説明

ポリマー溶融物からモノマーおよび他の揮発成分をストリッピングする方法

蒸発装置においてポリマー溶融物から揮発成分を蒸発させる方法に関し、水平方向に配置される蒸発装置は、内部に有孔ディスク(5)がハウジングされている円筒形ハウジング(10)を有し、該ディスクは、外部から駆動する中央軸(4)において回転して、蒸発すべき溶融物の表面を連続的に更新する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、蒸発装置を用いてポリマー溶融物から例えば溶媒またはモノマー等の揮発成分をストリッピング(または蒸発除去)する方法に関する。
【0002】
ポリマー溶融物からの揮発成分の除去は、一般には、ポリマーの製造における最終のプロセス工程の1つである。除去すべき揮発成分は、ポリマーの製造に用いられる溶媒または終結したエステル交換またはエステル化もしくは重合反応の後の未反応モノマーの残渣、およびエステル交換またはエステル化反応からの脱離生成物であってよい。
【0003】
本発明の目的に関し、揮発成分は、例えばモノマー(即ち、いくらかの出発物質)等の揮発性不純物、ならびに、例えば溶媒、低分子量の反応生成物、反応からの脱離生成物、反応の間に生成する破壊および分解生成物等の全ての種類の揮発成分、加えて、供給原料を介して導入されるいくらかの二次的化合物等を意味するものとする。残存モノマーに対して、低分子量の反応生成物とは、本明細書においては多くとも3の重縮合度を有する生成物を意味するものとする。
【0004】
そのような同時に生成する物質は、一般に、例えば熱安定性、プロセス可能性(または処理もしくは加工可能性)、流動挙動等の材料特性に欠陥をもたらすため、そのような成分の除去が必要でなる。また、そのような揮発成分は、望ましくない悪臭公害ももたらし、および/または健康にも有害である。
【0005】
揮発成分を除去すべきポリマー溶融物の粘度に依って種々な装置または方法が知られている。ポリマー溶融物に関するこの作業のための既知の装置は、例えば、薄膜蒸発装置または膜トルーダー(filmtruder)、ねじ切り盤(もしくはスクリューマシーン)、ストランド(もしくは螺旋状)蒸発装置または管状蒸発装置である。
【0006】
化学的手段による揮発成分の除去は、例えば、欧州特許公開公報(EP−A1)第0768337号に記載されている。除去は、CH酸性有機化合物の添加によって行う。残存モノマーの化学変換は、望ましくない周囲の影響による生成物を生成することがあり、実用化の際に生成物の使用を非常に複雑にする。該方法も、残存溶媒の除去に用いることができない。
【0007】
米国特許第4215024号による、不飽和脂肪酸を用いて残存モノマーを減少させる方法は、同様の欠点に悩まされている。
【0008】
他の既知の方法は、ドイツ特許公開公報(DE−A1)第2843292号に記載のように、電子ビーム放射を用いて成形する混合物を処理することによる残存モノマーの減少が記載されている。しかしながら、該方法は、全工業規模において費用がかかり過ぎる。また、欧州特許公開公報(EP−A1)第0798314号に記載されている、超臨界溶媒またはガスをポリマー溶融物に注入した後に減圧することによって残りの揮発性物質を除去する方法も、同程度に費用がかかることが分かっている。
【0009】
常套かつ有効な方法は、同様に機械的な補助システムによる揮発成分除去を基礎にしている。従って、例えば、米国特許第4423960号、ドイツ特許(DE−C2)第2721848号、欧州特許明細書(EP−B1)第0411510号または「Entgasen von Kunststoffen in mehrwelligen Schneckenmaschinen」、Kunststoffe71(1981)、第18〜26頁に記載の押出機、揮発成分を除去する遠心分離機(米国特許第4940472号)、摩擦圧縮(欧州特許公開公報(EP−A2)第0460450号)、または薄膜蒸発装置(ドイツ特許公開公報(DE−A1)第1925063号または欧州特許公開公報(EP−A1)第0267025号)を用いる。これらの方法は、数分のオーダーの短い滞留時間を通常は有する。
【0010】
全ての上述の機械的な補助による方法は、高い回転速度および回転数で動く重い可動部が装置に必要であるという欠点を示す。このことは、うまく機能せず、また摩擦する傾向にある費用のかかる装置または機械を結果としてもたらす。十分な脱気効果を得るには、生成物を頻繁に循環させる必要がある。短い滞留時間では、揮発成分の拡散係数および物理的平衡を好ましい値にシフトさせるために、一方では高温であることが必要である。また一方で、生成物を頻繁に循環させることが結果として高いエネルギー投入量をもたらすため、そのように高温にすることが避けられない。高温は、ポリマー中で望ましくない反応を強く促進および加速させることが当業者には明らかである。そのような反応は、例えば、変色ならびに/またはゲル粒子、粒子もしくは小片および分枝構造の形成、またはモノマーへの解離等の望ましくない質の低下をもたらす。力学的エネルギーは電気エネルギーから通常は生成し、これが結果として一次エネルギーの使用に比べてより高い費用をもたらす。そのような方法の典型的なエネルギー投入量は、生成物の0.05〜0.2kWh/kgのオーダーである。
【0011】
「静的な」脱気方法は、ポンプ(通常はギアポンプ)のみによって力学的エネルギーを導入し、当業者によく知られている。これらの静的方法は、必要に応じて添加物を含むポリマー溶融物を脱気容器に導入し、揮発成分を蒸発させてガス状態で取り除く方法で操作する。そのような方法は、しばしば複数の段階を有する。
【0012】
静的方法の一例はドイツ特許公開公報(DE−A1)第10031766号であり、スチレンコポリマーを脱気する二段階の連続方法が記載されており、第1段階において、揮発成分を蒸発および同時にエネルギーを投入しながら、シェルアンドチューブ式熱交換器においてポリマー濃度を99.8wt%より高く調製し、第2段階において、ストランド蒸発装置で中間体が過熱すること無く最終的な濃度を得る。
【0013】
ストランド蒸発装置は、キャビネット内で溶融物が急落するストランドを形成することによって、即ち、力学的エネルギーを供給することなく操作する。キャビネットにおいて、ストランドは、通常、高温で真空状態に曝される。そのような装置の高さは制限されるため、蒸発が起こり得る間の滞留時間も制限される。該方法の他の欠点は、ストランド蒸発装置で良好な脱気結果を得るために必要な非常に多数の穴(またはホール)にある。穴の直径は小さく、1桁のミリメートル範囲であるが、1時間につき数トンのスループットにおいては、穴は合計で数千〜10万に変動する。このことは不利である。穴が多数であると、小片および膨張した固体は、穴からの出口においてフローに対して閉塞および途絶をもたらし得るという恐れがある。最終的には、ストランド蒸発装置の効率はストランドの安定性に依存し、生成物のレオロジー、ストランド蒸発装置のガス空間におけるフロー条件、穴の形状および質ならびに温度に複雑にも依存する。従って、一定のプロセス条件を確立および制御するのは困難である。
【0014】
静的方法の他の例は米国特許第4699976号であり、ゴムを含むスチレンポリマーを脱気する二段階の連続方法が記載されている。この方法は、シェルアンドチューブ式熱交換器を備えた2の脱気段階を用いる。第1段階において、揮発成分の残存量が3%〜15%の間になるまでポリマー溶液を濃縮する。次いで、第2段階において蒸発を実施して所望の最終的な濃度を得る。この方法の間に管内で発泡が起こる。しかしながら、生成する気体の体積が不十分であるため揮発成分の濃度が低過ぎてポリマー溶融物が発泡しないとき、この方法を用いることができない。
【0015】
「Neue Mischverfahren mit geringem Energiebedarf fuer Polymerherstellung und aufbereitung」Chemische Industrie(1985)37(7)、第473〜476頁に静的方法が記載されており、最終段階の前に、生成物を最終段階で脱気容器に導入する前に同調剤(entraining agent)をポリマーに混合する。当業者には知られているように、用いられる同調剤は、例えば窒素もしくは二酸化炭素、または別法では水等の主として不活性ガスである。欧州特許公開公報(EP−A2)第0027700号において、水、窒素、二酸化炭素、または1〜4の炭素原子を有する炭化水素を含んで成る群からの不活性な同調剤をポリマー溶液と混合させて、チャンバーでフラッシングする。上述の両者の方法は欠点を有する。不活性ガスは、揮発成分を凝縮して真空系で運ばれる体積を増やす凝縮装置の性能を下げるため、プロセスの費用が増加する。水の使用は不利である、なぜなら凝縮装置の温度を0℃より高い温度に制限して凝固を防止する必要があるからであり、このことは凝縮システムの性能を制限し、また、より大きく、より高い費用の真空設備で埋め合わせしなければならない。水は、種々なポリマーと反応することができ、結果として分子量の低下および特性の損失をもたらす。
【0016】
残りの揮発物の濃度が熱力学的な平衡状態にあるときは、理想的な物質移動を伴い、また、十分な滞留時間の後、生成物はストリッピング装置において選択温度および圧力で気体と平衡状態にある、即ち、濃度が更なる変化を経験しない。例えば、解離、分解等の熱的プロセスに起因した化学的性質の変化は、この記載を厳しく制限することがあり、また、この定義で考慮されない場合がある。この定義は当業者にはよく知られている。装置での脱気が仮にも可能ならば、生成物中の残存揮発物の濃度は、熱力学的平衡状態に相当するよりも常に高くなければならない。脱気装置は、その出口において揮発成分の濃度が熱力学的平衡状態に可能な限り近いときに特に有利であり、濃度をこのレベルよりも下げるのは物理的に不可能である。
【0017】
上述の種類の静的方法は、各段階において、生成物を段階から再び排出する前に熱力学的平衡状態に近づけるために、唯一の脱気工程のみを許可し且つ可能にするという欠点を有する。脱気効率の理由から、個々の段階において例えば入力値に対して3倍でのみ揮発成分濃度を下げることができるが、脱気作業が入力値に対して20倍での減少を要求するとき、三段階の設備が必要とされる。明らかに、これは費用がかかり非常に複雑であるため、可能な限り避けるべきである。
【0018】
例外無しに、記載の装置は短い滞留時間を有する。当業者には知られているように、高温への暴露は、例えば変色および/もしくは二次的な分解反応に起因して粒子または小片を形成する等の望ましくない質の減損をもたらすため、生成物の高温への暴露を減らすために短い滞留時間の達成が試みられている。短い滞留時間は、生成物が、ストリッピング装置において(即ち、単位質量あたりの表面積が狭い、蒸発装置から排出する前に生成物を集める「排水だめ」においてではない)単位質量あたりで広い表面積を有する状態にのみ関係する。
【0019】
溶媒またはモノマーの残量を少なくするという目的を達成するために、既知の、機械的な補助による方法および装置において温度を上げて、一般に高いエネルギー投入量により激しい表面更新を達成させて、可能な限り短い滞留時間内でストリッピングを効果的に実施することができるように、最も良好な真空状態を達成する試みがなされている。短い滞留時間での操作を可能にするために、例えば温度、迅速な表面更新のための高い力学的エネルギー投入量、および真空状態等の有効パラメータを最大限可能な限り活用させる必要がある。パラメータの拡散および物質移動は非常に重要であり、生成物に特有の、温度に依存する物理的変数であり、この枠の中でのみ左右され得る。
【0020】
しかしながら、高い生成物温度の結果として、従来技術より既知の方法は、しばしば生成物の部分的な変化をもたらす。これらの変化として、例えば二次的な分解反応に起因した変色および粒子の形成を示すことがある。粒子または小片の形成は、必然的に濾別作用の増加を伴う。粘性のある生成物のための濾別ユニットは複雑であり、また、急な圧力勾配に起因して操作が困難である。しばしば温度を上昇させて、生成物の溶融粘度を下げ、圧力勾配を小さくする。しかしながら、温度上昇は、同様に生成物の質に不利な影響を与える。
【0021】
従って、従来技術に基づいて、従来技術に記載されている不利点を回避して、揮発成分のストリッピングおよび生成物の質に関して良好な結果をもたらす装置および方法を提供するという課題が生じた。
【0022】
驚くべきことに、水平方向(または横向き)に配置されている円筒形ハウジングにおいて有孔の環状ディスクを回転させる装置を用いる方法は、生成物温度を更に上昇させる必要がないこと、および揮発成分のストリッピングが比較的極端でない温度レベルで進行できるということを見出した。驚くべきことに、より長い滞留時間にもかかわらず、この装置で生成する生成物は良好な特性を示す。ポリマー溶融物を比較的長い間ストリッピング条件(温度および真空状態)に曝し、溶融物を装置の底部から連続的に取り出し、従って連続して新たな表面を形成し、真空に曝し、そして、ストリッピングされたポリマー溶融物と未だストリッピングされていないポリマー溶融物との再混合を回避することが、ストリッピングにおいて有利かつ効果的であるということも見出された。より長い滞留時間は、より低い温度を許容し、生成物に非常に優しい。異なるスループットにおいても、ロータ、即ち、有孔の環状ディスクの回転速度によって、溶融物の動きを外部から決定かつ制御できることが特に有利であるということも見出された。多くの他の装置において、スループットが変動すると、フロープロフィールおよび滞留時間、従って均一な結果のための前提条件が変化する。本発明の装置において、スループットの変動に起因した滞留時間の変化はストリッピング結果に常に影響を与えるが、充填レベルおよび回転速度を調整することによって容易に補正することができる。
【0023】
ストリッピング装置を用いる本発明の方法に特有の利点は、そのカスケード効果、長い滞留時間(従って、より低い温度にすることもできる)、膜がディスクから放出されるときの回転、その後の連続的な膜形成および膜の引き伸ばしに起因して連続的に更新される膜、本発明のストリッピング装置において可能である単位時間あたりの高いスループット、ならびに他のストリッピング設備においては発生するフロープロフィールからの独立である。カスケード効果とは、装置を介した入口から出口への流れの結果として、ディスクから放出される生成物をこの流れと共に出口に向かって運び、新たに流入する生成物と混合させないことを意味する。代わりに、溶融物は、部分的には平衡に既に近づいていて、ディスクによって再びピックアップされて再び脱気される。これが、結果として「カスケード効果」をもたらし、カラムまたは直列の攪拌槽型反応器における場合と同様に、装置が分割して数段階になると考察することもできる。カスケーディングに起因して、表面形成度は他のストリッピング設備に比べて非常に高い。溶融物をストリッピング装置に低い供給圧力で導入することが更に有利である;これらの圧力は、例えば、ストランド蒸発装置では、大多数のノズルおよび全ノズルにおいて均一な分布を得る必要性に起因して比較にならないほど大きい。他の利点は、低い回転速度に起因して力学的エネルギーの投入量が少ないことであり、高温および激しい剪断場に起因した生成物のひずみを排除する。モノマーが減少した溶融物の更なる処理を、更なる温度補正なしに、即ち、穏やかな条件下で実施することができ、例えば押出機または薄膜蒸発装置の下流で、過度の高温に起因した更なる処理操作のために溶融物を冷却する必要がない。
【0024】
装置の長い滞留時間および良好な表面更新は、概して、温度を上げることなく装置のストリッピング性能を得ることを可能にする。
【0025】
特に、この装置は、唯一段階のみで熱力学的平衡状態に近づくことができる静的装置の不利点を有さない。従って、同じ処理圧力において、この装置は、静的装置に比べて、残存揮発物の明らかにより少ない量を達成することができる。長い滞留時間の条件下、優れた生成物品質を得ることができるということは、当業者はこれまで予測することができなかった。
【0026】
驚くべきことに、重力の作用下、自由膜を連続的に形成し、そして高い膜形成度を有する装置を用いてポリマー溶融物から揮発成分をストリッピングする方法によって、課題を達成した。これは、外部から駆動するロータを収容している円筒形ハウジングを含んで成っていて、水平方向(または横向き)に配置されている蒸発装置によって達成する。ロータは、互いに接続している円環(または環状の輪)の形である有孔ディスクから成る。この接続は、中央軸から、例えば、真っ直ぐ若しくは斜めのプレートまたはチューブの形である外部の接続要素から、または有孔であり得る中空シャフト(本明細書においては、中空シリンダーとも称する)から成っていてよい。有孔の中空シャフトを有する態様が好ましい。
【0027】
本発明は、蒸発装置においてポリマー溶融物から揮発成分をストリッピングする方法であって、水平方向(または横向き)に配置される蒸発装置は円筒形ハウジングを含んで成り、ストリッピングすべき溶融物の連続的な表面更新を提供するために、中央軸において回転する有孔ディスクが配置されていることを特徴とする方法を提供する。
【0028】
有孔ディスクは、穴(ホール)の間の領域(またはウェブ:web)によって占められている面積に対する円環の全面積の比が2.2−6.5、好ましくは2.5−5であるようになっている、とりわけ有孔の円環である。式:
【数1】

に従って同等の穴径を選択するのが特に好ましい。同等の穴径Aは、ここでは、同じ面積を有する円の直径と定義する。無次元の数因子xは、0.002〜0.030の間、好ましくは0.004〜0.016の間の数であってよい。ηは、Pa・sにおける溶融物の動粘度である。
【0029】
穴は、様々な幾何学的形態をとることができる。穴は、周囲の金属面を一定の領域を有する幅(ウェブ幅)にさせる等辺の回転対称な多角形、および方形の形であるのが好ましい。
【0030】
環状ディスクの内側および外側エッジでは、エッジを環状にし得るように、これらの形から外れていてよい。高い粘度では、同じ穴径は大き過ぎるため、必要に応じて中央の環によって更に分割させて、内側および外側エッジの間に小片を与える必要がある。従って、これらの穴の境界は、小片と小片セクションと円環セクションである。
【0031】
脱気のために、有孔ディスクの穴の寸法および形を同じにすることが有利である。蒸発装置の全ての有孔ディスクについて、穴の形および寸法に関して同じにすることが更に有利である。
【0032】
穴を取り囲む全ての金属面またはウェブは、好適には正方形または長方形の断面を有する。ウェブ幅の選択は、円環ディスクが溶融物から現れる(または浮かび上がる)ときに溶融物が占める面積の、周囲の穴に対する比を、溶融物の粘度および溶融物の他の性質に応じて最適に調整することを可能にする。円環ディスクの場合には、穴を取り囲む全ての金属面またはウェブを断面的に一定かつ同じ寸法になるように選択することが好ましいことが証明されている。
【0033】
そのような装置への電力投入量は非常に少なく、0.01kWh/kgのオーダーであってよい。従って、この装置において生成物が曝される温度の上昇はわずかである。しかしながら、熱移動に利用することができる装置の内面がスループットの割に非常に広いため、壁の温度を用いて生成物を加熱または必要に応じて冷却することもできる。
【0034】
ロータの回転速度は、好適には1分につき0.3〜10回転の間、好ましくは1分につき0.5〜5回転の間、特に好ましくは1分につき0.8〜3回転の間である。このとき、膜形成度は5より大きく、好ましくは10より大きい。これは、反応器のスループットの全体量に対する回転ディスクによって引き上げられて自由膜の形で戻る材料の量の比として定義される。
【0035】
本発明に従って、上述の要求に対応する記載の装置は様々な形態をとることができる。
【0036】
本発明の方法を実施するのに好ましい装置は、「Polymerisieren im Ringscheibenreaktor」、Kunststoffe82(1992)1、第17〜20頁にVSRという名で記載されている。ここで、ロータは、2つ(図2)から4つ(図3および4)の小片を介して中央軸に接続されている種々なホイールから成っている。
【0037】
本発明に従って、ポリマー溶融物から揮発成分をストリッピングする1の特に好ましい装置は、攪拌機を有し水平方向に配置されている円筒形容器であり、ドイツ特許(DE−C2)第4447422号(Karl Fischer Industrieanlagen GmbH)第1段落63行から第7段落39行までに記載されている。
【0038】
ロータの外径は、蒸発装置の円筒形ハウジング(本明細書では、外側シリンダーとも称される)内に適合するように好ましくは選択し、外側シリンダーの直径に対する長さの比は、好ましくは0.6〜2.5の間、特に好ましくは0.8〜2の間である。
【0039】
ロータを外側シリンダーにおいて偏心的に配置することも有利であり、生成する蒸気を装置の上部において拡大スロットを介して排出することができる。この措置は、ポリマー粒子の蒸気ラインおよび真空設備内への取り込みにおいて重大な減少をもたらす。
【0040】
特に好ましい態様に特有の利点は、有孔ディスクを支える中空シャフトの極度に堅い構造および形である。中空シャフトにはオリフィスまたは穴が備えられており、生成する蒸気が妨害を受けないで流れ出ることができるようになっている。ロータが取り付けられている様式は、底部領域および蒸気領域での異なる温度での反応器の操作を可能にする。さらに、設計は、ロータがディスクの間で突出するステーターとの結合によって回転するとき、比較的高い粘度の溶融物の取り込みを制限することができる。特に、比較的高い粘度の溶融物の場合、この措置は、ディスクでの溶融物体積に対する溶融物の表面積の比を最適化する。
【0041】
しかしながら、ドイツ特許(DE−C2)第4447422号に記載されているポリマー溶融物のストリッピング装置の最適かつ非常に好ましい使用のために、ドイツ特許(DE−C2)第4447422号に記載されている設計に更なる改良を加えることが更に便利である。
【0042】
溶融物の粘度が過度に低く、典型的には20Pa・sより低いとき、回転する環状ディスクの湿りが不十分であるということが起こり得る。これに関連して、環状ディスクの外側周囲にリフティング要素を配置するのが有利であることが証明されていて、リフティング要素が上昇するとき、環状ディスクを溶融物で連続的にリンスすることができるようになっている。
【0043】
典型的には200Pa・sより高い比較的高粘度のポリマー溶融物をストリッピングするとき、回転する環状ディスクによって過剰量の生成物をリフティングすることは、結果として望ましくない状態、例えば膜形成の途絶等を引き起こし得る。この現象を防ぐ方法は、ドイツ特許(DE−C2)第4447422号に比べて改良されており、底部充填レベルにおいてステーターに水平のドクターバーを与えることである。従って、ロータの回転方向においてバーの後ろへのいずれの溶融物の凝集も回避する。これらのバーはハウジングに直接取り付けられていてよく、または、蒸発装置の壁に同様に固定されているオプションとしての追加のバーによって支持されていてよい。ドクターバーおよび/または支持バーは、ここでは、ドイツ特許(DE−C2)第4447422号に記載のように、材料の輸送を促進させるように設計されていてよい。このことは、蒸発装置の外への溶融物の輸送を援助するのに特に重要かつ有利である。
【0044】
円筒形蒸発装置の下にある溶融物または底部領域と異なる蒸気またはガス領域を加熱することが有利であり得る。従って、上部のガス領域を、その下の溶融物領域より低いレベル、即ち、5〜20℃低い温度まで加熱することが有利である。蒸発装置のガス領域において壁のいずれのポリマー膜も長い滞留時間を有し、また、より低い温度に起因してより少ないダメージを受ける。この措置は、蒸発装置の運転時間がより長いこと、砕けた生成物に起因した小片の形成が減少すること、および最終生成物の色がより良好であることを保証する。
【0045】
異なるポリマーには異なる脱気プロセス温度を選択する必要がある。これらは、処理すべきポリマーの熱安定性に実質的に依存する。また、他の極めて重要なファクターは、ストリッピングすべき成分の所望の残存量である。圧力は0.01〜15ミリバールの間、好ましくは0.05〜10ミリバールの間で調整し、平均滞留時間は合計で10〜240分、好ましくは15〜180分、特に好ましくは20〜60分の間である。
【0046】
蒸発装置内に導入されるポリマー溶融物の温度は、蒸発装置の所望の操作温度(常套的には合計で200〜350Kである)よりもかなり、即ち、20〜50℃のオーダーで低く、溶融物を導入前にポリマー溶融物に適した熱交換器で加熱することが有利であり得る。このようにして、蒸発装置における加熱媒体と生成物との間の温度差を少なくして、生成物の壁でのダメージを回避することができる。
【0047】
生成物領域内での直接的な減圧が蒸発装置の流入端で起こるように、自動圧力制御によってバルブを介して蒸発装置内に生成物を好ましくは導入する。ごく周辺の高い熱ポテンシャルに起因して、例えば、結晶の性質を有する粒子の内容物に関して不利であり得る冷却効果を回避する。この目的のために、生成物入口バルブは反応器の例えば端面に配置されている。
【0048】
蒸発装置の頂部に配置されている蒸気出口をロータの回転方向において垂線に対して15°〜60°で補正することが有利であり、溶融物の還流を減らす。
【0049】
また、本発明は、水平方向(または横向き)に配置されている円筒形ハウジング、および中央軸に配置されている環状の有孔ディスクを含むロータを含んで成る蒸発装置も提供し、円筒形ハウジングの直径に対する長さの比は、0.6〜2.5の間である。
【0050】
本発明で用いる蒸発装置の生産および製造には、生成物に直接ダメージをもたらさないいずれの常套の材料を用いることもできる。ポリカーボネートの処理に特に適している材料は、例えば、1.4571または1.4541等(スチール分類2001、出版社:Stahlschluessel Wegst GmbH、Th−Heuss−Strasse36、D−71672 Marbach)のCrNi(Mo)タイプの錆びていないスチール、および、例えば、2.4605または2.4610等(スチール分類2001、出版社:Stahlschluessel Wegst GmbH、Th−Heuss−Strasse36、D−71672 Marbach)のタイプCのNiベース合金である。錆びていないスチールは最大でも約290℃の処理温度で使用し、Niベースの合金は約290℃よりも高い処理温度で使用する。スチレンポリマー、および例えばアクリロニトリルを含んで成るスチレンコポリマーを処理するとき、例えば、DINには1.4571またはASMEには316SSのように、化学的用途に特有のステンレススチールが生成物の質にとって有利である。
【0051】
本発明の方法に用いる装置を図1に模式的に示し、以下に説明する:ポリマー溶融物は、ハウジング10の生成物入口1を経て、制御バルブを有するパイプを用いて蒸発装置の端面に導入する。円筒形蒸発装置のハウジング10の下側において、生成物入口1の反対側でギアポンプを用いることによって、溶融物からの生成物の出口2を機能させる。蒸発した揮発成分は、蒸気ポート3を介して頂部で蒸発装置から取り除く。環状ディスク5が取り付けられているロータは、軸4によって回転するようにセットされている。環状ディスク5は、中空シャフト9を介して共に接続されている。円筒形ハウジング10の内壁8に固定されているステーター6は、環状ディスク5にポリマー溶融物を広げ、高い粘度において環状ディスク5の間に橋がかかることを防止する。底部の高さはオーバーフロー堰によって調整し、該オーバーフロー堰は、開口部を有さない又は有する例えば金属シート7であってよい。図1に示す態様において、中央軸は、外側シリンダー、即ち蒸発装置ハウジングに主に配置されている。
【0052】
必要な真空状態は、システムまたは方法に特有の物質を用いて理想的に操作するジェットまたは蒸気ポンプを用いて好ましくは発生させる。しかしながら、一般的な常套の液封ポンプとルーツ真空ポンプとを組み合わせて用いて真空状態を発生させることもできる。方法からの物質を用いて液封ポンプを操作することが有利である。
【0053】
ポリマー溶融物から揮発成分を除去する本発明の方法は、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、およびこれらのポリマーのブレンド等のエンジニアリング熱可塑性プラスチック、特に好ましくはポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、およびこれらのポリマーのブレンド、非常に特に好ましくはポリカーボネートの溶融物に特に適している。
【0054】
本発明の方法は、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンおよびアクリルモノマーのコポリマー(例えば、アクリルニトリルおよび/またはメチルメタクリレート等)ならびにこれらのポリマーのブレンド等のエンジニアリング熱可塑性プラスチック、特に好ましくはポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、スチレンおよびアクリルモノマーのコポリマー、ならびにこれらのポリマーのブレンド、非常に特に好ましくはポリカーボネート等のポリマーの例えば製造方法に用いることができる。
【0055】
本発明の方法を用いてストリッピングされるポリマー溶融物は、様々な方法、例えば、2相の界面縮合反応、溶融エステル交換反応、固相縮合反応、懸濁重合反応、バルク重合反応等から生じてよく、または、現存のポリマー材料を溶融することによって生成してもよい。そのような方法は従来技術からよく知られている。ポリマー生成方法、用いる設備または実施する製造方法に関しての制限または規定は存在していない。
【0056】
ストリッピングされるポリマー溶融物は、本発明によってストリッピングされる前に抑制剤と混合してよい。抑制剤は、化学反応速度論において決定的な抑制効果を与えるいずれの化合物をも意味するものとし、ポリマーの質が落ちる変化を回避する。抑制剤の添加は、例えば、反応が完了した後にも依然としてモノマーおよび反応生成物を含んでいるポリマーを生成した後に必要であり、熱的プロセスによる低分子化合物の含有量を減らす。
【0057】
エステル交換方法によって製造されるポリカーボネートに適する抑制剤は、例えば、ルイスもしくはブレンステッド酸等の酸性成分または強酸のエステル等である。酸のpKa値は5を超えず、好ましくは3未満である必要がある。酸性成分またはそのエステルを加えて反応混合物を失活させる、換言すると、理想的には完全に停止するまで反応させる。
【0058】
適当な酸性成分の例として、オルトリン酸、亜リン酸、ピロリン酸、次リン酸、ポリリン酸、ベンゼンホスホン酸、リン酸二水素ナトリウム、ホウ酸、アリールボロン酸、塩酸(塩化水素)、硫酸、アスコルビン酸、シュウ酸、安息香酸、サリチル酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸および他の芳香族置換のベンゼンスルホン酸、硝酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ステアリン酸および他の脂肪酸、例えばクロロギ酸フェニル、ステアリン酸クロライド、アセトキシ−BP−A、ベンゾイルクロライド等の酸塩化物、例えばトルエンスルホン酸エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸ジメチル、ホウ酸エステル、アリールボロン酸エステル等の上述の酸のエステル、半エステルおよび架橋エステル、ならびに、例えば、トリ−イソオクチルホスフィン、Ultranox640およびBDP(ビスフェノールジホスフェートオリゴマー)等の水に曝して酸を発生させる他の化合物が挙げられる。
【0059】
本発明において好適であるとされ得る化合物は、オルトリン酸、亜リン酸、ピロリン酸、次リン酸、ポリリン酸、ベンゼンホスホン酸、リン酸二水素ナトリウム、ホウ酸、アリールボロン酸、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸および他の芳香族置換のベンゼンスルホン酸、例えばクロロギ酸フェニル、ステアリン酸クロライド、アセトキシ−BP−A、ベンゾイルクロライド等の酸塩化物、例えばトルエンスルホン酸エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホウ酸エステル、アリールボロン酸エステル等の、上述の酸のエステル、半エステルおよび架橋エステル、ならびに、例えばトリ−イソオクチルホスフィン、Ultranox640およびBDP等の水に曝して酸を発生させる他の化合物である。
【0060】
特に好適であるとされ得る化合物は、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ベンゼンホスホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸および他の芳香族置換のベンゼンスルホン酸、例えばトルエンスルホン酸エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル等の上述の酸のエステル、半エステルおよび架橋エステル、ならびに、例えばトリ−イソオクチルホスフィン、Ultranox640およびBDP等の水に曝して酸を発生させる他の化合物である。
【0061】
非常に特に好適であるとされ得る化合物は、オルトリン酸、ピロリン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸および他の芳香族置換のベンゼンスルホン酸、例えばトルエンスルホン酸エステルおよびリン酸エステル等の上述の酸のエステル、半エステルおよび架橋エステルである。
【0062】
酸性成分を固体、液体またはガス状の形態で配分してよい。好ましい方法において、酸性成分を例えば生成過程においてモノマーを直接除去すべき生成物ストリームと連続して均一に混合して、所望の最終的な分子量に達した後すぐに残存モノマーの蒸発を始める。特に好ましい方法において、ストリッピングに不可欠な真空状態では揮発性であるためポリマー中で必要な濃度を確立するのが困難である添加剤をしばしば用いるため、個々の生成物の特性を改善するための添加物の混合を酸の配分およびストリッピングより下流で実施し、また、ストリッピング工程を伴わない。
【0063】
酸性成分を好ましくは液体で添加する。配分すべき量が非常に少ないため、酸性成分の溶液を好ましくは用いる。
【0064】
適切な溶媒は、方法を中断せず、化学的に不活性であり、また迅速に蒸発する溶媒である。
【0065】
生成するポリマーの特性を、常套の添加剤および添加物質(例えば、助剤および補強材)によって変えることができる。添加剤および添加物質を添加する目的は、耐用年数を延ばすこと(例えば、加水分解または分解安定剤)、色調安定性を改善すること(例えば、熱およびUV安定剤)、処理を簡素化すること(例えば、離型剤、流れ補助剤)、利用特性を改善すること(例えば、静電防止剤)、難燃性を改善すること、外観に影響を与えること(例えば、有機着色剤、顔料)、または特定のストレスに対してポリマーの特性を適応させること(衝撃改質剤、細かく分割された無機物、繊維性材料、シリカ粉末、ガラスファイバおよびカーボンファイバ)である。これらを全て任意で組み合わせて、所望の特性を確立および達成することができる。そのような添加物質および添加剤は、例えば、「Plastics Additives」R.Gaechter and H.Mueller,Hanser Publishers1983、Additives for Plastics Handbook,John Murphy,Elsevier,Oxford 1999において、または、Plastics Handbook Hans Zweifel,Hanser,Munich2001に記載されている。
【0066】
これらの添加剤および添加物質をポリマー溶融物に個々に、またはいずれかの所望の混合物に、または2もしくはそれより多くの異なる混合物に添加してよく、詳細にはポリマーの分離の際に直接的に、または別法では「混合」工程でペレット化物質を溶融した後に添加してよい。
【0067】
このとき、添加剤および添加物質またはこれらの混合物を固体として、即ち粉体として、または溶融物として、同様に適当な溶媒の溶液の形でポリマー溶融物に添加してよい。他の配分方法は、マスターバッチ、または添加剤もしくは添加剤混合物のマスターバッチからの混合物を用いることである。
【0068】
これらの物質を、既知の配分ユニットを用いて最終的なポリマーに好ましくは添加するが、必要に応じてポリマー生成方法の他の段階で添加することもできる。ポリマーとの混合は、この目的のために、例えばスクリューマシーンまたはスタティックミキサー等の既知の装置で進行することができる。
【実施例】
【0069】
記載の分析的特性の決定:
相対粘度
相対粘度は、溶媒の粘度および該溶媒に溶解するポリマーの粘度の商として算定する。5g/リットルの濃度の溶液で25℃のジクロロメタン中で測定する。
残存モノマー量
残存モノマー量は、ジクロロメタンにサンプルを溶解し、次いでアセトン/メタノールを用いてこれを沈澱させることによって算定する。沈澱したポリマーを分離したら、濾液を蒸発させる。0.04%リン酸/アセトニトリル移動溶媒勾配で逆相クロマトグラフィによって残存モノマーの量を計る。UV手段によって検出する。
YI:
ASTM E313により厚さ4mmの射出成形したサンプルのYI値を測定する。射出成形温度は300℃である。
【0070】
エステル交換法によって製造した同じポリカーボネートを全ての実施例で用いる。データは表1に示す。ストリッピング効果を達成および比較することができるように、ポリカーボネートペレットを使用の前に多量の1%リン酸によってスプレーし、タンブル乾燥機において室温で均一化して、ポリカーボネートに対する100%のリン酸の濃度は5ppmであるようにする。
全ての実施例において同様に、ペレットを溶融押出機(モデルZSK32MC、Coperion Werner&Pfleiderer)において50kg/hの速さで290℃で溶融し、その後ストリッピング装置内に直接導入した。
【0071】
実施例1
ロータ直径620mmおよび0.8の長さに対するロータ直径の比を有し、290℃および1ミリバール(絶対)において1分あたり1.3回転の回転速度で操作するドイツ特許公報第4447422号によるデバイスに、溶融押出機で製造した溶融物を供給した。平均滞留時間が20分となるように充填レベルを調整した。ギアポンプを用いてノズルを介して溶融物を排出し、ブリッスル(または毛)の形にし、冷却してペレット化した。得られたデータは表1に示す。
【0072】
比較例1
ロータ直径620mmおよび3の長さに対するロータ直径の比を有するドイツ特許公報第4447422号による装置を用いること以外は、実施例1と同様であった。回転速度、圧力および温度は実施例1と同様であるが、平均滞留時間は90分であった。
【0073】
比較例2
スクリュー直径40mmおよび1.55のスクリュー谷径に対する外径の比を有するWerner&Pleiderer製のモデルZSK40脱気スクリューマシーンに、溶融押出機で製造した溶融物を運んだ。脱気スクリューマシーンは300℃の壁温度で操作し、2つの脱気領域を有した。第1脱気領域を大気圧で操作した。溶融物の量に対して0.25質量%の窒素を第2脱気領域の前で配分した。第2脱気領域の圧力は2ミリバール(絶対)であった。ノズルを介して溶融物を排出し、複数のストランドの形にし、冷却してペレット化した。得られたデータを表1に示す。
【0074】
比較例3
290℃まで加熱し、1ミリバール(絶対)の真空状態にあるストランド蒸発装置に、溶融押出機で製造した溶融物を通した。このとき、各直径が3mmである150のボア(穴)を有するスピナレットプレートを用いて溶融物をストランドに再分し、ストランドはキャビネット内で3m自由落下した。溶融物を底部で合体させ、ギアポンプによってノズルを介して排出して複数のストランドの形にし、冷却してペレット化した。得られたデータを表1に示す。
【0075】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、本発明の方法に用いる装置を模式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発装置においてポリマー溶融物から揮発成分をストリッピングする方法であって、水平方向に配置される蒸発装置は円筒形ハウジング(10)を含んで成り、ストリッピングすべき溶融物の連続的な表面更新をもたらすために、回転する有孔ディスク(5)が外部から駆動する中央軸(4)に配置されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
円筒形蒸発装置のハウジング(10)の直径に対する長さの比が、0.6〜2.5の間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有孔ディスク(5)の穴の穴寸法が同じであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
環状ディスク要素(5)の穴寸法は、以下の式:
【数1】

(式中、xは2×10−3〜3×10−2の間、好ましくは4×10−3〜1.6×10−2の間の数である)
によって定められていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
用いる有孔ディスクは、有孔の中空シャフトに取り付けられている環状ディスクであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
円環ディスク(5)は、穴の間の領域によって占められている面積に対する円環の全面積の比が2.2〜6.5、好ましくは2.5〜5の間であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
円環ディスクの穴を取り囲む金属面は、ディスクごとに一定の寸法を有する正方形または長方形断面を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ステーター(6)は、水平方向のクロスバーを必要に応じて有し、環状ディスク(5)の間で蒸発装置の円筒形ハウジング(10)の内壁に備えられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
水平方向に配置されている円筒形ハウジング(10)、中央軸(4)に配置されている環状の有孔ディスク(5)を含むロータを含んで成っていて、円筒形ハウジング(10)の直径に対する長さの比が0.6〜2.5の間である蒸発装置。
【請求項10】
有孔ディスク(5)が、水平方向に配置されている有孔の中空シリンダー(9)に接続されていることを特徴とする、請求項9に記載の蒸発装置。

【図1】
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【公表番号】特表2007−513228(P2007−513228A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541844(P2006−541844)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013319
【国際公開番号】WO2005/054308
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】