説明

ポリマー粒子を製造するための方法及びプラント

【課題】未知含量の液体発泡剤を有するポリマー粒子を発泡又は発泡性ポリマー粒子の製造に使用することが出来るように、従来の方法を改良することであり、更に、発泡性ポリマー粒子の製造用実証プラントを、使用済みポリマーの少なくとも一部が、調整できる液体発泡剤含量に加えて添加剤をも有する循環ポリマーとして添加される様に、応用する方法を提供する。
【解決手段】ポリマー溶融体及び循環ポリマー溶融体から発泡又は発泡性ポリマー粒子を製造する方法において、該循環ポリマー溶融体の少なくとも一部を再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子から製造する。発泡又は発泡性ポリマー粒子を製造するための関連プラントにおいて、再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子を処理するための装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡又は発泡性ポリマー粒子を製造するための方法及びプラントにも関する。本発明は又、発泡又は発泡性ポリマー粒子を製造するためのプラントにも関する。
【背景技術】
【0002】
発泡又は発泡性ポリマー粒子を製造するための方法又は設備は、EP−A−0 668 139から知られている。この方法に従うと、流動性液体発泡剤(技術的には膨張剤又は起泡剤とも言われる)は、ポリマー溶融体に分散される。該分散は、静的混合エレメントにより該溶融体の高せん断及び液体発泡剤の微細小滴の形成を伴って行われる。該混合物は更なる静的混合エレメントによる次の方法工程で小さなせん断に曝され、該液体発泡剤は該溶融体に溶解する。その後該混合物の冷却が起こり、その後で該混合物はノズルを通して押出されるので、ノズルを辿って急激に冷却されるストランドが形成される。これにより、該液体発泡剤が該ストランド中で発泡過程を開始することが防がれる。該ストランドは造粒機により粒質物形状に微粉砕される。この方法により製造された粒質物は、かくして既知量の流動性液体発泡剤を含有するので、発泡又は発泡性ポリマー粒子である。該液体発泡剤は貯蔵期間の間に該ポリマー粒子から外へ拡散する。かくして、該粒質物の比較的長い貯蔵期間後、該ポリマー粒子の各々は不均一な残留量の流動性液体発泡剤を含有し、そのために該粒質物を発泡ポリマー物品へと更に処理するための規格は最早満足することが出来ない。この種の粒質物は、流動性液体発泡剤の残留量を計算することが出来ないので、今まで再生処理することが出来なかった。
【0003】
懸濁方法による、例えばEPS(発泡スチロール)のような発泡性ポリマー粒子の製造における一つの問題は、規格を満足しない製品部分、所謂「規格外」製品部分の発生である。該方法パラメーターによって、例えば粒径のために使用出来ないこの製品部分は、懸濁方法により製造された製品の5%〜20%に達し得る。原則として、これらの規格外製品部分は篩い分けにより分離され熱的に処分されるが、これは全操作手順の経済に対して明らかに否定的な影響を有する。
【0004】
液体発泡剤を含有するポリマー粒子の限られた貯蔵性は、懸濁方法による発泡性ポリマー粒子の製造において存在する更なる問題である。余りにも長く貯蔵されたポリマー粒子は貯蔵中上述の拡散過程により液体発泡剤を連続的に失い、貯蔵後の製品は少な過ぎる液体発泡剤しか含有していないので、大量の最早販売できない製品がもたらされる。
【0005】
発泡ポリマー粒子への更なる処理のための規格を最早満足しない製品部分の再生処理は、懸濁方法では該方法特性により可能ではなく、押出に基づいた今迄に記述された方法(WO03106544 A2)では量的にやはりほんの少ししか可能ではない。一つの問題は、かかる製品部分の粒子におけるしばしば不均一な残留量の液体発泡剤である。
【0006】
循環ポリマーの処理方法はEP0638017 B1から知られている。この循環ポリマーは、例えば発泡ポリスチレンのような所謂ガス補給プラスチック材料から生じる。関連プラントにおいて、前もって微粉砕され粒状化され押し固められた循環ポリマーは、溶融され濾過され脱気されそして液体発泡剤ガスとの混合により再びガス補給される。該再ガス補給は該脱気プラスチック材料に対して粒状化工程前にガス状の液体発泡剤を用いて行われる。該発泡剤は、混合機より前又はその中で、溶融体ポンプに従って進行する脱気循環ポリマー溶融体に供給される。このような方法で、時間単位当り溶融体ポンプにより運搬されるプラスチック材料の量は監視することが出来、プラスチック材料の運搬量に対応して発泡剤を計量して添加供給することが出来る。該液体発泡剤ガスの対応計量にとっては、時間単位当りプラスチック材料中に導入される液体発泡剤ガスの体積及び時間単位当り混合中に処理される混合体積をガス補給の時間単位当り供給されるプラスチック材料の体積に比例して調節することが必要である。EP0638017に従うプラントは、従来技術と比較してプラント構成装置の数を減らして循環ポリマーを処理する可能性を確かに提案しているが、該制御に関してはそれに対応してより複雑である。これらの不利点に対抗し、該プラントをより一般的なやり方で使用出来るようにし、更にポリマー溶融体に加えて液体発泡剤含有循環ポリマーをもこのプラントで処理し、同時に添加剤を親練の様式で混合するために、該方法は、しかしながら、該制御に更なる投資をしてしか使用することが出来ないのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、所望の規格に従う粒径分布を有する発泡性ポリマー粒子の新たな製造のために、液体発泡剤を装填したポリマー粒子をそれらの粒径及び形状に関係なく再処理する方法に関する。本発明方法という意味で液体発泡剤が装填されて、本発明は、更なる処理可能な予備発泡処理をまだ受けていないぎっしり詰まったポリマー粒子に関し、それらの液体発泡剤部分は約0.1〜10重量パーセントに達する。再生処理すべきこれらの粒子は、例えば懸濁重合からの規格外製品部分であるか、又は、余りにも長く貯蔵された液体発泡剤含有ポリマー粒子であって、該液体発泡剤のかなりの部分が外へ拡散し、従って最早売買したり又は工業的に使用することが出来ない該液体発泡剤含有ポリマー粒子であり得る。
【0008】
本発明の目的は、未知含量の液体発泡剤を有するポリマー粒子を発泡又は発泡性ポリマー粒子の製造に使用することが出来るように、前述の方法を改良することである。更に、本発明の目的は、発泡性ポリマー粒子、特にEPS(発泡スチロール)粒子の製造用実証プラントを、使用済みポリマーの少なくとも一部が、調整できる液体発泡剤含量に加えて添加剤をも有する循環ポリマーとして添加される様に、応用することである。これらの添加剤は予め脱気された循環ポリマーに添加されそれと混合され、従って添加剤含有循環ポリマーが側流として得られ、それが親練りの原理によりポリマー溶融体に供給される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、関連プラントにおいて以下で明確にされる方法により満足される。かくして、この方法を使用して、所望の規格を満たす発泡又は発泡性ポリマー粒子が得られる。
【0010】
ポリマー溶融体及び循環ポリマー溶融体から発泡又は発泡性ポリマー粒子を製造する方法において、該循環ポリマー溶融体の少なくとも一部が再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子から製造される。
【0011】
本方法に従って、該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子は、押出機、特に二軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機中で、循環ポリマー溶融体へと溶融される。該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子に含有された液体発泡剤は、必要なら、脱気装置中で該循環ポリマー溶融体から除去される。少なくとも一種の添加剤(例えば、火炎防護剤、成核剤、軟化剤、紫外線防護剤、又は殺虫剤、液体発泡剤、潤滑剤、顔料、黒鉛又はカーボンブラック粒子、金属粒子、又はこれらの列挙した物質の混合物)が液体状又は固体状又は親練り状で該脱気装置の下流において該循環ポリマー溶融体に計量された形で添加される。これは、該添加剤の単独又は混合物を直接に、即ち、純粋な又は濃縮された形で使用することが出来、大量の親練を使用することなく、そうすることが出来るという利点を有する。親練りは原則として非常に高価であるので、本方法はこの様にして相当により経済的となる。該添加剤を該循環ポリマー溶融体中に導入することにより、所謂自己親練を循環物質に基づいて「その場で」製造することが出来る。
【0012】
該ポリマー溶融体は、反応器及び脱気装置を含む重合プラント中で直接に、又は溶融装置中でポリマー粒質物を溶融することにより製造される。該ポリマー溶融体に流動性液体発泡剤を装填して、液体発泡剤含有ポリマー溶融体が得られる様にし、該液体発泡剤は次の混合装置中で分散され均質化される。該液体発泡剤含有ポリマー溶融体の冷却は冷却装置中で起こる。該液体発泡剤含有ポリマー溶融体及び該添加剤含有循環ポリマー溶融体は、次の混合装置中で混合分散され均質化される。
【0013】
該液体発泡剤含有ポリマー溶融体及び該循環ポリマー溶融体は、造粒機、特に水中造粒機により行われる粒状化工程で、一緒に処理されて発泡又は発泡性ポリマー粒子となる。該粒状化装置により主として球状又は楕円体粒子が製造される。
【0014】
発泡又は発泡性ポリマー粒子の製造用プラントには、再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子を処理するための手段が設けられている。該手段は、該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子から循環ポリマー溶融体を製造するための加熱手段を含有する押出機を含む。該循環ポリマー溶融体を脱気するための脱気装置が設けられている。本質的に均質な循環ポリマー溶融体が得られるように該循環ポリマー溶融体を充分に混合するための混合装置が設けられている。該押出機は側方押出機として設計されている。該循環ポリマー溶融体に少なくとも1種の添加剤(例えば、火炎防護剤、成核剤、軟化剤、紫外線防護剤、又は殺虫剤、液体発泡剤、潤滑剤、顔料、黒鉛又はカーボンブラック粒子、金属粒子、又はこれらの列挙した物質の混合物)を混合するための計量装置が設けられている。該プラントはポリマー溶融体を製造するための重合プラントを含み、該重合プラントは反応器及び脱気装置を有するか、又はポリマー粒質物の溶融によりポリマー溶融体を製造するための溶融装置を有する。該重合プラント又は該溶融装置の下流に液体発泡剤を計量するために供給装置及び又混合装置及び(又は)冷却装置が設けられており、該混合装置は静的混合機を含有し、該冷却装置は静的混合機/熱交換機を含有している。静的混合機/熱交換機は、基本的に通常の管束熱交換機と同様な方法で構成される装置であり、その設置された要素はしかしながら冷却媒体の増加した混合効果を有する。これは、例えば、冷却媒体を含有する管の設計及び配置により、又は更なる金属シートせき板により達成することが出来る。かかる混合機/熱交換機の典型的代表は、例えば、特許明細書、EP1067352B1、EP0009638及びEP1268026に記載されている。
【0015】
該添加剤含有循環ポリマー溶融体及び該液体発泡剤含有ポリマー溶融体を運び込み通り抜けながら一緒に混合することが出来る、混合装置及び(又は)冷却装置が設けられている。該混合装置は静的混合機を含有し、該冷却装置は静的混合機/熱交換機を含有している。
【0016】
上記方法によって得られる発泡又は発泡性ポリマー粒子は、再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子からの循環ポリマー溶融体及び液体発泡剤含有ポリマー溶融体の混合物を含み、循環ポリマー溶融体の割合は0.5%と100%の間に在る。該循環ポリマー溶融体は典型的な液体発泡剤含有ポリマーから成る。該循環ポリマー溶融体及び(又は)該液体発泡剤含有ポリマー溶融体は添加剤を含有する。該添加剤は火炎防護剤、潤滑剤、成核剤、軟化剤、紫外線防護剤、殺虫剤、顔料及び(又は)黒鉛及び(又は)カーボンブラック粒子及び(又は)金属粒子、親練り、又はこれらの列挙した物質の混合物を含む。
【0017】
〔発明の詳細な説明〕
図面の助けを借りて本発明を以下に説明する。以下の方法は、図1に概略的に図示された本発明に従うプラントを用いて行われる。
【0018】
ポリマー溶融体11及び循環ポリマー溶融体12から発泡又は発泡性ポリマー粒子10を製造する方法において、該循環ポリマー溶融体12の少なくとも一部が再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5から製造される。該方法工程を行うために、再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5の処理手段が設けられている。本方法の有利な順序に従って、該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5は、押出機6、特に二軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機中で、該循環ポリマー溶融体12へと溶融される。該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子に含有された液体発泡剤は、必要なら、脱気装置13中で該循環ポリマー溶融体から除去される。添加剤14が、液体状又は固体状又は親練り状で該脱気装置13の下流において該循環ポリマー溶融体12に計量添加される。
【0019】
更なる変形方法に従って、該手段は、発泡ポリマー物品として存在する既に発泡したプラスチックの押し固められた粒質物を再生処理することが出来る運搬装置(それは図面に図示されていない)を含む。該押し固められた粒質物は該発泡ポリマー物品の破砕により得られる。該破砕の方法工程により、再生処理されたポリマー粒子5が製造され、それらが後の方法工程で押し固められる。該再生処理されたポリマー粒子5が押し固められた粒質物として存在するように、該密度を増加させる。該押し固められた粒質物は該運搬装置で押出機6に運搬され、その中で上述の更なる方法工程が起こる。
【0020】
更なる変形方法に従って、該手段は、溶剤に溶解している循環ポリマー用の運搬装置を含む。この場合、該再生処理されたポリマー粒子5は既に液体溶液として存在し、それ故に該溶融工程を省略することが出来る。該再生処理されたポリマー粒子5に含有された液体発泡剤は、必要なら、脱気装置13中で該溶剤と一緒に該循環ポリマー溶融体から除去されるが、それは再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5を含有する溶液の処理に適している。
【0021】
再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5、既に発泡したプラスチックの押し固められた粒質物、及び又溶剤に溶解して存在する循環ポリマーの所望の混合物を処理することが出来るように、上記の変形方法を組み合わせることも出来ることは言うまでもない。
【0022】
液体発泡剤及び(又は)溶剤は、循環ポリマー溶融体又は再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子の溶液から脱気装置13により除去される。循環ポリマー溶融体中に存在する液体発泡剤が溶解した形で核を成し膨れを形成する様に、循環ポリマー溶融体中の圧力を下げることが有利である。脱気装置13は、特に30〜100mbarの範囲における圧力の減圧条件下で操作される。
【0023】
ポリマー溶融体11は、反応器15及び脱気装置16を含む重合プラント1中で直接に、又は溶融装置17中でポリマー粒質物を溶融することにより製造される。該ポリマー溶融体11に流動性液体発泡剤2を装填して、液体発泡剤含有ポリマー溶融体18が得られる様にし、該液体発泡剤2は次の混合装置3中で分散され均質化される。該液体発泡剤含有ポリマー溶融体の冷却は冷却装置4中で起こる。該液体発泡剤含有ポリマー溶融体18及び該循環ポリマー溶融体12は、次の混合装置7中で混合分散され均質化される。
【0024】
該液体発泡剤含有ポリマー溶融体18及び該循環ポリマー溶融体12は、粒状化装置9、特に水中造粒機により行われる粒状化工程で、一緒に処理されて発泡又は発泡性ポリマー粒子10となる。該粒状化装置9により主として球状又は楕円体粒子が製造される。この処理において、少なくとも大体楕円体の幾何学的形状を有する粒子は、均一な質量分布という仮定においてその重心に置かれた直交座標系上で、第一軸(x軸)上の長さa、第二軸(y軸)上の長さb、及び第三軸(z軸)上の長さcが測定可能で、最長の長さa対最短の長さ(b又はc)の比が1.25より大きい場合、楕円体と呼ばれる。該長さa,b,cは楕円体の半軸とも呼ばれる。もし最大の長さa対最短の長さ(b又はc)の比が1.25以下であるならば、該粒子は球状と呼ばれる。主として球状又は楕円体粒子は、もし本発明による水中造粒機を使用して該切断操作手順から生じ、例えば顕微鏡の下で目に見える切断縁を該粒子に与えるならば、懸濁重合のような他の製造方法から生ずる粒子とは異なる。
【0025】
これらの切断縁を消失させて粒子の丸みを改善すべきならば、粒子の熱処理を粒状化工程に続けることが出来る。この熱処理は又得られる発泡体構造に対して有利な効果を有する。該熱処理は実質的に粒子を確定温度及び確定圧力に保持することから成り、従って液体発泡剤を含有している粒子の発泡は避けられる。該温度は50℃と150℃の間、好ましくは70℃と120℃の間にあるべきである。粒子の発泡を妨げるためには、使用する温度に依って10〜20バールの圧力が必要である。該熱処理の継続時間は、1分と60分の間、好ましくは1分と30分の間、特に好ましくは5分と20分の間にある。該処理は、好ましくは依然として同じ水循環における水中粒状化の場合、乾燥段階の前、混合容器中におけるバッチ方式であるか又は該粒状化に連続的に直接続いている可能性がある。該熱処理の間粒子の膠着を避けるために、特定の界面活性添加剤、例えばポリビニルアルコールを該水に添加することが出来る。該処理の間、該固体部分は約30〜50%に達するべきである。
【0026】
発泡又は発泡性ポリマー粒子10の製造用プラントには、再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5を処理するための手段が設けられている。該手段は、該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5から循環ポリマー溶融体12を製造するための加熱手段19を含有する押出機6を含む。該循環ポリマー溶融体12を最良に脱気するための脱気装置13が設けられている。本質的に均質な循環ポリマー溶融体22が得られるように、該循環ポリマー溶融体12を充分に混合するための混合装置21が設けられている。該押出機6は側方押出機として設計されている。
【0027】
該押出機6は、既に前述した脱気という方法工程が行われる脱気装置13を所望により含む。これは、もしもポリマー溶融体11に側流として供給される液体発泡剤の量が全体として非常に大きく、そして(又は)ポリマー溶融体24中の液体発泡剤の濃度変動が最早無視できる結果でないように濃度において変化するならば、必要であり得る。脱気に続く循環ポリマー溶融体は本質的に液体発泡剤が無い。該循環ポリマー溶融体12に添加剤14を混合するための計量装置20が、脱気装置13の下流に設けられている。側方押出機6としての二軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機の使用は、添加剤の混合物でもあり得る添加剤14を直接に循環ポリマー溶融体と混合することが出来、その結果として添加剤14又はその混合物の導入がより容易となるので、特に有利である。この操作方法は親練における購入物の使用よりかなり経済的であるが、その理由は後者が本発明に従う方法の経済的操作にとって原則として余りにも高価過ぎると思われるからである。
【0028】
該プラントはポリマー溶融体11を製造するための重合プラント1を含み、該重合プラント1は反応器15及び脱気装置16を有するか、又はポリマー粒質物の溶融によりポリマー溶融体を製造するための溶融装置17を有する。該重合プラント1又は該溶融装置17の下流に液体発泡剤2を計量するために供給装置23及び混合装置3及び(又は)冷却装置4が設けられている。システム制御により、ポリマー溶融体24(ポリマー溶融体11及び循環ポリマー溶融体12の合計)中への液体発泡剤装填量が望ましい液体発泡剤装填量と一致するように、液体発泡剤2の量を自動的に適応させることが出来る。該混合装置3は静的混合機を含有し、該冷却装置4は静的混合機/熱交換機を含有している。混合装置7及び(又は)冷却装置8が設けられており、それらに対して該添加剤含有循環ポリマー溶融体22及び該液体発泡剤含有ポリマー溶融体18を供給し一緒に混合することが出来る。該混合装置7は静的混合機を含有し、それにより該液体発泡剤含有ポリマー溶融体18及び該循環ポリマー溶融体22から成るポリマー溶融体24が製造され、それは液体発泡剤2及び又添加剤14の本質的に均一な分布を有する。これに関連して、静的混合機の言及は単一の静的混合機に限定されていると理解すべきではなくて、並列又は直列に結合された複数の静的混合機を含むことも出来る。出来るだけ低いせん断力が、単一の又は複数の静的混合機により、該ポリマー溶融体及び(又は)該循環ポリマー溶融体に伝えられるべきである。
【0029】
混合装置7に続いて、静的混合機/熱交換機を含有する冷却装置8中で、ポリマー溶融体18及び循環ポリマー溶融体22から成るポリマー溶融体24の冷却が起こる。該冷却装置8に続いて、該ポリマー溶融体24は、造粒機9、例えば、水中造粒機中で、発泡又は発泡性ポリマー粒子10、特に球状又は楕円体粒質物に形成される。該ポリマー溶融体24は、主として複数の内腔を含有するノズル板を経由して運搬される。この種の内腔を通過するとポリマーのストランドが形成される。該システム制御は該ノズル板の直後に配置されている粒状化工程を行う切断手段を制御し、それにより該ポリマーストランドを周期的に切断することが出来、従って該ポリマーストランドから発泡又は発泡性ポリマー粒子10を製造することが出来る。該粒状化工程は、粒質物用の冷却手段及び運搬手段として水中粒質物中で使用される液体(好ましくは水、しかし例えば、塩水も)を用いて水中造粒機中で行われる。該粒状化工程で使用される液体を用いて上昇圧力を及ぼすことも出来、その結果として、まだ固化されてない粒質物における液体発泡剤の膨張効果を少なくとも部分的に抑制することが出来る。同時に該ポリマーストランド及び該粒質物は冷却を受け、従って溶融体として存在するポリマーストランド又はストリングは固化し、該ポリマーストランド及び粒質物として存在する発泡又は発泡性ポリマー粒子における添加剤の分布は「凍結する」。
【0030】
更に、混合装置7及び又冷却装置8及び又ポリマー溶融体18及び循環ポリマー溶融体22の生成用プラントの上流部における所定の温度及び圧力分布のみならず、溶融体粘度も同様に、システム制御によりポリマー溶融体24のパラメーターとして調節される。ポリマー溶融体24及び又前述のプラント部分のこれらパラメーターは、ポリマー溶融体24における液体発泡剤及び添加剤の均一性の最適化に役立ち、又理想的な粒状化能力の達成にも役立つ。
【0031】
粒状化方法として水中粒状化を使用する場合、液体側における冷却の増加によりポリマー溶融体24が1個以上の孔の中で固化するという事による孔あき板における不安定性という問題が頻繁に存在する。これは、発泡又は発泡性ポリマー粒子10が不均一な大きさを有し最早所望の規格を満たさないという結果となる。この内腔「凍結」を防止するためには、一方において、すべてのノズルに対して温度(温度領域)が同じであることを確実にしなければならない。この事は、システム制御により正確に調節され、油加熱器、電気加熱器、又はそれらの組合せを含むことが出来る孔あき板加熱装置の助けを借りて、行われる。電気加熱器の場合、孔あき板を複数の加熱カートリッジが通り抜け、それらが均一な温度を確実にする。
【0032】
該孔あき板は更に、該表面における孔あき板の冷却、従って該孔の凍結を招く熱損失が避けられるか又は少なくとも最小にされ得るように、水側を被覆することが出来る。この被覆は、例えばセラミック又は異なる金属又は金属酸化物の組合せから作製することが出来る。
【0033】
他方において、ポリマー溶融体は、孔あき板に入ると、温度及び圧力を利用しなければならず、それらの値は該プラントの操作状態に関連して調整しなければならない。温度T及び圧力pは孔あき板に入ると非常に影響されるので、これらのパラメーターは、システム制御により出来るだけ望ましい値に近い値を利用する。
【0034】
水中造粒機の水循環は、粒状化工程で製造された粒子が、該形状又は発泡挙動を改良するために該粒子の熱処理に必要な確定温度における確定滞留時間を乾燥前でも受けるように、設定することが出来る。この結果は、断面積の拡大により、又は、より長い直線状又は曲線状の管状導管により、達成することが出来る。温度を所望のレベルにするために、熱交換器を管状導管に組み込むか、又は前述の断面積の拡大を熱交換器管が内側に配置された反応管、例えばSulzer SMR(登録商標)反応器として予測することが出来る。或いは、例えばノズルを経由した蒸気の添加による直接加熱を予測することが出来る。
【0035】
(内腔の直径及び数、切断手段の回転速度及び数、及び内腔の出口における液体圧力に依って)多種多様の発泡又は発泡性ポリマー粒子10を製造することが出来、該粒質物は特に「ペレット」又は「ビーズ」の形状で又は部分的に発泡した粒質物として製造することが出来る。列挙したパラメーターの設定を最適にすることにより、好ましくは発泡又は発泡性ポリマー粒子を少なくとも大体球状又は楕円形状の形状で製造することが出来る。
【0036】
例えば、窒素又は二酸化炭素のようなガス状及び(又は)超臨界液体発泡剤を使用して、発泡又は発泡性ポリマー粒子10を孔あき板の出口で部分的に又は完全に直接発泡させることが出来る。粒状化及びその後の乾燥用のプロセス・パラメータはそれに応じて適応させることが出来る。
【0037】
ポリスチレンに加えて、他のプラスチックを発泡又は発泡性ポリマー粒子10の製造に使用することが出来る。その例は、スチレン共重合体、対衝撃性ポリスチレン、ポリオレフィン、特にポリエチレン及び又ポリプロピレン、生分解性高分子、又はこれら物質の混合物である。
【0038】
前記方法によって得られる発泡又は発泡性ポリマー粒子10は、再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5からの循環ポリマー溶融体(12,22)及び液体発泡剤含有ポリマー溶融体18の混合物を含み、循環ポリマー溶融体の割合は0.5%と100%の間である。該循環ポリマー溶融体(12,22)は、典型的な液体発泡剤含有ポリマー、即ち或るタイプの液体発泡剤含有ポリマーを含む。該循環ポリマー溶融体(12,22)及び(又は)該液体発泡剤含有ポリマー溶融体18は添加剤14を含有する。該添加剤14は、火炎防護剤、潤滑剤、成核剤、軟化剤、紫外線防護剤、殺虫剤、顔料及び(又は)黒鉛及び(又は)カーボンブラック粒子及び(又は)金属粒子、親練り、及び又これらの列挙した物質の混合物を含む。該添加剤は、高度に濃縮された形で、純粋な形で、又は親練の形で添加することが出来る。
【0039】
もしも臭化物含有火炎防護手段又は他の熱不安定性添加剤が再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子5中に存在しているならば、或いはもしもかかる添加剤14が後で添加されるならば、押出機6中の及び又それに続くあらゆるシステム構成要素中の処理温度は、該物質の熱安定性により規定される温度及び滞留時間制限値を越えることが出来ない。
【0040】
本発明による発泡又は発泡性ポリマー粒子は、水中粒状化中に切断処理から生ずる多少目立った切断縁が配置される。この切断縁を除去して粒子の丸みを総体的に改良するために、液体発泡剤含有粒子は熱処理を受ける。かかる熱処理は、粒子の発泡特性を改良するためにも使用される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】発泡又は発泡性ポリマー粒子の製造用プラントの略図である。
【符号の説明】
【0042】
1 重合プラント
2 流動性液体発泡剤
3 混合装置
4 冷却装置
5 再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子
6 押出機
7 混合装置
8 冷却装置
9 造粒機
10 発泡又は発泡性ポリマー粒子
11 ポリマー溶融体
12 循環ポリマー溶融体
13 脱気装置
14 添加剤
15 反応器
16 脱気装置
17 溶融装置
18 液体発泡剤含有ポリマー溶融体
19 加熱手段
20 計量装置
21 混合装置
22 本質的に均質な循環ポリマー溶融体
23 供給装置
24 ポリマー溶融体(18及び22から成る)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環ポリマー溶融体(12)の少なくとも一部が再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子(5)から製造される該循環ポリマー溶融体(12)、及びポリマー溶融体(11)から発泡又は発泡性ポリマー粒子(10)を製造する方法であって、該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子(5)を押出機(6)、特に二軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機中で加熱装置(19)により溶融して該循環ポリマー溶融体(12)を形成する工程、及び該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子(5)に含有された液体発泡剤を該循環ポリマー溶融体(12)から脱気装置(13)中で除去する工程を含み、該ポリマー溶融体(11)は反応器(15)及び脱気装置(16)を含む重合プラント(1)中で直接に又は溶融装置(17)中でポリマー粒質物を溶融することにより製造し、該ポリマー溶融体(11)に流動性液体発泡剤(2)を装填して液体発泡剤含有ポリマー溶融体(18)が得られる様にし、該液体発泡剤(2)は次の混合装置(3)中で分散し均質化し、そして該液体発泡剤含有ポリマー溶融体の冷却を冷却装置(4)中で起こす前記の方法において、該押出機を側方押出機として設計し、それ故に該循環ポリマー溶融体(12)及び該ポリマー溶融体(11)をその後にポリマー溶融体(24)へと組合せ、次の混合装置(7)中で分散し均質化し、その後に発泡又は発泡性ポリマー粒子へと処理することを特徴とする前記の方法。
【請求項2】
添加剤(14)を液体状又は固体状又は親練り状で該脱気装置(13)の下流において該循環ポリマー溶融体(12)に測定量添加する、請求項1に従う方法。
【請求項3】
該液体発泡剤含有ポリマー溶融体(18)及び該循環ポリマー溶融体(12)を、粒状化装置(9)、特に水中造粒機により行われる粒状化工程で、一緒に処理して発泡又は発泡性ポリマー粒子(10)を形成する、請求項1又は請求項2に従う方法。
【請求項4】
該粒状化装置(9)により主として球状又は楕円体粒子を製造する、請求項3に従う方法。
【請求項5】
該球状又は楕円体粒子が切断縁を含む、請求項4による方法。
【請求項6】
該製造された粒子の丸み及び発泡特性を改良するために該粒子の連続的又は回分式熱処理を含む、前述の請求項1〜5の1項に従う方法。
【請求項7】
再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子(5)から循環ポリマー溶融体(12)を製造するための加熱手段(19)及び該循環ポリマー溶融体(12)を脱気するための脱気装置(13)を含む、該再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子(5)を処理するための押出機(6)であって、その中に本質的に均質な循環ポリマー溶融体(22)が得られるように該循環ポリマー溶融体(12)を充分に混合するための混合装置21が設けられている該押出機(6)を含み、そして又ポリマー溶融体(11)を製造するための重合プラント(1)をも含み、該重合プラント(1)は反応器(15)及び脱気装置(16)を有するか、又はポリマー粒質物の溶融によりポリマー溶融体(11)を製造するための溶融装置(17)を有し、そして又混合装置(3)及び冷却装置も設けられており、該重合プラント(1)又は該溶融装置(17)の下流に液体発泡剤(2)を計量するための供給装置(23)が設けられている、発泡又は発泡性ポリマー粒子(10)の製造用プラントにおいて、該押出機(6)が側方押出機として設計され、該側方押出機の下流に混合装置(7)及び(又は)冷却装置(8)が設けられており、それらに対して該添加剤含有循環ポリマー溶融体(22)及び該液体発泡剤含有ポリマー溶融体(18)を一緒に供給することが出来ることを特徴とする前記のプラント。
【請求項8】
該循環ポリマー溶融体(12)に添加剤(14)を混合するための計量装置(20)が該脱気装置(13)の下流に設けられている、請求項7に従うプラント。
【請求項9】
該混合装置(3)及び(又は)該混合装置(7)が静的混合機であるか、又は該冷却装置(4)及び(又は)該冷却装置(8)が静的混合機/熱交換機を含んでいる、請求項7又は請求項8に従うプラント。
【請求項10】
再生処理された液体発泡剤含有ポリマー粒子(5)からの循環ポリマー溶融体(12、22)及び液体発泡剤含有ポリマー溶融体(18)の混合物から成り、特に水中粒状化中の切断処理に起因する切断縁を含む循環ポリマー溶融体の割合が0.5%と100%の間である、請求項1〜6の任意の1項に従う方法によって得られる発泡又は発泡性ポリマー粒子(10)。
【請求項11】
該循環ポリマー溶融体(12、22)が典型的な液体発泡剤含有ポリマーを含む、請求項10に従うポリマー粒子。
【請求項12】
該循環ポリマー溶融体(12、22)及び(又は)該液体発泡剤含有ポリマー溶融体(18)が添加剤(14)を含有する、請求項10又は11に従うポリマー粒子。
【請求項13】
該添加剤(14)が火炎防護剤、潤滑剤、成核剤、軟化剤、紫外線防護剤、殺虫剤、顔料及び(又は)黒鉛及び(又は)カーボンブラック粒子及び(又は)金属粒子、親練り、及びこれらの列挙した物質の混合物をも含む、請求項12に従うポリマー粒子。

【図1】
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【公開番号】特開2008−127562(P2008−127562A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−268470(P2007−268470)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(505150095)スルザー ケムテック アクチェンゲゼルシャフト (40)
【Fターム(参考)】