミド類(アクリルアミド類のホモポリマー)としては、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリN−ビニルピロリドン、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
【0021】
前記アクリル酸とアクリル酸エステル類のコポリマーとしては、例えば、アクリル酸とアクリル酸メチルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸ブチルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸t−ブチルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸ベンジルとのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸グリシジルのコポリマー等が挙げられる。
【0022】
前記アクリル酸とメタクリル酸エステル類のコポリマーとしては、例えば、アクリル酸とメタクリル酸メチルのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸ブチルのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸t−ブチルのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸ベンジルのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸グリシジルのコポリマー等が挙げられる。
【0023】
前記アクリル酸とアクリルアミド類のコポリマーとしては、例えば、アクリル酸とアクリルアミドのコポリマー、アクリル酸とメタクリルアミドのコポリマー、アクリル酸とN−ビニルピロリドンのコポリマー、アクリル酸とN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
【0024】
前記アクリル酸と前記以外のモノマーのコポリマーとしては、例えば、アクリル酸と無水マレイン酸のコポリマー、アクリル酸と塩化ビニルのコポリマー、アクリル酸とビニルエーテルのコポリマー等が挙げられる。
【0025】
前記メタクリル酸とアクリル酸エステル類のコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸とアクリル酸メチルのコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸エチルのコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸ブチルのコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸t−ブチルのコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸ベンジルとのコポリマー、メタクリル酸とアクリル酸グリシジルのコポリマー等が挙げられる。
【0026】
前記メタクリル酸とメタクリル酸エステル類のコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸とメタクリル酸メチルのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸エチルのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸ブチルのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸t−ブチルのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸ベンジルとのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルのコポリマー等が挙げられる。
【0027】
前記メタクリル酸とアクリルアミド類のコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸とアクリルアミドのコポリマー、メタクリル酸とメタクリルアミドのコポリマー、メタクリル酸とN−ビニルピロリドンのコポリマー、メタクリル酸とN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
【0028】
前記メタクリル酸と前記以外のモノマーのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸と無水マレイン酸のコポリマー、メタクリル酸と塩化ビニルのコポリマー、メタクリル酸とビニルエーテルのコポリマー等が挙げられる。
【0029】
前記アクリル酸エステル類とアクリル酸エステル類のコポリマーとしては、例えば、アクリル酸メチルとアクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのコポリマー、アクリル酸メチルとアクリル酸t−ブチルのコポリマー、アクリル酸メチルとアクリル酸ベンジルのコポリマー、アクリル酸メチルとアクリル酸グリシジルのコポリマー等が挙げられる。
【0030】
前記アクリル酸エステル類とメタクリル酸エステル類のコポリマーとしては、例えば、アクリル酸メチルとメタクリル酸メチルのコポリマー、アクリル酸メチルとメタクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルのコポリマー、アクリル酸メチルとメタクリル酸t−ブチルのコポリマー、アクリル酸メチルとメタクリル酸ベンジルのコポリマー、アクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルのコポリマー等が挙げられる。
【0031】
前記アクリル酸エステル類とスチレンのコポリマーとしては、例えば、アクリル酸メチルとスチレンのコポリマー、アクリル酸エチルとスチレンのコポリマー、アクリル酸ブチルとスチレンのコポリマー、アクリル酸t−ブチルとスチレンのコポリマー、アクリル酸ベンジルとスチレンのコポリマー、アクリル酸グリシジルとスチレンのコポリマー等が挙げられる。
【0032】
前記アクリル酸エステル類とアクリロニトリルのコポリマーとしては、例えば、アクリル酸メチルとアクリロニトリルのコポリマー、アクリル酸エチルとアクリロニトリルのコポリマー、アクリル酸ブチルとアクリロニトリルのコポリマー、アクリル酸t−ブチルとアクリロニトリルのコポリマー、アクリル酸ベンジルとアクリロニトリルのコポリマー、アクリル酸グリシジルとアクリロニトリルのコポリマー等が挙げられる。
【0033】
前記アクリル酸エステル類とアクリルアミド類のコポリマーとしては、例えば、アクリル酸メチルとアクリルアミドのコポリマー、アクリル酸エチルとメタクリルアミドのコポリマー、アクリル酸ブチルとN−ビニルピロリドンのコポリマー、アクリル酸t−ブチルとアクリルアミドのコポリマー、アクリル酸ベンジルとN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー、アクリル酸グリシジルとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
【0034】
前記アクリル酸エステル類と前記以外のモノマーのコポリマーとしては、例えば、アクリル酸メチルと無水マレイン酸のコポリマー、アクリル酸エチルと塩化ビニルのコポリマー、アクリル酸ブチルとビニルエーテルのコポリマー、アクリル酸t−ブチルと無水マレイン酸のコポリマー、アクリル酸ベンジルと塩化ビニルのコポリマー、アクリル酸グリシジルとビニルエーテルのコポリマー等が挙げられる。
【0035】
前記メタクリル酸エステル類とメタクリル酸エステル類のコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチルとメタクリル酸エチルのコポリマー、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルのコポリマー、メタクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルのコポリマー、メタクリル酸ブチルとメタクリル酸ベンジルのコポリマー等が挙げられる。
【0036】
前記メタクリル酸エステル類とスチレンのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチルとスチレンのコポリマー、メタクリル酸エチルとスチレンのコポリマー、メタクリル酸ブチルとスチレンのコポリマー、メタクリル酸t−ブチルとスチレンのコポリマー、メタクリル酸ベンジルとスチレンのコポリマー、メタクリル酸グリシジルとスチレンのコポリマー等が挙げられる。
【0037】
前記メタクリル酸エステル類とアクリロニトリルのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチルとアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸エチルとアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸ブチルとアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸t−ブチルとアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸ベンジルとアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸グリシジルとアクリロニトリルのコポリマー等が挙げられる。
【0038】
前記メタクリル酸エステル類とアクリルアミド類のコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチルとアクリルアミドのコポリマー、メタクリル酸エチルとメタクリルアミドのコポリマー、メタクリル酸ブチルとN−ビニルピロリドンのコポリマー、メタクリル酸t−ブチルとアクリルアミドのコポリマー、メタクリル酸ベンジルとN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー、メタクリル酸グリシジルとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
【0039】
前記メタクリル酸エステル類と前記以外のモノマーのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチルと無水マレイン酸のコポリマー、メタクリル酸エチルと塩化ビニルのコポリマー、メタクリル酸ブチルとビニルエーテルのコポリマー、メタクリル酸t−ブチルと無水マレイン酸のコポリマー、メタクリル酸ベンジルと塩化ビニルのコポリマー、メタクリル酸グリシジルとビニルエーテルのコポリマー等が挙げられる。
【0040】
前記スチレンとアクリルアミド類のコポリマーとしては、例えば、スチレンとアクリルアミドのコポリマー、スチレンとメタクリルアミドのコポリマー、スチレンとN−ビニルピロリドンのコポリマー、スチレンとN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
【0041】
前記スチレンと前記以外のモノマーのコポリマーとしては、例えば、スチレンと無水マレイン酸のコポリマー、スチレンと塩化ビニルのコポリマー、スチレンとビニルエーテルのコポリマー等が挙げられる。
【0042】
前記アクリロニトリルとアクリルアミド類のコポリマーとしては、例えば、アクリロニトリルとアクリルアミドのコポリマー、アクリロニトリルとメタクリルアミドのコポリマー、アクリロニトリルとN−ビニルピロリドンのコポリマー、アクリロニトリルとN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
【0043】
前記アクリロニトリルと前記以外のモノマーのコポリマーとしては、例えば、アクリロニトリルと無水マレイン酸のコポリマー、アクリロニトリルと塩化ビニルのコポリマー、アクリロニトリルとビニルエーテルのコポリマー等が挙げられる。
【0044】
前記アクリルアミド類とアクリルアミド類のコポリマーとしては、例えば、アクリルアミドとメタクリルアミドのコポリマー、アクリルアミドとN−ビニルピロリドンのコポリマー、アクリルアミドとN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー、メタクリルアミドとN−ビニルピロリドンのコポリマー、メタクリルアミドとN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー、N−ビニルピロリドンとN−イソプロピルアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。
【0045】
前記アクリルアミド類と前記以外のモノマーとしては、例えば、アクリルアミドと無水マレイン酸のコポリマー、メタクリルアミドと塩化ビニルのコポリマー、N−ビニルピロリドンとビニルエーテルのコポリマー、N−イソプロピルアクリルアミドと塩化ビニルのコポリマー等が挙げられる。
【0046】
本発明において、用語「流体」は、液体および気体を含む総称として用いる。すなわち、「流体」とは、液体、気体、ならびに液体および気体の混合物(例えば、霧状の混合物)のいずれかを意味する。本発明における流体としては、前記流体が液体である場合、前記ポリマーが、前記液体に対して難溶性であるような液体が好ましい。難溶性とは、具体的には、液体1Lに対してポリマー100mg以上が、好ましくは10mg以上が、より好ましくは1mg以上が溶解しないことを意味する。そのような液体としては、ポリマーを溶解させる力が非常に低い液体が挙げられる。前記ポリマーを溶解させる力が非常に低い液体としては、例えば水、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素、ハロゲンで置換された脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、低級アルキル、ハロゲン原子で置換された低級アルキルおよびハロゲン原子からなる群から選択される1つ以上で置換された芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート等が挙げられる。本発明において流体が気体である場合、前記のような液体が気体であるのが好ましい。
【0047】
前記脂肪族アルコールとしては、例えば、炭素原子数が1〜8の脂肪族炭化水素を含む脂肪族アルコールが挙げられる。具体的には、前記脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、t−アミルアルコール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール等が挙げられる。
【0048】
前記脂肪族炭化水素としては、例えば、炭素原子数が5〜12の脂肪族炭化水素が挙げられる。具体的には、前記脂肪族炭化水素としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、デカン、ドデカン、デカリン等が挙げられる。
【0049】
前記ハロゲンで置換された脂肪族炭化水素としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される1つ以上のハロゲンで置換された炭素原子数が1〜12の脂肪族炭化水素が挙げられる。具体的には、前記脂肪族炭化水素としては、クロロホルム、ジクロロメタン、パーフルオロデカリン等が挙げられる。
【0050】
前記芳香族炭化水素としては、例えば炭素数が6〜16の芳香族炭化水素が挙げられる。具体的には、前記芳香族炭化水素としては、ベンゼン等が挙げられる。前記低級アルキル、ハロゲン原子で置換された低級アルキルおよびハロゲン原子からなる群から選択される1つ以上で置換された芳香族炭化水素としては、例えば、前記芳香族炭化水素が、炭素数が6〜16の芳香族炭化水素であり、前記低級アルキルとしては、炭素数が1〜6のアルキル基であり、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)で置換された低級アルキルとしては、ハロゲン原子1〜13で置換された低級アルキルであるものが挙げられる。具体的には、前記低級アルキル、ハロゲン原子で置換された低級アルキルおよびハロゲン原子からなる群から選択される1つ以上で置換された芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、パーフルオロベンゼン等が挙げられる。
【0051】
前記エーテルとしては、例えば、低級アルキルエーテル、環状アルキルエーテル、芳香族エーテル等が挙げられる。具体的には、前記エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテル等の低級アルキルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状アルキルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル等の芳香族エーテルが挙げられる。前記ケトンとしては、低級アルキルカルボニル低級アルカン、環状アルキルケトン等が挙げられる。具体的には、前記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級アルキルカルボニル低級アルカン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状アルキルケトンが挙げられる。前記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸メチル、酪酸エチル、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。前記カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0052】
本発明におけるポリマーから形成される繊維を含む形成物は、電界紡糸により形成された形成物であるのが好ましい。電界紡糸とは、高電圧電場を用いたポリマー紡糸方法であり、ナノまたはマイクロスケールのサイズの直径を有する繊維を生成することが可能である。電界紡糸は、電界紡糸装置を用いて行うことができる。前記電界紡糸装置は、直流高電圧電源、インフュージョンポンプ、ステンレスニードルシリンジおよび金属コレクタを備えている。前記ニードルシリンジの先端は、ポリマー溶液を噴射するためノズルとなっている。ポリマー溶液のポリマー濃度および溶媒の種類、ポリマー溶液の射出速度、印加電圧、シリンジとコレクタ間距離(射出距離)などの条件を適宜設定して、前記電界紡糸装置を用いてポリマー溶液をシリンジから噴射させると、コレクタ上に繊維が堆積し、ポリマーから形成される繊維を含む不織布を形成することができる。
【0053】
前記電界紡糸におけるポリマー濃度は、使用するポリマーの種類により適宜設定可能である。前記ポリマー濃度は、例えば、0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは1〜45重量%である。前記ポリマー溶液の溶媒としては、使用するポリマーの種類に応じて適宜選択することができる。前記溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、エタノール、メタノール、アセトン、2,2,2−トリフルオロエタノール等が挙げられる。前記溶媒は、1種類または2種類以上を混合して用いてもよい。前記射出速度としては、例えば、0.01〜100mL/時間、好ましくは0.03〜50mL/時間、より好ましくは0.1〜30mL/時間である。前記印加電圧としては、例えば、0.5〜80kV、好ましくは1〜60kV、より好ましくは3〜40kVである。前記射出距離は、例えば1〜60cm、好ましくは2〜40cm、より好ましくは3〜30cmである。
【0054】
本発明におけるポリマーから形成される繊維は、その繊維径が例えば20nm〜20μmであり、好ましくは30nm〜10μmであり、より好ましくは50nm〜5μmである。
【0055】
本発明において、前記形成物の形状は限定されないが、例えば、不織布状等が挙げられる。また、変形された前記形成物の形状も限定されないが、例えば、直方体状、円柱状等が挙げられる。変形された前記形成物の形状は、外観的には、変形前と比較して、例えば、厚み方向に寸法がより長くなり、面方向に寸法がより短い。また、変形された前記形状物は、その形状物に含まれる繊維の径が、変形前と比較して例えば太くなっている。
【0056】
本発明において、前記ポリマーが、ポリメタクリル酸エステルであり、前記流体が、脂肪族アルコールまたは水と脂肪族アルコールの混合物であるのが好ましい。前記水(X)と脂肪族アルコール(Y)の混合物の混合比(X:Y)は、例えば50:50〜0:100、好ましくは30:70〜5:95、より好ましくは25:75〜15:85である。本発明において、前記ポリマーが、ポリメタクリル酸メチルであり、前記流体が、水とエタノールの混合物であるのがさらに好ましい。なお、水とエタノールの混合物(水/エタノール=20/80)1Lに対して、ポリメタクリル酸メチル100mgは溶解しない。また、本発明において、前記流体は液体であるのが好ましい。
【0057】
また、本発明において、前記ポリマーが、ポリスチレンであり、前記流体が、脂肪族炭化水素であるのが好ましく、n−ヘキサンであるのがより好ましい。なお、n−ヘキサン1Lに対して、ポリスチレン10mgは溶解しない。また、本発明において、前記流体は液体であるのが好ましい。
【0058】
また、本発明において、前記ポリマーが、メタクリル酸エステルを含むコポリマーであり、前記流体が脂肪族アルコールまたは水と脂肪族アルコールの混合物であるのが好ましい。前記水(X)と脂肪族アルコール(Y)の混合物の混合比(X:Y)は、例えば50:50〜0:100、好ましくは30:70〜5:95、より好ましくは25:75〜15:85である。また、前記メタクリル酸エステルを含むコポリマーが、メタクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルのコポリマーであり、前記流体が、脂肪族アルコールまたは水とエタノールの混合物であるのがより好ましい。前記水(X)と脂肪族アルコール(Y)の混合物の混合比(X:Y)は、例えば50:50〜0:100、好ましくは30:70〜5:95、より好ましくは25:75〜15:85である。なお、エタノール1Lに対して、メタクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジル(コポリマー中のメタクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルのユニットモル比は80:20)のコポリマー10mgは溶解しない。また、本発明において、前記流体は液体であるのが好ましい。
【0059】
本発明において、前記形成物と流体とを接触させる工程は、温度は特に限定されないが、例えば、0〜50℃、好ましくは15〜45℃、より好ましくは20〜40℃で行うことができる。
【0060】
本発明において、前記形成物と流体とを接触させる工程は、物理的刺激を与えて行ってもよい。その物理的刺激としては、例えば、攪拌、振とう、超音波処理等が挙げられる。さらに、本発明において、前記形成物と流体とを接触させる工程は、前記流体が液体である場合、例えば、前記液体を含む容器に前記形成物を漬ける、前記形成物に前記液体を塗布する、前記液体を前記形成物に噴霧する等により行われてもよい。また、前記形成物と流体とを接触させる工程は、前記流体が気体である場合、例えば、前記気体の雰囲気下に前記形成物を存在させること等により行われてもよい。また、前記形成物と流体とを接触させる工程は、前記流体が液体と気体との混合物(例えば、霧状の混合物)である場合、例えば、前記混合物の雰囲気下に前記形成物を存在させること等により行われてもよい。
【0061】
本明細書の記載において、以下の略語を使用する。
【0062】
MMA:メタクリル酸メチル
PMMA:ポリメタクリル酸メチル
GMA:メタクリル酸グリシジル
HFIP:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
(参考例1)
PMMA(3.5%)不織布の製造
ポリメタクリル酸メチル(0.25g)をHFIP(6.9g)に溶解して3.5重量%溶液を調製した。このポリマー溶液を用いて、シリンジニードル25G、印加電圧15.0kV、射出速度3.0mL/時間、射出距離10cm、コレクタ回転速度100rpmの条件で、電解紡糸した。コレクタ上に堆積した産物は、繊維径0.8〜1.5μmの繊維から構成される不織布(厚み約100μm。以下、「PMMA(3.5%)不織布」と呼ぶ)であった。得られたPMMA(3.5%)不織布を、1cm×1cmの大きさに切断してサンプルとした。
【0063】
(参考例2)
GMA/MMA(20/80)不織布の製造
メタクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルのコポリマー(コポリマー中のメタクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルのユニットモル比は80:20、0.3g)をHFIP(2.7g)に溶解して10重量%溶液を調製した。このコポリマー溶液を用いて、シリンジニードル25G、印加電圧15.0kV、射出速度3.0mL/時間、射出距離10cm、コレクタ回転速度100rpmの条件で、電解紡糸した。コレクタ上に堆積した産物は、繊維径0.2〜1.2μmの繊維から構成される不織布(厚み約100μm。以下、「GMA/MMA不織布」と呼ぶ)であった。得られたGMA/MMA不織布を、1cm×1cmの大きさに切断してサンプルとした。
【0064】
(参考例3)
ポリスチレン不織布の製造
ポリスチレン(0.25g)をDMFとTHFの混合物(1:1、1.31g)に溶解して16重量%溶液を調製した。このポリマー溶液を用いて、シリンジニードル25G、印加電圧15.0kV、射出速度3.0mL/時間、射出距離10cm、コレクタ回転速度200rpmの条件で、電解紡糸した。コレクタ上に堆積した産物は、繊維径1〜1.5μmの繊維から構成される不織布(厚み約100μm。以下、「ポリスチレン不織布」と呼ぶ)であった。得られたポリスチレン不織布を、1cm×1cmの大きさに切断してサンプルとした。
【0065】
(参考例4)
PMMAキャスティングフィルムの製造
ポリメタクリル酸メチル(0.1g)をクロロホルム(2mL)に溶解して溶液を調製した。この溶液を、1.7cm×4cmの大きさの型に流し込み、室温で静置して乾燥させ、PMMAフィルムを得た(厚み:100μm)。得られたPMMAフィルムを、1cm×1cmの大きさに切断してサンプルとした。
【0066】
(参考例5)
PMMA(2%)不織布の製造
ポリメタクリル酸メチル溶液の濃度を2.0%に変更した以外は、参考例1と同様にして繊維径0.2〜0.7μmのPMMA(2%)不織布(厚み約100μm)を得た。得られたPMMA(2%)不織布を、1cm×1cmの大きさに切断してサンプルとした。
【実施例1】
【0067】
参考例1で得たPMMA(3.5%)不織布のサンプルを24ウェルプレートのウェルごとに1つずつ入れ、そこへ液体(1mL)を加えた。サンプルを液体に浸すようにして、バイオシェーカーを用いて40℃で30分静置した。その後、サンプルをウェルから取り出し、真空乾燥してサンプルを乾燥させた。得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定した。得られた結果を表1に、その結果のサンプルの写真を図1に示す。図1における上段のサンプルは、サンプルを側面から、下段のサンプルは、サンプルを上面から観察している。なお、液体としては、水とエタノールの混合物を用いた。混合物中のエタノールの体積比は、0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%とした。エタノールと接触させる前のPMMA(3.5%)不織布のSEM写真を図2(a)に、エタノールの体積比が80%、90%および100%の混合物と接触させた後のPMMA(3.5%)不織布のSEM写真を図2(b)、2(c)および2(d)にそれぞれ示す。変形後のPMMA(3.5%)不織布の繊維径は、エタノールの体積比が100%の混合物と接触させた場合1〜2.5μmであり、エタノールの体積比が80%の混合物と接触させた場合3〜5μmであった。なお変形前のPMMA(3.5%)不織布の繊維径は、0.8〜1.5μmであった。
【0068】
【表1】

【0069】
前記表1ならびに図1、図2(a)、2(b)、2(c)および2(d)に示すように、PMMA(3.5%)不織布に水とエタノールの混合物を接触させると、厚みが最大で約36倍、面積が約42分の1に変形することが確認できた。
【実施例2】
【0070】
参考例2で得たGMA/MMA不織布のサンプルを24ウェルプレートのウェルに1つ入れ、そこへエタノール(1mL)を加えた。サンプルを液体に浸すようにして、バイオシェーカーを用いて40℃で30分静置した。その後、サンプルをウェルから取り出し、真空乾燥してサンプルを乾燥させた。得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定したところ、厚みが1600%、面積が6.2%に変形した。変形前のGMA/MMA不織布のSEM写真を図3(a)に、変形後のGMA/MMA不織布のSEM写真を図3(b)に示す。変形後のGMA/PMMA不織布の繊維径は、1.5〜2μmであった。なお、変形前のGMA/PMMA不織布の繊維径は、0.2〜1.2μmであった。
【実施例3】
【0071】
参考例3で得たポリスチレン不織布のサンプルを24ウェルプレートのウェルに1つ入れ、そこへn−ヘキサン(1mL)を加えた。サンプルを液体に浸すようにして、バイオシェーカーを用いて40℃で30分静置した。その後、サンプルをウェルから取り出し、真空乾燥してサンプルを乾燥させた。得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定したところ、厚みが482.8%、面積が12.5%に変形した。変形前のポリスチレン不織布のSEM写真を図4(a)に、変形後のポリスチレン不織布のSEM写真を図4(b)に示す。変形後のポリスチレン不織布の繊維径は、2〜3μmであった。なお、変形前のポリスチレン不織布の繊維径は、1〜1.5μmであった。
【0072】
(比較例1)
参考例4で得たPMMAキャスティングフィルムのサンプルを24ウェルプレートのウェルに1つ入れ、そこへエタノール(1mL)を加えた。サンプルを液体に浸すようにして、バイオシェーカーを用いて40℃で30分静置した。その後、サンプルをウェルから取り出し、真空乾燥してサンプルを乾燥させた。得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定したところ、厚みが125%、面積が67.9%に変形した。変形前後のPMMAキャスティングフィルムの写真を図5に示す。図5中、左側のサンプルが変形前のPMMAキャスティングフィルムであり、右側のサンプルが変形後のPMMAキャスティングフィルムである。
【実施例4】
【0073】
参考例1で得たPMMA(3.5%)不織布の代わりに参考例5で得たPMMA(2%)不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定した。変形後の厚みおよび変形後の面積の測定結果を、表2ならびに図6(a)および6(b)のそれぞれのグラフに示す。図6(a)において縦軸は厚み変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)であり、横軸は混合物に対するエタノール体積比(%)である。図6(b)において縦軸は面積の変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)であり、横軸は混合物に対するエタノール体積比(%)である。
【0074】
【表2】

【0075】
表2および図6(a)および6(b)に示すように、PMMA(2%)不織布に水とエタノールの混合物を接触させると、厚みが最大で約49倍、面積が約100分の1に変形することが確認できた。また、PMMA(2%)不織布がPMMA(3.5%)不織布よりも、厚みおよび面積について変形の度合いが大きいことが確認できた。
【実施例5】
【0076】
参考例1で得たPMMA(3.5%)不織布のサンプルを24ウェルプレートのウェルごとに1つずつ入れ、そこへ水とエタノールの混合物(混合物に対するエタノールの体積比は80%、1mL)を加えた。サンプルを液体に浸すようにして、バイオシェーカーを用いて(i)40℃で30分静置、(ii)40℃で30分振とう、(iii)室温で30分静置した。その後、サンプルをウェルから取り出し、真空乾燥してサンプルを乾燥させた。得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定した。変形後の厚みおよび変形後の面積の測定結果を、表3ならびに図7(a)および図7(b)のそれぞれのグラフに示す。図7(a)において縦軸は厚み変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)である。図7(b)において縦軸は面積の変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)である。また、(i)、(ii)および(iii)の場合の変形後のPMMA(3.5%)不織布の写真を図8(a)および図8(b)に示す。
【0077】
【表3】

【0078】
表3、図7(a)および図7(b)に示すように、PMMA(3.5%)不織布は、振とうした場合および静置した場合のいずれにおいても、変形することが確認できた。また、PMMA(3.5%)不織布は、室温で処理した場合よりも40℃で処理したほうが、変形の度合いが高いことが確認できた。
【実施例6】
【0079】
参考例1で得たPMMA(3.5%)不織布のサンプルを24ウェルプレートのウェルごとに1つずつ入れ、そこへ液体(1mL)を加えた。サンプルを液体に浸すようにして、バイオシェーカーを用いて40℃で30分静置した。その後、サンプルをウェルから取り出し、真空乾燥してサンプルを乾燥させた。得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定した。得られた結果を表4および表5ならびに図9(a)および図9(b)に示す。なお、液体としては、水とアルコール(エタノール、メタノール、およびイソプロパノール)の混合物を用いた。混合物中のアルコールの体積比は、0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%とした。図9(a)において縦軸は厚み変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)であり、横軸は混合物に対するアルコール体積比(%)である。図9(b)において縦軸は面積の変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)であり、横軸は混合物に対するアルコール体積比(%)である。
【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
表4および5ならびに図9(a)および図9(b)に示すように、PMMA(3.5%)不織布に水とアルコールの混合物を接触させると、アルコールがエタノールの場合、著しい厚みの変化と面積の変化が生じることが確認できた。
【実施例7】
【0083】
参考例1で得たPMMA(3.5%)不織布のサンプルを24ウェルプレートのウェルごとに1つずつ入れ、そこへ水とエタノールの混合物(混合物に対するエタノールの体積比は0、10、20、30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、100%、1mL)を加えた。サンプルを液体に浸すようにして、バイオシェーカーを用いて20℃、30℃、40℃および50℃のいずれかで30分静置した。その後、サンプルをウェルから取り出し、真空乾燥してサンプルを乾燥させた。得られたサンプルの厚みと面積を測定し、変形前を100%として、変形の程度を測定した。得られた結果を表6ならびに図10(a)および図10(b)に示す。図10(a)において縦軸は厚み変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)であり、横軸は混合物に対するエタノール体積比(%)である。図10(b)において縦軸は面積の変化率(倍率。変形前のPMMA不織布を1とする。)であり、横軸は混合物に対するエタノール体積比(%)である。
【0084】
【表6】

【0085】
【表7】

【0086】
表6および7ならびに図10(a)および図10(b)に示すように、PMMA(3.5%)不織布に水とエタノールの混合物を接触させると、温度が20℃と30℃の場合は同程度の厚み変化と面積の変化が生じ、温度が40℃の場合は、温度が20℃と30℃の場合よりさらに厚み変化と面積の変化が生じることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の方法は、センサー、住宅用品、生活用品、生体材料、化粧品分野への適用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、実施例1におけるPMMA(3.5%)不織布の変形を示す写真である。上段はシート状不織布の変形物を横から取った写真、下段はシート状不織布の変形物を上から取った写真である。
【図2(a)】図2(a)は、変形前のPMMA(3.5%)不織布のSEM写真である。
【図2(b)】図2(b)は、実施例1におけるエタノールの体積比が80%の混合物と接触させた場合のPMMA(3.5%)不織布のSEM写真を示す。
【図2(c)】図2(c)は、実施例1におけるエタノールの体積比が90%の混合物と接触させた場合のPMMA(3.5%)不織布のSEM写真を示す。
【図2(d)】図2(d)は、実施例1におけるエタノールの体積比が100%の混合物と接触させた場合のPMMA(3.5%)不織布のSEM写真を示す。
【図3(a)】図3(a)は、実施例2における変形前のGMA/MMA不織布のSEM写真である。
【図3(b)】図3(b)は、実施例2における変形後のGMA/MMA不織布のSEM写真である。
【図4(a)】図4(a)は、実施例3における変形前のポリスチレン不織布のSEM写真である。
【図4(b)】図4(b)は、実施例3における変形後のポリスチレン不織布のSEM写真である。
【図5】図5は、比較例1におけるPMMAフィルムの変形を示す写真である。
【図6(a)】図6(a)は、実施例4における変形後の厚みの測定結果を示すグラフである。
【図6(b)】図6(b)は、実施例4における変形後の面積の測定結果を示すグラフである。
【図7(a)】図7(a)は、実施例5における変形後の厚みの測定結果を示すグラフである。
【図7(b)】図7(b)は、実施例5における変形後の面積の測定結果を示すグラフである。
【図8(a)】図8(a)は、実施例5の(i)および(ii)の条件における変形後のサンプルの横から撮った写真である。
【図8(b)】図8(b)は、実施例5の(i)および(iii)の条件における変形後のサンプルの上から撮った写真である。
【図9(a)】図9(a)は、実施例6における変形後の厚みの測定結果を示すグラフである。
【図9(b)】図9(b)は、実施例6における変形後の面積の測定結果を示すグラフである。
【図10(a)】図10(a)は、実施例7における変形後の厚みの測定結果を示すグラフである。
【図10(b)】図10(b)は、実施例7における変形後の面積の測定結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーから形成される繊維を含む形成物を変形させる方法であって、
前記方法が、前記形成物と流体とを接触させる工程を含む方法。
【請求項2】
前記流体が液体であり、前記ポリマーが、前記液体に対して難溶性である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーが、ポリアミド;ポリエステル;ポリカーボネート;レーヨン;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、アクリロニトリルおよびアクリルアミド類からなる群から選択される少なくとも1つをモノマーとして含むホモポリマーまたはコポリマー;からなる群から選択される1つ以上である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記形成物が、電界紡糸により形成された形成物である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーが、ポリメタクリル酸エステルであり、前記流体が、脂肪族アルコールまたは水と脂肪族アルコールの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーが、ポリスチレンであり、前記流体が、脂肪族炭化水素である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが、メタクリル酸エステルを含むコポリマーであり、前記流体が、脂肪族アルコールまたは水および脂肪族アルコールの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2(a)】
image rotate

【図2(b)】
image rotate

【図2(c)】
image rotate

【図2(d)】
image rotate

【図3(a)】
image rotate

【図3(b)】
image rotate

【図4(a)】
image rotate

【図4(b)】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6(a)】
image rotate

【図6(b)】
image rotate

【図7(a)】
image rotate

【図7(b)】
image rotate

【図8(a)】
image rotate

【図8(b)】
image rotate

【図9(a)】
image rotate

【図9(b)】
image rotate

【図10(a)】
image rotate

【図10(b)】
image rotate