説明

マイクロエマルジョン化可能な農薬組成物

【課題】マイクロエマルジョン化可能濃縮物疎水性農薬を提供すること。
【解決手段】(A)アルキアルカノエート、(B)多価アルコール、多価アルコールの濃縮物、またはそれらの混合物、および(C)少なくとも1種の界面活性剤の組み合わせであり;この新規な組成物は、貯蔵が安定であり、適用が容易であり、生態学的および毒物学的に有利であり、かつ、水で希釈すると、目的の適用において良好な生物学的効力を有する植物処理組成物として有用である、マイクロエマルジョン化可能濃縮物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.技術分野)
本発明は、植物、害虫、またはそれらの位置に農業的に活性な化学薬品を適用するための液体の農薬(agrochemical)組成物に関連する。特に、本発明は、マイクロエマルジョンまたはマイクロエマルジョン前濃縮物の形態である農業的に活性な化学薬品の液体組成物、そのような組成物の調製およびそのような組成物を害虫を駆除するためまたは植物成長制限因子として使用する方法、に関連する。
【背景技術】
【0002】
(2.本発明の背景)
農業的に活性な化学薬品(農薬(agrochemcial))が、相対的に水溶性である場合、商業的に受容可能な形態で、この化学薬品を調製、貯蔵、および輸送することは、比較的簡単である(clear−cut)。しかしながら、多くの農薬は、疎水性であり、作製者はしばしば、消費者に単位体積あたり最大負荷量の活性成分を送達する安定な処方物としてこれらの物質を調製するのに適切な手段を見出す困難性に直面する。これを行う1つの手段は、例えば、水溶性バッグ(bag)または水溶性容器にカプセル化された可溶性分散剤(WDG)または水和剤(WP)のような乾燥処方物を調製することである。このような乾燥処方物は、荷積み輸送の観点だけでなく、操作性および/または労働者の安全性の観点からも魅力的であるが、全ての疎水性農薬が乾燥処方され得るというわけではない。
【0003】
制限された水溶性を有する農薬で、濃縮された液体処方物を調製するための最も単純なアプローチは、芳香族有機溶媒系の使用を介してなされている。このような系において、キシレンまたはケロシンのような芳香族有機溶媒が、目的の農薬化合物を可溶性にするために使用される。
【0004】
通常、エマルジョン濃縮物を形成するために、界面活性剤を農薬−溶媒組成物に加える。界面活性剤−乳化剤は、実際の使用(すなわち部位に対する適用)の前およびその間の両方において、多数の方法で農薬と相互作用する。この界面活性剤は、始めに溶媒または不活性のキャリア培地中で、農薬を分散および/または乳化し得、そして例えば、除草剤を伴ってその界面活性組成物はまた、浸透剤、乳化剤(spreader)、展着剤(sticker)、安定剤、および湿潤剤として作用し得る。その界面活性組成物は、植物上の液滴および天然の残渣液、または結晶の乾燥速度に影響を及ぼし得る。この界面活性剤はまた、再湿潤特性およびレインファーストネス(rainfastness)を含む農薬の風化特性に影響し得る。
【0005】
これらの処方物中の揮発性有機化合物の存在は、界面活性剤を伴って安定な乳化可能農薬濃縮物(EC)を調製可能にする。農薬市場において、このようなEC処方物は、主要な役割を果たし、現在も果たし続けているが、それらは、処方物が通常かなりの量の高揮発性有機化合物の使用に基づくという有意な欠点を有する。これらの高揮発性有機化合物のいくつかは、特に、その環境学的特性および中毒学的特性に関して完全満足というわけではない。農芸化学分野において重要に発展している1つのさらなる特性は、公開されたU.S.Environmental Protection Agency regulationによって測定されたような目の刺激を減少する特性である。
【0006】
マイクロエマルジョン(ME)技術は、農薬EC処方物の上記の欠点をアドレスすることが可能なアプローチとして調査されている。一般的に、マイクロエマルジョンは、3nm〜10nmの粒子径によって特徴付けられる。その小さい粒子径は、エマルジョンをEC処方物より安定にし得る。これらの系は、界面洗浄剤、塗布組成物、オイル回収システム、化粧品調製物、薬剤送達および殺虫剤のような多様な目的のために非常に有用であることが証明されている。これらの組成物の所望の特性は、意図される用途に依存して明らかにかなり変わるが、全てのこれらの組成物は、望まれない溶媒の制限された使用の利点、および非常に安定な乳化された形態の形成を有する。
【0007】
広範囲の農業的に活性な成分に適切な、さらなるマイクロエマルジョン化可能な農薬濃縮物の必要性がなお存在しており、それらは標的適用において高い生物学的活性を有し、その分野で経験され得る厳しい範囲の条件下での良好な化学安定性および物理安定性を有し、良好な環境学的特性および中毒学的特性を有し、目の刺激の減少を示し、そして容易に水に溶解して、マイクロエマルジョンを形成する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(3.発明の要旨)
(A)アルキルアルカノエートと(B)多価アルコール、多価アルコール濃縮物、またはそれらの混合物、および(C)マイクロエマルジョン化可能な疎水性の農薬濃縮物に対して非常に有利な系である少なくとも1つの界面活性剤との組合せが、見出されており;この新規組成物は、貯蔵に安定で、適用が容易であり、環境学的および中毒学的に好ましく、そして、標的適用において良好な生物学的効果を有する農薬組成物として、有用である。
【0009】
従って、本発明は、マイクロエマルジョン化可能であり、貯蔵に安定で、液状である農薬濃縮物を提供する。この濃縮物は、溶媒混合物(アルキルアルカノエートおよび多価アルコール、多価アルコール濃縮物またはそれらの混合物を含有する)に溶解された疎水性農薬または農薬混合物、ならびに少なくとも1つの疎水性界面活性剤を含有する。前記の疎水性農薬または農薬の混合物、溶媒混合物および疎水性界面活性剤の相対的な比率は、適切な水での前記濃縮物の溶解の際に、安定な油−水マイクロエマルジョンが自然に形成されるような比率である。本発明のマイクロエマルジョン化可能な濃縮物は、減少された目の刺激を示し、そして好ましい実施形態において、U.S.Environmental Protection Agency(EPA)の法規(2000年11月)に定義されるようなCaution Signal Wordの要求を満たす。このSignal Word分類は、農芸化学分野における生産に高価値である。好ましい実施形態において、マイクロエマルジョン化可能な濃縮物(MEC)およびそれから形成された対応するマイクロエマルジョンは、実質的に透明である。別の好ましい実施形態において、MECおよび対応するマイクロエマルジョンは、実質的に無臭である。非常に好ましい実施形態において、MECおよび対応するマイクロエマルジョンは、実施的に透明であり、実質的に無臭であり、そして「Caution Signal Word」の要求を満たすかまたは超える。
【0010】
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1) 疎水性農薬のマイクロエマルジョン化可能濃縮物(MEC)であって、該濃縮物は、以下:
(a)少なくとも1種の疎水性農薬;
(b)以下:
(i)アルキルアルカノエートからなる群より選択される第1溶媒;ならびに
(ii)多価アルコール、多価アルコールの濃縮物、およびそれらの混合物;
を含有する溶媒系;そして
(c)少なくとも1種の界面活性剤
を含有する、濃縮物。
【0011】
(項目2) 前記界面活性剤成分(c)が:
(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤
を含有する、項目1に記載のMEC。
【0012】
(項目3) 前記界面活性剤成分(c)が:
(c)(ii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤
を含有する、項目1に記載のMEC。
【0013】
(項目4) 前記界面活性剤成分(c)が:
(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤;および
(c)(iii)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤
を含有する、項目1に記載のMEC。
【0014】
(項目5) 前記界面活性剤成分(c)が:
(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤;および
(c)(ii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤
を含有する、項目1に記載のMEC。
【0015】
(項目6) 前記界面活性剤成分(c)が:
(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤;
(c)(ii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤;および
(c)(iii)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤
を含有する、項目1に記載のMEC。
【0016】
(項目7) 前記第1溶媒成分(b)(i)アルキルアルカノエートが、C〜C13アルキルC〜Cアルカノエートからなる群より選択される、項目1に記載のMEC。
【0017】
(項目8) 前記C〜C13アルキルC〜Cアルカノエートが、C〜C13アルキルアセテートからなる群より選択される、項目7に記載のMEC。
【0018】
(項目9) 前記C〜C13アルキルアセテートが、オキソ−ヘキシルアセテート、オキソ−ヘプチルアセテート、オキソ−オクチルアセテート、オキソ−2−エチル−ヘキシルアセテート、オキソ−ノニルアセテート、オキソ−デシルアセテート、オキソ−ドデシルアセテートおよびオキソ−トリデシルアセテートからなる群より選択される、項目8に記載のMEC。
【0019】
(項目10) 前記第2溶媒成分(b)(ii)が、多価アルコールである、項目1に記載のMEC。
【0020】
(項目11) 前記第2溶媒成分(b)(ii)が、多価アルコール濃縮物である、項目1に記載のMEC。
【0021】
(項目12) 項目1に記載のMECであって、前記第2溶媒成分(b)(ii)が、プロピレングリコール;ジプロピレングリコール;グリセロール;ジエチレングリコール;ポリC2〜6アルキレングリコール;モノ−(ポリC2〜6アルキルオキシル化)グリセロール、ジ−(ポリC2〜6アルキルオキシル化)グリセロール、およびトリ−(ポリC2〜6アルキルオキシル化)グリセロール;糖アルコール;モノ(ポリC2〜6アルキルオキシル化)糖アルコールおよびポリ(ポリC2〜6アルキルオキシル化)糖アルコール;モノ−(ヒドロキシC2〜6アルキル)糖アルコールおよびポリ−(ヒドロキシC2〜6アルキル)糖アルコール;グリセロールトリアセテート;ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール);1,3−ブチレングリコール;1,2,6−ヘキサントリオール;エトヘキサジオールUSP(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール);C15〜C18ビシナルアルコール;トリメチロールプロパンのポリオキシC2〜6アルキレン誘導体;ならびにC2〜6脂肪族グリコールからなる群より選択される、MEC。
【0022】
(項目13) 前記第2溶媒成分(b)(ii)が、ポリエチレングリコール200である、項目12に記載のMEC。
【0023】
(項目14) 前記カチオン性界面活性剤成分(c)(i)が、ポリC2〜4アルコキシル化脂肪族アミンからなる群より選択される、項目1に記載のMEC。
【0024】
(項目15) 前記ポリC2〜4アルコキシル化脂肪族アミンが、ポリC2〜4アルコキシル化C14〜20脂肪族アミンからなる群より選択される、項目14に記載のMEC。
【0025】
(項目16) 前記ポリC2〜4アルコキシル化脂肪族アミンが、C2〜4アルコキシル化獣脂アミンからなる群より選択される、項目14に記載のMEC。
【0026】
(項目17) 前記ポリC2〜4アルコキシル化脂肪族アミンが、1分子あたり2〜18個の反復アルコキシ単位を有するポリC2〜4アルコキシル化脂肪族アミンからなる群より選択される、項目14に記載のMEC。
【0027】
(項目18) 前記ポリC2〜4アルコキシル化脂肪族アミンが、1分子あたり2、5、8、15または16個の反復アルコキシ単位を有するポリC2〜4アルコキシル化脂肪族アミンからなる群より選択される、項目16に記載のMEC。
【0028】
(項目19) 項目1に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)が、少なくとも第1ポリアルキレンオキシドブロック領域および第2ポリアルキレンオキシドブロック領域を有するポリC2〜4アルキレンオキシドブロックコポリマーのモノC2〜6アルキルエーテル、ヒマシ油およびポリC2〜4アルキレンオキシドの縮合生成物、C12〜24脂肪酸のモノエステルまたはジエステル、そしてそれらの混合物からなる群より選択され、該第1領域のポリアルキレンオキシドは、該第2領域のポリアルキレンオキシドと異なる、MEC。
【0029】
(項目20) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)ポリC2〜4アルキレンオキシドブロックコポリマーの、モノC2〜6アルキルエーテルが、ブチルである、C2〜6アルキルエーテル部分および/または、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーであるアルキレンオキシドブロックコポリマー部分を有する、MEC。
【0030】
(項目21) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)ポリC2〜4アルキレンオキシドブロックコポリマーの、モノC2〜6アルキルエーテルが、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーである、アルキレンオキシドブロックコポリマー部分を有し、該アルキレンオキシドブロックコポリマー部分が、該エチレンオキシドが、該ブロックコポリマーの約10モル%〜約90モル%を構成する、MEC。
【0031】
(項目22) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)ヒマシ油およびポリC2〜4アルキレンオキシドの縮合生成物が、1分子あたり約30個〜約40個のアルキレンオキシド単位を有する、MEC。
【0032】
(項目23) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)ヒマシ油およびポリC2〜4アルキレンオキシドの縮合生成物において、該アルキレンオキシドがポリエチレンオキシドである、MEC。
【0033】
(項目24) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)C12〜24脂肪酸のモノエステルまたはジエステルが、C12〜20脂肪酸のモノエステルまたはジエステルである、MEC。
【0034】
(項目25) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)C12〜24脂肪酸のモノエステルまたはジエステルが、C12〜16脂肪酸のモノエステルまたはジエステルである、MEC。
【0035】
(項目26) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)C12〜24脂肪酸のモノエステルまたはジエステルが、ラウリン酸のモノエステルまたはジエステルである、MEC。
【0036】
(項目27) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)C12〜24脂肪酸のモノエステルまたはジエステルが、C12〜24脂肪酸のポリエチレンオキシドエステルである、MEC。
【0037】

(項目28) 項目26に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)C12〜24脂肪酸のモノエステルまたはジエステルが、1分子あたり約2個〜約40個のエチレンオキシド単位を有する、C12〜24脂肪酸のポリエチレンオキシドエステルである、MEC。
【0038】
(項目29) 項目18に記載のMECであって、前記非イオン性界面活性剤成分(c)(ii)C12〜24脂肪酸のモノエステルまたはジエステルが、ポリエチレンオキシドモノラウリン酸エステルまたはポリエチレンオキシドジラウリン酸エステルである、MEC。
【0039】
(項目30) 項目5または項目7に記載のMECであって、前記アニオン性界面活性剤成分(c)(i)が、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10〜15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートおよび/またはC10〜13アルキルベンゼンスルホン酸あるいはそれらの塩からなる群より選択される、MEC。
【0040】
(項目31) 項目29に記載のMECであって、前記アニオン性界面活性剤成分(c)(i)ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10〜15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートが、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−トリデシル−ω−ヒドロキシホスフェートからなる群より選択される、MEC。
【0041】
(項目32) 項目29に記載のMECであって、前記アニオン性界面活性剤成分(c)(i)ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10〜15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートが、1分子あたり約3個〜約9個の反復オキシ−1,2−エタンジイル単位を有する、MEC。
【0042】
(項目33) 項目29に記載のMECであって、前記アニオン性界面活性剤成分(c)(i)ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10〜15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートが、1分子あたり約6個の反復オキシ−1,2−エタンジイル単位を有する、MEC。
【0043】
(項目34) 項目29に記載のMECであって、前記アニオン性界面活性剤成分(c)(i)ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10〜15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートが、トリデシルアコールポリエトキシレートリン酸またはその塩である、MEC。
【0044】
(項目35) 項目29に記載のMECであって、前記アニオン性界面活性剤成分(c)(i)C10〜13アルキルベンゼンスルホン酸が、ドデシルベンゼンスルホン酸またはその塩である、MEC。
【0045】
(項目36) (d)水混和性溶媒をさらに含有する、項目1に記載のMEC。
【0046】
(項目37) 項目36に記載のMECであって、前記成分(d)水混和性溶媒が、N−C1〜4アルキル−2−ピロリドン;テトラメチルウレア;γ−ブチロラクトン;N,N−ジC1〜4アルキルホルムアミド;N,N−ジC1〜4アルキルアセトアミド;ジメチルスルホキシド;C3〜8シクロアルキルメタノール、および単水酸基C1〜4アルカノールからなる群より選択される、MEC。
【0047】
(項目38) 項目36に記載のMECであって、前記成分(d)水混和性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン;テトラメチルウレア;γ−ブチロラクトン;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;ジメチルスルホキシド;テトラヒドロフルフリルアルコール、およびエタノールからなる群より選択される、MEC。
【0048】
(項目39) 項目36に記載のMECであって、前記成分(d)水混和性溶媒が、テトラヒドロフルフリルアルコールである、MEC。
【0049】
(項目40) 項目1に記載のMECであって、前記疎水性農薬が、化学的農薬、除草剤毒性緩和剤、植物生長調節剤、肥料および栄養剤、ガメトシド、落葉剤、乾燥剤ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、MEC。
【0050】
(項目41) 項目40に記載のMECであって、前記化学的農薬が、除草剤、殺藻剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺ウイルス剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤、ダニ駆除剤、殺外部寄生生物剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される、MEC。
【0051】
(項目42) 項目39に記載のMECであって、前記農薬が、アシルアラニン、ハロアセトアニリド、トリアゾール誘導体、リン酸エステル、ピレスロイド、安息香酸エステル、多環式ハロゲン化炭化水素、ジフェニルエーテル誘導体、ホルムアミジン、ストロビルリン、アリールオキシフェノキシ−アルカン酸誘導体およびそれらの混合物からなる群より選択される、MEC。
【0052】
(項目43) 項目39に記載のMECであって、前記農薬が、
(a)ジメタクロール、メトラクロール、S−メトラクロール、プレチラクロール、2−クロロ−N−(1−メチル−2−メトキシエチル)−アセト−2,6−キシリジド、アラクロール、ブタクロール、プロパクロール、ジメテンアミドからなる群より選択される、ハロアセトアニリド;
(b)ビフェノックス、4−(4−ペンチン−1−イルオキシ)ジフェニルエーテル、アシフルオルフェン、オキシフルオルフェン、フルオログリコフェン−エチル、フォメサフェン、およびシス−トランス−(±)2−エチル−5−(4−フェノキシ−フェノキシメチル)−1,3−ジオキソランからなる群より選択される、ジフェニルエーテル誘導体;
(c)フルアジフォプ−ブチル、ハロキシフォプ−メチル、ハロキシフォプ−(2−エトキシエチル)、フルオロトピック、フェノキサプロペチル、キザロフォペチル、プロパキザフォプ、およびジクロフォプ−メチルからなる群より選択される、フェノキシプロピオン酸誘導体;
(d)フララキシル、メタラキシル、R−メタラキシル、ベンゾイルプロプエチル、ベナラキシル、オキサジキシル、およびフラムプロプメチルからなる群より選択される、アシルアラニン;
(e)ジフェノコナゾール、エタコナゾール、プロピコナゾール、ペンコナゾール、トリアジメフォン、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ブロムコナゾール、フェンブコナゾール、およびシプロコナゾールからなる群より選択される、トリアゾール誘導体;
(f)ピペロフォス、アニロフォス、ブタミフォス、アザメチフォス、クロルフェンビンホス、ジクロルボス、ジアジノン、メチダチオン、アジンフォスエチル、アジンフォスメチル、クロルピリフォス、クロルチオフォス、クロトキシフォス、シアノフォス、デメトン、ジアリフォス、ジメトエート、ジスルホトン、エトリムフォス、ファムファー、フルスルホチオン、フルチオン、フォノフォス、ホルモチオン、ヘプテノホス、イソフェンホス、イソキサチオン、マラチオン、メホスホラン、メビンホス、ナレド、オキシデメトンメチル、オキシデプロフォス、パラチオン、ホキシム、ピリミホスメチル、プロフェノフォス、プロパホス、プロペタムホス、プロチオホス、キナルホス、スルプロフォス、フェメホス、テルブフォス、トリアゾホス、トリクロロネート、フェナミポス、イサゾホス、s−ベンジル−o,o−ジイソプロピルホスホロチオエート、エジンホス、およびピラゾホスからなる群より選択される、リン酸エステル;
(g)アレスリン、ビオアレスリン、ビオレスメスリン、サイハロトリン、サイペルメスリン、デルタメスリン、フェンプロパスリン、フェンバレレート、s−フェンバレレート、フルシスリネート、フルバリネート、ペルメスリン、ピレスリン、レスメスリン、テトラメスリン、トラロメスリン、エトフェンプロクス、サイフルスリン、シクロプロスリン、テフルスリン、フルフェンプロクス、シラフルオフェン、ビフェンスリン、フェンフルスリン、およびブロムフェンプロクスからなる群より選択される、ピレスロイド;
(h)ブロムプロピレート、クロルベンジレート、およびクロルプロピレートからなる群より選択される、ベンジル酸エステル;
(i)アルドリンおよびエンドスルファンからなる群より選択される、多環式ハロゲン化炭化水素;
(j)クレゾキシム−メチル、アゾキシストロビン、メトキシイミノ−{2−[1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチリデンアミノオキシメチル]−フェニル}−酢酸メチルエステル、およりトリフロキシストロビンからなる群より選択される、ストロビルリン;
(k)トリデモルフ、ブロモキシニル、カルボキシン、プロクロラズ、プロパルギット、ジカンバ、フェンピクロニル、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、フルジオキソニル、ピメトロジン、ピリフェノクス、ピリプロキシフェン、トリネキサパク−エチル、フルアジナム、フルジオキソニル、メフェノキサム、サイプロジニル、チアベンダゾール、アバメクチン、エマメクチンベンゾエート、フェノキシカルブ、サイロマジン、プロメトリン、アメトリン、プロジアミン、アトラジン、フルメツロン、ノルフルラゾン、ピリデート、フルメツラム、フルメトラリン、シメクタカルブ、チアメトキサム、およびアセトクロールからなる群より選択される、雑多な群;
(l)ならびにそれらの混合物
からなる群より選択される、MEC。
【0053】
(項目44) 項目39に記載のMECであって、前記農薬が、
(a)プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、メタラキシル、メフェノキサム(γ−メタラキシル)、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、フララキシル、クロロタロニン、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、サイプロジニル、オキサジキシル、サイプロコナゾール、ピリフェノクス、フェンピクロニル、ペンコナゾール、チアベンダゾール、およびピロキロンからなる群より選択される、殺真菌剤;
(b)チアメトキサム、アバメクチン、エマメクチンベンゾエート、サイペルメスリン、フェノキシカルブ、ジフェンチウロン、メチダチオン、ピメトロジン、τ−フルバリネート、λ−サイハロスリン、ペルメスリン、ルフェヌロン、サイロマジン、プロフェノフォス、ボロモプロピレート、フラチオカルブ、有機リン化合物、イミダクロプリド、クロチアジン、およびチアクロプリドからなる群より選択される、殺虫剤;
(c)メトラクロール、S−メトラクロール、ブタフェナシル、プロメトリン、クロルトルロン、クロジナフォプ、アメトリン、プロジアミン、フルメツロン、ノルフルラゾン、ピリデート、フルメツラム、アセトクロール、ジメテナミド、ジメタクロール、トラルコキシジム、フルアジフォプ−p−ブチル、プレチラクロール、およびフェンクロリムからなる群より選択される、除草剤;
(d)フルメトラリンおよびシメクタカルブからなる群より選択される、成長調節剤;
(e)フルキソフェニメ、ベノキサコール、コロキントセト、およびジクロルミドからなる群より選択される、毒性緩和剤;
(f)アシベンゾラール−s−メチルからなる群より選択される、植物活性化剤;ならびに
(g)それらの混合物
からなる群より選択される、MEC。
【0054】
(項目45) 項目39に記載のMECであって、前記農薬が、トリフロキシストロビン、プロピコナゾール、チアメトキサム、およびアバメクチン、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、MEC。
【0055】
(項目46) 前記農薬が、トリフロキシストロビンを含有する、項目39に記載のMEC。
【0056】
(項目47) 項目1に記載のMECであって、抗酸化剤、着色料、染料、および芳香剤からなる群より選択される、従来の農薬補助剤および農薬添加剤からなる群より選択されるメンバーを含有する、MEC。
【0057】
(項目48) 前記疎水性農薬が、前記MECの約0.1%〜約25%の量で存在する、項目1に記載のMEC。
【0058】
(項目49) 前記第1溶媒(b)(i)が、前記MECの約10%〜35%の量で存在する、項目1に記載のMEC。
【0059】
(項目50) 前記第2溶媒(b)(ii)が、前記MECの約10%〜45%の量で存在する、項目1に記載のMEC。
【0060】
(項目51) 前記親水性界面活性剤(c)が、前記MECの約1%〜約40%の量で存在する、項目1に記載のMEC。
【0061】
(項目52) 項目50に記載のMECであって、前記親水性界面活性剤(c)が、(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含有し、該カチオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜20%の量で存在する、MEC。
【0062】
(項目53) 項目50に記載のMECであって、前記親水性界面活性剤(c)が、(c)(ii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含有し、該非イオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜10%の量で存在する、MEC。
【0063】
(項目54) 項目50に記載のMECであって、前記親水性界面活性剤(c)が、(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤および(c)(iii)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有し、該カチオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜20%の量で存在し、該アニオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜約10%の量で存在する、MEC。
【0064】
(項目55) 項目50に記載のMECであって、前記親水性界面活性剤(c)が、(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤および(c)(ii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含有し、該カチオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜20%の量で存在し、該非イオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜約10%の量で存在する、MEC。
【0065】
(項目56) 項目50に記載のMECであって、前記親水性界面活性剤(c)が、(c)(i)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤;(c)(ii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤;および必要に応じて(c)(iii)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有し、該カチオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜20%の量で存在し、該非イオン性界面活性剤が、該MECの約1%〜約10%の量で存在し、該アニオン性界面活性剤が、該MECの約10%未満の量で存在する、MEC。
【0066】
(項目57) 約3〜約7のpHを有する、項目1に記載のMEC。
【0067】
(項目58) 約4〜約6のpHを有する、項目1に記載のMEC。
【0068】
(項目59) 項目1に記載のMECであって、適量の水での前記濃縮物の希釈の際に、安定なO/Wマイクロエマルジョンが自発的に形成され、該マイクロエマルジョンが、25℃で外見上実質的に透明である、MEC。
【0069】
(項目60) 項目59に記載のMECであって、適量の水での前記濃縮物の希釈の際に、安定なO/Wマイクロエマルジョンが自発的に形成され、該マイクロエマルジョンが、20〜30℃で外見上実質的に透明である、MEC。
【0070】
(項目61) 項目1に記載のMECであって、適量の水での前記濃縮物の希釈の際に、安定なO/Wマイクロエマルジョンが自発的に形成され、該マイクロエマルジョンが、25℃で無臭である、MEC。
【0071】
(項目62) 項目61に記載のMECであって、適量の水での前記濃縮物の希釈の際に、安定なO/Wマイクロエマルジョンが自発的に形成され、該マイクロエマルジョンが、20〜30℃で無臭である、MEC。
【0072】
(項目63) 項目1に記載のMECであって、該MECが、2000年11月現在の米国環境保護庁基準下で、該MECの分類における「警告」シグナルワードを認定しそこなわないほど十分に低い眼への刺激を有する、MEC。
【0073】
(項目64) 約0.9〜約1.1g/mlの密度を有する、項目1に記載のMEC。
【0074】
(項目65) 項目1に記載のMECであって、適量の水での前記濃縮物の希釈の際に、安定なO/Wマイクロエマルジョンが自発的に形成され、該マイクロエマルジョンが、約20〜約300nmの液滴粒子サイズを有する、MEC。
【0075】
(項目66) 項目1に記載のMECおよび水を含有する、マイクロエマルジョン。
【0076】
(項目67) 噴霧可能な組成物の形態にある、項目66に記載のマイクロエマルジョン濃縮物。
【0077】
(項目68) 使用の準備ができている形態にある項目66に記載のマイクロエマルジョンであって、該形態が噴霧可能な形態である、マイクロエマルジョン。
【0078】
(項目69) 疎水性農薬を施与する方法であって、該方法は、項目1に記載のMECを調製する工程、該MECを水と接触させて、それらの水性マイクロエマルジョンを生じる工程、および、該水性マイクロエマルジョンを施与する工程を包含する、方法。
【0079】
(項目70) 項目69に記載の方法であって、前記MECが、前記水の第1画分と接触してそれらのマイクロエマルジョン濃縮物を調製し、そして該マイクロエマルジョンが、さらなる水の画分でさらに希釈されて最終の該マイクロエマルジョンを生じ、それによって、前記農薬を施与する行動の前かまたは間に、最終の該マイクロエマルジョンが生じ得る、方法。
【0080】
(項目71) 疎水性農薬との使用のためのマイクロエマルジョン化可能濃縮物系であって、該マイクロエマルジョン濃縮物系は、以下:
(a)少なくとも1種の、疎水性農薬活性化合物;
(b)以下:
(i)アルキルアルカノエートからなる群より選択される、第1溶媒;ならびに
(ii)多価アルコール、多価アルコールの濃縮物、およびそれらの混合物;
を含有する溶媒系;そして
(c)少なくとも1種の親水性界面活性剤
を含有する、マイクロエマルジョン化可能濃縮物系。
【0081】
(項目72) 項目1に記載のMECであって、該MECは:
(a)少なくとも1種の疎水性農薬活性成分;
(b)以下:
(i)アルキルアルカノエートからなる群より選択される第1溶媒;ならびに
(ii)多価アルコール、多価アルコールの濃縮物、およびそれらの混合物からなる群より選択される、第2溶媒;
を含有する溶媒系;そして
(c)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、および必要に応じて、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する、界面活性剤の混合物
を含有する、MEC。
【0082】
(項目73) 植物を農薬で処理する方法であって、該方法は、項目1に記載のMECを調製する工程、適量の水で該MECを希釈して、マイクロエマルジョンを形成する工程、および、該植物または該植物の一部を、該マイクロエマルジョンに曝す工程、を包含する、方法。
【0083】
(項目74) 植物の植え付けに備えて土壌を農薬で処理する方法であって、該方法は、項目1に記載のMECを調製する工程、適量の水で該MECを希釈して、マイクロエマルジョンを形成する工程、および、該土壌を該マイクロエマルジョンに曝す工程、を包含する、方法。
【0084】
(項目75) 種子を農薬で処理する方法であって、該方法は、項目1に記載のMECを調製する工程、適量の水で該MECを希釈して、マイクロエマルジョンを形成する工程、および、該種子を該マイクロエマルジョンに曝す工程、を包含する、方法。
【0085】
(項目76) 植え付けられた作物の、発芽前の、農薬での処理の方法であって、該方法は、項目1に記載のMECを調製する工程、適量の水で該MECを希釈して、マイクロエマルジョンを形成する工程、および、該発芽前の作物区域を該マイクロエマルジョンに曝す工程、を包含する、方法。
【0086】
(項目77) 農薬のマイクロエマルジョンで処理された、植物または植物の一部であって、該マイクロエマルジョンが、項目1に記載のMECの水性希釈物である、植物または植物の一部。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
(5.発明の詳細な説明)
本発明は、適切な水で希釈する際にとりわけ、植物の処置に有用な安定な油−水マイクロエマルジョンを形成するマイクロエマルジョン化可能な農薬濃縮物(「MEC」)を提供し、以下:
(a)疎水性農薬または疎水性農薬の混合物、
(b)(i)アルキルアルカノエートである、第1の溶媒
(ii)多価アルコール、多価アルコール濃縮物またはそれらの混合物である、第2の溶媒;および
(c)少なくとも1つの界面活性剤;
を含有し、
成分(a)、(b)、および(c)の相対的な比率は、適切な水で前記濃縮物を希釈する際に安定な油−水マイクロエマルジョンが自然に形成されるような比率である。
【0088】
本明細書中で使用される場合、用語「農薬」は、化学物質を意味し、天然にかあるいは合成的に得られ、植物、害虫またはその位置に適用され、所望の生物学的活性の発現を生じる。本明細書中で使用される場合、用語「生物学的活性」は、(植物中または植物上に存在する)植物または病原体、寄生虫もしくは摂食生物のような害虫における、刺激性応答、抑制性応答、調節的応答、治療的応答、毒性または致死的な応答の誘発、あるいは植物、害虫または構造体の位置におけるそのような応答の誘発を意味する。用語「植物」としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:全ての食物、繊維、餌および試料作物(収穫前および収穫後、種子および種子処理)、木、芝生および観葉植物。農薬物質の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:化学殺虫薬(例えば、除草剤、殺藻剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺ウイルス剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤)、除草剤毒性緩和剤(safener)、植物成長制御因子、肥料および栄養分、ガメトシド、落葉剤、乾燥剤、それらの混合物など。
【0089】
用語「農薬」に関して本明細書中で使用される場合、用語「疎水性」は、適切な量に対して水に溶解しないことを意味し、より具体的には、25℃で、約2%w/v以下、より詳細には、約1%w/v以下の水溶解性を有することを意味する。
【0090】
本明細書中で使用される場合、用語「界面活性剤」は、発泡性特性、湿潤特性、分散特性、および乳化特性を提供し得る表面活性試薬として作用する化学物質を意味し、カチオン性、アニオン性、非イオン性、または両性である。
【0091】
適切なアルキルアルカノエートエステル溶媒(b)(i)としては、C−C13アルキルC1−4アルカノエート(オキソ−ヘキシル、オキソ−ヘプチル、オキソ−オクチル、オキソ−2−エチル−ヘキシル、オキソ−ノニル、オキソ−デシル、オキソ−ドデシルギ酸およびオキソ−トリデシルギ酸、アセテート、プロパノエート、およびブタノエートなど)が挙げられ;好ましくは、C−C13アルキルアセテートである。これらの物質は、一般的に市販されているかまたは当業者によって容易に作成し得る。多数の前記アルキルアセテートは、市販されている。特に、有利なC−C13アルキルアセテートは、商品名「Exxate」として、Exxon Mobil Corporationから入手可能である。
【0092】
適切な多価アルコールおよび多価アルコール濃縮物(b)(ii)としては、以下が挙げられる:ポリピレングリコール;ジプロピレングリコール;ポリC2−6アルキレングリコールおよび誘導体、好ましくはポリプロピレングリコール[分子量2000〜4000]、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール[分子量200〜4000amu]、メトキシポリエチレングリコール350、メトキシポリエチレングリコール550、メトキシポリエチレングリコール750、メトキシポリエチレングリコール2000、メトキシポリエチレングリコール5000のようなポリC2−6アルキレングリコールおよび誘導体;グリセロール;エトキシ化グリセロール;プロポキシ化グリセロール;糖アルコールおよびそれらのアルコキシ化誘導体(キシリトール、マンニトール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトールなど);グリセロルトリアセテート;ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール);1,3−ブチレングリコール;1,2,6−ヘキサントリオール;エトヘキサジオールUSP(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール);C15−C18ビシナルグリコールおよびトリメチルオールプロパン、7炭素までの短鎖、好ましくは4炭素までの脂肪族グリコールおよびグリセリンのポリオキシプロピレン誘導体。
【0093】
本発明の1つの実施形態において、MECは、第1および第2の溶媒である(b)(i)アルキルアルカノエートエステルおよび(b)(ii)多価アルコール、多価アルコール濃縮物またはそれら混合物に加えて、さらに(b)(iii)水混和性溶媒である成分を含有する。
【0094】
適切な水混和性溶媒(b)(iii)としては、テトラヒドロフラフリルアルコール、γ−ブチロールアクトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミド;好ましくはテトラヒドロフラフリルアルコール、γ−ブチロールアクトン、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチルホスフェートおよびプロピレンカーボネートが挙げられる。
【0095】
界面活性剤(c)は、単一の界面活性剤であり得るが、好ましい実施形態において、以下を含有する界面活性剤の混合物が、最も都合がよい:第1のカチオン性界面活性剤(c)(i)および第2の非イオン性界面活性剤(c)(ii)。前記の第1の界面活性剤成分および前記第2の界面活性剤成分の各々は、所望される場合、1種の要求される型の界面活性剤の1つ以上から構成され得る。
【0096】
このような界面活性剤物質(c)の例としては、以下が挙げられる:
(c)(i)1以上のポリC2−4アルコキシル化C14−20脂肪族アミン、好ましくはポリC2−4アルコキシル化C12−18脂肪族アミン、最も好ましくはポリC2−4アルコキシル化獣脂アミンからなる群から選択される、カチオン性界面活性剤。この成分のポリC2−4アルコキシル化部分は、1分子あたりに、好ましくは2〜8のいずれか(より好ましくは2〜5)の反復単位で存在するか、またはこの成分のポリC2−4アルコキシル化部分は、好ましくは、1分子あたりに約14〜約18(さらに好ましくは約16)の反復単位で存在するか、さらに好ましくは−[EO]2−20−であるかのいずれか;およびこれらの混合物である。特に有用なアミン成分としては、TA−2、TA−3、TA−4、TA−5、TA−6、TA−7、TA−7、TA−8、TA−9、TA−10、TA−11、TA−12、TA−13、TA−14、TA−15、TA−16、TA−17、TA−18、TA−19およびTA−20(Stepan)のようなToximul;およびこれらの混合物が挙げられる。さらなる適切なカチオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド(例えば、Witcamides(Witco))が挙げられる。
(c)(ii)以下からなる群から選択される非イオン性界面活性剤:(1)少なくとも第1のポリアルキレンオキシドブロック領域および第2のポリアルキレンオキシドブロック領域(ここで、前記第1の領域中のポリアルキレンオキシドは、前記第2のポリアルキレンオキシドと異なる)を有するポリC2−4アルキレンオキシドブロックコポリマーのモノC2−6アルキルエーテル。好ましくは、C2−6アルキルエーテル部分が、アルキレンオキシドブロックコポリマーのC3−5アルキルエーテルであり、より好ましくは、アルキレンオキシドブロックコポリマーのCアルキルエーテルである。また、好ましくは、アルキレンオキシドブロックコポリマー部分が、好ましいエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーである。好ましくは、そのエチレンオキシド部分は、約25〜75モル%のブロックコポリマーに対して、約10〜約90モル%存在する。特に好ましい物質は、Witcoから入手可能である、商品名NS−500LQとして利用可能である;(2)ヒマシ油の濃縮生成物およびポリC2−4アルキレンオキシド。好ましくは、このアルキレンオキシド部分は、エチレンオキシドである。アルキル化の好ましい程度は、ヒマシ油1モルあたり、約10モル〜約100モルのアルキレンオキシド、より好ましくは、ヒマシ油1モルあたり、約20モル〜約70モルのアルキレンオキシドである。非常に好ましいアルキル化されたヒマシ油は、Witcoから入手可能である、商品名CO360として利用可能である;(3)C12−24のモノエステルまたはジエステルおよびポリC2−4アルキレンオキシドであり、ここで脂肪酸基は、同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、その脂肪酸基は、2つのそのような基が存在する場合、おなじである。また、好ましくはその脂肪酸基は、C12−20脂肪酸基であり、より好ましくはC12−18脂肪酸基であり、最も好ましくはラウロイル基、オレイン酸基、カプリル酸基またはミリストレイン基である。さらに、ポリC2−4アルキレンオキシド部分は、好ましくはポリエトキシであり、ポリC2−4アルキレンオキシド部分中のアリーレン(alylene)オキシド基の数は、好ましくは約2〜約40反復単位である。この型の非常に好ましい物質としては、Kessco PEG 400DL(Stepan)およびEmerest 2620(Cognis)が挙げられる。
【0097】
本発明の1つの実施形態において、MECは、第1の界面活性剤(c)(i)および第2の界面活性剤(c)(ii)の混合物に加えて、(c)(iii)アニオン性界面活性剤であるさらなる成分を含む。
【0098】
適切なアニオン性界面活性剤(c)(iii)としては、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10−15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートまたはポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10−15アルキル−ω−スルフェートおよび/またはC10−13アルキルベンゼンスルホン酸が挙げられる。好ましくはポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10−15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートまたはポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10−15アルキル−ω−スルフェートは、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−トリデシル−ω−ヒドロキシホスフェートまたはポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−トリデシル−ω−ヒドロキシスルフェートである。また、その化合物の(オキシ−1,2−エタンジイル)部分は、1分子あたり、約3〜約9、好ましくは約6の反復単位で存在する。ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)−α−C10−15アルキル−ω−ヒドロキシホスフェートに適切な化合物は、Stepfac8181(Stepan)として入手可能である。C10−13アルキルベンゼンスルホン酸に適切な化合物は、BiosoftS−100(Stepan)である。さらなる適切なアニオン性界面活性剤としては、−[EO]2−20−ジスチニルフェノールおよび−[EO]2−20−トリスチニルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、およびオクチルフェノールのようなエトキシル化アルキルフェノールのホスフェート誘導体およびスルフェート誘導体が挙げられる。
【0099】
ホスフェート基およびスルフェート基の塩が所望される場合、その塩は、塩基が農薬を含む他のいずれの成分とも適合しない限り、任意の塩基を伴う塩であり得る。アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ土類金属のリン酸塩、アンモニアまたは有機アミン(例えば、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ低級アルキルアミン、ジ低級アルキルアミン、トリ低級アルキルアミン(例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、もしくはジメチルプロピルアミン)、またはモノヒドロキシ低級アミン、ジヒドロキシ低級アミンまたはトリヒドロキシ低級アミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンもしくはトリエタノールアミン))が、特に適切である。
【0100】
非常に好ましい実施形態において、成分(c)は、(c)(i)ポリC2−4アルコキシル化脂肪族アミンおよび(c)(iii)C9−17アルキル−(OCHCH−O−ホスフェートの各々を含む。有利に、MECのpHは、(c)(i)カチオン性界面活性剤および(c)(iii)アニオン性界面活性剤の比率および量を調整することによって、特定の農薬に適応するために最適化され得る。なおさらなるカチオン性界面活性剤が、所望の際、混合物に加えられ得る。
【0101】
別の非常に好ましい実施形態において、成分(c)(ii)は、ヒマシ油の濃縮生成物およびポリC2−4アルキレンオキシド;少なくとも第1のポリアルキレンオキシドブロック領域および第2のポリアルキレンオキシドブロック領域(ここで、前記第1の領域中のポリアルキレンオキシドは、前記第2のポリアルキレンオキシドと異なる)を有するポリC2−4アルキレンオキシドブロックコポリマーのモノC2−6アルキルエーテル;ならびにC12−24脂肪酸のモノエステルまたはC12−24脂肪酸のジエステルおよびポリC2−4アルキレンオキシド(ここで、脂肪酸基は、同じであっても異なっていてもよい)の各々を含む。なおさらなる非イオン性界面活性剤が、所望であれば、加えられ得る。
【0102】
最も非常に好ましい実施形態において、成分(c)は、(c)(i)ポリC2−4アルコキシル化脂肪族アミン、(c)(ii)ヒマシ油の濃縮生成物およびポリC2−4アルキレンオキシド;少なくとも第1のポリアルキレンオキシドブロック領域および第2のポリアルキレンオキシドブロック領域(ここで、前記第1の領域中のポリアルキレンオキシドは、前記第2のポリアルキレンオキシドと異なる)を有するポリC2−4アルキレンオキシドブロックコポリマーのモノC2−6アルキルエーテル;ならびにC12−24脂肪酸のモノエステルまたはC12−24脂肪酸のジエステルおよびポリC2−4アルキレンオキシド(ここで、脂肪酸基は、同じであっても異なっていてもよい)ならびに(c)(iii)C9−17アルキル−(OCHCH−O−ホスフェートの各々を含む。
【0103】
ポリアルキレン基が言及されているすべての場合において、他に述べられない限り、分子中のアルキレンオキシドの反復単位の数は、約110までの範囲であり得、好ましくは約50まで、より好ましくは約2〜40の範囲であり得る。アルキレンオキシド鎖において、好ましいアルキレンオキシド基は、−O−C(R)(R)−C(R)(R)−であり、ここで各Rは、独立して、水素または凝集体において、全てのR基と2骨格の炭素との間の全ての炭素原子が、その型の各反復単位に対して述べられた特定のアルキレン基の炭素要求を満たすのに、十分な炭素原子数のアルキルである。従って、プロピレンオキシド基は、好ましくは1つのR基(メチルなど)を有し、一方、ブチレンオキシド基は、好ましくは1つのR基(エチルなど)または2つのR基(メチルなど)を有する(同じ炭素原子上にあっても同じ炭素原子上になくてもよい)。他に述べられない限り、エチレンオキシド基およびプロピレンオキシド基は、好ましいアルキレンオキシドである。
【0104】
上記のように、農薬が溶解されるべき有機溶媒混合物(b)は、少なくとも2つの溶媒の混合物である。第1の溶媒は、(b)(i)アルキルアルカノエートである。第2の溶媒は、(b)(ii)多価アルコール、多価アルコール濃縮物またはそれらの混合物である。必要に応じて、水混和性溶媒(b)(iii)もまた使用される。時折、他の成分の処方が、本発明の精神から逸脱することなく望ましいものである場合、少量のさらなる水混和性溶媒(b)(iv)が含まれ得る;しかしながら、さらなる水非混和性溶媒(b)(iv)は、必要とされない。
【0105】
少量(農薬が溶解され得る量)で使用され得る適切なさらなる水非混和性溶媒(b)(iv)は、農脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、鉱油またはケロシン、置換されたナフタレンの混合物、モノアルキル化芳香族およびポリアルキル化芳香族(商品名SOLVESSOおよびSHELLSOLおよびPETROL SPEZIALとして市販されている)の混合物、塩化メチレンのようなハロゲン化された炭化水素、クロロホルムおよびo−ジクロロベンゼンなど);ジブチルフタレートまたはジオクチルフタレートのような、フタレート;エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、脂肪酸エステルのような、エーテルまたはエステル;シクロヘキサノンなど;ヘキサノールおよびオクタノールのような、高級アルコール;ヒマシ油、大豆油、綿実油およびそれらの可能なメチルエステルのような植物油;ならびにエポキシド化されたココナッツオイルまたは大豆油)である。
【0106】
本発明のMECは、一般に、以下により特徴付けられる;約0.9〜約1.1g/mlの密度;例えば、BROOKFIELD粘度計を30rpm、1〜3スピンドルで用いることにより測定された、25℃で約20〜300cpsの粘度;および約3〜約8のpH。このマイクロエマルジョン液滴粒子の大きさは、約20〜300nmの範囲である。
【0107】
適切な疎水性農薬は、水中で実質的に不溶性である(溶解度は25℃において代表的に約2%w/v以下であり、さらに特に約1%w/v以下である)が、アルキルアルカノエート(多価アルコール)ブレンド単独または必要に応じて水混和性溶媒との組み合わせ中で可溶性である農薬である。農薬としては、殺虫剤が挙げられるが、これらに限定されない。殺虫剤としては、除草剤、防虫剤、ダニ駆除剤、殺ダニ剤、線虫駆除剤、外部寄生生物駆除剤、防カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、および植物成長制御因子が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化学組成に関して、これらの農薬は、非常に広範囲の化合物クラスに属し得る。適切な農薬が属する化合物クラスの例は、以下であり得る:アシルアラミン、ハロアセトアニリド、トリアゾール誘導体、リン酸エステル、ピレスロイド、ベンジル酸エステル、多環式ハロゲン化炭化水素、ジフェニルエーテル誘導体、ホルムアミジン、ストロビルリン(strobilurine)、アリールオキシフェノキシ−アルカン酸誘導体。上記の化合物クラスの適切な個々の化合物の例を、以下に列挙する。公知の場合、個々の化合物を示すために、化合物名を使用する(the Pesticide Manual、第10版、1994、British Crop Protection Councilを参照のこと)。
【0108】
ハロアセトアニリド:ジメタクロール、メトラクロール、S−メトラクロール、プレチラクロール、2−クロロ−N−(1−メチル−2−メトキシエチル)−アセト−2,6−キシリド、アラクロール、ブタクロール、プロパクロール、ジメテンアミド(Dimethenamid)。
【0109】
ジフェニルエーテル誘導体:ビフェノックス、4−(4−ペンチン−1−イロキシ)ジフェニルエーテル、アシフルオルフェン、オキシフルオルフェン、フルオログリコフェン−エチル(Fluoroglycofen−ethyl)、ホメサフェン(Fomesafen)、cis−trans−(+)2−エチル−5−(4−フェノキシ−フェノキシメチル)−1,3−ジオキソラン(「ジオフェノラン(diofenolan)」)。
【0110】
フェノキシプロピオン酸誘導体:フルアジホップ−ブチル、ハロキシホップ−メチル(Haloxyfop−methyl)、ハロキシホップ−(2−エトキシエチル)(Haloxyfop−(2−ethoxyethyl))、フルオロトピック(Fluorotopic)、フェノキサプロップぺシル、キザロホップエチル、プロパキザホップ(Propaquizafop)、ジクロラキホップ−メチル(Diclofop−methyl)。
アシルアラニン:フラールアキシル(Furalaxyl)、メタルアキシル、R−メタルアキシル、ベンゾイルプロップエチル、ベナルアキシル(Benalxyl)、オキサジキシル、フラムプロップメチル。
【0111】
トリアゾール誘導体:ジフェノコナゾール、エタコナゾール(Etaconazol)、プロピコナゾール、ペンコナゾール(Penconazole)、トリアジメホン、エポキシコナゾール(Epoxiconazole)、テブコナゾール、ブロムコナゾール(Bromuconazole)、フェンブコナゾール(Fenbuconazole)、サイプロコナゾール。
【0112】
リン酸エステル:ピペロホス、アニロホス(Anilofos)、ブタミホス、アザメシホス(Azamethiphos)、クロルフェンビンホス(Chlorfenvinphos)、ジクロルボス、ジアジノン(Diazinon)、メチダチオン、アジンホスエチル(Azinphos ethyl)、アジンホスメチル(Azinphos methyl)、クロルピリホス、クロルチオホス(Chlorthiofos)、クロトキシホス(Crotoxyphos)、シアノホス、デメトン(Demeton)、ジアリホス、ジメトエート、ジスルホトン、エトリムホス、ファムファー(Famphur)、フルスルホチオン(Flusulfothion)、フルチオン(Fluthion)、フォノホス(Fonofos)、フォルモチオン(Formothion)、ヘプテノホス、イソフェンホス、イソキサチオン、マラチオン、メホスホラン、メビンホス、ナレド、オキシデメトンメチル、オキシデプロホス(Oxydeprofos)、パラチオン、ホキシム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロパホス、プロペタムホス、プロチオホス、キナルホス、スルプロホス、フェメホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロロネート、フェナミポス、イザゾホス、s−ベンジル−o,o−ジイソプロピルホスホロチオエート、エディンホス(Edinphos)、ピラゾホス。
【0113】
ピレスロイド:アレスリン、ビオアレスリン、ビオレスメスリン、サイハロトリン、サイパーメトリン、デルタメスリン、フェンプロパスリン、フェンバレレート、s−フェンバレレート、フルシスリネート、フルバリネート、パーメシリン、ピレスリン(Pyrethrine)、レスメスリン、テトラメスリン、トラロメスリン、エトフェンプロックス、サイフルスリン、サイクロプロスリン、テフルスリン(Tefluthrin)、フルフェンプロックス(Flufenprox)、シラフルオフェン(Silafluofen)、ビフェンスリン、フェンフスリン(Fenfluthrin)、ブロムフェンプロックス(Bromfenprox)。
【0114】
ベンジル酸エステル:ブロモプロピレート、クロルベンジレート、クロルプロピレート(Chlorpropylate)。
【0115】
多環式ハロゲン化炭化水素:アルドリン、エンドスルファン。
【0116】
ストロビルリン:クレソキシム−メチル、アゾキシスストロビン(BAS 490F)、トリフロキシストロビン(Trifloxystrobin)。
【0117】
その他:トリデモルフ、ブロモキシニル、カルボキシン、プロクロラズ、プロパルギット、ジカムバ、フェンピクロニル(Fenpiclonil)、フェンプロピモルフ(Fenpropimorph)、フェンプロピジン(Fenpropidin)、フルジオキソニル、ピメトロジン、ピリフェノックス、ピリプロキシフェン、トリネキサパック−エチル(Trinexapac−ethyl)、フルアジナム、フルジオキソニル、メフェノキサム、シクロジニル、チアベンダゾール、アバメクチン(Abamectin)、エマメクチンべンゾエート、フェノキシカルブ(Fenoxycarb)、シロマジン(Cyromazine)、プロメトリン、アメトリン、プロジアミン(Prodiamine)、アトラジン、フルメツロン(Flumeturon)、ノルフルラゾン(Norflurazon)、ピリデート、フルメツラム(Flumetsulam)、フルメトラリン(Flumetralin)、シメクタカルブ(Cimectacarb)、チアメトキサム(Thiamethoxam)、およびアセトクロル(Acetochlor)。
【0118】
本発明における、使用のために特に好ましい群の農薬としては、以下が挙げられる:
防カビ剤(例えば、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、メタラキシル(metalaxyl)、メフェノキサム(mefenoxam)(γ−メタラキシル)、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、フララキシル(furalaxyl)、クロロタロニン(chlorothalonin)、フェンプロピジン(fenpropidin)、フェンプロピモフ(fenpropimorph)、シプロジニル、オキサジキシル、シプロコナゾール、ピリフェノックス、フェンピクロニル(fenpiclonil)、ペンコナゾール(penconazole)、チアベンダゾール、およびピロキロン);
殺虫剤(例えば、チオメトキサム(thiamethoxam)、アバメクチン(abamectin)、エナメクチンベンゾエート、サイパーメスリン、フェノキシカルブ、ジフェンチウロン(difenthiuron)、メチダチオン、ピメトロジン(pymetrozine)、τ−フルバリネート、λ−シハロスリン、ペルメスリン、ルフェヌロン、シロマジン、プロフェノホス、ブロモプロピレート、フラチオカルブ、有機リン酸化合物、イミダクロプリド、クロチアジン(clothiadin)およびチアクロプリド(thiacloprid));
除草剤(例えば、メトラクロル、ブタフェナシル(butafenacil)、プロメトリン(prometryne)、クロルトルロン(chlortoluron)、クロジナホップ(clodinafop)、アメトリン、プロジアミン、フルメツロン(flumeturon)、ノルフラゾン、ピリデート、フルメツラム(flumetsulam)、アセトクロル(acetochlor)、ジメテンアミド(dimethenamid)、ジメチタクロル(dimethachlor)、フルアジホップ−p−ブチル、プレチアクロル、フェンクロリム(fenclorim));
生長調節剤(例えば、フルメトラリン(flumetralin)およびシメクタカルブ(cimectacarb));
毒性緩和剤(例えば、フルキソフェニム(fluxofenime)、ベノキサコール(benoxacor)、クロキントセット(cloquintocet)、ジクロルミド(dichlormid)、フルラゾール(flurazole));および
植物活性化因子(例えば、アシベンゾラル−s−メチル(acibenzolar−s−methyl)。
【0119】
この農薬は、本発明において、広範囲の濃度で存在し得、この濃度は、マイクロエマルジョン化可能な濃縮処方物中における農薬の活性および農薬の相対溶解性により示される。
【0120】
組成物に関して適切な濃度は(全組成物の重量%)以下である:
(a)疎水性農薬または疎水性農薬の混合物の濃度:0.1〜25%、好ましくは1〜15%、より好ましくは約1.25〜約11.5%;
(b)有機溶媒の濃度:10〜95%、好ましくは20〜65%;この中で
(b)(i)アルキルアルカノエート溶媒:約10〜約35%、好ましくは約15〜約30%、より好ましくは約18〜約25%の、少なくとも1つのC6−13脂肪族−C1−4アルカノエート;
(b)(ii)多価アルコール、多価アルコール濃縮物または混合物:約10〜約45%、好ましくは約10〜約40%の、少なくとも1つのポリC2−4アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、好ましくは化合物1モルあたり約2〜約20の繰り返し単位を有するエチレンオキシド;
(b)(iii)水混和性溶媒:約10〜約30%、好ましくは約12〜約25%、より好ましくは約15〜約23%の水混和溶媒;および
(c)界面活性剤の濃度:2〜40%、好ましくは5〜30%;この中で
(c)(i)カチオン性界面活性剤:約0〜約20%、好ましくは約1〜約12%、より好ましくは約2〜約12%;
(c)(ii)非イオン性界面活性剤:約1〜約10%、好ましくは約1〜約7%、より好ましくは約2〜約5%、最も好ましくは約2〜約4.5%;および
(c)(iii)アニオン性界面活性剤:0〜約10%、好ましくは約0〜9%。
本発明の別の局面は、均一な相が達成されるまで十分に混合し、必要に応じて加温することによる、本明細書中に記載されるような液体マイクロエマルジョン化可能な農薬濃縮物を調製するためのプロセスである。
【0121】
本発明の別の局面において、このマイクロエマルジョン化可能な農薬濃縮物は、水で希釈すると、すぐに使用できる水性スプレー混合物として有益なマイクロエマルジョンである。マイクロエマルジョンのいずれの希釈物も、水での希釈により、この濃縮物から得られ得、そして用いられ得る(例えば、有害な植物の健康、質および生産性の保護および増強において、ならびに有害生物(例えば、雑草、昆虫、Acarina目のメンバー、線虫および病害(農地、住宅地、商業地または公共地のいずれであっても))。このような希釈物を用いて、噴霧、潅水、または含浸により、生存する植物を処理し、そしてまた植物の繁殖物質も処理することが可能である。マイクロエマルジョンはまた、構造物中およびそのまわりの木および他の材料の保護および予防、および有害生物(以下のものを含有するが、これらに限定されない:シロアリ、アリ、ゴキブリ、ネズミ、飛ぶ昆虫(flying insects)、蚊、ノミおよびダニ)の制御に適している。本発明のマイクロエマルジョンはまた、家畜用敷地における厄介なハエの制御、疾患媒介動物の制御、ラットおよびマウスの蔓延を制御するための殺鼠剤、蚊、および黒ハエの蔓延と制御するための殺虫剤、および叢生昆虫を制御するための殺虫剤の送達に有益である。例えば、適用の直前、使える状態にあるスプレー混合物を得るために、本発明のMECを周囲温度で単に混合することにより、水で希釈し得る。一般に、この農薬は、約0.001〜約1重量%の濃度でスプレー混合物中に存在する。
【0122】
(実施例)
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示する。本発明は、実施例により限定されるとみなされるべきではない。なぜなら、本発明の全範囲は特許請求の範囲で定義されるからである。実施例において、すべての割合は全組成物の重量パーセントである。登録商標および他の名称は、以下の製品を示す。
【0123】
【表1】

【0124】
(実施例1)
【0125】
【表2】

【0126】
工業用トリフロキシストロビン(52.6g−95.0%検定)を、テトラヒドロフルフリルアルコール(212g)およびオキソ−ヘプチルアセテート(Exxate 700の形態で258g)を含む攪拌容器に添加し、そしてトリフロキシストロビンが溶解するまで、この混合物を攪拌する。ポリエチレングリコール(Stepan PEG 200の形態で200g)、ポリエトキシ化されたヒマシ油(Witco CO360の形態で119g)、ポリエチレングリコールジラウレートエステル(Kessco PEG 400DLの形態で23.4g)、ブトキシEO/POブロックコポリマー(Witco NS−500LQの形態で21.9g)、トリデシルアルコールポリエトキシレートリン酸(Stepfac 8181の形態で62.5g)およびポリエトキシ化された獣脂脂肪アミン(Toximul TA−5の形態で約53g)を添加し、そしてこの混合物を均一になるまで攪拌した。添加したポリエトキシ化獣脂脂肪アミンの実際量を調節することにより、この混合物の最終pHを4〜6の範囲に制御する。
【0127】
【表3】

【0128】
(実施例2)
【0129】
【表4】

【0130】
工業用プロピコナゾール(72.0g−94.0%検定)と工業用トリフロキシストロビン(3.6g−94.4%検定)を、テトラヒドロフルフリルアルコール(207g)およびオキソ−ヘプチルアセテート(Exxate 700の形態で180g)を含む攪拌容器に添加し、そしてトリフロキシストロビンおよびプロピコナゾールが溶解するまで、この混合物を攪拌する。ポリエチレングリコール(Stepan PEG 200の形態で2489g)、ポリエトキシ化されたヒマシ油(Witco CO360の形態で115g)、ポリエチレングリコールジラウレートエステル(Kessco PEG 400DLの形態で42.7g)、ブトキシEO/POブロックコポリマー(Witco NS−500LQの形態で21.3g)、トリデシルアルコールポリエトキシレートリン酸(Stepfac 8181の形態で60.7g)およびポリエトキシ化獣脂脂肪族アミン(Toximul TA−2の形態で約20g)を添加し、そしてこの混合物を均一になるまで攪拌した。添加したポリエトキシ化獣脂脂肪族アミンの実際量を調節することにより、この混合物の最終pHを4〜6の範囲に制御するべきである。
【0131】
【表5】

【0132】
(実施例3)
【0133】
【表6】

【0134】
工業用トリフロキシストロビン(52.6g−95.0%検定)を、テトラヒドロフルフリルアルコール(222g)およびオキソ−ヘプチルアセテート(Exxate 700の形態で258g)を含む攪拌容器に添加し、そしてトリフロキシストロビンが溶解するまで、この混合物を攪拌する。ポリエチレングリコール(Stepan PEG 200の形態で180g)、ポリエトキシ化されたヒマシ油(Witco CO360の形態で158g)、ポリエチレングリコールジラウレートエステル(Kessco PEG 400DLの形態で24.2g)、ブトキシEO/POブロックコポリマー(Witco NS−500LQの形態で37.8g)、ドデシルベンゼンスルホン酸(Biosoft S−100の形態で23.8g)およびポリエトキシ化された獣脂脂肪族アミン(Toximul TA−8の形態で約46.2g)を添加し、そしてこの混合物を均一になるまで攪拌した。添加したポリエトキシ化獣脂脂肪族アミンの実際量を調節することにより、この混合物の最終pHを4〜6の範囲に制御する。
【0135】
【表7】

【0136】
(実施例4)
【0137】
【表8】

【0138】
ブチル化ヒドロキシトルエン(10g)を、テトラヒドロフルフリルアルコール(150g)、オキソ−トリデシルアセテート(Exxate 1300の形態で180g)およびポリエチレングリコール(PEG 200の形態で365g)を含む攪拌容器に添加する。これらの内容物を、すべての固体が溶解するまで攪拌する。ポリエチレングリコールモノラウレートエステル(Emerest 2620の形態で20.0g)、ポリエトキシ化獣脂脂肪族アミン(Toximul TA−15の形態で121g)、ポリエトキシ化獣脂脂肪族アミン(Toximul TA−5の形態で61.0g)およびドデシルベンゼンスルホン酸(Stepan Biosoft S100の形態で78g)を添加し、溶解が完了するまで攪拌する。小さな温度上昇が確認される。工業用チアメトキサム(13.4g−95%検定)および工業用アバメクチン(1.94g−96%検定)を添加し、完全に溶解するまで攪拌する。この溶解プロセスは、数時間必要とし得る。
【0139】
【表9】

【0140】
目への刺激は「Caution」であり、上記溶解プロセスはマイクロエマルジョンを形成し、このマイクロエマルジョンは、標準試験水(5%希釈物)で室温〜0℃で、7日以上安定である。本発明の特異的な実施形態の前述の記載は、本発明のすべての可能な実施形態の完全な列挙であることは意図されない。この分野の当業者は、本明細書に記載された特定の実施形態に対して変更が行われ得、この変更は本発明の範囲内のままであることを認識する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のマイクロエマルジョン化可能濃縮物(MEC)。

【公開番号】特開2008−308508(P2008−308508A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249274(P2008−249274)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【分割の表示】特願2002−547307(P2002−547307)の分割
【原出願日】平成13年12月3日(2001.12.3)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】