説明

ポリマーチップ洗浄容器及び該容器を用いたポリマーチップ洗浄方法

【課題】医療用インプラント等に適した所望の物性を保持しつつ、金属触媒含有量の極めて低い安全な生体内分解吸収性ポリマーチップを得ることができるポリマーチップ洗浄容器と洗浄方法を提供すること。
【解決手段】攪拌付与手段5に装着して洗浄を行うためのポリマーチップ洗浄容器1であって、洗浄対象物となるポリマーチップおよびこのポリマーチップを洗浄するための洗浄液を収容する収容室2aを備え、該収容室2aに通じる開口部2bを有する容器本体2と、該容器本体2の開口部2bに着脱可能に取り付けられ、前記ポリマーチップの洗浄時、前記収容室2aを密閉するための洗浄時用蓋部材3と、前記容器本体2の開口部2bに着脱可能に取り付けられ、ポリマーチップの透過を阻止し、洗浄液の透過を許容するメッシュプレート4aを張設した洗浄液廃棄時用蓋部材4とを備えているポリマーチップ洗浄容器1と、この容器1を使用して攪拌洗浄を行う洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属触媒を含有する生体内分解吸収性ポリマーチップ中の金属触媒の含有量を安全水準まで効率よく低減するために好適なポリマーチップ洗浄容器及びその容器を用いたポリマーチップ洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体内分解吸収性高分子としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン及びこれらの共重合体などが知られている。これらは、生体内で分解・吸収されることから、縫合糸、骨接合材などの医療用インプラントとして利用されている。
こうした高分子化合物の合成には、例えば、オクチル酸スズなどの重金属系の触媒が多用されるため、合成された高分子化合物中には金属触媒が残存することになる。この高分子化合物を、医療用インプラントとして用いた場合、高分子の分解とともに金属触媒が体内に暴露される。金属触媒は、その種類によって異なるが、一定以上の濃度であると人体に対し免疫毒性、遺伝毒性、神経毒性等の悪影響を引き起こす恐れがある。従って、これらの高分子を医療用インプラントとして用いる場合は、出来るだけ金属触媒の残存量を少なくすることが必要である。
【0003】
その一方、インプラント用途のポリマーチップでは、一定以上の分子量、強度等の特性が要求される。このような高分子を得るためには、重合過程において、ある程度以上の金属触媒の添加を要するため、重合反応後に高分子に残存する金属触媒を除去することが必要となる。しかしながら、この製造方法では、金属触媒の除去が容易ではなく工業的に困難を伴う場合が多い。
上記のようなポリマーチップを5倍量の混合溶媒に浸漬して、スターラーで攪拌洗浄を行う方法が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2006−182999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の洗浄方法では、大量のポリマーチップを洗浄しようとすると、スターラーによる攪拌では使用する攪拌子の大きさに限界があるため攪拌が鈍り、洗浄効率が悪化する。また、攪拌を改善するために、混合溶媒の浴比をさらに高くすると、有機溶媒を大量に使用することになるので、コスト高となる上に、作業者の安全性という面で問題がある。また、スターラーの代わりにプロペラで攪拌させても、密閉系での洗浄が不可能なため、有機溶媒が洗浄容器からこぼれたり、その臭いが漏れたりして、作業者の安全性という面で問題がある。
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、洗浄容器を密閉可能な円筒ドラム型にすることで洗浄液やその臭いが容器外に漏れないようにできること、又、該容器を恒温下にて軸芯回りで回転させたり、振動させることで高分子を洗浄液中で十分に攪拌させ、金属触媒含有量を生体に悪影響を及ぼさない安全な水準(例えば、1ppm未満)まで低減することができることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、医療用インプラント等に適した所望の物性を保持しつつ、金属触媒含有量の極めて低い安全な生体内分解吸収性ポリマーチップを得ることを目的とし、特に、ポリマーチップの金属触媒含有量を安全な水準まで低減させる洗浄工程において、高分子を工業規模で大量に洗浄する場合であっても洗浄効果を損なわず、かつ、洗浄液がこぼれたりその臭いが漏れたりしないように作業安全性を向上させ得るポリマーチップ洗浄容器と該容器を用いたポリマーチップ洗浄方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明は、攪拌付与手段に装着して洗浄を行うためのポリマーチップ洗浄容器であって、洗浄対象物となるポリマーチップ及びこのポリマーチップを洗浄するための洗浄液を収容する収容室を備え、該収容室に通じる開口部を有する容器本体と、該容器本体の開口部に着脱可能に取り付けられ、前記ポリマーチップの洗浄時、前記収容室を密閉するための洗浄時用蓋部材と、前記容器本体の開口部に着脱可能に取り付けられ、ポリマーチップの透過を阻止し、洗浄液の透過を許容するメッシュプレートを張設した洗浄液廃棄時用蓋部材とを備えていることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、ポリマーチップの洗浄中に洗浄液やその臭いが容器外に漏れないようにでき、また、洗浄液の廃棄時、ポリマーチップを容器本体内に残したままで洗浄液のみを効率よく選別分離して廃棄することができ、洗浄作業の安全性を向上させることができる。
前記容器本体の形状が円筒ドラム状であり、容器内壁にフィンや板等の攪拌助長部材が取り付けられている。
この構成によれば、容器本体を回転式や振動式等の攪拌付与手段に装着して攪拌洗浄することが容易となり、また、ポリマーチップの攪拌洗浄を効率よく行うことができる。
【0008】
また、本発明のポリマーチップ洗浄方法は、前記ポリマーチップ洗浄容器を使用し、この容器本体の収容室に、洗浄対象物となるポリマーチップと、このポリマーチップを洗浄するための洗浄液とを収容して洗浄時用蓋部材で密閉した容器本体の外部から容器本体に回転及び/又は振動を加えることによりポリマーチップを洗浄液で攪拌洗浄することを特徴としている。
この構成によれば、洗浄容器の外部から攪拌するための攪拌子や攪拌棒を容器内に挿入して洗浄するものではなく、洗浄容器を密閉して洗浄を行うため、洗浄液やその臭いが容器外に漏れないようにできる。又、該容器を恒温下にて回転させたり、振動させたり、これらを組み合わせたりすることで、従来のスターラーのような攪拌子や攪拌棒などが不要となり、ポリマーチップに損傷を与えることなく洗浄液中で十分に攪拌させ、金属触媒含有量を生体に悪影響を及ぼさない安全な水準(例えば、1ppm未満)まで効率よく低減することができる。その結果、洗浄液浴比を従来攪拌法より下げることができる。
【0009】
また、前記ポリマーチップは、金属触媒を含有する生体内分解吸収性ポリマーチップに適用され、前記洗浄液は前記金属触媒の含有量を低減する性能を備えたものが適用されることにより、医療用インプラント等に適した所望の物性を保持しつつ、金属触媒含有量の極めて低い安全な生体内分解吸収性ポリマーチップを得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリマーチップの金属触媒含有量を安全な水準まで低減させる洗浄工程において、高分子を工業規模で大量に洗浄する場合であっても洗浄効果を損なわず、かつ、洗浄液がこぼれたりその臭いが漏れたりしないように作業安全性を向上させ得るポリマーチップ洗浄容器と該容器を用いたポリマーチップ洗浄方法を提供することができ、これによって、医療用インプラント等に適した所望の物性を保持しつつ、金属触媒含有量の極めて低い安全な生体内分解吸収性ポリマーチップを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係るポリマーチップ洗浄容器1は、図1(A)(B)及び図2に示すように、容器本体2と、洗浄時用蓋部材3と、洗浄液廃棄時用蓋部材4とを備えている。
容器本体2は、洗浄対象物となるポリマーチップ及びこのポリマーチップを洗浄するための洗浄液を収容する収容室2aを備え、該収容室2aに通じる開口部2bを有し、全体が円筒ドラム形状とされ、ポリマーチップの攪拌を効率よく行うために容器内壁にフィンや板等の攪拌助長部材2cが取り付けられている。
【0012】
洗浄時用蓋部材3は、容器本体2の開口部2bに弾性を利用して圧入嵌着される内蓋部材3aと、容器本体2の開口部2bに外嵌螺合される外蓋部材3bとで構成した場合を例示しているが、外蓋部材3bだけで洗浄液の漏れを防止できる場合では、内蓋部材3aを省略してもよい。何れにしても、洗浄時用蓋部材3は、容器本体2の開口部2bに着脱可能に取り付けられ、前記ポリマーチップの洗浄時、前記収容室2aを密閉するためのものである。
洗浄液廃棄時用蓋部材4は、容器本体2の開口部2bに着脱可能に取り付けられ、ポリマーチップの透過を阻止し、洗浄液の透過を許容するメッシュプレート4aを張設してある。
【0013】
容器本体2と洗浄時用蓋部材3および洗浄液廃棄時用蓋部材4は、洗浄液による腐食、溶出、溶解に対して耐性のある材質、例えば、洗浄剤への耐性のあるプラスチック、あるいは、ステンレス等の耐化学薬品性金属材料で構成されているか、又は、前記材質の保護被膜、例えば、ホーロー質被膜等で被覆されているものを用いる。
図3(A)〜図3(C)は、前記洗浄容器1への攪拌付与手段5を例示しているもので、図3(A)は、洗浄容器1が長軸で短径のものである場合に適用して好適なもので、水平に支持された2本の回転ローラ5a,5aの上に洗浄容器1を載せて回転させる方式を示している。図3(B)は、垂直軸線回りに回転可能に支持されたターンテーブル5bの上に洗浄容器1を載置固定して行うターンテーブル方式を示している。図3(C)は、洗浄容器1が短軸で長径のものである場合に適用して好適なもので、回転クランク機構5cにより洗浄容器1に往復振動を与える振動方式を示している。
【0014】
本発明のポリマーチップ洗浄方法は、前記ポリマーチップ洗浄容器1を使用し、この容器本体2の収容室2aに、洗浄対象物となるポリマーチップと、このポリマーチップを洗浄するための洗浄液とを収容して洗浄時用蓋部材3(内蓋部材3a及び外蓋部材3b)で密閉した容器本体2の外部から容器本体2に回転及び/又は振動を加えることによりポリマーチップを洗浄液で攪拌洗浄し、洗浄中に容器本体2内温度を一定に維持して洗浄するものである。
容器本体2に回転及び/又は振動を加える場合、図3(A)〜図3(C)の何れか又は他の手段(例えば、回転と振動を同時に与える手段や超音波振動を利用する手段等)で行われる。
【0015】
前記ポリマーチップは、金属触媒を含有する生体内分解吸収性ポリマーチップに適用する場合では、洗浄液が前記金属触媒の含有量を低減する性能を備えたものが適用される。
その際、洗浄液の温度が15〜30℃に設定され、洗浄中は恒温下にて洗浄を行うものである。また、前記ポリマーチップに対して前記洗浄液の浴比は3〜5に設定するのが好ましい。そして、前記洗浄液は、交換回数を4回以上に設定し、トータルの洗浄時間を30時間以上に設定するのが好ましい。
上記洗浄条件で洗浄を行うことにより、金属触媒を含有する生体内分解吸収性ポリマーチップを洗浄液に浸漬し攪拌して金属触媒の含有量を安全な水準(例えば、1ppm未満)まで効率よく低減することができる。洗浄液の交換時、古い洗浄液を廃棄する際、洗浄時用蓋部材3を外して洗浄液廃棄時用蓋部材4を装着して容器本体2内の洗浄液を廃棄し、廃棄後、洗浄液廃棄時用蓋部材4を外して新しい洗浄液を収容し、洗浄時用蓋部材3で容器本体2の開口部2aを密閉して洗浄を再開した。以後、これを反復して洗浄を行った。なお、洗浄液廃棄時用蓋部材4は、内蓋とし、洗浄時用蓋部材3を外蓋として、洗浄中、両方の蓋部材を容器本体2に取り付けたままで洗浄を行っても良い。この場合では、洗浄液の交換作業時、内蓋を取り付けたままで外蓋を着脱するだけで洗浄液の古い廃棄と新しい洗浄液の供給を行うことができるため、便利である。また、洗浄中、洗浄液を恒温に保持する手段としては、図2(A)では、回転ローラ5a、5aにヒータを内蔵させておくことにより、また、図2(B)では、ターンテーブル5bにヒータを内蔵させておくことにより、さらに、図2(C)では、下部から熱風を送ることにより、夫々実施することができる。なお、熱風を吹き付けたり、ヒータの輻射熱で行うなど適宜の加熱手段を用いて実施でき、その際、温度センサにより温度を監視させ、適温にコントロールさせて行わせればよい。
【実施例】
【0016】
製造例1
ガラス反応管に、ラクチド及びε-カプロラクトン(75:25、モル比)を入れ、これにオクチル酸スズ300 ppm(スズ金属換算:87 ppm)加えて、窒素雰囲気下、常法により重合することにより、重量平均分子量70万のポリマーチップを得た。そのポリマーチップを粉砕機で粉砕し、平均粒子径3.0 mmの粒状のポリマーチップを得た。このポリマーチップ中の残存スズ量は、80 ppmであった。
なお、平均粒子径は種々のメッシュサイズのふるいにかけ、重量比から算出した。
実施例1
製造例1で得られたポリマーチップ100gを洗浄容器1内に入れ、ポリマーチップに対し3倍量となる300 mLの混合溶液(酢酸/イソプロパノール=50/50、体積比)を加えて浸漬させた後、容器の蓋3を閉め密閉した。ドラム回転装置を用いて容器を回転させ(回転数100 rpm)、30℃恒温下にて4時間撹拌し、溶液を入れ換えて4時間撹拌し、さらに溶液を入れ換えて16時間撹拌洗浄した。この一連の操作を2回繰り返した。即ち、トータル48時間、同一組成の溶液で計6回洗浄した。得られたポリマーチップを、30℃で24時間真空乾燥し、次いで40℃で48時間真空乾燥して溶媒を除去した。
【0017】
得られたポリマーチップについて、金属触媒の含有量(残存スズ量)と分子量を測定した。なお、測定方法は以下の通りである。
(1)金属触媒の含有量の測定
得られたポリマーチップを、硫酸/硝酸混液(1:1、体積比)に添加し、緩やかに加熱して有機分を分解した後、市販のスズ標準液(塩化スズ二水和物、和光純薬製)をスタンダードとして用いて、プラズマ発光分析機(CID−AP型、日本ジャーレル・アッシュ製)にて定量を行った。
(2)分子量の測定
ポリマーチップをクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン標準品をスタンダードとして用いて、重量平均分子量(Mw)を測定した。分子量保持率(%)は次式で示される。
【0018】
分子量保持率(%)=(洗浄後の高分子の重量平均分子量)/(洗浄前の高分子の重量平均分子量)×100
実施例2
実施例1のドラム回転装置による容器の回転数を200rpmとし、それ以外は実施例1と同じ条件で洗浄を行った。
実施例3
製造例1で得られたポリマーチップ100 gを洗浄容器内に入れ、ポリマーチップに対し5倍量となる500 mLの混合溶液(酢酸/イソプロパノール=50/50、体積比)を加えて浸漬させた後、容器の蓋を閉め密閉した。以後、実施例1と同条件にて洗浄を行った。
比較例1
製造例1で得られたポリマーチップ100gをフラスコに入れ、ポリマーチップに対し3倍量となる300 mLの混合溶液(酢酸/イソプロパノール=50/50、体積比)を加えて浸漬させた後、蓋をして静置した状態で実施例1と同じ条件で洗浄を行った。
比較例2
製造例1で得られたポリマーチップ100gをフラスコに入れ、ポリマーチップに対し5倍量となる500 mLの混合溶液を加えて浸漬させた。攪拌用プロペラを装着し回転数を200rpmに調整した撹拌装置を用いて30℃にて4時間撹拌し、溶液を入れ換えて4時間撹拌し、さらに溶液を入れ換えて16時間撹拌洗浄した。この一連の操作を2回繰り返した。即ち、トータル48時間、同一組成の溶液で計6回洗浄した。得られたポリマーチップを、30℃で24時間真空乾燥し、次いで40℃で48時間真空乾燥して溶媒を除去した。
【0019】
これらの結果を表1に示している。表1の結果から、従来法では、洗浄液がこぼれたり、臭いが漏れるので作業環境が不良であるが、本発明方法では、密閉式であるため、洗浄液のこぼれや臭いの漏れがなく、作業環境が良好で安全であった。また、従来法では、洗浄液の浴比がポリマーチップに対し3倍量のときでは、洗浄後の金属触媒の残存含有量が本発明方法より悪く、5倍量とした場合には本発明方法よりもよい反面、コストアップとなる。逆に、本発明方法は、5倍量としなくても、3倍量で済み、コストダウンが可能となることが判明した。
また、洗浄容器を回転させることが有効であり、従来法では、攪拌用プロペラの回転数を200rpmと高くしなければ洗浄後の金属触媒の残存含有量を安全な範囲にまで低減することができないが、本発明方法では100rpmでも十分であり、回転数が低くてもよいことが判明し、このことから、本発明方法の方がポリマーチップを洗浄中に損傷させることが少ないという利点があることも推定された。
以上説明したように、本発明によれば、ラクチドとε−カプロラクトンの共重合反応後のポリマーチップを、所定の割合の酢酸とイソプロパノール混合溶媒で洗浄する工程において、密閉可能な容器を用いることにより有機溶媒漏れ防止による作業の安全性を向上させ、恒温下にて円筒ドラム形状の洗浄容器を回転攪拌させることにより、ポリマーチップを工業規模で大量に洗浄してもその量によらず十分に攪拌させることができるので、金属触媒含有量を生体に対する安全水準(例えば、1ppm未満)まで低減可能な洗浄効果を確保することもできる。洗浄工程後、乾燥することにより得られる生体内分解吸収性ポリマーチップは、分子量の低下も少なく、従来のものと物理化学的特性においても遜色なく、しかも一般的な工業的方法により加工が出来ることから、特に医療用具原料(医療用インプラント等)として好適に利用できる。
【0020】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)は本発明のポリマーチップ洗浄容器の縦断側面図、(B)は洗浄液廃棄時用蓋部材の縦断側面図である。
【図2】本発明のポリマーチップ洗浄容器の分解斜視図である。
【図3】(A)(B)(C)は本発明の洗浄方法を実施する洗浄容器の攪拌付与手段の異なる実施形態の概略説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 洗浄容器
2 容器本体
3 洗浄時用蓋部材
3a 内蓋部材
3b 外蓋部材
4 洗浄液廃棄時用蓋部材
5 攪拌付与手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌付与手段に装着して洗浄を行うためのポリマーチップ洗浄容器であって、洗浄対象物となるポリマーチップ及びこのポリマーチップを洗浄するための洗浄液を収容する収容室を備え、該収容室に通じる開口部を有する容器本体と、該容器本体の開口部に着脱可能に取り付けられ、前記ポリマーチップの洗浄時、前記収容室を密閉するための洗浄時用蓋部材と、前記容器本体の開口部に着脱可能に取り付けられ、ポリマーチップの透過を阻止し、洗浄液の透過を許容するメッシュプレートを張設した洗浄液廃棄時用蓋部材とを備えていることを特徴とするポリマーチップ洗浄容器。
【請求項2】
前記容器本体の形状が円筒ドラム状であり、ポリマーチップの攪拌を効率よく行うために容器内壁にフィンや板等の攪拌助長部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のポリマーチップ洗浄容器。
【請求項3】
請求項1〜2の何れか1項に記載のポリマーチップ洗浄容器を使用し、この容器本体の収容室に、洗浄対象物となるポリマーチップと、このポリマーチップを洗浄するための洗浄液とを収容して外蓋部材で密閉した容器本体の外部から容器本体に回転及び/又は振動を加えることによりポリマーチップを洗浄液で攪拌洗浄することを特徴とするポリマーチップ洗浄方法。
【請求項4】
前記ポリマーチップは、金属触媒を含有する生体内分解吸収性ポリマーチップに適用され、前記洗浄液が前記金属触媒の含有量を低減する性能を備えたものが適用されることを特徴とする請求項3に記載のポリマーチップ洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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