説明

ポリ乳酸系フィルムのロール状物

【課題】「たるみ」や「こぶ」が発生することのない、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸系フィルムのロール状物は、ポリ乳酸系フィルムの表面の十点平均粗さRzが2.0以下であり、このポリ乳酸系フィルムを巻回したロール状物の表面硬度が、日本工業規格JIS K7312に基づいて、C型ゴム硬度計で測定したときの値が86〜95度の範囲内である。ここで、ポリ乳酸系フィルムの平均厚みは7〜80μmの範囲内であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性フィルムのロール状物に関し、特に、ポリ乳酸系フィルムのロール状物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラスチック製品の多く、特にプラスチック包装材は使い捨てにされることが多く、使用後、廃棄された後の処理が問題となっている。一般包装用プラスチックの材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、これらの樹脂は燃焼時の発熱量が多いので、燃焼処理中に燃焼炉を傷める恐れがある。また現在でも使用量の多いポリ塩化ビニルは、その自己消化性のため燃焼することができない。このような焼却できない材料も含めプラスチック製品は土中に埋め立て処理されることが多いが、これらは自然環境中で長期にわたって安定であるためほとんど分解せず残留し、蓄積される。そのためゴミ埋立処理地の短命化を促進したり、自然環境中に投棄されると、自然の景観を損なったり、海洋生物等の生活環境を破壊する。
そこで、燃焼熱量が低く、自然環境下で経時的に分解、消失する材料の研究、開発が活発に行われている。このような材料の1つとして注目されているのがポリ乳酸である。ポリ乳酸は燃焼時の発熱量がポリエチレンの半分以下であり、また土中や水中で加水分解や生分解によって徐々に崩壊、分解が進行し、最終的には微生物の作用によって無害な分解物となる。さらに、出発原料が植物由来であるので、枯渇する石油資源に依存しなくてすむという利点がある。
【0003】
現在、ポリ乳酸を用いてフィルムやシート、あるいはボトル等の容器を得ることが求められている。ポリ乳酸は脆性が高いので、柔軟性、強靭性を要求されるフィルムには適していないが、1軸もしくは2軸に延伸したフィルムは脆性が改良されることが知られている。
しかし、ポリ乳酸は吸水性であるためフィルムの保存状態によっては、以下のようなことが生じることがある。
ロール状に巻回したフィルム(通常のフィルムの保管状態)は、ロール状の最外面と、ロールの端部とから空気中の水分を吸収する。さらに、ロール状フィルムに巻き隙があると、ロール端部の巻き隙部から空気が浸入しやすくなっているので、より水分を吸収しやすい状態となる。ロール端部から水分を吸収したフィルムは、端部の寸法が中央部の寸法に比べて長くなるので、いわゆる「たるみ」が生じる。一方、「たるみ」を防止するため、硬く巻き締まった状態で巻回した場合には、いわゆる「こぶ」が発生しやすい。特に、フィルムの厚みが均一でなく、例えば幅方向で厚みに偏りがある場合には、こぶが出来やすい。
そこで、「たるみ」や「こぶ」が発生することのない、良好な状態で巻回されたポリ乳酸系フィルムのロール状物が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、たるみ、こぶが発生することのないポリ乳酸系フィルムのロール状物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のポリ乳酸フィルムのロール状物は、ポリ乳酸系フィルムの表面の十点平均粗さRzが2.0以下であり、該ポリ乳酸系フィルムを巻回したロール状物の表面硬度が、日本工業規格JIS K7312に基づいて、C型ゴム硬度計で測定したときの値が86〜95度の範囲内であることを特徴とする。
ここで、前記ポリ乳酸系フィルムの平均厚みは7〜80μmの範囲内であることができる。
また、前記ポリ乳酸系フィルムは、少なくとも片面のぬれ張力が400μN/cm以上であることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、「たるみ」や「こぶ」が発生することのない、良好な状態で巻回されたポリ乳酸系フィルムのロール状物を提供することができる。また、長期間保管等しても水分吸収がなく、しかも帯電防止処理等を施してもポリ乳酸系フィルムのぬれ張力が経時的に低下することがないポリ乳酸系フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のポリ乳酸系フィルムロール状物は、ポリ乳酸系フィルムを巻回したものであり、そのロール状態の表面硬度が、日本工業規格JIS K7312に基づき、ゴム硬度計を用いて測定した値(ゴム硬度)が86〜95度の範囲内であることが必要であり、88〜93度の範囲内であることが好ましい。ロール状物の表面硬度が86〜95度の範囲内であれば、フィルムに「たるみ」や「こぶ」が発生することなく、良好に巻回することができる。換言すれば、ロール状物の表面硬度が86度未満では、ロール状物に巻き隙が生じ、たるみ発生の要因となる。また、表面硬度が95度を越えると、硬く巻き締まった状態になるので、こぶが発生しやすくなり、その結果としてこぶの上に巻かれたフィルムに「たるみ」が生じる。
【0008】
ロール状に巻回されるポリ乳酸系フィルムは、ポリ乳酸系重合体を用いて形成されたフィルムであり、フィルム表面の十点平均粗さRzが2.0以下である。十点平均粗さRzが2.0より大きいと、フィルムをロール状に巻回した際に、巻き隙が発生し、フィルムに「たるみ」が生じる。また、フィルムに透明性が要求される場合には、Rzが2.0より大きいと弊害になる。
【0009】
なお、フィルムとは、JISにおける定義上、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう。ところで、シートとは、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。(JIS K 6900)。フィルムとシートの境界は定かでなく、明確に区別しにくいので、本願においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0010】
本発明において、ロール状に巻回されるポリ乳酸系フィルムは、ロール状の表面硬度を86〜95度とするため、その平均厚みが7〜80μmの範囲内、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜60μmの範囲内で選択される。ポリ乳酸系フィルムの厚みが厚くなりすぎると、剛性が高くなるのでフィルムの巻き隙による「たわみ」は生じにくくなるが、表面硬度86〜95度を達成することができない場合がある。また、フィルムの厚みが薄くなりすぎると、ロール状に巻回している途中でフィルムが破断する恐れがあり、したがって、巻き硬さを弱くすると所定の表面硬度を達成することができない場合がある。
【0011】
また、ロール状に巻回されるポリ乳酸系フィルムは、少なくとも一方の表面のぬれ張力が400μN/cm以上であることが好ましい。ポリ乳酸系フィルムは、表面に印刷を施したり、接着剤を介して紙や他のプラスチックフィルム、あるいは金属箔をラミネートすることがしばしば行われる。ところが、ポリ乳酸系フィルムは表面のぬれ張力が低いので、形成した印刷層や接着剤層が剥がれやすかった。そのため、フィルムに処理を施してぬれ張力を向上させておくことが好ましい。表面のぬれ張力が400μN/cm以上であれば、形成された印刷層や接着剤層が剥離することはない。なお、本発明において「ぬれ張力」は、JIS K6768に基づいて測定した値である。
フィルムのぬれ張力を向上させる方法としては、薬剤処理、フレーム処理、プラズマ処理、コロナ処理等がある。コロナ処理は、従来のフィルム製造ラインにコロナ処理装置を配置することにより、簡便にフィルムにコロナ処理を施すことができるので、好ましく使用されている。
なお、薬剤処理、フレーム処理、プラズマ処理、コロナ処理等は従来公知の方法に基づいて行うことができる。
【0012】
本発明におけるポリ乳酸系フィルムはポリ乳酸系重合体を主成分とする樹脂組成物から成る。本発明に用いられるポリ乳酸系重合体としては、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、単位構造がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸の両方である共重合体、すなわちポリ(DL−乳酸)や、これらの混合体が挙げられる。
【0013】
ポリ乳酸系重合体の重合法としては、縮合重合法、開環重合法など公知の方法を採用することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸又はD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を、直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。
また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、適当な触媒、例えばオクチル酸スズ等を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。
【0014】
本発明において使用されるポリ乳酸系重合体は、重量平均分子量が6万〜70万であることが好ましく、さらに好ましくは8万〜60万、特に好ましくは10万〜30万である。ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量が小さすぎると機械物性や耐熱性等の実用物性がほとんど発現されず、大きすぎると溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣ることがある。
【0015】
本発明においては、耐熱性を向上させる等のために、少量の共重合成分として、テレフタル酸等の非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール等を用いることができる。また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもできる。
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体は、さらに乳酸及び/又は乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸等の他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、脂肪族ジオール及び/又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体であっても良い。
ただし、ポリ乳酸系重合体成分は50質量%以上含むものとする。
【0016】
他のヒドロキシカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
ポリ乳酸系重合体に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等が挙げられる。
【0017】
ポリ乳酸系重合体の共重合体組成や分子量等を調整することによって、ポリ乳酸系重合体換算融解熱量を特定の範囲、例えば、20J/g〜60J/gの範囲にすることができる。
【0018】
本発明において、ポリ乳酸系重合体には、柔軟剤として他の脂肪族ポリエステルを含むことができる。ここで脂肪族ポリエステルとは、脂肪族(脂環族も含む。以下同様)ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とを縮合重合して得られる重合体を主成分とするものである。
【0019】
上記脂肪族ポリエステルは、直接法、間接法等の公知の方法によって得ることができる。ここで直接法とは、脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とを、各成分中に含まれる水分を除去しながら、あるいはこれらの各成分を重合している際に発生する水分を除去しながら、直接重合して高分子量物を得る方法である。間接法は、脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とをオリゴマー程度に重合した後、少量の鎖延長剤を使用して高分子量物を得るという間接的な製造方法である。
【0020】
脂肪族ジカルボン酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、またはこれらの無水物や誘導体が挙げられ、2種類以上を併用することもできる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール、またはこれらの誘導体が挙げられ、2種類以上を併用することもできる。脂肪族ジカルボン酸単位および脂肪族ジオール単位は、いずれも、炭素数2〜10のアルキレン基またはシクロアルキレン基を有する2官能性化合物を主成分とするものであることが好ましい。
【0021】
上記脂肪族ポリエステルとしては、下記一般式(1)の構造を有する脂肪族ポリエステルが好ましいものとして挙げられる。ただし、脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は2万〜30万であることが好ましく、15万〜25万であることが更に好ましい。脂肪族ポリエステルの重量平均分子量が2万〜30万の範囲内であれば、ポリマーとしての性質が劣ったり、経時的にブリードアウトしたりすることがなく、また、ヒートシール性を向上させることもできる。さらに、脂肪族ポリエステルの重量平均分子量が2万〜30万の範囲内であれば、溶融粘度が高くなりすぎてポリ乳酸との混合性が低下したり、押出し成形性の低下をきたすことがない。
【0022】

式中、RおよびRは、炭素数2〜10のアルキレン基またはシクロアルキレン基である。nは、重量平均分子量が2万〜30万となるのに必要な重合度である。n個のRまたはRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、式(1)で表される脂肪族ポリエステルは、エステル結合残基に代えて、ウレタン結合残基及び/又はカーボネート結合残基を重量平均分子量の5%まで含有することができる。
【0023】
耐衝撃性、耐寒性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましい。
特に好ましく使用される脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリエチレンスベレート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンデカンジカルボキシレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリブチレンサクシネートアジペートやこれらの共重合体が挙げられる。
【0024】
また上記脂肪族ポリエステルは、溶融粘度の向上のためにポリマー中に分岐を設ける目的で、3官能以上のカルボン酸又はアルコール、あるいはヒドロキシカルボン酸を用いてもよい。具体的には、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、あるいはペンタエリスリトールやトリメチロールプロパン等の多官能成分を用いることができる。ただし、これらの多官能成分を多量に用いた場合には得られるポリマーが架橋構造を有するので、熱可塑性でなくなったり、熱可塑性であったとしても部分的に高度に架橋構造を有するミクロゲルが生じ、フィルムに成形したときにフィッシュアイとなる恐れがある。従って、これら多官能成分の使用量はごく僅かであることが好ましく、ポリマーの化学的性質、物理的性質等を大きく左右しない程度の量に制限される。
【0025】
本発明においては、上記脂肪族ポリエステルとともに、または脂肪族ポリエステルに代えて、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体(その一部がエステル交換された生成物や、少量の鎖延長剤残基を含む生成物も含む)を使用することができる。このブロック共重合体は、任意の方法で調整することができる。例えば、ポリ乳酸系重合体または脂肪族ポリエステルのいずれか一方の存在下で、他方の構成成分であるモノマーを重合させることによりブロック共重合体を得ることができる。通常は、予め準備した脂肪族ポリエステルの存在下でラクチドの重合を行うことにより、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルのブロック共重合体を得る。基本的には、脂肪族ポリエステルを共存させる点が相違するだけで、ラクチド法でポリ乳酸系樹脂を調整する場合と同様に重合を行うことができる。この時、ラクチドの重合が進行すると同時に、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルの間で適度なエステル交換反応が起こり、比較的ランダム性が高い共重合体が得られる。出発物質として、ウレタン結合を有する脂肪族ポリエステルウレタンを用いた場合には、エステル−アミド交換も生成する。
【0026】
本発明においては、ポリ乳酸系重合体と上記脂肪族ポリエステルとの配合割合は、重量比で97:3〜40:60の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは90:10〜50:50の範囲内である。
【0027】
本発明においては柔軟剤として可塑剤を単独で、あるいは上記脂肪族ポリエステルと併用して用いることができる。本発明に用いられる可塑剤としては、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレエート等のマレイン酸誘導体、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル等の低分子化合物、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレート等の高分子可塑剤等が挙げられる。
これらの可塑剤のうち、トリアセチン(グリセリントリアセテート)及び重合度2〜10程度の乳酸オリゴマー等が好ましく使用される。
【0028】
可塑剤の配合割合は、ポリ乳酸系重合体100質量%に対して5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましい。可塑剤の配合割合が5質量%を下回ると、ポリ乳酸系フィルムの剛性を十分に低下させることができない場合がある。可塑剤の配合割合が40質量%を上回ると、ポリ乳酸系フィルムのガラス転移温度が室温よりかなり低くなるので、製膜の際に取り扱いに困難を生じる場合がある。また、取り扱いに困難を生じなかったとしてもフィルム表面に可塑剤が移行して(いわゆるブリードアウト)、フィルム表面がべとつき、滑り性を低下させることがある。また、可塑剤の配合割合が40質量%以下であれば、本発明のポリ乳酸系フィルムで物体を包装した場合でも被包装物体に可塑剤が移行することもない。
【0029】
本発明に係るポリ乳酸系フィルムの製造においては、諸物性を調整する目的で、さらに熱安定剤、光安定剤、光吸収剤、滑剤、無機充填剤、着色剤、顔料等を添加することもできる。
また本発明においては、無機粒子等を配合してフィルム表面を粗すことで、フィルムの滑り性・アンチブロッキング性を付与することが好ましい。かかる無機粒子としては、例えば、不活性の酸化けい素(シリカ)、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、アルミナ等が挙げられ、好ましくは、シリカ等の二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、二酸化チタン、カオリン等が挙げられ、特に好ましくは、シリカ等の二酸化ケイ素である。上記無機粒子は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
無機粒子の配合量は、諸物性等を考慮しながら適宜決定されるが、フィルムに透明性が要求される場合には、例えば、0.01〜1質量部の範囲内で混合することが好ましい。また、フィルムの巻き上げ性の点を考慮するならば表面粗さが高い方がよいが、十点平均粗さRzが2.0を超えるものは巻き隙が大きくなるので前述のごとく「たるみ」を生じ、また、透明性が要求される場合にはRzが2.0を超えるものは不適当である。
【0030】
ポリ乳酸系重合体と柔軟剤(脂肪族ポリエステル及び/又は可塑剤)等の混合は、同一の押出機にそれぞれの原料を投入して行われる。各材料を混合した後、そのまま金口より押出して直接フィルムを製造するか、あるいはストランド形状に押し出してペレットを作製した後、得られたペレットを再度押出機に投入してフィルムを製造することにより、ポリ乳酸系重合体フィルムが得られる。ただし、いずれの方法においても、分解による分子量の低下を考慮しなければならない。したがって、ポリ乳酸系重合体のL−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比による融点変化、脂肪族ポリエステルの融点および混合の割合等を考慮して、適宜、溶融押出温度を選択する必要がある。実際には100〜250℃の温度範囲が通常選ばれる。
【0031】
本発明に係るポリ乳酸系重合体フィルムの製造方法としては、Tダイキャスト法、インフレーション法等による実質無延伸のフィルムを得る方法と、テンター法、ロール延伸法、チューブラー法等による延伸フィルムを得る方法の2種類がある。ここでは延伸フィルムの製造方法について、中でもテンター法による延伸フィルムの製造方法について言及するが、これらに限定されるものではない。
【0032】
延伸フィルム、特に2軸延伸フィルムの製造では、加熱ロールにフィルムを接触させロール間の周速差により縦延伸を行う工程と、レール上を稼動しているクリップによってフィルムを把持し、加熱炉に導いて延伸及び熱処理を行う工程とを有する逐次二軸延伸法、フィルムを把持したクリップが縦方向に加速されながら横方向にも拡がって、縦横同時にフィルムが延伸される同時二軸延伸法がある。本発明においては、いずれの方法でも、フィルムを加熱炉で一旦加熱し、延伸した後、熱処理を行うことが好ましい。熱処理条件は、温度が70℃〜160℃であることが好ましく、さらに好ましくは90℃〜140℃、特に好ましくは100〜140℃であり、処理時間が1秒〜5分の範囲内であることが好ましい。温度が70℃未満では熱処理効果を得にくく、160℃より高いとシートがドローダウンしやすい。処理時間が5秒未満では熱処理効果が得にくく、5分を上回ると熱処理設備が長大なものとなり、経済性が低下する。
【0033】
本発明においては必要に応じて、ポリ乳酸系フィルムに帯電防止処理、防曇処理等を施すことができる。例えば、ポリ乳酸系フィルムの内部に帯電防止剤、防曇剤等を練り込んだり、あるいはポリ乳酸系フィルムの少なくとも一方の表面に帯電防止剤、防曇剤等を含有する塗液を塗布することによって行われる。帯電防止剤及び防曇剤としては、界面活性剤を主成分とするものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。帯電防止剤及び界面活性剤として、例えば、アニオン系もしくはカチオン系の界面活性剤、あるいはノニオン系であってもSP値の高い部位をもつ、親水性の化合物等を用いることができる。帯電防止剤は主に空気中の水分を吸着することによって静電気を抑制するものであり、また防曇剤は、例えば野菜や魚肉類等の食品をフィルムで包装した場合にはこの食品から蒸散した水分を細かくフィルム表面に分散させて連続層をつくることによって水滴を形成させることを抑制するものである。したがって、帯電防止効果及び防曇効果が発揮されるためには、フィルムの水分率が0.1%以上であることが好ましく、更に好ましくは0.15%以上である。ただし、フィルムの水分率が0.5%を超えるとフィルム表面にべとつきが生じたり、また、フィルム表面のぬれ張力を低下させることがあるので、フィルムの水分率は0.5%以下であることが好ましい。
【0034】
ポリ乳酸系フィルムは、通常の環境下に放置されると水分を吸収する性質がある。さらに、ポリ乳酸系フィルムに帯電防止処理や防曇処理を行うと、フィルムはより多くの水分を吸収するようになる。すると、フィルム表面にぬれ張力を向上させるための処理を行っていたとしても、ぬれ張力の経時低下をきたすので、フィルム表面に形成した印刷層等が剥離しやすくなる等の問題も発生する。通常、コロナ処理直後のぬれ張力に対する経時低下は、乾燥条件下では10μN/cm程度であるが、高湿度条件下では更に大きくなり、例えば、450μN/cm以上に設定されたぬれ張力が400μm/cmを下まわることすらある。なお、フィルムに無機フィラーを混合した場合にも、同様のことが言える。ロール状に巻回したポリ乳酸系フィルムは、ロール状の最外面から、しかも、ロールの端部から空気中の水分を吸収するが、ロール状フィルムに巻き隙があると、そこから空気が浸入して水分が吸収される。そのため、ロール状フィルムは巻き隙がないように良好な状態で巻回されていることが必要である。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例において使用された各種測定値及び評価方法は、下記に示す方法で測定し、評価を行って求めた。
【0036】
(1)フィルムの平均厚み
ダイヤルゲージ式厚み測定器を用いて、フィルム上に十点を無作為に選択して測定し、その平均値を求めた。
【0037】
(2)十点平均粗さ
測定は、日本工業規格JIS B0601に記載されている方法に基づいて行った。(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器「SE−3F」を用い、十点平均粗さ(Rz)を求めた。ただし、測定器の触針先端半径は2μm、荷重は30mgとし、測定長さは8mm、カットオフ値は0.08mmとした。
【0038】
(3)フィルムロール状物の表面硬度
フィルムをスリットした後、ロール状に巻き上げて、フィルムの表面硬度を測定した。表面硬度は、JIS K 7312に基づいて、C型ゴム硬度計を使用し、一定荷重1.6kgを与え、フィルムロール状物の上部面を、ロール状物の一方の端部から他端部までを50mm間隔で測定した。測定値は、その平均値を算出して表面硬度とした。例えば800mm幅のフィルムでは、15箇所測定することになる。ゴム硬度計としては、高分子計器(株)製、型式アスカーCを使用した。押針の形状は丸型で、高さ2.54、直径5.08半球、スプリング荷重は0度で539mNであり、100度で8379mNである。
【0039】
(4)ぬれ張力の経時変化
フィルムにコロナ処理を行った直後のぬれ張力と、フィルムをロール状に巻回して、温度23℃、湿度50%の下で2ヶ月間放置した後のフィルムのぬれ張力とを、JIS K6768に基づいて測定した。
【0040】
(5)総合評価
評価項目のすべてにおいて良好な評価が得られた場合には「○」で示し、1つでも不良な評価があった場合には「×」で示した。
【0041】
(実施例1)
ポリ乳酸(カーギル・ダウ社製、「4031D」)と、アンチブロッキング剤として平均粒子径3.5μmのシリカ(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア440)1質量部とを乾燥させた後、40mmφ同方向二軸押出機に投入した。二軸押出機において約210℃で溶融混合し、ストランドにして押出し、冷却しながらペレット状にカットした。このペレットをマスターバッチとし、乾燥させて、同じく乾燥させたポリ乳酸系重合体及びシリカと混合し、40mmφ同方向二軸押出機に再度投入した。ただし、シリカの配合量が0.1質量部になるように混合してある。二軸押出機において、設定温度210℃で溶融押出し、回転する45℃の冷却ドラムに接触させて急冷固化させ、実質的に非晶質のポリ乳酸系フィルムを作製した。続いて、作成したフィルムを連続的に温水循環式ロールと接触させつつ加熱し(但し、赤外線ヒーターを併用)、周速差ロール間で縦方向に73℃で3.0倍に延伸し、次いでこの縦方向に延伸したシートをクリップで把持しながらテンターに導き、フィルム流れの垂直方向(MD)に75℃で3.5倍に延伸した。その後、140℃で約15秒間加熱処理を行って、厚みが40μmのポリ乳酸系フィルムを作製した。次に、作製したポリ乳酸系フィルムにコロナ処理を行い、処理後直ぐにワインダーに巻き取った。ただし、フィルムのぬれ張力が460μN/cmになるようにコロナ処理が施された。得られたポリ乳酸系フィルムをフィルムNo.1とする。フィルムNo.1の平均厚みは40μm、十点平均粗さは1.6μmであった。
【0042】
フィルムNo.1をスリッターを用いて切断した後、内径76mm、肉厚10mmの紙管に、コロナ処理した面が内側面となるようにし、ロール状物の表面硬度が87度となるように調整して巻回し、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を形成した。ただし、巻回したポリ乳酸系フィルムは、幅800mm、長さ500mであった。
得られたポリ乳酸系フィルムのロール状物を目視観察し、巻きズレ、たるみ、巻きこぶに由来するたるみが有るか否かを調べ、また、ぬれ張力の経時変化について評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】
(実施例2)
実施例1において、フィルムNo.1のポリ乳酸系フィルムを、表面硬度が94度となるように調整して巻回した以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を形成した。得られたポリ乳酸系フィルムのロール状物について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0044】
(実施例3)
合成したポリ乳酸系重合体と、脂肪族ポリエステルとしてポリブチレンサクシネート/アジペート(昭和高分子(株)製、商品名:ビオノーレ#3003)とを質量比で87:13になるよう混合したものに、アンチブロッキング剤として平均粒子径3.5μmのシリカ(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア440)1質量部を加えて乾燥させた後、40mmφ同方向二軸押出機に投入した。二軸押出機において約210℃で溶融混合し、ストランドにして押出し、冷却しながらペレット状にカットした。このペレットをマスターバッチとし、乾燥させて、同じく乾燥させたポリ乳酸系重合体及びシリカと混合し、40mmφ同方向二軸押出機に再度投入した。ただし、シリカの配合量が0.1質量部になるように混合してある。二軸押出機において、設定温度210℃で溶融押出し、回転する45℃の冷却ドラムに接触させて急冷固化させ、実質的に非晶質のポリ乳酸系フィルムを作製した。続いて、作成したフィルムを連続的に温水循環式ロールと接触させつつ加熱し(但し、赤外線ヒーターを併用)、周速差ロール間で縦方向に73℃で2.8倍に延伸し、次いでこの縦方向に延伸したシートをクリップで把持しながらテンターに導き、フィルム流れの垂直方向(MD)に75℃で3.5倍に延伸した。その後、140℃で約20秒間加熱処理を行って、厚みが25μmのポリ乳酸系フィルムを作製した。次に、作製したポリ乳酸系フィルムにコロナ処理を行い、処理後直ぐにワインダーに巻き取った。ただし、フィルムのぬれ張力が460μN/cmになるようにコロナ処理が施された。得られたポリ乳酸系フィルムをフィルムNo.2とする。フィルムNo.2の平均厚みは25μm、十点平均粗さは1.8μmであった。
【0045】
フィルムNo.2をスリッターを用いて切断した後、内径76mm、肉厚10mmの紙管に、コロナ処理した面が内側面となるようにしてロール状に巻回した。次に、ロール状に巻回したポリ乳酸系フィルムを巻き出し、コロナ処理した面に、表面塗布型カチオン系帯電防止剤(東邦化学工業(株)製、商品名:アンステックスC−200X)の3質量%水溶液を、リバースコーター式の塗布装置を用いて、乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布した。ただし、乾燥温度は80℃に設定した。その後、帯電防止剤水溶液を塗布した面が内側面となるようにし、その塗布面とは反対側の面にコロナ処理を施しながら、表面硬度が90度となるように調整してロール状に再度巻き上げ、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を形成した。ただし、巻回したポリ乳酸系フィルムは、幅800mm、長さ500mであった。
得られたポリ乳酸系フィルムのロール状物について、実施例1と同様にして、巻きズレ、たるみ、巻きこぶに由来するたるみ、ぬれ張力の経時変化について評価を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
(比較例1)
実施例1において、フィルムNo.1のポリ乳酸系フィルムを、表面硬度が97度となるように調整して巻回した以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を形成した。得られたポリ乳酸系フィルムのロール状物について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0047】
(比較例2)
実施例1において、フィルムNo.1のポリ乳酸系フィルムを、表面硬度が84度となるように調整して巻回した以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を形成した。得られたポリ乳酸系フィルムのロール状物について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0048】
(比較例3)
実施例3において、フィルムNo.2のポリ乳酸系フィルムを、表面硬度が84度となるように調整して巻回した以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を形成した。得られたポリ乳酸系フィルムのロール状物について、実施例3と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0049】
(比較例4)
実施例1におけるフィルムNo.1の作成の際に、アンチブロッキング剤として平均粒子径5.2μmのシリカ(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア450)に変更してマスターバッチを作成し、このマスターバッチを用いた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系フィルムを作製した。次に、作製したポリ乳酸系フィルムにコロナ処理を行い、処理後直ぐにワインダーに巻き取った。ただし、フィルムのぬれ張力が450μN/cmになるようにコロナ処理が施された。得られたポリ乳酸系フィルムをフィルムNo.3とする。フィルムNo.3の平均厚みは40μm、十点平均粗さは2.3であった。
フィルムNo.3をスリッターを用いて切断した後、内径76mm、肉厚10mmの紙管に、コロナ処理した面が内側面となるようにし、ロール状物の表面硬度が88度となるように調整して巻回し、ポリ乳酸系フィルムのロール状物を形成した。ただし、巻回したポリ乳酸系フィルムは、幅800mm、長さ500mであった。
得られたポリ乳酸系フィルムのロール状物について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1から明らかなように、実施例1〜3では、巻きズレ、たるみ、巻きこぶに由来するたるみが認められなかった。また、実施例1〜3では、ぬれ張力が経時的にほとんど低下することもなく、帯電防止処理を施した実施例3においてもぬれ張力の低下はほとんど認められず、総合評価として良好な結果が得られた。
一方、比較例1は、ロール状物の表面硬度が95より大きかったので、巻きこぶができ、それによってたるみが長手方向に発生した。比較例2及び3は、ロール状物の表面硬度が86未満であったので、巻きズレやたるみが発生し、また、ぬれ張力の経時低下が大きかった。特に、帯電防止処理を施した比較例3は、ぬれ張力の経時劣化が大きく、実施例3との比較において以下のことが確認された。すなわち、フィルムに帯電防止処理等を施すと、空気中の水分を吸収しやすくなるので、フィルム表面がべとついたり、ぬれ張力が低下しやすいが、本発明の構成を採用することによって、フィルムに帯電防止処理を施した場合でも経時的にぬれ張力が低下することはない。比較例4では、フィルム表面の十点平均粗さが2.0より大きいため巻き隙ができ、結果としてロール状物にたるみが発生した。また、比較例4では、ぬれ張力の経時低下が大きかった。
【0052】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、「たるみ」や「こぶ」が発生することのない、良好な状態で巻回されたポリ乳酸系フィルムのロール状物を提供することができる。また、長期間保管等しても水分吸収がなく、しかも帯電防止処理等を施してもポリ乳酸系フィルムのぬれ張力が経時的に低下することがないポリ乳酸系フィルムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明では、たるみおよびこぶが発生することのないロール状物を実現することができるので、生分解フィルムをロール状に巻回して保存することが必要な場案に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸系フィルムの表面の十点平均粗さRzが2.0以下であり、該ポリ乳酸系フィルムを巻回したロール状物の表面硬度が、日本工業規格JIS K7312に基づいて、C型ゴム硬度計で測定したときの値が86〜95度の範囲内であり、かつ、該ポリ乳酸系フィルムの水分率が0.1%以上、0.5%以下であることを特徴とするポリ乳酸系フィルムのロール状物。
【請求項2】
前記ポリ乳酸系フィルムの平均厚みが7〜80μmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系フィルムのロール状物。
【請求項3】
前記ポリ乳酸系フィルムは、少なくとも片面のぬれ張力が400μN/cm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリ乳酸系フィルムのロール状物。

【公開番号】特開2009−52056(P2009−52056A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312138(P2008−312138)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【分割の表示】特願2002−362109(P2002−362109)の分割
【原出願日】平成14年12月13日(2002.12.13)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】