説明

ポリ(THF)系ポリウレタン分散体

本発明は、異なった平均モル質量を有する少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールおよび少なくとも2つの異なったポリイソシアネート成分を用いて製造される新規なポリウレタン水性分散体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なった平均モル質量を有する少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールおよび少なくとも2つの異なったポリイソシアネート成分を用いて製造される新規なポリウレタン水性分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン水性分散体は、例えば被覆物組成物および接着剤の基礎として、文献により知られる。これらの分散体は、広い範囲の調節可能な特性を有する。しかしながら、所望の特性プロファイルを有するフィルムを製造することは、例えば適当な構成成分の必要な組成物が安定性分散体をもたらさないので、必ずしも可能であるとは限らない。
【0003】
また、その優れた低温柔軟性および弾性により、ポリウレタン分散体は、編織布支持体の被覆物に用いられる。この場合、ポリマーが、可能な限り、加水分解について低い傾向を有する構成成分から構成されることが特に重要である。
【0004】
WO−07022885では、エチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールの高い割合を有するポリエステルポリオールから構成される弾性ポリウレタン分散体が開示される。しかしながら、不安定性エステル結合により、生成物は、加水分解に安定性ではない。
【0005】
DE−A10122444では、高弾性をも示す、ポリカーボネートおよびポリテトラメチレングリコールに基づくポリウレタン分散体が記載される。しかしながら、開示の分散体は、1000%よりかなり小さい伸びを示す。
【0006】
WO−06075144では、ジイソシアネート、ポリテトラメチレングリコールおよびポリイミンから構成されるポリウレタン溶液が開示され、該ポリウレタン溶液のフィルムは高弾性を示す。しかしながら、生成物は、非水溶性ではなく、従って十分に環境に優しいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第07022885号パンフレット
【特許文献2】ドイツ国特許出願第10122444号明細書
【特許文献3】国際公開第06075144号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高弾性、良好な機械特性および心地よい感触を有するフィルムをもたらすポリウレタン水性分散体を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、異なった平均モル質量を有する少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールおよび少なくとも2つの異なったポリイソシアネート成分を用いて製造される新規なポリウレタン水性分散体により達成された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従って、本発明は、異なった数平均分子量Mを有する少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオール((HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H)A2a)およびA2b)を用いて製造され、関係するジオール前駆体は、400〜8000g/モル、好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%、好ましくは30〜70%である数平均分子量Mを有する、ポリウレタン水性分散体を提供する。数平均分子量Mの決定は、ポリスチレン標準に対してテトラヒドロフラン中で23℃においてゲル浸透クロマトグラフィーにより行う。
【0011】
好ましいのは、
A1)互いに異なった少なくとも2つの有機ジ−またはポリイソシアネート、
A2)構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H)を有する互いに異なった少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールA2a)およびA2b)、ここで、関係するジオール前駆体は、400〜8000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%である数平均分子量Mを有し、
A3)必要に応じて、好ましくは62〜399g/モルの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、および
A4)必要に応じて、非イオン性親水性化剤、
および
1以上のアミノ官能性化合物B)
から得られるポリウレタンを含むポリウレタン水性分散体である。
【0012】
上記分散体は、いずれの場合にもポリウレタンの全量を基準として好ましくは20重量%未満、特に好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満の400〜8000g/モルの数平均分子量Mを有するジオール前駆体を含有し、該ジオール前駆体は、A2)に相当しない。
【0013】
より好ましくは、ジオール前駆体を含まず、該ジオール前駆体は、A2)に相当しない。
【0014】
特に好ましいのは、
A1)互いに異なった2つの有機ジ−またはポリイソシアネート、
A2)構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H)を有する互いに異なった2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールA2a)およびA2b)、ここで、関係するジオール前駆体は、400〜8000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%である数平均分子量Mを有し、
および
1以上のアミノ官能性化合物B)
からなるポリウレタンを含むポリウレタン水性分散体である。
【0015】
本発明の範囲内のポリウレタンは、以下の構造:
【化1】

を有する、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つのウレタン基含有繰り返し単位を有するポリマー化合物である。
【0016】
本発明によれば、その製造により、イソシアネート末端プレポリマーA)とアミノ官能性化合物B)との反応中に形成される、以下の構造:
【化2】

を有するウレア基含有繰り返し単位を有する上記ポリウレタンも含まれる。
【0017】
好ましい実施態様では、本発明に必要なポリウレタン水性分散体は、
A)イソシアネート官能性プレポリマーを、
A1)互いに異なった少なくとも2つの有機ジ−またはポリイソシアネート、
A2)構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H)をそれぞれ有する互いに異なった少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールA2a)およびA2b)、ここで、関係するジオール前駆体は、400〜8000g/モル、好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%、好ましくは30〜70%である数平均分子量Mを有し、
A3)必要に応じて、好ましくは62〜399g/モルの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、および
A4)必要に応じて、非イオン性親水性化剤
から製造し、
および
B)次いで、その遊離NCO基を、1以上のアミノ官能性化合物B)、例えば第1級および/または第2級アミンおよび/またはジアミン等と完全にまたは部分的に反応させ、
このようにして得られたポリウレタンを、工程B)前、工程B)中または工程B)後に分散させることにより製造する。
【0018】
特に好ましい実施態様では、A2a)は、400〜1500、特に好ましくは600〜1200、さらに特に好ましくは1000g/モルの数平均分子量Mを有する。同時に、A2b)は、1500〜8000、特に好ましくは1800〜3000、さらに特に好ましくは2000g/モルの数平均分子量Mを有する。
【0019】
A2a)〜A2b)の重量比は、0.1〜10の範囲、特に好ましくは0.2〜10の範囲、さらに特に好ましくは1〜6の範囲である。
【0020】
特に好ましい実施態様では、本発明によるポリウレタン分散体は、400〜8000g/モルの数平均分子量Mを有する他のジオールを有さない。
【0021】
本発明に必要なポリウレタンは、好ましくは直鎖または分枝状分子、特に好ましくは直鎖状分子である。
【0022】
本発明により好ましく用いるポリウレタンの数平均分子量は、典型的には1000〜200000g/モル、好ましくは5000〜150000g/モルである。
【0023】
本発明に必要なポリウレタンの製造では、イソシアネート官能性プレポリマーA)の製造を、特に好ましくは最初に行い、次いで第2工程B)において、該イソシアネート官能性プレポリマーA)と1つのジアミンまたは複数のジアミンとの鎖延長を伴う反応を行う。さらに、連鎖停止剤として単官能性アミンを添加して分子量を制御することが可能である。
【0024】
成分B)として、一方では、アミンは、イオン基またはイオノーゲン基、例えばアニオン的親水性化基等を有さないアミン(以下、成分B1)と称する)を好ましく用いることができ、他方では、さらに、アミンは、イオン基またはイオノーゲン基、例えばアニオン的親水性化基等を有するアミン(以下、成分B2)と称する)を用いる。
【0025】
好ましくは、工程B)、プレポリマーA)の反応では、成分B1)および成分B2)の混合物を反応させる。成分B1)を用いることにより、高いモル質量を、予め製造したイソシアネート官能性プレポリマーの粘度が処理性を妨げる程度に上昇することなく構成することができる。好ましくは、本発明により用いるポリウレタンは、アニオン基、好ましくはスルホネート基を有する。これらのアニオン基は、工程B)に用いるアミン成分B2)より本発明に従って用いるポリウレタン中へ導入する。本発明に従って用いるポリウレタンは、必要に応じて、親水性化する目的のための非イオン成分を更に含有する。特に好ましくは、専らスルホネート基のみが、親水性化するために本発明に従って用いるポリウレタン中に含まれるが、該スルホネート基は、成分B2)として対応するジアミンよりポリウレタン中へ導入する。
【0026】
良好な沈殿安定性を得るために、特別なポリウレタン分散体の数平均粒度は、750nm未満、特に好ましくは500nm未満、さらに特に好ましくは20〜450nmの範囲であり、脱イオン水で希釈後にレーザー相関分光法により決定される(装置: Malvern Zetasizer 1000、Malvern Inst.Limited)。本発明に従うポリウレタン分散体の固形分は、通常10〜70、好ましくは30〜65、特に好ましくは40〜60重量%である。固形分は、一定重量に達するまで計量試料を125℃に加熱することにより決定する。一定重量において、固形分は、試料を再び計量することにより計算する。
【0027】
好ましくは、上記ポリウレタン分散体は、分散体の質量を基準として、好ましくは5重量%、特に好ましくは0.2重量%の未結合有機アミンを有する。成分A1)の適当なポリイソシアネートは、それ自体当業者に既知の2以上のNCO官能価を有する脂肪族、芳香族または脂環式ポリイソシアネートである。少なくとも2つの異なったジ−またはポリイソシアネートをここで用い、重量比は、2つのイソシアネート成分の場合、1.05〜10の範囲、特に好ましくは1.1〜5の範囲、さらに特に好ましくは1.5〜3の範囲である(より高い質量割合を有する成分をより低い質量割合を有する成分で割る)。
【0028】
好ましい実施態様では、ジイソシアネート成分のみを、ポリイソシアネート成分A1)として組み込み、特に好ましい変法では、正確に2つの異なったジイソシアネート成分A1)を組み込む。
【0029】
適当なジイソシアネートの例は、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の異性体含有量を有するこれらの混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,2’−および/または2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、およびC1〜C8アルキル基を有するアルキル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)である
【0030】
上記ポリイソシアネートの他に、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する2以上の官能価を有する変性ジイソシアネートおよびこれらの混合物の割合を用いることもできる。
【0031】
好ましく用いるのは、専ら脂肪族的にまたは脂環族的に結合したイソシアネート基またはこれらの混合物、および2〜4、好ましくは2〜2.6、特に好ましくは2〜2.4、さらに特に好ましくは2の混合物の平均NCO官能価を有する上記種類のポリイソシアネート混合物である。
【0032】
成分A1)として、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの混合物からなる群から選択されるジイソシアネートを、特に好ましく用いる。
【0033】
成分A2)として、構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H))を有する少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールA2a)およびA2b)が存在し、関係するジオール前駆体は、400〜8000g/モル、好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%、好ましくは30〜70%である数平均分子量Mを有する。
【0034】
構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H))を有する少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールの他に、更なるポリマーポリオールを、全成分A2)を基準として好ましくは0〜20重量%の量で、特に好ましくは0〜10重量%の量で、さらに好ましくは0〜5重量%の量で含み得る。これらは、ポリウレタン被覆物技術においてそれ自体既知のポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオールである。さらに、これらは単独で、または互いの混合物として成分A2)として用い得る。好ましくは、ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールを成分A2)として用いる。
【0035】
これらのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオール(ポリテトラメチレングリコールポリエーテル)は、例えばカチオン開環によるテトラヒドロフランの重合により得られる。
【0036】
成分A3)として、20までの炭素原子を有する62〜399モル/gの好ましいと記載の分子量範囲での任意のポリオール、好ましくは非ポリマーポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリスリトールおよび任意のこれらの互いの混合物を用いることが可能である。
【0037】
適しているのは、上記分子量範囲でのエステルジオール、例えばα−ヒドロキシブチル−ε−ヒドロキシカプロン酸エステル、ω−ヒドロキシヘキシル−γ−ヒドロキシ酪酸エステル、アジピン酸−(β−ヒドロキシエチル)エステルまたはテレフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)エステル等である。
【0038】
さらに、単官能性イソシアネート反応性ヒドロキシル基含有化合物を成分A3)として用いることも可能である。これらの単管能性化合物の例は、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノールおよび1−ヘキサデカノールである。
【0039】
本発明の好ましい実施態様では、本発明に従って用いるポリウレタンは、いずれの場合にもポリウレタンの全質量を基準として0〜10重量%の成分A3)、特に好ましくは0〜5重量%の成分A3)を含有する。
【0040】
本発明に従って用いるポリウレタンの製造のための成分A4)として、必要に応じて、1以上のイソシアネート反応性非イオン性親水性化剤を用いる。
【0041】
適当な非イオン親水性化化合物は、例えばイソシアネート反応性基、例えばヒドロキシ基、アミノ基またはチオール基等を有するポリオキシアルキレンエーテルである。好ましいのは、適当なスターター分子のアルコキシル化により既知の方法により得られるような、1分子当たり好ましくは5〜70、特に好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を有するモノヒドロキシ官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである(例えばUllmanns Encyclopaedie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、Weinheim、第31〜38頁)。これらは、含まれる全てのアルキレンオキシド単位を基準として好ましくは少なくとも30モル%、特に好ましくは少なくとも40モル%エチレンオキシド単位を含有する純粋ポリエチレンオキシドエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドエーテルである。
【0042】
特に好ましい非イオン化合物は、40〜100モル%エチレンオキシドおよび0〜60モル%ポリプロピレンオキシド単位を有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0043】
これらの非イオン性親水性化剤のための適当なスターター分子は、好ましくは飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体ペンタノール、異性体ヘキサノール、異性体オクタノール、異性体ノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、またはテトラヒドロフルフリルアルコール等、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル等、不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール等、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール等、芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニスアルコールまたは桂皮アルコール等、第2級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−またはN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン等およびヘテロ環式第2級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾール等である。好ましいスターター分子は、上記種類の飽和モノアルコールである。スターター分子として特に好ましく使用されるのは、ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn−ブタノールである。
【0044】
アルコキシル化反応に適当なアルキレンオキシドは、好ましくはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応中に任意の順序でまたは混合物中で使用することができる。
【0045】
成分B)は、第1級または第2級アミンおよび/またはジアミンから好ましく選択される。成分B)は、特に好ましくはジアミンを含む。
【0046】
成分B)として、イオン基またはイオノーゲン基、例えばアニオン的親水性化基等を有さないアミン(以下、成分B1))を用いることが特に好ましく、イオン基またはイオノーゲン基、例えばアニオン的親水性化基等を有するアミン(以下、成分B2))を用いることが特に好ましい。より特に好ましくは、プレポリマーの反応の工程B)において、成分B1)および成分B2)の混合物を反応させる。
【0047】
成分B1)として、例えば有機ジ−またはポリアミン、例えば1,2−エチレンジアミン、1,2−および1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体の混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヒドラジン水和物および/またはジメチルエチレンジアミン等を用いることができる。
【0048】
さらに、成分B1として、第1級アミノ基に加えて第2級アミノ基をも有する化合物、またはアミノ基(第1級または第2級)に加えてOH基をも有する化合物を用いることも可能である。これらの例は、第1級/第2級アミン、例えばジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン等、アルカノールアミン、例えばN−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノールまたはネオペンタノールアミン等である。
【0049】
さらに、成分B1)として、イソシアネート反応性単官能性アミン化合物、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジンまたはこれらの適当な置換誘導体、ジ第1級アミンおよびモノカルボン酸からのアミドアミン、ジ第1級アミンのモノケチムまたは第1級/第3級アミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミン等を用いることも可能である。
【0050】
成分B1)として、1,2−エチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,4−ジアミノブタン、イソホロンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジエチレントリアミンを特に好ましく用いる。
【0051】
さらに特に好ましくは、成分B)は、アニオン的親水性化作用を有する少なくとも1つの成分B2)を含む。このような成分B2)のアミンは、好ましくはスルホン酸またはスルホネート基、特に好ましくはスルホン酸ナトリウムを含有する。適当なアニオン的親水性化化合物は、好ましくは、モノアミノスルホン酸およびジアミノスルホン酸のアルカリ金属塩である。これらのアニオン性親水性化剤の例は、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピルスルホン酸またはエチレンジアミンブチルスルホン酸、1,2−または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸またはタウリンの塩である。さらに、WO−A01/88006からのシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)の塩を、アニオン性親水性化剤として用いることもできる。
【0052】
さらに特に好ましいアニオン性親水性化剤B2)は、イオン基としてスルホネート基と2個のアミノ基とを含有するアニオン性親水性化剤、例えば2−(2−アミノエチルアミノ)エチルスルホン酸の塩および1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸の塩等である。
【0053】
本発明により用いるポリウレタンは、少なくとも1つのスルホネート基を特に好ましく含有する。
【0054】
成分B2)におけるアニオン基は、必要に応じてカルボキシレート基またはカルボン酸基であってもよい。次いで、成分B2)は、ジアミノカルボン酸から好ましく選択される。
【0055】
親水性化するために、アニオン性親水性化剤B2)および非イオン性親水性化剤A4)の混合物を用いることも可能である。
【0056】
特別なポリウレタン分散体の製造のための好ましい実施態様では、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)を以下の量で用い、個々の量は常に合計100重量%となる:
成分A1)5重量%〜40重量%、
成分A2)55重量%〜90重量%、
成分A3)および/またはB1)の合計0.5重量%〜20重量%、
成分A4)および/またはB2)の合計0.1重量%〜25重量%、ここで、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の全量を基準として、特に好ましくは0.1重量%〜5重量%のアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤B2)を用いる。
【0057】
特別なポリウレタン分散体の製造のための特に好ましい実施態様では、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)を以下の量で用い、個々の量は常に合計100重量%となる:
成分A1)5重量%〜35重量%、
成分A2)60重量%〜90重量%、
成分A3)および/またはB1)の合計0.5重量%〜15重量%、
成分A4)および/またはB2)の合計0.1重量%〜15重量%、ここで、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の全量を基準として、特に好ましくは0.2重量%〜4重量%のアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤B2)を用いる。
【0058】
特別なポリウレタン分散体の製造のための更に特に好ましい実施態様では、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)を以下の量で用い、個々の量は常に合計100重量%となる:
成分A1)10重量%〜30重量%、
成分A2)65重量%〜85重量%、
成分A3)および/またはB1)の合計0.5重量%〜14重量%、
成分A4)および/またはB2)の合計0.1重量%〜13.5重量%、ここで、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の全量を基準として、特に好ましくは0.5重量%〜3.0重量%のアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤B2)を用いる。
【0059】
ポリウレタン分散体の製造は、均質相中で1以上の段階で、または多段階反応の場合、部分的に分散相中で行うことができる。A1)〜A4)の重付加を完全にまたは部分的に行った後、分散工程、乳化工程または溶解化工程を行う。その直後に、必要に応じて、分散相中でさらなる重付加または変性を行う。
【0060】
先行技術から既知の全ての方法、例えばプレポリマー混合法、アセトン法または溶融分散法等を用いることが可能である。アセトン法を好ましく用いる。
【0061】
アセトン法による製造のために、通常、成分A2)〜A4)およびポリイソシアネート成分A1)を、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを製造するために完全にまたは部分的に最初に投入し、イソシアネート基に対して不活性であるが水混和性の溶媒で必要に応じて希釈し、50〜120℃の範囲の温度に加熱する。イソシアネート付加反応を加速するために、ポリウレタン化学において既知の触媒を用いることが可能である。
【0062】
適当な溶媒は、従来の脂肪族、ケト官能性溶媒、例えばアセトンまたは2−ブタノン等であるが、これらは製造の開始時だけでなく、その後にも、必要に応じて分けて添加し得る。アセトンおよび2−ブタノンは好ましく、アセトンは特に好ましい。イソシアネート反応性基を有さない他の溶媒の添加も可能である。
【0063】
次いで、反応開始時に必要に応じて未だ添加していないA1)〜A4)からの成分を計量投入する。
【0064】
A1)〜A4)からのポリウレタンプレポリマーの製造では、イソシアネート基とイソシアネート反応性基のモル比は通常、好ましくは1.05〜3.5、特に好ましくは1.1〜3.0、さらに特に好ましくは1.1〜2.5である。
【0065】
プレポリマーを形成するための成分A1)〜A4)の反応は、部分的にまたは完全に、好ましくは完全に行う。こうして、遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーは、物質自体として、または溶液の状態で得られる。
【0066】
潜在的アニオン性基をアニオン性基へ部分的にまたは完全に変換するための中和工程においては、第3級アミン、例えば各アルキル基中に好ましくは1〜12個、特に好ましくは1〜6個、さらに特に好ましくは2〜3個の炭素原子を有するトリアルキルアミンのような塩基、または相当する水酸化物のようなアルカリ金属塩基、特に好ましくは相当する水酸化物のようなアルカリ金属塩基を好ましく用いる。
【0067】
中和剤として、さらに特に好ましくは無機塩基、例えばアンモニア水溶液または水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等を用いることができる。
【0068】
塩基の物質の量は、好ましくは、中和すべき酸基の物質の量の50モル%と125モル%の間、特に好ましくは70モル%と100モル%の間である。中和は、分散体の水が分散剤を予め含有する場合、分散と同時に行ってもよい。
【0069】
次いで更なる処理工程において、これが未だ行われていないか、または部分的にのみ行われている場合には、得られたプレポリマーを、脂肪族ケトン、例えばアセトンまたは2−ブタノン等を用いて溶解させる。
【0070】
工程B)における鎖延長では、NH官能性成分および/またはNH官能性成分を、プレポリマーの残存イソシアネート基と反応させる。好ましくは、鎖延長/連鎖停止は、水中での分散前に行う。
【0071】
NH基またはNH基でのB2)の定義に対応するアニオン性親水性化剤を鎖延長に用いる場合、プレポリマーの鎖延長を、分散前に好ましく行う。
【0072】
鎖延長度、すなわち、鎖延長および連鎖停止に用いる化合物のNCO反応性基とプレポリマーの遊離NCO基との当量比は通常、好ましくは40%および150%の間、特に好ましくは50%および110%の間、さらに特に好ましくは60%および100%の間である。
【0073】
アミン成分B1)およびB2)を、必要に応じて、本発明による方法において水−希釈または溶媒−希釈形態で、個々にまたは混合物中で用いてよく、任意の順序による添加は原理上可能である。
【0074】
水または有機溶媒を希釈剤として用いる場合には、希釈剤の含有量は、鎖延長のためにB)に用いる成分において、好ましくは40重量%〜95重量%である。
【0075】
分散は、好ましくは、鎖延長直に続いて行う。この目的のために、溶解および鎖延長したポリウレタンポリマーを必要に応じて、強剪断、例えば強撹拌等により、分散体の水へ添加するか、または反対に、分散体の水を、鎖延長ポリウレタンポリマー溶液中へ撹拌導入する。好ましくは、水を、溶解した鎖延長ポリウレタンポリマーへ添加する。
【0076】
次いで、分散工程後に分散体中に未だ含まれる溶媒を、通常、蒸留により除去する。分散工程中に除去することも可能である。
【0077】
このようにして、ポリウレタン分散体中の有機溶媒の残存含有量は、好ましくは、全分散体を基準として0〜10重量%、好ましくは0〜3重量%である。
【0078】
本発明により用いるポリウレタン水性分散体のpH値は、好ましくは8.0未満、特に好ましくは7.5未満、さらに特に好ましくは5.5および7.5の間である。
【0079】
添加剤および補助剤および補助的な物質、例えば抑泡剤、増粘剤または揺変剤、抗酸化剤、光安定剤、乳化剤、可塑剤、顔料、充填剤、かせ安定性のための添加剤、殺生物剤、pH調節剤および/または流れ調整剤等を、本発明によるポリウレタン分散体へ添加し得る。これらの添加剤は、全重量を基準として好ましくは15重量までの濃度、特に好ましくは0.01重量%〜10重量%までの濃度で存在する。
【0080】
適当な支持体材料は、編織布、金属、ガラス、セラミック、コンクリート、天然石、皮革、天然繊維およびプラスチック、例えばPVC、ポリオレフィン、ポリウレタン等革製品、紙、硬質繊維、わら、紙様材料、木材、ガラス、非常に広い種類の平坦基材である。3次元構造も支持体材料として適当である。繊維材料は、本発明による組成物のための支持体として特に好ましい。
【0081】
本発明における用語編織布は、例えば織物および編物および結合および非結合非織物として理解される。編織布は、合成繊維、天然繊維および/またはこれらの混合物から製造することができる。原則として、任意の繊維からできた繊維製品は、本発明による方法に適している。本発明による組成物により、支持体は、任意の従来法により、好ましくは繊維を一緒に被覆または結合することにより、または基材を一緒に結合することにより処理または仕上げることができる。
【0082】
組成物は、従来法による塗布機または被覆装置、例えばナイフ、例えば被覆ナイフ、ロールまたは他の設備を用いて支持体へ塗布する。噴霧法または浸漬法も可能である。塗布は、片側または両側へ行うことができる。
【0083】
乾燥繊維製品支持体は、本発明による組成物の塗布前、塗布中または塗布後に、例えば予備被覆法、バフ研磨法、ベルベット法、ライズ法および/またはタンブル乾燥法により表面処理することができる。
【0084】
本発明による組成物は、幾つかのコートにより支持体材料へ塗布することもできる。
【0085】
本発明はまた、本発明による被覆物化合物または組成物で被覆または結合した基材を提供する。その優れた適用特性により、本発明による組成物またはこれからできた層または結合は、被覆物または上着の製造、合成皮革物品、靴、いす張り生地、車内取り付け物品および支持体物品に好適であり、この記載は、例示のためであって制限のためではない。
【実施例】
【0086】
全ての量的データ、割合および百分率は、特記のない限り、重量および全量を基準とするか、または組成物の全重量を基準とする。
【0087】
特記のない限り、全ての分析的測定は23℃の温度における計測に関する。
【0088】
固形分は、計量試料を一定重量に達するまで125℃へ加熱することにより決定する。重量が一定である場合、固形分は、再び試料を計量することにより計算する。
【0089】
NCO含有量は、特記のない限り、DIN−EN ISO 11909に従って容量分析的に決定した。
【0090】
遊離NCO基のため監視は、IR分光法(2260cm−1でのバンド)により行った。
【0091】
記載した粘度は、DIN 53019に従って、23℃にてAnton Paar Germany GmbH(オストフィルデルン、独国)からの回転粘度計を用いて回転式粘度測定法により決定した。
【0092】
ポリウレタン分散体の平均粒度(数平均を記載する)の決定を、レーザー相関分光法(測定機器: Malvern Zetasizer 1000、Malver Inst.Limited)により脱イオン水による希釈後に行った。
【0093】
分散体の貯蔵安定性は、室温での貯蔵により製造後6ヶ月間にわたり試験した。
【0094】
用いた物質および略称:
〔ジアミノスルホネート〕
NH−CHCH−NH−CHCH−SONa(水中で45%)
〔PolyTHF(登録商標) 2000〕
ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(BASF AG、ルートヴィヒスハーフェン、独国)
〔PolyTHF(登録商標) 1000〕
ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価112mgKOH/g、数平均分子量1000g/mol(BASF AG、ルートヴィヒスハーフェン、独国)
〔Polyether LB 25〕
エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250g/mol、OH価25mgKOH/g(Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国)
【0095】
比較例1
PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))425gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))64.0gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))84.5gの混合物を添加し、および該混合物を、100〜115℃において理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン1020gで50℃にて溶解し、次いで、8.4gのエチレンジアミン(成分B1))、ジアミノスルホネート(成分B2))40.6gおよび水173gの溶液を計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水250gを添加することにより行った。次いで真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、蒸留中に増粘が起こり、分散体は得られなかった。
【0096】
A1)における2つのイソシアネート成分にも拘わらずA2)における1つだけのポリテトラメチレングリコールポリオール成分の使用は、安定性分散体を生じさせなかった。
【0097】
比較例2
PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))78.7gおよびPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))366.3gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))99.4gを添加し、および該混合物を、100〜115℃において理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン888gで50℃にて溶解し、次いで、エチレンジアミン(成分B1))3.5g、ジアミノスルホネート(成分B2))40.6gおよび水247gの溶液を計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水209gを添加することにより行った。次いで真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、24時間後に分離相中に存在する粗い粒子分散体が得られた。
固形分: 53%
粒度(LCS): 1050nm
粘度: 1400mPas
【0098】
A1)における1つのイソシアネート成分とA2)における異なった平均分子量を有する2つのポリテトラメチレングリコールポリオール成分との併用は、安定性分散体を生じさせなかった。
【0099】
実施例3(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))450gおよびPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))2100gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))225.8gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))298.4gの混合物を添加し、および該混合物を、100〜115℃において理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン5460gで50℃にて溶解し、次いで、エチレンジアミン(成分B1))29.5g、ジアミノスルホネート(成分B2))143.2gおよび水610gの溶液を計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水1880gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を得た。
固形分: 56%
粒度(LCS): 276nm
粘度: 1000mPas
【0100】
A1)における2つの異なったイソシアネート成分とA2)における異なった平均分子量を有する2つのポリテトラメチレングリコールポリオール成分との併用は、安定性分散体を生じさせた。
【0101】
実施例4(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))450gおよびPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))2100gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))225.8gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))298.4gの混合物を添加し、および該混合物を、100〜115℃において理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン5460gで50℃にて溶解し、次いで、ジアミノスルホネート(成分B2))351gおよび水610gの溶液を計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水1880gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を得た。
固形分: 42%
粒度: 1370mPas
粘度: 1000mPas
【0102】
実施例5(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))1645g、PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))352.5gおよび158.6gのpolyether LB 25(成分A4))を70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))177gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))234gの混合物を70℃にて5分以内に添加し、および該混合物を、理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン4560gで50℃にて溶解し、次いで、エチレンジアミン(成分B))23.1gおよびイソホロンジアミン(成分B))45.2gの溶液を10分以内に計量投入した。第2撹拌時間は10分であった。次に、分散を、10分以内に水1650gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を、49%の固形分で得た。
粒度: 255nm
粘度: 420mPas
【0103】
実施例6(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))280.0g、PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2b))40.0g、トリメチロールプロパン(成分A3))1.8gおよびpolyether LB 25(成分A4))140.4gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))23.5gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))31.1gの混合物を70℃にて5分以内に添加し、および該混合物を、理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン920gで50℃にて溶解し、次いで、エチレンジアミン(成分B))2.6gの水19.3g中での溶液を、10分以内に計量投入した。第2撹拌時間は10分であった。次に、分散を、10分以内に水1040gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を、43%の固形分で得た。蒸留からの水の損失は、水を補充することにより補い、粘度は、混合物が容易に撹拌できるまで水を添加することにより調節した。
粒度(LCS): 69nm
粘度: 2150mPas
【0104】
実施例7(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 2000(成分A2a))262.5gおよびPolyTHF(登録商標) 2900(成分A2b))163.1gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))28.2gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))37.3gの混合物を添加し、該混合物を100〜115℃にて理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン870gで50℃にて溶解し、次いで、エチレンジアミン(成分B1))3.0g、ジアミノスルホネート(成分B2))22.8gおよび水85gの溶液を、計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水450gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を、水を補充しながら行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を得た。
固形分: 51%
粒度(LCS): 201nm
粘度: 512mPas
【0105】
実施例8(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))72.8gおよびPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))340gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))36.5gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))48.2gの混合物を添加し、該混合物を100〜115℃にて理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン880gで50℃にて溶解し、次いで、エチレンジアミン(成分B1))2.5g、ジエチレントリアミン(成分B1))2.8g、ジアミノスルホネート(成分B2))22.0gおよび水102gの溶液を、計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水400gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を得た。
固形分: 50%
粒度(LCS): 294nm
粘度: 312mPas
【0106】
実施例9(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))75.0gおよびPolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))350gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))37.6gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))49.7gの混合物を添加し、該混合物を100〜115℃にて理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン910gで50℃にて溶解し、次いで、イソホロンジアミン(成分B1))13.9g、ジアミノスルホネート(成分B2))23.9gおよび水170gの溶液を、計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水360gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を得た。
固形分: 49%
粒度(LCS): 208nm
粘度: 132mPas
【0107】
実施例10(本発明による)
PolyTHF(登録商標) 1000(成分A2a))84.4g、PolyTHF(登録商標) 2000(成分A2b))393gおよびpolyether LB 25(成分A4))10.0gを70℃に加熱した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(成分A1))53.3gおよびイソホロンジイソシアネート(成分A1))70.4gの混合物を添加し、該混合物を100〜115℃にて理論NCO価をわずかに下回るまで撹拌した。完成プレポリマーをアセトン1000gで50℃にて溶解し、次いで、イソホロンジアミン(成分B1))26.2g、エチレンジアミン(成分B1))5.6g、ジアミノスルホネート(成分B2))13.9gおよび水250gの溶液を計量投入した。第2撹拌時間は15分であった。次に、分散を、水130gを添加することにより行った。次いで、真空下での蒸留による溶媒の除去を行い、長期間の貯蔵寿命を有する分散体を得た。
粒度(LCS): 232nm
粘度: 160mPas
【0108】
比較塗布試験
試験のために、分散体を、増粘剤としてBorchi Gel ALAを用いて噴霧可能な粘度に調節し、500μm厚湿潤フィルムを艶消剥離紙上に塗布した。乾燥は、50℃にて行い、次いで状態調節を、3分間150℃にて行った。得られたフィルムについて、DIN53504に従う引張試験を行った。
【0109】
【表1】

【0110】
本発明によるポリウレタン分散体からできたフィルムは、良好な機械特性、高い弾性および100および300%による伸び後に素早い回復を示した。さらに、本発明による分散体からできたフィルムは、心地よい感触を呈した。
【0111】
さらに、ホイップ・フォームを、実施例10からの分散体を用いて、500g/Lの1リットル当たり重量までかき立てることにより製造した。該フォームは、Stokal SRおよびSTAにより安定化し、Borchi Gel ALAにより増粘化した。フォームの500μm湿潤厚を、剥離紙上に塗布した。乾燥を、50℃にて行い、次いで、状態調節を3分間150℃にて行った。得られたフィルムについて、DIN53504に従って引張試験を行った。
【0112】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A1)互いに異なった少なくとも2つの有機ジ−またはポリイソシアネート、
A2)構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H)を有する互いに異なった少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールA2a)およびA2b)、ここで、関係するジオール前駆体は、400〜8000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%である数平均分子量Mを有し、
A3)必要に応じて、好ましくは62〜399g/モルの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、および
A4)必要に応じて、非イオン性親水性化剤、
および
1以上のアミノ官能性化合物B)
から得られるポリウレタンを含み、ポリウレタンの全質量を基準として20重量%未満の400〜8000g/モルの数平均分子量Mを有するジオール前駆体を含有し、該ジオール前駆体は、A2)に相当しないことを特徴とする、ポリウレタン水性分散体。
【請求項2】
ポリウレタンの数平均分子量は、1000および200000g/モルの間の範囲、好ましくは5000〜150000g/モルの間の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項3】
成分A2)として、構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H))を有する互いに異なった2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールA2a)およびA2b)、関係するジオール前駆体が、400〜8000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%である数平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項4】
成分A1)として、互いに異なった少なくとも2つの有機ジイソシアネートを用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項5】
成分A1)として、互いに異なった2つの有機ジイソシアネートを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項6】
ポリウレタンは、アニオン性基、好ましくはスルホネート基を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項7】
イソシアネート官能性プレポリマーを、
A1)互いに異なった少なくとも2つの有機ジ−またはポリイソシアネート、
A2)構造(HO−(CH−CH−CH−CH−O)−H)を有する互いに異なった少なくとも2つのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルジオールA2a)およびA2b)、ここで、関係するジオール前駆体は、400〜8000g/モル、好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量Mで存在し、およびより低いモル質量を有するジオールA2a)は、より高いモル質量を有するジオールA2b)の数平均分子量Mの10〜80%、好ましくは30〜70%である数平均分子量Mを有し、
A3)必要に応じて、好ましくは62〜399g/モルの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、および
A4)必要に応じて、非イオン性親水性化剤
から製造し、
および
C)次いで、前記イソシアネート官能性プレポリマーの遊離NCO基を、1以上のアミノ官能性化合物B)、例えば第1級および/または第2級アミンおよび/またはジアミン等と完全にまたは部分的に反応させ、
このようにして得られたポリウレタンを、工程B)前、工程B)中または工程B)後に分散させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体を含有する組成物の、被覆組成物、接着剤またはシーラントとしての使用。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体を含有する組成物の、被覆組成物、接着剤またはシーラントとしての繊維系基材上での使用。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン水性分散体を用いて製造、被覆、結合または封止された繊維系基材を含有する物体または物品。

【公表番号】特表2012−529541(P2012−529541A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514371(P2012−514371)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003327
【国際公開番号】WO2010/142393
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】