説明

マイクロカプセルを有するフィルム

機能性組成物の被覆物を保持する、少なくとも2つの実質的に平面の水溶性フィルムを含む機能化基材を含む製品であって、この被覆物は、2つのフィルム間に存在し、この機能性組成物は、マイクロカプセルを含んでなる、製品は、洗濯プロセス中、香料又はその他の活性物質を布地に注入する効果的な手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能化基材及びフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、彼等の衣類を洗濯する際、気持ちのよい香りを体験することを期待するようになった。消費者に香り体験を向上する方法を提供する必要性が継続的に存在している。例えば、国際公報第WO2005/005591A1号、国際公報第WO2004/020566A1号を参照のこと。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの進歩にも関わらず、布地のより強烈なさわやかさ、布地の異なる特徴のさわやかさ、特に、布地のより長く持続するさわやかさに対する消費者の欲求が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第一の態様において、機能化基材を備えてなる製品であって、機能性組成物の被覆物を保持する、水溶性フィルムを備えてなり、この機能性組成物は、少なくとも1つのマイクロカプセルを含んでなる、製品を提供することによって、本欲求及びその他の欲求に対処することを試みる。一実施形態は、機能化基材を備えてなる製品であって、機能性組成物の被覆物を保持する、少なくとも2つの実質的に平面の水溶性フィルムを備えてなり、この被覆物は2つのフィルム間に存在し、かつこの機能性組成物は、少なくとも1つのマイクロカプセルを含んでなる、製品を提供する。一実施形態では、マイクロカプセルは、香料を包含する。別の実施形態では、マイクロカプセルは、香料マイクロカプセルを含んでなる。香料を含む製品は、洗濯洗剤に加えて使用される際、乾燥布地の臭気を向上するための香り増強剤として使用することができる。同様に、この製品は、布地柔軟製品に加えて使用される際、乾燥布地の臭気を向上するための香り増強剤として使用することができる。乾燥布地の臭気の向上に加え、最初に、この製品の使用により、大幅に長く持続する布地の香りを提供することができる。洗浄サイクル、すすぎサイクル、又は両方で、この製品を加えてもよい。例えば製品は、更なる柔軟性、静電気防止、又は漂白剤的働きを提供することができるなど、その他の機能的効果が可能である。別の実施形態では、この製品は、消費者がカスタマイズするための手段を提供することができる。マイクロカプセルが香料を包含する場合、消費者がこの製品を無香料洗剤、及び/又は無香料布地コンディショナーと併用する際、この製品を使用して、香りの大部分又は全てを布地に提供することができる。
【0005】
本発明の第二の態様は、機能性組成物の被覆物を保持する水溶性フィルム形態の機能化基材を作製するためのプロセスを提供し、この機能性組成物は、マイクロカプセルを含んでなり、このプロセスは、被覆物を形成するために少なくともフィルムの片面に印刷する工程を含む。又マイクロカプセルに加え、その他の機能性組成物をフィルムに付与してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の第一の態様によると、機能性組成物の被覆物を保持する水溶性フィルム、又は少なくとも部分的に水溶性フィルムの形態である基材を作製するためのプロセスが提供される。本明細書では、「機能性組成物」は、フィルムが溶解後に機能を果たす、又は利益をもたらす、若しくは美的外観以外に、フィルムの物理的又は化学的特性を変更する物質を1つ以上含む組成物を意味する。例えば、インク、装飾用染料、及び顔料は、機能性物質と見なされない。しかしながら、布地の外観の白色度を向上するための色相染料は、機能的であると見なす。
【0007】
本発明のプロセスは、1つ以上の機能性物質を高量に装填するために適している。一実施形態では、被覆物の量は、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約50、少なくとも約100g/mである。別の実施形態では、装填量は、被覆物されていないフィルムの少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約100重量%、少なくとも約200重量%、1000重量%以下である。更に別の実施形態では、被覆物は、乾燥した被覆物の少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%の量の機能性物質を1つ以上含む。
【0008】
本発明のプロセスによって得られる基材は、フィルムの厚さが装填できる物質の量を制限しないため(即ち、活性物質の高装填量が達成できる)、洗浄及び/又はすすぎサイクルで、高量の機能性物質を水中に供給するために非常に効率的な方法である。香気、香料、柔軟化剤、静電気防止剤、洗濯のり、水/染み忌避剤、染み離型剤、清涼剤、抗菌剤、消毒剤、しわ防止剤、しわ離型剤、臭気耐性剤、悪臭制御剤、摩耗耐性及び保護剤、溶媒、防虫剤/ペット忌避剤、湿潤剤、UV保護剤、皮膚/布地コンディショニング剤、皮膚/布地育成剤、色保護剤、染料定着剤、転染抑制剤、シリコーン、防腐剤及び抗菌剤、布地収縮防止剤、香料マイクロカプセル、光沢剤、色相染料、漂白剤、キレート、消泡剤、スカム防止剤、美白剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない、多様な機能性物質をフィルムに装填することができる。これら及びその他の一般に使用される布地コンディショニング活性物質を包含するマイクロカプセルを、本発明により使用することができる。
【0009】
プロセスは、水溶性フィルムの少なくとも片面、又は水溶性フィルムの少なくとも一部分に、被覆物を形成するための機能性物質を1つ以上含む溶液、任意に水溶液を塗布する工程を含み、この被覆物は、1つ以上の層から段階的に形成される。一実施形態では、溶液は、フィルム不溶化剤を含む。
【0010】
「水溶液」は、本明細書で、溶媒の大部分が水である溶液を意味する。又水溶液は、微量のその他の溶媒を含むことができる。一実施形態では、水溶液の水分含有量は、少なくとも約10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、99重量%以下であり、水溶液中に存在するその他の溶媒のいずれの量を上回る。別の実施形態では、水溶液の水分含有量は、水溶液の少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約60重量%、99重量%以下である。「水溶液」という用語は、本発明の目的で、広義に解釈されるべきであり、水及び機能性物質を含むいずれの混合物を含む。スラリー及び分散液(液体/固体)、泡(液体−気体)、ジェル、及び乳濁液(液体/液体)は、「水溶液」と見なされる。
【0011】
「溶液」という用語は、本明細書で使用する時、水溶液又は非水溶液を意味する。非水溶液は、水分含有量があるとすれば、非水溶液の約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満である、実質的に水を含まない、水を含まない、溶液を意味する。非水溶液は、グリコール類(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセリン)又はワックス類などの溶媒を含んでもよい。別の実施形態では、溶液は使用されないが、粉末又は固体の活性物質単体、若しくは粉末/固体担体がフィルム上に被覆物される。
【0012】
本発明の一実施形態におけるプロセスの利点の1つは、高価で取り扱いが困難であり、関連する環境及び安全性リスクのある有機溶媒の使用を必要としない場合があるということである。水溶液を使用するプロセスが直面する課題の1つは、水溶性、即ち、水の攻撃に影響を受けやすい、水に敏感なフィルムを取り扱うことである。フィルムは劣化する(即ち、ピンホールの形成、収縮、変形、可視繊維の形成、弛み、菲薄化など)可能性があり、フィルムが水溶液に暴露後、即座に乾燥された場合、幾つかの初期特性が失われる可能性がある。本発明の一実施形態では、水溶性フィルムを処理するために水溶液が使用されるが、水溶性フィルムの特性を実質的に変更したり、水溶性フィルムの被覆物されていないフィルムに対する水分含有量を変更したりしない。
【0013】
理論に束縛されるものではないが、水溶性フィルムの表面全体、又はその別個の部分は、水溶液によって溶解するか、又は溶媒和すると考えられる。一度フィルムの表面から水溶液の水が除去されると、再凝固し、従って機能性物質がその上に付着する。従って、本発明の実施形態うちの1つのプロセスの別の可能性のある利益は、結合剤又はその他の補助剤を使用することなくフィルムに被覆物を付着する若しくは固定することが可能なことである。これは、費用を低減し、方法を簡略化する。
【0014】
被覆物
本発明の一実施形態では、フィルムの表面は、少なくとも部分的に機能性物質で被覆物される。一実施形態では、フィルムは、2つの平面を含み、面の少なくとも1つは、少なくとも部分的に機能性物質で被覆物される。別の実施形態では、フィルムの別個の部分が、機能性物質で被覆物される。例えば、フィルムを小袋又はサッシェなどの梱包製品に変換中に、有害な形質転換が起こることを避けるために、フィルムの別個の部分処理が望ましい場合がある。例えば、可燃性の香料など、可燃性の機能性物質で被覆物されたフィルムを熱封止する場合、フィルムの別個の部分を被覆物し、フィルムの被覆物されていない領域を熱処理できるようにすることが望ましい場合がある。別の実施形態では、製品は、完全に被覆物された機能性基材を含み、基材の面の少なくとも1つは、機能性物質で完全に被覆物される。
【0015】
一実施形態では、フィルム被覆物は、均一な模様の被覆物を含み、この被覆物は、被覆物された領域に渡り、均一である。別の実施形態では、フィルム被覆物は、ランダム模様の被覆物を含み、この被覆物は、被覆物された領域に渡り、均一ではない。
【0016】
被覆物が複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上)の層から段階的に形成される場合、第一の層、(即ち、フィルムと直接接触する層)は、比較的薄いか、又は水溶液がフィルム上に置かれるのと実質的に同時に乾燥する。第一の層の厚さ及び/又はこの層の乾燥速度を決定するために、試行錯誤が行われ得る。厚さ、乾燥速度、及びこの方法の他のあらゆる変数は、フィルムの機械的一体性を維持するようにあるべきである。これは、第一の層が形成される前後にフィルムの弾性を測定することにより、試験できる。フィルムの弾性特性(引張り強度、伸張弾性率、及び破断時の伸張率)は、同一の相対湿度及び温度条件化、例えば、相対湿度が40%で20℃、好ましくは、測定前にこの条件下に24時間放置された被覆物されていないフィルムを測定した場合の約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内であるべきである。
【0017】
段階的プロセスを使用することで、次の層がそこに堆積する前に、部分又は全体を乾燥し、フィルムが一度に極めて高量の水に暴露されることを回避できるようにする。一実施形態では、水溶液が含有できる水の量に制限はない。第一の層は、水溶性フィルムの続く層との相互作用から保護する。一度に多量を塗布する代わりに、複数の水溶液の薄層を水溶性フィルム上に塗布することの更なる利益は、乾燥する工程を穏やかな乾燥条件下、即ち、短時間のオーブン、小空気流、より低温、より簡易な方法(例えば、熱風に対してIR)で達成することができ、従って、より経済的であることである。更に、穏やかな乾燥条件により、プロセスは、酵素類、香料、生物活性物質(例えば、タンパク質、触媒、及びビタミン類)などの熱に敏感な成分に好適なものとなる。
【0018】
機能性物質を含む被覆物は、フィルム不溶化剤、即ち、プロセスで使用される量の水溶液の存在下で、一時的にフィルムの溶解度を低減する物質を含む溶液から形成することができる。ただし、機能化フィルムは、水に浸漬したときに可溶性を維持する。水溶性フィルムは、より水の攻撃を受け難い(なお水溶液で濡れているので、機能性物質(単数又は複数)は堆積され得るが、フィルムは可溶化されないか、又はフィルム膨潤及び物理的特性の変更を引き起こす深さに水を吸収しない)。これは、より厚い層を使用できるようにする可能性があり、その結果、必要となる層の数を減少することができる。特定の用途では、1つのみに減少される場合がある。一実施形態では、フィルム不溶化剤は、機能性物質を含む水溶液の前に添加してもよく、又は水溶液の一部分として添加してもよい。別の実施形態では、フィルム不溶化剤は、後の洗浄及び/又はすすぎサイクルまで基材が完全に溶解することを遅延し、従って、場合によっては機能性物質が布地に付着することを向上することができる。
【0019】
被覆物は、スプレー、ナイフ、ロッド、キス、スロット、ペイント、印刷、及びこれらの混合を含むあらゆる被覆物工程により、フィルム上に塗布することができる。印刷は、典型的にインク及び染料で行われ、基材に模様及び色を付与するために使用される。本発明の場合では、印刷は、機能性物質を水溶性フィルム上に置くために使用される。本発明の目的のために、輪転グラビア、石版印刷、フレキソ印刷、多孔質及びスクリーン印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、タンポ印刷、並びにそれらの組み合わせを含む、いずれの種類の印刷を使用することができる。一実施形態では、被覆物は、フレキソ印刷によって塗布される。フレキソ印刷装置は、その他の印刷技術と比較して、比較的安価であり、かつ高速である。フレキソ印刷の利点は、一般的な装置を使用して、複数の印刷をワンパスで達成することができる、共通多重印刷位置設定である。フレキソ印刷の別の利点は、高粘度の印刷液、及び一般的なインクジェット印刷より広い範囲の粒子サイズの印刷液を取り扱う、その柔軟性である。フレキソ印刷は、印刷溶液を所定の基材へ運ぶために、可撓性が増し加えられたゴム又はフォトポリマープレートを使用する印刷技術である。本発明の一態様では、可撓性プレートが水溶液をフィルムに運ぶ。水溶液が水系であるという事実は、プレートと不相溶性を生じず、これは、プレートがそこで膨らむ原因となり、従って印刷の精度又は解像度を悪化する。
【0020】
一実施形態では、プロセスは、第二のフィルムを被覆物上に堆積し、2つのフィルムを封止して積層体を形成する工程を含む。これらの実施形態は、被覆物が不相溶性問題又は安定性問題のために周囲の環境から保護されていなければいけない、又はユーザーの皮膚に接触することを避けるために分離されていなければいけない、機能性物質を含む場合に、特に適している。又第二フィルムは、機能性組成物の被覆物を含むこともできる。更に別の実施形態では、第三のフィルム(機能性組成物の被覆物を保持する、又は有しない)も又、積層体を含むために含まれてもよい。第二のフィルム又は第三のフィルムの機能性組成物は、第一のフィルムの機能性組成物と異なってもよい。共に封じられるフィルムの数は、機能化フィルムの用途により決定される。別の封止方法としては、熱、溶媒、超音波、赤外線、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
マイクロカプセル
一実施形態では、機能性物質は、活性物質を封入するマイクロカプセルを含んでなる。一実施形態では、活性物質は、布地ケア活性物質を含む。別の実施形態では、活性物質は、香料原料、シリコーン油及びシリコーンワックス、ワックス類、炭化水素、高級脂肪酸類、芳香油、脂質類、皮膚冷却剤、ビタミン類、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、触媒、漂白剤粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭還元剤、染料、光沢剤、抗菌活性物質、制汗活性物質、カチオン性ポリマー類、又はそれらの混合物を含む。一態様では、前記香料原料は、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、アルケン類、又はそれらの混合物を含む。一態様では、コア物質は、香料を含む。別の実施形態では、マイクロカプセルコアは、PDMS又は誘導体化されたPDMS(一例は、シリコーンポリオール類)、アミノ官能シリコーン類、ショ糖ポリエステル類、ポリグリセロールエステル類、ポリエチレンワックス類、ビタミンE、酵素類、アミノ酸類、シアバター、アロエベラ、ワセリン、レチノール、キュウリ抽出物、カモミール抽出物、アーモンドミルク、絹タンパク質、ケラチンタンパク質、及びケラチンアミノ酸類、天然石鹸、ユーカリ油、天然オート麦、海洋ミネラル、ラベンダー、バラ、バニラ抽出物、亜麻布花、シトラス、レモン、ライム、及びオレンジを包含する。
【0022】
その他の機能性物質は、洗濯洗浄活性物質、障壁剤、溶解度変性剤、布地軟化活性物質、シリコーン、消泡剤、及びそれらの混合物を含む。
【0023】
「マイクロカプセル」という用語は、最も広義の意味で本明細書で使用され、香料又はその他の物質若しくは活性物質を、典型的に、300μ未満の直径を有する小さなカプセル(即ち、マイクロカプセル)に封入することを含む。典型的に、これらのマイクロカプセルは、典型的にポリマー物質である、非水溶性又は少なくとも部分的に非水溶性の物質の球形状中空シェルを含み、その中に香料などの活性物質が含まれる。マイクロカプセルは、以下の参照、米国特許出願第2003/215417A1号、米国特許出願第2003/216488A1号、米国特許出願第2003/158344A1号、米国特許出願第2003/165692A1、米国特許出願第2004/071742A1号、米国特許出願第2004/071746A1号、米国特許出願第2004/072719A1号、米国特許出願第2004/072720A1号、欧州特許第1,393,706A1号、米国特許出願第2003/203829A1号、米国特許出願第2003/195133A1号、米国特許出願第2004/087477A1号、米国特許出願第2004/0106536A1号、米国特許第6,645,479号、米国特許第6,200,949号、米国特許第4,882,220号、米国特許第4,917,920号、米国特許第4,514,461号、米国再発行特許第32,713号、米国特許第4,234,627号に記載される。
【0024】
マイクロカプセルは、界面重合及び重縮合など、当該技術分野に精通する者に既知のシェルカプセルを作製するための一連の従来の方法を使用して調製されてもよい。例えば、米国特許第3,516,941号、米国特許第4,520,142号、米国特許第4,528,226号、米国特許第4,681,806号、米国特許第4,145,184号、英国特許第2,073,132号、国際公報第WO99/17871号、並びにベニータ(Benita)及びシモン(Simon)により編集されたマイクロ封入:方法及び産業応用(MICROENCAPSULATION: Methods and Industrial Applications)(マーセル・デッカー社(Marcel Dekker, Inc.)1996)を参照。いずれにせよ、物質及びプロセス工程に関して、多くの変化形が可能であることが認識される。マイクロカプセルのシェルを作製するために好適な物質の非限定的な実施例としては、ユリアホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ゼラチン、ポリウレタン、ポリアミド類が挙げられる。
【0025】
本発明の一実施形態では、マイクロカプセルのシェルは、アミノプラスト樹脂を含む。このようなシェルカプセルを形成するための方法としては、重縮合が挙げられる。アミノプラスト樹脂類は、1種類以上のアミン類と1種類以上のアルデヒド類、典型的にはホルムアルデヒドとの反応物である。好適なアミンの非限定的な例として、尿素、チオ尿素、メラミン及びその誘導体、ベンゾグアナミン及びアセトグアナミン、及びアミンの組み合わせ物が挙げられる。又、好適な架橋剤(例えば、トルエンジイソシアネート、ジビニルベンゼン、ブタンジオールジアクリレートなど)を使用してもよく、又必要に応じて、例えば、無水物及びそれらの誘導体、特に、米国特許出願第2004/0087477A1号に開示されるような、無水マレイン酸のポリマー及びコポリマー類などの二次壁ポリマー類を使用してもよい。別の実施形態では、マイクロカプセルのシェルは、ユリアホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、又はその組み合わせを含む。
【0026】
一実施形態では、本発明のマイクロカプセルは、本質的に砕け易い。脆砕性は、外部からの直接的圧力又は剪断力を受ける際に、マイクロカプセルが破裂、又は破断して開く傾向を指す。本発明の目的に利用されるマイクロカプセルは、それで処理される布地に付着している間「砕け易く」、カプセルを含む布地が着用される又は取り扱われることによって操作される際に受ける力によって破裂し得る(従って、カプセルの内容物を解放する)。別の実施形態では、マイクロカプセルは、ベータ−シクロデキストリンなどの水分活性マイクロカプセルである。一実施形態では、水分活性マイクロカプセルは、静電沈着、溶媒系被覆物及び/又は印刷、若しくは熱可塑性プラスチック物質系スラリーなどの従来の被覆物及び印刷方法で塗布される。更に別の実施形態では、マイクロカプセルは、熱活性(例えば、体温及び/又は乾燥機内の熱によって活性化する)である。更に別の実施形態では、マイクロカプセルは、砕け易いマイクロカプセルと水分活性マイクロカプセルとの組み合わせである。更に別の実施形態では、本発明のマイクロカプセルは、砕け易くする、水分活性にする、熱活性にする、又はそれらの組み合わせにすることができる。
【0027】
一実施形態では、シェルカプセルは、典型的に、1マイクロメートル〜100マイクロメートル、5マイクロメートル〜80マイクロメートル、10マイクロメートル〜75マイクロメートル、15マイクロメートル〜50マイクロメートルの平均直径を有する。粒径分布を、狭く、広く、又は多峰性にすることができる。
【0028】
別の実施形態では、マイクロカプセルのサイズは様々であり、約5μ〜約300μ、約10μ〜約200μの最大直径を有する。カプセル粒子サイズが300μに近づくにつれて(例えば、250μ)、布地に飛沫同伴されたカプセルの数が減少することが観察される場合がある。
【0029】
別の実施形態では、本発明で利用されるカプセルは、一般に、約0.1μ〜50μ、約1μ〜約10μの平均シェル厚を有する。
【0030】
別の実施形態では、マイクロカプセルは、香料組成物の約50重量%〜約90重量%、約60重量%〜約85重量%、約65重量%〜約75%の装填/錯体量を含む。本発明の香料マイクロカプセルの本装填/錯体特性は、ベータ−シクロデキストリンなどのその他の技術と対比して有利である。利点としては、以下の(i)例えば、純香料(直接添加)、香料マイクロカプセル、又はその組み合わせに使用する香料の総量を減少できること、(ii)加工の費用を回避し、加工を通して物質が失われることを避けること、(iii)加工製品性質又は加工要因に影響を与えることなく、高量の香料を供給すること、(iv)消費者にとって負であり得る、高量の純製品の臭気を避ける一方、高量の香料を布地に供給すること、(v)純香料と比較して、布地の臭気の向上した寿命性能を供給すること、の1つ以上が挙げられるが、それらに限定されない。
【0031】
マイクロカプセルの供給元としては、インターナショナル・フレーバー&フレグランス(International Flavors & Fragrances)(IFF)、リード・パシフィック(Reed Pacific)、及びアップルトン(Appleton)が挙げられてもよい。本発明の目的に好適なマイクロカプセルの一実施例としては、アップルトン(Appleton)の香料マイクロカプセル(Perfume Microcapsules)(PMCs)が挙げられる。その他の実施例としては、リード・パシフィック(Reed Pacific)のウィザード(WIZARD)、及びIFFのエバーラスト(EVERLAST)が挙げられてもよい。一実施形態のシェルは、架橋アルデヒド類及びアミン官能基類から形成される。一実施形態では、封入されるブルーミング香料組成物は、一実施形態では、任意に粘度又は疎水性変性剤を含む微小の変性剤と共に約3〜約300の異なる香料成分を含む。典型的な粘度変性剤としては、シリコーン油、ゴム類、及びワックス類が挙げられるが、それらに限定されない。典型的な疎水性変性剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、鉱物油、ジプロピレンメチルエーテル(DPM)が挙げられるが、それらに限定されない。総香料組成物の50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、1重量%未満、約0重量%、少なくとも0.1重量%だが50重量%以下のこのような変性剤を使用してもよい。理論に束縛されるものではないが、変性剤の過度の使用は、本発明の香料マイクロカプセルにより付与される香り体験の効果が減少する。
【0032】
一度香料組成物を含む本発明のマイクロカプセルが、扱われる布地に付着すると、当然ながらマイクロカプセルを破裂して、その結果、香料組成物を解放するために十分な方法で、扱われる布地を操作する必要がある。本明細書で利用されるマイクロカプセルの種類は、扱われる布地が着用される又は使用される際に生じる普通の布地操作が、付着したマイクロカプセルが布地に顕著な臭気を付与するために十分であるような、脆砕性特性を有する。付着した著しい数のマイクロカプセルは、処理された衣類を着用する際に加えられる、通常の力によって破壊することができる。着用されていない布地製品では、畳む、丸めるなどの通常の家庭での取り扱い操作が、付着したマイクロカプセルを破裂するために十分な布地操作としての役割を果たすことができる。本発明の香料組成物は、マイクロカプセルの破裂により広がる香料組成物を提供することによって充満する、マイクロカプセルの効果を驚くほど最大化する。
【0033】
砕け易い本発明のマイクロカプセルは、シクロデキストリンを含み、水分との接触によって破裂するカプセルなどの水分活性マイクロカプセル、米国特許第5,246,603号に記載されるようなマイクロカプセルを含むワックス、及び米国特許第5,246,603号に記載されるデンプン系マイクロカプセルと区別される。
【0034】
ブルーミング香料
本発明は、一部分において、本発明のブルーミング香料組成物が、着用中、畳み中、及び更には保管後に、布地に付着した砕け易いマイクロカプセルが破裂する際に、消費者が独特な香りを体験する機会を最大化するという発見に基づく。一実施形態では、香料マイクロカプセルは、ブルーミング香料組成物を封入し、ブルーミング香料組成物は、水が存在しない状態にある香料マイクロカプセル、及び水が存在しない状態にある封入された香料組成物の総重量の約5重量%〜約95重量%、約20%〜約90%、約30%〜約85%、約40%〜約80%を含む。
【0035】
「ブルーミング香料組成物」という用語は、本明細書で使用するとき、香料組成物の重量で、少なくとも約25重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約65重量%のブルーミング香料成分を含む香料組成物を意味し、ブルーミング香料成分は、約250℃以下、250℃以下の沸点(B.P.)を有し、B.P.は、通常の標準圧力で測定される。
【0036】
多くの香料成分の沸点は、例えば「香料及び風味料薬品(Perfume and Flavor Chemicals)(アロマケミカルズ(Aroma Chemicals))」、S.アークタンダー(S. Arctander)、著者により出版、1969年、に報告されている。その他の沸点の値は、バイルスタイン・ハンドブック(Beilstein Handbook)、ランゲの化学ハンドブック(Lange’s Handbook of Chemistry)、並びに、化学及び物理学のCRCハンドブック(CRC Handbook of Chemistry and Physics)のような様々な化学ハンドブック及びデータベースから入手することができる。異なる圧力での沸点のみが既知である場合、通常、標準圧力(101kPa(760mmHg)より低い圧力で、ジョン・ウィリー&ソンス・パブリッシャー(John Wiley & Sons Publishers)から1972年に出版された「ザ・ケミスツ・コンパニオン(The Chemist’s Companion)」の30〜36ページに記載される、A.J.ゴードン(A. J. Gordon)及びR.A.フォード(R. A. Ford)の沸点−圧力モノグラフなどを使用して、標準圧力での沸点をほぼ推測することができる。適用できる場合、沸点の値は、分子構造データに基づき、D.T.スタントン(D. T. Stanton)らのジャーナル・ケミカル・インフォメーション・コンピュータ・サイエンス(J. Chem. Inf. Comput. Sci.)、32(1992)、306〜316ページ、「ピラン及びピロールの標準沸点のコンピュータ支援予測(Computer-Assisted Prediction of Normal Boiling Points of Pyrans and Pyrroles)」、D.T.スタントン(D. T. Stanton)らのジャーナル・ケミカル・インフォメーション・コンピュータ・サイエンス(J. Chem. Inf. Comput. Sci.)、31(1992)、301〜310ページ、「フラン類、テトラヒドロフラン類、及びチオフェン類の標準沸点のコンピュータ支援予測(Computer-Assisted Prediction of Normal Boiling Points of Furans, Tetrahydrofurans, and Thiophenes)」、並びに本明細書で引用される参照、並びにR.ムルガン(R. Murugan)らの「科学技術(Chemtech)、1994年6月号、17〜23ページに記載されるような「分子構造からの物理的特性の予測(Predicting Physical Properties from Molecular Structure)」を、コンピュータプログラムを使用して算出することもできる。
【0037】
本発明の製品に有用なブルーミング香料成分の非限定的な実施例は、2005年9月1日に公開された米国特許公報第2005/0192207A1号の29〜31ページで既知である。
【0038】
一実施形態では、本発明のブルーミング香料組成物は、少なくとも約3つの異なるブルーミング香料成分、少なくとも約4つの異なるブルーミング香料成分、少なくとも約5つの異なるブルーミング香料成分、少なくとも約6つの異なるブルーミング香料成分を含む。
【0039】
香料技術では、臭いのない又は極めてかすかな臭いを有する幾つかの物質が希釈剤又は増量剤として用いられる。これらの物質の非限定的な例は、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルである。これらの物質は、例えば、幾つかのその他の香料成分を希釈及び安定化するために用いられる。本発明の目的のためには、これらの物質は、「ブルーミング香料成分」として数えられない。
【0040】
一実施形態では、本発明の製品でブルーミング香料組成物の一部分として使用することができる、実質的な香料成分は、約250℃を上回るB.P.を有する。このような香料成分の非限定的な実施例としては、2005年9月1日に公開された米国特許公報第2005/0192207A1号、36ページに記載されるものが挙げられる。
【0041】
本発明の別の態様は、以下の(a)香料担体及び封入された香料組成物を含む水分活性香料マイクロカプセル、(b)副香料、(c)低臭気検出閾値香料成分、(d)純香料、及び(e)それらの組み合わせの少なくとも1つを含む任意の香料構成成分を含むための機能組成物を提供する。一実施形態では、この製品は、前述の香料構成成分のいずれか1つ又はそれ以上を含まない、又は実質的に含まない。水分活性香料マイクロカプセルの非限定的な実施例としては、シクロデキストリンを含むものが挙げられる。
【0042】
洗濯洗浄活性物質
洗濯洗浄活性物質は、洗濯の洗浄プロセスにおいて、活性物質としての役割を果たす物質である。洗浄活性物質としては、洗浄性界面活性剤(アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性界面活性剤)、研磨剤(無機及び有機研磨剤物質)、漂白剤、漂白活性化剤、漂白安定剤、漂白触媒、酵素類、又はそれらの組み合わせなどの物質が挙げられるが、それらに限定されず、この用語は、これらの物質群に制限されない。一実施形態では、「洗浄活性物質」という用語は、上記に分類される活性物質の1つ以上を含まない、又は実質的に含まない。一実施形態では、洗濯洗浄活性物質は、マイクロカプセルに封入される。
【0043】
バリア剤は、保護機能を果たす。例えば、それらは互いに不和合性の洗浄活性物質を互いから、洗浄活性物質又は溶解度変性剤を外部環境から、フィルムを外的環境から、など保護することができる。又それらは、フィルム及び/又は機能性物質の手触り感触を変えることもできる。それらは、基材の手触りをより快適にすることができる。好適な障壁剤としては、ゼオライト、ベントナイト、タルク、雲母、カオリン、シリカ、シリコーン、デンプン、シクロデキストリン、ニス、セラック、漆、ポリオレフィン類、パラフィン類、ワックス類、ポリアクリレート類、ポリウレタン類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、UV吸収剤(例えば、マニュファクチャリング・コンフェショナー・パブリッシング・カンパニー(Manufacturing Confectioner Publishing Company)から出版されたマカッチャン(McCutcheon)の機能性物質、北米版、第2巻(1997)を参照)、蛍光染料(例えば、欧州特許第1,141,207号、米国特許第5,082,578号を参照)、又はそれらの組み合わせが挙げられてもよい。
【0044】
溶解度変性剤
溶解度変性剤は、例えば、溶解度を遅らせる又は加速する、若しくは溶解度が、pH、温度、イオン強度、酸化還元電位などの外的要因に依存するようにすることによってフィルムの溶解度及び/又は機能性物質を変性する物質である。溶解度変性剤の一実施例は、選択されるアセチル化度を有するアセチル化アミノ多糖類、任意にキトサン、である。キトサンの溶解度は、pHに依存し、一実施形態では、機能化基材の溶解は、本特性を利用することによって決定されるpHに制限される。その他の好適な溶解度変性剤としては、水への溶解度がpH、塩濃度、界面活性剤の濃度、又は両方の組み合わせにおける変化に引き起こされる場合がある、米国特許出願第2003/0158072A1号に記載されるポリマー類が挙げられてもよい。ポリマーは、固定酸で中和されたプロトン化アミン官能性を2〜60mol%含有するコポリマー又はターポリマーである。国際公報第WO02/26928号は、洗濯において、制御放出目的に使用することができる好適な複合ポリマー類の非限定的な実施例を提供する。
【0045】
所与のpH範囲で可溶性のその他の好適な溶解度改良剤は、メタクリル酸コポリマー類、スチレンヒドロキシスチレンコポリマー類、アクリル酸コポリマー類、ポリエチレングリコールポリビニルアセテート、ジエチルフタレート、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(dioctyl sodium sulfocuccinate)、ポリ−dl−ラクチド−コ−グリコリド(PLG)、ビニルビリジン/スチレンコポリマー類、キトサン/乳酸、キトサン/ポリビニルアルコールをベースとし、デグサ・ローム・ファーマ(Degussa Rhom Pharma)から商標名オイドラギット(Eudragit)、イーストマン(Eastman)から商標名イーストアクリル(Eastacryl)、マクロメド社(MacroMed Inc.)から商標名SQZゲル(SQZgel)で市販されている。
【0046】
特定の化学環境で可溶性である溶解度改良剤も市販されている。例えば、苛性可溶性バリア剤は、アルコア(Alcoa)から商標名ハイドラコート−5(Hydra-Coat-5)で市販されている。水分散性障壁剤は、グリコール酸ナトリウムデンプン、ポリプラスドンに基づき、それらは、FMCコーポレーション(FMC Corporation)から商標名Ac−ジ−ゾル(Ac-di-sol)で、エドワード・メンデル・コーポレーション(Edward Mendell Corporation)から商標名エクスプロタブ(Explotab)で、ISPから商標名クロスポビドン(Crospovidone)で市販される。
【0047】
一実施形態では、機能性組成物は、以下の汚れ放出ポリマー、酸化防止剤、着色剤、防腐剤、蛍光増白剤、乳白剤、グアーガム及びポリエチレングリコールなどの安定剤、収縮防態では、機能性組成物は、上記に分類される任意の構成成分のいずれか1つ又はそれ以上を止剤、しわ防止剤、汚れ放出剤、洗濯のり、還元剤、スポッティング剤、殺菌剤、殺真菌剤、腐食防止剤、消泡剤、色相染料などの物質の1つ以上を含んでもよい。一実施形では、上記の分類される選択性組成物は1つ以上の含まない、又は実質的に含まない。
【0048】
別の実施形態では、機能化基材は、審美的薬剤を更に含む。審美的薬剤は、装飾的な目的を有することができ、フィルム上の機能性物質の存在を示すことができる。又それは、機能性物質が放出されるとき、又は製品が「耐用期間を終える」ときに、色の変化、及び/又は図形、模様の出現/消失等を通して、知らせることができる。
【0049】
別の実施形態では、香料は、約1重量%〜約99重量%の被覆物を含む。香料は、少なくとも約5重量%、15重量%、25重量%、40重量%、70重量%、85重量%、しかし99.9重量%以下の被覆物を含む。更に別の実施形態では、香料は、約1重量%〜約99重量%の積層体を含む。香料は、少なくとも約5重量%、15重量%、25重量%、40重量%、70重量%、重量85%、しかし99.9重量%以下の積層体を含む。本項の目的のための「香料」という用語は、純香料及びマイクロカプセル内に封入される香料(しかし、マイクロカプセルのシェルではない)の両方、又はいずれのその他の香料担体と結合する香料(しかし、香料担体自体ではない)を意味する。明確化する目的で、被覆物及び積層体は、商業目的で販売される、又は販売されるであろうと判定される。
【0050】
官能化基材
本発明の製品態様によれば、機能性組成物の被覆物を有する、水溶性フィルムの形態の機能化基材が提供される。機能性組成物は、1つ以上の機能性物質(単数又は複数)を含む。被覆物は、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約25、少なくとも約50、少なくとも約70、少なくとも約100g/mしかし1kg/m以下の量である。被覆物は、装填時、被覆物されていないフィルムの少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約100重量%、少なくとも約200重量%であるが、1,000重量%以下である。一実施形態では、機能化基材は、本発明のプロセスにより取得可能である、又は取得される。
【0051】
本発明の機能化基材には、多数の用途があってもよい。一用途は、布地ケア分野である。一方法は、洗浄サイクル又はすすぎサイクルのいずれか、若しくは両方で、自動洗濯機の洗濯槽に基材を注入することを提供する。別の方法は、洗浄サイクル(すすぎサイクルに対抗する)の前又は洗浄サイクル中に基材を直接注入する。すすぎサイクルの前に注入することは、典型的に、すすぎサイクル中に戻ることを覚えておく必要がないため、よりユーザーによって便利である。更に別の方法としては、2つ以上の基材を洗濯機に注入することが挙げられる。ユーザーは、香料又はさわやかさの好みに基づき、2つ以上の基材を注入してもよい。更に別の方法では、ユーザーは、使用している洗濯洗剤又は布地軟化組成物と同じ香り(好意的な香り)を有する香料を含んでなる基材を選択する。機能性基材の包装上の使用説明書は、ユーザーにこれらの方法の約1つ以上を指示してもよい。
【0052】
一実施形態では、機能化基材は、独立製品又は別の製品の一部として、一実施形態では約0.2〜約100mm、約0.5〜約50mm、約1〜約20mmの最大線寸法を有する、小さな断片の形態に切断される又は作られてもよい。基材は、粉末、液体、又はジェル組成物の一部として添加される、若しくは組み込まれる、「紙吹雪」に切断される又は作られてもよい。別の実施形態では、機能化基材は、花びら又は葉を含むが、それらに限定されないような形状に切断される又は形成される。別の実施形態では、テープのように小出しするために、フィルムの断片を分離できるようにするための穿孔を有する、ロール上のフィルムのストリップの形態にすることができる。一実施形態では、フィルムのロールは、別個の閉塞容器又は区画、例えば、液体布地コンディショナー及び/又は液体洗剤製品の閉塞ボトルに収容されてもよい。機能化フィルムは、機能性物質の供給に加えて、敏感な成分の保護に効果的な方法である。更なる保護を提供するために、機能性物質が切断片の端に露出することがないように、切断作業は、機能性物質適用作業で記録され得る。これは、切断片の縁部に暴露した機能性物質と反応する可能性のある液体/ゲル形態の製品に、機能化された切断片が導入されるときに特に有利である。
【0053】
本発明の一実施形態では、機能化基材は、形状を含み、形状及び機能性物質は調整される。形状により、機能化基材の形態が、当該技術分野において既知のいずれの方法で機能化基材上に配置することができる、いずれの図面、表現、及び/又は彩色を含むことができることも意味する。これは、商標に加えて、香り及び形状名を含む。本明細書で使用するとき、調整された、とは、形状が機能性物質を示す、又は機能性物質が形状を示すことを消費者が理解し得る、形状と機能性物質との間のいずれの関係を意味する。一実施形態では、機能性物質は、香料を含む。一実施形態では、香料は、特定の香り体験を提供する。別の実施形態では、機能化基材の形状は、香料によりもたらされる香り体験と調整される。
【0054】
調整された形状及び香り体験の非限定的な実施例としては、いずれの天然又は人工の形状と香りの組み合わせが挙げられる。自然発生する形状と香りの組み合わせとしては、バラ、バラの花びら、ラベンダー、ライラック、ヒマワリ、キャノーラの花、デイジー、チューリップ、ラッパスイセン、ダリア、スイカズラ、蜂の巣、アサガオ、ジャスミン、スイレン、ユリ、カーネーション、ラン、シロラン、ハスの花、モクレン、スミレ、パンジー、オレンジ、レモン、ライム、アプリコット、タンジェリン、ウメ、ミカン、マンゴー、キーウィ、リンゴ、モモ、ナシ、サクランボ、ブドウ、キュウリ、ラベンダー、バニラ、バニラビーン、コーヒー豆、アロエベラ植物、カモミール、ユーカリ油、ボタン、クチナシ、シロクチナシ、イラン、スイレン渓谷、ヒアシンス、シナノキの花、ヒイラギモクセイ、ゲッカコウ、オレンジの花、カキ、ベルガモット、バナナ、イチゴ、ブルーベリー、グーズベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ジュニパーベリー、ダイオウ、パパイヤ、グアバ、パッションフルーツ、グレープフルーツ、ホワイトグレープフルーツ、ピンクグレープフルーツ、ボイゼンベリー、スイカ、ハネデューメロン、カンタロープ、ザクロ、お茶の葉、ホワイトティー、マツ/マツボックリ、ヒマラヤスギ、カエデの葉、オーク、トネリコ、ニレ、雨の滴、上記に記載の果物又は野菜のいずれの一片、シュロの木、サクラの花、クローバー、シナモンスティック、ツタ、水滴、海洋波、シロユリ、香水木、ライスフラワー、ジンジャーフラワー、木綿の花、牛乳及びハチミツ、亜麻布花、並びにスイートピーが挙げられるが、それらに限定されない。人工の形状と香りの組み合わせとしては、タルク紛体の香りとベビーバンドル、ボトル、動物のぬいぐるみ、亜麻布、枕、及び寝具類、風呂とタオル形状、小さな新車と自動車形状、朝の露の香りと雨の滴、太陽、月、星、又は雲の形状が挙げられるが、それらに限定されない。
【0055】
一実施形態では、基材の小片が洗濯洗剤製品の一部分として(例えば、乾燥した状態、液体、又はその他の形態で)組み込まれる。基材の小片は、すすぎで添加される布地軟化製品の液体の一部として、組み込まれる。小片は、製品の組成物に渡り、ほぼ均一に分散されてもよい。構造化剤又は増粘剤を組成物に使用することは、組成物に渡り、ほぼ均一に分散した基材の小片が浮遊した状態を維持するための1つの方法である。一実施形態では、液体洗濯洗剤製品及び/又は液体布地軟化製品は、透明又は半透明である。透明又は半透明の液体は、基材の小片をより目立つようにすることができる。洗濯組成物は、組成物の小片をユーザーに見せるために、透明、ほぼ透明、半透明、又はほぼ半透明の複数の1回用量容器(例えば、ボトル)若しくは単一容器に収容されてもよい。一実施形態では、容器の表面積の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、しかし、99.9%以下が透明、ほぼ透明、半透明、又はほぼ半透明器である。そのような材料としては、ポリエチレンテレフタレート(即ち、PET、PETE、又はPETP)が挙げられる。小片は、製品のデザインに基づき、均一又はほぼ均一形状、若しくはサイズであってもよく、又は異なってもよい。小片の形状は、四角形、三角形、矩形、円形、又はその他の幾何学的形状、若しくは完全に不規則、それらの組み合わせであってもよい。それぞれの小片は、同一色又は異なる色であってもよい。
【0056】
機能化基材は、包装材の一部分として、又は包装材内に同封される内容物の一部分として、1回用量布地ケア製品(小袋、カプセル、及びサッシェなど)で使用するのに非常に適している。一実施形態では、包装材は、機能化基材の少なくとも一部分から形成される。例えば、1回用量単一区画形態は、典型的に、包装材の別個の下部及び上部層を有し、本実施形態によると、一方又は両方の層は、本発明の機能化基材を含むことができる、又はこの基材からなり得る。同じことは、包装材料の上層、底層、及び/又はあらゆる中間層が、本発明の機能化基材を含む、又は本発明の機能化基材からなることができる多区画1回用量形態にも当てはまる。
【0057】
本発明の一態様は、機能性物質を堆積することによって機能化基材を作製するためのプロセスを提供する。一実施形態では、堆積する工程は、機能性物質を水溶性フィルム上に印刷する工程を含む。又本発明は、本発明の基材を含む機能化基材及び布地ケア製品も想定する。プロセスは、水溶液を使用して、水溶性フィルムの特性を損なうことなく、又はほぼ損なうことなく、高装填量の機能性物質を堆積することができる。
【0058】
本発明の機能化基材は、スプレー、ナイフ、ロッド、キス、スロット、ペイント、印刷及びこれらの組み合わせを含む好適な被覆物手段を使用して、機能性組成物の被覆物を堆積することにより、作製できる。印刷は、本明細書で用いる、任意の方法である。一実施形態では、印刷は、フレキソ(flexo)印刷である。一般的なフレキソ印刷手順において、水溶性フィルムはロールから印刷機へ供給される。フィルムが1つ以上のステーション、又は印刷ユニットを通して引っ張られると、機能性物質が印刷される。各印刷ユニットは、1つ以上の機能性物質を含む水溶液を印刷できる。フレキソ印刷機での各印刷工程は、一連の4つのローラー又はシリンダからなる。供給ローラー、計量又はアニロックスローラー、フレキソ又は印刷シリンダ及び圧胴シリンダ。
【0059】
第一のローラー(ファンテンローラー)は、機能性物質(単数又は複数)を含む水溶液を、溶液パンから、第二のローラーであるメーター(meter)又はアニロックス(anilox)ローラーへと移動する。水溶液をこすることが必要であるならば、ドクターブレードを使用してもよい。アニロックス(anilox)ローラーは、印刷シリンダ上に均一な厚さで水溶液を計量する。基材は次に、印刷シリンダと、第四ローラーである圧胴シリンダとの間を移動する。フレキソ印刷装置の中には、供給ローラーがなく、アニロックスローラーが供給ローラーと計量ローラーの両方として機能するものもある。
【0060】
インプレッションシリンダは、印刷シリンダに圧力を加え、その結果、機能性物質(単数又は複数)をフィルム上に移動する。次の印刷ユニットへ行く前に、新しく形成された層が乾燥され、残りの大部分の水を除去するように、印刷されたフィルムが、オーバヘッドドライヤーに供給されることも可能である。完成製品は、続いて、ロール上に巻き取られるか又はカッターに通される。
【0061】
プロセスは、水溶性物質、不水溶性物質、及びそれらの組み合わせを堆積するために適している。不水溶性物質の場合、物質が沈殿するのを避けるために、水溶液を溶液パン内で攪拌し続けることが好ましい。不溶性物質を水に懸濁することを促進するために、構造化剤又は増粘剤を使用することも好ましい。被覆物は、異なる印刷する工程で、2つ以上の機能性物質を含む水溶液を使用する、又は異なる物質を含む水溶液を使用することによって、複数の機能性物質を含むことができる。
【0062】
水溶液を移動して磨耗(wear)を低減するとき、ファンテンローラーは、アニロックスローラーに接触しない。一実施形態では、ファンテンローラーは、シリコーンで被覆物された柔軟なジュロ硬化ゴムで作られる。この柔軟性により、供給ローラーはできるだけ多くの水溶液をピックアップできる。供給ローラーは、ミッドアメリカンラバー(Mid American Rubber)より市販されている。
【0063】
一実施形態では、水溶液を計量してアニロックスローラーの表面を均一な厚さにするためにドクターブレードが使用される。別の実施形態では、ドクターブレードは、ジョージア州ノークロス(Norcross)にあるBTGから供給されるもののような、セラミックで被覆物された金属ブレードである。
【0064】
アニロックスローラーは、互いに隣接する模様(pattern)で配置され及びローラーの全表面を覆う多数の微視的セルを包含する。これらのセルは、水溶液を保持する。このセルは、一般的に、蜂の巣形状又は「三重らせん(tri-helical)」模様のいずれかである。このセルは、ローラーの長手軸に対してある角度で走る複数の列に配向する(その結果、より大きなサイズのセルの列はローラーの周りにねじ山を形成するように見える)。一般的な角度は、30、45及び60度である。従来の印刷において典型的であるように、異なる色のインクが異なる角度を向いたセルで印刷される。
【0065】
アニロックスローラーの粗さが、どれだけの溶液がフィルムに移動されるかを決定する。アニロックスセルの容量が増加する(例えば、60〜100bcm(10億部立方μ))に従い、プレート上の同程度のセルが空になり(転写)、プレート、従って基材に転写される水溶液の容量が増加する。
【0066】
アニロックスローラーは、ステンレス鋼でできていることが多い。しかし、酸性及び腐食性物質(例えば、有機過酸化物特に過酸化ジベンゾイル)の印刷のようなある用途においては、ローラーは、ステンレス鋼ローラーの腐食を防止するために、セラミック被覆物を有するべきである。アニロックスローラーは、ハーパーコーポレーション・オブ・アメリカ(Harper Corporation of America)及びインターフレックス(Interflex)から市販されている。
【0067】
フレキソローラーは、可撓性の模様付きロールである。可撓性プレート材料は、50ジュロ硬度、0.18m(0.067インチ)厚さの材料であり得る。フレキソ印刷に使用できるその他のプレートとしては、米国特許第5,458,590号、4列、30〜45行に識別されているものが挙げられる。
【0068】
水溶液の堆積前に又は水溶液の堆積と関連して、マイクロ(裸眼で見えない)又はマクロ(見える)変形が、所与のパターンに作られるように、水溶性フィルムは、彫り込み(engraved)又はエンボス加工され得る。これは、特に、接触する2つの彫り込み(又はエンボス加工フィルムにより作られる空面積のためで、機能性物質が2つの積層フィルム間に「サンドイッチされた」とき、より多い容積の機能性物質が堆積することを可能にする。比較的大きい穴は、両方のフィルム上に型押しされ、水溶液が、それらが共に積層される前に両方のフィルム表面に適用され得る。2つのフィルム間に存在する機能性物質(単数又は複数)の量はより多くなり、それは2つの穴が共に接合することにより作られる空間による。フレキソ装置に使用できるエンボス加工プレートは、米国フロリダ州のトリニティ・グラフィック(Trinity Graphic)によって供給される。より多くの機能性物質をフィルム上に保持するための別の方法は、マイクロ細胞のモルホロジー(小さいセル)をフィルム上に形成するプライマーを事前に適用することである。これらのプライマーは、被覆及び印刷方法による適用が可能であり、クロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)(コネティカット州)が供給する、ポリウレタン系を基盤としたマイクロセル型被覆物である。フィルムを一連の噛合リングロール又は彫刻フレキソプレートで処理することによって巨視的変形が得られる。マイクロ変形は、マイクロパターンでロールを彫刻するか、又は突起形状を有する水中形成フィルム(例えば、中空チューブ)を使用するかのいずれかによって形成することができる。突起した中空形状は、毛管力により、液体又はスラリー形態の場合に、更なる機能性物質を保持することができる。
【0069】
印刷の別の実施形態は、ジェット印刷又はインクジェット型印刷である。このような産業印刷技術は、既知である。例えば、国際公報第WO03/091028A1号、国際公報第WO00/20157号、米国特許第5,463,416号を参照。一実施形態では、印刷は、フィルム又は基材に接触しない。本技術は、製造効率に基づき、単純にエンボス加工、若しくはフィルム又は基材上のその他の装飾的外観のために、フィルムに支障をきたすことを望まない場合、有用であると証明される場合がある。又、国際公報第WO2005/002360号に記載されるような方法を使用して、メッセージ、装飾的意匠、絵柄などを印刷してもよい。別の実施形態では、水溶性又は少なくとも部分的に水溶性であるUV硬化染料で、2D又は3Dの画像が印刷されてもよい。
【0070】
更に別の実施形態では、機能性組成物は、粉末又は実質的に固体である。本実施形態では、粉末又は固体の組成物がフィルム又は基材上に印刷される。
【0071】
一態様は、水溶性フィルムを作製する多数の方法を提供する。鋳造、熱成形、溶融プロセスは、幾つかの例である。例えば、米国特許第6,946,501号、特に第7欄、55行目以降、米国特許第5,272,191号、及び米国特許第5,646,206号を参照。一実施形態では、基材は、ウエファー、泡形状、スポンジ、フィルム、その他の3次元形態、又はそれらの組み合わせを含む。
【0072】
構造化剤
特に機能性物質が水溶液に不溶性の場合、構造化剤の存在が、機能性物質の懸濁を助長するため、構造化剤を水溶液に添加することが好ましい。本明細書で用いるのに許容できるものは、ポリアクリレート及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、ポリマーゴム類、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー構造化剤である。ポリアクリレート型構造化剤は、特にポリアクリレートポリマー及びアクリレートとメタクリレートとのコポリマーを含む。好適なポリアクリレート型構造化剤の例は、B・F・グッドリッジ・カンパニー(B.F.Goodridge Company)から入手可能なカーボポール・アクア(Carbopol Aqua)30である。本明細書の構造化剤として使用してもよい高分子ガムの例は、海生植物、陸生植物、微生物多糖類及び多糖類誘導体として特徴付けることができる。海生植物ガムの例としては、寒天、アルギネート、カラギーナン、及びファーセレランが挙げられる。陸生植物ガムの例としては、グアーガム、アラビアゴム(gumarable)、トラガカントゴム(gum tragacenth)、カラヤゴム、イナゴマメゴム、及びペクチンが挙げられる。微生物多糖類の例としては、デキストリン、ジェランガム、ラムサンガム、ウェランガム、及びキサンタンガムが挙げられる。多糖類誘導体の例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、及びヒドロキシプロピルグアーが挙げられる。第二の構造化剤は、上記のリスト又はそれらの組み合わせから選択される。許容できるポリマーゴム類としては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアンゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、及びグアーガムが挙げられる。本明細書でポリマーゴム構造化剤が採用される場合、この種類の許容できる物質は、ジェランガムである。ジェランガムは、グルコース、グルクロン酸(glucurronic acid)、グルコース及びラムロース残基を含有する四糖類繰返し単位であり、シュードモナスロディア(Pseudomonaselodea)ATCC31461の発酵によって調製される。ジェランガムは、CPケルコU.S.(CP Kelco U.S., Inc.)によってケルコゲル(KELCOGEL)の商標名で市販されている。水溶液は、構造化剤の水溶液の約0.1〜約20重量%、約1〜約10重量%を含んでもよい。本明細書で用いる許容できる構造化剤の1つは、ポリビニルアルコール(PVA)である。PVAは、水溶液に正しい粘度を与えて高装填量を達成するだけでなく、結合剤としても機能して、フレークなしの非常に強い被覆物を作製する被覆物の連続層を積層する。一実施形態では、水溶液中のPVAの量は、水溶液の約0.5〜約20重量%、約1〜約10重量%、約2〜約5重量%である。
【0073】
水溶性フィルム
本発明の一態様は、水溶性フィルム又は少なくとも部分的に水溶性のフィルムを提供する。水溶性フィルムは、ポリマー物質からなるフィルムであり、本明細書で提供される水溶解度測定方法で測定される、少なくとも50%、少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶解度を有する。
【0074】
水溶解度測定方法:50グラム±0.1グラムのフィルム材料を事前に秤量した400mLのビーカーに加え、245mL±1mLの蒸留水を加える。これは、600rpmに設定された磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌される。次に混合物は、以上に定義されたような孔径(最大20μ)を有する折り畳み定性焼結ガラスフィルターを通して濾過される。収集された濾液からいずれかの従来の方法によって水が蒸発され、残った物質の重量が測定される(これが溶解又は分散した画分である)。そして、水溶解度の%が算出される。
【0075】
許容できるポリマー物質は、フィルム又はシート若しくは積層体に形成されるものである。フィルムは、例えば、当該技術分野において既知であるように、ポリマー物質の注型、吹込成形、押出し又はブロー押出(blown extrusion)成形によって得ることができる。フィルム材料としての使用に好適なポリマー類、コポリマー類、又はその誘導体の例は、ポリビニルアルコール類、修飾ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドンなどのポリビニルアルコールコポリマー類、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、ポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド類、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及びプロピルセルロースなどのアルキルセルロース類、セルロースエーテル類、セルロースエステル類、セルロースアミド類、ポリビニルアセテート類、ポリカルボン酸類及び塩類、ポリアミノ酸類又はペプチド類、ポリアミド類、ポリアクリルアミド、マレイン/アクリル酸類のコポリマー類、デンプンを含む多糖類、修飾デンプン、ゼラチン、及びペクチン、キサンタン、及びカラギーナンなどの天然ゴム類、又はそれらの組み合わせから選択される。許容できるポリマー類は、ポリアクリレート類、特にスルホン化ポリアクリレート類、及び水溶性アクリレートコポリマー類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのアルキルヒドロキシセルロース誘導体、修飾カルボキシメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート類から選択される。更に別の実施形態では、ポリマー類は、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアルコールコポリマー類、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、フィルム内のポリマー、例えばPVAポリマーの量は、少なくとも60%である。
【0076】
フィルムを形成するために考慮されてもよい、許容できる水溶性物質としては、低分子量及び/又は化学的に修飾されたポリラクチド類が挙げられ、このようなポリマー類は、クロノポル社(Chronopol, Inc.)によって生産され、へプロン(Heplon)という商標で販売されている。又、例えば、物質が水分散性又は水溶性でなければならない場合、典型的には1〜35重量%のポリラクチドとおよそ65〜99重量%のポリビニルアルコールを含むポリラクチドとポリビニルアルコールの混合によって達成される、ポリラクチドとポリビニルアルコールなどの加水分解的に分解でき水溶性のポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物も有用である。一実施形態では、フィルムに存在するPVAは、物質の溶解を向上するために、60〜98%、80%〜90%加水分解されている。
【0077】
又、水溶性ポリマー族に含まれるポリ(ビニル)アルコール樹脂類(PVA)は、溶融処理可能であり、このような樹脂類は、テキサス・ポリマー・サービス社(Texas Polymer Services, Inc.)によって商標がヴィネックス(Vinex)で生産されるもの、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)の許可の下に生産されるもの、及びモノソルLLC(MonoSol LLC)によって生産されるモノソル(MonoSol)フィルムである。その他の好適な樹脂類としては、水溶性炭水化物類に由来するポリ(エチレンオキシド)及びセルロースが挙げられる。前者は、ユニオンカーバイド(Union Carbide, Inc.)によって生産され、商標名がポリオックス(Polyox)で販売され、後者は、ダウケミカル社(Dow Chemical, Inc.)によって生産され、商標がメトセル(Methocel)で販売される。典型的に、セルロース派生水溶性ポリマー類は、容易に溶融処理を実行できない。本用途に許容できる水溶性熱可塑性樹脂の1つは、モノソルLLC(MonoSol LLC)によって生産されるPVAである。PVA樹脂類のいずれの数又は組み合わせを使用することができる。樹脂加工性、フィルム耐久性、水溶解度特性、及び商業化を考慮した任意の等級は、重量平均分子量が約55,000〜65,000であり、数平均分子量が約27,000〜33,000である、モノソル(MonoSol)フィルムである。
【0078】
又、混合物又はポリマー類の組み合わせを使用することもできる。これは、その適用及び必須要件に応じて、フィルムの機械的特性及び/又は溶解特性の制御において特に有益となる場合もある。一実施形態では、異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、重量平均分子量が約10,000〜約40,000、約20,000のPVA又はそのコポリマーの混合物、及び重量平均分子量が約100,000〜約300,000、約150,000のPVA又はそのコポリマーの混合物が使用される。
【0079】
より冷たい温度、即ち、約10℃(50°F)未満、又は約4.4℃(40°F)未満で部分的に急速に溶解可能なポリビニルアルコールを含むポリマーフィルムを作製することができる。更に、約6,000〜約78,000、又はそれ以上などの様々な平均分子量(即ち、モル質量の平均重量)を有するポリビニルアルコール類を使用してもよい。同様に、加水分解度が様々なポリビニルアルコールも、有利に使用してもよい。一実施形態では、このようなポリマー類は、約90%未満、約85%未満、約80%未満が加水分解されるが、約60%、少なくとも約70%を上回る量が加水分解されるだろう。異なる加水分解度を有する水溶性ポリマー類のブレンドも又、有利に使用してもよい。その他の許容できるフィルム形成ポリマー類としては、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0080】
水溶性フィルム形成ポリマー類のブレンドを有利に使用してもよい。ブレンドは、続く処理及び製品に加工するために優れた機械的特性を有する、急速に溶解するフィルムを生成することができるという、更なる利点を提供する。例えば、冷水条件下で急速に溶解するフィルムを調製するために、少なくとも2種類の異なる分子量を有する水溶性ポリマーを含むブレンドを使用することができる。一実施形態では、このようなブレンドは、分子量が約50,000を上回る、約60,000を上回る、約70,000を上回るポリマーの少なくとも1種類と、約30,000未満、約15,000未満、約10,000未満の平均分子量を有する第二のポリマー又はポリマーの混合物と、を含む。
【0081】
より具体的には、約78,000以上の分子量を有するポリビニルアルコールの少なくとも1つと、約6,000以下の分子量を有する第二のポリビニルアルコールと、のブレンドは、冷水条件下で急速に溶解するフィルムを生成することが発見されている。より高分子量のポリビニルアルコールの比率が低い、即ち、約50%未満、約40%未満、約30%未満であると、サッシェ又は被覆物に変換するために適切な強度を有するフィルムが生成される。より高分子量のポリビニルアルコールの比率がより高い、即ち、約50%を上回る、約60%を上回る、約70%を上回ると、真空形成作業に望ましい向上した強度及び弾性が提供されるが、高MWポリマー類のそのようなより高い比率は、典型的に、更に長い溶解時間を伴うことに留意されたい。低分子量のポリビニルアルコールと高分子量のポリビニルアルコールとの比率が80/20、60/40、及び50/50である混合物の高及び低分子量ポリマーのブレンドを、特定の用途のために評価することができる。
【0082】
一例として、平均分子量が約3,000〜約30,000のポリビニルアルコールを約60%〜約95%と、平均分子量が約30,000〜約200,000のポリビニルアルコールを約5%〜約40%と、を含むポリビニルアルコールのブレンドから、急速に溶解するフィルムを調製することができる。ポリビニルアルコールのブレンドの加水分解度は、約90mol%未満、約85mol%未満、約80mol%未満であり得る。本組成物から形成されるフィルムは、温度が約20℃(68°F)を下回る水のビーカー中で、攪拌を伴い、約5分未満で溶解することができる。
【0083】
更に、本発明のフィルムを生成するために、異なる種類のポリマー物質のブレンドを配合し、調整することができる。例えば、比率が80/20、60/40、及び50/50のポリビニルアルコールとポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールとポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールとヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンとヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンとポリエチレンオキシド、及びポリエチレンオキシドとヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリビニルアルコールの混合物を有利に使用することができる。
【0084】
本発明の一実施形態では、フィルムは、水溶性物質、部分的に水溶性の物質、水和性物質、又はそれらの混合物を含む。このような水和性物質の非限定的な実施例としては、2006年12月28日に公開された米国特許公報第2006/0293419A1号、2006年4月22日に公開された米国特許第7,094,817号、2001年に5月3日に公開された国際公報第WO0131103A3号、2001年4月3日に公開された米国特許第6,211,309号、及び1993年7月6日に公開された米国特許第5,224,601号、に記載されるものが挙げられ、それらは全て、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0085】
異なる厚さのフィルムを使用してもよい。より厚いフィルムは、一般に、より薄いフィルムより溶解するのに時間が掛かる。一実施形態では、基材の全体平均厚は、約1mm未満、約0.5mm未満、約0.15mm未満、約0.1mm未満、約0.05mm未満、約0.04mm未満、約0.01mmを上回る。一実施形態では、基材のフィルムの平均厚は、約0.025mm〜約0.160mm、約0.060mm〜約0.130mmを含む。香料の遅延放出は、一般的に望ましいが、洗濯物に染みを付けるため、基材は溶解にそれ程時間を掛けられない。一実施形態では、基材は、洗濯の洗浄サイクル(水温に関係なく)の時間枠内で完全に溶解するべきである。別の実施形態では、基材がウエファー、泡形状、スポンジ、又はその他の3次元形態を含む場合、基材の厚さは、より厚く、約数センチメートルの厚さまで厚くすることができ、約1cm未満の厚さにすることもできる。
【0086】
典型的に、水溶性フィルムは、約25g/m〜約150g/m、約50g/m〜約100g/mの坪量を有する。
【0087】
一実施形態では、水溶性フィルムは、PVAフィルムを含む。好適なPVAフィルムは、米国インディアナ州ゲーリー(Gary)のモノソルLLC(MonoSol LLC)より商品照会名がモノソル(MonoSol)M8630として販売され、対応する溶解度及び変形性特性のPVAフィルムとして既知である。本明細書で用いるのに好適な他のフィルムとしては、アイセロ(Aicello)により供給される商品照会名PTフィルム若しくはフィルムのK−シリーズとして既知のフィルム、又はクラレ(Kuraray)により供給されるVF−HPフィルムとして既知のフィルムが挙げられる。
【0088】
本明細書の水溶性フィルムは、ポリマー又はポリマー物質及び水以外の、他の添加物成分を含んでもよい。例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物などの可塑剤を添加するのが有益でありうる。グリセロールは、ある好ましい可塑剤である。他の有用な添加物としては、崩壊助剤(disintegrating aids)が挙げられる。
【0089】
不溶化剤
本発明の一態様は、フィルム不溶化剤の使用を提供する。本明細書に用いるのに許容できる不溶化剤は、塩類である。塩類は、有機又は無機電解質を包含してもよい。好適な塩類としては、カチオン又はカチオン類の混合物が挙げられてもよい。
【0090】
一実施形態では、フィルム不溶化剤は、水溶液の約0.5〜約10重量%、約1〜約5重量%と定量で使用される。別の実施形態では、フィルムを不溶化する薬剤は、以下の硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群の少なくとも1つから選択される、塩である。
【0091】
布地柔軟化活性剤
本発明の一実施形態では、機能性物質は、布地柔軟化活性物質を含んでもよい。第四級アンモニウム化合物は、機能性物質として本発明から除外されないが、このような布地柔軟化活性物質は、好ましくは「洗浄添加」(すすぎ添加と異なる)の状況で有効ある。非限定的な実施例としては、シリコーン、脂肪酸、ポリエチレンワックス類、スクロースエステル類、粘土、及びトリグリセリド類が挙げられる。シリコーン、及び同時系属の特許出願に記載されるその他の柔軟化活性物質を有するコアセルベートは、米国特許出願第20050020476A1号、及び米国特許出願第20060217288A1号を参照することによって含まれる。一実施形態では、水溶液には、布地柔軟化活性物質が含まれない、又はほぼ含まれていない。更なる好適な布地柔軟化活性物質は、参照として組み込まれる米国特許出願第2006/0058214A1号に開示される。
【0092】
付着剤類
本発明の一実施形態では、機能性物質は、I)(a)主鎖又はペンダント基に窒素部分を有する非環式ポリマー類又はコポリマー類、又は(b)ペンダント基に窒素複素環を有するビニルポリマー類又はコポリマー類である非四級物質、II)多糖類ではないポリクアテルニウム及びその他のポリマーカチオン性混合物質、並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない付着剤を含んでもよい。
【0093】
本明細書に用いるのに好適な付着剤は、一般に、重量平均分子量が約1000〜約1,000,000、又は約1000〜約200,000、又は約2500〜約1,000,000、又は約5000〜約500,000である、ポリマー物質である。幾つかの実施形態では、付着補助物質は、ポリアクリルアミド又はその誘導体であり、この付着補助物質の重量平均分子量は、約1,000,000〜約15,000,000である。
【0094】
存在する場合、それぞれの付着剤は、組成物の総重量に基づき、以下の約0.1重量%〜約20重量%、約0.2重量%〜約15重量%、約0.2重量%〜約10重量%、約0.2重量%〜約5重量%のいずれか1つの量を含む。
【0095】
本発明の幾つかの実施形態では、好適な付着剤類はアミン、イミン、アミド、イミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アミノ酸、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない、窒素部分を有するモノマー類から誘導される非環式ポリマー類又はコポリマー類である。更に好適な付着剤は、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許公報第2006/0058214A1号で開示される。
【0096】
布地ケア製品の形態
一実施形態では、本発明の布地ケア製品は、粉末、液体、若しくはジェル、又はタブレット、特に小袋、カプセル、及びサッシェを含む1回用量形態であり得る。一実施形態では、製品は、薄板状又はほぼ平面の形態である。
【0097】
本発明の洗濯製品の実施形態では、機能化基材は、機能性物質の放出制御に加えて、機能性物質を互いから分離することができる。機能化基材は、複数個の機能性物質を含む層又は複数の層、又は異なる機能性物質を含む別個の領域に、1超過の機能性物質を含むことができる。
【0098】
一実施形態では、機能化基材は、水溶性フィルムの第一の層及び水溶性フィルムの第二の層を含み、この第一の層は、第一の機能性物質で被覆され、この第二の層は、第二の機能性物質で被覆される。一実施形態では、水溶性フィルムの第一の層の組成物は、水溶性フィルムの第ニ層の組成物と同一である。別の実施形態では、水溶性フィルムの第一の層の組成物は、水溶性フィルムの第ニ層の組成物と異なる。一実施形態では、第一の機能性物質は、第二の機能性物質と同一である。別の実施形態では、第一の機能性物質は、第二の機能性物質と異なる。異なる機能性物質の実施例としては、第一の機能性物質がPMCを含み、第二の機能性物質がPMCとは異なる機能性物質であり得る、又は第一の機能性物質が第一のPMCを含み、第二の機能性物質が第二のPMCを含み、封入される香料構成成分が異なる、実施形態を挙げることができる。これらの異なる封入される香料構成成分は、異なる化学式を有する、又は異なる香り効果を生み出すことができる。別の実施形態では、本発明は、少なくとも2つの層を含み、それぞれの層は、機能性物質を含み、少なくとも2つの層は、異なる機能性物質を有する。
【0099】
2つ以上の層を有することの利点の1つは、より高価なフィルムの周囲に比較的安価なフィルムを置くことができ、従って全体費用を削減することである。更に、特定の基材は、より高量の特定の機能性物質を収容できる場合がある。多層システムを提供することによって、層が特定の機能性物質をより収容できるように、基材層と機能性物質の組み合わせが最適化される。多層システムの利点としては、より高装填容量を提供すること、基材の安定性を促進すること、特定の機能性物質間の相互作用を分離することなどが挙げられるが、それらに限定されない。更に、特定の機能性物質を特定の層に置くことによって、機能性物質が洗浄及び/又はすすぎに放出されることを制御することができる。例えば、洗浄及び/又はすすぎの初盤に放出されることが望ましい機能性物質を外側の層に置き、洗浄及び/又はすすぎの終盤に放出されることが望ましい機能性物質を内側の層に置くことができる。
【0100】
別の実施形態では、製品は、第一の機能化基材及び第二の機能化基材を含む。一実施形態では、第一の機能化基材の水溶性フィルムは、第二の機能化基材の水溶性フィルムと異なる。別の実施形態では、第一の機能化基材の機能性物質は、第ニ機能化基材の機能性物質と異なる。
【0101】
別の実施形態では、2つ以上の物質を有するフィルムの被覆物は、同時に作用することができる。一実施形態では、この2つの物質は、保管中の相互作用を避けるために、フィルムの別個の領域に置かれる。異なる物質の存在をユーザーに示すために、各物質は、染料又は顔料にて着色され得る。別の実施形態では、本発明の機能化基材は、不和合性物質を分離し、従って不和合性物質環の相互作用を避けるために特に好適である。
【0102】
本発明の一実施形態では、組成物は、1回用量の洗浄製品の形態である。製品は、一区画又は多区画単位用量製品であることができ、任意で真空又は熱成形された多区画水溶性小袋であり、区画の1つは、任意に固体粉末組成物を含有する。1回用量手法に許容できる製造方法は、米国特許出願第2005/0065051A1号、米国特許出願第2005/0061703A1号に記載される。単一区画小袋、第一のフィルム片を型に入れて、真空手段によってフィルムを延伸してポケットを形成し、形成されたポケットにゲスト−ホスト錯体を包む布地ケア活性物質を充填し、形成されたポケットにもう一方のフィルム片を置いて封止することにより作製することができる。
【0103】
粉末及び液体組成物を含む多区画小袋は、第一のフィルム片を型に入れて、真空手段によってフィルムを延伸してポケットを形成し、そのフィルムをピンで留め、粉末組成物を投入して詰めてから、第ニフィルム片を第一のポケット上に被せて新しいポケットを形成し、この新しいポケットに液体組成物を充填し、一枚のフィルム片をこの液体を充填したポケット上に被せて、3枚のフィルムを合わせて封止して二重区画の小袋を形成することによって作製できる。
【0104】
本発明の一実施形態では、製品は、肌の美容用途に好適な界面活性剤を更に含む。好適な界面活性剤としては、石鹸、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びそれらの混合物が挙げられる。更に、一実施形態では、機能化基材は、担体物質を更に含む。好適な担体物質としては、可溶性又は部分的に可溶性のデンプン類、水溶性の非晶質固体又は半結晶性の水溶性固体、及びそれらの混合物が挙げられる。更にその他の実施形態では、製品は、美容用途に好適な界面活性剤、並びに担体物質及び香料を封入するマイクロカプセルを含む機能性物質を含む機能化基材を含む。一実施形態では、製品は、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ラウレス硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ココイルイセチオネートナトリウム、トリエタノールアミン、水、及び香料マイクロカプセルを更に含む。
【実施例】
【0105】
(実施例1):以下の、
【表1】

を含む水溶性香料マイクロカプセル(PMC)溶液を、インディアナ州ゲーリー(Gary)のモノソルLLC(MonoSol LLC)から供給されるM8630(商標)76マイクロメートル(3.0ミル)(坪量100グラム/平方メートル)の水溶性PVAフィルムに印刷した。前記溶液は、幅28cm、6つのステーションを有し、熱風乾燥が可能な狭幅コムコ(Comco)フレキソ印刷機(マークアンディ(Mark Andy)(オハイオ州ミルフォード(Milford)より市販されている)によりフィルム上に印刷した。セラミック被覆物されたアニロックスロールを使用した(ハーパー社(Harper Corp)より供給)。供給ロール(水溶液をパンからピックアップしてアニロックスロールに移動する)は、ミッドアメリカンラバー(Mid American Rubber)(ミシガン州スリーリバーズ(Three Rivers))より供給されている。フォトポリマー印刷プレートは、デュポン(Du Pont)より供給されている(サイレル(Cyrel)の商標)。印刷は、6つのステーションのうちの3つで実施した。3つの連続するステーションは、それぞれ60lpi(行/インチ)/40bcm(10億立方μ)、30lpi/100bcm、及び30lpi/100bcmのアニロックスロールを使用し、印刷したフィルム表面の上に対流熱風を吹きつけ、水分を除去することによって、ステーション間で乾燥した。被覆物は、85g/mの量であり、装填量は被覆物されていないフィルムの85重量%である。香料の装填量は、乾燥被覆物の総重量の36%である。
【0106】
最終的な乾燥花びら形態(打抜きによってフィルムから切断された)は、約6.4cm(2.5”)×10.2cm(4”)の矩形であり、総重量は1.6gであった。
【表2】

【0107】
(実施例2):実施例1で記載されるような印刷プロセスを使用するが、第三の印刷ステーションの後の乾燥する工程を削除し、濡れた状態の印刷されたフィルムに第二のM8630(商標)フィルムを置いて積層体を形成する。
【0108】
(実施例3):白インク(ノースカロライナ州モーガトン(Morgaton)のエンバイロンメンタル・インクス・アンド・コーティングス(Environmental Inks and Coatings)が製造したアクア(Aqua)HSX05700)を使用して、実施例2により得られる積層体に画像を印刷する。
【0109】
(実施例4):コロラド州コロラドスプリングス(Colorado Springs)のCTIから市販される、示温インク:ダイナカラー(Dynacolor)を使用して、実施例2により得られる積層体に、温度で色が変化する画像を印刷する。
【0110】
(実施例5):実施例2の結果として生じる積層体を2.6×2.6mm、及び2×10mmの断片に切断し、既知の第四級アンモニウム化合物を含む液体柔軟仕上げ組成物に添加する。
【0111】
(実施例6):実施例1に記載される印刷方法を使用するが、インディアナ州ゲーリー(Gary)のモノソルLLC(MonoSol LLC)から供給される0.81mm(1.5ミル)(坪量50グラム/平方メートル)の水溶性フィルムを代わりに使用し、水溶液は、溶液の2.5重量%のPVAを含む。それぞれ60lpi/40bcm及び30lpi/100bcmのアニロックスロールを採用する、2つの印刷ステーションを使用する。被覆物の量は、94g/mであり、装填量は、被覆物されていないフィルムの94重量%である。香料の装填量は、乾燥被覆物の総重量の66.6%である。
【0112】
最終的な乾燥花びら形態(打抜きによってフィルムから切断された)は、約2.5”×4”の矩形であり、総重量は1.4gであった。
【表3】

【0113】
(実施例7):実施例1に記載される印刷方法を使用するが、代わりにモノゾル(Monosol)LLC(インディアナ州ゲーリー(Gary))から供給される51μm2.0ミル(坪量67グラム/平方メートル)の水溶性フィルムを使用する。それぞれ60lpi/40bcm、30lpi/100bcm、30lpi/100bcm、及び30lpi/100bcmのアニロックスロールを採用する、4つの印刷ステーションを使用する。
【0114】
(実施例8):実施例7に記載される印刷方法を使用するが、香料マイクロカプセルを外的水分から保護するために、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)のサン・ケミカル社(Sun Chemical Corporation)から供給されるTV96−6963として販売されているフレキソ(flexo)OPV(Over Print Varnish)を代わりに第四のステーションに印刷する。
【0115】
(実施例9):実施例6に記載のされる方法を繰り返すが、この場合、水溶液は、溶液の4重量%の硫酸ナトリウムを含む。60lpi/40bcm及び30lpi/100bcmのアニロックスロールを採用する、2つの印刷ステーションのみを使用する。
【0116】
本明細書を通じて与えられるあらゆる最大数の限定は、あらゆる低い数値の限定を、あたかもそのような低い数値の限定がここにはっきりと表現されているかのように含むと理解されなければならない。本明細書を通じて与えられる全ての最小数値限定は、それより大きい全ての数値限定を、こうしたそれより大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書を通じて与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内にある、全てのより狭い数値範囲を、こうしたそれより狭い数値範囲が本明細書に明確に記載されているかのように包含する。
【0117】
他に指定がない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲における全ての割合、比率、及び百分率は重量基準であり、全ての限度数は、当該技術分野において許容可能な通常の程度の精度で使用される。
【0118】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0119】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0120】
本発明の特定の実施形態を例示し述べたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能化基材を備えてなる製品であって、
機能性組成物の被覆物を保持する、少なくとも2つの実質的に平面の水溶性フィルムを備えてなり、
前記被覆物が、前記2つのフィルム間に存在し、かつ、前記機能性組成物が、マイクロカプセルを含んでなる、製品。
【請求項2】
前記マイクロカプセルが、香料マイクロカプセルを含んでなる、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記水溶性フィルムが、水溶性物質、部分的に水溶性の物質、又は水和性物質から選択されてなる、請求項1又は2に記載の製品。
【請求項4】
前記被覆物が、少なくとも5g/m、少なくとも10g/m、少なくとも50g/m、少なくとも100g/mの量である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
前記機能化基材が、装填量が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%のコーティングを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
前記機能化基材が、0.2mm〜100mm、0.5mm〜50mm、1mm〜20mmの最大線寸法を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
前記機能化基材が、1mm未満、0.5mm未満、0.15mm未満、0.1mm未満、0.05mm未満、0.04mm未満、約0.01mmを上回る、平均厚を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
前記被覆物が、スプレー、ナイフ、ロッド、キス、スロット、ペインティング、印刷、及びそれらの混合を含むいずれの被覆処理手段によって前記フィルム上に塗布される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
前記機能化基材が、ある形状に切断又は形成され、該形状及び前記香料は、調整される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
前記フィルムの少なくとも片面に印刷し、前記被覆物を形成する工程を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の機能化基材を作製するプロセス。

【公表番号】特表2009−536117(P2009−536117A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509788(P2009−509788)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/011063
【国際公開番号】WO2007/130684
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】