説明

ポリマー補助剤含有強化肥料製品

ジプサム、キーゼライト族のメンバー、硫酸カリウムマグネシム、元素硫黄およびこれらの組合せなどのミネラルを、低pHのマレイン酸−イタコン酸共重合体でコーティングすることによる改良肥料ミネラル組成物が供される。好ましい共重合体は、酸型または部分塩型のマレイン酸−イタコン酸共重合体の水性分散液であり、スプレーまたは他の手段によりミネラルの表面に適用され、乾燥される。該共重合体コーティングは、肥料ミネラルからの硫酸およびカルシウムまたはマグネシウムイオンの溶解性を増大させ、植物利用性およびそのような養分取り込みを促進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業上有用なジプサム、キーゼライト族のメンバー、硫酸カリウムマグネシム、および元素硫黄などのミネラルとともに、土壌中の硫酸および他のイオンの利用率をとりわけ本発明の肥料組成物を適用後初期の段階で著しく高める作用をする量の共重合体補助剤または添加剤を含む肥料組成物および方法に広く関する。より具体的には、本発明は、水性の、極めて低pHの共重合体分散液(たとえば、真溶液かまたは混合液)の乾燥残渣を鉱物にコートし、かつ該共重合体はそれぞれ所定量のマレイン酸およびイタコン酸構成成分を含むような肥料組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジプサムは、硫酸カルシウム(CaSO4)で形成される柔らかい無機化合物であり、通常、二水和物の形態(CaSO4・2H2O)で自然界にみられる。絹、真珠またはろう様の光沢をもつ無色ないし白色で、通常、さまざまな着色不純物を含む。ジプサムは、扁平な結晶、またしばしば双晶として、セレナイトと呼ばれる透明な開裂性の塊で自然界に存在する。粒状または小塊で存在することもある。ジプサムはいくつかの商業用途があり、肥料および土壌調整剤として周知である。18世紀後半、ノヴァ・スコシア(Nova Scotia)ジプサムは、しばしば石膏と呼ばれ、小麦畑に需要が高かった。ジプサムは塩質土壌の改良にも用いられてきた。ジプサムの大きな利点は、相当量の養分を含んでいるにも拘わらず、たとえば商用ジプサムグレードは通常約22%のCaおよび17%のSを含むが、比較的低コストなことである。
【0003】
土壌に適用すると、ジプサムは農作物の利用し得る形態のカルシウムおよび硫酸イオンを供給する。しかしながら、ジプサムの水への溶解性は極めて限られていることから、有益な肥料効果または土壌改良は、2または3年の適用計画を要するおそれがある。そのため、ジプサム施肥は周知であるが、ジプサムの遅効性は、植物養分の形でも、土壌改良の形でも、即時効果をもたらさない。
【0004】
キーゼライトは、硫酸マグネシウム(MgSO4・H2O)で示され、単斜晶系の結晶系をもつ。キーゼライト族として知られているいくつかの関連鉱物があり、エプソム塩(MgSO4・7H2O)などのマグネシウム硫酸の他の水和物形態を含み;この族は、比較的希少な富亜鉛鉱物のガニンジャイト(Gunningite)(Zn,Mn)(MgSO4・H2O)も含む。キーゼライト族鉱物の包括的リストは、非特許文献1および非特許文献2にみることが出来るだろう。これらいずれの文献も、引用によりそのすべてを本明細書に取込み記載されているものとする。上記キーゼライト族は、その中の植物に有用な養分により植物肥料として使用可能である。
【0005】
元素硫黄も、一般に、硫酸イオンを供給するために土壌に適用される。しかしながら、元素硫黄の硫酸への転化は、標準的土壌中では極めて遅く、したがってイオウ適用の有益な効果が発揮されるまでには数シーズンの生育期を要するおそれがある。
【0006】
したがって、当技術分野では、土壌中、硫酸および他のイオン(たとえば、Caおよび Mg)の利用性を促進する改良型肥料ミネラルが求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hammel (1939)Annales de Chimie、 Paris:11:247
【非特許文献2】Palache, C., Berman, H., & Frondel, C. (1951), The System of Mineralogy of James Dwight Dana and Edward Salisbury Dana, Yale University 1837-1892, Volume II. John Wylie and Sons, Inc. New York, 7th Edition, Revised and Enlarged, 1124 pp. 477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に概要した課題を解決し、各所定量のミネラルとともに、該ミネラルに接触し、かつ各個別量のマレイン酸およびイタコン酸構成成分を含有する共重合体を含む改良型ミネラル肥料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明で用いられるミネラルは、通常、ジプサム(精製された無水物でも水和物でも)、キーゼライト族、硫酸カリウムマグネシウム、元素硫黄およびそれらの組合せから選ばれる。
【0010】
ジプサムが用いられる場合、肥料用途に好適ないかなる商用グレードでも、また天然に存在するまたは副産物として合成されたものでも構わない。有利には、ジプサムは、最大径が約1インチ以下、より好ましくは約1/4インチ以下の粒またはペレットの形態である。
本明細書において、「商用グレード農業ジプサム」とは、少なくとも約80重量%の硫酸カルシウム(より好ましくは約84−97重量%)、約19−27重量%の元素カルシウム当量(より好ましくは約21−25重量%)、および約15−23重量%の元素硫黄 当量(より好ましくは約16−21重量%)を含有するジプサム製品をいう。このようなジプサムは、炭酸カルシウムおよび他の微量成分などの不純物も含有するであろう。
【0011】
好適なキーゼライト族ミネラルはどれでも、特にキーゼライトそのものは使用可能である。唯一の選択基準は商業的入手可能性およびコストである。ジプサムについても、前記キーゼライト族ミネラルについて説明したと同様のサイズの粒またはペレットを用いることができる。通常、少なくとも約14重量%のMgおよび20重量%のSを含有するキーゼライトを用いることが好ましい。
【0012】
硫酸カリウムマグネシウムは、“Kマグ(KMag)”と呼ばれることもあり、K2Mg(SO42の化学式および分析番号0−0−22をもつ。それは、約22%のK2O、11%のMg、および約22%のSを含む。無水物および水和物形態で入手可能であり、後者は通常6水和物である。
【0013】
本発明において、土壌養分として、粒状または他の形態の元素硫黄も用いることができる。
【0014】
本発明の好ましい共重合体補助剤は、マレイン酸およびイタコン酸構成成分を含有し、通常、これら構成成分に対応する酸無水物から導かれる水性の低pH共重合体として、ミネラル肥料とともに適用または使用される。該マレイン酸−イタコン酸共重合体の一部は他のモノマーで形成されていても構わないが、イタコン酸およびマレイン酸モノマーが共同して該共重合体の主要部分を形成すべきである。他のモノマーは、共重合体の全重量を100重量%とするとき、約7重量%以下、より好ましくは約4重量%以下のごく少量で存在することが有利である。特に断らない限り、該共重合体は、イタコン酸モノマーおよびマレイン酸モノマーを、合計で少なくとも約93重量%、より好ましくは約96重量%含有すべきである。特に好ましくは、該共重合体は、実質的にまたは完全にマレイン酸およびイタコン酸構成成分からなる。理想的には、ポリマー構成成分は、実質的にイタコン酸/マレイン酸共重合体のみであり、すなわち、他種モノマーを実質的に含まない。該共重合体は、好ましくは水性溶液または分散液であり、かつ強い酸性である。pHは、通常約0.1−2.2の範囲である。より好ましくは約0.1−2、特に好ましくは約0.2−0.8である。共重合体の部分塩が用いられる場合には、pH値は上記範囲内の上方の値になるだろう。さまざまな塩形態のカチオンを用いることができるが、ナトリウムおよびカリウムが好ましい。
【0015】
通常、肥料組成物は、組成物の全重量を100重量%とするとき、ミネラル肥料を約95−99.95重量%、より好ましくは約97−99.93重量%、特に好ましくは約98−99.9重量%の主要量で含む。それに応じて、共重合体成分は、上述した初期水性共重合体の乾燥残渣であり、このような残渣は、カルシウムおよび/または硫酸イオン(ジプサムまたは元素硫黄の場合)あるいはマグネシウムおよび/または硫酸イオン(キーゼライト族ミネラルの場合)の植物利用性が対応する未処理肥料ミネラルの植物利用性よりも大きくなる量で存在すべきであり;より好ましくは、本発明の組成物におけるそのようなイオンの植物利用性がそれぞれの被覆なし未肥料ミネラルよりも、少なくとも約15%、特に好ましくは少なくとも約30%増加するような量で存在すべきである。重量に関して、共重合体の乾燥残渣は、組成物の全重量を100重量%とするとき、通常、約0.05−5重量%、より好ましくは約 0.07−3重量%、特に好ましくは約0.1−2重量%である。
【0016】
本発明の組成物は、低pH水性共重合体をミネラル肥料に噴霧するまたは他の方法を適用することにより簡単に調製した後、乾燥し、その表面に共重合体の乾燥残渣を得る。このような被覆組成物は、土壌内に埋めてまたは埋めずに、土壌に適用する普通の方法により使用される。あまり望ましくはないが、最初に肥料ミネラルを適用した後共重合体を適用して畑の肥料とすることも可能であろう。
【発明の効果】
【0017】
本発明の肥料組成物の特に有利な点は、土壌適用時、硫酸および他のイオンの利用性を高めることである。また、肥料組成物は、持続量のこれら養分を生じさせる。これは、強い酸性共重合体が土壌中で硫酸カルシウムまたはマグネシウムと反応して、そこで形成された硫酸とともに共重合体の部分カルシウムまたはマグネシウム塩を得るという事実に起因する。そのように形成された部分共重合体塩は、その後土壌中で反応し、さらなる量の酸型共重合体および硫酸を生じさせる。このように、土壌中で循環反応を生じ、植物養分の量を維持させる。より高いpHの共重合体と対比して、低pH共重合体の使用によりこのような有益な結果を生じる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
マレイン酸−イタコン酸共重合体は、米国特許第6,515,090および6,706,837号明細書に記載されており、これらいずれも、特に‘837号特許の実験実施例が引用により充分かつ完全に本明細書に取り込まれる。一般に、この共重合体は、望ましくはマレイン酸構成成分を約10−90重量%(より好ましくは約25−75重量%)、またそれに対応してイタコン酸構成成分約90−10重量%(より好ましくは約75−25重量%)を含有する。この種類の特に好ましい共重合体の1つは、実質的に等モル量の無水イタコン酸および無水マレイン酸構成成分の固形分40重量%の、pH約0.5の水性共重合体分散液である。
【0019】
特に好ましい本発明のポリマーは、下記マレイン酸モノマーとイタコン酸モノマーとの反応生成物である:
【化1】

式中、Xは独立にそれぞれ、カチオン、好ましくはH、Na、Kおよびそれらの組合せからなる群から選ばれ、m:n比は約99:1〜約1:99の範囲である。共重合体の水性分散液について、所望する低pH値を得るには、共重合体は酸の形態(すなわち、すべてまたは実質的にすべてのX基はHである)、またはX基のほとんどがHでX基のいくつかがNa、Kおよびそれらの組合せである部分塩で用いられる。
【0020】
上述の反応物の反応生成物は、下記式で示される:
【化2】

式中、Xは上記規定のとおりであり、pは約10〜500。
【実施例】
【0021】
以下の実施例は、本発明の好ましい肥料組成物を示す。しかしながら、これら実施例は説明のためのものであって、本発明の範囲をなんら限定するものではないと理解されるべきである。
【0022】
(実施例1)
この実施例では、本発明の好ましい共重合体を用いてジプサムをコーティングし、それにより得られた被覆ジプサムの改善された溶解性を評価した。コーティング材料は、マレイン酸およびイタコン酸構成成分を等モル量に相当するように調製された、共重合体の固形分約40重量%の酸性水溶液(pH0.5)である。該共重合体は、2つのレベル、すなわち1ガロン/トン−ジプサムおよび1.5ガロン/トン−ジプサムで適用された。
【0023】
標準的な回転型セメントミキサーを用いて、商用グレードの農業用ジプサムペレットまたは粒に、水性共重合体分散液をコーティングした。まず、ジプサムをミキサー内に置き、その後、前記共重合体をジプサムペレットの全てを実質的に完全にコーティングするのに充分な量で適用した。ペレットが乾燥して手で触れるまで、ミキサーを回転し続けた。乾燥した被覆ペレットは、その表面に、肥料組成物の全重量を100重量%とする時、約0.2重量%または0.3重量%の乾燥共重合体残渣を含んでいた。
【0024】
次に、均一な大きさにされた被覆ジプサムペレットの平均重量を測定した。その後、3通りのサンプルを調製した。各サンプルは、秤量されたペレット10個を含む、対照(共重合体なし)、および被覆ペレット(0.2重量%と0.3重量%の乾燥共重合体残渣)である。脱イオン水5mlを含むフラスコ内に各サンプルを置き、それぞれのサンプルセットを、標準的な実験用回転振盪機を用いて、5、10および20分間振盪した。次に、振盪した各サンプルをろ過してペレットを除去し、ろ液サンプルをバリアン(Varian)社ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)で分析して、サンプル中の硫酸イオウおよびCaの濃度を測定した。各溶液サンプルのpHも測定した。これら研究の結果を下記表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
(実施例2)
この研究では、実施例1に記載された共重合体被覆ジプサムペレットと同じものを用いた。しかしながら、この実施例では、3セットの4通りの0.2重量%と0.3重量%の組成物、および3セットの4通りの被覆なし対照サンプルを準備した。これら各サンプルは約1gの被覆または被覆なしペレットを含んでいた。これらサンプルを、各々10ml の脱イオン水中に入れ、実験用回転振盪機を用いて、5、10および20分間振盪した。その後、サンプルをろ過し、上記ICP−MSを用いて、ろ液中のCaおよび硫酸イオウの濃度を測定した。これら研究の結果を下記表2に示す。
【0027】
【表2】

【表3】

【0028】
平均硫酸イオウおよびCa値ならびに統計的分析は以下のとおり。
対照/5分間 0.79
0.2%/5分間 0.86
0.3%/5分間 0.89
%S p>f 0.24
%S LSD(0.10) 0.10
%Ca p>f 0.29
%Ca LSD(0.10) 0.13
【0029】
対照/10分間 0.81
0.2%/10分間 0.92
0.3%/10分間 1.03
%S p>f 0.07
%S LSD(0.10) 0.14
%Ca p>f 0.06
%Ca LSD(0.10) 0.17
【0030】
対照/20分間 0.83
0.2%/20分間 1.04
0.3%/20分間 0.91
%S p>f 0.06
%S LSD(0.10) 0.14
%Ca p>f 0.07
%Ca LSD(0.10) 0.17
【0031】
これらデータは、上述したとおり、統計的に有意であり、商用グレードの引用により充分かつ完全にまたはペレット化ジプサムの溶解性が本発明の共重合体により高められたことを示す。このように、本発明の組成物は、硫酸およびカルシウムのより良いかつ促進された植物利用性をもたらす。上記共重合体コーティングの使用により得られた速攻性ジプサム肥料組成物は、魅力的なS肥料および土壌改良のためのより利用性の高い溶解性Ca源を供給し(たとえば、Ca補給が重要なことがあるピーナッツ生産における)、また、望ましくない土壌コンディションを作り出す高濃度Naを、本発明の肥料組成物の使用により供給される可溶性Caにより置換できるかもしれない。
【0032】
(実施例3)
この試験系では、実施例1の好ましいポリマー被覆ジプサム肥料をバミューダグラスで試験して、収穫および品質における改善性を確認した。
【0033】
材料および方法
各5'(フィート)×20'に測定した5区画の土地4つの反復を、アーカンソー州ラファイエット・カウンティーにおいて土着したティフトン(Tifton)44バミューダグラス草地にランダムに割り当てた。土質のタイプは、セバーン(Severn)シルトロームであり、pH7.6である。表層土は深く、水はけがよく、レッド・リバー沿いの氾濫原に位置する起伏の穏やかな土地である。傾斜は0−3%である。土質試験は処置を施す前に行った。リン(P)およびカリウム(K)は、それぞれ75.4ppmおよび146.8ppmと適当であった。
【0034】
初期の区画処理は、(1)ネガティブ対照(NC)、イオウ無添加;(2)20lbs(ポンド)S/acre(エーカー)の割合の被覆なしジプサム(CaSO4);(3)ポリマー被覆したジプサムを20ポンドS/エーカー0.2%の割合で適用;(4)ポリマー被覆したジプサムを20ポンドS/エーカー0.3%の割合で適用および(5)硫酸アンモニウム((NH42SO4)を87ポンド/エーカー(21ポンドS/A)の割合で適用した。また、硝酸アンモニウム(NH4NO3)を、初期および各収穫日の両日に、硫酸アンモニウム区画を除く全区画に96ポンド/エーカーの割合で適用した。後者(硫酸アンモニウム区画)では、硝酸アンモニウムを硫酸アンモニウムからのN寄与のせいで、50ポンド/エーカーで適用した。
【0035】
各区画は、刈り取り袋を備えたクラフトマン(Craftsman)6.75馬力手押し芝刈り機を用いて4週間間隔で収穫した。草サンプルを集めた。草刈り跡は、3"(インチ)×22"×20'(フィート)であった。サンプルを収集した後、全サンプル重量を記録し、任意に選んだサンプルを取って、生重量および乾燥重量を測定して乾物含量(DM)を決定し、エーカーあたりの収穫量を算出した。
【0036】
当該区画のサンプルの供給品質を分析した。具体的には、該サンプルを60℃で乾燥し、ウィリー(Wiley)ミルを用いて、2mmのステンレス鋼スクリーンを通して挽いた後、フォス(FOSS)NIR5000でスキャンしてバミューダグラスの品質を調べた。SAS(8)中、無作為化完全ブロック計画を用いて統計的分析を行った。
【0037】
第2の乾燥粉砕サンプルの全無機含量を分析した。乾燥重量および養分濃度、エーカーあたりの養分取り込みを算出した。
【0038】
結果および検討
これらの現地調査は、適用後の最初の刈り取りにおいて、ポリマー被覆ジプサムが最も効果的であったことを示す。ハイブリッドバミューダグラス用のイオウ源として評価した時、0.2%または0.3%のポリマー被覆は、最初の刈り取りにおける収穫量が、ポリマーなしジプサムを約19.5%超えて増加した。ポリマー濃度が高い方の有利性はなかった。
【0039】
2回目の刈り取りでは、ポリマー被覆が低い方は、バミューダグラス収穫量は被覆なしの対照より増加してなかったが、高い方の0.3%被覆は収穫量を10%増加させた。
【0040】
理解できるように、被覆ジプサムは最初の刈り取りでのS源としての硫酸アンモニウムほどは効果がなかった。しかしながら、2回目の刈り取りにより、ポリマー被覆ジプサムは、硫酸アンモニウムがS源であった場合の最初の刈り取りの収穫量がSのぜいたく消費を示唆する高量の可溶性硫酸アンモニウムよりも効果的であった。一方、S利用性は、ポリマー-被覆ジプサムの緩慢な溶解性により拡張された。
【0041】
これらの研究は、ポリマー被覆は、粒状ジプサムからのS利用性を実現かつ高め、それにより作物収穫量を高める。下記表3はこの試験系の収穫量結果を示す。バミューダグラスサンプルは、表4に示すとおり、イオウ取り込みについても試験した。
【0042】
【表4】

【0043】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジプサム、1または複数のキーゼライト族のメンバー、硫酸カリウムマグネシム、元素硫黄およびこれらの組合せからなる群より選ばれる肥料ミネラルと、
該肥料ミネラルと接触している共重合体であって、各個別量のマレイン酸およびイタコン酸構成成分を含有する酸型または塩型共重合体からなる群より選ばれ、かつpH約0.1−2の水性共重合体分散液の乾燥残渣である共重合体とを、
各所定量で含む肥料組成物。
【請求項2】
前記共重合体が少なくとも約93重量%のイタコン酸およびマレイン酸構成成分を含む請求項1に記載の肥料組成物。
【請求項3】
前記共重合体が約10−90重量%のマレイン酸構成成分および約90−10重量%のイタコン酸構成成分を含む共重合体である請求項1に記載の肥料組成物。
【請求項4】
前記組成物の全重量を100重量%とする時、前記共重合体が約0.05−5重量%の量で存在する請求項1に記載の肥料組成物。
【請求項5】
前記共重合体は、硫酸および/またはカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの植物利用性が、被覆なしミネラル肥料での対応する植物利用性よりも大きくなる量で存在する請求項1に記載の肥料組成物。
【請求項6】
前記ミネラル肥料は商用グレード農業ジプサムの形態である請求項1に記載の肥料組成物。
【請求項7】
前記共重合体が、Na、K、およびこれら組合せの部分塩である請求項1に記載の肥料組成物。
【請求項8】
前記共重合体が、前記マレイン酸およびイタコン酸構成成分以外の構成成分を実質的に含まない請求項1に記載の肥料組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の肥料組成物を土壌に適用する工程を含む土壌に施肥する方法。
【請求項10】
前記共重合体が少なくとも約93重量%のイタコン酸およびマレイン酸構成成分を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記共重合体が約10−90重量%のマレイン酸構成成分および約90−10重量%のイタコン酸構成成分を含む共重合体である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物の全重量を100重量%とする時、前記共重合体が約0.05−5重量%の量で存在する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記共重合体が、硫酸および/またはカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの植物利用性が、被覆なしミネラル肥料での対応する植物利用性よりも大きくなる量で存在する請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記共重合体が、Na、K、およびこれら組合せの部分塩である請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記共重合体が、前記マレイン酸およびイタコン酸構成成分以外の構成成分を実質的に含まない請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記ミネラルが農業ジプサムを含む請求項9に記載の方法。
【請求項17】
ジプサム、1または複数のキーゼライト族のメンバー、硫酸カリウムマグネシム、元素硫黄およびこれらの組合せからなる群より選ばれる所定量の肥料ミネラルを準備する工程、
該肥料ミネラルの少なくとも一部を、各個別量のマレイン酸およびイタコン酸構成成分を含有する酸型または塩型共重合体からなる群より選ばれる共重合体であって水性分散液中に含まれかつpHが約0.1−2である共重合体でコーティングする工程、および
前記分散液の乾燥残渣が前記肥料ミネラルと接触するように該分散液を乾燥させる工程を含む肥料組成物の製造方法。
【請求項18】
前記共重合体のpHが約0.2 −0.8である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記共重合体が、Na、K、およびこれら組合せの部分塩である請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物の全重量を100重量%とする時、前記共重合体が約0.05−5重量%の量で存在する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記共重合体が、硫酸および/またはカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの植物利用性が、被覆なしミネラル肥料での対応する植物利用性よりも大きくなる量で存在する請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記ミネラルが農業ジプサムを含む請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2013−506617(P2013−506617A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532214(P2012−532214)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/050244
【国際公開番号】WO2011/043941
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(503324254)スペシャルティー ファーティライザー プロダクツ エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】